導電性樹脂組成物、それを用いた電子部品の製造方法、接合方法、接合構造、および電子部品

申请号 JP2010550566 申请日 2010-02-15 公开(公告)号 JPWO2010093035A1 公开(公告)日 2012-08-16
申请人 株式会社村田製作所; 发明人 尾上 智章; 智章 尾上; 正明 平山; 正明 平山; 義樹 油谷; 義樹 油谷;
摘要 高い導通信頼性を確保することが可能な、導電性樹脂組成物、それを用いた接合信頼性の高い電子部品の製造方法、接合対象間を確実に接合することが可能な接合方法および接合構造、該接合構造を備えた信頼性の高い電子部品を提供する。(a)硬化性樹脂と、(b)球形カーボン本体の表面がカーボン微粒子によりコートされた硬質球形カーボン、および/または、球形カーボン本体の表面がピッチに由来するカーボン細片により被覆された硬質球形カーボンとを含有する導電性樹脂組成物を用いる。互いに電気的に接続させるべき部位を備えた少なくとも2つのワークの、部位間に、前記導電性樹脂組成物を供給し、前記部位間に圧 力 を加えつつ、導電性樹脂組成物を硬化させる。
权利要求
  • (a)硬化性樹脂と、
    (b)球形カーボン本体の表面がカーボン微粒子によりコートされた硬質球形カーボン、および/または、球形カーボン本体の表面がピッチに由来するカーボン細片により被覆された硬質球形カーボンと を含有することを特徴とする導電性樹脂組成物。
  • 前記硬質球形カーボンの平均粒子径が10μm以下であることを特徴とする請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  • 前記硬質球形カーボンを0.5〜20重量%の割合で含有することを特徴とする請求項1または2記載の導電性樹脂組成物。
  • 互いに電気的に接続させるべき部位を備えた少なくとも2つのワークの、前記部位間に、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性樹脂組成物を供給する工程と、
    前記部位間に圧力を加えつつ、前記導電性樹脂組成物を硬化させる工程と を備えることを特徴とする電子部品の製造方法。
  • 互いに電気的に接続させるべき部位を備えたワークの少なくとも一つが、接続させるべき部位である電極を備えた圧電素子であることを特徴とする電子部品の製造方法。
  • (a)一方の導体と他方の導体とを、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性樹脂組成物であって、前記一方の導体および前記他方の導体よりも硬度の高い硬質球形カーボンを含有する導電性樹脂組成物を介して対向させる工程と、
    (b)互いに対向する前記一方の導体と前記他方の導体に、前記硬質球形カーボンの一部が食い込むとともに、前記硬質球形カーボンの表面のカーボン微粒子および/またはカーボン細片が、前記一方の導体および前記他方の導体に食い込んだ状態となるように、前記一方の導体と前記他方の導体とを、前記導電性樹脂組成物を介して圧接させる工程と、
    (c)前記一方の導体と前記他方の導体とを、前記導電性樹脂組成物を介して圧接した状態で、前記導電性樹脂組成物を硬化させる工程と を具備することを特徴とする接合方法。
  • 一方の導体と他方の導体とを、電気的に導通するように接合するための接合構造であって、
    前記一方の導体と、前記他方の導体との間に、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性樹脂組成物であって、前記一方の導体および前記他方の導体よりも硬度の高い硬質球形カーボンを含有する導電性樹脂組成物が介在するとともに、 前記一方の導体および前記他方の導体の接合界面に、前記硬質球形カーボンの一部が食い込むとともに、前記硬質球形カーボンの表面のカーボン微粒子が、前記一方の導体および前記他方の導体に食い込んだ状態で硬化されていること を特徴とする接合構造。
  • 請求項7の接合構造を備え、かつ、前記一方の導体および前記他方の導体の少なくとも一方が、圧電素子に配設された電極であることを特徴とする電子部品。
  • 说明书全文

    本発明は、導電性粒子としてカーボンを用いた導電性樹脂組成物、それを用いた、電子部品の製造方法、接合方法、接合構造、および電子部品に関する。

    電子部品を基板に搭載する際に電子部品の電極と基板のランドとを電気的、機械的に接続する場合や、電子部品を金属ケースに収容し、電子部品の電極を金属ケースの底部に接合して、電気的、機械的に接続する場合などに用いられる接着剤として、導電性粒子を液状のマトリクス樹脂の中に分散させた導電性接着剤(導電性樹脂組成物)がある。 この導電性接着剤を用いた場合、マトリクス樹脂を硬化させることにより電子部品と基板とが機械的に接合されるとともに、電子部品の外部電極と基板のランドとがマトリクス樹脂中に含まれる導電性粒子により電気的に接続されることになる。

