Hollow plate-like conductor laminated superconducting magnet

申请号 JP3968995 申请日 1995-02-28 公开(公告)号 JPH08236341A 公开(公告)日 1996-09-13
申请人 Hitachi Ltd; 株式会社日立製作所; 发明人 MAKI NAOKI; HARA NOBUHIRO; KADOKAWA SHIGERU; SHIBATA MASAYUKI; HINO TOKUAKI; HATTORI KENICHI;
摘要 PURPOSE: To prevent quenching from occurring in a conductor-type superconducting magnet by a method wherein a large number of hollow plate- like superconductors are piled up into a multi short-circuit superconductor group. CONSTITUTION: A large number of hollow plate-like superconductors 1 are piled up into a multi short-circuit superconductor group 2. The multi short-circuit superconductor group 2 is composed of a large number of short-circuit superconductor plates 1 each of thickness 1mm or so. When a current is applied to an exciting coil 3 from an outer power supply 4, a current is inductively introduced into the multi short-circuit superconductor group 2, the multi short-circuit superconductor group 2 serves as a superconducting magnet when it is made to operate in a permanent current mode. Even if quenching occurs in a part of the superconductor group 2, the other residual superconductors carry an operating current provisionally, so that quenching is prevented from occurring in the superconductor group 2 as a superconducting magnet.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】中空板状の超電導導体を積み重ねて多数短絡超電導導体群を形成し、励磁用コイルを用いて外部電源から誘導的に永久短絡電流を導入することによって永久電流モードで運転する導体積層型超電導磁石。
  • 【請求項2】請求項1の該中空板状の超電導導体として、中空の同心状超電導導体板を用いることを特徴とする導体積層型超電導磁石。
  • 【請求項3】請求項1または2に記載の該多数短絡超電導導体群がソレノイド形状を有することを特徴とする導体積層型超電導磁石。
  • 【請求項4】請求項3において、ソレノイド形状を有する短絡超電導導体群の横方向断面がほぼ同心円形あるいはほぼ同心楕円形あるいはほぼ同心D形であることを特徴とする導体積層型超電導磁石。
  • 【請求項5】請求項1あるいは2に記載の該多数短絡超電導導体群がレーストラック形状を有することを特徴とする導体積層型超電導磁石。
  • 【請求項6】請求項1あるいは2に記載の該多数短絡超電導導体群が鞍型形状を有することを特徴とする導体積層型超電導磁石。
  • 【請求項7】請求項1ないし6のいずれかに記載の該多数短絡超電導導体群の同じ大きさのものあるいは異なる大きさのものを軸方向あるいは径方向あるいは周方向に複数個配置して磁場あるいは磁場均一度を向上させたことを特徴とする導体積層型超電導磁石。
  • 【請求項8】請求項1ないし6のいずれかに記載の該多数短絡超電導導体群を対称位置に対向して配置したことを特徴とする導体積層型超電導磁石。
  • 【請求項9】請求項1ないし8のいずれかに記載の該多数短絡超電導導体群が発生する磁束の通路に磁性鉄心を用いたことを特徴とする導体積層型超電導磁石。
  • 【請求項10】請求項1ないし9のいずれかに記載の該多数短絡超電導導体群の内側あるいは外側に超電導磁気シールドを用いたことを特徴とする導体積層型超電導磁石。
  • 【請求項11】請求項1ないし10のいずれかに記載の該多数短絡超電導導体群の高磁場領域における断面積を低磁場領域における断面積よりも大きくしたことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項12】請求項3,4あるいは11のいずれかに記載の積層導体型超電導磁石であって、ソレノイド形状の多数短絡超電導導体群の内径側積層厚みを外径側積層厚みよりも大きくしたことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項13】請求項12において、内径側厚みよりも外径側厚みが大きいくさび型の中空板状超電導導体板を用いることを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項14】請求項3,4あるいは11のいずれかに記載の積層導体型超電導磁石であって、ソレノイド形状の多数短絡超電導導体群の端部径方向長さを中央部径方向長さと異ならせたことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項15】請求項5,6あるいは11のいずれかに記載の積層導体型超電導磁石であって、レーストラック形状あるいは鞍型形状の多数短絡超電導導体群の端部長さを中央部長さよりも大きくしたことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項16】請求項1あるいは2に記載の該中空板状超電導導体であって、NbTiなどの合金系超電導導体あるいはNb 3 Sn などの化合物系超電導導体あるいはY系,Bi系,Tl系などのセラミックス超電導導体を用いることを特徴とする導体積層型超電導磁石。
