【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、電子機器や電力機器の制御に用いるリレーの改良技術に関する。 【0002】 【従来の技術】図7は、従来の自己ラッチ形リレーの一例を示す図である。 この従来例において、電磁石コア1 0は半硬質磁性材料で構成され、コイル11が電磁石コア10に巻かれ、制御端子12、13がコイル11に接続され、永久磁石14が電磁石コア10と隣接して設置され、板ばね15が軟磁性材料で構成され、可動電極1 6が板ばね15に固定、継鉄17が軟磁性材料で構成され、固定電極18が継鉄17に固定され、被制御端子1 9、20がそれぞれ可動電極16、固定電極18に接続されている。 【0003】この従来例において、制御端子12、13 に直流電圧を加えることによってコイル11に電流を流すと、磁界が発生し、電磁石コア10が磁化する。 この磁化の向きが永久磁石14の向きと同じであれば、板ばね15と継鉄17との間に磁力が働き、板ばね15がたわみ、可動電極16と固定電極18との間が閉成する。 一方、電磁石コア10と永久磁石14との磁化の向きが逆であれば、両磁石の合計の磁力がゼロになって、板ばね15に磁力が働かず、電極16、18の間が開離する。 また、電磁石コア10は半硬質磁性材料でできているから、コイルにパルス状の電流を流すことによって一旦、電磁石コア10に磁界を加えて磁化させれば、その後はコイル11に電流を流すことを停止しても、電磁石コア10の磁化状態は保持される。 【0004】このように、従来の自己ラッチ形リレーでは、コイル11に流す電流の向きに応じて、電極16、 18間の閉成、開離を行うことができ、しかも、閉成、 開離を行う瞬間のみ、コイル11に電流を流せばよいので、通常のリレーに比べて制御電力を著しく節減することができる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来例においては、まず、電極16、18の開閉に磁気力を用いているので、コイルが必要であり、また、2本の被制御線の他に、コイルに通電する制御線も必要であり、このために構造が複雑であるという問題があり、また、リレーの小型化が困難であるという問題がある。 【0006】自己ラッチ形リレーの構造を簡素にし、しかも小型化を容易にすることを目指して、本件出願人は、平成4年8月20日付の特許願で、図8に示すような静電駆動式自己ラッチ形リレーを提案している。 【0007】図8(1)は背景技術の説明図であり、図8(2)は図8(1)のVIII−VIII断面図であり、この背景技術は、絶縁性基板GBの上に電極A、 B、Cが設けられ、スイッチD、E、Fを介して電極A、B、Cのそれぞれに被制御端子T1、T2、T3が接続され、絶縁性基板GBとしてガラス等の水銀Hgと濡れ性のない材料が使用され、電極A、B、Cとして鉄等の水銀Hgと濡れ性のある材料が使用されている。 そして、初期状態では、水銀Hgによって電極Aと電極B とが架橋され、被制御端子T1が被制御端子T2に接続されている。 すなわち、電極A、Bと水銀Hgとは濡れ性があるので、界面力によって水銀Hgが電極A、Bに凝着し、基板GBと水銀Hgとは濡れ性がないので、水銀Hgが基板GBには広がらず、表面張力によってほぼ直線状に電極AとBとの間を結んでいる。 つまり初期状態では端子A、B間の接続が安定的に維持される。 【0008】ここで、電源BTによって、電極A、C間に直流電圧を印加すると、水銀Hgと電極Cとの間に静電引力が働き、水銀Hgが電極Cに引き寄せられ、電極A、B間の架橋が切断され、電極A、C間が架橋され、 その後、電極A、C間の直流電圧印加を停止するが、このときに、水銀Hgと電極Cとの間の界面力によって電極A、Cの架橋状態が維持される。 次に電極A、B間に直流電圧を印加すると、上記と同様の動作によって電極A、Bが架橋され、この架橋状態が維持される。 このような動作を繰り返すことによって、電極A、B間の接続と電極A、C間の接続とが切り換えられ、しかも一旦、 切り換えられれば、その後電源BTによる電圧印加を遮断しても、その接続状態が安定して維持される。 【0009】なお、上記背景技術においては、静電引力によって水銀Hgを駆動する場合、なるべく低い電源電圧で駆動できることが好ましく、電源電圧を低くすればする程、電極B、C間の距離を短くする必要がある。 これは、静電引力が電極間の距離の2乗に反比例するからである。 