押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法および押釦スイッチ用カバー部材

申请号 JP2006528979 申请日 2005-07-07 公开(公告)号 JPWO2006006503A1 公开(公告)日 2008-04-24
申请人 信越ポリマー株式会社; 发明人 堀田 真司; 真司 堀田; 横山 和房; 和房 横山;
摘要 照光された光の発光ムラを防止するとともに、クリック感触の低下を防止する。EL素子5を、キートップ部2が接着層3を介して固着されるシリコーンゴムシート4aと、突起部41を有するシリコーンゴムシート4bとの間に挟み込んで形成する。このEL素子5をシリコーンゴムシート上に形成する際には、EL素子5を形成させるシリコーンゴムシート4a,4bの表面のうち、少なくともいずれか一方の表面上に対して表面改質処理を施してから、EL素子5を形成させる。
权利要求
  • 照光機能を有する押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法であって、
    弾性材料を主成分とする弾性体層のいずれか一方の表面上を表面改質させる第1のステップと、
    前記表面改質された前記弾性体層の表面上にEL素子を形成させる第2のステップと、
    前記EL素子の表面上にゴム製のシートを形成させる第3のステップと、
    前記弾性体層の表面上にキートップ部を固着させる第4のステップと、を含み、
    前記ゴム製のシートのうち前記EL素子と接着する面の反対側にある表面上に突起部が形成されている ことを特徴とする押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法。
  • 照光機能を有する押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法であって、
    一方の表面上に突起部が形成されたゴム製のシートのうち前記突起部が形成されていない他方の表面上を表面改質させる第1のステップと、
    前記表面改質された前記ゴム製のシートの表面上にEL素子を形成させる第2のステップと、
    前記EL素子の表面上に弾性材料を主成分とする弾性体層を形成させる第3のステップと、
    前記弾性体層の表面上にキートップ部を固着させる第4のステップと、
    を含むことを特徴とする押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法。
  • 照光機能を有する押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法であって、
    一方の表面上に突起部が形成されたゴム製のシートのうち前記突起部が形成されていない他方の表面上にウレタン層を形成させる第1のステップと、
    前記ウレタン層の表面上にEL素子を形成させる第2のステップと、
    前記EL素子の表面上に弾性材料を主成分とする弾性体層を形成させる第3のステップと、
    前記弾性体層の表面上にキートップ部を固着させる第4のステップと、
    を含むことを特徴とする押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法。
  • 照光機能を有する押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法であって、
    前記第1のステップは、前記他方の表面上を表面改質させ、当該表面改質された後の表面上に前記ウレタン層を形成させることを特徴とする請求項3記載の押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法。
  • 照光機能を有する押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法であって、
    前記第1のステップは、前記表面改質された後の表面上にプライマーを塗布し、当該プライマーが塗布された後の表面上に前記ウレタン層を形成させることを特徴とする請求項4記載の押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法。
  • 照光機能を有する押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法であって、
    前記第1のステップは、前記他方の表面上にプライマーを塗布し、当該プライマーが塗布された後の表面上に前記ウレタン層を形成させることを特徴とする請求項3記載の押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法。
  • 照光機能を有する押釦スイッチ用カバー部材であって、
    下面側に突起部が形成されているゴム製のシートと、
    前記ゴム製のシートの上面側に形成されるEL素子と、
    前記EL素子の上面側に形成され、弾性材料を主成分とする弾性体層と、
    前記弾性体層の上面側に固着されるキートップ部と、
    を備えることを特徴とする押釦スイッチ用カバー部材。
  • 前記ゴム製のシートと前記EL素子との間にウレタン層が形成されることを特徴とする請求項7記載の押釦スイッチ用カバー部材。
  • 前記弾性材料は、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマーまたはウレタン系樹脂であることを特徴とする請求項7または8記載の押釦スイッチ用カバー部材。
  • 说明书全文

    本発明は、照光機能を有する電子機器に用いられる押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法および押釦スイッチ用カバー部材に関する。

