分岐コネクタ

申请号 JP2017541747 申请日 2017-05-25 公开(公告)号 JPWO2017204313A1 公开(公告)日 2018-06-07
申请人 京セラ株式会社; 发明人 畑 徹弥; 大原 茂樹;
摘要 充填剤を装填する個体ごとに防 水 性を維持できる分岐コネクタを提供する。接続部(46、47)で接続された嵌合可能な一対の分割ハウジング(16、30)と、一対の分割ハウジング(16、30)内に装填される充填剤(70)と、を備え、充填剤(70)の表面形状は、一対の分割ハウジング(16、30)の内面形状に対応するように、一対の分割ハウジング(16、30)内において形成される。
权利要求

接続部で接続された嵌合可能な一対の分割ハウジングと、 前記一対の分割ハウジング内に装填される充填剤と、 を備え、 前記充填剤の表面形状は、前記一対の分割ハウジングの内面形状に対応するように、前記一対の分割ハウジング内において形成される、 分岐コネクタ。前記充填剤は、流動状態から弾性状態に物性を変化させる材料によって構成され、前記流動状態において、前記一対の分割ハウジングの前記内面形状に対応するように前記表面形状が形成された後、前記弾性状態に物性が変化する、 請求項1に記載の分岐コネクタ。前記一対の分割ハウジングの少なくとも一方は、内面から外面へと貫通する穴部を備え、 前記充填剤の前記表面形状は、前記一対の分割ハウジングを、前記穴部に対応する突部を形成した治具に載置して、前記穴部を塞いだ状態で形成される、 請求項2に記載の分岐コネクタ。前記充填剤は、紫外線の照射により前記流動状態から前記弾性状態に前記物性を変化させる材料によって構成される、 請求項2又は3に記載の分岐コネクタ。前記一対の分割ハウジングのいずれか一方は、電気導通部を有するコンタクトを備え、 前記一対の分割ハウジングのいずれか一方は、ケーブルを保持し、 前記コンタクトは、前記一対の分割ハウジングの嵌合状態において、前記ケーブルと導通した状態で内包される、 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分岐コネクタ。少なくとも1本の前記ケーブルが、嵌合時に前記充填剤の内側に配置される前記コンタクトから外側に延出する、 請求項5に記載の分岐コネクタ。前記電気導通部は、圧接用溝であり、 前記一対の分割ハウジングのいずれか一方は、少なくとも2本の前記ケーブルを保持し、 前記コンタクトは、前記一対の分割ハウジングの嵌合時に、前記圧接用溝によって前記ケーブルの芯線を挟持して、前記ケーブル同士を導通させる、 請求項5又は6に記載の分岐コネクタ。

说明书全文

関連出願の相互参照

本出願は、2016年5月25日に日本国に特許出願された特願2016−104341号の優先権を主張するものであり、これら先の出願の開示全体をここに参照のために取り込む。

本発明は、電子機器又は電気機器に接続された既存のケーブル(電線)に対して、当該電線とは別のケーブル(電線)を接続するための分岐コネクタに関する。

この種の分岐コネクタは、絶縁性(合成樹脂製)のハウジングと、ハウジングに支持した導電性(金属製)の中継コンタクトと、を具備している。ハウジングは、第一分割ハウジングと、第二分割ハウジングと、第一分割ハウジングと第二分割ハウジングとを互いに接離可能として接続する接続部と、第一分割ハウジングと第二分割ハウジングとが接触したときにこの接触状態を保持するロック部と、を一体的に有する。

大別して、2つのタイプの中継コンタクトが知られている。1つは、既存のケーブル(電線)を圧接する圧接用溝と、当該ケーブル(電線)とは別のケーブル(電線)を圧着する圧着端子とを有するタイプである(特許文献1)。別のタイプは、既存のケーブル(電線)と、別のケーブル(電線)とをそれぞれ圧接する一対の圧接用溝を並列に有するタイプである(特許文献2)。

いずれのタイプでも、第一分割ハウジング及び第二分割ハウジングのいずれか一方に中継コンタクトが保持される。その圧接用溝にケーブルを接続する際には、該中継コンタクトの圧接用溝の上(入口部)に圧接されるケーブルを載置した状態で保持し、その状態で他方の分割ハウジングを中継コンタクト(を有する分割ハウジング)上に重ねて嵌め合わせる。これにより、中継コンタクトの圧接用溝によってケーブルの被覆を切断し、芯線と中継コンタクトとを導通させている。

一方で、上記のような分岐コネクタにおいて、防機能の付加に対する要求が高まっている。これに対して、第一分割ハウジング及び第二分割ハウジングを接触させた際に、防水用ゲル又はUV硬化樹脂等の充填剤が各分割ハウジング内に装填されるように構成することが考えられる。このとき、充填剤を別部材として成形した後に、分割ハウジング内に装填する方法が考えられる。

特許第3028988号公報

実用新案登録第2605275号公報

しかしながら、上記のような方法では、主に2つの問題点があった。

一点目は、組立て性の問題である。すなわち、分割ハウジングの内面形状及び充填剤の形状は、製造工程における精度の限界によって、実際には個体ごとにばらつく。これにより、充填剤の装填時に、充填剤と分割ハウジングの内面とを空隙なく密着させた状態で組立てることが困難であった。また、別部材として組立てることで、組立工数が増え、組立時間がより長くなる。さらに、製造者ごとの組立精度のばらつきも大きい。

二点目は、防水性の問題である。すなわち、別部材として充填剤を成形してから分割ハウジングに装填するまでの間に、充填剤に埃等の異物が付着するおそれがある。また、上述のとおり、充填剤と分割ハウジングの内面とを空隙なく密着させた状態で組立てることは困難である。結果として、分岐コネクタの防水性が低減することとなる。

