圧延銅箔、フレキシブルフラットケーブル、回転コネクタおよび平角圧延銅箔の製造方法

申请号 JP2017509839 申请日 2016-03-23 公开(公告)号 JPWO2016158589A1 公开(公告)日 2018-02-01
申请人 古河電気工業株式会社; 古河AS株式会社; 发明人 松尾 亮佑; 水戸瀬 賢悟;
摘要 小さい屈曲半径で、優れた耐屈曲性を実現することができる平 角 圧延銅箔およびその製造方法を提供する。本発明の平角圧延銅箔1は、0.2%耐 力 が250MPa以上である銅または銅 合金 からなる平角圧延銅箔であって、圧延方向に垂直な断面(RD面3)において、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内に 配向 する結晶粒の面積率が8%以上である。
权利要求

0.2%耐が250MPa以上である銅または銅合金からなる平圧延銅箔であって、 圧延方向に垂直な断面において、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内に配向する結晶粒の面積率が8%以上であることを特徴とする平角圧延銅箔。0.01〜0.2質量%Mg、0.01〜0.5質量%Zn、0.01〜1.5質量%Sn、0.01〜0.1質量%Ag、0.001〜0.05質量%P、0.1〜0.5質量%Cr、0.01〜0.1質量%Si、0.01〜0.2質量%Zr、0.01〜0.2質量%Ti及び0.01〜0.2質量%Feの中から選ばれる1種または2種以上の元素を合計で1.0質量%以下含有し、残部が銅と不可避不純物からなる銅合金であることを特徴とする、請求項1記載の平角圧延銅箔。請求項1又は2記載の平角圧延銅箔において、 ラーソン・ミラー・パラメータPは、P=T(C+logtr)で定義され、Tが絶対温度(K)、trが破断時間(h)、Cが材料定数であるとき、C=20でかつP=7000〜9000の範囲内となる条件で熱処理した状態であっても、0.2%耐力が250MPa以上を維持するよう構成されていることを特徴とする平角圧延銅箔。請求項1〜3のいずれか1項に記載の平角圧延銅箔を用いたフレキシブルフラットケーブル。請求項4記載のフレキシブルフラットケーブルを有し、屈曲半径6mm以下の屈曲部位に適用される回転コネクタ。請求項1〜3のいずれか1項に記載の平角圧延銅箔の製造方法であって、 鋳造、熱間圧延、第1冷間圧延、および再結晶を伴う第1熱処理をこの順で施した後、減面率75%以上で冷間圧延して箔材を形成する第2冷間圧延工程と、 前記箔材に200〜600℃、1秒〜2時間の熱処理を施す第2熱処理工程と、 前記第2熱処理工程後の箔材を減面率5%以上で冷間圧延して箔材を形成する第3冷間圧延工程と、を有することを特徴とする、平角圧延銅箔の製造方法。前記第3冷間圧延工程後に、前記箔材を圧延方向に沿って切断するスリット工程を更に有することを特徴とする、請求項6記載の平角圧延銅箔の製造方法。前記第3冷間圧延工程の後であって前記スリット工程の前に、前記箔材に歪取焼鈍を施す第3熱処理工程を更に有する、請求項7記載の平角圧延銅箔の製造方法。

说明书全文

本発明は、銅または銅合金からなる平圧延銅箔、フレキシブルフラットケーブル、回転コネクタおよびその製造方法に関し、特に自動車用部品等において繰返して屈曲運動が行われるフレキシブルフラットケーブル等に用いられる平角圧延銅箔およびその製造方法に関する。

従来、フレキシブルフラットケーブル(FFC)は、厚さが薄く可撓性に優れる特長から、電子機器等への実装形態における自由度が高く、様々な用途に用いられている。例えば、自動車におけるエアバックシステムの構成部品であり、ステアリング・ロール・コネクタ(SRC)とも称される回転コネクタや、折り畳み式携帯電話の折り曲げ部、デジタルカメラ、プリンターヘッドなどの可動部、HDD(Hard Disk Drive)やDVD(Digital Versatile Disc)、Blu−ray(登録商標) Disc、CD(Compact Disc)など、ディスク関連機器の可動部の配線等に広く用いられている。このようなフレキシブルフラットケーブルの導体部分には、一般に圧延銅箔が用いられている。

圧延銅箔とは、圧延により製造された銅箔である。圧延銅箔には、丸線を圧延して得るもの(本明細書では丸線圧延銅箔という)と、鋳塊を丸線にすることなくロール圧延して箔材とし、必要に応じて所定幅にスリット加工したもの(本明細書では平角圧延銅箔と称する)とがある。

例えば、SRCにおいては、省スペース化やコストダウンの観点から、小型化、薄肉化の要求があり、今後その傾向は益々強まっていくと推測される。これに伴い、FFCの屈曲曲げ半径は従来よりも更に小さくなる傾向があり、従来の圧延銅箔では、十分な耐久性が得られなくなってきている。