    従来、例えば携帯電話機等の入部に用いられる押釦スイッチ用カバー部材には、暗所での視認性を確保するために、押釦を構成するキートップ部を照光するための照光機能が備えられている。 これにより、ユーザが暗所で携帯電話機を使用した場合であっても、各押釦の機能を容易に認識することができる。

    下記特許文献1には、上述した照光機能を実現するための部材としてEL(エレクトロルミネッセント)パネルが用いられた押釦スイッチに関する技術が開示されている。 この押釦スイッチのELパネルには、キートップ部の下部に設けられた突起部を貫通させるための孔が設けられている(特許文献1の図4参照)。

    また、下記特許文献2には、キートップ部が樹脂フィルムによって形成されている押釦スイッチ用部材に関する技術が開示されている。

    特開2003−068161号公報

    特開2002−015639号公報

    ところで、上述した特許文献1に記載されている押釦スイッチ用部材では、ELパネルに設けられた孔に突起部が貫通している。 したがって、キートップ部を照光するためにELパネルから発光された光の一部が、突起部によって遮断されてしまう。 その結果、キートップ部に突起部の影が映り、発光ムラが生じてしまう。

    また、上述した特許文献2に記載されている押釦スイッチ用部材では、剛性を有する樹脂フィルムでキートップ部が形成されている。 したがって、樹脂フィルムの一部を抜き加工する切り欠き処理を施さなければ、キートップ部を押下したときのクリック感触が低下してしまう。

    そこで、本発明は、上述した課題を解決するために、照光された光の発光ムラを防止するとともに、クリック感触の低下を防止することができる押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法および押釦スイッチ用カバー部材を提供することを目的とする。

    本発明の押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法は、照光機能を有する押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法であって、弾性材料を主成分とする弾性体層のいずれか一方の表面上を表面改質させる第1のステップと、表面改質された弾性体層の表面上にEL素子を形成させる第2のステップと、形成されたEL素子の表面上にゴム製のシートを形成させる第3のステップと、形成された弾性体層の表面上にキートップ部を固着させる第4のステップと、を含み、上記ゴム製のシートのうちEL素子と接着する面の反対側にある表面上に突起部が形成されていることを特徴とする。

    この発明によれば、EL素子がキートップ部と突起部との間に形成されるため、EL素子から発光された光を突起部に遮断されることなくキートップ部に照光させることができる。 すなわち、照光された光の発光ムラを防止することができる。 また、柔軟なEL素子が、弾性を有する弾性体層およびゴム製のシートの間に挟み込まれて形成されるため、ゴム製のシート等に切り欠き処理を施さなくても、程良いクリック感触を維持させることができる。 すなわち、クリック感触の低下を防止することができる。 また、EL素子を弾性体層上に形成する際に、まず、弾性体層の表面上に表面改質処理を施し、次に、表面改質された後の表面上にEL素子を形成しているため、弾性体層の濡れ張力を大きくすることができ、弾性体層上に容易にEL素子を形成することができる。

    本発明の押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法は、照光機能を有する押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法であって、一方の表面上に突起部が形成されたゴム製のシートのうち突起部が形成されていない他方の表面上を表面改質させる第1のステップと、表面改質されたゴム製のシートの表面上にEL素子を形成させる第2のステップと、形成されたEL素子の表面上に弾性材料を主成分とする弾性体層を形成させる第3のステップと、形成された弾性体層の表面上にキートップ部を固着させる第4のステップと、を含むことを特徴とする。

    この発明によれば、EL素子がキートップ部と突起部との間に形成されるため、EL素子から発光された光を突起部に遮断されることなくキートップ部に照光させることができる。 すなわち、照光された光の発光ムラを防止することができる。 また、柔軟なEL素子が、弾性を有する弾性体層およびゴム製のシートの間に挟み込まれて形成されるため、ゴム製のシート等に切り欠き処理を施さなくても、程良いクリック感触を維持させることができる。 すなわち、クリック感触の低下を防止することができる。 また、EL素子をゴム製のシート上に形成する際に、まず、ゴム製のシートの表面上に表面改質処理を施し、次に、表面改質された後の表面上にEL素子を形成しているため、ゴム製のシートの濡れ張力を大きくすることができ、ゴム製のシート上に容易にEL素子を形成することができる。

