【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、筐体部分とカード部分とからなるモデム等の通信機能を有するPCカード一体型電子機器に関し、特に、筐体部分とカード部分を回動自在に接続したPCカード一体型電子機器に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、パーソナル・コンピュータ等の小型情報端末を通信回線に接続し、データを送受信する場合には、モデム(変復調装置)等のPCカード一体型電子機器が用いられている。 図7に従来の一般的なPC カード一体型電子機器の斜視図を示す。 同図に示すように、この種のPCカード一体型電子機器10は、筐体部11とカード部12とで構成されており、カード部12 が筐体部11の側面端部に一体成形等により固定された構造となっていた。 そして、このような構造からなる従来のPCカード一体型電子機器は、図8に示すように、 パーソナルコンピュータ等の小型情報端末9にカード部12を装着することにより使用していた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従来のPCカード一体型電子機器にあっては、装着される小型情報端末等のカード装着部近傍に各種の操作スイッチ,接続コネクタ,あるいは赤外線の発信部・受信部等が配置されている場合には、筐体部がこれらを塞いでしまったり、あるいは操作の邪魔になったりするという問題があった(図8,9参照)。 特に、近年の小型情報端末にあっては、小型化,軽量化,高機能化等の要請が強く、このため、操作スイッチ,接続コネクタ,赤外線の発信部・受信部等がカード装着部近傍に集中配置されることが多くなっており、上記問題は、各種スイッチの操作やコネクタの接続が行なえなくなったり、他の情報機器との通信に支障を来す等の深刻な問題をまねくに至っている。 【0004】また、一般に小型情報端末にカード部を挿入する際のカードの表裏の方向性は各端末により異なっているが、従来のPCカード一体型電子機器は、図7に示したように、筐体部の底面とカード部の底面が面一に形成されているため、挿入の方向によっては、筐体部が小型情報端末の底面から突出してしまい、操作性を損なうばかりでなく、カード部の根元部分に負荷が集中し、 最悪の場合にはカード部の根元部分が破損してしまうという問題も有していた。 従って、このような場合には、 装着する各小型情報端末ごとに、これと対応したPCカード一体型電子機器を用意しなければならなかった。 【0005】本発明は、このような従来の技術が有する課題を解決するために提案されたものであり、装着する端末の各種スイッチ操作やコネクタ接続あるいは赤外線の発信部・受信部等の障害となることなく、かつ、カード部等も損傷することなく、あらゆる小型情報端末等に装着,使用できるPCカード一体型電子機器の提供を目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明のPCカード一体型電子機器は、筐体部とカード部とからなるPCカード一体型電子機器であって、前記筐体部とカード部とを回動かつ曲折自在に接続する中空状の接続手段と、この接続手段の中空部に配設され、前記筐体部とカード部を電気的に接続する可撓性を有する配線部材とを備えた構成としてあり、好ましくは前記接続手段を、前記筐体部の端部に設けられた受け部と、この受け部に嵌め込まれる回転部と、この受け部と回転部を回転自在に固定する第一キャップ部と、前記カード部の端部に設けられた挿入部と、この挿入部に一端が挿入される腕部と、この挿入部と腕部を回転自在に固定する第二キャップ部とで構成し、かつ、この腕部の他端を前記回転部に曲折自在に接続した構成としてある。 さらに好ましくは、前記受け部内周と回転部外周、及び挿入部内周と腕部外周に、互いに当接する回転ストッパを設けた構成としてある。 【0007】 【作用】上記構成からなる本発明のPCカード一体型電子機器によれば、回転部と腕部が曲折自在であるとともに、受け部と回転部及び挿入部と腕部が回転自在に固定されているので、筐体部を、腕部を軸として上下左右に自由に移動することができ、筐体部が、装着される端末の各種スイッチ等の障害となることはなく、またカード部等に損傷が発生することもない。 さらに、受け部と回転部及び挿入部と腕部に回転ストッパを設けたことにより、接続手段内部の配線部材が捩れることもない。 【0008】 【実施例】以下、本発明のPCカード一体型電子機器の一実施例について、図面を参照して説明する。 図1は本発明のPCカード一体型電子機器の一実施例の全体斜視図を示す。 図2は図1に示すPCカード一体型電子機器を端末に装着した状態の斜視図を示す。 図3は図1に示すPCカード一体型電子機器の筐体部側の接続部分の(a)は分解斜視図、(b)は平面断面図を示す。 図4 は図1に示すPCカード一体型電子機器のカード部側の接続部分の(a)は分解斜視図、(b)は平面断面図を示す。 図5は図1に示すPCカード一体型電子機器における配線部材の配線状態の斜視図を示す。 これらの図において、1は本実施例のPCカード一体型電子機器であり、データの送受信等のための筐体部2,小型情報端末6等に装着されるカード部3及びこの筐体部2とカード部3を接続する中空状の接続手段4とからなり、筐体部2とカード部3は、接続手段4の中空部に配線された配線部材5により電気的に接続されている。 【0009】接続手段4は、前記筐体部2の端部に設けられた受け部2a及びこの受け部2aに嵌め込まれる回転部2bと、受け部2aと螺合して回転部2bを回転自在に支承する袋ナット状の第一キャップ部2cと、カード部3の端部に設けられた挿入部3a及びこの挿入部3 aに一端が挿入される腕部3bと、挿入部3aと螺合して腕部3bを回転自在に支承する袋ナット状の第二キャップ部3cとで構成され、各部が中空状となっている。 