ここで、特許文献1には、引張強度(TS)を350MPa〜400MPaに制御し、85℃以上の環境下で高屈曲性を有する導体が開示されている。また、特許文献2では、FPC用途であるが、一定条件の熱処理にて再結晶処理を行ったとき、その屈曲特性を大きく改善することが可能な導体が開示されている。

特開2009−048819号公報

特許第3009383号公報

しかしながら、上記特許文献1では、温度に対する耐久性への言及があるものの、曲げ特性については、実施例にて屈曲半径7.5mmにおける試験耐久性を開示するにとどまっており、7.5mmよりも小さい屈曲半径での曲げ特性は言及されておらず、不明である。また特許文献2では、非常に小さい屈曲半径での耐久試験が実施されているが、その試験での屈曲寿命回数は10万回以下であるため、SRCに求められる曲げ特性には及ばない。よってこれら引用文献の製法にて製造された導体では、SRCに求められるような小さい屈曲半径での要求特性を満たすことができるとは言えない。

本発明の目的は、小さい屈曲半径(例えば6mm以下)で、優れた耐屈曲性を実現することができる平角圧延銅箔、フレキシブルフラットケーブル、回転コネクタおよび平角圧延銅箔の製造方法を提供することにある。

本発明者らは、検討を重ねた結果、次の知見を得た。まず従来から、屈曲寿命回数の観点では、軟銅(0.2%耐が250MPa未満の銅または銅合金)の方が、硬銅(0.2%耐力が250MPa以上の銅または銅合金)よりも特性が良くなると考えられ、工業的にも軟銅が使用されてきたが、要求特性における屈曲半径の小径化に伴い、硬銅の耐屈曲性が、軟銅よりも良くなる現象を確認するに至った。例えば、屈曲半径が6mm程度と非常に小さい場合には、むしろ硬銅の方が軟銅よりも特性が良くなることが分かった。

さらに、軟銅に変えて硬銅を使うだけでは、回転コネクタ(例えばSRC)で要求される、例えば屈曲半径6mm以下で50万回以上といった屈曲寿命回数で良好な耐屈曲特性を達成することは困難であり、さらなる工夫が必要とされることが判明した。

そこでさらに鋭意検討した結果、硬銅(0.2%耐力が250MPa以上)であることを前提として、製品である銅箔の金属組織において、圧延方向に垂直な断面においてCube方位{001}<100>の結晶粒が面積率で8%以上集積している場合には、屈曲半径が非常に小さい場合であっても、良好な耐屈曲特性を得ることができることを見出した。また圧延銅箔に結晶方位制御を導入する場合には、丸線圧延銅箔よりも、平角圧延銅箔のほうが製造安定性の面で有利であることも分かった。

なお、上記のとおり、本発明における平角圧延銅箔とは、鋳塊をロール圧延して箔材を形成し、好適にはこの箔材をさらにスリットする製造方法によって得られる銅箔である。

以上の知見から、上記目的を達成するための本発明は以下のとおりである。 (1)0.2%耐力が250MPa以上である銅または銅合金からなる平角圧延銅箔であって、圧延方向に垂直な断面において、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内に配向する結晶粒の面積率が8%以上であることを特徴とする平角圧延銅箔。 (2)0.01〜0.2質量%Mg、0.01〜0.5質量%Zn、0.01〜1.5質量%Sn、0.01〜0.1質量%Ag、0.001〜0.05質量%P、0.1〜0.5質量%Cr、0.01〜0.1質量%Si、0.01〜0.2質量%Zr、0.01〜0.2質量%Ti及び0.01〜0.2質量%Feの中から選ばれる1種または2種以上の元素を合計で1.0質量%以下含有し、残部が銅と不可避不純物からなる銅合金であることを特徴とする、上記(1)記載の平角圧延銅箔。 (3)上記(1)又は(2)記載の平角圧延銅箔において、ラーソン・ミラー・パラメータPは、P=T(C+logtr)で定義され、Tが絶対温度(K)、trが破断時間(h)、Cが材料定数であるとき、C=20でかつP=7000〜9000の範囲内となる条件で熱処理した状態であっても、0.2%耐力が250MPa以上を維持するよう構成されていることを特徴とする平角圧延銅箔。 (4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の平角圧延銅箔を用いたフレキシブルフラットケーブル。 (5)上記(4)記載のフレキシブルフラットケーブルを有し、屈曲半径6mm以下の屈曲部位に適用される回転コネクタ。 (6)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の平角圧延銅箔の製造方法であって、鋳造、熱間圧延、第1冷間圧延、および再結晶を伴う第1熱処理をこの順で施した後、減面率75%以上で冷間圧延して箔材を形成する第2冷間圧延工程と、前記箔材に200〜600℃、1秒〜2時間の熱処理を施す第2熱処理工程と、前記第2熱処理工程後の箔材を減面率5%以上で冷間圧延して箔材を形成する第3冷間圧延工程と、を有することを特徴とする、平角圧延銅箔の製造方法。 (7)前記第3冷間圧延工程後に、前記箔材を圧延方向に沿って切断するスリット工程を更に有することを特徴とする、上記(6)記載の平角圧延銅箔の製造方法。 (8)前記第3冷間圧延工程の後であって前記スリット工程の前に、前記箔材に歪取焼鈍を施す第3熱処理工程を更に有する、上記(7)記載の平角圧延銅箔の製造方法。

