【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、電源装置に関するもので、より具体的には無停電電源装置(UPS)やポータブル電源等の内蔵されたバッテリーから負荷に対して電力供給が可能な電源装置に関する。 【0002】 【従来の技術】電源装置の1つである従来の無停電電源装置は、各装置毎にバックアップ可能な電力容量は決まっている。 従って、ユーザーは予め使用する(バックアップの必要な)OA機器の容量を調べ、所望の定格を有する無停電電源装置を決定し、使用することになる。 また、屋外等の商用電源から直接電力供給を受けられないような場所で電気機器(負荷)を使用するような場合に、予め内蔵されたバッテリーを充電しておき、使用時にはそのバッテリーから負荷に電力供給をするようにしたポータブル電源も同様(使用する負荷に応じた所定の定格・容量のものを決定する)である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来の電源装置では以下に示す問題を有する。 所望の無停電電源装置を決定し使用開始後にOA機器の増加やバージョンアップ等によりバックアップに必要な容量が増加したり、そもそも最初の容量計算が誤ってしまうとすでに使用していた無停電電源装置では対応できなくなり、より大きな容量の無停電電源装置を再購入等しなければならなくなる。 また、上記した問題を解消するためには、容量の余裕を持った大きめの電源装置を用いることになる。 よって、いずれの場合も不経済であるばかりでなく、電源装置は容量が大きくなるほど大型化するため、不必要な過大な容量の電源装置を用いることは、システム全体の大型化を招くことになる。 【0004】さらに、実際の製品化を考えると、各電源装置の容量の設定は、段階的に複数用意するものの、種類数の制限から容量の増加の程度は大きくなり、必要以上に大きな容量の電源装置を使用することは否めなかった。 【0005】さらにまた、電源装置の一部に故障などがあると、バッテリーの残存容量がバックアップ可能であっても負荷に電力供給をすることができなくなり、バックアップ中に係る故障が生じると、予期せぬブレークダウンを生じこるとになり、負荷の故障やシステムエラー等を招くおそれもある。 【0006】本発明は、上記した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、使用する負荷に応じた必要十分な電力容量のものに設定でき、しかも、その後の電気機器の増設やシステム・バージョンアップに対応して負荷容量が増大しても、それに対応して電力容量を比較的簡単に増加することができ、さらに、装置の一部に故障が生じたとてしても、即電力供給停止となるおそれを可及的に減少することができ、さらに負荷に対して安定した電力供給をすることのできる電源装置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明に係る電源装置では、バッテリーと、前記バッテリーに対して充電する充電手段と、前記バッテリーに蓄積された電荷を放電し、所定の負荷に電力供給する電力出力手段と、それら各手段の動作を制御する制御手段と、少なくとも前記バッテリーを充電するために前記充電手段と外部電源とを接続可能とする電力供給用の入力端子と、その入力端子に接続され、前記入力端子と反対の側面に形成された出力端子と、少なくとも前記制御手段に接続されるとともに、対向する両側面に設けられ、所定の信号送受用の上流側接続端子及び下流側接続端子とから電源ユニットを構成した。 そして、係る電源ユニットに設けられた出力端子と、同一構成の他の電源ユニットに設けられた入力端子とを接続すると共に、 前記電源ユニットに設けられた下流側接続端子と、同一構成の他の電源ユニットに設けられた上流側接続端子とを接続することにより、複数の前記電源ユニットを並列接続可能とした。 そして、1または複数の電源ユニットにより所定の負荷に対して電力供給可能とした。 【0008】 【作用】電源ユニット単独で電源装置として機能し、また、複数を並列接続しても電源装置として使用でき、そのときの容量は各電源ユニットが保有する容量の総和となる。 すなわち、単独使用の場合には、小量負荷に対して電力供給でき、また、所定数組み合わせることにより大容量負荷に対応する。 しかも、その後の電気機器の増設やシステム・バージョンアップに対応して負荷容量が増大した場合には、その増加分に対応する個数分だけ電源ユニットを増設すれば良い。 これにより、必要充分な電源容量を簡単に無駄なく確保することができる。 【0009】 【実施例】以下、本発明に係る電源装置の好適な実施例を添付図面を参照にして詳述する。 図1は本発明の第1 実施例を示している。 本例における無停電電源装置1 は、単一の電源ユニット2から、または、図示するように複数の電源ユニット2を並列に接続することにより構成される。 