モジュール式のハウジング出力システム

本発明は、独立請求項1の上位概念に記載の、モジュール式のハウジング出力システムに基づく。

このようなハウジング出力部は、信号および電流をハウジングから導出するために必要である。ここで、これは、端子が設けられるべき、極めて多様なハウジングまたは機器のことであり得る。

ハウジングおよび使用ケースに応じて、ハウジング出力部に異なる課題が課せられる。従って、コネクタがハウジング出力部として設けられているハウジングが存在する。コネクタを介して、対向コネクタが、このハウジングと接続可能であり、信号および電流が、このハウジングから転送可能である。

ハウジング、信号および電流並びに使用の様式に応じて、種々の様式のコネクタが使用される。High Pin CountまたはLow Pin Countのコネクタ、丸型コネクタまたは矩形コネクタであるか否か、ねじ接続部、バヨネット接続部または係止接続部を備えているか否かは、ここで、その時々の使用、ハウジングまたはユーザーのイメージにも依存する。

別の使用ケースでは、ハウジングから、ハウジング出力部として用いられるケーブルが導出される。このケーブルは、ここで、ハウジング内で、別のコンポーネントと接続されており、ハウジング壁部を通って案内される。貫通部には一般的に、周辺環境の進入を阻止するために、シーリング部が設けられている。

しかし、ハウジング出力部に対する、従来技術から公知の解決策は、実質的に、出力部の柔軟でない適用性から生じる欠点を有している。使用に応じて、ハウジング全体が異なって準備および設計されなければならない。

ハウジング壁部を通したケーブルの貫通は、ハウジング壁部内に組み込まれているコネクタとは異なるハウジング出力部を必要とする。使用されるコネクタの大きさに応じて、ハウジング内の開口部は異なる大きさにされなければならず、さらに、異なる固定手段が設けられなければならない。

付加的に、ハウジング出力部の各様式に対して、すなわち、コネクタであるか否か、または、ケーブルであるか否かに応じて、ハウジング内に異なる接続手段が設けられるべきである。従って、異なるハウジング出力部に対して、ハウジング内に異なるコンポーネントも構築および保持されなければならない。

課題 本発明の課題は、種々の使用に可変に用いることができるハウジング出力部を提供することである。この際に、種々の出力部バリエーションのできるだけ大きい変動幅を提供するために、異なる部分ができるだけ少なくされるべきである。

上述の課題は、独立請求項1の特徴部分に記載されている構成によって解決される。

本発明の有利な構成は、従属請求項に記載されている。

本発明は、モジュール式のハウジング出力システムに関する。これは、出力開口部を有するハウジングと、プリント回路基板と、ハウジング出力接続部材とから成る。ここで、出力開口部は、ハウジングの側壁内に設けられており、ハウジング内部へのアクセスを可能にする。

プリント回路基板はハウジング内部に設けられており、ハウジング内に固定されている。ハウジング内へのプリント回路基板の固定は、ここで、係止、螺合、接着、クランプ嵌合によって実現され得る。他の固定方法もここで実現可能である。

プリント回路基板内には、少なくとも1つの穿孔が設けられている。ここでこの穿孔は、圧入コンタクト用の圧入ゾーンとして形成されている。ここで圧入ゾーンは、プリント回路基板上の電気的な線路と導電性接続されている。有利には、このプリント回路基板は、電気的コンタクトの端子のための複数の圧入ゾーンを有している。

有利には、プリント回路基板は、ハウジング内の出力開口部を通じて、プリント回路基板上の圧入ゾーンへのアクセスが可能になるように、ハウジング内に配置されている。これによって、ハウジングを開ける必要なく、圧入ゾーン内に圧入コンタクトをはめ込むことが可能になる。

ハウジング出力接続部材内には、少なくとも1つの電気的コンタクトが設けられている。ここでこの電気的コンタクトは、ハウジング出力接続部材内に紛失不可能に収容されている。これは例えば、ハウジング出力接続部材内への電気的コンタクトの相応する係止によって実現される。択一的に、ハウジング出力接続部材がポリマーから形成され、少なくとも1つの電気的コンタクトの周りに射出成形または鋳造されてもよい。これによって、一体成形されたハウジング出力接続部材が形成される。