かかる観点に鑑みてなされた本発明の目的は、充填剤を装填する個体ごとに防水性を維持できる分岐コネクタを提供することにある。

上記課題を解決する第1の観点に係る分岐コネクタは、 接続部で接続された嵌合可能な一対の分割ハウジングと、 前記一対の分割ハウジング内に装填される充填剤と、 を備え、 前記充填剤の表面形状は、前記一対の分割ハウジングの内面形状に対応するように、前記一対の分割ハウジング内において形成される。

第2の観点に係る分岐コネクタでは、 前記充填剤は、流動状態から弾性状態に物性を変化させる材料によって構成され、前記流動状態において、前記一対の分割ハウジングの前記内面形状に対応するように前記表面形状が形成された後、前記弾性状態に物性が変化する。

第3の観点に係る分岐コネクタでは、 前記一対の分割ハウジングの少なくとも一方は、内面から外面へと貫通する穴部を備え、 前記充填剤の前記表面形状は、前記一対の分割ハウジングを、前記穴部に対応する突部を形成した治具に載置して、前記穴部を塞いだ状態で形成される。

第4の観点に係る分岐コネクタでは、 前記充填剤は、紫外線の照射により前記流動状態から前記弾性状態に前記物性を変化させる材料によって構成される。

第5の観点に係る分岐コネクタでは、 前記一対の分割ハウジングのいずれか一方は、電気導通部を有するコンタクトを備え、 前記一対の分割ハウジングのいずれか一方は、ケーブルを保持し、 前記コンタクトは、前記一対の分割ハウジングの嵌合状態において、前記ケーブルと導通した状態で内包される。

第6の観点に係る分岐コネクタでは、 少なくとも1本の前記ケーブルが、嵌合時に前記充填剤の内側に配置される前記コンタクトから外側に延出する。

第7の観点に係る分岐コネクタでは、 前記電気導通部は、圧接用溝であり、 前記一対の分割ハウジングのいずれか一方は、少なくとも2本の前記ケーブルを保持し、 前記コンタクトは、前記一対の分割ハウジングの嵌合時に、前記圧接用溝によって前記ケーブルの芯線を挟持して、前記ケーブル同士を導通させる。

本発明によれば、充填剤を装填する個体ごとに防水性を維持できる分岐コネクタを提供可能である。

一実施形態の絶縁ハウジングが展開状態にある分岐コネクタ及びケーブルの斜視図である。

図1のI−I矢線に沿う断面図である。

中継コンタクトを具備しない状態の第一分割ハウジングのみを拡大した斜視図である。

第二分割ハウジングのみを拡大した斜視図である。

中継コンタクトを具備しない状態の絶縁ハウジング全体を示す斜視図である。

中継コンタクト単体の斜視図である。

展開状態における絶縁ハウジングに充填剤を装填した分岐コネクタを示す斜視図である。

充填剤を装填する前の絶縁ハウジングを載置するための治具を示す斜視図である。

絶縁ハウジングが展開状態からロック状態に遷移する段階の分岐コネクタ、第一ケーブル、及び第二ケーブルの斜視図である。

絶縁ハウジングがロック状態にあるときの分岐コネクタ、第一ケーブル、及び第二ケーブルの斜視図である。

図10のII−II矢線に沿う断面図である。

他の実施例に係る第一ロック部と第二ロック部との係合部を拡大した、図11に対応する拡大断面図である。

以下、添付図面を参照しながら一実施形態について説明する。初めに、充填剤を装填していない状態の分岐コネクタの構造について主に説明する。以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準としている。

図1は、一実施形態の絶縁ハウジング15が展開状態にある分岐コネクタ10、第一ケーブル60、及び第二ケーブル65の斜視図である。図2は、図1のI−I矢線に沿う断面図である。本実施形態の分岐コネクタ10は、大きな構成要素として絶縁ハウジング15と中継コンタクト50とを具備している。

絶縁ハウジング15は、例えば絶縁性の合成樹脂材料により構成した成形品である。絶縁ハウジング15は、第一分割ハウジング16、第二分割ハウジング30、並びに第一分割ハウジング16と第二分割ハウジング30とを接続する連結部としての第一接続部46及び第二接続部47を一体的に成形して有する。

図3は、中継コンタクト50を具備しない状態の第一分割ハウジング16のみを拡大した斜視図である。図3を参照して、第一分割ハウジング16の構造を詳細に説明する。

第一分割ハウジング16の厚み方向の一方の面(図3の上面)の外周縁部は、外周壁17により形成される。第一分割ハウジング16の外周壁17より内周側は、第一分割ハウジング16の上面より(図3の下方へ)一段凹んだ内周側凹部17aにより構成される。内周側凹部17aの底面は、第一分割ハウジング16の上面と平行な平面からなる内周側第一対向面17bにより構成される。この内周側第一対向面17bより内周側に位置する中央部分は、内周側第一対向面17bより(図3の下方へ)一段凹んだ中央第一凹部17cにより構成される。中央第一凹部17cの底面は、内周側第一対向面17bと平行な平面からなる中央第一対向面17dにより構成される。中央第一凹部17cと中央第一対向面17dとにより、コンタクト取付溝18が形成される。コンタクト取付溝18は、固定部18aと、固定部18aの左右方向中間に位置し、固定部18aの前後幅を狭めて固定部18aを左右一対に区切る中間凸部18bと、を有している。一対の固定部18aの底面(中央第一対向面17d)には略円柱形状の位置決め突起18cが突設される。