    このような導電性接着剤の一つに、カーボン粒子を導電性粒子として用いた導電性接着剤が知られている。 しかしながら、AgやCuなどの導電性金属の粒子に比べてカーボン粒子は抵抗値が高いという問題がある。

    そこで、このような問題点を解決するために、ランドと電極などの接合対象間にカーボン粒子を含む導電性接着剤を介在させ、押圧することによりカーボン粒子を破壊し、接触点数を増加させた状態でマトリクス樹脂を硬化させることによって、低抵抗化を図った接合方法が提案されている(特許文献1参照)。
    しかしながら、このように加圧によって破壊されるような強度の低いカーボン粒子を用いた場合、接触点数は増えるものの、カーボン粒子が電極やランドに食い込んで生じるアンカー効果は得られず、機械的衝撃や、熱衝撃などによって電気的導通が損なわれやすく、接続信頼性が低いという問題点がある。

    特許第3468103号公報

    本発明は、上記課題を解決するものであり、接続抵抗が低く、機械的衝撃や熱衝撃などにも強い、高い導通信頼性を得ることが可能な導電性樹脂組成物、それを用いた接合信頼性の高い電子部品の製造方法、接合対象間を確実に接合することが可能な接合方法および接合構造、該接合構造を備えた信頼性の高い電子部品を提供することを目的とする。

    上記課題を解決するために、本発明の導電性樹脂組成物は、
    (a)硬化性樹脂と、
    (b)球形カーボン本体の表面がカーボン微粒子によりコートされた硬質球形カーボン、および/または、球形カーボン本体の表面がピッチに由来するカーボン細片により被覆された硬質球形カーボンと を含有することを特徴としている。

    本発明における、硬質球形カーボンは、圧縮試験により測定した粒子強度が200MPa以上、ラマンスペクトルでのG−Bandの半値幅が75cm -1以下のカーボンであって、球形のものをいう。 なお、硬質カーボンは、例えば、「硬質アモルファスカーボン」、「グラッシーカーボン」とも呼ばれる材料であり、「鋼の数倍の硬さ」を持つとされている。
    また、カーボン微粒子としては、硬質のカーボンブラックなどを用いることが可能である。

    前記硬質球形カーボンの平均粒子径は10μm以下であることが望ましい。

    また、本発明の導電性樹脂組成物は、前記硬質球形カーボンを0.5〜20重量%の割合で含有していることが望ましい。

    また、本発明の電子部品の製造方法は、互いに電気的に接続させるべき部位を備えた少なくとも2つのワークの、前記部位間に、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性樹脂組成物を供給する工程と、
    前記部位間に圧を加えつつ、前記導電性樹脂組成物を硬化させる工程と を備えることを特徴としている。

    また、本発明の電子部品の製造方法は、互いに電気的に接続させるべき部位を備えたワークの少なくとも一つが、接続させるべき部位である電極を備えた圧電素子である場合に適用したときに特に有意義である。

    また、本発明の接合方法は、
    (a)一方の導体と他方の導体とを、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性樹脂組成物であって、前記一方の導体および前記他方の導体よりも硬度の高い硬質球形カーボンを含有する導電性樹脂組成物を介して対向させる工程と、
    (b)互いに対向する前記一方の導体と前記他方の導体に、前記硬質球形カーボンの一部が食い込むとともに、前記硬質球形カーボンの表面のカーボン微粒子および/またはカーボン細片が、前記一方の導体および前記他方の導体に食い込んだ状態となるように、前記一方の導体と前記他方の導体とを、前記導電性樹脂組成物を介して圧接させる工程と、
    (c)前記一方の導体と前記他方の導体とを、前記導電性樹脂組成物を介して圧接した状態で、前記導電性樹脂組成物を硬化させる工程と を具備することを特徴としている。

