Differentially-pumped ferrofluidic seal

申请号 JP14210593 申请日 1993-06-14 公开(公告)号 JPH06257675A 公开(公告)日 1994-09-16
申请人 Ferrofluidics Corp; フェロフルイディクス・コーポレイション; 发明人 JIEIMUZU SHII TOBONI; TOOMASU JIEI BURATSUKU JIYUNIA;
摘要 PURPOSE: To stabilize a shaft rotating speed at a high speed by surrounding a shaft rotatable at a high speed by a first multistage seal, constituting so as to endure the whole pressure drop between a first high pressure environment and a second high-vacuum environment, and arranging a second single-stage seal in series to the first seal on the shaft. CONSTITUTION: A multistage seal is designed and constituted so as to have sufficient pressure performance to endure the whole pressure drop between an environment under first pressure such as atmospheric pressure or a high- pressure area 16 and an environment under second pressure such as a high vacuum in a vacuum chamber 14. A second single-stage ferrofluidic seal includes a magnet 43, polar pieces 44, 45, a magnetically permeable shaft 15 and annular gaps 46, 47, and surrounds the shaft 15 on the high-vacuum side of a first mutistage seal. A region between the first multistage seal and a second single- stage seal becomes an annular sealed intermediate area 50 so that air is released to atmospheric pressure or pressure between the high pressure area 16 and a high vacuum of the vacuum chamber 14.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 ハウジングと、第一の圧力にある第一の環境と第一の環境よりもある圧力差だけ低い第二の圧力にある第二の環境との間を通過するシャフトとの間にシールを形成するための強磁性流体シール装置であって、
    該装置が、 前記シャフトと前記ハウジングとの間で前記シャフト上にシールを形成して前記第一の環境を前記第二の環境から分離する第一の強磁性流体シールであって、前記圧力差に耐える十分な圧力性能を有するよう設計構成された第一の強磁性流体シールと、 前記シャフトと前記ハウジングとの間で前記シャフト上にシールを形成する第二の強磁性流体シールであって、
    前記第一の強磁性流体シールと前記第二の環境との間に配置されバーストを最小限にするよう設計構成された第二の強磁性流体シールと、 前記シャフト、前記ハウジング、前記第一の強磁性流体シール、及び前記第二の強磁性流体シールにより境界付けられ、前記第二の圧力に近いがそれよりも大きな圧力にある中間領域を維持する手段と、及び前記中間領域内に配置され、前記ハウジング内で前記シャフトを支持する少なくとも一つの軸受けとからなる、強磁性流体シール装置。
  • 【請求項2】 前記第一の環境内に配置され、前記ハウジング内で前記シャフトを支持する少なくとも一つの第二の軸受けをさらに含む、請求項1の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項3】 前記第一の強磁性流体シールが多段階シールからなり、及び前記第二の強磁性流体シールが一段階シールからなる、請求項1の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項4】 内部及び壁を備えたハウジングと、前記壁を貫通するシャフトに装着され前記ハウジングにより密閉された回転アノードと、前記ハウジングの内部を高真空に抜気する真空ポンプとを有するX線スキャン装置に用いる強磁性流体シール装置であって、該装置が、 少なくとも一段からなり、前記シャフトと前記ハウジングの壁との間に気密シールを形成するための第一の強磁性流体シールであって、第一の側と高真空側とを有し、
    前記ハウジング内部の高真空を維持するに十分な圧力性能を有するよう設計構成された第一の強磁性流体シールと、 前記第一の強磁性流体シールの前記高真空側に配置され、前記ハウジング内で前記シャフトを支持する軸受けと、 前記シャフトと前記ハウジングの壁との間にシールを形成する第二の強磁性流体シールであって、前記軸受けを前記ハウジング内部から分離すると共にバーストを最小限とするよう設計構成されている第二の強磁性流体シールと、及び前記シャフト、前記ハウジング壁、前記第一の強磁性流体シール、及び前記第二の強磁性流体シールにより境界付けられ、高真空に近いがそれよりも劣る真空にある中間領域を維持する手段とからなる、強磁性流体シール装置。
  • 【請求項5】 前記第一の強磁性流体シールの前記第一の側に配置され、前記ハウジング内で前記シャフトを支持する第二の軸受けをさらに含む、請求項4の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項6】 前記第一の強磁性流体シールが多段階シールからなり、及び前記第二の強磁性流体シールが一段階シールからなる、請求項4の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項7】 前記シャフトが少なくとも一つのキャビティを含み、該キャビティを通して冷却剤を循環して前記アノード及び前記シャフトを冷却する手段をさらに含む、請求項4の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項8】 前記第二の強磁性流体シールが、前記シャフトの密接近傍にあって磁束的に関連する磁気透過性の極片を含み、該極片が前記シャフトの軸線に向かって半径方向に延びる傾斜壁を有する前記シャフトと該極片との間にテーパ付きギャップを形成するよう形成されている、請求項4の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項9】 前記第一の強磁性流体シールが約1気圧から約5気圧の圧力に耐えるに十分な圧力性能を有するよう設計構成されており、及び前記第二の強磁性流体シールが250torrまでの圧力差に耐えるに十分な圧力性能を有して設計構成されている、請求項4の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項10】 前記シャフトが導電性の第一のシャフトであり、さらに前記シャフトに係合する導電性の可撓性ベルトと、 前記可撓性ベルトに係合された第二の導電性シャフトと、及び前記第一のシャフトが接地されるよう前記第二のシャフトと接触する接地手段とを含む、請求項4の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項11】 内部及び壁を備えたハウジングと、前記ハウジングにより密閉された回転アノードと、前記ハウジングの内部を高真空に抜気する真空ポンプとを有するX線スキャン装置に用いる強磁性流体シール装置であって、該装置が、 前記アノードに取着され、複数の軸受けに支持され、且つある圧力差だけ高真空よりも大きな第一の圧力にある第一の環境と前記ハウジング内部との間で前記壁を貫通する磁気透過性のシャフトと、 前記ハウジングと前記シャフトとの間に配置され、第一の圧力側と高真空側とを有する第一の多段階強磁性流体ロータリシールであって、前記圧力差に耐えるに十分な圧力性能を有して設計構成された第一の第一の強磁性流体シールと、 前記第一の強磁性流体シールの前記第一の圧力側に配置され、前記ハウジング内で前記シャフトを支持する第一の軸受けと、 前記第一の強磁性流体シールの前記高真空側に配置され、前記ハウジング内で前記シャフトを支持すると共に高真空側を有する第二の軸受けと、 前記第一の強磁性流体シールと直列に前記シャフト上に設けられ、前記第二の軸受けの前記高真空側にある第二の一段階強磁性流体ロータリシールであって、前記軸受けを前記ハウジングの内部から分離すると共にバーストを最小限とするよう設計構成された第二の強磁性流体シールと、及び前記シャフト、前記ハウジング壁、前記第一の強磁性流体シール、及び前記第二の強磁性流体シールにより境界付けられた中間領域を、高真空に近いがそれよりも劣る真空に維持する手段とからなる、強磁性流体シール装置。