本発明によれば、FFC導体が小さい屈曲半径で繰り返して屈曲する場合であっても耐屈曲性に優れた平角圧延銅箔を提供することができる。したがって、本発明の平角圧延銅箔は、FFCが搭載されたSRCはもとより、携帯電話の折り曲げ部、デジタルカメラ、プリンターヘッドなどの可動部、HDD、DVD、Blu−ray(登録商標) Disc、CDなどディスク関連機器の可動部の配線等に用いることができる。

本発明の一実施形態となる平角圧延銅箔を示す斜視図(一部断面図)である。

本発明の実施例において、耐屈曲性試験で使用される屈曲試験機に平角圧延銅箔を固定した状態を概略的に示す側面図である。

本発明の他の実施形態となる4つの平角圧延銅箔を用いて作製したFFCを示す断面図である。

本発明の一実施形態であるFFCを、車両のエアバックシステムの構成部品である回転コネクタ(SRC)に適用したときの取付状態を示す図である。

図1に、本実施形態の一例となる平角圧延銅箔1を示す。 (平角圧延銅箔) 図1に示す通り、平角圧延銅箔1は、圧延面2と、それに隣接する側面4を有する。 なお図1中、X−Y−Z軸は直交座標系であり、X軸であるRDは圧延方向であって、かつ銅箔の長手方向を示し、Z軸であるNDは、圧延面に垂直な圧延法線方向であって、かつ銅箔の板厚方向を示し、Y軸であるTDは、RDとNDの両方に垂直な方向であって、かつ銅箔の巾方向を示す。また符号3で示すのは、圧延方向RDに垂直な断面であり、RD面とも称するものとする。 本実施形態の平角圧延銅箔1は、結晶方位制御を行ったものである。 ここで圧延銅箔には、丸線圧延銅箔と平角圧延銅箔とに大別されるが、平角圧延銅箔1は、後述の製造工程において結晶方位制御を行う際、結晶粒をCube方位に安定的に配向させることができる。これは、圧延中にCube方位が僅かながらも配向することと、圧延で得られた組織がCube方位への結晶粒成長の際、優先的に侵食される側の役割を果たしているという理由によるものと考えられる。これに対して丸線圧延銅箔では、製造の過程で結晶粒が他の結晶方位に優先的に配向しやすい傾向があり、安定してCube方位に配向させることの技術的難易度が高い。 そこで本実施形態では、平角圧延銅箔1を用いる。 平角圧延銅箔1は、その巾および厚さは特に制限はなく、用途に応じて適宜定めることができるが、巾0.300〜2.000mm、厚さ0.010〜0.200mmであるのが好ましい。

本実施形態で使用される銅または銅合金は、例えばタフピッチ銅(TPC:Tough Pitch Copper)、無酸素銅(OFC:Oxygen−Free Copper)もしくは1種または2種以上の添加元素を含有し、残部が銅と不可避不純物からなる銅合金である銅合金である。かかる銅合金は、0.01〜0.2質量%Mg、0.01〜0.5質量%Zn、0.01〜1.5質量%Sn、0.01〜0.1質量%Ag、0.001〜0.05質量%P、0.1〜0.5質量%Cr、0.01〜0.1質量%Si、0.01〜0.2質量%Zr、0.01〜0.2質量%Ti及び0.01〜0.2質量%Feの中から選ばれる1種または2種以上の添加元素を合計で1.0質量%以下含有することが好ましい。以下に、添加元素の限定理由を記載する。

<添加元素> (0.01〜0.2質量%Mg) Mgは、Cuに添加することにより固溶し屈曲特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮するには、Mg含有量を0.01%以上とすることが好ましい。また、Mg含有量は、多くなるほど屈曲特性は更に改善する見込みがあるが、導電性が下がり所望の抵抗を満たさなくなるおそれがあることや、鋳造および熱間圧延時の割れなど製造性への影響が懸念されることから、Mg含有量の上限値は0.2質量%とすることが好ましい。

(0.01〜0.5質量%Zn) Znは、Cuに添加することにより固溶し屈曲特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮するには、Zn含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。また、Znを0.5質量%よりも多く含有させても、上記作用の更なる向上が期待できなくなることから、Zn含有量の上限は0.5質量%とすることが好ましい。

(0.01〜1.5質量%Sn) Snは、Cuに添加することにより固溶し屈曲特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮するには、Sn含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。また、Sn含有量は、多くなるほど屈曲特性は更に改善する見込みがあるが、導電性が下がり所望の抵抗を満たさなくなるおそれがあることから、Sn含有量の上限値は1.5質量%とすることが好ましい。

(0.01〜0.1質量%Ag) Agは、Cuに添加することにより固溶し屈曲特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮するには、Ag含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。また、Ag含有量は、多くなるほど屈曲特性は更に改善する見込みがあり、導電性の低下も小さいが、コスト面との折り合いなどを考慮して、上限値を0.1質量%とすることが好ましい。

