【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、車両の自動変速機に装着してシフトポジションを検出するインヒビタスイッチ装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】この発明に係るインヒビタスイッチ装置は、車両用自動変速機に装着してシフト位置を検出するためのスイッチとして従来から知られており、例えば、 実開平2−145736号公報に示した技術などがある。 図10および図11は、この従来技術を例示したものであり、軸支穴aを有したケースbと、前記軸支穴a に回転自在に嵌合した回転軸cと、該回転軸cに一体的に形成すると共にケースb内で揺動自在な可動盤dと、 該可動盤dに設けた可動接点eと、該可動接点eに対向して設けた固定接点fと、該固定接点fを支持すると共に前記ケースbと接合して前記可動盤dを収納する基盤gと、前記回転軸cに固定すると共に前記ケースbの外壁面h上で揺動自在な操作レバーiとを備えていた。 更に従来技術では、ケースbの外壁面hに2つのストッパh1,h2を設けており、該各ストッパh1,h2に操作レバーiの両端面i2,i3が衝当することによって前記操作レバーiの揺動範囲θが規制されていた。 【0003】前記回転軸cは、金属材料で構成したものであり、操作レバーiにインサート成形していた。 そして該回転軸cにはOリングjを装着し、該回転軸cとケースbとの間の隙間をシールしていた。 さらに回転軸c は、ナットkを用いて可動盤dに固定していた。 また、 基盤gにはコネクタg1を一体形成しており、該コネクタg1内に前記固定接点fと電気的に接続した端子g2 を設けていた。 【0004】そして、上記構成から成るインヒビタスイッチ装置は、操作レバーiの連結穴i1を自動変速機のマニュアルバルブ(図示せず)ないし運転席のシフトレバー(図示せず)間に連結しており、シフトレバーの操作に連動して操作レバーiが揺動すると、ケースb内部の可動盤dも操作レバーiとともに揺動し、可動接点e と固定接点fとの接続位置が切り換わる。 この固定接点fは、端子g2を介してコントローラ(図示せず)に接続しており、コントローラは該固定接点fからのシフトポジションに対応したON/OFF信号によって各種の制御を行うことができた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来のインヒビタスイッチ装置は、回転軸cや操作レバーi等を樹脂化することにより、外力を受けて破壊しやすく成るが、回転軸cの内部で破壊が発生した場合は外観チェックによって発見することができず、例えば回転軸cが破壊した不良品を車両に装着する危険が有った。 また、この問題に対処すべく、例えば操作レバーにウイークポイントを設定し、異常な外力を受けた際にはウイークポイントが破壊するようにして外観チェックを容易にすることが考えられるが、通常の外力では破壊しないようウイークポイントの強度を調整することが困難であった。 【0006】この発明は、上記した課題を解決するものであり、異常な外力を受けた場合に破壊しやすい強度調整部を操作レバーに設けて破壊が回転軸に及ばないようにすると共に、強度調整部を外観チェックすることによって不良品を容易に発見できるようにして、かつ、この強度調整部が通常の外力では破壊しないように適度な強度に微調整できるようにすることを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、まず請求項1記載の発明は、軸支穴を有したケースと、前記軸支穴に回転自在に嵌合した回転軸と、該回転軸に一体的に形成すると共にケース内で揺動自在な可動盤と、該可動盤に設けた可動接点と、該可動接点に対向して設けた固定接点と、該固定接点を支持すると共に前記ケースと接合して前記可動盤を収納する基盤と、前記回転軸に固定すると共に前記ケースの外壁面上で揺動自在な操作レバーとを備えたインヒビタスイッチ装置において、操作レバーが、回転軸の近傍に操作レバーの強度を調整する強度調整部を有したインヒビタスイッチ装置を提供する。 【0008】また、請求項2記載の発明は、異常な外力が加わった際に強度調整部で破壊するよう、強度調整部の肉抜き量を加減して該強度調整部に適度の強度を設定したインヒビタスイッチ装置を提供する。 【0009】また、請求項3記載の発明は、前記強度調整部が、入れ子形式の金型による成形部分であるインヒビタスイッチ装置を提供する。 【0010】 【発明の実施の形態】この発明の第1実施形態を、図1、図2に基づき説明する。 まず1は合成樹脂製のケースであり、後述する回転軸21を回転自在に嵌合するための軸支穴11を有している。 また2はPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等の合成樹脂から成る可動盤である。 該可動盤2は、内部に金属製のシャフト23 をインサート成形した回転軸21を一体成形するとともに、下部に可動接点22を装着している。 そして、シャフト23にナット24を締め付けることで、回転軸21 に操作レバー4を固定しており、これにより操作レバー4と可動盤2とが連動し、かつ回転軸21を支点として揺動するように成っている。 