  • 【請求項12】 前記第一の強磁性流体シールが、一連のリッジ及び溝が形成された少なくとも一つの極片を含み、前記リッジが前記シャフトの密接近傍にあって一連の強磁性流体シール段を形成する、請求項11の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項13】 前記第一の強磁性流体シールが、前記シャフトにある一連のリッジ及び溝を含み、前記リッジが少なくとも一つの極片の密接近傍にあって一連の強磁性流体シール段を形成する、請求項11の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項14】 前記第二の強磁性流体シールが前記シャフトの密接近傍にあり磁束的に関連する磁気透過性の極片を含み、該極片が前記シャフトの軸線に向かって半径方向に延びる傾斜壁を有する前記シャフトと該極片との間にテーパ付きギャップを形成するよう形成されている、請求項4の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項15】 前記シャフトが少なくとも一つのキャビティを含み、該キャビティを通して冷却剤を循環して前記アノード及び前記シャフトを冷却する手段をさらに含む、請求項11の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項16】 前記シャフトが導電性の第一のシャフトであり、さらに前記シャフトに係合する導電性の可撓性ベルトと、 前記可撓性ベルトに係合された第二の導電性シャフトと、及び前記第一のシャフトが接地されるよう前記第二のシャフトと接触する接地手段とを含む、請求項11の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項17】 前記第一の強磁性流体シールが約1気圧から約5気圧の圧力に耐えるに十分な圧力性能を有するよう設計構成されており、及び前記第二の強磁性流体シールが250torrまでの圧力差に耐えるに十分な圧力性能を有して設計構成されている、請求項11の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項18】 前記中間領域を高真空に近いがそれよりも劣る真空に維持する前記手段が前記中間領域に接続されたバラストタンクを含み、該タンクが該タンクを抜気するポート及び該タンク内の圧力を表示するゲージをさらに含む、請求項11の強磁性流体シール装置。
  • 【請求項19】 CATスキャン装置その他においてX
    線を生成すべく電子ビームに露出されるアノードであって、該電子ビームによる電荷及び熱を蓄積する高速回転アノードを支持する高速回転装置であって、 第一の圧力にある第一の環境と、高真空にある第二の環境との間を貫通すると共に前記アノードを前記第二の環境内に支持する磁気透過性の導電性シャフトであって、
    かなりの熱が生成され在来手段による電気的接地が困難な速度において回転可能なシャフトと、 前記シャフトの一部を取り囲むハウジングと、 第一の圧力側と高真空側とを有し、前記ハウジング内に配置されて前記シャフトを支持する第一の軸受け手段と、 前記シャフト上で且つ前記第一の軸受け手段の前記高真空側において、第一の圧力側と高真空側とを有する第一の多段階強磁性流体ロータリシールであって、前記第一の圧力と前記高真空との間の全圧力降下に耐えるに十分な圧力性能を有するよう設計構成された第一の強磁性流体シールと、 第一の圧力側と高真空側とを有し前記第一の強磁性流体シールの前記高真空側において前記シャフトをさらに支持する第二の軸受け手段と、 前記第二の軸受け手段の前記高真空側にあり前記シャフト上で前記第一の強磁性流体シールと直列に設けられた第二の強磁性流体ロータリシールであって、低い圧力耐性を有するがバーストの可能性を最小限とする構造を有する一段階シールである第二の強磁性流体シールと、 前記第一の強磁性流体シールと前記第二の強磁性流体シールとの間に密閉中間容積を画定し、また該中間容積を前記第一の圧力と前記高真空との間の圧力へと抜気することを可能にするポートを画定する手段と、 前記シャフト及び前記回転アノードからの熱を散逸させる手段と、及び前記第一の圧力にある環境内で前記回転アノードを接地する手段とからなる、高速回転装置。
  • 【請求項20】 第一の環境内にある第一の回転可能な導体と接地手段との間に電気的接触を確立するための装置であって、 前記第一の回転可能な導体と連続的且つ静的接触状態にあり、前記第一の環境から第二の環境内へと外側に延びる少なくとも一つの部分を含む、第一の中間導体手段と、 前記第二の環境内で前記第一の中間導体手段と連続的且つ静的な接触状態にある第二の中間導体手段と、及び前記第二の中間導体手段と連続的且つ静的な接触状態にあり、また前記接地手段と連続的接触状態にあって、前記第一の回転可能な導体を効果的に接地する第二の回転可能な導体とからなる装置。
  • 【請求項21】 前記第一の中間導体手段が第一の導電性シャフトからなり、前記第二の環境内へと延びる前記少なくとも一つの部分が駆動ベルトを受容するよう構成されており、 前記第二の中間導体手段が、前記第一のシャフトと係合する可撓性の導電性ベルトからなり、 前記第二の回転可能な導体が、前記導電性ベルトを受容し係合されるよう構成された第二の導電性シャフトからなり、及び前記接地手段が回転可能なシャフトを電気的に接地する在来手段からなる、請求項20の装置。
  • 【請求項22】 前記在来の接地手段が、水銀スリップリング、グラファイトブラシ及び金箔ブラシからなる群より選択される、請求項21の装置。
  • 【請求項23】 在来手段による接地が困難な高速において回転可能な第一の導体と、接地手段との間に電気的接触を確立するための装置であって、該装置が、 前記第一の回転可能な導体と連続的且つ静的な接触状態にある第一の中間導体手段と、 前記第一の中間導体手段と連続的且つ静的な接触状態にある第二の中間導体手段と、 前記第二の中間導体手段と連続的且つ静的な接触状態にあり、また前記接地手段と連続的接触状態にあって、在来手段による接地が実行可能な速度で回転可能な第二の導体とからなり、前記第一の回転可能な導体が効果的に接地される装置。
  • 【請求項24】 前記第一の中間導体手段が駆動ベルトを受容するよう構成された第一の導電性シャフトからなり、 前記第二の中間導体手段が、前記第一のシャフトと係合する可撓性の導電性ベルトからなり、 前記第二の回転可能な導体が、前記導電性ベルトを受容し係合されるよう構成された第二の導電性シャフトからなり、及び前記接地手段が回転可能なシャフトを電気的に接地する在来手段からなる、請求項23の装置。
  • 【請求項25】 前記在来の接地手段が、水銀スリップリング、グラファイトブラシ及び金箔ブラシからなる群より選択される、請求項24の装置。
  • 【請求項26】 第一の半径を有し、第一の圧力にある第一の環境と第二の圧力にある第二の環境との間を通過する第一の導電性シャフトであって、在来手段による接地が困難な第一の速度で回転可能なシャフト上に設けられた、前記第一の環境内の第一の回転可能な導体について用いる接地構成であって、 前記第二の環境内において前記第一のシャフトに係合する導電性の可撓性ベルトと、 前記第二の環境内にあり前記可撓性ベルトにより係合される第二の導電性シャフトであって、前記第一の半径よりも大きな第二の半径を有し、前記第一の速度よりも遅い第二の速度で回転可能な第二のシャフトと、及び前記第二のシャフトに接触して前記第一のシャフトを接地せしめる接地手段とからなる構成。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は一般に強磁性流体シールに関し、より詳しくは、高真空にある環境から大気圧の環境へと通される高速回転シャフトをシールするための、機械的に安定な多段階強磁性流体シール装置、及び高速回転シャフトを接地するための方法に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】コンピュータ助成トモグラフィ(CAT
    スキャン)は、高真空の領域にあるアノードに向けて電子ビームを発射することにより生成されるX線を用いる医療的診断方法である。 この用途においては、低密度のX線を長い時間発生するのではなく、高密度のX線を比較的短時間発生することが必要である。 なぜならば後者の方が人体により耐性があるからである。 この目的のためには、アノードに衝撃を与えてX線を発生させるために、高電の電子ビームを用いるのが有利であるが、この方法は金属製のアノードに熱を生じ、また放射線により誘起される劣化を生ずる。 従って、アノードは通常、
    非常に迅速に(1分当たり6000から12000回転)回転するシャフト上に設けられ、それにより電子ビームに対して新しいアノード表面が連続的に呈示されるようにされる。 アノード表面がビームの外側へと回転すると、再度ビーム内へと導入される前に冷却することが可能となり、かくしてアノードの劣化が回避される。 また、X線を発生するアノード及びその支持装置は、人体に関する所要の種々の度からの分析を比較的短時間で実行することができるように、一般にはCATスキャン装置の上部を横切って前後に激しく加速される。 従って軽重量であることが望ましく、また高真空を維持するための連続的な排気の必要性を排除することが有利である。 この用途においては、1分当たり6000から12
    000回転(RPM)のアノード支持シャフト速度が長期にわたって達成されることが理想であり、従ってシャフト構成の機械的安定性は極めて重要である。