(0.001〜0.05質量%P) Pは、鋳造性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮するには、P含有量を0.001質量%以上とすることが好ましい。また、P含有量は、多くなるほど導電性が大きく下がる傾向があるため、上限値を0.05質量%とすることが好ましい。

(0.1〜0.5質量%Cr) Crは、Cuに添加し適切な熱処理を加えることで微細析出し屈曲特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮するには、Cr含有量を0.1質量%以上とすることが好ましい。また、Crは、0.5質量%を超えて含有させても、屈曲特性の改善効果が顕著ではなくなる傾向があることから、Cr含有量の上限値は0.5質量%とすることが好ましい。

(0.01〜0.1質量%Si) Siは、Cuに添加し適切な熱処理を加えることで微細析出し屈曲特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮するには、Si含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。また、Si含有量は、多くなるほど屈曲特性は更に改善する見込みがあるが、導電性が下がり所望の抵抗を満たさなくなるおそれがあることから、上限値を0.1質量%とすることが好ましい。

(0.01〜0.2質量%Zr) Zrは、Cuに添加し適切な熱処理を加えることで微細析出し屈曲特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮するには、Zr含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。また、Zr含有量は、多くなるほど屈曲特性は更に改善する見込みがあるが、鋳造および熱間圧延時の割れなど製造性への影響が懸念されることから、上限値を0.2質量%とすることが好ましい。

(0.01〜0.2質量%Ti) Tiは、Cuに添加することにより固溶し屈曲特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮するには、Ti含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。また、Ti含有量は、多くなるほど屈曲特性は更に改善する見込みがあるが、導電性が下がり所望の抵抗を満たさなくなることや、鋳造および熱間圧延時の割れなど製造性への影響が懸念されることから、上限値を0.2質量%とすることが好ましい。

(0.01〜0.2質量%Fe) Feは、Cuに添加し適切な熱処理を加えることで微細析出し屈曲特性を改善する作用を有する元素である。かかる作用を発揮するには、Fe含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。また、Feは、0.2質量%を超えて含有させても、屈曲特性の改善効果が顕著ではなくなる傾向があることから、Fe含有量の上限値は0.2質量%とすることが好ましい。

(Mg、Zn、Sn、Ag、P、Cr、Si、Zr、Ti及びFeの中から選ばれる1種または2種以上の添加元素を合計で1.0質量%以下含有すること) 上記添加元素の添加は、強度や耐熱性、製造性を上げつつも導電性を低下させ過ぎないことが目的であり、その合計の添加量は1.0質量%以下とするのが好ましい。上記銅合金の導電率は、標準軟銅の導電率を100%としたときに、90%以上であることが好ましい。また、銅への元素の添加はSFE(stacking fault energy)を変化させることが知られており、元素添加により結晶方位の集積に変化が起きる。元素を添加しすぎると、所望の集合組織を得られないため、その観点でも上記微量添加元素の添加量を制御することが好ましい。なお、上記添加の目的を達成することができれば、添加元素は上記のものに限定されない。

(圧延方向に垂直な断面(RD面)において、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内に配向する結晶粒の面積率が8%以上であること) 本実施形態の平角圧延銅箔1は、圧延方向に垂直な断面おいて、Cube方位{001}<100>からのずれ角度が12.5°以内に配向する結晶粒の面積率が8%以上である。Cube方位とは材料中(平角圧延銅箔中)の銅または銅合金母相の結晶の方位のひとつである。この方位は、銅または銅合金母相の結晶(面心立方格子)の{001}面が圧延面に対して平行であり、かつ<100>方向が圧延方向RDと平行である結晶方位である。本実施形態の平角圧延銅箔には、この結晶方位を有する結晶が、RD面3において測定したとき、8%以上の面積率で存在する。ただし、理想的な結晶方位からのずれ角度が12.5°以内(0°以上12.5°以内)であればその理想方位と同等として扱うことができ得るので、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内の方位についてもCube方位と同等とすることができる。つまり、本実施形態の平角圧延銅箔は、厳密にCube方位に配向している結晶粒のみならず、Cube方位からプラスマイナス12.5°以内で3次元的に回転した方位に配向している結晶粒を含め、RD面3において面積率8%以上で存在する。以下、Cube方位もしくはCube方位からプラスマイナス12.5°以内で3次元的に回転した方位のことを、本明細書中では「Cube方位からのずれ角度が12.5°以内の方位」と称する。