    また、本発明の接合構造は、
    一方の導体と他方の導体とを、電気的に導通するように接合するための接合構造であって、
    前記一方の導体と、前記他方の導体との間に、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性樹脂組成物であって、前記一方の導体および前記他方の導体よりも硬度の高い硬質球形カーボンを含有する導電性樹脂組成物が介在し、かつ、
    前記導電性樹脂組成物は、互いに対向する前記一方の導体および前記他方の導体に、前記硬質球形カーボンの一部が食い込むとともに、前記硬質球形カーボンの表面のカーボン微粒子および/またはカーボン細片が、前記一方の導体および前記他方の導体に食い込んだ状態で硬化していること を特徴としている。

    また、本発明の電子部品は、請求項7の接合構造を備え、かつ、前記一方の導体および前記他方の導体の少なくとも一方が、圧電素子に配設された電極であることを特徴としている。

    本発明の導電性樹脂組成物は、(a)硬化性樹脂と、(b)球形カーボン本体の表面がカーボン微粒子により被覆された硬質球形カーボンおよび/または球形カーボン本体の表面がピッチに由来するカーボン細片によりコートされた硬質球形カーボンとを含有しており、この硬質球形カーボンは、通常接合すべき対象である、電極やランドなどを構成するCuやAgなどの金属よりも硬度が高いため、接合対象間(導体間)に本発明の導電性樹脂組成物を介在させて、しかるべき圧力で圧接することにより、硬質球形カーボンが導体に食い込むとともに、硬質球形カーボンの表面のカーボン微粒子および/またはカーボン細片が、前記一方の導体および前記他方の導体に食い込む。 その結果、接触点数および接触面積が増加して接続抵抗が低下し、導通信頼性の高い良好な接合を行うことが可能になる。
    なお、本発明において、球形カーボン本体の表面がピッチに由来するカーボン細片によりコートされた硬質球形カーボンとは、例えば、焼成することにより硬質カーボンとなる球形カーボン材料の表面をピッチでコートした後、焼成・黒鉛化することにより形成される硬質球形カーボンなどを意味する概念である。

    さらに、本発明の導電性樹脂組成物においては、硬質球形カーボンの表面のカーボン微粒子および/またはカーボン細片が導体に食い込んだ状態で硬化性樹脂が硬化されることになるため、食い込んだカーボン微粒子のアンカー効果により、機械的衝撃や、熱衝撃などに対する耐性に優れた信頼性の高い接合状態を実現することができる。

    また、硬質球形カーボンとして平均粒子径が10μm以下のものを用いることにより、導電性樹脂組成物が含有するカーボン粒子の質量に対するカーボン粒子の個数を多くすることが可能になり、接触点数を増加させて接続抵抗を低減させることが可能になる。
    なお、カーボン微粒子およびカーボン細片の一次粒径は、通常、0.1μm以下であることが望ましい。
    また、硬質球形カーボン中のカーボン微粒子およびカーボン細片の割合は、球形カーボン本体の表面を覆うことができる量であれば特に制約はないが、通常、1〜40重量%の範囲とすることが望ましい。

    また、硬質球形カーボンを0.5〜20重量%の割合で含有させることにより、必要な導通性を確保することが可能になる。
    すなわち、硬質球形カーボンが0.5重量%未満になると、接触点数、接触面積が少なくなり十分な導通が得られなくなり、また、20重量%を越えると、導電性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、接合面への塗布などの作業性が低下する。

    また、本発明の電子部品の製造方法は、互いに電気的に接続させるべき部位を備えた少なくとも2つのワークの上記部位間に、本発明の導電性樹脂組成物を供給し、上記部位間に圧力を加えつつ、導電性樹脂組成物を硬化させるようにしているので、硬質球形カーボンおよび表面のカーボン微粒子および/またはカーボン細片をワークの上記部位に食い込ませることが可能になり、上記部位間が確実に接続され、接続抵抗が低く、かつ、導通信頼性の高い電子部品を効率よく製造することが可能になる。

    または、互いに電気的に接続させるべき部位を備えたワークの少なくとも一つが、接続させるべき部位である電極を備えた圧電素子である場合、電圧の印加により圧電素子が伸縮するため、電気的接続の信頼性低下が生じやすいが、このような場合に本発明の電子部品の製造方法を適用した場合、上述のアンカー効果により、熱衝撃や機械的衝撃に対する耐性に優れた、接続信頼性の高い電子部品を得ることが可能になり、特に有意義である。