    【0003】電子銃がアノードに向けて発射されるにつれて、アノード及びシャフトには電荷が蓄積されるから、シャフトは効率的に電気的に接地されねばならない。 さもないと、シャフト支持軸受けとの間でアークが生じ、それらが長期にわたって損なわれることになる。
    例えば銀のスリップリング、カーボンブラシ、或いは金箔ブラシなどを介して、従来から真空環境内部において行われてきた接地は、粒状物質を生成する結果となって真空を汚染する。 また非常に高速のシャフト回転速度(6000−12000RPM)においては、シャフトにおける直接的な有効な接地は、どの領域においても不可能となる。 加えて、軸受けの近傍においての従来の接地は、軸受けを損傷する粒状物質を生じ得る。

    【0004】強磁性流体シールは、上述したのと同様の用途において、気体及びその他の汚染物質に対する気密シールを提供するために用いられている。 強磁性流体シールは、コンピュータの磁気ディスク記憶ユニットにおいて汚染物質がディスク領域に到達するのを防止するために、また半導体ウェーハの超高真空製造に用いるよう設計されたロボットアクチュエータについて、さらには精油所及び化学プラントのポンプ用にも用いられている。

    【0005】強磁性流体シールは通常、回転シャフトの周囲では静止状態に留まるように設置されるが、シャフトの周囲でハブが回転する固定シャフトをシールするようにも設置することができる。 これらのシールは一般に、回転シャフトと固定のシール表面との間のギャップに強磁性流体を用いることによって作動するものであって、強磁性流体をギャップ内にシール密封液体Oリング状態で保持し集中させるための所望の磁束経路をもたらす環状磁石を含んでいる。 強磁性流体シールは典型的には、軸方向に分極した環状の永久磁石と、この磁石を挟み込んでいる一対の磁気透過性の環状極片とを含み、極片の内側周縁は回転シャフトの外側表面に向かって延在し、それとの間に密接な非接触ギャップを形成するようになっている。

    【0006】一段階強磁性流体シールは、単一の環状極片をシャフトを取り囲む密な近傍に配置し、そして単一の磁石と磁気的に連通させることによって生成される。
    強磁性流体は、磁石によって作り出される磁界によって、この極片とシャフトとの間のギャップに保持され、
    磁石、極片、ギャップ及びシャフトを含む磁気回路を辿る。 一段階シールにおいては、好適には、やはりシャフトと密接した近傍にあり磁石の他方の極と磁気的に連通している別の環状極片を用いることができる。 この別の極片とシャフトとの間のギャップは一般には強磁性流体を含まないが、この一段階シールにおいて強磁性流体を保持しているギャップを横断する磁束を強め、それによりシールの圧力性能を向上させる。

