【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、一般に、カラーテレビジョンのピクチャーチューブに関し、そして詳細には、改良されたスタッドコーティング組成物およびカラーピクチャーチューブのシャドーマスクと、スクリーンドフェースプレートとの間の電気パスを提供する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】カラーテレビジョンのブラウン管は、ガラスバルブを含み、このガラスバルブはファンネルと、 ファンネルのフレアードエンドにシールされたフェースプレートとからなる。 電子ガンは1つ以上の電子ビームを提供するためにファンネルのネック部分に取り付けられている。 フェースプレートはほぼ平坦な内部表面を有し、その上に、電子ビームにより励起される燐光物質団が付着している。 シャドーマスクは電子ビームのうちの1つのみにより励起されうるように、燐光物質団をマスクすることによりカラー選択を提供する。 シャドーマスクは、フェースプレートから延びる金属スタッドを取り外し可能に係合する複数のサスペンションスプリングによりフェースプレートに精密に取り付けられている。 コロイドグラファイトの導電性コーティングはファンネルの内側表面に適用され、そしてファンネル壁にある陽極ボタンを通して高電圧が課せられる。 【0003】燐光物質スクリーン上にアルミニウムの電子透過性フィルムを適用することによって、燐光物質スクリーンをアルミ化することは一般に行われている。 このフィルムは鏡として作用し、そして燐光物質により生成した、後方に進む光を反射することによりディスプレーの輝度を増加させる。 ラッカーのような有機材料のフィルムはアルミニウムの適用の前に燐光物質付着物上に適用される。 この有機フィルムは燐光物質付着物の不均一な領域を充填して、滑らかな表面を提供し、その上にアルミニウムフィルムが付着でき、このアルミニウムフィルムはラッカーの滑らかな性質を受け継ぐ。 【0004】ファンネルコーティング上の陽極電圧がシャドーマスクおよびアルミニウムフィルムに課せられることが必須である。 これを達成するための電気パスはシャドーマスクからファンネルコーティングに係合するように延びている1つ以上のスプリングを含む。 シャドーマスクの陽極電位はシャドーマスクサスペンションスプリングおよび金属サポートスタッドを通してアルミニウムフィルムに伝えられる。 アルミニウムフィルムへの電気パスを得るために、金属サポートスタッドはアルミニウムフィルムまで延びている導電性「ムスタッシュ(口ひげ)」で塗装される。 導電性ムスタッシュを含むこの材料は、一般に、スタッドコーティングと呼ばれる。 【0005】スタッドコーティングとして以前に広く用いられていた従来技術の導電性材料は、ブラシ塗布に適した形態の水溶性シリケートを含む。 水は、次のチューブベーキングプロセスにおいて除去され、硬く、導電性のフィルムがスタッドとアルミニウムフィルムとの間に残る。 この水溶液は、珪酸カリウムまたは珪酸ナトリウムのいずれかをバインダーとして一般に含み、そして必ずしも適切に「湿潤化」せず、そして、部品に付着しなかった。 結果的に、コーティングの破片はスタッドおよびガラス領域から剥がれ落ち(フレークオフし)、そしてシャドーマスクにある1つ以上のアパチャーをブロックし、そのことが、しばしば、許容できないチューブをもたらした。 ガン領域におけるこのような粒子も電極間アーク放電および/または陰極被毒をもたらしうる。 水溶液コーティングは、アルミ化の後そしてスタッドダッグ(stud Dag) の前に、余計なベーキングサイクルを要求していた。 【0006】発明者の名義であり、そしてZenith Elect ronics Corporationに譲渡された米国特許第4,289,800 号および第4,301,041 号は、アルミ化の後の更なるベーキング工程の必要を無くすことにより、上記の従来技術の問題を解決し、そして製造プロセスに多大なコスト節約を導入した。 これらの特許を参照により本明細書中に取り入れる。 これらの特許は、ラッカーフィルム( アルミニウムフィルムの下にある) のためのガラスフリット粒子およびコロイドグラファイトの揮発性溶剤中の混合物および塗布可能な粘度を提供するための増粘剤を含むスタッドコーティング組成物および方法を開示している。 溶剤は多孔質のアルミニウムフィルムを通してラッカー層を通過し、そしてLehr( 炉) のチューブベーキングサイクルの間に除去された。 これらの特許に記載されたスタッドコーティング溶液および方法は、工業上、広く用いられ、そして長年にわたって非常にうまく機能してきた。 【0007】上記の特許において記載されたガラスフリットタイプのスタッドコーティングは製造プロセスの支障または中断の間の欠陥を明らかに示す。 詳細には、生産ラインが停止したときに生じるように、チューブが長時間にわたって高いLehr温度にさらされるときには問題が生じる。 ガラスフリット中の酸化鉛はグラファイト中の炭素と反応し、二酸化炭素および鉛を生成し、そしてスタッドコーティングの導電性を破壊する。 多くの例において、生産ラインの停止の間のLehrの熱制御を注視することにより、この問題を回避することができるが、長時間の停止の間に、困難であろう。 この問題は、しばしば、チューブが最終検査および試験に合格するには十分な量のスタッドコーティングが損なわれないが、電界中でアーク放電を反復して起こし、そして究極的に破損する傾向があるという事実と組み合わされる。 