    また、本発明の接合方法によれば、(a)一方の導体と他方の導体とを本発明の導電性樹脂組成物を介して対向させ、(b)一方の導体と他方の導体に、硬質球形カーボンの一部が食い込むとともに、硬質球形カーボンの表面のカーボン微粒子および/またはカーボン細片が食い込んだ状態になるように、一方の導体と他方の導体とを、導電性樹脂組成物を介して圧接し、(c)この圧接状態で導電性樹脂組成物を硬化させるようにしているので、十分な接触点数、接触面積を確保し、かつ、アンカー効果を発揮させて、一方の導体と他方の導体とを、機械的、電気的に確実に接続させることが可能になる。

    また、本発明の接合構造においては、一方の導体および他方の導体の間に、これらよりも硬度の高い硬質球形カーボンを含有する導電性樹脂組成物が介在し、一方の導体および他方の導体に、硬質球形カーボンの一部が食い込むとともに、硬質球形カーボンの表面のカーボン微粒子および/またはカーボン細片が食い込んだ状態で導電性樹脂組成物が硬化されているため、十分な接触点数、接触面積を確保し、かつアンカー効果を発揮させて、導通信頼性の高い良好な接合を行うことができる。

    また、本発明の電子部品は、請求項7の接合構造を備えており、耐機械的衝撃性にも優れているので、一方の導体および他方の導体の少なくとも一方が、圧電素子に配設された電極である場合にも、高い接続信頼性を実現することができる。

    本発明の一実施例(実施例1)にかかる接合構造を備えた電子部品を示す図である。

    図1の電子部品の要部を拡大して示す図である。

    本発明の実施例1の電子部品における電極とアルミニウム基材の接合構造の顕微鏡写真を示す図である。

    本発明の実施例1において導電性樹脂組成物に用いられている硬質球形カーボン(表面がカーボン微粒子によりコートされた硬質球形カーボン)の顕微鏡写真を示す図である。

    図4の硬質球形カーボンの、表面のカーボン微粒子の顕微鏡写真を示す図である。

    樹脂組成物層を介して接続された圧電素子とアルミニウム基材の間の接続抵抗の測定方法を示す図である。

    実施例1で作製した電子部品素子を85℃、85%RHのストレス環境下に放置した場合の放置時間と接続抵抗の関係を示すグラフである。

    本発明の実施例2において導電性樹脂組成物に用いられている硬質球形カーボン(表面がピッチに由来するカーボン細片により被覆された硬質球形カーボン)の顕微鏡写真を示す図である。

    実施例2で作製した電子部品素子を85℃、85%RHのストレス環境下に放置した場合の放置時間と接続抵抗の関係を示すグラフである。

    比較例1で作製した電子部品素子を85℃、85%RHのストレス環境下に放置した場合の放置時間と接続抵抗の関係を示すグラフである。

    比較例2で作製した電子部品素子を85℃、85%RHのストレス環境下に放置した場合の放置時間と接続抵抗の関係を示すグラフである。

    比較例3の導電性樹脂組成物に用いられている硬質球形カーボン(表面がカーボン微粒子またはピッチに由来するカーボン細片により被覆されていない硬質球形カーボン)の顕微鏡写真を示す図である。

    比較例3で作製した電子部品素子を85℃、85%RHのストレス環境下に放置した場合の放置時間と接続抵抗の関係を示すグラフである。

    以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。

    図1は本発明の一実施例(実施例1)にかかる接合構造を備えた電子部品を示す図、図2はその要部を拡大して示す図である。

    また、図3はこの実施例1の電子部品における接合構造の顕微鏡写真を示す図、図4はこの実施例1において導電性樹脂組成物に用いられている硬質球形カーボンの顕微鏡写真を示す図、図5は硬質球形カーボンの表面の、カーボン微粒子の顕微鏡写真を示す図である。

    この電子部品10は、下面と上面に電極11,12が形成されたセラミック素子(圧電素子)1と、セラミック素子1が収容されるアルミニウムからなるケース2と、セラミック素子1の下面側の電極(本発明における第1の導体)11とケース2の底部(本発明における第2の導体)22とを電気的に接続して導通させるとともに、セラミック素子1の下面側の電極11を、ケース2の底部22に機械的に接合する導電性樹脂組成物(導電性接着剤)3と、ケース2の側面23に電気的に接続され、ケース2を介してセラミック素子1の下面側の電極11と導通する第1の端子4と、セラミック素子1の上面の電極12から引き出された第2の端子5とを備えている。