    【0007】強磁性流体シールは一段階より多くからなることができる。 即ちこのシールは一連の別々の極片からなることができ、或いは極片(単数又は複数)が複数のリッジ及び溝を含み、各々のリッジがシャフトの密接近傍にあって極片とシャフトとの間に環状のギャップを画定するようにできる。 強磁性流体はこれらのギャップの幾つか又は全部に保持されて、多段階強磁性流体シールが形成される。

    【0008】別の実施形態では、一つ又は複数の極片にではなく、シャフトに一連のリッジ及び溝が形成され、
    このシャフトを取り囲み密接近傍にある環状の極片及び磁石構造と、密接近傍にある多段階強磁性流体シールを画定する。

    【0009】単一の極片、一連の極片、極片(単数又は複数)の複数のリッジ、或いはシャフトのリッジ(単数又は複数)の各々は、同じ同心半径を有する必要はない。 即ち、得られる環状ギャップの大きさは、極片相互間又はリッジ相互間で同一である必要はない。 加えて、
    極片及び/又はリッジが同じ幅である必要もなく、また同じ幾何学的設計である必要もない。 極片又はリッジの幾つかはテーパを付けられて、シャフトの軸心に向かって半径方向に延伸する傾斜壁を有するくさび形の環状ギャップを形成することができる。

    【0010】極片の幅及び/又はテーパの多様さは、結果として一つ又はより多くの環状ギャップにおける強磁性流体の選択的な保持をもたらし、一つ又はより多くの強磁性流体シールを選択的に生じさせ、そこにおいては各々の環状ギャップが本来的にシールを画定する。 加えて、テーパ付きの極片により形成されたギャップは通常は強磁性流体をより長期にわたって保持し、またテーパ付きの極片又はシャフトはシャフト又はハブの高速回転時に強磁性流体が飛散するのを防止する。 本出願人に対して譲渡された、1982年11月2日に発行された米国特許第4357021号及び1992年1月2日に発行された米国特許第4890850号は、以上のようなギャップ選択的な強磁性流体の保持を記載している。

    【0011】静的又は動的の何れかの条件の下で、高真空系をシールするために用いられている在来の強磁性流体シールは、典型的には、空気の周期的なバーストがシールを通過して真空系内へと導入されることを許容する。 空気のバーストの周期性は、シールの構成と作動条件とに依存している。 さらにまた、静的状態にあった後に強磁性流体シールが最初に用いられる場合には典型的に、空気のバーストが真空系内へと導入される。 このようなバーストが生ずるシール構成においては、高真空環境は連続的排気手段により対処されねばならないが、これは装置全体に重量を付加するものである。

    【0012】この問題を取り除くように設計された、非バーストの多段階強磁性流体シールが、1983年10
    月4日に発行された米国特許第4407518号に記載されている。 そこに記載の発明においては、第一の多段階環状シールが、第二の一段階環状シールとシャフトに沿って直列に配置されており、この第二のシールは第一のシールの高真空側にある。 第一の多段階環状シールは、大気圧(又は高圧)と高真空との間の全圧力降下に耐えるように設計構成されている。 第一と第二のシールの間の環状領域は、大気圧(又は高圧)と高真空の間の圧力、普通は低圧力又は高真空よりも僅かに劣る真空に維持される。 従って、大気圧又は高圧領域とこの中間領域との間の圧力差から生ずる、第一の多段階シールにおける何らかのバーストは、中間領域だけに影響するが、
    この領域は低真空に指定されているため、比較的妨害を受けない。 第二の一段階シールの両側の真空は実質的に同一であり、又は第二のシールを横切る圧力差は第二のシールでバーストを生ずるのに必要な圧力よりは小さいものに過ぎない。 従って第二のシールにおいてバーストは生じない。 結果として高真空領域は、改良された、より長きにわたる真空となる。

    【0013】しかしながら、上記の発明においてシャフトを支持している軸受けは、機械的な安定性のために、
    第一及び第二のシール並びに中間真空領域と直列に、且つそれらを取り囲んで配置されている。 従って上記の発明において、少なくとも一つの軸受けは高真空領域に露出される。 この構成は結果として、軸受けが高真空領域内へと気体を放出することになり、高真空領域をより早く汚染すると共に損ない、連続的な排気を必要とするものである。

    【0014】高真空領域を軸受けの気体放出から分離するための一つの手法は、「片持ち梁」構成であり、そこにおいては多段階シールがシャフトの周囲に配列され、
    全てのシャフト支持用軸受けはこのシールと直列であるが、その大気圧又は高圧側にあるようにされる。 (米国ニューハンプシャー州ナシュアのフェロフルイディクス社から市販されている。)しかしながらこの構成のためには、軸受けはシャフトの比較的端部においてではなく、比較的一緒に近接して隔置されるものであり、その結果シャフトは高回転速度では機械的に不安定となる。

    【0015】さらに、上述した強磁性流体シール構成は、アノードその他の電荷を生成するデバイスが設けられるシャフトをシールするために用いられた場合、シャフトが効果的に電気的に接地されていない場合には、シール間でのアークを生じてしまう。 このようなアークは強磁性流体を「ゲル」化してシールを損傷してしまうが、前述したように、高速の回転シャフトを接地することは難しい。

    【0016】

    【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の一般的な課題は、ほぼ大気圧又は高圧である第一の圧力にある環境と、第一の圧力未満か又はそれに等しく、一般には高真空である第二の圧力にある環境との間を通過する回転シャフトをシールするための、差別的に排気された、
    多段階の機械的に安定な、非バースト強磁性流体シール装置を提供することである。 この装置は非常に高速のシャフト回転速度においても機械的に安定なように構成され、なおかつ高真空領域内への軸受けの気体放出及び強磁性流体シールのバーストが排除されるように構成される。 この装置はさらに、連続的な機械的真空排気が必要でないように構成され、またシャフトは高速回転とは余り関係なく、また真空及び軸受けとも余り関係なく電気的に接地される。 上記の課題はシール装置を、高速回転アノードを支持する目的に適合させるものであり、このアノードはCATスキャン装置その他においてX線を発生するために電子ビームに暴露される。