第一分割ハウジング16の外周壁17には、一方の固定部18aの前後両側に位置しかつ互いに同一直線上に位置する一対の第一ケーブル取付溝19と、他方の固定部18aの前後両側に位置しかつ互いに同一直線上に位置する(第一ケーブル取付溝19と平行をなす)一対の第二ケーブル取付溝20と、が凹設される。第一ケーブル取付溝19及び第二ケーブル取付溝20の正面形状は半円形である。第一分割ハウジング16の外周壁17の前後面には、一対の第一ケーブル取付溝19の最深底面から下方に向かって外側に傾斜する一対の傾斜面19aが設けられる。同様に、第一分割ハウジング16の外周壁17の前後面には、一対の第二ケーブル取付溝20の最深底面から下方に向かって外側に傾斜する一対の傾斜面20aが設けられる。第一分割ハウジング16の外周壁17の前後面には、前後の傾斜面19a、20aより下方位置から前後方向に延びた平板状の蓋部21、22が設けられる。蓋部21、22の対向面21a、22a(図3の上方の面)は、傾斜面19a、20aの最下部と同一の高さに位置する。

第一分割ハウジング16の外周壁17の左右両側面には、弾性を有する一対の第一ロック部25が形成される。各第一ロック部25と外周壁17の前後面との間には、一対の凹部25aが形成される。各第一ロック部25は、第一分割ハウジング16の側面から外側に突出する第一ロック用突起26を有する。第一ロック用突起26は、前後方向に延在している。各第一ロック用突起26は、下方に向かうに従って第一分割ハウジング16の外側に傾斜する傾斜面26aを有する。

図4は、第二分割ハウジング30のみを拡大した斜視図である。図4を参照して、第二分割ハウジング30の構造を詳細に説明する。

第二分割ハウジング30の厚み方向の一方の面(図4の上面)の外周縁部には、外周壁31が突設される。第二分割ハウジング30の外周壁31より内周側に位置する部分は、外周壁31より一段凹んだ内周側凹部31aにより構成される。内周側凹部31aの底面は、第二分割ハウジング30の上面と平行な平面からなる内周側第二対向面31bにより構成される。内周側第二対向面31bには、左右一対の断面U字形の第一押圧溝32a及び第二押圧溝32bを有するケーブル押圧突起32が突設される。ケーブル押圧突起32は、中央突起32cと、中央突起32cの左右方向両側に形成される突起32d、32eと、を有する。中央突起32cと一方の突起32dとの間に、第一押圧溝32aが形成される。中央突起32cと他方の突起32eとの間に、第二押圧溝32bが形成される。

第二分割ハウジング30には、前後面から突出するケーブル支持腕部35、36が形成される。ケーブル支持腕部35、36の上面には、第一ケーブル保持溝35a、36aと第二ケーブル保持溝35b、36bとが設けられる。前方側のケーブル支持腕部35及び後方側のケーブル支持腕部36は、第一ケーブル保持溝35a及び36aの前端側部分及び後端側部分が、左右に空隙により分離分割した一対の突出片37a及び一対の突出片38aによって形成される。前方側のケーブル支持腕部35及び後方側のケーブル支持腕部36は、第二ケーブル保持溝35b及び36bの前端側部分及び後端側部分が、左右に空隙により分離分割した一対の突出片37b及び一対の突出片38bによって形成される。各一対の突出片37a、38a、37b、38b、特にケーブル支持腕部35、36の左右外側の突出片は、左右方向に弾性的に撓む。したがって、隣接する突出片同士の間隔は、可変である。各一対の突出片37a、38a、37b、38bは、前後端部の下端部から突設され、互いに対向する爪部を有する。

第一ケーブル保持溝35a、36aと第二ケーブル保持溝35b、36bとは、第一ケーブル60と第二ケーブル65とを全径に渡って挿入保持する(全径が収まる)深さの溝である。第一ケーブル保持溝35a、36aは、外側に向かうに従って上方に傾斜する傾斜面35e、36eを有する。すなわち、第一ケーブル60が、第一ケーブル保持溝35a、36aに挿入保持されると、第一ケーブル60は、図1に示すように、第一ケーブル保持溝35a、36aの傾斜面35e、36eに沿って、対応するケーブル部分において上下斜め方向に傾斜する。同様に、第二ケーブル保持溝35b、36bは、傾斜面35f、36fを有する。第二ケーブル65は、第一ケーブル60と同様の態様で、第二ケーブル保持溝35b、36bに挿入保持される。

第一ケーブル保持溝35a、36aの前後端部の上方開口部寄り(突出片37a、38aの各対向面)には、一対の脱落防止突起35cと一対の脱落防止突起36cとが設けられる。同様に、第二ケーブル保持溝35b、36bの前後端部の上方開口部寄り(突出片37b、38bの各対向面)には、一対の脱落防止突起35dと一対の脱落防止突起36dとが設けられる。脱落防止突起35c、36c及び35d、36dは、第一ケーブル60及び第二ケーブル65が第一ケーブル保持溝35a、36a及び第二ケーブル保持溝35b、36bに挿入されるのを許容する。このとき、各一対の突出片37a、38a及び各一対の突出片37b、38bは、左右方向の間隔(各一対の脱落防止突起35c、36c及び各一対の脱落防止突起35d、36dの間隔)が広がるように撓む。

第一ケーブル60及び第二ケーブル65が第一ケーブル保持溝35a、36a及び第二ケーブル保持溝35b、36bに挿入されると、一対の脱落防止突起35c、36c及び一対の脱落防止突起35d、36dが第一ケーブル60及び第二ケーブル65を挟圧する。このとき、各一対の突出片37a、38a及び各一対の突出片37b、38bは、弾性的に左右方向の間隔が狭まる方向に撓む。したがって、第一ケーブル保持溝35a、36a及び第二ケーブル保持溝35b、36bに挿入された第一ケーブル60及び第二ケーブル65に対して抵抗が与えられつつ、ケーブル延長方向への移動が許容される。加えて、各一対の突出片37a、38a及び各一対の突出片37b、38bは、第一ケーブル保持溝35a、36a及び第二ケーブル保持溝35b、36bから離脱しようとするに抵抗を与えて容易に抜けないように抜け止めとして作用する。一方で、各一対の突出片37a、38a及び各一対の突出片37b、38bは、一定以上の外力による第一ケーブル60及び第二ケーブル65の離脱を可能とする。上記の抜止作用は、第二分割ハウジング30の上下(表裏)を反転させても維持される。