  • 【請求項17】請求項1あるいは2に記載の該中空板状超電導導体であって、超電導薄板と安定化材となるC
    u,Ag,Alなどの高導電体を接合したものあるいはその接合物を積層したもの、あるいは高導電体の表面に超電導体を成膜したものあるいはその成膜物を積層したものを用いることを特徴とする導体積層型超電導導体。
  • 【請求項18】請求項1あるいは17のいずれかに記載の該多数短絡超電導導体群において、中空板状超電導導体間に板状スペーサをそう入したことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項19】請求項18に記載の該板状スペーサとしてステンレス鋼などの高強度材料を使用したことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項20】請求項18に記載の該板状スペーサとしてCuやCu合金あるいはAlやAl合金などの高熱伝導材料を使用したことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項21】請求項1あるいは20のいずれかに記載の該多数短絡超電導導体群の周囲あるいは、1部分に支持部材を取付けたことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項22】請求項21に記載の該積層導体型超電導磁石であって、L型支持部材を設けたことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項23】請求項21あるいは22に記載の該支持部材としてステンレス鋼などの高強度材料、あるいはA
    lやAl合金などの高熱収縮性材料を用いたことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項24】請求項21あるいは22に記載の該支持部材としてCuやCu合金などの高熱伝導材料を用いたことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項25】請求項1ないし24のいずれかに記載の該多数短絡超電導導体群の周囲あるいは内周部などの1
    部分あるいは内部に冷媒が通流する冷却通路を設けたことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項26】請求項21ないし24のいずれかに記載の該支持部材の周囲あるいはその1部分に冷媒が通流する冷却通路を設けたことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項27】請求項1ないし26のいずれかに記載の該超電導磁石の外側に励磁用コイルを配置したことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項28】請求項1ないし26のいずれかに記載の該超電導磁石の内部に励磁用コイルを配置したことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項29】請求項1ないし26のいずれかに記載の該超電導磁石の内部に励磁用コイルを配置したことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項30】請求項27ないし29のいずれかに記載の該励磁用コイルの長さを短絡超電導導体群よりも長くしたことを特徴とする積層導体型超電導磁石。
  • 【請求項31】励磁用コイルの電流を上昇させて多数短絡超電導導体群にクエンチ(常電導転移)が発生するまでの大電流を誘導させることによって磁束を通過させ、
    該多数短絡超電導導体群が超電導性能を回復した後に励磁用コイルの通電電流を下降させることによって該多数短絡超電導導体群に永久短絡電流並びに永久磁束をトラップさせることを特徴とする積層導体型超電導磁石の励磁方法。
  • 【請求項32】励磁用コイルの電流を上昇させて多数短絡超電導導体群にクエンチが発生するまでの大電流を誘導させることによって磁束を通過させ、該多数短絡超電導導体群が超電導性能を回復する前に励磁用コイルの電流をある程度下降させるとともに、超電導性能を回復した後に励磁用コイルの電流を零にまで下降させることによって、該多数短絡超電導導体群に永久短絡電流並びに永久磁束をトラップさせることを特徴とする積層導体型超電導磁石の励磁方法。
  • 【請求項33】請求項31または32に記載の該多数短絡超電導導体群に超電導性能を回復させる過程において、該多数短絡超電導導体群の外側領域から内側領域にかけて徐々に超電導性能を回復させるにつれて励磁用コイルの通電電流を下降させることを特徴とする積層導体型超電導磁石の励磁方法。
  • 【請求項34】請求項31または32に記載の該多数短絡超電導導体群の外側領域の超電導性能を内側領域よりも良好にしたことを特徴とする積層導体型超電導磁石の励磁方法。
  • 【請求項35】請求項34に記載の該多数短絡超電導導体群の外側領域から内側領域になるにつれて超電導性能の良好な材料を用いることを特徴とする積層導体型超電導磁石の励磁方法。
  • 【請求項36】請求項34に記載の該多数短絡超電導導体群の外側領域から内側領域になるにつれて積厚を大きくしたことを特徴とする積層導体型超電導磁石の励磁方法。
  • 【請求項37】請求項31ないし33のいずれかに記載の該多数短絡超電導導体群にヒータを取付け、その加熱調整によって該多数短絡超電導導体群の外側領域から内側領域にかけて徐々に超電導性能を回復させるようにしたことを特徴とする積層導体型超電導磁石の励磁方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、中空板状の超電導導体を積み重ねて形成した多数短絡超電導導体群を永久電流モードで運転する、実用的なソレノイド形状あるいはレーストラック形状あるいは鞍型形状の導体積層型超電導磁石に関するものであり、MRI(核磁気共鳴イメージング)装置や核融合装置や回転機や加速器などに使用することができる。