ちなみに、操作レバー4はケース1の外壁面12上において揺動自在であり、該可動盤2はケース1内において揺動自在である。 【0011】また3は基盤である。 該基盤3は、前記可動接点22に対向して設けた固定接点31をインサート成形によって支持しており、コネクタ32を一体形成するとともに、該コネクタ32内に前記固定接点31と電気的に接続した端子33を設けている。 該基盤3は、前記ケース1と超音波溶着技術を用いて接合し、それにより形成された密閉空間内に可動盤2を収納している。 尚、前記回転軸21と軸支穴11との間の隙間は、回転軸21に装着したOリング5によってシールしている。 【0012】また4は操作レバーである。 該操作レバー4は、長穴形状の連結穴43を有しており、該連結穴4 3を自動変速機のマニュアルバルブ(図示せず)ないし運転席のシフトレバー(図示せず)間に連結することにより、操作レバー4がシフトレバーの操作に連動して揺動するように成っている。 該操作レバー4は、その下面41に突起42を設けている。 また前記ケース1は、その外壁面12上に前記突起42が衝当するストッパ1 3,14を設けている。 そして該ストッパ13,14 は、前記外壁面12からの高さ寸法H1を、前記操作レバー4の下面41の前記外壁面12からの高さ寸法H2 より低く設定している。 これにより、操作レバー4は突起42のみがケース1のストッパ13,14に衝当するように成っている。 【0013】また上記操作レバー4は、位置決め部44 を有している。 該位置決め部44は、インビビタスイッチ装置を自動変速機ケース(図示せず)に適正な姿勢で装着する為に設けたものである。 詳述すると、該位置決め部44と対応するように、基盤3には位置決め穴34 を設けている。 そして、該インヒビタスイッチ装置を自動変速機ケースに装着する場合に、まず、操作レバー4 の位置決め部44と基盤3の位置決め穴34との双方にピン(図示せず)を貫通して位置合わせ後、基盤3の長穴35にボルト(図示せず)を差し込んで自動変速機ケースに固定している。 【0014】次に上記第1実施形態の作動を説明する。 まず、車両の運転者がシフトレバーを操作すると、その操作力がシフトレバー下部のアームからコントロールケーブルを介して自動変速機に伝達されるとともに、その操作に連動してインヒビタスイッチ装置の操作レバー4 が駆動されてケース1の外壁面12上を揺動する。 操作レバー4が揺動すると、それに連動して可動盤2がケース1内部で揺動し、可動接点22と固定接点31との接続位置を切り換える。 すると、該固定接点31は、端子33を介してコントローラ(図示せず)にシフトポジションに対応したON/OFF信号を入力する。 而してコントローラは、該入力信号に応じた各種の制御を行う。 【0015】次に、この発明の第2実施形態を、図3〜 図9に基づき説明する。 まず6は合成樹脂製のケースであり、後述する回転軸71を回転自在に嵌合するための軸支穴61を有している。 また7はPPS樹脂等の合成樹脂から成る可動盤であり、回転軸71を一体成形するとともに、下部に可動接点72を装着している。 そして、回転軸71と操作レバー9とは両者間を超音波溶着することにより結合しており、これにより操作レバー9 と可動盤7とが連動し、かつ回転軸71を支点として揺動するように成っている。 尚、操作レバー9はケース6 の外壁面62上において揺動自在であり、該可動盤7はケース6内において揺動自在である。 【0016】詳述すると、可動盤7は図6及び図7に示すごとく凸部713,714を歯車状に並べた回転トルク受部711を回転軸71に設けており、また一方の操作レバー9は図6及び図8に示すごとく前記回転トルク受部711が嵌合する溝951,952及び溶着穴95 を設けている。 そして、回転軸71と操作レバー9との両者間を超音波溶着する場合、まず回転軸71をケース6の内部から軸支穴61に嵌挿し、続いてケース6の外壁面62側に突出した回転トルク受部711に操作レバー9の溝951,952及び溶着穴95を嵌合し、操作レバー9側から超音波溶接ヘッド(図示せず)を当てて超音波を加え、回転トルク受部711の溶着代712の箇所にて操作レバー9の溝951,952及び溶着穴9 5に溶着している。 【0017】尚、前記操作レバー9に設けた1つの溝9 51の幅寸法W1は、図8に示すごとく他の溝952の幅寸法W2に比べて狭く設定している。 またこれと対応する回転軸71の回転トルク受部711の凸部713の幅寸法W3は、図7に示すごとく他の凸部714の幅寸法W4に比べて狭く設定している。 これらの関係を示せば、各幅寸法はW3≦W1<W4≦W2の不等式が成立する。 こうすることにより、可動盤7と操作レバー9とを組付ける際の両者間の相対位置関係を常に一定にすることができる。 つまり誤組付けを防止することができる。 【0018】また8は基盤である。 該基盤8は、前記可動接点72に対向して設けた固定接点81をインサート成形によって支持しており、コネクタ82を一体成形するとともに、該コネクタ82内に前記固定接点81と電気的に接続した端子83を設けている。 