【0010】この電源ユニット2は、それ自体で単独の無停電電源装置(常時商用型)としての機能を有している。 すなわち、各電源ユニット2は、略直方体状の筐体3の一方の側面に電力供給用の入力端子たるACインレット5が設けられ、同図(B)に示すようにその反対側の側面に出力端子たるACインレット接続端子6が設けられている。 そして、それらACインレット5とACインレット接続端子6は、筐体3の内部にて結線され、導通状態となっている。 【0011】ACインレット接続端子6は、電源ユニット2を複数接続する場合に隣接する電源ユニット2のA Cインレット5と接続され、一方、最外方の電源ユニット2のACインレット5には、同図(A)に示すようにAC入力ケーブル7が接続される。 これにより、接続された複数の電源ユニット2は、電源ラインが共通化され、商用電源(外部電源)からの電力供給が可能となる。 そして、この様に複数台の電源ユニットを接続すると、最外方に位置する電源ユニット2のACインレット5以外はACインレット接続端子6と接続されて外部に露出することがないので、誤って複数のACインレットにACケーブル7を接続し、それらを共に商用電源に接続するおそれがなくなる。 【0012】また、ACインレット5とACインレット接続端子6を結ぶ電源ラインL1には、第1の切替スイッチ8を介してAC出力コンセント9が接続可能とされている。 すなわち、この第1の切替スイッチ8は、停電等のない平常時は電源ラインL1側に接続されるようになっており、AC出力コンセント9は商用電源から直接電力供給を受けるようになっている。 そして、同図(A)に示すように、上記AC出力コンセント9は、筐体3の上面に露出状態で配置されている。 【0013】また、上記電源ラインL1には、充電器1 0が接続され、その充電器10には第2の切替スイッチ11を介してバッテリー12が接続可能となっている。 すなわち、平常時には両者10,11が接続されて商用電源からの電力供給を受けてバッテリー12が充電される。 そして、停電すると第2の切替スイッチ11はブースター13側に切替わり、バッテリー12からブースター13へ電力供給可能としている。 【0014】このブースター13の出力は、インバータ14に接続されこのインバータ14の出力が上記した第1の切替スイッチ8に接続され、停電時はこの第1の切替スイッチ8が切替わってインバータ14とAC出力コンセント9とが接続されるようになる。 すなわち、上記ブースター13,インバータ14等により電力出力手段が構成される。 【0015】そして、上記各切替スイッチ8,11の切替え処理やブースター13,インバータ14の動作制御及びバッテリー12の状態監視等は、制御部15を介して行われるが、係る動作制御は通常の無停電電源に実装されるもの等と略同様であるためその説明を省略する。 【0016】そして本例では、他の電源ユニット2との同期して所定の動作をさせる必要から、制御部15は、 筐体3の両側面にそれぞれ形成された上流側接続端子1 6,下流側接続端子17に連携され、それら各接続端子16,17を介して隣接する電源ユニット2の制御部1 5同士が連動可能となる。 なお、ACインレット5設置側の側面に上流側接続端子16が配置されている。 【0017】さらに、筐体3の両側面には、AC出力連結用端子18,18が設けられ、この端子18,18にAC出力コンセント9が接続されている。 そして、両端子18,18は、それぞれ隣接する電源ユニット2に設けられたAC出力連結用端子18と接続される。 これにより、各電源ユニット2に設けられた各AC出力コンセントは連結され、自己のバッテリー12はもちろんのこと他の電源ユニット2やバッテリー12からも電源供給を受けることが可能となる。 【0018】さらにまた、制御部15には、発光素子1 9が接続されており、この発光素子19は同図(A)に示すように筐体3の上面所定位置に配置される。 そして、制御部15からの制御信号に基づいて負荷の状態(過負荷か否か)やバッテリー12の状態(バッテリーチェック(寿命判定)の結果劣化が著しいと判定されたり、異常が発生した場合等)を知らせることができるようになっている。 【0019】さらに本例では、上記した各端子等が設けられていない筐体3の他の側面所定位置に縦長の透孔2 0aを形成した係止用突片20と、係止用突起21とを形成し、同図(A)に示すように複数の電源ユニット2 を接続した場合には、ある電源ユニット2の係止用突片20は隣接する電源ユニット2の側面側にまで突出し、 そこに設けられた係止用突起21と符合するようにしている。 これにより、使用中に誤って各電源ユニット2が離反するのが防止される。 【0020】次に本実施例の基本的な動作原理について説明する。 まず、1つの電源ユニット2を単独の無停電電源装置として使用する場合には、電源ユニット2のA Cインレット5にAC入力ケーブル7を接続し、そのA C入力ケーブル7を商用電源に接続すると、電源ラインL1にAC100[V]が供給される。 