【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ガス絶縁開閉装置に係わり、特に接地線の長さを短かくして避雷器の動作電位が正確なガス絶縁開閉装置に関する。 【0002】 【従来の技術】ガス絶縁開閉装置は、いくつかの密閉容器内に遮断器,断路器,接地開閉器,計器用変圧器等を互いに電気的に接続する通電導体を収納し絶縁性ガスを充填してなる装置であり、縮小化や絶縁性能及び安全性に優れていることから、変電所等の電気所に広く設置されている。 【0003】このようなガス絶縁開閉装置において、従来の装置は、特開平4−109808 号公報に記載のように、 避雷器素子部と高電圧導体部との間に断路器部が設けられ、且つ避雷器素子部がこの断路部を開閉させるように移動可能に設けられ、さらに避雷器素子部の容器外には、避雷器素子部を容器外から駆動することによって断路部を開閉し、避雷器素子部を高電圧導体部に対して接離させる操作部が設けられた構成となっていた。 【0004】又、特開平8−265925 号公報,実開昭60− 117610号公報には、可動コンタクトを避雷器本体の電源側に設けるとともに、避雷器本体の接地側には直進用の摺動軸を設けてタンク底板を気密に貫通させ、避雷器本体を上下動させて投入,遮断するガス絶縁開閉装置が開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】特開平4−109808 号公報に記載の従来のガス絶縁開閉装置では、現地耐電圧試験時において避雷器素子に電圧が印加されないようにガス絶縁開閉装置本体側から切離す構造になっているものの外部に切離すための操作部を設ける必要があった。 【0006】又、特開平8−265925 号公報,実開昭60− 117610号公報に記載の従来のガス絶縁開閉装置は、避雷器が導体から切離された状態においての電界の緩和について配慮されていないものであった。 又、避雷器を内蔵したタンクをどのような位置に設置するかについて開示されていなく、接地線の長さを短くすることについては配慮されていないものであった。 【0007】本発明の第1の目的は、避雷器の動作電位に重畳する電位を小さくできるガス絶縁開閉装置を提供することにある。 【0008】本発明の第2の目的は、避雷器が導体から切り離された状態でも電界が緩和されるガス絶縁開閉装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のガス絶縁開閉装置は、母線ユニットと、遮断器ユニットと、線路側ユニットを備えたガス絶縁開閉装置において、前記線路側ユニットが線路側ユニット内の底部に設けられた避雷器と、該避雷器と主回路導体間に設けられた脱着可能な接続部と、前記線路側ユニットの下部に避雷器を移動させるための切離装置とを備えるものであって、該切離装置に避雷器の接地線を締結するための密封端子を設けるとともに該密封端子と監視装置を接地線で接続したことを特徴とする。 【0010】又、母線ユニットと、遮断器ユニットと、 線路側ユニットを備えたガス絶縁開閉装置において、前記線路側ユニットが線路側ユニット内の底部に設けられた避雷器と、該避雷器と主回路導体間に設けられた脱着可能な接続部と、前記線路側ユニットの下部に避雷器を移動させるための切離装置とを備えるものであって、前記接続部の避雷器側にシールドを設けたことを特徴とする。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の一実施例を、図1から図3を用いて説明する。 図1,図2に示すように、本実施例のガス絶縁開閉装置は、母線ユニット1,遮断器ユニット2,線路側ユニット3で構成されている。 遮断器ユニット2の一方の側には、上下方向に2つの母線ユニット1が設けられており、遮断器ユニット2の他方の側には線路側ユニット3が接続されている。 遮断器ユニット2の下方側には操作器4が配置され、操作器4の側方に制御箱5が配置されている。 【0012】母線ユニット1は次のように構成されている。 母線容器7内には三相の母線導体6a,6b,6c が二等辺三角形の各々の頂点に配置されている。 母線容器7は、母線導体6の軸線方向に延びた円筒容器部分7 aと円筒容器部分7aと直交する方向の円筒容器部分7 bを組合わせて形成されており、上下の母線導体6a, 6bは円筒容器部分7aの中心線上に縦方向に配置され、母線導体6cは遮断器ユニット2側に配置されている。 母線容器7の円筒容器部分7aの両端部には、フランジが設けられており、一方の端部にはベローズで形成される伸縮継手15が接続されている。 【0013】母線導体6a,6b,6cのそれぞれ分岐導体8a,8b,8cは、円筒容器部分7bの中心線部分で縦方向に一列に並ぶように配列されている。 分岐導体8a,8b,8cの中心部には可動電極13が設けられており、2つの母線容器7の間に配置された操作器9 により駆動されて分岐導体8a,8b,8c内を往復運動するようになっている。 母線ユニット1と遮断器ユニット2間に設けられた絶縁スペーサ10には導体11を介して固定電極12が固定されている。 可動電極13と固定電極12で断路器が構成されている。 上下の母線ユニット1と遮断器ユニット2間には気密を保つための絶縁スペーサ10がそれぞれ設けられ、絶縁スペーサ10 には、その中心線部に水平方向に一列に導体接続部14 が配列されており、遮断器ユニット内の導体11と接続されている。 【0014】遮断器ユニット2は次のように構成されている。 