第二分割ハウジング30の外周壁31の左右両側面には、一対の第二ロック部39が形成される。一対の第二ロック部39は、第二分割ハウジング30の内面に形成される。各第二ロック部39は、第二分割ハウジング30の側面から内側に突出する第二ロック用突起40を有する。各第二ロック部39の前後両端には、上下方向に延在する一対の凸壁41が形成される。各第二ロック用突起40は、略直方体形状であり、一対の凸壁41間にわたるように、第二分割ハウジング30の内面の上方に形成される。すなわち、第二ロック用突起40は、前後方向に延在する。

内周側第二対向面31bの左右両縁部には、左右両側面の第二ロック部39に隣接するように一対の穴部43が形成される。各穴部43は、内周側第二対向面31bの表面から第二分割ハウジング30の外面まで貫通している。

図5は、中継コンタクト50を具備しない状態の絶縁ハウジング15全体を示す斜視図である。

第一分割ハウジング16と第二分割ハウジング30とは、第一分割ハウジング16側から直線的に延びる前後一対の第一接続部46と、第二分割ハウジング30側から直線的に延びる前後一対の第二接続部47と、第一接続部46と第二接続部47とを接続する屈曲容易部48とによって連結される。前後一対の第一接続部46及び前後一対の第二接続部47は、展開状態で互いに同一平面上に位置する。

図2及び図5に示すように屈曲容易部48は、前後の第一接続部46及び第二接続部47より薄肉としてある。前後の第一接続部46及び第二接続部47は、前後方向に延びる屈曲容易部48を折曲げ線として、図1、図5等において谷折り(第一分割ハウジング16と第二分割ハウジング30とが接近する方向に折曲げ)可能(容易)である。第一接続部46の曲げ剛性は、第二接続部47の曲げ剛性よりも小さくなるように設定される。

第一分割ハウジング16、第一接続部46、屈曲容易部48、第二接続部47、及び第二分割ハウジング30は、図1及び図5に示す展開状態において、自律的にこの展開状態を維持する程度の強度(剛性)を有する。

図6は、中継コンタクト50単体の斜視図である。図6を参照して、中継コンタクト50の構造を詳細に説明する。

中継コンタクト50は、ばね弾性を有する銅合金(例えばリン青銅、ベリリウム銅、若しくはチタン銅)又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図示形状に成形加工したものである。中継コンタクト50では、表面にニッケルメッキで下地が形成された後に、錫銅めっき、錫めっき、又は金めっきが施される。

中継コンタクト50は、左右方向に延びる平板状の基片51と、基片51の前後両側縁部の一方の端部に突設した、基片51に対して直交する方向に延びる平板状の一対の第一ケーブル圧接片52と、基片51の前後両側縁部の他方の端部に突設した、基片51に対して直交する方向に延びる平板状の一対の第二ケーブル圧接片54と、を一体的に有する。基片51の左右二か所には円形の位置決め孔51aが形成される。前後の第一ケーブル圧接片52と第二ケーブル圧接片54とには、基片51側に向かって直線的に延びるスリットからなる第一圧接用溝53と第二圧接用溝55とがそれぞれ形成される。第一圧接用溝53の上端開口部は、先端部52aにより上方に向かって広がる略V字状に形成される。第二圧接用溝55の上端開口部は、先端部54aにより上方に向かって広がる略V字状に形成される。

前後一対の第一ケーブル圧接片52及び前後一対の第二ケーブル圧接片54は、それぞれ幅狭部52b及び幅狭部54bを介して基片51と接続される。左右方向に位置する第一ケーブル圧接片52と第二ケーブル圧接片54との対向縁部の間隔は、幅狭部52bと幅狭部54bとの対向縁部の間隔より狭い。幅狭部52bと幅狭部54bとの間には、遊び部51bが設けられる。第一ケーブル圧接片52と第二ケーブル圧接片54との間には、インシュレータ等の他の部材が介在しない。

中継コンタクト50は、第一分割ハウジング16と第二分割ハウジング30との嵌合状態において、第一ケーブル60及び第二ケーブル65と導通した状態で内包される。より具体的には、中継コンタクト50は、第一分割ハウジング16と第二分割ハウジング30との嵌合時に、第一圧接用溝53及び第二圧接用溝55によって絶縁性の被覆62及び被覆67を切断して、第一ケーブル60及び第二ケーブル65同士を導通接続するものである。すなわち、中継コンタクト50は、嵌合時に、第一圧接用溝53及び第二圧接用溝55によって芯線61及び芯線66を挟持して、第一ケーブル60及び第二ケーブル65同士を導通させる。

第一ケーブル60及び第二ケーブル65は、導電性及び可撓性を有する材料(例えば銅又はアルミニウム)からなる芯線61、66(撚り線又は単線)の表面を、チューブ状であり、かつ可撓性及び絶縁性を有する被覆62、67でそれぞれ覆ったものである。第一ケーブル60は、配線対象物(例えば自動車等)の内部に最初から配線しかつ配線対象物の電源と接続するケーブルである。一方、第二ケーブル65は、第一ケーブル60に対して後から追加で接続するケーブルである。第二ケーブル65の一端(前端)には電子機器又は電気機器(例えばカーナビゲーションシステム)等が接続される。

以下では、充填剤70を装填した状態の分岐コネクタ10について主に説明する。充填剤70は、防水用ゲル、UV硬化樹脂、又は接着剤等、任意の材料であってよい。以下では、充填剤70は、一例として、防水機能を有するUV硬化樹脂であるものとして説明する。