    本発明の押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法は、照光機能を有する押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法であって、一方の表面上に突起部が形成されたゴム製のシートのうち突起部が形成されていない他方の表面上にウレタン層を形成させる第1のステップと、形成されたウレタン層の表面上にEL素子を形成させる第2のステップと、形成されたEL素子の表面上に弾性材料を主成分とする弾性体層を形成させる第3のステップと、形成された弾性体層の表面上にキートップ部を固着させる第4のステップと、を含むことを特徴とする。

    この発明によれば、EL素子がキートップ部と突起部との間に形成されるため、EL素子から発光された光を突起部に遮断されることなくキートップ部に照光させることができる。 すなわち、照光された光の発光ムラを防止することができる。 また、柔軟なEL素子が、弾性を有する弾性体層およびゴム製のシートの間に挟み込まれて形成されるため、ゴム製のシート等に切り欠き処理を施さなくても、程良いクリック感触を維持させることができる。 すなわち、クリック感触の低下を防止することができる。 また、EL素子をゴム製のシート上に形成する際に、まず、ゴム製のシートの表面上にウレタン層を形成し、次に、ウレタン層の表面上にEL素子を形成しているため、ゴム製のシートとEL素子との間の密着性が増し、接着性を向上させることができる。

    上記第1のステップは、ゴム製のシートのうち突起部が形成されていない表面上を表面改質させて、当該表面改質された後の表面上にウレタン層を形成させるか、当該表面改質された後の表面上にプライマーを塗布して、当該プライマーが塗布された後の表面上にウレタン層を形成させることが好ましい。 また、上記第1のステップは、ゴム製のシートのうち突起部が形成されていない表面上にプライマーを塗布し、当該プライマーが塗布された後の表面上にウレタン層を形成させることが好ましい。 これらによって、ゴム製のシートとEL素子の接着性をさらに向上させることができる。

    本発明の押釦スイッチ用カバー部材は、照光機能を有する押釦スイッチ用カバー部材であって、下面側に突起部が形成されているゴム製のシートと、このゴム製のシートの上面側に形成されるEL素子と、このEL素子の上面側に形成され、弾性材料を主成分とする弾性体層と、この弾性体層の上面側に固着されるキートップ部と、を備えることを特徴とする。 上記弾性材料は、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマーまたはウレタン系樹脂であることが好ましい。

    この発明によれば、EL素子がキートップ部と突起部との間に形成されるため、EL素子から発光された光を突起部に遮断されることなくキートップ部に照光させることができる。 すなわち、照光された光の発光ムラを防止することができる。 また、柔軟なEL素子が、弾性を有する弾性体層およびゴム製のシートの間に挟み込まれて形成されるため、ゴム製のシート等に切り欠き処理を施さなくても、程良いクリック感触を維持させることができる。 すなわち、クリック感触の低下を防止することができる。

    本発明に係る押釦スイッチ用カバー部材を製造する方法および押釦スイッチ用カバー部材によれば、照光された光の発光ムラを防止するとともに、クリック感触の低下を防止することができる。

    第1実施形態における押釦スイッチ用カバー部材の断面図である。

    図1に示す押釦スイッチ用カバー部材を構成するEL素子の断面図である。

    実施例1における押釦スイッチ用カバー部材の製造工程を説明するための各部材の断面図である。

    実施例1における押釦スイッチ用カバー部材の製造工程を説明するための各部材の断面図である。

    実施例におけるUV処理の前後におけるシリコーンゴムシート上の濡れ張力を説明するための図である。

    実施例2における押釦スイッチ用カバー部材の製造工程を説明するための各部材の断面図である。

    実施例2における押釦スイッチ用カバー部材の製造工程を説明するための各部材の断面図である。

    押釦スイッチ用カバー部材の平面図であり、押釦スイッチ用カバー部材を携帯電話機の押釦スイッチに用いる場合の具体的な構成例を説明するための図である。

    図8に示す押釦スイッチ用カバー部材に含まれるEL素子を形成する各層を説明するための平面図である。

    第2実施形態における押釦スイッチ用カバー部材の断面図である。

    符号の説明

    1・・・押釦スイッチ用カバー部材、2・・・キートップ部、3・・・接着層、4a,4b・・・シリコーンゴムシート、41・・・突起部、5・・・EL素子、7・・・ウレタン層、51・・・対向電極、52・・・誘電体層、53・・・発光層、54・・・透明電極、55・・・補助電極。