よって、AC出力コンセント9には、直送回路(電源ラインL1から第1の切換スイッチ8を通る経路)を介して上記AC10 0[V]が出力される。 またこの時、充電器10を介してバッテリー12が充電される。 【0021】係る状態で停電すると、制御器15内に実装される公知の検知手段によりその停電状態を検出し、 第1,第2の切換スイッチ8,11を切替える。 これにより、バッテリー12からブースター13に電源供給され、そこにおいて昇圧される。 その昇圧された直流は、 次段のインバータ14に供給され、そこで交流に変換された後、第1の切換スイッチ8を介してAC出力コンセント9に供給される。 これにより、バックアップ処理がされる。 【0022】一方、複数の電源ユニットを接続させて無停電電源装置1を構成した場合について説明する。 所定数(本例では3個)の電源ユニット2を平行に配置し、 隣接する電源ユニット2のACインレット5とACインレット接続端子6同士、並びに上流側接続端子16と下流側接続端子17及びAC出力連結用端子18同士を結合し、図1(A)に示すような状態にする。 そしてAC 入力ケーブル7を商用電源に接続すると、各電源ユニット2内の電源ラインL1には、AC100[V]が供給されるため、各電源ユニット2に設けられたAC出力コンセント9には、直送回路を介してそのAC100 [V]が供給され、負荷への電力供給が可能となる。 【0023】係る状態で停電すると、上記と同様の原理により各電源ユニット2に内蔵されるバッテリー10が放電し、各AC出力コンセント9へ電力供給をしてバックアップすることになる。 【0024】そして本例では、AC出力連結用端子18 により各AC出力コンセント9は連結されるので、ある電源ユニット2のAC出力コンセント9からは、接続された各バッテリー12の並列接続分の出力容量を取り出すことが可能となる。 すなわち、仮に負荷が1個とすると、並列接続された3個のバッテリー12により電力供給が可能となり大容量の負荷に対しても接続する電源ユニット2の数を増加するだけで簡単に対応できる。 また、もちろん各AC出力コンセント9に対し、個別のO A機器等を接続することも可能である。 係る場合には、 接続するOA機器等の負荷の総容量に対応してその容量よりも大きくなるように所定数の電源ユニット2を接続すれば良い。 従って、一度無停電電源装置を構成した後、OA機器等の接続する負荷の数の増加や、使用する機器の変更にともないそれ自体の容量が増大しても、電源ユニット2を増加するだけで対応できる。 【0025】また、バックアップ処理中に複数の電源ユニットの中の一部が故障したとしても、負荷の容量が残りの正常に動作している電源ユニットに実装されたバッテリー容量で足りるような場合には、その正常に動作している電源ユニットにより負荷への電力供給ができる。 すなわち、仮に一部が故障したとしても、すぐにバックアップ不能状態になるとは限らない。 【0026】一方、上記のように複数の電源ユニット2 を接続して無停電電源装置1を構成した場合には、複数の電源ユニット2に実装される各インバータ14の出力(交流)が各AC出力コンセント9へ供給されることになるので、バックアップへの切替えタイミングや出力波形等を同期させる必要がある。 そこで、係る同期処理は、各制御部15を連動動作させることにより行なっている。 より具体的には、本例では任意の1つの制御部をマスタとし、残りの制御部はマスタ制御部からの制御信号に基づいて(スルー状態)自己の各部を動作させるようになる。 【0027】従って、各制御部は、1つの電源ユニットが単独で無停電電源を構成しているのか、或いは複数の電源ユニットが接続されて構成されているか否かの判断をし、単独であれば上述した独自の制御を行なう。 一方、複数接続されていると判定された場合には、自己の制御部はマスタか否かを判定し、マスタであれば自己及び他の電源ユニットの各装置部に対して直接または他の制御部を介して間接的に制御命令を送り、マスタでない場合にはマスタ制御部からの命令信号にしたがって所定の処理をするようになる。 なお、本例では、ACケーブル7が接続されている電源ユニット2の制御部15を上記マスタ制御部とした。 【0028】そして、上記各種の判定機構は、例えば図2に示すように、制御部15の内部に抵抗値検出部22 を設けるとともに上流側接続端子16のうちの2つのピン16a,16a間に抵抗23(抵抗値R)を接続し、 その2つのピン16a,16a間の抵抗値を上記抵抗値検出部22で計測する。 また、上記2つのピン16a, 16aは、対応する下流側接続端子17の2つのピン1 7a,17aと導通されている。 【0029】係る構成にすることにより、単独で動作(他の電源ユニットと接続されていない)している場合には、抵抗値検出部22で検出される抵抗値は、抵抗2 3の抵抗値Rとなり、一方、複数の電源ユニット2を接続した場合には、その抵抗23が電源ユニット2の接続数だけ並列接続されたことになるので、検出される抵抗値は単独のものに比べ半分以下となる。 