【0010】ところが、電極間の距離を所定以上短くすると、電極A、C間を架橋するために水銀Hgを電極C に移動させたときに、電極Bに水銀Hgが残り、電極A、B、Cが全て架橋され、電極A、B間の切断を実行できなくなる。 したがって、電極B、C間の距離をある程度以下に設定した場合、リレーの切り換えを確実に行わせるためには、電源BTによる制御電圧を高くして、 静電引力を大きくする必要がある。 しかし、これでは、 電源電圧を低くするという目的を達成できないという問題がある。 【0011】本発明は、導電性流体と濡れ性のない絶縁性基板の上に、導電性流体と濡れ性のある複数の電極が設けられ、2つの電極に制御電圧を印加することによって、制御電圧が印加されている電極と導電性流体との間に静電引力を発生させ、これによって、架橋されていた2つの電極の架橋を切断し、制御電圧が印加されていた2つの電極を架橋する静電駆動式自己ラッチ形リレーにおいて、低い制御電圧で、リレーの切り換えを確実に行うことができる静電駆動式自己ラッチ形リレーを提供することを目的とするものである。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明は、導電性流体と濡れ性のない絶縁性基板の上に、導電性流体と濡れ性のある複数の電極が設けられ、2つの電極に制御電圧を印加することによって、制御電圧が印加されている電極と導電性流体との間に静電引力を発生させ、これによって、架橋されていた2つの電極の架橋を切断し、制御電極が印加されていた2つの電極を架橋する静電駆動式自己ラッチ形リレーにおいて、上記複数の電極として第1、2、3の電極を設け、第2、3の電極の一部を絶縁材料によって遮蔽して被遮蔽部を構成し、第2、3の電極のうちで架橋されていない電極の被遮蔽部を導電性流体側に張り出したものである。 【0013】 【作用】本発明は、複数の電極として第1、2、3の電極を設け、第2、3の電極の一部を絶縁材料によって遮蔽して被遮蔽部を構成し、第2、3の電極のうちで架橋されていない電極の被遮蔽部を導電性流体側に張り出したので、被遮蔽部と導電性流体との距離が比較的短く設定されていることによって、低い制御電圧でも大きな静電引力を発生させることができ、この大きな静電引力と電極の露出部同士の距離が比較的長く設定されていることとによって、隣接した3つの電極が導電性流体で同時に架橋されることはなく、このために、リレーの切換を確実に実行でき、したがって、背景技術よりも低い制御電圧で、リレーの切換を確実に行うことができる。 【0014】 【実施例】図1(1)は、本発明の一実施例の説明図であり、図1(2)は、図1(1)のI−I断面図である。 【0015】この実施例は、導電性流体としての水銀H gと、絶縁性基板GBと、第1の電極E1、第2の電極E2、第3の電極E3と、2つのスイッチS1、S2 と、電源BTと、被制御端子T1、T2、T3とで構成されている。 【0016】絶縁性基板GBは、ガラスを材料とし、水銀Hgと濡れ性のない基板であり、電極E1、E2、E 3は、鉄で構成されている。 第1の電極E1は、絶縁性基板GBの表面に設置され、水銀Hgと濡れ性のある導電体で構成されている。 第2の電極E2は、絶縁性基板GBから露出し、水銀Hgと濡れ性のある導電体で構成されている露出部E2eと、被遮蔽部としての埋没部E 2bとで構成され、埋没部E2bは、絶縁性基板GBによって埋没し、露出部E2eと接続された導電性材料である。 第3の電極E3は、絶縁性基板GBから露出し、 水銀Hgと濡れ性のある導電体で構成されている露出部E3eと、被遮蔽部としての埋没部E3bとで構成され、埋没部E3bは、絶縁性基板GBによって埋没し、 露出部E3eと接続された導電性材料である。 【0017】電源BTは、第1の電極E1、第2の電極E2、第3の電極E3のうちの2つを架橋している水銀Hgと、第1の電極E1、第2の電極E2、第3の電極E3のうちで水銀Hgによって架橋されていない電極との間に電圧を加えることが可能な電源である。 【0018】スイッチS1は、電源BTのプラス端子と被制御端子T1とを断続するスイッチであり、スイッチS2は、その可動接片S21が電源BTのマイナス端子に接続され、その固定接点S22、S23がそれぞれ、 被制御端子T2、T3に接続されているスイッチである。 