    以下、本発明に係る押釦スイッチ用カバー部材の実施形態を図面に基づき説明する。 なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。

    [第1実施形態]
    まず、本発明の第1実施形態について説明する。 図1は、第1実施形態における押釦スイッチ用カバー部材の断面図である。 図1に示すように、押釦スイッチ用カバー部材1は、キートップ部2と、接着層3と、シリコーンゴムシート4a,4bと、EL素子5とを備える。

    EL素子5の上面側および下面側には、シリコーンゴムシート4a,4bが形成される。 EL素子5の上面側に形成されたシリコーンゴムシート4aの上面には、接着層3が形成される。 キートップ部2は、接着層3によりシリコーンゴムシート4aの上面側に固着される。 また、EL素子5の下面側に形成されたシリコーンゴムシート4bの下面には、可動接点(不図示)を押圧するための突起部41が形成されている。

    なお、図1に示す押釦スイッチ用カバー部材1のEL素子5は、シリコーンゴムシート4a,4bによって当該EL素子5の両面の全てが覆われているが、これに限られず、例えば、EL素子5全体がシリコーンゴムシートによって覆われていてもよい。 すなわち、EL素子5がシリコーンゴムシートに包み込まれていてもよい。 また、EL素子5を挟み込むものは、シリコーンゴムシートに限る必要はなく、ゴム製のシートであればよい。 さらに、図1のシリコーンゴム4aに相当する部分は、ゴム製のシートであることに限られず、例えば、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマーまたはウレタン系樹脂等の弾性材料を主成分とする弾性体層であればよい。 この弾性体層を形成する材料としては、材料の硬度が、IRHD(国際ゴム硬さ)で90度以下であることが好ましく、より好ましくは60度以下であるのがよい。 また、弾性体層は、層状に形成されている押釦スイッチ用カバー部材1のうちの一層として形成されていればよい。 したがって、弾性体層は、例えば、層状であってもよいし、薄膜状やシート状であってもよい。 このような弾性体層を形成する方法としては、例えば、コンプレッション成形やインジェクション成形などの成形方法、スクリーン印刷などの湿式法、接着剤などによる貼り付け方法を採用することができる。

    上記弾性体層を、例えば、ウレタン等の硬度の低い材料からなるフィルムや、ウレタン等の硬度の低い材料をバインダーとして使用したインクの印刷層により形成すると、シリコーンゴムで形成した場合と同程度のクリック感が得られる上、シリコーンゴムで形成した場合よりも層の厚さを薄く形成させることができる。 これにより、薄型化が可能となる。

    ここで、図2を参照してEL素子5について説明する。 図2に示すように、EL素子5は、対向電極51と、誘電体層52と、発光層53と、透明電極54とを有する。

    対向電極51は、例えば、金、銀、銅、ニッケル等の金属もしくは合金、またはカーボンブラック、グラファイト等の導電性フィラーを、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、エポキシ系の樹脂もしくはゴム、またはこれらの共重合物に分散したものからなる導電膜により形成される。 また、金、銀、銅、ニッケル等の金属もしくは合金からなる金属膜、またはこれらの複合膜により形成してもよい。 なお、複合膜は、例えば、電着、転写、化学メッキ、蒸着により形成される。

    誘電体層52は、例えば、チタン酸バリウム、酸化チタン等の誘電体粉を、バインダーに分散することにより形成される。 バインダーとしては、例えば、フッ素樹脂、合成ゴム、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、またはこれらの共重合物が該当する。

