【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は電源回路の通電遮断装置に関し、特に、地震等の振動発生時に建物,構造物,家屋等の外部電源につながる電源回路の通電を遮断する通電遮断装置及びその方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、家庭やオフィス,工場等の建物,構造物,家屋等においては、蛍光灯等の照明器具、 その他種々の電気製品や機械等の電力源として、電力会社から配電される電力が用いられる。 この電力を使用する場合は、部屋の各所に設けられたコンセントにプラグを挿し込むことにより行われる。 このようなコンセントと、上記外部から配電される電力引込線(電源)との間には、予め定められた使用電流を越えると自動的にコンセントへに接続された電源回路への通電を遮断するブレーカー装置が設けられている。 【0003】このようなブレーカー装置は、図12に示すように、ブレーカー装置10の操作レバー10aを上下方向に回動させることにより、電源をON/OFFの間で切換えることができるようになっている。 すなわち、操作レバー10aを上方に回動させると電源はON (コンセントに接続された電源回路に通電)し、操作レバー10aを下方に回動させると電源はOFF(コンセントに接続された電源回路への通電を遮断)するようになっているのが普通である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような電源のブレーカー装置10は、人が手で操作レバー10aを上げたり下げたりの操作をしなければ、電源をON/OFFさせることはできない構造になっている。 このため、大地震等の災害時のように急いで逃げなければならない場合は、ブレーカー装置10の操作レバー1 0aを下ろした方が良いことを知っている人、またはそのことに気が付く人は少なく、或は、そのことに気が付いた人がいたとしても、そのような場合はその操作をしている余裕がない場合が多い。 この結果、地震が沈静化してから、電力会社が地震の間一時停止していた配電を再開することにより、人が居ない家で例えば、ガラスが割れて水が無くなった熱帯魚の水槽のヒータやアイロン、電熱器等が過熱して、火災という二次災害を引き起こし易いという問題があった。 特に、配電再開時に洗濯機や冷蔵庫等の起動時の電気火花が、漏れた可燃ガスに引火してガス爆発を起こして火災につながる例が多いので、この点においては非常に問題である。 【0005】そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、大地震等の災害時には電源のブレーカー装置を自動的にO FFの状態にして、電源回路の通電を自動的に遮断することができる電源回路の通電遮断装置及びその方法を提供することを課題とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明による電源回路の通電遮断装置は、壁面に取り付けられ電源回路への通電と遮断を切換える上下両方向に回動可能な操作レバーを有するブレーカー装置と、 前記操作レバーの先端に一端部が連結された長尺の紐体と、前記紐体の他端に連結され落下時に前記操作レバーを上方から下方に向かって回動させて前記電源回路の通電を遮断する重量を有する錘体と、前記錘体と係合し振動発生時に前記係合が外れて錘体が落下するような係合手段を有し前記ブレーカー又はその周辺に取り付けられる錘体支持部材とを備えた構成としたものである。 【0007】このような構成の電源回路の通電遮断装置によれば、錘体支持部材の係合手段に係合していた錘体が、振動発生時に係合手段から係合を外れて落下し、このとき錘体の重さにより紐体を介して、ブレーカー装置の操作レバーを上方から下方に向かって回動させることにより、電源回路の通電を自動的に遮断する。 このため、大地震等の災害時には電源のブレーカー装置を自動的にOFFの状態にして、電源回路の通電を自動的に遮断することができ、前記二次災害を未然に防止することができる。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。 図1ないし図3は、本発明の第1の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置及びその方法を示す図である。 【0009】図1に示すように、ブレーカー装置10が設けられた配電盤ケース12の下方の壁14の部分には、断面がL字型の錘体支持部材16がビス18(又は接着剤)等により固定されている。 錘体支持部材16の水平板部には、所定の直径の円形断面を有する孔16a が形成されており(図3参照)、この孔16aの上端開口部(係合手段)にはその開口を塞ぐように、球体状に形成された重い錘体20が嵌合(係合)されて支持されている。 