【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はマイクロエレクトロニック装置に使われるマイクロエレクトリック・ポジションセンサに係わるものである。 本発明によるマイクロエレクトリック・ポジションセンサは、マイクロリードスイッチ又はホール効果要素のような磁界感知要素のアッセンブリと、これらの磁界感知要素に選択的に影響して活性化する永久磁石のような磁界創出手段とを具える。 各磁界感知要素はスイッチング機能を有し、従ってそれらの磁界感知要素が永久磁石によって操作されるスイッチのアッセンブリを形成する。 アナログ回路では、 このスイッチのアッセンブリは例えば薄膜抵抗のアッセンブリへ接続されることができ、それにより個別の位置を有するポテンシオメーターを形成できる。 デジタル回路ではスイッチのアッセンブリはデジタル回路の動作と機能を制御する。 【0002】本発明のマイクロエレクトリック・ポジションセンサは主として補聴器のようなマイクロ装置に使用され、その場合補聴器の利得もしくは出力音量や他のセッティングを調整するのに使用される。 補聴器は絶えず小型化されてきており、特にその電子回路が小型化されてきている。 現在アナログ補聴器は百個にもなる電子要素や素子を含んでいるのが典型であり、全部耳に入れる型式の現代のデジタル補聴器は、何十万もの電子要素を持つ集積回路を含んでいる。 本発明のマイクロエレクトリック・ポジションセンサはデジタル補聴器にもアナログ補聴器にもその調整に使用するのに適している。 デジタル補聴器を含んでいるデジタル回路での集積の程度は絶えず増大していて、そのため利用者のニーズを満たすのに利得制御に高い分解能が求められる。 【0003】 【従来技術】典型的な電気・機械的トラックポテンシオメーターは、手動でセットする角度もしくは直線位置を(原理的に連続である)マッピング・ファンクションに従って対応する抵抗分割比に変換する。 作動原理は導電ワイパーに基づいており、この導電ワイパーは例えばカーボンをベースとした材料のような抵抗材料の分布トラックに沿って、もしくはその周りを手で動かされる。 小抵抗の電気コンタクトがトラックの両端とワイパーに設けられ、ポテンシオメーターは、その可動部分の直線もしくは角度位置を変換することによって、トラックの端に加えられた電圧の抵抗分割を示す。 典型的な電気・機械的滑動式もしくは回転式スイッチは、2つもしくはそれ以上のスイッチ端子間の電気的接触を開閉する導電性の先端が付いた機械式ワイパーに頼っている。 この場合スイッチの開閉作用はそれでスイッチにつながった電気回路の異なった部分の構成要素を選択し、可能化、不能化するのに使われる。 【0004】典型的なポテンシオメーター、トリマー、 そしてスイッチは、互いに接触して動く部分を持った機械的装置であるため、摩耗は避けられない。 このような部品の電気性能は、摩耗に非常に影響され、信頼性の問題が小型化された部品でしばしば起きている。 米国特許第5592079 号は、その様な公知のマイクロエレクトリック・ポジションセンサを開示しているが、磁界を収束してはいない。 米国特許第4258346 号は、磁気シールドの近くに取り付けられ磁気的に作動するリレーのアッセンブリを含む装置を開示しており、この磁気シールドはリレーの位置に応じてあけた穴のアッセンブリを有している。 このシールドは、リレーの一つに加えられた磁束が漏れて不注意にも近くのリレーを作動するのを防ぐ。 【0005】 【本発明が解決しようとする課題】本発明が目的とするところは、例えば補聴器のようなマイクロエレクトロニック装置の利得制御で、直線又は回転位置を感知するのに使用できるマイクロエレクトリック・ポジションセンサを提供し、従来装置の不都合を治癒することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】この目的は、本発明によるマイクロエレクトリック・ポジションセンサによって達成されるが、この発明では、磁界感知要素を活性化したり不活性化したりする磁界をつくる磁石が、磁気感知要素の中の実質的にただ1つの要素だけを含む1つの区域に磁界を収束する収束手段を含んでいる。 その様な収束装置を具えたマイクロエレクトリック・ポジションセンサは、公知のいかなる装置よりも実質的に小型でこじんまりと造ることができ、非常に重要な利点として、はるかに多くの磁気感知要素を持つことができ、それによって、所望のより高い分解能を達成できることである。 好ましい実施例では、磁界感知要素はマイクロリードスイッチであるが、ホール効果要素は、当業者には自明な小さな修正を加えて使える。 【0007】補聴器の利得制御には普通回転式ノブがあり、これを使うため磁界感知要素のアッセンブリは、円形に配置されている。 しかしながら他の目的のためには、磁界感知要素は直線状に組み立てられたり、2次元的或いは行と列のマトリックス状に組み立てることも可能である。 