【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、操作部の設定位置に応じてディジタル値の出力コードが取り出せるようにしたディジタルスイッチに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、この種のディジタルスイッチとしては、ディジタルサムホイールスイッチや、プッシュ式ディジタルスイッチが提供されている。 たとえば、 ディジタルサムホイールスイッチは、図7および図8に示すように構成され、側方に開放されたケース10の開口を閉塞する形で印刷配線板20が配置され、ケース1 0の内周面に印刷配線板20に直交するように突設された軸11にサムホイール30が回転自在に取り付けられている。 サムホイール30は、周面に滑り止め用の凹凸31が形成され、側面に接触子32が形成されているものであって、周面に数字を表記したダイアル33とともに回転するようになっている。 印刷配線板20には、図10に示すように、ほぼ同心円状に形成された複数ビットのスイッチパターン21〜25が形成され、中心のスイッチパターン21は共通パターンであって、他のスイッチパターン22〜25が各ビットに対応するようになっている。 各ビットに対応したスイッチパターン22〜 25の要所には凸状の接続パターン26が連続して形成され、各スイッチパターン21〜25は、印刷配線板2 0の端縁に突設された端子27に接続される。 接触子3 2は、図11に示すように、接続パターン26に摺接可能な位置に脚片34を備えるとともに、各脚片34の一端部間が橋絡されたパターンに形成されている。 【0003】サムホイール30を回転させると、接触子32が回転して接続パターン26に接触し、どの接続パターン26に接触子32が接触するかに応じて、各ビットのスイッチパターン22〜25と共通パターンであるスイッチパターン21との導通関係が変化する。 たとえば、共通パターンであるスイッチパターン21に接続されたスイッチパターン22〜25に対応するビットを「1」、接続されないスイッチパターン22〜25に対応するビットを「0」とすれば、端子の導電関係によって2進コードやBCDコード等のディジタル値の出力コードを得ることができるのである。 ダイアル33に表記された数字は、ケース10に設けた窓12から露出するのであって、この数字が出力コードに対応するようにしてある。 また、露出する数字と出力コードとが確実に一致するように、図9に示すように、ケース10に一体に設けた弾性を有するストッパ13とダイアル33に設けた歯車35の歯とが係合することによって、サムホイール30が節動するようになっている。 【0004】以上の構成によって、指先などによってサムホイール30の操作部を回転させると、端子27の間の導電関係によってディジタル値の出力コードを得ることができるのである。 ところで、サムホイール30は指先などで操作するものであるから、指先などから静電気による放電が生じてスイッチパターン21〜25にノイズが入り、誤動作が生じたり回路部品が破損したりすることがある。 とくに、最外周のスイッチパターン25は操作部との距離が小さいから、放電電流が流れやすいことになる。 【0005】このような問題を解決するために、従来より、図12に示すように、ケース10におけるサムホイール30の露出部位を囲むように金属等の導電体よりなる接地板14を配置し、接地板14を接地することが考えられている。 この接地板14を配置すれば、指先等の静電気はサムホイール30に触れる前に放電されることになり、スイッチパターン21〜25にノイズが入ることが防止できるのである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成によって静電気に対する対策を施すと、接地板14が別途に必要であって、部品点数が増加するという問題が生じる。 また、取付構造が複雑になるから、ディジタルスイッチの取付構造に制約が生じることになる本発明は上記問題点の解決を目的とするものであり、別途の部材を用いることなく静電気による影響を抑制したディジタルスイッチを提供しようとするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、導電層に複数ビットのスイッチパターンが形成された印刷配線板と、スイッチパターンに接触する位置に応じて各ビットのスイッチパターンの間の接続関係を変えることにより出力コードのディジタル値を設定する接触子と、 接触子を移動させるように操作される操作部とを備えたディジタルスイッチいおいて、印刷配線板は、操作部の操作面に略直交するように配置され、スイッチパターンよりも操作部に近い部位に接地パターンが形成されているのである。 【0008】請求項2の発明では、接地パターンにおいて操作部に近い部位には、操作部に向かって突出する先端の尖った突起パターンが形成されているのである。 請求項3の発明では、接地パターンは、操作部に近い部位において二分されているのである。 【0009】 【作用】請求項1の構成によれば、スイッチパターンを形成した印刷配線板に、スイッチパターンよりも操作部に近い部位で接地パターンを形成しているから、接地パターンを接地しておけば、指先などの静電気による放電は、スイッチパターンよりも近い位置にある接地パターンとの間で生じるのであって、スイッチパターンに放電電流が流れることが防止されるのである。 その結果、別途の部材を用いることなく、静電気に対する対策が施されるのであって、部品点数の増加がなく、また、取付構造の制約が少なく簡単に取り付けることができるのである。 【0010】請求項2の構成によれば、接地パターンにおいて操作部に近い部位に操作部に向かって突出する先端の尖った突起パターンを形成しているので、突起パターンにおいては電界の集中度が高くなり、静電気による放電が生じたときに、放電電流を接地パターンに導きやすくなるのである。 請求項3の構成によれば、接地パターンが操作部に近い部位において二分されているから、 接地パターンが分割されている部位を利用してスイッチパターンを形成することが可能であり、スイッチパターンを操作部に近接して設けることができるから、静電気に対する対策を施しながらも大型化を防止できる。 