よって、抵抗値検出部22での検出値を所定の値(R〜R/2間の任意の値)でしきい値処理することにより、単独で動作しているか否かを判定することができる。 【0030】また、複数接続されている場合におけるマスタの検出は、例えばACケーブル7が接続された電源ユニット2は、上流側接続端子16がオープン状態であるので、係る状態を各電源ユニット2に実装された制御部15が判断し、オープン状態の場合には自己がマスタであると認識し、オープン状態でない場合にはマスタでないためマスタからの制御信号をまって動作するようになる。 そして、オープン状態か否かの判断は、例えば、 接続端子16の所定の2つのピンを判定用ピンとし、その判定用ピンに対応する下流側接続端子17側には、その判定用ピンを導通させる所定の抵抗を接続させておくことにより簡単に判定できる。 【0031】また、上記各種の判定処理として、接続端子の所定のピンを用いたが、筐体3の所定位置に近接スイッチ(リミットスイッチ)等を設け、係るスイッチにて接続される他の電源ユニットの有無を検出するようにするほか、種々の方式をとることができる。 また、マスタ制御部は、本例のようにACケーブル7が接続された電源ユニットに内蔵されるものに限られず、複数接続された中のいずれか一つであれば良い。 【0032】*出力波形の同期 次に、上述のごとくして決定されたマスタの制御部15 の機能の一つである出力波形の同期及び切換えタイミングの制御について説明する。 まず、上記したように本例では、1つの負荷に対し複数の電源ユニット2のバッテリー12(インバータ14)から電力供給するため、各インバータ14の出力波形が同期されている必要がある。 そこで本例では、各電源ユニット2の制御部15内に正弦波ジェネレータを内蔵させ(図示省略)、各インバータはその正弦波ジェネレータの出力を受けて直流を交流に変換するようにする。 そしてその正弦波ジェネレータはマスタの制御部15から送られるゼロクロス点を一致させるためのタイミング信号(50Hzまたは60 Hz)に基づいて駆動する。 これにより各電源ユニット2のインバータ14は、単一の制御部(マスタ)15からの制御信号に基づいて同期運転され、装置の安定動作が行なわれる。 【0033】係る構成にすることにより、接続数が多くなっても、ノイズがのったり位相ずれなどすることもなくなる。 なお、接続数が少なかったり、ノイズ等の影響が少ない場合には、例えばマスタの制御部15から各電源ユニットに対してPWM信号を並列的に供給するようにしても良い。 但し、係る場合には接続する電源ユニットの個数が増大するに伴い、PWM信号の通信距離が長くなるのでノイズや位相ずれの影響を受けやすくなる。 【0034】*切替えタイミングのずれに対する制御 一方、上記した第1の切換スイッチ8としてリレーを用いると、その切替え時間は3ms〜8ms程度でばらつく。 従って、瞬間的にある電源ユニット2はインバータ14側に接続され、別の電源ユニット2では直送回路と接続されたままとなる状態が生じる。 すると、インバータ14側に電流の逆流減少を生じ、故障するおそれがある。 【0035】そこで本例では、図4(A)に示すように、制御部15内に設けた抵抗値検出部(上記図4に示した抵抗値検出部22とは別)にて第1の切替えスイッチ8を挟んでインバータ14の出力側とAC出力コンセント9の入力側との間の抵抗値を検出する。 すると、両地点,間が短絡されている(クローズ)場合には抵抗値は微小値となり、一方、直送回路側と接続されている(クローズされていない)場合には、抵抗値無限大となる。 【0036】そして、クローズされた場合にマスタの制御部15に対して切替え完了信号を送り、マスタの制御部15ではすべての電源ユニット2の第1の切換スイッチ8の切替え処理が完了したのを確認した後、各電源ユニット2のインバータ14に対して動作開始命令を送るようにする。 これにより、動作中のインバータ14と直送回路(商用電源側)とが接続されて逆流するおそれがなくなる。 【0037】そして、すべての電源ユニット2で切替え完了(クローズ)になったことを検知するための具体的な回路構成としては、例えば同図(B)に示すように、 上流側,下流側接続端子16,17のうちの所定の2つのピン16b,17bに並列に抵抗25(抵抗値R)を挿入し、その抵抗25に対してクローズ状態を検知したら閉状態となる接点26を直列に接続する。 【0038】そして、マスタの制御部15内のクローズ検知部27では、接続される並列抵抗の抵抗値を求め、 それが所定の値となっているか否かを判断することによりすべての電源ユニット2がクローズになっていることを検知することができる。 すなわち、すべての電源ユニット2がクローズになると、各ユニットに実装された抵抗25のすべてが並列接続されるため、算出された抵抗値はR/Nとなる。 但し、Nは接続数である。 