    【0002】

    【従来の技術】従来、超電導磁石は超電導線をコイル状に巻線して製作するのが一般に行われている。 また、超電導薄膜を多層化して1mm厚さ程度の超電導板あるいは超電導円筒体をつくり、交流超電導機器などの磁気シールドに使用することが知られている。 これは外部磁場が装置内部に侵入したり、発生磁場が外部に漏れるのを防止するための受動的なもので、自ずから磁場を発生する能動的な磁石とは機能を異にする。

    【0003】

    【発明が解決しようとする課題】従来では、1ターン導体型の高温超電導バルク磁石が示されているが、外部擾乱によってクエンチするという問題点があった。

    【0004】本発明の目的は、導体型超電導磁石のクエンチ発生を防止することにある。

    【0005】

    【課題を解決するための手段】上記問題点は、中空板状の超電導導体を多数積重ねて、実用となる円形や楕円形やD形断面のソレノイド型多数短絡超電導導体群、あるいはレーストラック型多数短絡超電導導体群、あるいは鞍型多数短絡超電導導体群を形成することにより達成される。

    【0006】また本発明では、磁場あるいは磁場均一度を向上させるために、多数短絡超電導導体群を軸方向あるいは径方向あるいは周方向に多数配置する。

    【0007】また本発明では、超電導性能を有効に利用するために多数短絡超電導導体群の高磁場領域における断面積を低磁場領域における断面積よりも大きくする。

    【0008】また本発明では、機械強度を向上させて超電導導体の動きを防止するために、多数短絡超電導導体群を形成する中空の同心状超電導導体板の板間にステンレス鋼などの高強度板をそう入したり、多数短絡超電導導体群の周囲あるいは外周部などの1部分に高強度支持部材を取付ける。

    【0009】また本発明では、冷却性能を向上させて超電導導体の擾乱による温度上昇を低減するために、多数短絡超電導導体群を形成する中空板状超電導導体の板間にCuやAgやAlなどの高熱伝導板をそう入したり、
    多数短絡超電導導体群の周囲あるいは内周部の1部分あるいは内部あるいは支持部材に冷媒を流すための冷却通路を設ける。

    【0010】さらに本発明では、多数短絡超電導導体群を永久電流モードで有効に運転するために、励磁用コイルの配置と長さ,大電流励磁法並びに外側領域から内側領域への超電導性回復法を示す。

    【0011】

    【作用】中空板状の超電導導体を積み重ねて、実用となるソレノイド型やレーストラック型や鞍型の多数短絡超電導導体群を形成し、それぞれの超電導導体に永久電流を導入する超電導磁石なので、擾乱によって一部の超電導導体板にクエンチが発生しても、正常な残りの多くの超電導導体板が1時的に過電流を分担し、クエンチした超電導板が超電導性を回復するとともに再び通電電流を分担するので、超電導磁石全体としてはクエンチが発生しない。