図7は、展開状態における絶縁ハウジング15に充填剤70を装填した分岐コネクタ10を示す斜視図である。図8は、充填剤70を装填する前の絶縁ハウジング15を載置するための治具80を示す斜視図である。

本実施形態では、図7に示すように、第一分割ハウジング16の内周側第一対向面17b及び第二分割ハウジング30の内周側第二対向面31bに、充填剤70を介在させる。充填剤70の表面形状は、第一ケーブル60及び第二ケーブル65を載置しない状態で、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30内において、それぞれの内面形状に対応するように形成される。

より詳細には、UV硬化樹脂(充填剤70)は、紫外線の照射により流動状態から弾性状態に物性を変化させる材料である。流動状態におけるUV硬化樹脂は、ディスペンサー等の工具により第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の内面に塗布される。UV硬化樹脂は、この段階では流動性を有しているので、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の内面形状に対応するように、それぞれの内部で拡散する。このように、UV硬化樹脂の表面形状は、流動状態において、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の内面形状に対応するように形成される。その後、紫外線の照射によって、UV硬化樹脂は、弾性状態にその物性を変化させる。

本実施形態に係る分岐コネクタ10のように、例えば、UV硬化樹脂の塗布領域に穴部43のような外面まで貫通する構造が存在する場合、流動状態にあるUV硬化樹脂は、第二分割ハウジング30の外部に漏れる。そこで、外部への樹脂漏れを防ぐために、治具80を用いる。

治具80は、第一分割ハウジング16を載置するための第一基台81と、第二分割ハウジング30を載置するための第二基台82とを有する。治具80は、第一基台81と第二基台82とが左右方向に連続するように一体成形されている。第一基台81の上下方向の幅は、第二基台82の上下方向の幅よりも大きい。治具80は、第一基台81の上部が、第二基台82の上面から上方に突出するように形成される。第二基台82の上面には、第二分割ハウジング30を載置した時に一対の穴部43と嵌合する一対の突部83が形成される。第一基台81の上面と第二基台82の上面との間の上下方向の幅は、第一分割ハウジング16の底面と第二分割ハウジング30の底面との間の上下方向の幅に一致する。すなわち、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30を治具80に載置した時、第二分割ハウジング30の一対の穴部43が一対の突部83と嵌合し、第一分割ハウジング16の底面及び第二分割ハウジング30の底面が、第一基台81及び第二基台82の上面とそれぞれ当接する。

本実施形態に係る分岐コネクタ10の場合、UV硬化樹脂を装填する前の絶縁ハウジング15を治具80に載置して、第二分割ハウジング30の一対の穴部43を塞いだ状態で、UV硬化樹脂は塗布される。このように、UV硬化樹脂の表面形状は、流動状態において、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の内面形状に加えて、治具80の突部83の上面形状にも対応するように形成される。

第一分割ハウジング16の内周側第一対向面17bに介在させた充填剤70は、下面の平面形状が内周側第一対向面17bと略同一であって、中継コンタクト50の周囲を囲む筒形状に形成される。充填剤70の高さは、第一分割ハウジング16と第二分割ハウジング30とを閉じたときに、それぞれの充填剤70同士が密着する高さである。

第二分割ハウジング30の内周側第二対向面31bに介在させた充填剤70は、下面の平面形状が内周側第二対向面31bと略同一であり、ケーブル押圧突起32の周囲を囲む角筒形状に形成される。充填剤70の高さは、第一分割ハウジング16と第二分割ハウジング30とを閉じたときに、それぞれの充填剤70同士が密着する高さである。

図9は、絶縁ハウジング15が展開状態からロック状態に遷移する段階の分岐コネクタ10、第一ケーブル60、及び第二ケーブル65の斜視図である。図10は、絶縁ハウジング15がロック状態にあるときの分岐コネクタ10、第一ケーブル60、及び第二ケーブル65の斜視図である。図11は、図10のII−II矢線に沿う断面図である。

絶縁ハウジング15、中継コンタクト50、第一ケーブル60、第二ケーブル65、及び充填剤70を一体化して、第一ケーブル60と第二ケーブル65とを電気的に接続しながら分岐コネクタ10を組み立てる。そのためには、まず組み立て作業者が手等により図7に示す展開状態にある第一分割ハウジング16のコンタクト取付溝18に対して中継コンタクト50の下部を嵌合させる。具体的には、遊び部51bを中間凸部18bに嵌合させながら、基片51をコンタクト取付溝18の底部に嵌合させる。第一ケーブル圧接片52の基片51側の半部(図1、図2では下半部)を対応する固定部18aに嵌合させる。同様に、第二ケーブル圧接片54の基片51側の半部を対応する固定部18aに嵌合させる。基片51の一対の位置決め孔51aに対して第一分割ハウジング16の一対の位置決め突起18cが嵌合するので(図2、図11)、中継コンタクト50が第一分割ハウジング16に対して位置決めされる。中継コンタクト50を第一分割ハウジング16に取り付けると、前後の第一ケーブル取付溝19を通る軸線上に前後の第一圧接用溝53が位置する。同様に、前後の第二ケーブル取付溝20を通る軸線上に前後の第二圧接用溝55が位置する。