    そして、この実施例1では、導電性樹脂組成物3として、(a)硬化性樹脂13(図2)と、(b)硬質球形カーボン(平均粒径:6μm)14とを含む導電性樹脂組成物が用いられている。

    また、導電性樹脂組成物3を構成する硬化性樹脂13としては、熱硬化性樹脂であるビスフェノールA型のエポキシ樹脂が用いられている。

    また、硬質球形カーボン14としては、図2,図4,図5などに示すように、硬質のカーボンからなり、球形で平均粒径が6μmの球形カーボン本体15と、その表面を被覆するカーボン微粒子16とを備えたものが用いられている。

    そして、この電子部品10においては、上述のように、硬化性樹脂(エポキシ樹脂)13と、球形カーボン本体15の表面がカーボン微粒子16によりコートされた硬質球形カーボン14とを含む導電性樹脂組成物3が用いられており、図2に示すように、硬質球形カーボン15が第1および第2の導体11,22に食い込むとともに、硬質球形カーボン15の表面のカーボン微粒子16が、導体11,22に食い込んでいるため、接触点数および接触面積が多く、低抵抗で導通信頼性の高い、良好な電気的接続が得られる。

    さらに、硬質球形カーボン15の表面のカーボン微粒子16が導体に食い込んだ状態で硬化性樹脂(エポキシ樹脂)13が硬化されることになるため、食い込んだカーボン微粒子16のアンカー効果により、機械的衝撃や、熱衝撃などに対する耐性に優れた信頼性の高い接合が得られる。

    次に、この電子部品10の製造方法について説明する。
    (1)ビスフェノールA型のエポキシ樹脂1200gと、球形の硬質カーボン(球形カーボン本体)の表面をカーボン微粒子によりを被覆した硬質球形カーボン(平均粒径:6μm)100gを、減圧攪拌装置(プラネタリーミキサー)に投入し、60分間攪拌・混合することにより、硬質球形カーボンが熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂に分散した導電性樹脂組成物の主剤を作製した。
    この実施例1では、カーボン微粒子として、1次粒子径が100nm以下の硬質のカーボン微粒子を用いた。

    (2)それから、この導電性樹脂組成物の主剤100gに対してアミン系の硬化剤55gを加えてスパチュラで攪拌し、減圧下で15分間脱泡して、硬質球形カーボンを5重量%の割合で含有する熱硬化性の導電性樹脂組成物3(図1,図2)を得た。

    (3)次に、得られた導電性樹脂組成物をシリンジに充填し、ディスペンサを用いてアルミニウム基材(ケース2の底部)22に描画し、その上に、下面および上面にAgからなる電極11,12が形成されたセラミック素子(圧電素子)1を配置した(図1参照)。

    (4)それから、セラミック素子1に50Nの力を加えて加圧しながら、125℃で7分間保持して導電性樹脂組成物3中の硬化性樹脂(エポキシ樹脂)13を仮硬化させ、力を取り除いた後、さらに150℃で90分間保持して、硬化性樹脂(エポキシ樹脂)13を硬化させることにより、電子部品素子を作製した。 なお、この電子部品素子の段階では、ケース2は封止されていないが、図1ではケース2を封止した状態を示している。

    この電子部品素子について、セラミック素子(圧電素子)1の電極(第1の導体)11と、アルミニウム基材(ケース2の底部(第2の導体))22との間の接続抵抗を測定したところ、接続抵抗は0.1Ωと低いことが確認された。 なお、接続抵抗は、図6に示すように、樹脂組成物層3を介して接続されたセラミック素子(圧電素子)1とアルミニウム基材2の間の抵抗を4端子法を用いて測定した。

    また、この電子部品素子を85℃、85%RHのストレス環境下に700時間放置した後の接続抵抗は0.3Ωで、図7に示すように、抵抗値の上昇はほとんど認められないことが確認された。

    また、この電子部品素子のセラミック素子1に端子4、5を取り付け、ケース2を封止して作製した電子部品10(図1参照)の共振抵抗は、耐湿信頼性試験(85℃、85%RH)を行った後においても、大きく変化することがなく(不良数:0)、信頼性の高い電子部品が得られることが確認された。