    【0012】また、多数短絡超電導導体群を軸方向あるいは径方向あるいは周方向に多数配置するので、磁場あるいは磁場均一度を向上させることができる。

    【0013】また、多数短絡超電導磁石群の高磁場領域における断面積を低磁場領域における断面積よりも大きくするので、高磁場領域では電流密度を低減でき、磁場の高低領域において超電導性能を均等かつ有効に利用することになる。

    【0014】また、多数短絡超電導導体群を形成する中空の板状超電導導体の板間にステンレス鋼などの高強度板をそう入したり、多数短絡超電導導体群の周囲あるいは外周部などの一部に高強度支持部材を取付けるので、
    電磁や熱応力などに対して超電導導体板の動きを抑えることができ、導体板の摩擦発熱が低減し、超電導導体板のクエンチ発生を防止することができる。

    【0015】また、多数短絡超電導導体群を形成する中空の同心状超電導導体板の板間にCuやAgやAlなどの高熱伝導板をそう入したり、多数短絡超電導導体群の周囲あるいは内周部の1部分あるいは内部あるいは支持部材に冷媒を流すための冷却通路を設けるので、超電導導体に擾乱が発生しても熱伝導による熱容量の増大並びに冷媒への熱伝達によって熱除去が円滑に行われ、超電導導体の温度上昇が著しく抑えられクエンチ発生が防止できる。

    【0016】さらに、励磁用コイルを多数短絡超電導導体群の外側や内側あるいは内部に配置したり、あるいは励磁用コイルの長さを多数短絡超電導導体群の長さよりも大きくするので、励磁コイルの発生磁束をできるだけ多く有効に多数短絡超電導導体群の励磁に使用することができる。 また、多数短絡超電導導体群がクエンチする大きさの電流が流れるように励磁用コイルを励磁する大電流励磁法を採用するので、多数短絡超電導導体群の永久電流モード運転を容易に行うことができる。 また、永久電流モード運転への励磁過程において、多数短絡導体群の外側領域から内側領域へと徐々に超電導性能を回復させるので、鎖交磁束を外部に逃がすことなく有効に利用することができる。

    【0017】

    【実施例】以下に図示した実施例に基づいて本発明を説明する。

    【0018】図1に本発明の一実施例として、MRI装置に適用した場合を示す。 中空板状の超電導導体1を積み重ねて多数短絡超電導導体群2を形成し、励磁用コイル3に外部電源4から電流を通流すると該多数短絡超電導導体群2に誘導的に電流が導入されるので、この電流を永久電流モードで運転することによって超電導磁石5
    を得ることができる。 この超電導磁石5において、多数短絡超電導導体群2は1mm程度の厚みをもつ多数の短絡超電導導体板1から構成されているので、ある特定の超電導導体板1aが動きに伴う摩擦熱や交流損失に伴う発熱などの擾乱によってクエンチが発生してその電流が減少したとしても、正常な残りの多くの超電導導体板1と1bが鎖交磁束を一定に維持するという超電導特有の性能に沿って減少電流を補償するようにその通電電流を増大させる。 クエンチした超電導導体板1aの擾乱がそう失し発熱がなくなると、冷却が優って超電導性を回復して電流が再び流れ出し、正常な超電導導体板1と1bの電流増大分が減少し正常な電流値に再び落着く。 このように、超電導磁石全体としては決してクエンチすることのない高安定な磁石が得られる。

    【0019】図1における中空板状の超電導導体1として、中空同心状断面のリングが電磁力を均等に受ける構造であり重量も軽減できる点から適しているが、その内周及び外周形状は矩形など任意の形状を用途に応じて採用することができる。 また、多数短絡超電導導体群2はリング状超電導導体板1を積み重ねてソレノイド型を形成しているが、MRI装置としてはこの形状が磁場の大きさ及び磁場均一度を達成する点から適している。

    【0020】図1に示すように、多数短絡超電導導体群2のほかに別の多数短絡超電導導体群2a,2b,2c
    を軸方向に配置することによって、磁場を大きくしたり磁場均一度を向上させることができる。 また、多数短絡超電導導体群2を径方向に複数個配置すれば(図示せず)、磁場を大きくすることができる。