    【0017】

    【課題を解決するための手段】本発明の以上の及びその他の課題、並びに利点は、第一の多段階シールが高速回転可能なシャフトを取り囲み、第一の高圧環境と第二の高真空環境との間の全圧力降下に耐えるよう設計構成された、多段階非バースト強磁性流体シール装置を提供することによって達成される。 シャフトを支持する軸受けは第一の多段階シールの両側に、またシャフトの比較的端部において機械的な安定な構成で設けられ、そして第二の一段階シールがシャフト上に、第一のシールと直列に配列される。 この第二のシールは高真空環境を軸受けから分離して、軸受けが高真空環境内へと気体を放出することを防止し、また第一及び第二のシールの間に密閉された中間容積を画定する。 この中間容積は第一の圧力と高真空の間で高真空よりも僅かに劣る圧力(通常は低圧又は真空)に維持され、第二のシールを横断する高真空環境へのバーストが生じないようになっている。

    【0018】直接的な在来の接地が実行可能なよりも高速で通常回転することが可能なシャフトは、可撓性の導電性駆動ベルトを用いて都合良く接地される。 このベルトはシャフトと係合し、またこの第一のシャフトが回転するよりも遅い速度で、且つ在来手段による接地が実行可能な速度で回転する第二のシャフトと係合する。 第二のシャフトの電気的な接地は好都合には、高真空環境から離れた、また第一のシャフトを支持する軸受けから離れた環境において行われる。

    【0019】本発明の他の利点、新規な特徴及び課題は、添付図面に関連して本発明の以下の詳細な説明を考慮した場合に明らかとなろう。

    【0020】図1を参照すると、従来技術による強磁性流体シール装置10が示されており、これはアルミニウム、ステンレス鋼その他からなる非磁気透過性のハウジング11を含み、このハウジングは該ハウジングを真空チャンバ14の壁13に固定できるようにする延伸フランジ要素12を有する。 磁気透過性の中空又は中実のシャフト15が、大気圧又は高圧環境16と真空チャンバ14の間で、ハウジング11を通って延びている。 ハウジング11の内側且つ両端には、シャフト15を支持する軸受け要素17及び18が配置されている。

    【0021】このシール装置は、一連のリッジ及び溝を含む磁気透過性の極片19を含み、リッジはシャフト1
    5の密接近傍にあり、シャフトと極片のリッジとの間に環状のギャップ20を画定している。 極片19は静的シール21により、ハウジングの内部壁面に固定される。
    このシール装置は、極片19に直接隣接し且つ磁束接触する、軸方向に分極した永久磁石22を含み、これにより永久磁石22、極片19、シャフト15及び環状ギャップ20を含む磁気回路(磁束線23により示す)が形成されている。 磁束はギャップ20に集中され、そこには強磁性流体が保持されて、複数のギャップがシャフトの表面の周囲で複数の強磁性流体Oリングシールを画定するようになっている。 各々の強磁性流体シールは、所定の圧力性能を有する。 従って、高圧領域16と真空チャンバ14即ち高真空領域との間には、一連の圧力段階が形成される。

    【0022】従来技術のこの実施形態において、真空チャンバ14は、ギャップ20におけるシールのバースト、および軸受け18による気体放出を受ける。 従って、真空チャンバ14に十分な真空を維持するためには、機械的又は拡散ポンプ24による連続的な排気が必要となる。 図1はまた、シャフト15を駆動するためのベルトを受容するよう構成された機械加工された領域即ちプーリ36と、シャフト15を通して水その他の冷却剤を循環させるための回転ウォーターユニオン42を示している。

    【0023】図2は、強磁性流体シールについての上述のバーストを示している。 図2(a)は、シール段の両側の圧力が同一又はほぼ同一の場合の、一段階極片又は多段階極片の一つの段の下側にある強磁性流体シールの流体形状を示す。 図2(b)は、シールの片側に高圧環境が存在し、他の側には低圧環境が存在している、シールの最大圧力性能時点における一段階強磁性流体シールを示す。 図2(c)は、最大圧力性能を越えて「バースト」が生じた時点、即ち少量の空気その他の気体がシールの高圧側から低圧側へと移動した時点における一段階シールを示す。 このようなバーストは、強磁性流体シールの有効性を減ずる。

    【0024】図3は、上述のバーストの問題を補正するよう設計された、従来技術の強磁性流体シール装置を示す。 この従来技術の実施形態においては、磁束線23によって示されている磁気回路は、永久磁石22と、極片25及び26と、シャフト15と、複数の環状ギャップ20と、及び単一の環状ギャップ27とを含む。 第一の多段階シールは、極片25上のリッジがシャフト15に近接することにより形成された複数の環状ギャップ20
    により画定され、このギャップは磁束によりそこに保持される強磁性流体を含んでいる。 この多段階シールは、
    大気圧又は高圧領域16と真空チャンバ14内の高真空との間の全圧力降下に耐えるに十分な圧力性能を有するよう設計構成されている。 第二の、一段階強磁性流体シールが、一段階極片26がシャフト15に近接することにより形成された環状ギャップ27により画定されており、このギャップは磁束によりそこに保持された強磁性流体を含んでいる。 この第二の一段階シールが有する圧力耐性は低い。 この実施形態においては、極片25と2
    6の間にある密閉された環状の中間容積28が、大気圧又は高圧領域16と真空チャンバ14内の高真空との間の圧力へと、しかし実質的には高真空に近い圧力へと、
    通常は機械的な真空ポンプであるポンプ装置29により抜気されている。 中間容積28内の適切な圧力は、ポンプ装置29を制御するよう構成可能なゲージ90によって維持されている。 かくして第二の、ギャップ27にある一段階シールを横切る圧力差は小さく、またこの第二の一段階シールでバーストを生ずる可能性は観念的には排除され、真空チャンバ14内の高真空はより効果的に維持される。 バーストは第一の、環状ギャップ20により画定された多段階シールにおいては生ずるが、しかしポンプ装置29により抜気されている中間容積28には有害な影響はない。 この構成においては、軸受け17及び18はシャフト15を比較的その端部において、機械的に安定な構成で支持しているが、しかし軸受け18は高真空環境即ち真空チャンバ14に露出されており、そこへ気体を放出する。 従って高真空領域たる真空チャンバ14はこの軸受けの気体放出により僅かに汚染され、
    ポンプ24における連続的な排気により対処されねばならない。