組み立て作業者が手等により、前後の脱落防止突起35c、36c及び35d、36dによる抵抗に抗して押込む(図1参照)。その際、各突出片37a、38a、37b、38bは弾性力に抗して撓み、対向する脱落防止突起35c、36c及び35d、36dの間隔を広げる。第一ケーブル60及び第二ケーブル65が第一ケーブル保持溝35a、36a及び第二ケーブル保持溝35b、36bに押し込まれると、対向する脱落防止突起35c、36c及び35d、36dの間隔が狭まる。これにより、第一ケーブル60及び第二ケーブル65は、第一ケーブル保持溝35a、36aの底部及び第二ケーブル保持溝35b、36bの底部と脱落防止突起35c、36c及び35d、36dとの間に挟持される。これにより第一ケーブル60及び第二ケーブル65は、抵抗を受けながらケーブル延長方向に移動可能である。したがって、図1及び図2に示した展開状態の分岐コネクタ10に対する第一ケーブル60及び第二ケーブル65の延長方向の位置調整が可能である。第一ケーブル60及び第二ケーブル65は、第一ケーブル保持溝35a、36a及び第二ケーブル保持溝35b、36bから離脱しようとすると離脱を阻止する抵抗を受ける。したがって、分岐コネクタ10を上下逆さまにしても、第一ケーブル60及び第二ケーブル65は、第一ケーブル保持溝35a、36a及び第二ケーブル保持溝35b、36bから容易に抜け落ちない。第一ケーブル60及び第二ケーブル65は、一定以上の付勢力により第一ケーブル保持溝35a、36a及び第二ケーブル保持溝35b、36bから離脱させることが可能である。したがって、分岐コネクタ10の交換、並びに分岐コネクタ10に着脱する第一ケーブル60及び第二ケーブル65の変更が容易である。

第一ケーブル60及び第二ケーブル65を左右方向に並べ、第一ケーブル保持溝35a、36a及び第二ケーブル保持溝35b、36bに嵌合保持した状態のまま、前後の屈曲容易部48を中心に第二分割ハウジング30(前後の第二接続部47)を第一分割ハウジング16(前後の第一接続部46)に対して接近するように回転させる。すると、第一分割ハウジング16側の第二ロック用突起40が、対応する第一ロック用突起26の傾斜面26aに当接する。さらに回転させると、当該第二ロック用突起40が対応する傾斜面26aを下方に摺動しつつ、対応する第一ロック用突起26が、第一分割ハウジング16の内側方向に弾性変形する。一方で、第二接続部47側に位置するケーブル押圧突起32の第二押圧溝32bが、第二ケーブル65の中間部を、第二圧接用溝55の奥側(下方)に僅かに押し込むことで、第二ケーブル65の中間部が、前後の第二ケーブル圧接片54の間の空間に入り込む。

手等により第二分割ハウジング30を前後の屈曲容易部48を中心に第一分割ハウジング16に対して接近する方向にさらに回転させると、第二接続部47と反対側に位置するケーブル押圧突起32の第一押圧溝32aが、第一ケーブル60の中間部を第一ケーブル圧接片52の先端部52aに対して第一圧接用溝53の延出方向又はこれに近い方向に押し当てる。したがって、第一ケーブル60が先端部52aとケーブル押圧突起32とによって挟持される。

第一ケーブル60と第二ケーブル65とを中継コンタクト50の先端部52a、54aに載置した後に、図示を省略した一般的な工具(例えば、プライヤー)によって第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30を、互いに接近する方向に略平行に押圧する。このとき、各第二ロック用突起40が、対応する第一ロック用突起26に対して係合する。第二ロック部39の各凸壁41が、対応する凹部25aと嵌合する。これにより、第一分割ハウジング16が第二分割ハウジング30内に収容され、第一ロック部25と第二ロック部39とは、嵌合した第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の内側で係合する。

ケーブル押圧突起32は、第一ケーブル60及び第二ケーブル65の中間部を第一圧接用溝53及び第二圧接用溝55の奥側(底面側)にさらに押し込む。したがって、第一ケーブル60が先端部52aから第一圧接用溝53の略中央部まで押し込まれかつ第二ケーブル65が先端部54aから第二圧接用溝55の略中央部まで押し込まれる。このとき、ケーブル押圧突起32の第一押圧溝32a及び第二押圧溝32bによる第一ケーブル60及び第二ケーブル65の押圧方向は、上下方向(第一圧接用溝53及び第二圧接用溝55の延長方向)と略平行となる。これにより、第一圧接用溝53の内面(左右両面)によって第一ケーブル60の被覆62の左右両側部が破られかつ第二圧接用溝55の内面(左右両面)によって第二ケーブル65の被覆67の左右両側部が破られる。したがって、絶縁ハウジング15が閉状態に保持されたときに、第一圧接用溝53の内面(一対の対向面)が芯線61の両側部に対して均等且つ確実に接触(圧接)し、かつ第二圧接用溝55の内面(一対の対向面)が芯線66の両側部に対して均等且つ確実に接触(圧接)する。すなわち、分岐コネクタ10の内部において第一ケーブル60の芯線61と第二ケーブル65の芯線66とが中継コンタクト50を介して互いに電気的に導通する。

芯線61、66の両側部の一方に対して第一圧接用溝53及び第二圧接用溝55の内面が過度に強く当たることがないので、芯線61、66の一部が第一圧接用溝53及び第二圧接用溝55によって切断されることがない。そのため芯線61、66の機械的強度が低下しないので、第一ケーブル60及び第二ケーブル65に引張力が作用しても芯線61、66が完全に切断するおそれは小さい。したがって、第一ケーブル60及び第二ケーブル65と中継コンタクト50との接触信頼性を高めることが可能である。