    【0021】図1において、多数短絡超電導導体群2の高磁場領域である内径側の積層厚みを低磁場領域である外径側の積層厚みよりも大きくしている。 図2に示すように超電導導体のB−J c短尺特性は磁場Bが高くなると臨界電流密度J cが小さくなる垂下特性を示すので、
    高磁場領域における許容電流密度は低磁場領域におけるよりも小さくなる。 低磁場領域における超電導導体の断面積を高磁場領域におけると同じにとると、通流電流が両領域において同一なので低磁場領域の許容電流密度が高磁場領域の値で制限され動作点が負荷線上の点A(B
    1 ,J 1 )と小さく、臨界短尺特性に対して小さくなり余裕があり過ぎる無駄な使用となる。 これに対して、図1
    に示すように高磁場領域における超電導導体の断面積を低磁場領域よりも大きくすると、電流密度を同一としても通電電流を大きくとれ、低磁場領域における電流密度が増大し、動作点が負荷線上の点C(B 2 ,J 2 )になる。 これは、高磁場領域における3負荷線上の動作点D
    (B 3 ,J 1 )とともに、短尺導体の臨界値であるB−J
    c短尺特性に比べてほぼ同等の負荷率(例えば、図2では80%)になっており、低磁場領域における余裕のある無駄な使用が改善され、磁場の高低領域にかかわらず超電導導体の性能を均等かつ有効に利用することができる。 このことは、所要発生磁場に対して超電導導体の使用量を軽減できることになる。 多数短絡超電導導体群の高磁場領域における断面積を低磁場領域における断面積よりも大きくする他の方法として、内径側の厚みを外径側の厚みよりも大きくしたくさび形状の中空板状超電導導体を用いることが考えられる。 また、図1に示すように多数短絡超電導導体群を複数個使用する磁石システムにおいて、端部配置の短絡超電導導体群の磁場は小さくなるので、径方向長さを中央部配置のものよりも小さくすることが考えられる。 逆に、端部配置の短絡超電導導体群の径方向長さを中央部配置のものよりも大きくすると、ソレノイドコイル内部の磁場均一度領域を拡大できる別の効果を得ることができる。

    【0022】図1において、中空板状超電導導体として、NbTiなどの合金系超電導導体を用いた場合には、歪みに強いので機械加工や支持を容易に行える効果が得られる。 また、Nb 3 Sn などの化合物系超電導導体を用いた場合には、磁場を高くしたり温度マージンが大きくとれる効果が得られる。 また、Y系やBi系やT
    l系などのセラミックス超電導導体を用いた場合には、
    冷媒としてヘリウムに代わって安価で取扱いが容易な窒素が使用できる効果が生ずる。 いずれの超電導導体を使用する場合でも、CuやAgやAlなどの板状高導電体を中空板状超電導導体に接合すれば、擾乱に対してクエンチしないように高安定化をはかることができる。 その接合方法としてロールやプレスを用いる圧接法,板状高導電体に超電導導体を溶射する成膜法などを採用することができる。 特に、中空板状超電導導体自身のフラックスジャンプなどの電磁気的な不安定性をなくすためには、中空板状超電導導体の厚みを数十μm以下の薄板にすることが望ましく、このためには中空薄板状の超電導導体とCuやAgやAlなどの薄板状高導電体を接合したものを多数積層して用いればよい。

    【0023】図1において、多数短絡超電導導体群2を構成する中空板状超電導導体1の板間に中空板状スペーサ6をそう入して支持や冷却性能を向上させることができる。 板状スペーサとしてステンレス鋼などの高強度材料を使用すれば、電磁力などによる超電導導体の動きが防止できそれに伴う摩擦熱が発生しなくなる効果が得られる。 また、板状スペーサとしてCuやCu合金あるいはAlやAl合金などの高熱伝導材料を使用すれば、擾乱に伴う発熱量が周囲にす早く伝播するので超電導導体の温度上昇を抑制することができ、クエンチ防止の効果が得られる。