遮断器ユニット2の容器は、垂直方向の軸線を有する円筒容器部分16aとこの円筒容器部分16aの上部側で水平方向の両側に形成された円筒容器部分16b 及び下部側で水平方向の母線ユニット側に形成された円筒容器部分16bとで構成されている。 円筒容器部分1 6aの中心線部分には三相分の遮断器17が母線導体6 の軸線方向と同方向に配列されている。 【0015】上方の絶縁スペーサ10に設けられた導体接続部14と下方の絶縁スペーサ10に設けられた導体接続部14とは、往復導体18で接続されており、往復導体18の下方側は、遮断器17の遮断部の下方側で導体24により接続されている。 【0016】往復導体18の下部には接地装置の固定電極19が設けられており、遮断器ユニット2の容器の外部に設けられた操作器(図示せず)により駆動される可動電極と接離可能となっている。 【0017】遮断器17の上部には接続導体20が設けられており、この接続導体20は遮断器ユニット2と線路側ユニット3との間に設けられた絶縁スペーサ21に横方向に一列に配列された導体接続部22に接続されている。 また、接続導体20には遮断部側に分岐部が設けられており、その端部には接地装置の固定電極23が設けられている。 この固定電極23と遮断器ユニット2の容器の外部に設けられた操作器(図示せず)により往復運動される可動電極とは接離可能になっている。 【0018】ここで、中央に配置された遮断器17は、 絶縁スペーサ10に設けられた中央部の導体接続部14 と絶縁スペーサ21に設けられた中央部の導体接続部2 2とを結ぶ直線上に配置されている。 この中央の遮断器17の両側に配置された遮断器17は、絶縁距離を確保するため、それぞれ対応する導体接続部14,22を結ぶ線より外側に配置されている。 このため、導体24は外側方向に向けて接続されるようになっている。 また、 遮断器17は円筒形状に形成されているが、その配列方向の面は平面形状に形成されており、配列方向の寸法を低減している。 遮断器17の上部は遮断器ユニット2と線路側ユニット3との間に設けられた絶縁スペーサ21 に水平方向一列に配置された導体接続部22に接続されている。 線路側ユニット3は、次のように構成されている。 線路側ユニット3の容器は、垂直方向の円筒容器部分25aとこの円筒容器部分25aの上部で水平方向に形成された円筒容器部分25bで構成されている。 絶縁スペーサ21に設けられた導体接続部22には導体26 が接続され、この導体26の中央部には線路側ユニット3の容器の外部に設けられた操作器27により上下方向に往復運動する可動電極28が設けられている。 可動電極28と接離可能な固定電極29とで断路器を形成し、 この固定電極29は、円筒容器部分25a内の遮断器ユニットとは反対側で下方に配置されたケーブルヘッド3 0によって直接固定される導体31に固定されている。 ケーブルヘッド30の横方向で遮断器ユニット2側には避雷器32が配置されており、ケーブルヘッド30の上方には計器用変圧器33が配置されている。 ケーブルヘッド30と避雷器32は共通の導体31に接続されている。 導体31には、接地装置の固定電極34が設けられており、線路側ユニット3の容器の外部に設けられた操作器35により駆動される可動電極と接離可能となっている。 計器用変圧器33と導体31とは切離装置36により接離可能となっている。 【0019】線路側ユニット3の下方には、線路側ユニット3を載置するための架台37が設置されている。 線路側ユニット3の容器の下部には底板38が設けられており、底板38のシール部分を介してケーブルヘッド3 0のケーブル40への接続部39が引き出され、ケーブル40には変流器41が取り付けられている。 【0020】線路側ユニットの底面図を図3に示す。 図3に示すように、線路側ユニット3内の三相の避雷器3 2と三相のケーブルヘッド30とは、円筒容器部分25 aの同心円上にほぼ位置するように配置されており、三相のケーブルヘッド30は遮断器ユニット2とは反対側に位置し、三相の避雷器32は遮断器ユニット2側に位置している。 このように配置することにより現地据付時の変流器41取付の際に作業性が良くなる。 また、断路器は一列に配列されており、その位置は二等辺三角形の頂点に配置された避雷器32のうちの遮断器ユニット2 から遠い位置にある二相の避雷器32とほぼ同位置に配列されている。 このように、三相のケーブルヘッド30 と三相の避雷器32が同心円状に配置されているので、 線路側ユニット3の円筒容器部分25aの外径を小さくすることができる。 また、ケーブルヘッド30と避雷器32は共に下方に配置され、少なくとも二相について同相のケーブルヘッド30と避雷器32を近くに配置しているので、避雷器の課電率を低下させることができ、避雷器の寿命を延ばすことができる。 【0021】線路側ユニット3の下方で遮断器用操作器4を収納する箱の側面には監視装置42が取り付けられており、この監視装置42には避雷器32の下方から引出された接地線43が接続されている。 このように接地線43を避雷器32の下部から引出しているので、接地線43の長さを短くでき、避雷器32の動作電位に重畳する電位を小さくすることができる。 その結果、避雷器32は動作電位で正確に動作することができる。 【0022】底板38における避雷器32の支持構造は図3に示すようになっている。 底板38には、絶縁物で形成された板51を挟みシール材を介して、カバー52 のフランジ部がボルトで固定されている。 