このハウジング出力接続部材は、ハウジング接続側とケーブル出力側とを有している。ここで、ハウジング出力接続部材は実質的に円筒状に形成されており、このハウジング接続側とケーブル出力側とは、この円筒状ボディの相反する終端部に配置されている。

ハウジング出力接続部材のハウジング接続面は、ここで、ハウジングの出力開口部に対応して形成されている。これは、ハウジングとハウジング出力接続部材との接続を可能にする。ここでこのハウジング接続面と出力開口部には有利には係止手段が設けられている。これらの係止手段も対応しており、相互に係止可能である。

ハウジング接続面および出力開口部の形状結合(形状結合又は形状接続とは、嵌め合いまたは噛み合いなど部材相互の形状的関係に基づく結合を意味する)による設計は、双方向のねじれを阻止する。

ハウジング出力接続部材内に収容されている、少なくとも1つの電気的コンタクトは、ハウジング出力接続部材を、機器接続面からケーブル出力側まで貫通する。ここでこの少なくとも1つの電気的コンタクトは、これが、少なくとも1つの圧入領域を形成するように形成されている。圧入領域は、機器出力接続部材の機器接続面上に設けられており、機器出力接続部材から突出する。

このモジュール式のハウジング出力システムは、次のように設けられている。すなわち、プリント回路基板上に設けられている複数の圧入ゾーンが、出力開口部を通してアクセスされるように設けられている。このハウジング出力接続部材を使用することによって、電気的コンタクトの圧入領域が、プリント回路基板上の圧入ゾーンと接触接続する。同時に、ハウジング出力接続部材のハウジング接続側が、出力開口部内に係止する。

ハウジング出力接続部材に設けられている電気的コンタクトの数に応じて、および、ハウジング出力接続部材内に位置する電気的コンタクトの位置に応じて、接触接続時に、種々の、プリント回路基板上に設けられている圧入領域が接触接続される。

ハウジング出力接続部材のケーブル出力側は、使用に応じて異なる様式に構成可能である。1つの可能な実施形態では、ケーブル出力側は、コネクタとの接触接続のために設けられている。このために、このケーブル出力側は、機械的な接続手段を有している。これは例えば、ねじ山または係止手段であり、これに、コネクタを機械的に係止させることができる。ハウジング出力接続部材内に収容されている電気的コンタクトは、ケーブル出力側で、コネクタ用の差し込みコンタクトとして用いられる。

別の実施形態では、ハウジング出力接続部材のケーブル出力側にケーブルが設けられている。これは直接的に、電気的コンタクトと接続されている。このケーブルは、付加的な取り付け無く、直接的に、ハウジングから離れる方向に案内される。

特別な実施形態では、ケーブル出力側は、複数の部分から形成されている。ここでは、ケーブル出力側とハウジング接続側とは相互に回転可能に接続されている。従って、ハウジングに対するケーブル出力側の配向を変えることができる。

本発明の、モジュール式のハウジング出力システムは、ハウジングに、種々の接続手段を可変に設けることを可能にする。プリント回路基板上の、統一的な、ハウジング内に設けられている端子によって、種々の、予め設定されたハウジング出力接続部材を迅速に、大きいコスト無く、ハウジングと接続することができる。

実施例 本発明の実施例を図示し、以降で詳細に説明する。

プリント回路基板を有するハウジング

図1に示されたプリント回路基板を有するハウジングの別の図

ハウジング出力接続部材

図3aに示されたハウジング出力接続部材の別の図

ハウジング出力接続部材を有するハウジング

モジュール式のハウジング出力システム

プリント回路基板を有するハウジング出力接続部材

プリント回路基板を有する別のハウジング出力接続部材

図面は部分的に、簡略化された、概略的な図を含んでいる。部分的に、同じ、しかし場合によっては同一でない要素に、同じ参照番号が用いられている。同じ要素の異なる図が異なって拡大縮小されていることがある。