    【0024】図1において、多数短絡超電導導体群2,
    2a,2b,2cの周囲あるいは外周部や側面部などの1部分は支持部材7によって固定されている。 支持部材7aはL字型断面をもつ支持部材であり、その内周部分に多数短絡超電導導体群2をそう入することができる。
    その側面に凸型断面の支持部材7bをそう入した後に再び多数短絡超電導導体群2aをそう入し、この過程を繰り返して最後に凸型断面の支持部材7cを押し込むことによって多数短絡超電導導体群2,2a,2b,2cを強固に支持することができる。 支持部材7,7a,7
    b,7cとしてステンレス鋼などの高強度材料を使用すれば多数短絡超電導導体群2,2a,2b,2cの支持を非常に強固にできるので、超電導導体が動く恐れがなくなる。 支持部材としてAlやAl合金などの高熱収縮材料を使用すれば、冷却に伴う熱収縮量の大きさを利用して多数短絡超電導導体群をさらに強固に支持することができる。 また、支持部材としてCuやCu合金などの高熱伝導材料を使用すれば、擾乱に伴う発熱量を支持部材に伝播させることができるので多数短絡超電導導体群のクエンチ発生を防止できる効果が得られる。

    【0025】図1において、励磁用コイル3は超電導磁石5の内側に配置しているので、励磁用コイルをコンパクトにできる効果が得られる。 励磁用コイル3を超電導磁石5の外側に配置した場合には、超電導磁石の着磁用磁束に正負の両成分が発生せず励磁用磁束を有効に利用できる効果が生ずる。 また、励磁用コイルを超電導磁石に内蔵させた場合には、超電導磁石が幾分大きくなるが、励磁用コイルを別に準備する必要がなくなる。 以上3ケースのいずれの場合にも、励磁用コイルの長さを短絡超電導導体群の長さよりも大きくすれば、超電導磁石の着磁用磁束が一様化し励磁用磁束をより有効に利用できる効果が生ずる。

    【0026】図3に本発明の他の実施例として、核融合装置に適用した場合を示す。 ソレノイド形状の多数短絡超電導導体群2を12個トロイダル状に配列することによって、その内部にリング状のプラズマ8を封じ込めることができる。 図4に示すソレノイド形状の多数短絡超電導導体群2の配列は超電導エネルギー貯蔵装置にも適用することができ、この場合には外部漏れ磁束を著しく低減できる効果が得られる。 図3における多数短絡超電導導体群2の横方向断面には、図4〜図6に示すように構造の簡単な円形のほかに発生応力が低減できる楕円形やD形が考えられる。

    【0027】図7に本発明の他の実施例として、超電導回転機に適用できるレースラック形状の多数短絡超電導導体群9を示す。 この場合、広い領域にわたって高磁場が発生できる効果が得られる。 また、高磁場領域となる巻線端部の長さaを巻線中央部の長さbより大きくすることによって、図2に示したように超電導性能の有効利用が可能となり、発生磁場を高めたり超電導導体の使用量を軽減することができる。 さらに、図8に示すようにレーストラック形状の多数短絡超電導導体群9と9′を重ね合わせることによって所要空間に高い磁場を発生させることができる。 このとき、多数短絡超電導導体群9
    と9′の大きさを異ならせることによって、円筒状の狭い空間に有効に多数短絡超電導導体群を配置できたり、
    巻線端部の磁束集中を防止できる効果が得られる。

    【0028】図9に本発明の他の実施例として、加速器ダイポールに適用できる鞍型形状の多数短絡超電導導体群10を示す。 上下対称位置に対向して鞍型短絡超電導導体群10を配置すれば、その円筒横断面内に所要の高均一度をもつ高磁場を発生させることができる。 また、
    高磁場領域となる巻線端部の長さaを巻線中央部の長さbよりも大きくすることによって、図2に示したように超電導性能の有効利用が可能となり、発生磁場を高めたり超電導導体の使用量を軽減することができる。 さらに、図10に示すように対向して配置した鞍型形状の多数短絡超電導導体群10aと10bを周方向に配置したり、10cと10dをそれぞれ10aと10bに対して径方向に重ねるように配置することによって、所要空間に磁場の大きさと磁場均一度をさらに向上できる効果が得られる。