避雷器32の下部には円筒形状の密封端子53が接続されており、密封端子53の下端には接地線43が取付けられている。 密封端子カバー52の密封端子53との嵌合部分には、 Oリング54が設けられており、外部とのシールを行っている。 カバー52の下端部にはフランジが設けられており、密封端子53の下端側に設けられたフランジ部によりボルトで固定されるようになっている。 また、避雷器32と導体31との接続部は摺動可能な構造となっており、避雷器32側にオス部を、導体31側にメス部を設けている。 さらにシールド59がオス部を覆うように避雷器32側に取り付けられており、避雷器32が導体31から切離された状態においても電界が緩和されるようになっている。 【0023】避雷器32を導体31から切離すときは、 図4,図5に示すようにスタッドボルト55を介して、 ネジ穴を有する固定板56を取付け、密封端子にスピンドル57を押し当てる。 その状態で密封端子53の下端側に設けられたフランジのボルトを外す。 このフランジのボルトを外すことにより、線路側ユニット3の容器内部のガス圧力及び避雷器32の自重により避雷器32が下方に移動しようとするため、スピンドル57を回転させることにより避雷器32を導体31から切離すことができる。 一方、避雷器32を導体31に接続するときは、スピンドル57を回転させることにより避雷器32 を押し上げて接続する。 なお、避雷器32の重量が軽い、あるいはOリング54によるシール面圧力が強いなどにより避雷器32が下方に移動しにくい時には、図4 に示すようにカバー52及び密封端子53のどちらか、 あるいは両方に溝58を周方向に一箇所あるいは数カ所設け、溝58に力を加え加勢することにより避雷器32 を下方へ移動させる。 あるいは図5に示すように密封端子53のフランジの外径をカバー52のフランジの外径よりも大きくする構造とすることにより、避雷器32に取付けられた密封端子53に力を加えることにより避雷器32を下方へ移動させることも考えられる。 【0024】架台37には、監視装置42が取り付けられており、この監視装置42には避雷器32の下方から引出された接地線43が接続されている。 このように接地線43を避雷器32の下部から引出しているので、線路側ユニット3の内部に切離装置を設ける必要がなくなり、避雷器32を底板38の下方へ移動させることにより切離しを行うことができる。 【0025】また、避雷器32を大地に近い位置に配置しているため、接地線43の長さを短くできるので、避雷器32の動作電位に重畳する電位を小さくすることができる。 その結果、避雷器32は動作電位で正確に動作することができる。 【0026】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、避雷器の切離装置において、切離装置と密封端子とを共用することにより部品点数を減らすことができ、また切離し操作を簡便に行うことができる。 又、避雷器を大地に近い位置に配置しているため、接地線の長さを短くできるので、避雷器の動作電位に重畳する電位を小さくすることができる。 その結果、避雷器は動作電位で正確に動作することができる。 又、シールドがオス部を覆うように避雷器側に取付けられており、避雷器が導体から切離された状態においても電界を緩和することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例であるガス絶縁開閉装置の縦断面図である。 【図2】本実施例のガス絶縁開閉装置の横断面図である。 【図3】本実施例の避雷器の切離装置を示す縦断面図である。 【図4】本発明の他の実施例である避雷器の密封端子を示す縦断面図である。 【図5】本発明の他の実施例である避雷器の密封端子を示す縦断面図である。 【符号の説明】 1…母線ユニット、2…遮断器ユニット、3…線路側ユニット、4…遮断器用操作器、5…制御箱、6…母線導体、7…母線容器、8…分岐導体、10…絶縁スペーサ、11,24,26,31…導体、12,19,2 3,29,34…固定電極、13,28…可動電極、1 4,22…導体接続部、15…伸縮継手、16,25… 円筒容器部分、17…遮断器、18…往復導体、20… 接続導体、21…絶縁スペーサ、27,35…操作器、 30…ケーブルヘッド、32…避雷器、33…計器用変圧器、36…切離装置、37…架台、38…底板、39 …接続部、40…ケーブル、41…変流器、42…監視装置、43…接地線、51…絶縁板、52…カバー、5 3…密封端子、54…Oリング、55…スタッドボルト、56…固定板、57…スピンドル、58…溝、59 …シールド。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木田 順三 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株式 会社日立製作所国分工場内 (72)発明者 矢吹 実 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株式 会社日立製作所国分工場内 (72)発明者 渡辺 康人 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株式 会社日立製作所国分工場内 Fターム(参考) 5G017 AA03 AA05 AA06 AA23 BB01 BB02 BB09 BB12 BB15 BB20 EE01 FF02 FF05 HH04 JJ01 |