    発光層53は、例えば、防湿被膜をコーティングした硫化亜鉛等の無機蛍光体粉を、バインダーに分散することにより形成される。 なお、バインダーとしては、誘電体層52のバインダーと同様に、例えば、フッ素樹脂、合成ゴム、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、またはこれらの共重合物が該当するが、誘導率の高いバインダーを選択することによって、発光層53をより高輝度に発光させることが可能となる。

    透明電極54は、導電性ポリマーにより形成されるが、より好ましくは、透明性を有し、かつ導電性が高いポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンの誘導体により形成するのがよい。 なお、必要に応じて、透明電極54の発光領域側(図2に示す透明電極54の下面側)とは反対側(発光層53側)の面上に、不透明な補助電極を少なくとも部分的に積層させて配線することとしてもよい。 これにより、給電性を向上させることができ、透明電極54の導電性が補償される。 補助電極を形成する材料は、上述した対向電極51を形成する材料と同様のものを用いるこができる。

    以上のように構成された押釦スイッチ用カバー部材1は、EL素子5がキートップ部2と突起部41との間に形成され、かつ、EL素子5がシリコーンゴムシート4a,4bに挟まれて形成されている点に特徴がある。 このように構成することにより、EL素子5から発光された光が突起部41に遮断されることなくキートップ部に照光されるため、照光された光の発光ムラを防止することができる。 また、キートップ部2を支持するシリコーンゴムシート4a,4bには、柔軟なEL素子5のみが挟まれているため、切り欠き処理を施さなくてもクリック感触の低下を招来しない。

    ここで、一般に、シリコーンゴムは濡れ張力が低いため、シリコーンゴム上にEL素子を形成しようとすると、EL素子を形成するインクがはじかれてしまう。 すなわち、シリコーンゴム上にEL素子を形成するのは困難である。 したがって、一般には、シリコーンゴム上に樹脂シートを形成し、この樹脂シート上にEL素子を形成する手法が採用されている。 なお、濡れ張力とは、表面張力が順をおって異なるような一連の混合液を試験片の表面に塗布し、この試験片の表面が濡れた状態であると判定された混合液に対応する表面張力のうちの最大の表面張力をいう。

    しかしながら、一般に、樹脂シートは剛性を有するため、樹脂シートをシリコーンゴム上に形成すると、キートップを押下したときのクリック感触が低下してしまう。

    そこで、本実施形態にかかる押釦スイッチ用カバー部材1においては、EL素子5をシリコーンゴムシート4a,4b上に形成する際に、まず、シリコーンゴムシート4a,4bの表面に表面改質処理を施し、次に、表面改質された面上にEL素子を形成することとした。

    これにより、シリコーンゴムシートの濡れ張力が大きくなり、シリコーンゴムシート上に容易にEL素子を形成することができるようになった。 すなわち、剛性を有する樹脂フィルムを介することなく、シリコーンゴムシート上にEL素子を形成することができるようになった。 したがって、本実施形態にかかる押釦スイッチ用カバー部材1においては、切り欠き処理を施さなくても程良いクリック感触を維持させることができる。

    さらに、切り欠き処理を不要としたことにより、シリコーンゴムシート等が抜き加工されない分、シリコーンゴムシート内に配線スペースを確保することができるようになった。 その結果、配線数を増やすことが可能となり、例えば、特定のキートップ部2のみを照光させることもできるようになった。

    [実施例1]
    次に、図3および図4を参照して、第1実施形態における押釦スイッチ用カバー部材の実施例1について説明する。

    まず、所定の金型内に、シリコーンゴム“KE−951U”(信越化学工業(株)製商品名)100重量部に、架橋剤“C−8B”(信越化学工業(株)製商品名)を1重量部および“ColorMB”(信越化学工業(株)製商品名)を0.004重量部それぞれ添加して混練した原料を充填した。 そして、この金型内に充填された原料を、180[℃]、5分間、200[kgf/cm ]の条件で加熱および加圧した。 これにより、図3(a)に示すシリコーンゴムシート4aが成形された。