【0010】錘体20の上側には孔のある突起20aが形成されており、この突起20aの孔には長尺の紐体2 2の一端部が通されて、その紐体22の一端部は突起2 0aに連結されている。 紐体22の他端部は、ブレーカー装置10の操作レバー10aの先端部にある孔に通されて、操作レバー10aの先端部に連結されている。 図示するように紐体22は、少し弛ませて錘体20と操作レバー10aの間に連結されている。 【0011】このように構成された電源回路の通電遮断装置によれば、大地震等により振動が発生すると錘体2 0が振動して、同様に振動する錘体支持部材16の孔1 6aの上端開口部から嵌合が外れて錘体20は図2中矢印B方向に落下する。 この落下した錘体20の重さにより、紐体22がブレーカー装置10の操作レバー10a を、上方から下方に(図2中矢印A方向に)回動させ、 このことにより電源を自動的にONからOFFの状態に切換えて、電源回路の通電を自動的に遮断することができる。 【0012】図4は、本発明の第2の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置を示す図である。 前記第1の実施の形態においては、図3に示すように孔16aは1つであったのに対し、この第2の実施の形態においては錘体支持部材23の水平板部に、直径の大きさが異なる3 つの、円形断面を有する孔25,26,27が形成されている点において異なるものである。 【0013】孔の直径は小さいものほど小さな振動によって錘体20との係合が外れ易く、直径が大きくなるに従って大きな振動でなければ係合が外れ難くなる。 このため、例えば1番大きな直径の孔25は震度6以上でなければ錘体20との係合が外れないような直径に、次に大きな直径の孔26は震度4以上でなければ係合が外れないような直径に、1番小さな直径の孔27は震度3以上でなければ係合が外れないような直径に設定することができ、ユーザーがどの孔に錘体20を載せて係合させるかを選べるようになっている。 【0014】また、各孔が開口形成されている上面25 a,26a,27aは、各々の高さが異なる階段状に形成されている。 これは、小さな径の孔から錘体20が外れて隣のもっと大きな径の孔に入ってしまうと、錘体2 0との係合が外れ難くなってしまうので、孔の径が大きくなるに従って高さが高い上面に孔が開口形成されるように配慮したためである。 【0015】図5は、本発明の第3の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置を示す図である。 前記第1,第2の実施の形態においては錘体20が単なる球体状であったのに対し、この第3の実施の形態においては、錘体30は球体の下部に先の細くなった突起30aが形成されていて、その突起30aの先よりも太い根本部を錘体支持部材29の孔29aに嵌合させる点において異なるものである。 このように構成することにより、孔29a の直径が小さくとも大きな振動でなければ錘体30との係合が外れ難くすることができる。 【0016】図6は、本発明の第4の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置を示す図である。 前記第3の実施の形態においては錘体30の下部に突起30aが形成されていたのに対し、この第4の実施の形態においては、錘体40の下部に凹部40aが形成されていて、その凹部40aが、斜め上方に向かって突き出た凸部43 に嵌合する点において異なるものである。 【0017】この場合は、前記第1ないし第3の実施の形態のように断面がL字型の錘体支持部材16,23を用いないで、図6に示すように下端部の凸部43がJの字型に折れ曲がった錘体支持部材46を用いるようになっている。 このような第4の実施の形態によっても、上記第1ないし第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。 【0018】なお、上記実施の形態においては錘体支持部材16,,23,46を壁14に取付けた場合について説明したが、錘体支持部材は配電盤ケース12(図1 参照)の上や横や正面、あるいは配電盤ケース12の周囲の物の上面に載置して取付けするようにしてもよい。 【0019】また、前記第1の実施の形態においては錘体20が孔16aの上端開口部に係合する場合について説明したが、図7に示す本発明の第5の実施の形態のように、孔の代わりに孔の下端開口部が底53aにより閉止された凹部53の上端開口部に係合するようにしてもよい。 【0020】また、図8に示す本発明の第6の実施の形態のように、錘体50の下部に凹部50aが形成されていて、その凹部50aが、錘体支持部材56の上に形成された凸部56aに嵌合するようにしてもよい。 