    【0029】図11に本発明の他の実施例として、加速器に使用されるH型磁石に適用した場合を示す。 中空板状の超電導導体1と中空板状スペーサ6を接合したものを多数積み重ねて構成したソレノイド形状の多数短絡超電導導体群2と2′を、ギャップをはさんで対向して配置し、その背部には磁路を形成するH型鉄心11が取付けられる。 これによってギャップ中に高磁場を永久磁的に発生させることができる効果が得られる。 さらに、ソレノイド形状の多数短絡超電導導体群2,2′の外周側に、中空円筒状の超電導磁気シールド導体12を配置すれば、漏れ磁束が減少してギャップ中に磁束を集中させる高磁場化が達成できる。

    【0030】図12,図13に多数短絡超電導導体群の冷却通路に関する実施例を示す。 多数短絡超電導導体群2の内周側に支持部材13あるいは外周側に支持部材1
    4あるいは内外周の両方に支持部材13と14が設けられる。 冷媒が流れる冷却通路は図13に示すように、内周側支持部材13の内部に冷却孔15あるいは外周側支持部材14の内部に冷却孔16あるいは多数短絡超電導導体群の内部に冷却孔17を設けて冷却することができる。 また図13に示すように、多数短絡超電導導体群2
    と内周支持部材13との境界部に支持孔18あるいは外周支持部材14との境界部に冷却孔19を設けて冷却することもできる。 また、内周支持部材の内表面あるいは外周支持部材の外表面に冷媒を流して冷却することもできる。

    【0031】次に多数短絡超電導導体群の励磁方法について説明する。

    【0032】図1における励磁用コイル3とソレノイド形状の多数短絡超電導導体群2の電流I c ,I sの時間t
    に対する変化並びに発生磁場Bの時間変化を図14に示す。 励磁用コイルに電流を流し始めると、多数短絡超電導導体群は超電導状態にあるのでその鎖交磁束を零に維持するように逆方向の電流が流れ始める。 多数短絡超電導導体群の電流が臨界値に達するまで励磁用コイルの電流を上昇させると、時間t 1後に多数短絡導体群が常電導状態に転移するのでその電流が零にまで減衰し、それに伴って発生磁場が零から一定値に上昇する。 しばらくすると多数短絡導体群が冷却されて超電導状態を回復するので、その後の時間t 2において励磁コイルの電流を徐々に下降させると、鎖交する発生磁場を一定に維持するように多数短絡超電導導体群に電流が流れはじめる。
    時間t 3において励磁用コイル電流が零になると、多数短絡超電導導体群の電流がほぼ最大値に達し、その状態で永久電流モード運転に入る。 多数短絡超電導導体群が超電導状態を回復する前に励磁用コイル電流を下げておけば、図14の破線に示すように多数短絡超電導導体群の電流をその分だけ臨界値よりも小さくすることができる。 それに伴って発生磁場も低下するが、多数短絡超電導導体群に適切な電流マージンをもたせて安定に運転することができる。 この大電流励磁法によれば、励磁用コイルの電流を調整するだけでよく、従来励磁法のように超電導導体の超電導と常電導間の転移をヒータによる加熱を用いる必要がなくなるので、非常に操作法が簡単で付帯設備も不要になる効果が得られる。

    【0033】図14に一例を示す多数短絡超電導導体群の励磁方法において、発生磁場を有効にトラップさせる方法を図15に示す。 これは、短絡超電導導体群に超電導性能を回復させる過程において、該短絡超電導導体群の外側領域21から中間領域22さらに内側領域23へと徐々に超電導性能を回復させるにつれて励磁コイルの通電電流を下降させるものである。 外側領域21と中間領域22及び内側領域23が同時に超電導性能を回復した後に励磁コイルの通電電流を下降させる場合にはトラップ磁場はB 1にとどまるが、本発明のように外側領域21だけが超電導性を回復した後に励磁コイルの通電電流を約1/3だけ下降させ、次に中間領域22が超電導性を回復した後に励磁コイルの通電電流を約2/3まで下降させ、最後に内側領域23が超電導性を回復した後に励磁コイルの通電電流を零にまで下降させれば発生磁束のトラップ領域が外側から内側へと押しやられ、その磁束量は一定なのでトラップ領域の面積比に反比例して発生磁場がB 2にまで増大することになる。 このような磁場濃縮法によって高磁場化が達成できる効果が得られる。 外側領域から内側領域にかけた超電導性能を回復させる方法として、各領域にヒータを取付けて時間をずらせてヒータを切る他動方式と各領域の超電導性能を内側になるにつれて良好にする自動方式がある。 後者の自動方式として外側領域から内側領域になるにつれて超電導性能の良好な材料を用いるものと、外側領域から内側領域になるにつれて短絡超電導導体群の積厚を大きくするものが考えられる。