図1は、プリント回路基板3を有している、モジュール式のハウジング出力システムのハウジング1を示している。このハウジング1は、ハウジング1の内部空間を表示することができるように、側面が開放されて示されている。ハウジング1の、後方、すなわち右側に示されている領域には、出力開口部1.1が当接して形成されている。この出力開口部1.1は、ハウジング出力接続部材4を収容するために設けられており、これによって、ハウジング出力接続部材4が、ハウジング1と接続される。

ハウジング1の内部空間内には、プリント回路基板3が設けられている。本発明では、このプリント回路基板3は、出力開口部1.1の前に配置されている。有利には、ハウジング1には、2つの係止手段1.2が当接して形成されている。これらの係止手段1.2は、プリント回路基板3を係止し、固定する。プリント回路基板3を出力開口部1.1の前に配置することによって、出力開口部1.1を通じて、プリント回路基板3にアクセスすることが可能になる。

プリント回路基板3を伴うハウジング1が、図2において、別の視点から示されている。出力開口部1.1を通して、ハウジング1内のプリント回路基板3が見て取れる。出力開口部1.1には、ハウジング1の外面上の、周囲を取り囲んでいるカラー1.3が設けられている。これは、より良好かつ機械的に安定した、ハウジング出力接続部材4の収容のために設けられている。

出力開口部1.1内には、付加的に、コーディング部1.4が形成されている。このコーディング部1.4は、相補的に、ハウジング出力接続部材4において、コーディング部4.4として見なされるべきである。相補的なコーディング部1.4と4.4とによって、出力開口部1.1内のハウジング出力接続部材4のねじれが阻止される。

ハウジング出力接続部材4が図3aに示されている。これは、ハウジング接続側4.1とケーブル出力側4.2とを有している。ハウジング接続側4.1は、図3bでは後方、すなわち左側の領域に示されている。ケーブル出力側4.2は、前方、すなわち右側の領域に見て取れる。

ケーブル出力側4.2で、この実施形態はねじ山4.3を有しており、このねじ山は、螺合によるコネクタの固定のために用いられる。択一的に、ここで、コネクタのために他の固定手段を設けることもできる。

円筒状のハウジング出力接続部材4の中央領域には、シーリング部4.6が配置されている。これは、シールリングとして、みぞ内に収容されている。シーリング部4.6は、取り付けられた状態において、ハウジング1の出力開口部1.1と、ハウジング出力接続部材4との間の間隙を密閉する。

ハウジング接続側4.1には、上方領域に、コーディング部4.4が設けられている。これらのコーディング部は、形状結合によって、出力開口部1.1のコーディング部1.4に噛み合う。このようにして、ハウジング出力接続部材4とハウジング1との相互のねじれが阻止される。

前方領域には、対向する2つの係止手段4.5がハウジング接続側4.1に設けられている。これらの係止手段4.5は、ハウジング1内のハウジング出力接続部材4の係止を可能にする。このために、係止手段4.5は、取り付けられた状態において、出力開口部1.1を通じてハウジング1に噛み合い、ハウジング内面に係止する。

ハウジング接続側4.1の端面では、ここでは、電気的コンタクト5の5つの圧入領域5.1が、ハウジング出力接続部材4から突出している。これらの電気的コンタクト5は、長さの点で、ハウジング出力接続部材4内に収容されている。この実施例では、電気的コンタクト5は、ハウジング出力接続部材4によって、射出成形で包囲されている。

図3bは、図3aに示されたハウジング出力接続部材4を再度示している。しかしこれは、ケーブル出力側4.2から見た図である。ケーブル出力側4.2は、この実施例では、コネクタとの接触接続のために設けられている。

電気的コンタクト5は、ピンコンタクトとして、ケーブル出力側4.2内に突出している。ケーブル出力側4.2は、コネクタを固定するねじ山4.3によって包囲されている。

図1に示されたハウジング1が、図4に再度、同じ視点から示されている。しかし、ここではプリント回路基板3は取り付けられておらず、ハウジング出力接続部材4がはめ込まれている。ハウジング出力接続部材4のハウジング接続側4.1は、このために、出力開口部1.1内にはめ込まれている。カラー1.3によって、十分な安定性が、ハウジング1とハウジング出力接続部材4との間で得られる。