該基盤8は、前記ケース6と超音波溶着技術を用いて接合し、それにより形成された密閉空間内に可動盤7を収納している。 尚、前記回転軸71と軸支穴61との間の隙間は、回転軸71に装着したOリング10によってシールしている。 【0019】また前記操作レバー9は、長穴形状の連結穴93を有しており、該連結穴93を自動変速機のマニュアルバルブないし運転席のシフトレバー間に連結することにより、操作レバー9がシフトレバーの操作に連動して揺動するように成っている。 該操作レバー9は、その下面91に突起92を設けている。 また前記ケース6 は、その外壁面62上にストッパ64,65を設けている。 そしてストッパ64は、前記外壁面62からの高さ寸法を、前記操作レバー9の下面91と前記外壁面62 からの高さ寸法より低く設定している。 またストッパ6 5は、前記外壁面62からの高さ寸法を、前記操作レバー9の下面91の前記外壁面62からの高さ寸法より高く設定している。 そのため、ストッパ64は図3に示す揺動位置P1にて前記突起92が衝当し、ストッパ65 は揺動位置P2にて操作レバー9の一方の側面97が衝当する。 【0020】尚、該ケース6は上記ストッパ64,65 とは別のストッパ63,66を設けている。 該ストッパ63,66は、ケース6を換えずに操作レバー9の突起92Aの位置を変更するだけで、該操作レバー9の揺動位置を図3に示す揺動位置P1及びP2間から、図5に示す揺動位置P3及びP4間に変更する為に設けたものである。 詳述すると、突起92Aの位置を変更した操作レバー9は、図5の破線及び図6、図8の仮想線で示す位置に突起92Aを設けている。 そしてストッパ63 は、前記外壁面62からの高さ寸法を、前記操作レバー9の下面91の前記外壁面62からの高さ寸法より低く設定している。 またストッパ66は、前記外壁面62からの高さ寸法を、前記操作レバー9の下面91の前記外壁面62からの高さ寸法より高く設定して、更に、回転軸71の中心からストッパ63までの距離L1は前記ストッパ64までの距離L2に比べて短く設定しており、 操作レバー9Aに設けた突起92Aが揺動する軌跡上にストッパ63を配置している。 そのため、ストッパ63 は図5に示す揺動位置P4にて前記突起92Aが衝当し、ストッパ66は揺動位置P3にて操作レバー9の他方の側面98が衝当することと成る。 【0021】また操作レバー9は、図8及び図9に示すごとく強度調整部96を形成している。 該強度調整部9 6は、操作レバー9の強度を調整する部分である。 詳述すると、操作レバー9は通常の外力に対しては破壊せず、かつ予想外の外力が加わった際には強度調整部96 で破壊するよう、該強度調整部96に適度の強度を設定する必要がある。 そのために、操作レバー9の成形金型における強度調整部96の成形部分を、部分的に交換できる所謂入れ子形式の金型にして、該入れ子形式金型を交換することにより強度調整部96の肉抜き量を加減し、強度調整部96の強度を微調整している。 【0022】更に上記操作レバー9は、位置決め部94 を有している。 該位置決め部94は、インヒビタスイッチ装置を自動変速機ケース(図示せず)に適正な姿勢で装着する為に設けたものである。 詳述すると、該位置決め部94と対向するように、基盤8には位置決め穴84 を設けている。 そして、該インヒビタスイッチ装置を自動変速機ケースに装着する場合に、まず、操作レバー9 の位置決め部94と基盤8の位置決め穴84との双方にピン(図示せず)を貫通して位置合わせ後、基盤8の長穴85にボルト(図示せず)を差し込んで自動変速機ケースに固定している。 尚、第2実施形態の作動は前記第1実施形態のものと同様であり説明を省略する。 【0023】 【発明の効果】この発明は、上記した様に、回転軸の近傍に操作レバーの強度を調整する強度調整部を有したので、異常な外力を受けた場合に破壊が回転軸に及ばないようにすることができる。 また例えば入れ子形式の金型により強度調整部の肉抜き量を加減できるように構成したので、正常な外力では破壊せず異常な外力が加わった際にのみ破壊するよう、強度調整部の破壊強度を微調整することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の第1実施形態を示す平面図である。 【図2】図1に示す矢視A−A線方向の断面図である。 【図3】この発明の第2実施形態を示す平面図である。 【図4】図3に示す矢視B−B線方向の断面図である。 【図5】図3に示す操作レバーの突起の位置を変更したものの平面図である。 【図6】図3に示す可動盤と操作レバーの斜視図である。 【図7】図3に示す可動盤の回転トルク受部の拡大斜視図である。 【図8】図3に示す操作レバーの下面側から見た拡大平面図である。 【図9】図8に示す矢視C−C線方向の断面図である。 【図10】従来技術を示す分解斜視図である。 【図11】図10に示す従来技術の断面図である。 【符号の説明】 1,6 ケース 2,7 可動盤 3,8 基盤 4,9 操作レバー 5,10 Oリング 11,61 軸支穴 12,62 外壁面 13,14,63,64,65,66 ストッパ 21,71 回転軸 22,72 可動接点 23 シャフト 31,81 固定接点 41,91 下面 42,92,92A 突起 |