    【0034】

    【発明の効果】中空板状の超電導導体を積み重ねて、実用となるソレノイド型やレーストラック型や鞍型の多数短絡超電導導体群を形成し、永久電流モードで運転する超電導磁石なので、一部の超電導導体にクエンチが発生しても一時的に残りの多くの超電導導体が通電電流を分担するので、超電導磁石としてはクエンチが発生しない大きい効果を得ることができる。

    【0035】また、多数短絡超電導導体群を多数配置することによって、磁場あるいは磁場均一度を向上させることができる。

    【0036】また、多数短絡超電導導体群の高磁場領域における断面積を低磁場領域よりも大きくすることによって、超電導性能を有効に利用できる。

    【0037】また、多数超電導導体群の内部や周囲に高張度支持材をそう入することによって、導体の動きを抑制しクエンチ発生が防止できる。

    【0038】また、多数短絡超電導導体群の内部や周囲に高熱伝導材をそう入したり冷却通路を設けることによって、導体の温度上昇を抑制しクエンチ発生が防止できる。 さらに、励磁用コイルの長さを十分とることによって発生磁束を有効利用したり、大電流励磁法によって永久電流モード運転を容易に行ったり、多数短絡超電導導体群の外側領域から内側領域へと徐々に超電導性能を回復させることによって鎖交磁束が有効利用できる効果を得ることができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の一実施例であるMRI装置用ソレノイド型超電導磁石の概略縦断面図。

    【図2】超電導導体のB−J特性と超電導磁石の負荷動作点を示す。

    【図3】本発明の他の実施例で、トロイダル状配置の超電導導体群の外観図。

    【図4】本発明の他の実施例で、ソレノイド型超電導導体群の横断面図。

    【図5】本発明の他の実施例で、ソレノイド型超電導導体群の横断面図。

    【図6】本発明の他の実施例で、ソレノイド型超電導導体群の横断面図。

    【図7】本発明の他の実施例で、レーストラック型超電導導体群の外観図。

    【図8】本発明の他の実施例で、2個積層したレーストラック型超電導導体群の外観図。

    【図9】本発明の他の実施例で、鞍型超電導導体群の外観図。

    【図10】本発明の他の実施例で、8個配置した鞍型超電導導体群の横断面図。

    【図11】本発明の他の実施例で、H型磁石の断面図。

    【図12】本発明の他の実施例で、各部内部に冷却孔を設けたリング状超電導導体群の横断面図。

    【図13】本発明の他の実施例で、各部境界部に冷却孔を設けたリング状超電導導体群の横断面図。

    【図14】本発明の他の実施例で、超電導磁石の大電流励磁方法を示すタイムチャート。

    【図15】本発明の他の実施例で、磁束の有効トラップ法を示す説明図。

    【符号の説明】

    1,1a,1b…中空板状の超電導導体、2,2a,2
    b,2c…多層短絡超電導導体群、3…励磁用コイル、
    4…外部電流、5…超電導磁石、6…スペーサ、7,7
    a,7b,7c…支持部材、8…プラズマ、9,9′…
    レーストラック形状の多数短絡超電導導体群、10,1
    0a,10b,10c,10d…鞍型形状の多数短絡超電導導体群、11…H磁鉄心、12…超電導磁気シールド導体、13,14…支持部材、15,16,17,1
    8,19…冷却孔、21,22,23…多数短絡超電導導体群の内側,中間,外側領域。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 将之 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 日野 徳昭 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 服部 憲一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

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