受け部2aは、筐体部2の端部に突出して形成され、筐体部2の内部と貫通している。 また、突出した外周部分にはねじを形成してある。 この受け部2aに嵌め込まれる回転部2bは、一端にフランジが形成してあり、このフランジを含めた外周が、少なくとも嵌め込まれる受け部2aの内周より小さい径となっている。 また、この受け部2aの外周と回転部2b内周には、互いに当接する回転ストッパ2a',2b'が各々形成してある。 【0010】回転部2bを回転自在に支承する第一キャップ部2cは、中空の開口半球形状をなし、開口側一端内周には上述した受け部2a外周のねじと螺合するねじが形成してあるとともに、半球頂点部分に少なくとも受け部2aに嵌め込まれた回転部2bの他端が貫通し、かつ、回転部2bの一端のフランジが抜け出ない大きさの貫通孔が穿設してある。 これにより、回転部2bは、ほぼ360度回転自在に支承されることになる。 なお、この第一キャップ部2cは、本実施例における半球形状に限定されるものではなく、例えば、円柱状、あるいは角柱状としてもよい。 【0011】挿入部3aは、カ−ド部3の端部に突出して形成され、カード部3の内部と貫通している。 また、 受け部2aと同様、突出した外周部分にねじを形成してある。 この挿入部3aに一端が挿入される腕部3bは、 回転部2bと同様、一端にフランジが形成してあり、このフランジを含めた外周が、少なくとも挿入される挿入部3aの内周より小さい径となっている。 また、この挿入部3aの外周と腕部3b内周にも、互いに当接する回転ストッパ3a',3b'が各々形成してある。 【0012】腕部3bを回転自在に支承する第二キャップ部3cは、上述した第一キャップ部2cと同様の中空の開口半球形状をなし、開口側一端内周に挿入部3a外周のねじと螺合するねじが形成してあり、半球頂点部分に少なくとも挿入部3aに挿入された腕部3bの他端が貫通し、かつ、腕部3bの一端のフランジが抜け出ない大きさの貫通孔が穿設してある。 これにより、腕部3b も、ほぼ360度回転自在に支承されることになる。 なお、この第二キャップ部3cも、本実施例における半球形状に限定されるものではない。 【0013】さらに、この腕部3bは、挿入部3aに挿入されない他端が、回転部2bにヒンジ構造により曲折自在に接続されている。 なお、本実施例においては、この回転部2bと腕部3bの接続をヒンジ構造とすることにより曲折自在としてあるが、これに限定されることはなく、例えばボール軸受構造等であってもよい。 これにより、腕部3bと回転部2bは,少なくとも180度曲折自在に接続される。 【0014】このような構成からなる接続手段4の中空部に配設され、筐体部2とカード部3を電気的に接続する配線部材5は、回転部2b,腕部3bが回転,曲折した場合に、これらの動きにともなって変形可能な可撓性を有するプリント板を用いており、さらに、図5に示すように、回転部2b,腕部3bの回転部分,曲折部分においてプリント板を巻き、余裕を持たせた配線としてある。 なお、可撓性を有するプリント板に代えて、リード線等によって電気的接続を図ることも可能である。 これにより、回転部2bと腕部3bがヒンジを介して互いに曲折するとともに、回転部2b及び腕部3bと受け部2 a及び挿入部3aとが第一キャップ部2c,第二キャップ部3cにより軸方向に回転自在に固定されるため、カード部3を小型情報端末6等に装着した場合にも、筐体部2を腕部3bを軸として上下左右に自由に動かすことができるので、図6に示すように筐体部2が装着される端末の各種スイッチ等の障害となることはなく、またカード部3に負荷,損傷等が発生することもない。 さらに、受け部2a,回転部2b及び挿入部3a,腕部3b に各々設けた回転ストッパ2a',2b',3a',3 b'により、回転部2b及び腕部3bの回転が360度以上となることはないので、接続手段4内部の配線部材5が捩れて断線したりすることもない。 【0015】 【発明の効果】以上説明したように本発明のPCカード一体型電子機器によれば、装着する端末の各種スイッチ接続やコネクタあるいは赤外線の発信部・受信部等の障害となることなく、かつ、カード部等も損傷することなく、PCカード一体型電子機器をあらゆる小型情報端末等に装着,使用することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】図1は本発明のPCカード一体型電子機器の一実施例の斜視図を示す。 【図2】図2は本発明のPCカード一体型電子機器の一実施例の端末に装着した状態の斜視図を示す。 【図3】図3は本発明のPCカード一体型電子機器の一実施例の筐体部側の接続部分の(a)は分解斜視図、 (b)は平面断面図を示す。 【図4】図4は本発明のPCカード一体型電子機器の一実施例のPCカード部側の接続部分の(a)は分解斜視図、(b)は平面断面図を示す。 【図5】図5は本発明のPCカード一体型電子機器の一実施例の配線部材の配線状態の斜視図を示す。 【図6】図6は本発明のPCカード一体型電子機器の一実施例の端末に装着した状態の平面図を示す。 【図7】図7は従来の一般的なPCカード一体型電子機器の斜視図を示す。 【図8】図8は従来の一般的なPCカード一体型電子機器の端末に装着した状態の斜視図を示す。 【図9】図9は従来の一般的なPCカード一体型電子機器の端末に装着した状態の平面図を示す。 【符号の説明】 1…PCカード一体型電子機器 2…筐体部 2a…受け部 2a'…回転ストッパ 2b…回転部 2b'…回転ストッパ 2c…第一キャップ部 3…カード部 3a…挿入部 3a'…回転ストッパ 3b…腕部 3b'…回転ストッパ 3c…第二キャップ部 4…接続手段 5…配線部材 6…小型情報端末 10…従来のPCカード一体型電子機器 11…従来の筐体部 12…従来のカード部 |