    【0025】図4は、従来技術による多段階強磁性流体シール装置であって、高真空領域内への軸受けによる気体放出の問題を排除するものを示している。 この従来技術の実施形態においては、極片19、シャフト15及び永久磁石22を含む在来の多段階強磁性流体シールが、
    シャフト15上で軸受け17及び18よりも高真空側に配置されている。 軸受け17及び18は高真空環境即ち真空チャンバ14からは効果的にシールされており、従って真空チャンバ14内への軸受けによる気体放出は生じない。 しかしながら、在来の多段階シールにおけるバーストは生ずるため、高真空の真空チャンバ14はポンプ24により連続的に抜気されねばならない。 加えて、
    この「片持ち梁」式の構成の故に、即ち比較的長いシャフトが軸受け18から張り出して、高真空環境の真空チャンバ14にあるシャフト端部にまで至ることにより、
    シャフトは機械的に比較的不安定であり、高速のシャフト回転においては過剰の振動が生ずる結果となる。

    【0026】図5は、従来技術によるテーパ付きの一段階強磁性流体シールの断面図を示す。 これは磁石91
    と、この磁石の両側にある極片31及び32とからなり、シャフト15の周りに配置されて、磁束線33により示される磁気回路を形成している。 最初の設置に際しては、強磁性流体はギャップ34及び35の両方に存在しているが、シャフトが高速回転すると、ギャップ34
    にある強磁性流体は蒸発に十分なくらい加熱されるが、
    これは極片31が極片32よりもかなり細く、シールからの熱を効率的という程には散逸しないからである。 従って、僅かな初期設置動作期間の後にはギャップ34の強磁性流体は蒸発し、一方ではギャップ35にある強磁性流体は残存するため、結果的には一段階シールとなる。 極片32のテーパは、テーパのない極片において存在するよりも多くの容積の強磁性流体をギャップ35が保持することを可能にし、同時に極片32と最も近い個所においてはシャフト15の密接近傍にあるという利点をももたらす。 その結果、リザーバとして作用する過剰の強磁性流体がもたらされ、蒸発に抵抗し、シール寿命は長くされる。

    【0027】

    【実施例】図6は本発明による、高速回転シャフトに用いるための、そしてまた最小限の重量の、非バースト、
    非気体放出の、機械的に安定な多段階強磁性流体シール構成の一実施例を示している。 図6においては、CAT
    スキャン装置その他において高密度X線を発生させるための実施例が示されており、X線66を発生させるためにアノード58に向けて発射される電子銃65が含まれている。

    【0028】この実施例においては、永久磁石22、極片19、磁気透過性のシャフト15、及び極片19上のリッジ49とシャフト15との間の環状のギャップ48
    からなる第一の多段階強磁性流体ロータリシールが、シャフト15を取り囲んでいる。 この多段階シールは、大気圧又は高圧領域16の如き第一の圧力にある環境と、
    真空チャンバ14内の高真空の如き第二の圧力にある環境との間の全圧力降下に耐えるのに十分な圧力性能を有するよう、設計構成されている。 リッジ49は極片19
    から、好ましくは約0.25から約1.0ミリ(約0.
    010から0.040インチ)、好ましい実施例では約0.46から約0.56ミリ(約0.018から約0.
    022インチ)延びている。 リッジ49は好ましくは幅が約0.15から約0.38ミリ(約0.006から約0.015インチ)であり、また好ましい実施例では約0.20から約0.25ミリ(約0.008から約0.
    010インチ)の幅である。 極片19の各々は、好ましくは約10から約30のリッジを有して、各々に10から30の強磁性流体段を画定し、また好ましい実施例では各々約17から約23の段を有する。 環状のギャップ48を画定するリッジ49とシャフト15との間の間隙は、好ましくは約0.025から約0.20ミリ(約0.001から約0.008インチ)であり、より好ましくは約0.051から約0.10ミリ(約0.002
    から約0.004インチ)である。 リッジ及び溝が極片19にではなく、シャフト15に設けられている実施例であっても、多段階シールに環状ギャップ48を形成するものであることが理解されよう。

    【0029】第二の、一段階強磁性流体シールが磁石4
    3と、極片44及び45と、磁気透過性のシャフト15
    と、環状ギャップ46及び47とを含み、第一の多段階シールの高真空側においてシャフト15を取り囲んでいる。 好ましい実施例においては、極片44は極片45よりも幅広いものであり、またシャフト15に対してより密接近傍にある。 従って強磁性流体は環状ギャップ46
    に選択的に保持され、図5に関して議論したシールの如く一段階シールを生ずる。 極片44とシャフト15との間の環状ギャップ46は、約0.025から約0.25
    ミリ(約0.001から0.01インチ)の幅、好ましくは約0.051から約0.15ミリ(約0.002から約0.006インチ)の幅である。 極片45とシャフト15との間の環状ギャップ47は、約0.076から約0.51ミリ(約0.003から約0.20インチ)
    の幅、好ましくは約0.10から約0.20ミリ(約0.004から約0.008インチ)の幅である。 極片44は平坦又はテーパ付きであることができ、好ましい実施例ではテーパ付きとされて、シャフトの軸心に向かって半径方向に延びる傾斜した壁を有する環状のくさび形のギャップを形成し、その結果より長いシール寿命をもたらす。 環状ギャップ46に関して上述した寸法は、
    極片44がテーパ付きとされている実施例においては、
    シャフト15に最も近い極片44の部分に関するものである。 代替的な実施例においては、極片44及び45は反対にされ、従って一段階シールは磁石43の何れの側の極片においても形成することができる。 また別の実施例においては、極片44それ自体ではなく、極片44の最も近傍にあるシャフト15の部分をテーパ付きとすることができる。 一段階シールは磁石と、シャフトと、そして二つの極片ではなく単一の極片とからなることができることをも理解すべきである。