【0019】また、第1の電極E1と第2の電極E2とが水銀Hgで架橋されているときにおける第3の電極の埋没部E3bと水銀Hgとの距離は、第3の電極の露出部E3eと水銀Hgとの距離、第3の電極E3と第2の電極E2との距離、第3の電極E3と第1の電極E1との距離のいずれの距離よりも短く設定され、また、第1 の電極E1と第3の電極E3とが水銀Hgで架橋されているときにおける第2の電極の埋没部E2bと水銀Hg との距離は、第2の電極の露出部E2eと水銀Hgとの距離、第2の電極E2と第3の電極E3との距離、第2 の電極E2と第1の電極E1との距離のいずれの距離よりも短く設定されている。 【0020】なお、被制御端子T1、T2、T3は、上記実施例である静電駆動式自己ラッチ形リレーの外部に存在する電子回路等に接続されている。 【0021】また、上記実施例において、第2の電極E 2または第3の電極E3と第1の電極E1との間を水銀Hgが架橋し、スイッチS1、S2を切り換えることによって、水銀Hgによって架橋されている2つの電極に電源BTのプラス端子が接続され、水銀Hgによって架橋されていない電極に電源BTのマイナス端子が接続され、したがって、水銀Hgによって架橋されていない電極と水銀Hgとの間で、電源BTの電圧によって静電引力が発生する。 この場合、その静電引力は、水銀Hgによって架橋されている電極と水銀Hgとの間の凝着力よりも大きく設定されている。 なお、水銀Hgが蒸発することから、図1(2)における基板GBの上部を密閉することが好ましい。 【0022】次に、上記実施例の動作について説明する。 【0023】まず、初期状態においては、図1に示すように、水銀Hgは電極E1、E2間を架橋している。 鉄は水銀Hgと濡れ性があるために、界面力によって、水銀Hgは、第1の電極E1と第2の電極の露出部E2e とに凝着している。 また、ガラスと水銀Hgは濡れ性がないために、水銀Hgは基板GB上には広がらず、表面張力によってほぼ直線状に第1の電極E1と第2の電極の露出部E2eとの間を結んでいる。 この初期状態において、スイッチS1、S2はともにオフされ、水銀Hg の架橋を介して被制御端子T1とT2とが接続され、被制御端子T3が開放されている。 【0024】この初期状態から、被制御端子T1とT3 とを接続し、被制御端子T2を開放させる(リレーの切換を行う)には、以下のようにする。 【0025】すなわち、図2に示すように、スイッチS 1をオンし、スイッチS2の可動接片S21を固定接点S23に切り換える。 これによって、第1の電極E1と第3の電極E3との間、つまり水銀Hgと第3の電極E 3との間に電源BTの制御電圧が印加される。 このときに、水銀Hgにはプラスの電荷、電極E3にはマイナスの電荷が誘導され、両者間に静電引力が働く。 【0026】一般に、プラス電荷をもつ導体とマイナス電荷をもつ導体との間で発生する静電引力は、両導体の最も近接した部分の間で働く。 上記実施例においては、 第1の電極E1と第2の電極E2との間が水銀Hgで架橋されたときに、第3の電極の埋没部E3bの先端と、 水銀Hgの架橋部分とが最も近接するように設定されている。 したがって、静電引力は、矢印で示すように、水銀Hgと埋没部E3bとの間で働く。 なお、水銀Hgと埋没部E3bとの間には基板GBのガラス層が存在するが、このガラス層は絶縁体であるために、静電引力への影響はほどんどない。 【0027】一方、上記実施例とは逆に、第2の電極E 2と第3の電極E3との距離、または、第1の電極E1 と第3の電極E3との距離が、第3の電極の埋没部E3 bと水銀Hgとの間の距離よりも短い場合には、静電引力はその大部分が電極間で働き、水銀Hgには余り働かず、発生する静電引力は小さいものとなる。 【0028】そして、上記のように、水銀Hgと第3の電極E3との間に静電引力が働くと、図3に示すように、水銀Hgの中央付近が、第3の電極の埋没部E3b の先端に移動する。 これによって、第3の電極の埋没部E3bの他の部分と水銀Hgとの距離がさらに短くなり、図3に矢印で示したような新たな吸引力が働く。 最終的には、図4に示すように、水銀Hgが第3の電極の埋没部E3bに沿った形状になり、水銀Hgの一端は第3の電極の露出部E3eと接触し、第3の電極E3側に水銀Hgが移動し、第1の電極E1と第2の電極E2との架橋が切断される。 【0029】次に、図5に示すように、スイッチS1、 S2を開くと、第1の電極E1と第3の電極E3との間の電圧が低下するが、水銀Hgと電極E1、E3との間の界面力によって、第1の電極E1と第3の電極E3との架橋状態は維持される。 また、水銀Hgの表面張力によって、第1の電極E1と第3の電極E3との間の架橋がほぼ直線状になる。 