    このように、信頼性の高い電子部品を得ることができるのは、表面をカーボン微粒子16で被覆した硬質球形カーボン14を導電成分として含有する導電性樹脂組成物3を用いていることから、セラミック素子(圧電素子)1をアルミニウム基材(ケースの底部)22に対して押圧しながら導電性樹脂組成物3(硬化性樹脂13)を硬化させることにより、硬質球形カーボン14が第1および第2の導体11,22に食い込むとともに、硬質球形カーボン14の表面のカーボン微粒子16が、導体11,22に食い込むため、接触点数および接触面積が多くなるとともに、食い込んだカーボン微粒子16のアンカー効果により、より強固な電気的接点を形成することが可能になり、機械的衝撃や、熱衝撃などに対する耐性が向上することによ� ��。

    なお、この実施例1における、セラミック素子(圧電素子)1の電極11の硬さを示す降伏強さは55MPa、アルミニウム基材(ケースの底部)22の硬さ(降伏強さ)は40MPaであり、微小圧縮試験装置を用いて測定した硬質球形カーボンを構成する球形カーボン本体15およびカーボン微粒子16の硬さを示す降伏強さは660MPaであることが確認されている。

    この実施例2では、導電性樹脂組成物に使用する硬質球形カーボンとして、表面がピッチに由来するカーボン細片により被覆された硬質球形カーボン(平均粒径6μm)を用いた(図8参照)。

    なお、図8は、実施例2で用いた導電性樹脂組成物を構成する硬質球形カーボンの顕微鏡写真を示す図である。
    この実施例2では、図8に示すような硬質球形カーボンを用いて、上述の実施例1の場合と同じ条件で導電性樹脂組成物を作製した。

    それから、この導電性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の条件、方法で、実施例1で作製した電子部品素子と同様の電子部品素子を作製した。
    そして、この電子部品素子について、実施例1の場合と同様に、4端子法を用いてセラミック素子(圧電素子)の電極と、アルミニウム基材(ケースの底部)との間の接続抵抗を測定した。 その結果、接続抵抗は0.2Ωと低いことが確認された。

    また、この電子部品素子を85℃、85%RHのストレス環境下に700時間放置した後の接続抵抗は11Ωと高くなったが(図9参照)、上述の実施例1の場合と同様に、セラミック素子に端子を取り付けて作製した電子部品の共振抵抗は、耐湿信頼性試験(85℃、85%RH)を行った後においても、大きく変化することがなく(不良数:0)、信頼性の高い電子部品が得られることが確認された。

    この実施例3では、導電性樹脂組成物として、実施例1と同じエポキシ樹脂、同じ硬質球形カーボン、同じ硬化剤を用い、その配合割合のみを変化させて導電性樹脂組成物を作製した。
    すなわち、この実施例3では、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂1200gに対する、硬質球形カーボンの配合量を9g、220g、545gと変化させ、硬質球形カーボンの含有量がそれぞれ0.5重量%%、10重量%、20重量%の導電性樹脂組成物を作製した。

    そして、接合すべき対象である導体などへの塗布の容易性を評価するため、各導電性樹脂組成物の粘度を測定した。
    表1に、各導電性樹脂組成物の粘度(硬質球形カーボンの含有量と、硬化剤添加前の導電性樹脂組成物(主剤)の粘度の関係)を示す。

    それから、この導電性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、電子部品素子を作製した。

    そして、得られた各電子部品素子について、実施例1の場合と同様に、4端子法を用いてセラミック素子(圧電素子)の電極と、アルミニウム基材(ケースの底部)との間の接続抵抗を測定したところ、いずれの電子部品素子も接続抵抗は0.1Ωと低いことが確認された。

    また、各セラミック素子(圧電素子)をアルミニウム基材に接合する際の位置ずれの有無を調べた。 その結果を表1に併せて示す。

    表1に示すように、硬質球形カーボンの含有量が20重量%未満の導電性樹脂組成物を用いた場合には、作業性も良好で、セラミック素子の位置ずれの発生は認められなかった。 ただし、硬質球形カーボンを20重量%含有する導電性樹脂組成物を用いた場合には、粘度が高く、塗布作業性が悪いため、塗布位置にいくらかのずれが生じ、セラミック素子の位置ずれも生じる傾向が認められた。
    したがって、高い位置精度が求められるような場合には、硬質球形カーボンを20重量%未満の割合で配合した導電性樹脂組成物を用いることが望ましい。