圧延処理を施すと、圧延材における、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内の方位の結晶粒が減少し、耐屈曲性が若干低下する一方、加工硬化により耐力が増加するため、機械的強度が向上する。また、再結晶化熱処理を施すことによりCube方位からのずれ角度が12.5°以内の方位の結晶粒が発達し、耐屈曲性が向上する。よって本実施形態では、平角圧延銅箔におけるCube方位からのずれ角度が12.5°以内の方位の結晶粒の、RD面3における面積率に着目し、該面積率の観点から、所定条件で圧延処理及び再結晶化処理を施し、0.2%耐力を250MPa以上とし、加えて上記面積率の数値範囲を8%以上とすることで、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内の方位の結晶粒が集積している度合を表している。これにより、破壊の起点となるすべりによる凹凸形状の発生タイミングを遅延し、また、ヤング率の低下により亀裂の伝搬を遅延させることができる。このように本実施形態の平角圧延銅箔1では、優れた機械的強度特性のみならず耐屈曲特性も満足することができる。このような観点から、本実施形態では、RD面3における、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内の方位に配向する結晶粒の面積率は8%以上であり、好ましくは10%以上である。また、上記面積率の数値範囲の上限は特にないが、本実施形態の平角圧延銅箔は硬銅であることに鑑み、スリット加工を行なう場合には、スリット加工を容易にするために、90%程度を上限とすることが好ましい。

ここで、結晶方位について、さらに説明しておく。金属材料は通常多結晶体であるが、平角圧延銅箔は複数回もの圧延を繰り返して製造されることによって、箔中の結晶が特定の方位に集積する。このような一定の方位に集積した金属組織の状態を集合組織と呼ぶ。この集合組織の様相を議論するためには、結晶の方向を定義するための座標系が必要となる。そこで、本明細書では、上述した通り、一般的な集合組織の表記方法に従い、平角圧延銅箔が圧延されて進んでいく圧延方向(RD)をX軸、平角圧延銅箔の巾方向(TD)をY軸、平角圧延銅箔の圧延面に垂直な圧延面法線方向(ND)をZ軸の直角座標系を取る。平角圧延銅箔中に存在するある1つの結晶粒の方位は、Z軸に垂直な(圧延面に平行な)結晶面のミラー指数(hkl)と、X軸に平行な結晶方向の指数[uvw]とを用いて、(hkl)[uvw]の形で示す。例えば、(132)[6−43]や(231)[3−46]などのように示し、(132)[6−43]は、その結晶粒を構成する結晶の(132)面がNDに垂直であり、その結晶粒を構成する結晶の[6−43]方向がRDと平行であることを示している。なお、(132)[6−43]と(231)[3−46]は面心立方格子の対称性から等価である。このような等価な配向を有する方位群は、そのファミリーを表すためにカッコ記号({}や<>)を使用し、{132}<643>と示す。

なお、結晶方位(hkl)[uvw]自体は、結晶の向きを一意に定めるものであるので、観察方向に拠らない。つまり、圧延方向(RD)、圧延面法線方向(ND)および銅箔の巾方向(TD)のいずれの方向から測定しても、結晶方位は測定することができる。 ただし、本発明は実質的にCube方位に配向する結晶粒の存在量を面積率で規定するものであるので、一定の観察面が必要となる。 そこで本発明では、RD面3で結晶粒を観察し、この観察面における面積率を測定する。より具体的には、RD面3全体において、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内の方位を測定し、その面積を画像解析によって算出し、その面積率は、該方位を有する面積を、RD面3の全面積で除することで求める。

本発明における結晶方位の画像解析はEBSD法を用いて行うのが好ましい。EBSDとは、Electron BackScatter Diffraction(電子後方散乱回折)の略で、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折(菊池パターン)を利用した結晶方位解析技術のことである。なお、菊池パターンとは、結晶に当たった電子線が散乱して回折された際に、白黒一対の平行線や帯状もしくはアレイ状に電子線回折像の背後に現れるパターンをいう。本発明においては、結晶粒を200個以上含む、500μm四方の試料面積に対し、0.5μmのステップでスキャンし、解析用ソフトウェア(EDAX TSL社製、商品名「Orientation Imaging Microscopy v5」)を用い、結晶方位を解析する。解析に当たっては歪やノイズ情報を除去するため対象に対してIQ(イメージクオリティ)≧900、CI(信頼性指数)≧0.1の制限を設けた。なお、EBSD測定にあたっては、鮮明な菊池線回折像を得るために、機械研磨の後に、測定面に付着した異物を取り除くと同時に、鏡面仕上げをする必要がある。本実施例ではCP(クロスセクションポリッシャ)加工、もしくは電解研磨にて測定面に研磨加工を施している。 なお平角圧延銅箔1の圧延方向は、製品の状態であっても、圧延面2の表面を観察すれば、圧延によるロール目の状態から、特定可能である。