    【0030】第一の多段階シールと第二の一段階シールとの間は、環状の密閉された中間領域50となっており、大気圧又は高圧領域16と真空チャンバ14の高真空との間の圧力へと抜気されている。 中間領域50は好都合には、大気圧(又は高圧)と高真空の間にある圧力に維持されるが、これは通常は低圧、即ち高真空よりも僅かに劣る真空である。 かくして中間領域50は理想的に、第二の一段階シールを横断する圧力差がその圧力性能を越えないような圧力(真空)に維持され、その結果、一段階シールのバーストは生じない。 この圧力差は好ましくは250torrよりも小さく、より好ましくは100torrよりも小さい。 中間領域50にはポート94が接続されていてそこに所望の圧力(真空)を維持するようになっており、ポート94に接続された排気機構51がかかる真空を生成し及び/又は維持する。 排気機構51は機械的な真空ポンプその他からなることができ、好ましい実施例においては、機械的手段により周期的に抜気されることのできる軽量の真空バラストタンクからなる。 ポート94と排気機構51との間にはゲージ92を配置することができ、排気機構51を制御するように構成可能である。 好ましい実施例では、軽量のバラストである排気機構51における圧力を測定し、表示するよう構成できる。 代替的な実施例においては、ゲージ92はバラストである排気機構51上に配置することができる。

    【0031】シャフト15は、軸受け17及び18を含む機械的に安定な軸受け配列により、その比較的端部において支持されている。 軸受け18はこの実施例では、
    第二の一段階シールによって高真空領域即ち真空チャンバ14から分離されており、従って軸受け18からの気体放出は全て中間領域50のみに影響し、真空チャンバ14の高真空領域には影響しない。 中間領域50は作動中、第一の多段階シールからのバースト及び軸受け18
    の気体放出のみを受け、軽量のバラストタンクである排気機構による周期的な排気により、所望の真空に維持することが可能である。 軸受け17及び18は、磁気透過性の軸受け又は磁気非透過性の軸受けからなることができる。 磁気透過性の軸受けが用いられる場合には、磁気絶縁手段(図示せず)が軸受けと極片との間に配置されるのが好都合であり、それによりこれらを磁気回路から絶縁する。

    【0032】従って本発明の一つの利点は、真空チャンバ14内の高真空領域が何らシールのバースト又は軸受けの気体放出を受けず、ただ真空チャンバを形成しているガラスやスチール等の固体材料からの気体放出を受けるだけであるということにある。 従って、真空チャンバ14は機械的な又は拡散ポンプによる連続的な排気により対処される必要はなく、高真空領域の真空チャンバ1
    4のポート61を指定したイオンポンプ60の如き軽量の手段を用いて、高真空を容易に維持することができる。 イオンポンプは周知であり、米国カリフォルニア州パロアルトのバリアン社、米国カリフォルニア州サンタクララのサーミオニクス社などから市販されている。 好ましい実施例では、真空チャンバ14内の高真空領域はイオンポンプ60によって1×10 -6 torrまたそれ以下に維持され、その一方において大気圧又は高圧領域16は1から5気圧の圧力を示す。 初期設置に際して真空チャンバ14は、ポート61を介しての機械的排気又は拡散排気などの在来の手段により、高真空へと抜気される。

    【0033】シャフト15は中実又は中空であることができ、好ましい実施例では中空であって、水、エチレングリコールその他の如き冷却剤を回転ウォーターユニオン42によりシャフトを通して循環させることができる。 シャフト15はマルテンサイトステンレス鋼又はその他の磁性合金から製造することができ、好ましい実施例では416ステンレス鋼合金から製造される。 シャフト15は高真空領域である真空チャンバ14内において、取付プレート57でもって終端し、その上には回転可能なアノード58その他を設けることができる。 他方の、大気圧又は高圧領域にある端部においては、シャフト15は機械加工された領域又はプーリ36を含み、駆動ベルトを受容する。

    【0034】ハウジング54は取付フランジ55を含み、オーステナイトステンレス鋼、アルミニウム、その他の非磁性材料から製造することができる。 好ましい実施例においては、ハウジング54はステンレス鋼から製造される。 ハウジング54は冷却剤チャネル75を含み、そこを通して水、エチレングリコールその他の冷却剤が循環されて、高速回転時に環状ギャップ48並びに軸受け17及び18において発生された熱を受け取り、
    またアノード58において発生された熱を取付プレート57、シャフト15及び環状ギャップ48を介して受け取る。 第二の一段階シールの近傍において、同様のチャネルをハウジング54に含めることができる。 しかしながら好ましい実施例においては、一段階シール及びそれを取り囲むハウジング54は全体として、環状ギャップ46における熱をシールから効率的に受け取り、散逸するのに十分なほど嵩高である。 ハウジング54にはまた、着脱可能領域93が含まれており、必要な場合には一段階シール、軸受け18、及び中間領域50を容易に保守できるようになっている。

    【0035】本発明の如き種類の強磁性流体シールに用いられる強磁性流体は、技術的に公知のものであり、1
    975年11月4日に発行された米国特許第39175
    38号、及び1982年10月26日に発行された米国特許第4356098号に記載がある。 米国ニューハンプシャー州ナシュアのフェロフルイディクス社から市販されている幾つかの強磁性流体の何れのものも、本発明の好ましい実施例に用いることができる。 本明細書に示した実施例において最も好ましい強磁性流体は、フェロフルイディクス社から商品番号第VSG−803として市販されている。