    次に、図3(b)に示すように、シリコーンゴムシート4aの一方の表面上に対して、表面改質処理を実施した。 この表面改質処理は、UV改質装置“VUM−307−F”((株)オーク製作所製商品名)を使用して行い、UV処理を3分間施した。 なお、このUV処理中の積算光量は、1450[mJ/cm ]であった。 この積算光量は、積算光量計“UV−350”((株)オーク製作所製商品名)を用いて測定した。 また、表面改質処理を実施する方法は、上述したUV処理に限られず、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、イトロ処理等であってもよい。 イトロ処理は、フレーム処理(火炎処理)の一種であり、火炎を形成するための燃料ガスの中にシラン化合物等を導入し、この火炎を用いて表面処理を施すものである。 イトロ処理によってSiO を主成分とするナノレベルの粒子が処理表面上に多数形成される。 このナノレベルの粒子には、Si-OH結合も含まれている。 ナノレベルの粒子に-OH基が存在することによって処理表面上の親性が増し、濡れ指数が向上する。 なお、シリコーンゴムの表面改質を行う場合には、フレーム処理の中でもイトロ処理を用いることが効果的である。

    ここで、上記UV処理の前後におけるシリコーンゴムシート4a上の濡れ張力[dyn/cm]を判定してみたところ、図5に示すような結果となった。 この判定には、濡れ張力試験用混合液(和光純薬工業(株)製商品名)のNo31.0〜No40.0を用いた。 この結果、UV処理前は、No31〜No40の全ての混合液でシリコーンゴムシート4aの表面が濡れた状態であるとは判定することができなかった。 一方、UV処理後は、No31〜No33の混合液についてはシリコーンゴムシート4aの表面が濡れた状態であると判定することができた。 これにより、UV処理前の濡れ張力は、31[dyn/cm]未満であり、UV処理後の濡れ張力は、およそ33[dyn/cm]であることがわかる。

    次に、図3(c)に示すように、シリコーンゴムシート4aの表面改質を施した面上に、湿式法によってEL素子5を形成した。 すなわち、シリコーンゴムシート4aの表面改質を施した面上に、透明電極54、発光層53、誘電体層52、対向電極51の各層を順次形成した。

    次に、図3(a)〜(c)において形成されたシリコーンゴムシート4aおよびEL素子5からなるシートを金型内にセットした。 その後、この金型内に、シリコーンゴム“KE−1950A”(信越化学工業(株)製商品名)とシリコーンゴム“KE−1950B”(信越化学工業(株)製商品名)とを1:1の重量比で混合した原料を充填した。 そして、金型内に充填された原料を、125[℃]、2分間、50[kgf/cm ]の条件で加熱および加圧した。 これにより、図4(a)に示すように、EL素子5の上面に、突起部41を有するシリコーンゴムシート4bが成形された。 なお、金型内に充填するシリコーンゴムは、液状のシリコーンゴムであることが好ましい。 これにより、図4(a)に示す工程において、図3(a)〜(c)で形成されたシリコーンゴムシート4aおよびEL素子5からなるシートの変形を防止することができる。

    次に、図4(b)に示すように、突起部41が形成されていないシリコーンゴムシート4aの上面に、湿式法により接着剤を塗布して接着層3を形成した。 なお、接着層3は粘着剤を塗布することにより形成してもよいし、両面テープを貼り付けることにより形成してもよい。

    次に、図4(c)に示すように、接着層3の上面に、樹脂からなるキートップ部2を載せた。 これにより、キートップ部2がシリコーンゴムシート4a上に固着した。

    [実施例2]
    次に、図6および図7を参照して、第1実施形態における押釦スイッチ用カバー部材の実施例2について説明する。 なお、実施例2については、実施例1で説明した工程と異なる工程のみを説明することとし、同様の工程については、その説明を省略する。