(0.2%耐力が250MPa以上であること) 本実施形態における平角圧延銅箔は、いわゆる硬銅であり、0.2%耐力が250MPa以上である。

(ラーソン・ミラー・パラメータPが7000〜9000の範囲内となる条件で熱処理した後、0.2%耐力が250MPa以上を維持すること) 本実施形態の平角圧延銅箔では、クリープ破断の加速試験として周知のラーソン・ミラー・パラメータ法に基づくラーソン・ミラー・パラメータPが7000〜9000の範囲内となる条件で熱処理した後であっても、0.2%耐力が250MPa以上であることが好ましい。ラーソン・ミラー・パラメータは、下記の式(1)で定義されるものであり、温度と時間の値を変化させたときに材料が受ける熱エネルギーを等価として評価することで、材料の寿命を推測するものである。 P=T(C+logtr) ・・・・(1) (但し、Tは絶対温度(K),trは破断時間(h),Cは材料定数(=20)) ラーソン・ミラー・パラメータPが7000〜9000の範囲内となる条件で熱処理した後であっても0.2%耐力が250MPa以上を維持することは、平角圧延銅箔1の母相組織中に格子欠陥を導入することにより実現可能である。 本実施形態における平角圧延銅箔の平均結晶粒径は例えば1μm〜10μmである。ある程度、結晶粒径が均一な場合、耐力は、格子欠陥の量によって制御することができる。そこで本実施形態においては、平角圧延銅箔1の製造工程における圧延量を制御することで、その際に母相組織に導入される格子欠陥の量を制御し、格子欠陥を数多く導入することで、上記所望の耐力を得ることができる。

(本実施形態に係る平角圧延銅箔の製造方法) 本実施形態の平角圧延銅箔1は、例えば、鋳造工程、熱間圧延工程、第1冷間圧延工程、および再結晶を伴う第1熱処理工程をこの順で施した後、[1]第2冷間圧延工程、[2]第2熱処理工程(第1焼鈍処理工程)、[3]第3冷間圧延工程および[4]第3熱処理工程(第2焼鈍処理工程)の各工程を経て製造することができる。なお、[3]第3冷間圧延工程終了後に本発明の特性を満たしていれば、[4]第3熱処理工程は行わなくてもよい。 以下、[1]〜[4]の工程について説明する。

上記[1]〜[4]の工程を行なうに先立ち、例えば150mm前後の厚さのケーク状銅塊に鋳造し(鋳造工程)、15mm前後の厚さになるまで熱間圧延し(熱間圧延工程)、さらに第1冷間圧延工程で0.08〜3.5mmの厚さになるまで冷間圧延を施し(第1冷間圧延工程)、その後、再結晶及び析出を伴う熱処理を行い(第1熱処理工程)、箔材を形成する。発明に相当する範囲の第1熱処理工程における熱処理条件は、200〜600℃、1秒〜2時間で行うのが好ましい。

[1]第2冷間圧延工程 第1熱処理工程にて箔材を再結晶後、減面率45〜98%で0.036〜0.7mmの厚さになるまで2回目の冷間圧延を施す(第2冷間圧延工程)。本圧延工程では、発明に相当する範囲の圧延率は後の熱処理にて所望の組織を発現させるために、減面率は75%以上とすることが好ましい。これにより、圧延によって箔材の金属組織中に格子欠陥を導入することにより、強度(例えば0.2%耐力)を向上させることができる。

[2]第2熱処理工程(第1焼鈍処理工程) 第2熱処理工程は、第2冷間圧延工程で0.036〜0.7mmまで冷間圧延された箔材に、最終の再結晶処理を施すために行なわれるものである。本工程の発明に相当する範囲の熱処理条件は、200〜600℃、1秒〜2時間で行うのが好ましい。

[3]第3冷間圧延工程 最終形状とするため、0.05mmの厚さの箔材(板状線箔材)に0.035mmの厚さまで圧延を施して箔材を形成する。最終厚さにするまでの減面率(圧下率)は5%以上である。減面率の上限は限定されないが、平角圧延銅箔を他の板材にラミネートするときの加熱によって、0.2%耐力が250MPa未満に軟化することが想定される純銅系の銅箔(導体)については、80%以下であることが望まれる。

[4]第3熱処理工程(第2焼鈍処理工程) 本工程は、箔材に歪取焼鈍を施すものであり、実施するかどうかは任意であるが、この焼鈍を実施する場合には、強度の低下を伴うので、0.2%耐力を250MPa以上に維持できる程度に行うものとする。本工程の熱処理条件は、150〜300℃、1秒〜2時間で行うのが好ましい。製品スペックに余裕があり、上記[3]の第3冷間圧延工程、すなわち仕上げ圧延終了後に製品性能を満たす場合には、本工程は省略してもよい。

[5]スリット工程 上記[3]又[4]の工程後に、箔材を圧延方向に沿って切断するスリット加工をさらに施せば、1枚の箔材から任意の幅の複数の平角圧延銅箔1を得ることができる。このとき、複数の平角圧延銅箔1の幅が0.300〜2.000mmに切り揃えられる。本スリット工程は任意であり、最終製品の用途に応じて、選択して施される。 本工程を経た平角圧延銅箔1の側面4は、せん断加工面となるが、本工程を経ずに製品化された場合、側面4はせん断加工面とはならない。