【0039】そして、本例では上述した単独駆動か複数駆動かを検出するための抵抗23の抵抗値と本抵抗25 の抵抗値を共に等しくしたため、抵抗値検出部22とクローズ検知部27での検出結果が等しくなる。 よって、 クローズ検知部37では、同一制御部15内の抵抗値検出部22から検出結果を受け取り、自己の算出結果がその値と等しくなった時にすべてのユニットが切替え完了した(クローズ)と判定するようにしている。 これにより、抵抗値の算出・比較という簡単な構成でもって、迅速かつ正確な制御を行うことができる。 【0040】ところで、複数接続された電源ユニットの中で故障したものがあると、上記第1の切換スイッチの切替え処理や接点26の閉動作等がされない。 一方、抵抗値検知部22では、故障の有無を問わず接続された個数により測定される抵抗値は決定する。 よって、そのままでは、仮に正常に動作しているすべての電源ユニットがクローズしたとしても、上記の装置では抵抗値検出部22とクローズ検知部27での検出結果が等しくならない。 【0041】そこで、図示省略するが、例えば接続の有無並びに接続数を求めるための抵抗23に直列に故障時に開状態となる接点を挿入することにより対応できる。 すると、故障した電源ユニットに実装される抵抗23は抵抗値検出部22から切り離されるため、故障の有無にかかわらず、正常に動作するすべての電源ユニットが切替え完了したことを検出することができる。 【0042】*出力電流の調整 ところで、各電源ユニット2の出力電圧を一定にすると、各電源ユニットごとの負荷分担がばらつき、ある電源ユニットに内蔵されるバッテリーのみが急激に消耗することがある。 そこで本実施例では、インバータ14の負荷に対する出力特性を図4に示すようにし、各電源ユニット2間で負荷負担率が均等になり、各ユニットが最適値の状態で稼働できるようにしている。 【0043】すなわち、ある電源ユニット2が負担している負荷容量が増えるにしたがって出力電圧を低下させるようにしている。 なお、一定値以上(105%以上) の負荷負担になると、過負荷からの保護のため、従来のものと同様に出力を停止するようにしている。 そして、 この出力電圧の制御は、各制御部15が自己が負担している負荷容量を検出し、インバータ14の出力や、ブースター13での昇圧比を調整することにより行う。 なお、この様な出力電圧の特性としても、負荷となる各O A機器等はAC100V±10%の入力を許容しているため問題はない。 係る構成にすることにより、現在負荷負担が小さい電源ユニット2はその出力電圧を上昇させる(電流値を大きくする)ことにより他の電源ユニット2に対し優位になり、これにより負荷負担が上昇する。 逆に現在負荷負担が大きい電源ユニット2はその出力電圧を下降させる(電流値を小さくする)ことにより負荷負担率を減少させる。 これにより、装置全体での各電源ユニット2の負荷負担がその能力に応じてバランス良く分配され、電流シェアリングが簡単に行える。 そして、 係る制御は各電源ユニット内の制御部15が、自己の動作状況に基づいて行われるため、他のユニットとの調整・制御が不要となる。 【0044】*出力電圧の調整 複数の電源ユニットを接続すると、電流シェアリングやバッテリー能力のばらつきにともない、各電源ユニットが放電終了になる時期が大きく異なるおそれがある。 すると、各電源ユニットにて均等に負荷分担するようにすると、結果的に放電終了時期が近付くにつれてそのユニットが保有する現在の容量に対する負担率が大きくなり、加速的に放電し、短時間で放電終止となる。 【0045】そこで、本例では、インバータ14の出力電圧の特性を図5(A)に示すようにし、バッテリーの残量が充分にある間は、出力電圧を105V(100% の能力)とし、放電終止が近付くに連れて出力電圧を低下させるようにした。 そして具体的な構成としては、同図(B)に示すように、バッテリー12の端子間電圧をバッテリー電圧検知部30により検出し、その検出電圧を次段のしきい値処理部31に送り、検出電圧がしきい値(100%の出力電圧(105V)に対応する電圧) 以上か否かを判断する。 そして、その判定結果を次段のインバータ出力電圧制御部32に送り、バッテリー電圧がしきい値まではそのままの値を出力し、しきい値以上となっている場合には、逆比例で出力する。 これにより、バッテリー電圧が低下していくと出力電圧はそのままの値となり、一方、しきい値以上の場合には逆比例をすることによりバッテリー電圧が高い分だけインバータ出力電圧を抑えて、その結果最終的なインバータ14の出力は一定となる。 なお、本例ではインバータの出力を制限したが、ブースターの昇圧比を変更しても同様の効果が得られる。 【0046】これにより、放電終止が近付くに連れて負荷分担が軽くなるため、単位時間当たりの放電量が少なくなり、放電終止に到達するまでの時間を延長させることができる。 その結果、各電源ユニット2を均等に使用していき、各バッテリーの放電終止時期をほぼ同一時期にし、各電源ユニットの能力を充分に活用することができる。 