    【0036】図7は、高速回転シャフト15のプレート57上に設けられたアノード58の如き回転可能な導体と接地との間に電気的な接触を確立させるための、本発明の一実施例によるシステムを示している。 この実施例において、シャフト15は中間の導電手段として機能するものであり、高真空領域である真空チャンバ14の外側に、大気圧又は高圧領域16へと延びている。 シャフト15は、導電性のベルト37を受容するよう機械加工された領域36を含む。 代替的な実施例においては、プーリ36が導電性ベルト37を受容する。 動作時には、
    ベルト37はプーリ36即ち機械加工領域の周りに通され、従ってベルト37の一部は常にこの機械加工領域即ちプーリ36と静的接触状態にある。 在来のブラシによる接地の場合に生ずるような、相互に相対的な導体の摺動は生じないから、電気的な接触を効果的に行うことができる。 ベルト37はモータ39及び第二の導電性シャフト40により駆動された導電性プーリ38により係合されており、このプーリ38とも連続的且つ静的な電気的接触状態にある。 シャフト40は、水銀スリップリング、グラファイトブラシ、或いは金箔ブラシなどの在来の接地手段41により接地されている。 好ましい実施例においては、プーリ38は機械加工領域即ちプーリ36
    よりも大きな半径を有し、従ってシャフト15はモータの回転につれてシャフト40よりも高速に回転する。 本発明によるシャフト15の所望の回転速度(約6000
    から約12000RPM)においては、在来手段による接地は実行可能ではないが、この構成は約1000から約4000RPMで、好ましい実施例においては約20
    00から3000RPMで回転しているシャフト40に電荷を伝達するものであり、そこにおいては在来手段による接地が実行可能である。

    【0037】接地はまた、軸受けの直近又は高真空領域である真空チャンバ14内で行うのは望ましくない。 これは在来のブラシが動作時に粒状物質を放出し、それが軸受けを損傷し、真空環境を汚染するからである。 従って本発明は、シャフト15を支持している軸受けから離れた、また高真空の真空チャンバ14から離れた位置において接地を好適に実行するものである。

    【0038】上述したように、接地手段41はいかなる在来の接地用ブラシその他からなることもできる。 好ましい実施例においては水銀スリップリングアセンブリが用いられるが、これは3000RPMまでの速度で回転するシャフトを効率的に接地することができる。 かかるスリップリングは技術的に公知のものであり、米国コネチカット州スタンフォードのウェンドン社から市販されている。 導電性のベルトもまた技術的に公知であり、米国コネチカット州ミドルタウンのアドバンスト・ベルト・テクノロジー社から市販されている。 モータ39は在来のどのようなモータからなることもできる。 かかるモータは、例えばゼネラル・エレクトリック社から容易に入手可能である。

    【0039】図7にはまた、中空のシャフト15を通して冷却剤を循環し、アノードにおいて、またシャフトの高速回転により生成された熱を取り除くための回転ウォーターユニオン42が示されている。 回転ウォーターユニオンは技術的に公知であり、米国ノースカロライナ州シャーロットのダフ−ノートン社から市販されている。

    【0040】かくして図7は、従来技術に従って高速シャフト15が冷却される構成と、本発明の実施例によりこのシャフトが接地される構成を示している。

    【0041】本技術分野における当業者は、本明細書に記載された全てのパラメータが例示を意図したものであること、及び実際のパラメータはシール及び接地構成が使用される特定の用途に依存するものであることを容易に認識するであろう。 従って、上述の実施例は例示としてのみ呈示されたものであって、本明細書の特許請求の範囲、及びその均等の範囲内において、本発明を以上に特定的に記載したのとは異なる仕方で実施することが可能であることが理解されよう。

    【0042】

    【発明の効果】以上の如く本発明によれば、ほぼ大気圧又は高圧である第一の圧力にある環境と、第一の圧力未満か又はそれに等しく、一般には高真空である第二の圧力にある環境との間を通過する回転シャフトをシールするための、差別的に排気された、多段階の機械的に安定な、バーストの生じない強磁性流体シール装置が提供される。 この装置は非常に高速のシャフト回転速度においても機械的に安定であり、高真空領域内への軸受けの気体放出及び強磁性流体シールのバーストは排除される。
    連続的な機械的排気は必要でなく、高速回転にも関わらずシャフトを好適に接地することができる。 このシール装置は高速回転アノードを支持する等の目的に適しており、CATスキャン装置その他において良好に用いられる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】回転シャフトの周りで作動する従来技術の強磁性流体シールの断面図である。 図示の便宜のため、この従来技術のシールは回転X線アノードの用途に用いられたものとして示されている。

    【図2】各種の圧力差に対して一段階強磁性流体シールを暴露した場合の既知の効果を示す説明図である。

    【図3】第一の多段階シールと第二の一段階シールとの間にある中間の差別的に排気された領域を示す、回転シャフトの周囲で動作する従来技術の強磁性流体シールの断面図である。 図示の便宜のために、この従来技術のシールは回転X線アノードの用途に用いられたものとして示されている。

    【図4】軸受けが高真空領域内へと気体を放出することを排除するために、軸受けと高真空領域の間において多段階シールがシャフト上に配置されており、片持ち梁式のシャフト/軸受け構成を必要としている、回転シャフトの周りで作動状態にある従来技術の強磁性流体シールの断面図である。 図示の便宜のために、この従来技術のシールは回転X線アノードの用途に用いられたものとして示されている。

    【図5】回転シャフトの周りで作動状態にある、従来技術のテーパ付き一段階強磁性流体シールの断面図である。

    【図6】本発明の一実施例に従う、回転シャフトの周りで作動する差別的に排気された非バースト強磁性流体シールの断面図である。

    【図7】本発明による、高速シャフトの電気的接地構成の一実施例を示す説明図である。

    【符号の説明】

    14 真空チャンバ 16 大気圧又は高圧領域 15 シャフト 17,18 軸受け 19,44,45 極片 22,43 永久磁石 36 プーリ 37 ベルト 46,47,48 環状ギャップ 49 リッジ 50 中間領域 51 排気機構 54 ハウジング 58 アノード 65 電子銃 66 X線 92 ゲージ

    ─────────────────────────────────────────────────────

    【手続補正書】

    【提出日】平成5年8月9日

    【手続補正1】

    【補正対象書類名】図面

    【補正対象項目名】全図

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【図1】

    【図5】

    【図2】

    【図3】

    【図4】

    【図7】

    【図6】

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