第一分割ハウジング16と第二分割ハウジング30とが閉状態に(嵌合して)保持(ロック)された状態では、第一分割ハウジング16の蓋部21、22の対向面21a、22aが、第一ケーブル保持溝35a、36a及び第二ケーブル保持溝35b、36bの開口部(図4の上方の開口部)の一部を塞いでいる。第一ケーブル60は、第一分割ハウジング16の一対の傾斜面19a、及び対応する第二分割ハウジング30の傾斜面35e、36eによって上下方向から挟持される。同様に、第二ケーブル65は、第一分割ハウジング16の一対の傾斜面20a、及び対応する第二分割ハウジング30の傾斜面35f、36fによって上下方向から挟持される。このように構成すると、第一分割ハウジング16と第二分割ハウジング30とが閉状態(ロック状態)となったときに、第一ケーブル60及び第二ケーブル65の被覆62、67の表面に(中継コンタクト50との電気的導通を妨げることなく)密着する。したがって、仮に分岐コネクタ10の外側において加わった外力によって第一ケーブル60及び第二ケーブル65が振られて屈曲したとしても、第一ケーブル60及び第二ケーブル65の屈曲に起因する動き又は応力の中継コンタクト50との圧接部に対する伝達が抑止される。これにより、接触信頼性が維持される。

中継コンタクト50は、第一ケーブル圧接片52及び第二ケーブル圧接片54と基片51とを幅狭部52b、54bで接続する。第一ケーブル圧接片52と第二ケーブル圧接片54との隙間(間隔)は狭く、この隙間にインシュレータ等が配置されない。したがって、中継コンタクト50の大きさ、特に左右方向の幅が小さくなり、小型軽量化が可能である。

図7に示す展開状態から、分岐コネクタ10をロック状態に遷移させると、図11に示すとおり、嵌合した第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の内部全体が充填剤70により充填される。より詳細には、第一分割ハウジング16と第二分割ハウジング30とがロック状態となったときに、充填剤70は、内周側第一対向面17bと内周側第二対向面31bとに密着して中継コンタクト50の周囲を密閉する。充填剤70は、第一ケーブル60及び第二ケーブル65の被覆62、67の表面を(中継コンタクト50との電気的導通を妨げることなく)囲む。

第一ケーブル60及び第二ケーブル65は、ロック状態で充填剤70の内側に配置される中継コンタクト50から外側に延出する。すなわち、第一ケーブル60及び第二ケーブル65は、中継コンタクト50における圧接部分から前後方向に沿って外側に延出する。

充填剤70は、第一分割ハウジング16の一対の第一ロック部25の内面と当接する。図11に示すとおり、第一ロック用突起26及び第二ロック用突起40の係合面27は、その上下方向において、上下方向に沿った充填剤70の幅内に位置するように構成されるのが好適である。第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30を嵌め合わせたときに、第二ロック用突起40の表面は、第一ロック部25の外面と当接する。これにより形成される当接面42は、充填剤70と当接する第一ロック部25の内面と略平行であるのが好適である。

以上のような充填剤70の構成により、水又は埃等が第一ケーブル60及び第二ケーブル65の芯線61、66に接触するおそれを低減できる。

分岐コネクタ10は、充填剤70を別部材として成形する必要がなく、UV硬化樹脂のように流動状態で塗布するため、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の内面と充填剤70の表面との間に空隙又は空泡が形成されにくい。製造工程において充填剤70に直接触れることがないので、充填剤70に異物が付着したり、充填剤70の形状が変化したりするおそれもない。したがって、分岐コネクタ10は、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の内面に充填剤70を密着させることが可能であり、防水性を向上させることが可能である。

分岐コネクタ10は、ディスペンサー等の工具により単純な作業で充填剤70を塗布できるので、製造者による組立精度のばらつきを抑制できる。分岐コネクタ10は、充填剤70を別部材として成形する必要がないので、工数を低減でき、作業時間を短縮できる。分岐コネクタ10は、対応する治具80を用いることによって、様々なバリエーションの内面形状に合わせて、充填剤70を装填できる。充填剤70としてUV硬化樹脂を用いることで、紫外線の照射のみによって樹脂を弾性状態に変化させることが可能なので、作業がより簡易となる。

以上のように、分岐コネクタ10は、製品個体ごとの内部形状に対応させて充填剤70を装填可能であり、製品個体ごとに防水性を維持できる。

充填剤70が第一ケーブル60及び第二ケーブル65に密着するので、仮に分岐コネクタ10の外側において加わった外力によって第一ケーブル60及び第二ケーブル65が振られて屈曲したとしても、第一ケーブル60及び第二ケーブル65の屈曲に起因する動き又は応力の中継コンタクト50との圧接部に対する伝達が抑止される。これにより、接触信頼性が維持される。

充填剤70が、第一ロック部25の内面と当接することで、弾性を有する第一ロック部25は、充填剤70の膨張又は膨潤による内側から外側への弾性力により、外側に弾性変形しようとする。分岐コネクタ10では内側でロック部が構成されるので、外側への弾性変形により、分岐コネクタ10は、第一ロック部25と第二ロック部39との係合をさらに強固にすることができる。より詳述すると、第一ロック用突起26及び第二ロック用突起40の係合面27が、充填剤70と当接する第一ロック部25の内面の上下方向における幅内にあることで、充填剤70の膨張力等を効率良く係合力に変換できる。当接面42が充填剤70と当接する第一ロック部25の内面と略平行となることで、充填剤70の膨張力等は、第一ロック部25及び第二ロック用突起40の表面に対して略垂直方向に伝わる。これにより、分岐コネクタ10は、充填剤70の膨張力等をさらに効率良く係合力に変換できる。その結果、分岐コネクタ10は、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の密着状態をより高めることができる。このように、分岐コネクタ10は、内側から外側への弾性力が働いた状態であっても、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の開き作用を抑制できる。その結果、分岐コネクタ10は、防水性を維持できる。当該効果は、常温下においても現れるが、高温下において充填剤70の膨張が大きくなるほど、より顕著に現れる。

充填剤70として粘度が高い部材を使用する場合、分岐コネクタ10は、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30間の開きをさらに抑制できる。すなわち、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の両側に充填剤70が配置されることで、ロック状態でそれぞれの充填剤70が粘着し、当該粘着力が、嵌合した第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の開きに対する抵抗力となる。