しかも、各電源ユニット2が自己のバッテリーの状態等を検知し自動的に負荷分担を調整するため、他の電源ユニットとの間での負荷分担の調整・制御が不要となる。 【0047】また、上記と同様のことがバッテリーの劣化度のばらつきによっても生じる。 すなわち、たとえ満充電状態になっていたとしても、新品のものと長期間使用して劣化したものでは、バックアップ可能な時間が異なる。 そして、一定期間使用後負荷容量増加に伴い、電源ユニット2を新たに追加したような場合には、各バッテリーの劣化度(残能力)が大きく異なる。 すると、無停電電源装置全体のバックアップ能力は最も劣化した電源ユニットにより規制されてしまう。 【0048】そこで、バッテリー12の残能力に応じて、出力電圧の特性を図6に示すようにした。 すなわち、残能力が大きいほど出力電圧を高くし、残能力が低下してきたならば出力電圧も低下させて負荷分担を軽くし、放電量を抑制するようにする。 なお、残能力とは、 劣化の度合いを示すもので、新品のバッテリーにおける満充電でのバックアップ可能な時間に対する現在のバッテリーにおける満充電でのバックアップ可能な時間をいう。 そして、この残能力は、各電源ユニット2に実装されるバッテリーチェック機能(バッテリーの交換時期を知るために行なう)により事前に各電源ユニットで検出し、その値を保有している。 【0049】そして、係る機能を実施するための装置としては、具体的な図示は省略するが、残能力に対する出力電圧のテーブル等を保有しておき、現在の残能力から必要な出力電圧を検出し、インバータの出力電圧がその検出した出力電圧になるように調整すれば良い。 【0050】そして好ましくは、係る残能力に対する出力電圧の調整と、バッテリーの出力電圧に基づく出力電圧の調整の両者を組み合わせて実行することで、係る場合には、図7に示すように、出力電圧が一定になるしきい値を残能力により決定される出力電圧(図6に示す特性により決定される)とし、係るしきい値よりもバッテリー電圧が低下した場合には出力電圧もそれに応じて低下させるようになる。 そして、係る特性を得るための回路構成としては、図5(B)に示すブロック図のうちしきい値処理部における比較基準であるしきい値を可変にし、検出された残能力に応じて変更させることにより簡単に適用できる。 【0051】*バッテリーチェック機能 上記バッテリーチェックは、強制的に疑似停電を生じさせてバックアップ状態にし(切換スイッチ8,11を切替える)、その時のバッテリー電圧の降下の状態から判定し、判定終了後は平常状態(直送回路からの電力供給)に復帰させるようになっている。 【0052】本例では、上記バッテリーチェックを所定のタイミング(1か月に1回程度)で自動的に行うようになっており、具体的にはまずマスタの制御部15からの制御信号(トリガ)に基づいて各電源ユニット2の制御部15がバックアップ状態に切換えて、劣化度(残能力)の判定を行う。 そして、判定が終了したならば、マスタの制御部15に対して判定終了信号を送る。 但し、 判定終了しても復帰処理(直送回路からの電力供給)はせず、そのまま待機するようにしている。 そして、すべての電源ユニット2から判定終了信号を受けた後、マスタの制御部15から各制御部15に対して復帰信号(トリガ)を送る。 この復帰信号に基づいて各電源ユニット2の制御部15では、各切り替えスイッチ6,11を元の直送回路側へ切り替え(復帰)、通常の商用電源からの電力供給に戻るようにしている。 【0053】この様に各制御部15間で通信を行いつつバッテリーチェック並びにスイッチの切り替え処理を行うようにしたため、バッテリーからの電力供給と商用電源からの電力供給が混在することがなくなる。 【0054】*オーバーロード表示 一方、上述した如く各電源ユニット2の上面には、発光素子19を備えた表示部があり、その発光素子19の点滅は制御部15により制御される。 すなわち、基本的には直送回路を流れる電流をカレントトランスなどにより検出し、その測定電流が所定の値以上になった場合に過負荷(オーバーロード)用の発光素子19を点灯させる。 そして、その点灯の制御は各電源ユニット2に実装される制御部からの指令により動作できるようになっている。 したがって、1つの電源ユニット2を単独で動作させる場合には、通常の過負荷検出を行い、過負荷の時には所定の表示手段たる発光素子19を点灯させる。 【0055】しかし、複数接続した場合にも係る制御を行うと、結線経路の長さの違いから各電源ユニット2に流れる電流値が異なり、ある電源ユニットでは過負荷の発光素子19が点灯するが他の電源ユニットでは点灯しないという事態が生じるおそれがある。 すなわち、例えば負荷をマスタの電源ユニット2に設けられたAC出力コンセント9に接続すると、マスタ側の電源ユニット2 から離れるほど結線通路が迂回して長くなるので測定した電流値が低くなる。 