【0021】また、前記第1の実施の形態においては錘体20が球体状で、孔16aが円形断面を有する場合について説明したが、錘体は球体状以外の他の形状でもよく、孔も円形以外の他の形状の断面を有するものであってもよい。 例えば、図9に示す第7の実施の形態のように球体状の錘体20が、錘体支持部材58の上面に形成された底の浅い皿状の凹部58aの上に載置されて係合するようにしてもよい。 【0022】また、図10に示す第8の実施の形態のように球体状の錘体20が、錘体支持部材60の上面に固定された高さの低い環状の凸部62の内側の、錘体支持部材60の上面に載置してもよい。 或は、図11に示す第9の実施の形態のように、逆台形状の下面が平面の錘体64を、頂面が平面の柱部材66の、その平面の頂面66a上に載置して係合するようにしてもよい。 この場合、錘体64の水平断面は円でも多角形でも、どのような形であってもよい。 【0023】また錘体は鉛や鉄、その他の金属製、或はその他どのような材料を用いてもよい。 また錘体は固体に限らず、液体をゴムやプラスチック製の袋に詰めたものであってもよい。 【0024】さらに、配電盤ケース12には、建物内すべての電源回路の通電を一度に遮断する大本(おおもと)のブレーカー装置10以外に、各部屋毎、或は各エリア毎に電源回路の通電を遮断する個別のブレーカー装置が設けられている。 各部屋、或は各エリアによっては、コンピュータ等の電源が常に入力している必要がある物が置かれている場合があり、そのような部屋やエリアに係るブレーカー装置以外の各ブレーカー装置毎に、 本発明の通電遮断装置を取付けることもできる。 【0025】 【発明の効果】以上説明したように、本発明による電源回路の通電遮断装置及びその方法によれば、錘体支持部材の係合手段に係合していた錘体が、振動発生時に係合手段から係合を外れて落下し、このとき錘体の重さにより紐体を介して、ブレーカー装置の操作レバーを上方から下方に向かって回動させることにより、電源回路の通電を自動的に遮断する。 このため、大地震等の災害時には電源のブレーカー装置を自動的にOFFの状態にして、電源回路の通電を自動的に遮断することができ、前記二次災害を未然に防止することができる。 また、特に恐ろしい可燃ガスへの引火によって引き起こされるガス爆発による火災を確実に防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置を示す側面図である。 【図2】図1の電源回路の通電遮断装置の動作を示す側面図である。 【図3】図2における錘体支持部材16のIII−II I線矢視断面図である。 【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置の錘体支持部材23を示す図であり、図4 (a)は錘体支持部材23の側面断面図、図4(b)は図4(a)における錘体支持部材23のB−B線矢視断面図、図4(c)は図4(b)における錘体支持部材2 3の上面図である。 【図5】本発明の第3の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置の要部を示す断面図である。 【図6】本発明の第4の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置を示す一部断面側面図である。 【図7】本発明の第5の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置の要部を示す断面図である。 【図8】本発明の第6の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置の要部を示す一部断面側面図である。 【図9】本発明の第7の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置の要部を示す断面図である。 【図10】本発明の第8の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置の要部を示す断面図である。 【図11】本発明の第9の実施の形態に係る電源回路の通電遮断装置の要部を示す側面図である。 【図12】一般のブレーカー装置10を示す側面図である。 【符号の説明】 10 ブレーカー装置 10a 操作レバー 12 配電盤ケース 14 壁 16 錘体支持部材 16a 孔 18 ビス 20 錘体 20a 突起 22 紐体 23 錘体支持部材 25,26,27 孔 25a,26a,27a 上面 30 錘体 30a 突起 40 錘体 40a 凹部 43 凸部 46 錘体支持部材 50 錘体 50a 凹部 53 凹部 53a 底 56 錘体支持部材 56a 凸部 58 錘体支持部材 58a 凹部 60 錘体支持部材 62 凸部 64 錘体 66 柱部材 66a 頂面 |