ハウジング出力接続部材4の係止手段4.5は、ハウジング1の内面で、出力開口部1.1と後方で噛み合う。このようにして、出力開口部1.1から、ハウジング出力接続部材4が落下することが阻止される。

ハウジング1内にこのように位置する、ハウジング接続側4.1の端面では、電気的コンタクト5が見て取れる。これは、自身の圧入領域5.1でもって、ハウジング1の内部に突出する。

本発明のハウジング出力システムが、図5に示されている。これは、既に、先行する図において示されたのと同じハウジング1と、このハウジング内に収容されているプリント回路基板3とから成る。ハウジング1の前方領域には、出力開口部1.1が、ハウジング出力接続部材4を収容するために設けられている。

図5は、さらに、一連の、4つの、異なって形成されたハウジング出力接続部材4、4’、4’’、4’’’を示している。これらのハウジング出力接続部材4、4’、4’’、4’’’の全ての形態は、同じハウジング接続側4.1を有している。これは、ハウジング1の出力開口部1.1内に収容可能かつ係止可能である。

これに対して、ケーブル出力側4.2、4.2’、4.2’’、4.2’’’は異なって形成されている。ケーブル出力側4.2は、4極のねじ式コネクタのために設けられている。ケーブル出力側4.2’も同様に、ねじ式コネクタのために設けられているが、これはより大きい直径を有しており、5極用である。同じねじ式コネクタをケーブル出力側4.2’’に取り付けることができるが、しかしこれは曲げられて、回転可能に、ハウジング出力接続部材4’’に設けられている。ハウジング出力接続部材4’’’では、ケーブル出力側4.2’’’内に、直接的に、ケーブル6が接続されており、ハウジング出力接続部材4’’’とともに鋳込まれている。

種々のハウジング出力接続部材4、4’、4’’、4’’’の圧入領域5.1の容易な接触接続を可能にするために、複数の圧入ゾーン3.1がプリント回路基板3上に設けられている。ハウジング出力接続部材4、4’、4’’、4’’’に応じて、異なった圧入ゾーン3.1が圧入領域5.1によって接触接続されるように、これらの圧入ゾーンは、プリント回路基板3上に配置されている。例えば、図6aおよび6bには、圧入領域5.1による圧入ゾーン3.1の2つの可能な接触接続状態が示されている。

図6aは、ハウジング出力接続部材4が接触接続されているプリント回路基板3を示している。このプリント回路基板3は、9個の圧入ゾーン3.1を有しており、これらの圧入ゾーンは電気的な接触接続のために設けられており、3つの列にそれぞれ3つの圧入ゾーン3.1が配置されている。ハウジング出力接続部材4は、4つの電気的コンタクト5を収容している。これらの電気的コンタクト5の4つの圧入領域5.1は、それぞれ、上方中央、下方中央、右側中央、左側中央に位置する圧入ゾーン3.1と接触接続する。角にある圧入ゾーン3.1並びに中央にある圧入ゾーン3.1は、このようなハウジング出力接続部材4では、占有されないままである。

図6bでは、プリント回路基板3は、ハウジング出力接続部材4’と接触接続されている。これは、図3aにおいて既に記載されているように、5つの電気的コンタクト5を有しているので、プリント回路基板3の別の圧入ゾーン3.1に接触接続されることになる。この場合には、角にある圧入ゾーン3.1並びに中央にある圧入ゾーン3.1が、電気的コンタクト5の圧入領域5.1によって接触接続されている。

従って、構造、大きさ、およびコンタクト数に応じて、プリント回路基板3上の異なる圧入ゾーン3.1が接触接続可能である。従って、このモジュール式のハウジング出力システムは、特に大きい自由度および多数の接続バリエーションを有している。

1 ハウジング、 1.1 出力開口部、 1.2 係止手段、 1.3 カラー、 1.4 コーディング部、 3 プリント回路基板、 3.1 圧入ゾーン、 4 ハウジング出力接続部材、 4.1 ハウジング接続側、 4.2 ケーブル出力側、 4.3 ねじ山、 4.4 コーディング部、 4.5 係止手段、 4.6 シーリング部、 5 電気的コンタクト、 5.1 圧入領域、 6 ケーブル