【0056】そこで本例では、図8に示すように、電源ラインL1にカレントトランスCLを取付け、マスタの制御部15が過負荷検出手段たる自己のカレントトランスCLからの測定値を受け、装置全体の許容電力を越えているか否かを判断し、越えている場合には、各制御部15を介してすべての電源ユニット2の発光素子を点灯するようにする。 これにより各ユニットの表示態様が一致する。 【0057】なお、全体の許容電力は、各電源ユニット2の容量は既知であるので、その値に上記した抵抗値検知部22の出力に基づいて求められる接続個数を掛けることにより簡単に求められる。 そして、係る全体の許容容量の算出もマスタの制御部15が行う。 【0058】*接続個数の制限 また、電源ユニットを無制限に接続することを許容すると、ACインレット5の電流容量の制限を越えたり、安定動作を確保できなくなるおそれがある。 そこで本例では、使用するACインレット5の定格や安定動作を保証するために図9に示すように、検査用電源35に対し接点36,第1の抵抗37(抵抗値R1),第2の抵抗3 8(抵抗値R2)を直列接続して閉回路を構成する。 そして、上記電源35,接点36からなる直列回路の両端を上流側接続端子16の2つのピン16cに接続する一方、第2の抵抗38の両端を下流側接続端子17の2つのピン17c間に接続する。 そして、制御部15内の制限台数判定手段たる電圧検出部39にて第2の抵抗38 の両端に係る電圧を検出できるようにしている。 そして、電圧検出部39の出力を接続制限判定部40に送り、この接続制限判定部40にて自己の電源ユニットは接続可能なものか否かを判定する。 そして、その判定結果に基づき接続不能(制限台数を越えている)の場合には動作しないとともに、FAIL用発光素子19を点灯させて接続過多であることを知らせるようにしている。 【0059】すなわち、マスタの制御部15内の接点3 6のみを閉じ、その状態で各電源検出部39が第2の抵抗38の両端子間電圧を測定する。 すると、電源35の電圧をEとしR1,R2を適宜設定すると、マスターの測定電圧はE/2となり、2台目の測定電圧はE/4、 3台目の測定電圧はE/8,4台目の測定電圧はE/1 6…となる。 【0060】したがって、例えば接続許容台数を3台とすると、接続制限判定部40では、与えられた測定電圧がE/8以下であるか否かを判断し、それを越えると制限台数以上と判断することができる。 【0061】また第1の抵抗37に並列に接点(常開接点)を設けると共に、第2の抵抗38に直列に接点(常閉接点)を設け、故障時には上記各接点が切り替わるようにしても良い。 係る構成にすると、故障した電源ユニット内の抵抗は上記回路から電気的に切り離されるので、正常に動作するのが所定数選択され、それ以外は動作しないようになっている。 【0062】*増設バッテリー 図10はバックアップ時間延長のための増設バッテリーを接続可能にした実施例を示している。 すなわち、同図に示すように、電源ユニット2′にバッテリー接続端子42を接続する。 係る構成にすることにより、複数の電源ユニット2′を接続すると、各バッテリー12はバッテリー接続端子42を介して直接並列接続される。 そして、電源ユニット2′に併設して増設バッテリーユニット(図示省略)を接続すると、この増設バッテリーユニットは、筐体の側面所定位置に上記バッテリー接続端子42を有すると共にその端子42に内蔵するバッテリーが接続されているため、結局電源ユニット2′内のバッテリー12と増設バッテリーユニット内のバッテリーが並列接続されることになり、増設バッテリーユニットのバッテリー数だけ容量が増大しバックアップ時間が延長される。 なお、図10には、本実施例に関係のあるところのみ記載し、その他の部分は図1等に示す上記各実施例・変形例のものと同様である。 【0063】*ユニットの分割化 図11はさらに他の実施例を示している。 本例では上記した各実施例と相違して、バッテリを外付けユニットとし、図示の例では回路本体ユニット50の下面にバッテリーユニット51を接続するようにしている。 そして、 このバッテリーユニット51を接続した状態で図2に示すような回路が形成されるようになっている。 これにより、バッテリーの劣化に伴う交換処理が容易となる。 【0064】さらに本例では、バッテリーユニット51 の付け忘れを防止するため、バッテリーユニット51を装着しないと他の電源ユニット(回路本体ユニット5 0)と接続できないようにした。 【0065】すなわち、同図に示すように、回路本体ユニットの接続側両側面対向位置には、それぞれ係合突起53と係合孔54を設け、隣接する回路本体ユニット5 0同士を接続した場合には一方の係合突起53が他方の係合孔54に挿入するようになっている。 【0066】そして、係合孔54を側面側の筐体内部には、略扇型のシャッター55を揺動可能に設けている。 そして、そのシャッター55の所定位置に上記係合孔5 4と略同一形状の貫通孔56を設けて、シャッター55 が回転して所定の位置にくると係合孔54と貫通孔56 は一致して開口し、他の位置(回路本体ユニット50単独の場合の位置)ではシャッター55により係合孔54 は閉塞されるようになっている。 