なお、上述した製造過程は、発明範囲を満たすためのプロセスの一例であり、本発明の製造方法はこれに限定されるものではない。

(本実施形態に係る平角圧延銅箔を用いたフレキシブルフラットケーブル(FFC)用導体の構成) 上記製造方法によって作製された平角圧延銅箔1は、TPC、OFC、もしくはそれらに微量元素を添加した銅合金からなり、圧延工程及び熱処理(再結晶処理)工程をそれぞれ1回又は複数回施すことにより得られる、板状或いは箔形状のFFC用導体である。この平角圧延銅箔では、0.2%耐力が250MPa以上であり、かつ、当該平角圧延銅箔の圧延方向に垂直な断面において、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内に配向する結晶粒の面積率が8%以上である。これにより、屈曲半径が6mm以下の屈曲運動が繰り返される場合であっても、屈曲寿命回数を50万回以上とすることができ、優れた耐屈曲性を実現することができる。また、上記導体をラミネートして得られるFFC或いはSRCを製造することにより、FFC内或いはSRC内に形成された導体の寿命が向上する。

FFC用導体の幅は、通常0.8mm〜2mmであるが、本発明の平角圧延銅箔によって耐屈曲性を向上できることから、FFC用導体幅を0.3mm〜1.1mm程度に狭幅化することも可能であり、FFC自体の狭幅化によるSRCの低背化を実現することができる。また、SRC全体の幅を従来と同じ値にする場合、同一幅のFFC用導体を複数条、巾方向に並べて従来よりもチャンネル数を増加させることが可能となる。このように、SRCの小型化を実現することにより、一層の効果を得ることができる。

(本実施形態に係る平角圧延銅箔を用いたFFCの構成) 上記平角圧延銅箔1の両面にラミネート樹脂を配置し、熱を加えて、いわゆるラミネート加工処理を行うことで、平角導体の外周を樹脂で被覆してなるFFCを得ることができる。とくに、ラミネート処理の際、ラーソン・ミラー・パラメータPが7000〜9000の範囲内となるような熱処理条件とすることで、FFC内部の平角圧延導体が、本発明の要件を満足した状態を維持したものとすることが可能である。図3は、4つの平角圧延銅箔を所定の間隔で配置した状態で両面を樹脂でラミネート被覆して得られたFFCの断面の一例を示したものである。

(本実施形態に係るFFCを用いた回転コネクタ(SRC)の構成) 本実施形態としては周知のSRC(例えば、特許第5654025号公報に記載のもの)の構造において本実施形態のFFCを適用した場合、SRCの小型化やSRC内部におけるFFCのUターン等によりFFCの適用部位に屈曲半径6mm以下の屈曲部位がある場合でも、FFCの破損が防止され、SRCとしての長寿命化を図ることが可能となる。図4は、本実施形態のFFCを、車両のエアバックシステムの回転コネクタ(SRC)に適用したときの取付状態を示したものである。

以上、上記実施形態に係る平角圧延銅箔1およびその製造方法、ならびにフレキシブルフラットケーブル(FFC)および回転コネクタ(SRC)について述べたが、本発明は記述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。

以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

(実施例1〜24) 先ず、150mm厚に鋳造したTPC鋳塊を、熱間圧延にて15mmとし、その後、冷間圧延を施して1mmとし、更に再結晶を伴う軟化熱処理を施した。次いで、第2冷間圧延工程にて、表1に示す減面率で冷間圧延を施し、その後、第2熱処理工程にて、表1に示す加熱温度および保持時間で熱処理を施した。次いで、第3冷間圧延工程にて、表1に示す減面率で冷間圧延を施し、その後、実施例2および4〜20については、さらに第3熱処理工程にて、表1に示すラーソン・ミラー・パラメータPの条件で調質熱処理を施し、銅箔材を得た。この銅箔材は、FFC導体として使用が見込まれる主な幅0.5mm、0.8mm、1.1m、1.4mmを有する導体(銅箔)にするため、さらにスリット工程を行い、圧延方向に沿って切断し、所定幅の平角圧延銅箔を製造した。

(比較例1〜7) 上記実施例の製造方法に対して、工程順もしくはその処理条件を、表1に示す内容に変更して銅箔を製造した。

次に、上記各実施例および各比較例で試作したサンプルについて、下記の試験・評価を行った。

(耐屈曲性試験) 図2に示すように、FPC屈曲試験機(上島製作所社製、装置名「FT−2130」)を用い、試料固定板11および可動板12に平角圧延銅箔1を固定し、モータ部13により可動板12を移動させて、屈曲試験を行った。

本耐屈曲試験は平角圧延銅箔単体で行った。試験条件は、屈曲半径Rが5.5mmと7.5mmの異なる条件でそれぞれ実施(図中の「R」)、ストロークS:±13mm(図中の「S」)、環境温度:85℃、回転速度:180rpm、銅箔寿命の閾値を、初期抵抗値から3Ω上昇したときの数値(初期抵抗値+3Ω)とし、抵抗値が上記閾値に至るまで屈曲試験を繰り返し、そのときの屈曲回数を測定した。なお、屈曲回数は、上記可動板のストロークSの往復で1回とカウントした。評価基準は、FFC導体寿命が製品仕様として十分であると判断される50万回以上を合格とし、表1では「○」として示し、FFC導体寿命が製品仕様を満たさない可能性のある50万回未満を不合格とし、表1では「×」として示した。