この結果、被制御端子T1とT3 との間の短絡状態が安定に維持され、被制御端子T2が開放されるので、上記リレーの切換が終了する。 【0030】上記実施例によれば、電極の露出部E2 e、E3e同士の距離よりも埋没部E2bまたはE3b と水銀Hgとの距離が短く設定されており、埋没部E2 bまたはE3bと水銀Hgとの距離が比較的短く設定されていることによって、低い制御電圧でも大きな静電引力を発生させることができ、この大きな静電引力と電極の露出部E2e、E3e同士の距離が比較的長く設定されていることとによって、隣接した3つの電極E1、E 2、E3が水銀Hgで同時に架橋されることはなく、このために、リレーの切換を確実に実行でき、したがって、背景技術よりも低い制御電圧で、リレーの切換を確実に行うことができる。 【0031】この状態(図5に示す状態)から、図1に示す状態に戻す(被制御端子T1とT2とを接続し、被制御端子T3を開放させてリレーの切換を行う)には、 以下のようにする。 【0032】図6に示すように、スイッチS1をオンし、スイッチS2の可動接片S21を固定接点S22に切り換える。 これによって、水銀Hgと第2の電極E2 との間に静電引力が働き、上記と同様の動作を行い、第1の電極E1と第2の電極E2との間が架橋される。 以下、上記手順を繰り返すことによって、第1の電極E1 と第2の電極E2または第3の電極E3との間を選択的に架橋でき、しかも水銀Hgと電極との界面張力によって、無電圧でリレーの接点の開閉を自己ラッチすることができる。 【0033】次に、上記実施例を小型化したときの性能を簡単な計算によって評価する。 【0034】まず、架橋状態の切り換えに必要な電源B Tの電圧を見積る。 電源BTの電圧をV、第2の電極の埋没部E2bと第3の電極の埋没部E3bとの距離をd、電極E2、E3の長さをそれぞれL、水銀Hgの厚さをh、真空の誘電率をε 0とし、埋没部E2b、E3 bと基板GBの表面との距離を無視すると、電極と水銀Hgとの間の静電引力Fは、 F=ε 0 hLV 2 /2d 2 ……(1) で与えられる。 また、水銀Hgと鉄の界面力をσとすれば、水銀Hgと電極との間の凝着力Gは、 G=σL……(2) で与えられる。 F>Gであれば架橋状態が切り換わるから、 V 2 >(2σd 2 )/(ε 0 h)……(3) であればよい。 【0035】式(3)から分かるように、d 2 /hが小さい程、電源BTの電圧Vは小さくてよい。 すなわち、 形状が相似形であれば、リレーを小型化すればする程、 小さな電源電圧で切り換えが可能になる。 このときに、 第2の電極の露出部E2eと第3の電極の露出部E3e との間隔がある程度、広げられているので、電極E1、 E2間が架橋されている状態からリレーを切換えたときに、電極E2に水銀Hgが残ることなく、電極E1、E 3間の架橋が実行でき、リレーの切換を確実に実行できる。 【0036】上記実施例において、基板GBの形状としては、0.5mm×0.3mm程度のものを想定しているが、これ以外の大きさを採用してもよい。 【0037】また、基板GBの形状が大きい程、水銀H gの使用量が多くなり、上記実施例のリレーを垂直にして使用した場合(図1(2)において左右方向に90度回転した場合)に、水銀Hgが重力によって流れるが、 上記想定した程度の大きさであれば水銀Hgが流れることがない。 上記実施例のリレーを裏返して使用した場合(図1(2)において左右方向に180度回転した場合)でも、上記想定した程度の大きさであれば水銀Hg が流れ落ちることがない。 【0038】次に、上記実施例において、リレーの切り換えを行ったときの耐外乱性を評価する。 【0039】まず、振動等の外乱力は、水銀Hgに加わる慣性力であり、この慣性力は水銀Hgの重量に比例するから、寸法の3乗に比例する。 すなわち、リレーの寸法を小さくする程、外乱力が小さくなる。 一方、切り換え力は、電極と水銀Hgとの間の静電引力Fであり、これは式(1)より、形状が相似形で、かつ電源BTの電圧Vが一定であれば寸法に依存しない。 すなわち、リレーの寸法を小さくしても、切り換え力が変化しない。 したがって、リレーを小型化すればする程、切り換え力と外乱力との比は大きくなり、耐外乱性が向上する。 【0040】次に、接点保持時の耐外乱性を評価する。 【0041】接点保持力は、水銀Hgと電極との凝着力Gで与えられる。 式(2)より、保持力Gは、形状が相似形であれば寸法に比例する。 