【0067】一方、バッテリーパック51の上面所定位置には押圧突起58を設け、その押圧突起58は、バッテリーパック51を回路本体ユニット50に装着すると回路本体ユニット50内に入り込み、上記シャッター5 5に突き当たり上方へ付勢する。 これによりシャッター55は揺動して係合孔54と貫通孔56が対向して開口するように調整されている。 【0068】これにより、バッテリーユニット51を接続しない限り回路本体ユニット50は機械的に接続不能となり、バッテリーユニット51未接続状態のままバックアップ処理に移行した際に容量不足で短時間でバックアップ不能状態になることが確実に防止できる。 【0069】図12はさらに他の実施例を示しており、 この例では上記した第3実施例をさらに拡張し、制御部を実装する制御ユニット60と、インバータやブースター及び充電器などの回路やAC出力コンセントを備えたインバータユニット61と、バッテリーを内蔵したバッテリーユニット62の3種類を用意し、それぞれ必要な個数だけ用意しそれらを接続することにより、電源ユニットひいては無停電電源装置を構成するようにしている。 そして、各ユニットは具体的な図示は省略するが、 上記した各実施例と同様に各ユニットの側面に設けられた接続端子を介して接続され、電力供給や制御命令などの通信を行うようになっている。 なお、図中符合64はACケーブルである。 【0070】すなわち、上記した各実施例では、各電源ユニット内に制御部を設けたが、マスタ以外のユニットの制御部は基本的にスルー状態となるので、接続数が多くなると係る制御部が無駄になる。 しかし、本実施例では必要なユニットを適宜選択することができるので、不要な部品がなくなり、使用環境に適した種々の構成からなる無停電電源装置を構築することができる。 【0071】なお、上記した各実施例では、いずれも無停電電源について説明したが、本発明はそれに限ることなく、ポータブル電源等のバッテリーを搭載した種々の電源装置に適用することができる。 【0072】 【発明の効果】以上のように、本発明に係る電源装置では、電源ユニット単独でも小量負荷に対しては電力供給することができ、また、所定数組み合わせることにより大容量負荷に対応することができる。 すなわち、使用する負荷に応じた必要十分な電力容量のものに設定できる。 しかも、その後の電気機器の増設やシステム・バージョンアップに対応して負荷容量が増大しても、それに対応して電源ユニットを増設すればよく、電力容量を比較的簡単に増加することができ、さらに、装置の一部に故障が生じたとてしても、残りの電源ユニットの総容量が負荷容量以上のときにはそのまま継続して電力供給することができる。 さらに、出力電圧・電流等を適宜調整するようにした場合には、負荷に対して安定した電力供給をすることができる。 また、複数接続されている場合において、その中のある電源ユニットが故障した場合には、その故障した電源ユニットを取り外して修理するが、この時、残りの電源ユニットの総容量が負荷容量以上であればそのままの状態で電源装置として使用できる。 すなわち、修理しながら代替品を用意することなく使用することもできる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る電源装置の一実施例を示す図である。 【図2】単独動作か複数動作かを判定するための回路構成を示す図である。 【図3】切替えタイミング制御の動作説明を行なうための図である。 【図4】負荷に対する負担容量に基づく出力電圧の特性を示す図である。 【図5】放電電圧に対する出力電圧の特性を示す図である。 【図6】残能力に対する出力電圧の特性を示す図である。 【図7】放電電圧及び残能力に対する出力電圧の特性を示す図である。 【図8】過負荷制御を示す図である。 【図9】接続台数制限機構を実行するための図である。 【図10】少なくともバッテリーを分割することにより複数のユニットから電源ユニットが構成される一例を示す図である。 【図11】少なくともバッテリーを分割することにより複数のユニットから電源ユニットが構成される一例を示す図である。 【図12】少なくともバッテリーを分割することにより複数のユニットから電源ユニットが構成される一例を示す図である。 【符号の説明】 2,2′ 電源ユニット 5 ACインレット(入力端子) 6 ACインレット接続端子(出力端子) 9 AC出力コンセント 10 充電器 12 バッテリー 13 ブースター(電力出力手段) 14 インバータ(電力出力手段) 15 制御部 16 上流側接続端子 17 下流側接続端子 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 6識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H02M 7/48 D 9181−5H |