分岐コネクタ10は、嵌合した第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の内部にロック機構を形成したため、凹凸又は貫通穴が少ない略平面形状に外周壁31を形成することができる。これにより、分岐コネクタ10は、防水性をより高めることができ、粉塵及びオイル等の異物の侵入もさらに抑止できる。

分岐コネクタ10は、一方向に延在する第一ロック用突起26及び同方向に延在する第二ロック用突起40が係合して、係合面27が同方向に延在した平面を構成することで、係合面27の面積を広げ、係合をより強固にすることができる。分岐コネクタ10は、係合面27が図11に示すように略水平となることで、係合する力を第一ロック用突起26及び第二ロック用突起40間で伝えやすくなる。

本発明は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的なものであり、これに限定されるものではない。発明の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるものとする。

本実施形態では、治具80は図8のような形状により形成されるものとして説明したが、これに限定されない。治具80は、絶縁ハウジング15の形状に対応する形状であって、充填剤70が外部に漏れない構造であれば、任意の形状であってよい。

図12は、他の実施例に係る第一ロック部25と第二ロック部39との係合部を拡大した、図11に対応する拡大断面図である。上記では、図11に示すとおり、第一ロック用突起26及び第二ロック用突起40の係合面27は、前後方向に延在した略水平な平面であるが、これに限定されない。例えば、図12に示すとおり、当該係合面27が、嵌合した第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30の内側から外側に向けて下方に傾斜していてもよい。分岐コネクタ10は、当該断面形状により、ロックが外れる可能性をさらに低減できる。

本実施形態では、第一ロック部25を第一分割ハウジング16に形成し、第二ロック部39を第二分割ハウジング30に形成しているが、これに限定されない。弾性を有する第一ロック部25が、中継コンタクト50を有さない第二分割ハウジング30側に形成され、第二ロック部39が、中継コンタクト50を有する第一分割ハウジング16側に形成されてもよい。第一ロック部25及び第二ロック部39の第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30における形成位置も、上記に限定されず、第一分割ハウジング16及び第二分割ハウジング30を嵌合させてロックを保持することが可能であれば、任意の形成位置であってよい。

本実施形態では、第一ロック部25及び第二ロック部39は、第一ロック用突起26及び第二ロック用突起40をそれぞれ有し、第一ロック用突起26と第二ロック用突起40とが係合するロック手段を示したが、これに限定されない。第一ロック部25及び第二ロック部39は、任意のロック手段を有してもよい。

本実施形態では第一ケーブル60及び第二ケーブル65の脱落を防止する脱落防止突起35c、36c及び35d、36dを第一ケーブル保持溝35a、36a及び第二ケーブル保持溝35b、36bに設けたが、これに限定されない。脱落防止突起は、ケーブル押圧突起32の第一押圧溝32a及び第二押圧溝32bにそれぞれ設けてもよい。

中継コンタクト50は、第二ケーブル65を圧接するタイプであるが、第二ケーブル65を圧着するタイプであってもよい。この場合、第二ケーブル65は、予め中継コンタクト50に圧着接続しておき、この状態で中継コンタクト50を第一分割ハウジング16に装着する。この実施形態では、中継コンタクト50の一対の第一圧接用溝53及び第二圧接用溝55の一方の代わりに、ケーブル圧着端子が形成される。第二分割ハウジング30には、残存する圧接用溝に対応させて一つのケーブル支持腕部35又は36が設けられる。

逆に、各ケーブルの分岐コネクタ10によって支持された部位の延長方向に対して直交又は略直交する方向に並べた3本以上のケーブルが分岐コネクタ10により接続されてもよい。この場合、一つの中継コンタクトに(左右方向に並んだ)三対以上の圧接用溝が形成されてもよい。複数の中継コンタクトのそれぞれに圧接用溝が形成され、少なくとも一つの中継コンタクトに二対以上の圧接用溝が形成されて、各圧接用溝によってケーブル(芯線)が圧接されてもよい。

10 分岐コネクタ 15 絶縁ハウジング 16 第一分割ハウジング 17 外周壁 17a 内周側凹部 17b 内周側第一対向面 17c 中央第一凹部 17d 中央第一対向面 18 コンタクト取付溝 18a 固定部 18b 中間凸部 18c 位置決め突起 19 第一ケーブル取付溝 19a 傾斜面 20 第二ケーブル取付溝 20a 傾斜面 21、22 蓋部 21a、22a 対向面 25 第一ロック部 25a 凹部 26 第一ロック用突起 26a 傾斜面 27 係合面 30 第二分割ハウジング 31 外周壁 31a 内周側凹部 31b 内周側第二対向面 32 ケーブル押圧突起 32a 第一押圧溝 32b 第二押圧溝 32c 中央突起 32d、32e 突起 35、36 ケーブル支持腕部 35a、36a 第一ケーブル保持溝 35b、36b 第二ケーブル保持溝 35c、36c 脱落防止突起 35d、36d 脱落防止突起 35e、36e 傾斜面 35f、36f 傾斜面 37a、37b、38a、38b 突出片 39 第二ロック部 40 第二ロック用突起 41 凸壁 42 当接面 43 穴部 46 第一接続部(接続部) 47 第二接続部(接続部) 48 屈曲容易部 50 中継コンタクト 51 基片 51a 位置決め孔 51b 遊び部 52 第一ケーブル圧接片 52a 先端部 52b 幅狭部 53 第一圧接用溝(電気導通部、圧接用溝) 54 第二ケーブル圧接片 54a 先端部 54b 幅狭部 55 第二圧接用溝(電気導通部、圧接用溝) 60 第一ケーブル(ケーブル) 61 芯線 62 被覆 65 第二ケーブル(ケーブル) 66 芯線 67 被覆 70 充填剤 80 治具 81 第一基台 82 第二基台 83 突部

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