    [比較例1]
    ビスフェノールA型エポキシ樹脂100gに対してアミン系の硬化剤55gを加えてスパチュラで攪拌し、減圧下で15分間脱泡して、カーボンを含有しない熱硬化性樹脂を作製した。

    そして、この熱硬化性樹脂を、実施例1における導電性樹脂組成物の代わりに用いて、実施例1と同様の方法で電子部品素子を作製した。
    それから、得られた電子部品素子について、実施例1の場合と同様に、4端子法を用いてセラミック素子(圧電素子)の電極と、アルミニウム基材(ケースの底部)との間の接続抵抗を測定したところ、接続抵抗は0.04Ωと低いことが確認された。

    これは、この比較例で用いたカーボンを含まない熱可塑性樹脂は絶縁性であるが、加圧接着を行った結果、セラミック素子(圧電素子)の電極と、アルミニウム基材(ケース2の底部)22との間で金属接触が起こり、接続抵抗が低くなったものと考えられる。

    しかし、この電子部品素子を85℃、85%RHのストレス環境下に700時間放置した後の接続抵抗は7Ωと高くなることが確認された。

    また、実施例1の場合と同様に、この電子部品素子に端子を取り付け、ケースを封止して作製した電子部品の共振抵抗は、耐湿信頼性試験(85℃、85%RH)において、250時間放置後から、共振抵抗が大きくなる不良が発生しはじめ、1000時間放置後には、不良率が20%に達した(図10参照:ただし、図10は、700時間放置後に接続抵抗が7Ωに達した状態までしか示していない)。

    この比較例1より、カーボンを含まない熱硬化性樹脂を接着剤として用いた場合、導体どうしの金属接触が起こるため初期の接続抵抗は低いが、本発明の導電性樹脂組成物を用いた場合に得られるような、カーボンの食い込みによる確実な接合状態が得られないため、耐湿信頼性試験のような負荷がかかる条件下では、接続抵抗が上昇し、十分な接続信頼性が得られないことが確認された。

    [比較例2]
    導電性樹脂組成物を構成する硬質球形カーボンとして、平均粒径14μmの硬質球形カーボンを用いたこと以外は上記実施例1と同様の条件で導電性樹脂組成物を作製した。 なお、硬質球形カーボンの含有率も、上記実施例1と同じ5重量%とした。
    そして、この導電性樹脂組成物を用いて、上述の実施例1の場合と同じ方法、条件で電子部品素子を作製した。

    得られた電子部品素子について、実施例1の場合と同様に、4端子法を用いてセラミック素子(圧電素子)の電極と、アルミニウム基材(ケースの底部)との間の接続抵抗を測定した。 その結果、平均粒径14μmの硬質球形カーボンを用いた比較例2の電子部品素子の場合、接続抵抗は3Ωと、上記実施例1の平均粒径6μmの硬質球形カーボンを用いた場合の接続抵抗0.1Ωに比べて大幅に(30倍に)高くなることが確認された。

    また、この電子部品素子を85℃、85%RHのストレス環境下に700時間放置した後の接続抵抗は80Ωと、許容できない高い接続抵抗となった(図11参照:ただし、図11は、約300時間放置後に接続抵抗が20Ωに達した状態までしか示していない)。

    さらに、実施例1の場合と同様に、セラミック素子に端子を取り付けて作製した電子部品の共振抵抗は、耐湿信頼性試験(85℃、85%RH)において、250時間放置から共振抵抗が大きくなる不良を発生した。

    この比較例2より、硬質球形カーボンの粒径が大きくなりすぎると、硬質球形カーボンの添加量(重量)に対する硬質球形カーボンの個数(同一重量における硬質球形カーボンの個数)が少なくなり、接触点数が減少して接続抵抗が大きくなること、および、接着層厚みが厚くなるため耐湿試験において分の浸入が起こりやすくなり、接続抵抗が大きくなることが確認された。

    [比較例3]
    導電性樹脂組成物を構成する硬質球形カーボンとして、表面がカーボン微粒子またはピッチ由来のカーボン細片で被覆されていない平均粒径7μmの硬質球形カーボン(図12参照)を用いたこと以外は上記実施例1と同様の条件で、導電性樹脂組成物(硬質球形カーボンの含有率は上記実施例1と同じ5重量%)を作製した。
    そして、この導電性樹脂組成物を用いて、上述の実施例1の場合と同じ方法、条件で電子部品素子を作製した。