    まず、所定の金型内に、シリコーンゴム“KE−951U”(信越化学工業(株)製商品名)100重量部に、架橋剤“C−8B”(信越化学工業(株)製商品名)を1重量部および“ColorMB”(信越化学工業(株)製商品名)を0.004重量部それぞれ添加して混練した原料を充填した。 そして、金型内に充填された原料を、180[℃]、5分間、200[kgf/cm ]の条件で加熱および加圧した。 これにより、図6(a)に示すように、一方の表面上に突起部41を有するシリコーンゴムシート4bが成形された。

    次に、図6(b)に示すように、シリコーンゴムシート4bの突起部41が形成されていない表面上に対して、表面改質処理を実施した。 この表面改質処理は、UV改質装置“VUM−307−F”((株)オーク製作所製商品名)を使用して行い、UV処理を3分間施した。 なお、このUV処理中の積算光量は、1450[mJ/cm ]であった。 この積算光量は、積算光量計“UV−350”((株)オーク製作所製商品名)を用いて測定した。 また、UV処理の前後におけるシリコーンゴムシート4b上の濡れ張力については、実施例1と同様であるため、説明を省略する。

    次に、図6(c)に示すように、シリコーンゴムシート4bの表面改質処理を施した後の面上に、湿式法によってEL素子5を形成した。 すなわち、シリコーンゴムシート4bの表面改質を施した面上に、対向電極51、誘電体層52、発光層53、透明電極54の各層を順次形成した。

    次に、図6(a)〜(c)において形成されたシリコーンゴムシート4bおよびEL素子5からなるシートを金型内にセットした。 その後、この金型内に、シリコーンゴム“KE−1950A”(信越化学工業(株)製商品名)とシリコーンゴム“KE−1950B”(信越化学工業(株)製商品名)とを1:1の重量比で混合した原料を充填した。 そして、金型内に充填された原料を、125[℃]、2分間、50[kgf/cm ]の条件で加熱および加圧した。 これにより、図7(a)に示すように、EL素子5の上面にシリコーンゴムシート4aが成形された。 なお、図7(a)に示す工程において、図6(a)〜(c)で形成されたシリコーンゴムシート4bおよびEL素子5からなるシートが変形してしまうことを防止するために、上記金型内に充填するシリコーンゴムは、液状のシリコーンゴムであることが好ましい。

    ここで、図7(b)および図7(c)の工程については、上述した実施例1において説明した図4(b)および図4(c)の工程と同様であるため、その説明を省略する。

    なお、上述した各実施例においては、EL素子5のいずれか一の表面に対して接着させるシリコーンゴムシートの表面のみを表面改質しているが、表面改質する面は、これに限られない。 例えば、EL素子5の両面に対して接着させるシリコーンゴムシート4a,4bの表面をそれぞれ表面改質させてもよい。

    次に、図8および図9を参照して、上述した各実施例において製造された押釦スイッチ用カバー部材1を、携帯電話機の押釦スイッチに用いた場合の具体的な構成例について説明する。 図8は、押釦スイッチ用カバー部材1を、携帯電話機の押釦スイッチに用いたときの状態を示す平面図である。 図8に示す各キー部分Kには、EL素子5(図9(a)〜(e))が形成されている。 このEL素子5は、上層から透明電極54(図9(a))、補助電極55(図9(b))、発光層53(図9(c))、誘電体層52(図9(d))、対向電極51(図9(e))の順に積層されている。 なお、補助電極55は、それぞれのキー部分Kにある透明電極54に対して部分的に重なるように形成されている。

    各透明電極54は、それぞれが補助電極55により連続的に配線されている。 補助電極55の一端は、端子部Tの端子Taに接続されている。 また、各対向電極51は、それぞれが連続的に配線されている。 この対向電極51の配線の一端は、端子部Tの端子Tbに接続されている。 なお、端子部Tは、2極の端子Ta,Tbによって構成されている。 端子部Tは、押釦スイッチ用カバー部材1に用いられるシリコーンゴムシートから露出している。 端子部Tを、シリコーンゴムシートから露出させることによって、端子部TからEL素子5への給電が可能となる。 2極の端子を形成する方法としては、対向電極51と同様の導電材料を塗布してもよいし、金属片を異方導電性接着剤により接着してもよい。 また、透明電極54と対向電極51との間は所定の絶縁性が維持されている。