【0011】 【実施例】(実施例1)基本構成は、従来の技術で示した構成と同様であるから、従来例との相違点のみ説明する。 すなわち、図1に示すように、印刷配線板20の導電層に、スイッチパターン21〜25のほかに、接地パターン28を形成した点が従来とは異なっている。 接地パターン28は、最外周のスイッチパターン25の外側に形成される。 たとえば、4ビットのスイッチパターン21〜25が形成されているとすれば、最外周に形成された最上位ビットのスイッチパターン25の外側を囲むように、接地パターン28が形成されるのである。 ここに、接地パターン28は、スイッチパターン25を全周に亙って囲む必要はなく、サムホイール30(図10参照)に指を触れる操作部側の端部において、スイッチパターン25よりも操作部に近い部位に接地パターン28 を形成すればよい。 接地パターン28には端子27が接続され、この端子27は接地される。 【0012】このような接地パターン28を設けたことによって、図2に示すように、指先などの静電気は、スイッチパターン21〜25よりも指先の近くに位置している接地パターン28との間で放電し、矢印のように放電電流が流れるのであって、スイッチパターン21〜2 5に対して放電電流が流れることが防止されるのである。 すなわち、静電気による誤動作や回路部品の破損が防止されるのである。 静電気試験(200pF)では耐圧が3kVであった製品に本構成を採用したところ、耐圧が10kV以上に向上した。 【0013】なお、実施例では、ディジタルサムホイールスイッチを示したが、プッシュ式ディジタルスイッチでも同様の効果が得られるものである。 (実施例2)本実施例では、図3に示すように、接地パターン28における操作部に近い部位に、先端が尖った突起パターン29を形成している。 このような突起パターン29を形成すれば、突起パターン29の先端部での電界の集中度が高くなり、指先等の静電気による放電は突起パターン29との間で生じやすくなるのである。 その結果、スイッチパターン21〜25との間での放電を実施例1よりも一層確実に防止することができるのである。 ここに、突起パターン29は1個だけ示しているが、複数個設けてもよい。 他の構成は実施例1と同様である。 【0014】(実施例3)本実施例では、図4に示すように、印刷配線板20における操作部に近い部位で二分した接地パターン28a,28bを形成しているものである。 すなわち、最外周のスイッチパターン25の一部は、両接地パターン28a,28bの間を通して操作部に臨むようになっている。 ただし、図5に示すように、 指先などと接地パターン28a,28bとの距離L 1 , L 2 、および指先などと最外周のスイッチパターン25 との距離L 0は、L 1 ,L 2 ≦L 0となるように、両接地パターン28a,28bの間隔が設定されている。 また、各接地パターン28a,28bにはそれぞれ端子2 7が設けられる。 両接地パターン28a,28bに接続された端子27は、図6に示すように、共通に接続されて接地される。 【0015】この構成では、印刷配線板20の操作部側の端縁において、接地パターン28a,28bが二分されているが、上述した距離の関係が設定されていることによって、指先などとの間のインピーダンスは、スイッチパターン25との間よりも接地パターン28a,28 bとの間とのほうが低くなり、結果的に、接地パターン28a,28bとの間で放電が生じるのであり、矢印のように接地パターン28a,28bを通して放電電流が流れることになる。 また、接地パターン28a,28b が二分されていることによって、この隙間の部位に近接してスイッチパターン25を配置することが可能になり、隙間を形成していない場合に比較すれば、印刷配線板20の図4における左右方向の寸法を小さくすることができ、小型化につながるのである。 他の構成は実施例1と同様である。 【0016】 【発明の効果】請求項1の構成によれば、スイッチパターンを形成した印刷配線板に、スイッチパターンよりも操作部に近い部位で接地パターンを形成しているから、 接地パターンを接地しておけば、指先などの静電気による放電は、スイッチパターンよりも近い位置にある接地パターンとの間で生じるのであって、スイッチパターンに放電電流が流れることが防止されるという効果がある。 その結果、別途の部材を用いることなく、静電気に対する対策が施されるのであって、部品点数の増加がなく、また、取付構造の制約が少なく簡単に取り付けることができるという利点を有するのである。 【0017】請求項2の構成によれば、接地パターンにおいて操作部に近い部位に操作部に向かって突出する先端の尖った突起パターンを形成しているので、突起パターンにおいては電界の集中度が高くなり、静電気による放電が生じたときに、放電電流を接地パターンに導きやすくなるという効果を奏する。 請求項3の構成によれば、接地パターンが操作部に近い部位において二分されているから、接地パターンが分割されている部位を利用してスイッチパターンを形成することが可能であり、スイッチパターンを操作部に近接して設けることができるから、静電気に対する対策を施しながらも大型化を防止できるという利点がある。 【図面の簡単な説明】 【図1】実施例1を示す印刷配線板の正面図である。 【図2】実施例1の動作説明図である。 【図3】実施例2を示す印刷配線板の正面図である。 【図4】実施例3を示す印刷配線板の正面図である。 【図5】実施例3を示す要部拡大図である。 【図6】実施例3の動作説明図である。 【図7】本発明に係るディジタルスイッチの斜視図である。 【図8】本発明に係るディジタルスイッチの分解斜視図である。 【図9】本発明に係るディジタルスイッチの要部正面図である。 【図10】従来例を示す印刷配線板の正面図である。 【図11】従来例を示す接触子の正面図である。 【図12】従来例の取付状態を示す側面図である。 【符号の説明】 20 印刷配線板 21 スイッチパターン 22 スイッチパターン 23 スイッチパターン 24 スイッチパターン 25 スイッチパターン 28 接地パターン 30 サムホイール 32 接触子 |