これに対して外乱力は寸法の3乗に比例するから、自己保持性もリレーを小型化する程、向上する。 【0042】なお、上記実施例において、水銀Hgの代わりに、他の導電性流体を使用してもよい。 ここで流体とは、静電駆動式自己ラッチ形リレーを使用しているときに流体であればよく、たとえば高温下で静電駆動式自己ラッチ形リレーを使用する場合には、半田等も上記流体に含まれる。 また、上記実施例においては、絶縁性基板GBとしてガラスを使用しているが、導電性流体と濡れ性のない絶縁性基板ならば、石等のようにガラス以外のものを使用してもよい。 【0043】さらに、上記実施例においては、電極E 1、E2、E3として鉄が使用されているが、絶縁性基板GBの表面に設置されしかも導電性流体と濡れ性のある導電体であれば、金、銀、銅、タングステン、ニッケル等の鉄以外の導電体で構成された電極を使用してもよい。 導電性流体として水銀Hgが使用されている場合には、アマルガムを形成しない材料が好ましく、たとえばタングステン、ニッケルが好ましい。 なお、たとえアマルガムを形成したとしても、基本的な動作原理には影響が無い。 また、上記実施例においては、電極が3つ設けられているが、4つ以上の電極を使用し、順次、切換える場合も、上記と同様である。 【0044】また、第2の電極の露出部E2eと第3の電極の露出部E3eとの間に、第2の電極の埋没部E2 b、第3の電極の埋没部E3bの代わりにまたはそれらとともに、埋没部E2b、E3bに対応する埋没部を設けてもよい。 【0045】さらに、第2の電極E2、第3の電極E3 として段差のない電極を使用し、その一部に、導電性流体と濡れ性のある絶縁材料(たとえばS i O 2 )でコーティングし、このコーティングした部分を、埋没部E2 b、E3bの代わりに使用するようにしてもよい。 この場合、第2の電極E2、第3の電極E3として、コーティングの厚さだけ段差を設けた電極を使用し、露出部E 2eとコーティング面とに段差が生じないようにし、露出部E3eとコーティング面とに段差が生じないようにしてもよい。 また、第2の電極の露出部E2e、第3の電極の露出部E3eだけ残して、基板全体をもコーティングするようにしてもよい。 なお、電極E2、E3の一部を基板GBで埋没させた埋没部E2b、E3bと、電極E2、E3の一部を上記のようにコーティングして作った部分との包括概念が「被遮蔽部」であり、この被遮蔽部は、絶縁材料によって遮蔽され、露出部E2eまたはE3eと接続された導電性の部分である。 【0046】また、上記実施例において、スイッチS1 を短絡し、そのスイッチS1を削除するようにしてもよい。 【0047】 【発明の効果】本発明によれば、電極同士の距離よりも被遮蔽部と導電性流体との距離が短く設定されており、 被遮蔽部と導電性流体との距離が比較的短く設定されていることによって、低い制御電圧でも大きな静電引力を発生させることができ、この大きな静電引力と電極同士の距離が比較的長く設定されていることとによって、隣接した3つの電極が導電性流体で同時に架橋されることはなく、このために、リレーの切換を確実に実行でき、 したがって、背景技術よりも低い制御電圧で、リレーの切換を確実に行うことができるという効果を奏する。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例の説明図である。 【図2】上記実施例において、制御電圧印加直後の状態を示す図である。 【図3】上記実施例において、制御電圧を印加し、水銀Hgが移動を開始したときの状態を示す図である。 【図4】上記実施例において、水銀Hgの移動終了後の状態を示す図である。 【図5】上記実施例において、リレーが切換わった後に、制御電圧を切断したときの状態を示す図である。 【図6】上記実施例において、リレーを再び切換えるために制御電圧を印加した直後の状態を示す図である。 【図7】従来の自己ラッチ形リレーの一例を示す図である。 【図8】自己ラッチ形リレーの背景技術の一例を示す図である。 【符号の説明】 Hg…導電性流体としての水銀、 GB…絶縁性基板、 E1…第1の電極、 E2…第2の電極、 E3…第3の電極、 E1e…第1の電極の露出部、 E2e…第2の電極の露出部、 E3e…第3の電極の露出部、 E1b…第1の電極の被遮蔽部としての埋没部、 E2b…第2の電極の被遮蔽部としての埋没部、 E3b…第3の電極の被遮蔽部としての埋没部、 BT…電源、 S1、S2…スイッチ、 T1、T2、T3…被制御端子。 |