この問題は数の上では大きくないが、ピクチャーチューブに対して致命的であり、そしてその問題はピクチャーチューブのルーチン試験の間には現れないので消費者に対して明らかに出費を強い、そして消費者にとって不便である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的はカラーブラウン管の性能信頼性を向上させることである。 本発明の別の目的はカラーブラウン管の製造コストを低減することである。 本発明の更なる目的はスタッドコーティングにまつわるアーク放電を最少にしたブラウン管を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記の通り、カラーブラウン管は、ラッカーフィルムおよびアルミニウムフィルムを順番にフェースプレート上に有する、燐光物質を含有する画像形成フェースプレートを有する。 シャドーマスクは、フェースプレートから延びている複数の金属製スタッドによってフェースプレートに隣接して固定されている。 シャドーマスクとアルミニウムフィルムとの間にスタッドおよびスタッドコーティングを介して電気ブリッジが提供され、アルミニウムフィルムは陽極電位に維持される(周知のように、シャドーマスクは、ピクチャーチューブのフェースプレートとファンネルとの間の非導電性ガラスフリットのシールをつなぐスプリングにより、ファンネルの内側のコーティング上にある陽極電圧に電気接続されている)。 【0010】スタッドコーティング電気ブリッジまたはムスタッシュを提供するための、本発明に係る改良されたベーク硬化可能な溶液(bake-hard enable solution) はミクロン径の範囲のグラファイト粒子の混合物を本質的に含む。 この粒子はラッカーフィルムのための揮発性溶剤中の懸濁液の中にある。 この懸濁液は、ブラシ塗布のために塗布可能な粘度を提供するために十分な量の増粘剤を含む。 サスペンションスタッドとアルミニウムフィルムの間にこの溶液を適用するときに、この溶液は、 チューブがベーキングされるときにラッカーフィルムを通過し、この溶液は硬化して、マスクとアルミニウムフィルムとの間の永久導電ブリッジを提供する。 【0011】この溶液は200 〜800 センチポアズの範囲の粘度を有してよく、そして好ましくは約550 センチポアズである。 ベーキング後に、この溶液は100 〜500 オーム/ スケアの範囲の電気抵抗率を有してよい。 本発明の導電性スタッドコーティングは次のように配合されうる(1ガロンを製造)。 他の供給元から供給されうる等価の材料を用いてもよい。 【0012】精製グレードのブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)(Fisher Scientifi c Co. のE179) 2025グラム中にアクリル樹脂(Elva cite2044-ICI Acrylics) 225グラムを溶解させ、アクリル樹脂原料溶液を得る。 適切な容器(2000ml ビーカー)中で225グラムのブチルセロソルブを計量する。 これに、N−ブチルアセテート(Fisher Scienti fic Co. のB-396)675グラムおよび樹脂バインダー6 30グラムを加え、そしてこの溶液を均質になるまで攪拌して樹脂バインダー溶液を製造する。 混練媒体を約8 000グラム含むボールミル中に下記成分を加える。 【0013】 成分 量 重量% 範囲(range)グラファイトHPN-2 630グラム 14 36144 グラファイトLN 1052 (Grapfo Colloids) 90グラム 2 35797 アクリル樹脂原料溶液 2250グラム 50 45 〜55 樹脂バインダー溶液 1530グラム 34 30 〜38 【0014】ボールジャーを22〜24時間回転させ、 そして混練したコーティング懸濁液を1ガロンの容器中に注ぐ。 コーティングの調製は、作業員がゴム手袋、レスピレータマスク、ラボコート、ヘアネットおよび靴カバーを装着する等の適切な注意深い手順をもって、十分な換気領域において行われるべきである。 N−ブチルアセテートおよび樹脂バインダー溶液の引火性のための注意も払われなければならない。 【0015】本発明により調製され、そして使用されるスタッドコーティングはガラスフリットをベースとするスタッドコーティングの使用に関する上記の問題を除去する。 この新規のスタッドコ−ティングの主な特徴は、 可撓性(加工後に)であり、この可撓性はフレーキングに対する耐性を改良する。 さらに、本発明のスタッドコーティングはより安価であり、そして、さらに、ピクチャーチューブのための余計なベーキングサイクルを必要としないという利点を有する。 【0016】試験において、従来技術のフリットベースのスタッドコーティングはスタッドおよびアルミニウムフィルムに適用され、そして450℃の温度に2時間付された。 コーティングの抵抗は300オームから73, 000オームに上昇した。 新規のスタッドコーティングでは、同一の条件下において、抵抗は300オームのままであった。 【0017】カラーピクチャーチューブの製造ラインの運転において、スタッドのアーク放電による欠陥品は従来技術のフリットベースのスタッドコーティングでは0.3%にのぼったが、本発明のスタッドコーティングでは、スタッドのアーク放電による欠陥品はなかった。 【0018】カラーピクチャーチューブにおけるアルミニウムフィルム導電性に対するスタッドの問題を解決する新規のスタッドコーティング組成物および方法を記載してきた。 本発明の記載した態様において、多くの変更は本発明の精神および範囲を逸脱することなく当業者が考えうることは認識される。 本発明は特許請求の範囲に規定されるものとしてのみ制約されるべきである。 |