    このように構成されるEL素子5では、透明電極54と対向電極51との間に形成されている発光層53に交流電圧が印加されることによって、発光層53に含まれる蛍光体が励起して発光することとなる。 したがって、発光層53により発光された光が、各キー部分Kの上面から射光される。 すなわち、図8に示す押釦スイッチでは、各キー部分Kが発光領域となる。

    なお、押釦スイッチ用カバー部材1の具体的な構成は、図8に示す構成例に限定されることはない。 例えば、発光領域ごとに2極の端子を設けることとしてもよい。 これにより、各発光領域間における発光のタイミングをずらすことができる。 また、透明電極が一定の給電能力を確保している場合には、特に補助電極を用いなくてもよい。 また、補助電極を用いずに、透明電極同士を連結させることとしてもよい。

    [第2実施形態]
    次に、本発明の第2実施形態について説明する。 図10は、第2実施形態における押釦スイッチ用カバー部材の断面図である。 図10に示すように、第2実施形態における押釦スイッチ用カバー部材11には、突起部41側のシリコーンゴムシート4bとEL素子5との間にウレタン層7がさらに形成されている点で第1実施形態における押釦スイッチ用カバー部材1の構成と異なる。 したがって、それ以外の構成は、第1実施形態における押釦スイッチ用カバー部材1の構成と同様であるので、各構成要素には同一の符合を付し、その説明は省略する。 以下において、第1実施形態との相違点について詳述する。 なお、第1実施形態と同様に、EL素子5を挟み込むものは、シリコーンゴムシートに限る必要はなく、ゴム製のシートであればよい。 さらに、図10のシリコーンゴム4aに相当する部分は、ゴム製のシートであることに限られず、例えば、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマーまたはウレタン系樹脂等の弾性材料を主成分とする弾性体層であればよい。

    ウレタン層7は、ウレタン系塗料により形成される。 ウレタン層7を形成することによって、シリコーンゴムシート4bとEL素子5との間の密着性が増すため、接着性を向上させることができる。 これにより、製品の使用時における耐久性を向上させることができる。 また、EL素子5をウレタン層7上に形成することによって、EL素子5を形成するインクに使用可能な樹脂バインダーの種類が増えるため、EL素子5の量産性を向上させることができる。

    [実施例3]
    次に、第2実施形態における押釦スイッチ用カバー部材の実施例について説明する。

    まず、上述した第1実施形態における実施例2と同様にして(図6(a))、一方の表面上に突起部41が形成されたシリコーンゴムシート4bを成形した。

    次に、シリコーンゴムシート4bの突起部41が形成されていない表面上に対して、上述した実施例2と同様にして(図6(b))、UV処理を施して表面改質処理を実施した。 なお、表面改質処理を実施する方法は、UV処理に限られず、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、イトロ処理等であってもよい。

    次に、シリコーンゴムシート4の表面改質処理を実施した後の面上に、“KBP−40”(信越化学工業(株)製商品名)とトルエンを1:1で混合したアミン系プライマーを塗布した。

    次に、アミン系プライマーを塗布した後の面上に、主剤“SO−1501クリアー”(大日精化工業(株)製商品名)100重量部に、希釈剤“EU−1F”(大日精化工業(株)製商品名)13重量部、および硬化剤“EN−2”(大日精化工業(株)製商品名)15重量部それぞれ添加したウレタン系塗料を塗布した。 そして、150[℃]、45分間の条件で加熱硬化させた。 これにより、ウレタン層7が形成された。

    次に、ウレタン層7の表面上に、上述した実施例2と同様にして、EL素子5、シリコーンゴムシート4a、接着層3およびキートップ部2を順次形成した。

    なお、シリコーンゴムシート4b上に表面改質処理とプライマー処理の両工程を施しているが、必ずしも両工程を施す必要はなく、いずれか一の工程のみを施すこととしてもよい。

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