(圧延方向に垂直な断面において、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内に配向する結晶粒の面積率の測定) 結晶方位(Cube方位)の面積率については、本明細書の「発明を実施するための形態」のところに記載した方法と同様な方法にて、測定・解析を行った。

(0.2%耐力の測定) 0.2%耐力を測定するにあたって、加熱条件は、接着剤付の樹脂をラミネートする場合の処理条件を、ラーソン・ミラー・パラメータを用いて低温側に換算した105℃、48hとした。各実施例、比較例における銅箔の0.2%耐力は、サンプル3本の測定を行い、その平均値を示した。この0.2%耐力は、SRCに組み込まれるときに導体が有しているものであり、想定される熱エネルギーを考慮して試験を行った。強度試験条件については、JIS Z 2241:2011に準拠し、長手方向にて引張試験を行っているが、形状に関してはJISには従わず、各導体を標点距離100mmが十分取れる長さ160mmとし、幅方向に関しては元の形状のまま試験を行った。0.2%耐力が250MPa以上を満足する場合を合格とし、0.2%耐力が250MPa未満を不合格とした。

上記の方法で測定、評価した結果を表1に示す。表1には実施例として、幅0.5mmである銅箔の結果を示す。なお、各実施例および各比較例において、幅0.8mm、1.1m、又は1.4mmを有する銅箔の結果は、表1に示す幅0.5mmの銅箔の結果と同様な傾向であったことから、その説明を省略する。

表1の結果から、実施例1〜24のいずれも、0.2%耐力が250MPa以上であり、圧延方向に垂直な断面において、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内の方位に配向する特定の結晶粒の面積率が8%以上であり、屈曲半径5.5mm及び7.5mmのいずれでも屈曲寿命回数が50万回以上であり耐屈曲性が良好であることが分かった。

一方、比較例1は、第2冷間圧延工程における減面率が低く、前記特定の結晶粒の面積率が本発明の範囲外となり、屈曲半径5.5mmでの屈曲寿命回数が50万回未満となり、耐屈曲性が不足した。また、比較例2は、第2熱処理工程、第3冷間圧延工程および第3熱処理工程を行なわなかったものであり、前記特定の結晶粒の面積率が本発明の範囲外となり、屈曲半径5.5mmでの屈曲寿命回数が50万回未満となり、耐屈曲性が不足した。

比較例3は、第2熱処理工程における加熱温度を低く、0.2%耐力が本発明の範囲外となり、屈曲半径5.5mmでの屈曲寿命回数が50万回未満となり、耐屈曲性が不足した。比較例4は、TPCとは異なる材料(OFC)を用いたものであるが、第2熱処理工程における加熱温度が高く、0.2%耐力が本発明の範囲外となり、屈曲半径5.5mmでの屈曲寿命回数が50万回未満となり、耐屈曲性が不足した。

比較例5は、第3冷間圧延工程を行わなかったものであるが、0.2%耐力が本発明の範囲外となり、屈曲半径5.5mmでの屈曲寿命回数が50万回未満となり、耐屈曲性が不足した。

比較例6は、特許文献1に記載の実施例に対応するものであり、第2冷間圧延工程における減面率が低く、前記特定の結晶粒の面積率が本発明の範囲外となり、屈曲半径5.5mmでの屈曲寿命回数が50万回未満となり、耐屈曲性が不足した。比較例7は、特許文献2に記載の実施例に対応するものであり、第2熱処理工程における加熱温度が高く、0.2%耐力が本発明の範囲外となり、屈曲半径5.5mmでの屈曲寿命回数が50万回未満となり、耐屈曲性が不足した。

したがって、銅塊を圧延して巾0.5mm〜1.4mmの狭巾銅箔を作製する際、平角圧延銅箔の圧延方向に垂直な断面において、Cube方位からのずれ角度が12.5°以内の方位に配向する結晶粒の面積率を8%以上とすることで、抵抗値が3Ω上昇するまでの屈曲寿命回数が50万回以上となり、耐屈曲性に優れ、高寿命化を実現できることが分かった。また、このことは、タフピッチ銅(TPC)に限らず、無酸素銅(OFC)や、Mg、Zn、Sn、Ag、P、Cr、Si、Zr、Ti、Feの中から選ばれる1種または2種以上の元素を合計で1.3質量%以下含有する銅合金についても同様に確認できた。

以上のとおり、本発明がすぐれた効果を奏することが確認された。

本発明の平角圧延銅箔は、耐屈曲性に優れることから、フレキシブルフラットケーブル(FFC)として好適に用いられる。特に、自動車におけるエアバックシステムの構成部品である回転コネクタ(SRC)や、ルーフハーネス、ドアハーネス、フロアハーネス等の自動車用部品に好適に用いられる。

1 平角圧延銅箔 2 圧延面 3 圧延方向に垂直な断面またはRD面 4 側面 10 フレキシブルフラットケーブル(FFC) 11 試料固定板 12 可動板 13 モータ部 40 回転コネクタ(SRC)

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