    得られた電子部品素子について、実施例1の場合と同様に、4端子法を用いてセラミック素子(圧電素子)の電極と、アルミニウム基材(ケースの底部)との間の接続抵抗を測定した。 その結果、表面がカーボン微粒子またはピッチ由来のカーボン細片で被覆されていない硬質球形カーボン(平均粒径7μm)を用いた比較例3の電子部品素子の場合、接続抵抗は0.9Ωと、上記実施例1の、表面がカーボン微粒子で被覆された、平均粒径6μmの硬質球形カーボンを用いた場合の接続抵抗0.1Ωに比べて、大幅に(9倍に)高くなることが確認された。

    また、この電子部品素子を85℃、85%RHのストレス環境下に700時間放置した後の接続抵抗は11Ωに上昇した(図13参照)。

    さらに、実施例1の場合と同様に、セラミック素子に端子を取り付けて作製した電子部品の共振抵抗は、耐湿信頼性試験(85℃、85%RH)において共振抵抗の増加傾向が認められ、好ましくないことが確認された。

    この比較例3より、表面がカーボン微粒子またはピッチ由来のカーボン細片で被覆されていない硬質球形カーボンを用いた場合、接触点数および接触面積が減少することにより、接続抵抗が大きくなり、また、カーボン微粒子またはピッチ由来のカーボン細片によるアンカー効果も得られないことから、接続信頼性も低いことが確認された。

    [比較例4]
    上記実施例1の場合と同じ導電性樹脂組成物を用い、セラミック素子をアルミニウム基材に接合する際に、セラミック素子をアルミニウム基材に対して加圧しないことを除いて、上記実施例1の場合と同様の方法で、セラミック素子(電子部品素子)を作製した。

    すなわち、実施例1と同じ、カーボン微粒子により被覆された硬質球形カーボンを配合した導電性樹脂組成物を用い、セラミック素子をアルミニウム基材に接合する際に、セラミック素子をアルミニウム基材に対して加圧せずに、125℃で7分間保持して導電性樹脂組成物中の硬化性樹脂を仮硬化させ、そのまま加圧しない状態で、さらに150℃で90分間保持して、硬化性樹脂(エポキシ樹脂)13を硬化させることにより、セラミック素子(電子部品素子)を作製した。

    このセラミック素子について、4端子法を用いてセラミック素子(圧電素子)の電極と、アルミニウム基材(ケースの底部)との間の接続抵抗を測定したところ、接続抵抗は100Ω以上ときわめて大きい値になった。

    この比較例4から、導電性樹脂組成物を硬化させるにあたって加圧しない場合には、カーボンの食い込みによる接続特性向上の効果は得られないことが確認された。

    上記実施例1,2および3では、導電性樹脂組成物を構成する硬化性樹脂として、熱硬化性樹脂であるエポキシ系樹脂を用いているが、本発明においては、硬化性樹脂として、通常は,熱硬化性樹脂が好ましい硬化性樹脂として用いられる。 熱硬化性樹脂としては、上記のエポキシ系樹脂の他にも、例えば、フェノール樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,ポリウレタン,熱硬化性のポリイミドなどの熱硬化性樹脂を用いることが可能であり、その他にも嫌気硬化性樹脂など、種々の硬化性樹脂を用いることが可能である。
    また、上記の各実施例では圧電素子をアルミニウム基材に接合する場合を例にとって説明したが、接合すべき対象の種類(ワークの種類)はこれらに限定されるものではなく、圧電素子以外のセラミック素子を回路基板のランド上に搭載する場合をはじめ、種々の態様で第1の導体と第2の導体を接合する場合に広く適用することが可能である。

    本発明はさらにその他の点においても、上記実施例に限定されるものではなく、導電性樹脂組成物中の硬質球形カーボンの割合、導電性樹脂組成物の塗布条件や硬化条件などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。

    1 セラミック素子(圧電素子)
    2 ケース(アルミニウム基材)
    3 導電性樹脂組成物(導電性接着剤)
    4 第1の端子 5 第2の端子 10 電子部品 11 セラミック素子の下面側の電極(第1の導体)
    12 セラミック素子の上面側の電極 13 硬化性樹脂(エポキシ樹脂)
    14 硬質球形カーボン 15 球形カーボン本体 16 カーボン微粒子 22 ケースの底部(第2の導体)
    23 ケースの側面

    QQ群二维码
    意见反馈