この実施例は高分解能近接又は接触感知面に適用でき、操作レバーや他の指示装置に使用できる。 【0008】 【発明の実施の形態】図1 、図2A及び図2Bは回転式マイクロエレクトリック・ポジションセンサを示す。 センサーはシリコン又は他の適当な材料で出来たベース10 と、同じくシリコン製でベース10と固結している円形皿状の固定部11を持っている。 固定部11にはマイクロリードコンタクトもしくはスイッチ13のアッセンブリがある。 逆にしたカップ状のカバー12がその端をベース10の上に置いて固定部11にかぶさって固定され、リードコンタクト13を覆い、例えばちりなどを防いでいる。 ベース10、固定部11、カバー12は、リードコンタクトと共に固定構造体を形成している。 リードコンタクト13は多くの方法で製作できるが、ここで好ましいとされるコンタクトはCSEM、ASULAB SA 、M2 S21994、中間報告書4-5 頁に記載のマルチレベルUVリトグラフと電着によってつくられた新リードマイクロコンタクトに記されている。 マイクロコンタクトは、進歩したメッキ技術と組み合わせたマイクロ電子技術で適応するようになったホトリトグラフを使ってつくられる。 これらマイクロリードコンタクトの重要な特徴は、それらが非常に小さく、一般に100 μm ×100 μm より小さく、優れた特性と、マイクロリードコンタクトの一体となったアッセンブリも生産できる可能性が高いということである。 【0009】カバー12には、恒久的に磁化した材料の棒磁石14がついている。 この実施例では導磁性材料の舌片15、16の様な形をした磁気収束装置に棒磁石1 4の両端を載せている。 舌片15、16の端部15a,16a は、棒磁石14から遠く離れている。 収束舌片15、1 6は、棒磁石14によってつくられた磁界を、複数のマイクロリードコンタクト13の中の1つの選ばれたリードコンタクトの周囲に収束する。 中心では、マイクロリードコンタクト13は、全てのマイクロリードコンタクトに共通な磁気的電気的に導通性の材料で出来た中央部17に接続しており、周辺ではそれぞれのマイクロリードコンタクトは、磁気的電気的に導通性である材料で出来たそれ自身の周辺部18を持っている。 収束舌片16 の端部16a は全てのリードコンタクトに共通な中央部1 7の上方に位置し、他方収束舌片15の端部15a は、複数のリードコンタクトの中の1つのリードコンタクト1 3の周辺部18の上方に位置しており、端部15は複数のリードコンタクトの中の選択されたリードコンタクトの周辺部に磁界を収束する大きさとされている。 【0010】このようにして、棒磁石14、収束舌片1 5、16、周辺部18と中央部17を含む複数のリードコンタクトの中の1つの選択されたリードコンタクトによって磁気回路がつくられ、それによってその選択された1つのリードコンタクトを、そのリードコンタクトに対応する共通中央部17と個々の周辺部18との間の電気通路を活性化して、閉じる。 電気端子(図示せず) は、公知の方法で、共通中央部17と、それぞれ個々の周辺部18とにつながっている。 棒磁石14と収束舌片15、16はフィンガーホイール(図示せず)につながっていて、ベース10、固定部11、カバー12によって形成される固定構造体に対し棒磁石14と収束舌片1 5、16は中心軸19の周りを回転でき、それによって収束舌片15の端部15a を、円形に配置したマイクロリードコンタクト13を横切って掃引し、それによりマイクロリードコンタクトは、個々に活性化され、電気的接触が共通中央部17と複数のマイクロリードコンタクト13の中の選択された1つのリードコンタクトの周辺部18の間につくられる。 【0011】図3Aおよび図3Bは、本発明の別の実施例をより大きい縮尺で示す。 シリコン製固定部51は、マイクロリードコンタクト53のアッセンブリを担持している。 この実施例では、それぞれのマイクロリードコンタクト53は、櫛状の舌片60を持っており、それらの基部は1つの共通の導電、導磁性体57につながっている。 磁界によって活性化されると、舌片60は曲がって、固定部51上の導電、導磁性体62のそれぞれに接触する。 導電、導磁性の端子58は、導電、導磁性体6 2の反対端にあって、導体62と端子58の間に小さい電気的絶縁間隙を設けている。 可動部52は、固定部5 1上のマイクロリードコンタクト53の上方に動くように取り付けられている。 可動部52には、恒久的磁化材料製の棒磁石54がついていて、この棒磁石54の両側の端は、導磁性材料の磁気を収束する舌片55、56につながっている。 舌片55、56は舌片15、16と同じ作用を持つ、即ち棒磁石54からの磁界を、1つの共通の導電、導磁性体57の上と導電、導磁性の端子58 の上に収束し、櫛状舌片60の櫛を持ったただ1つのマイクロリードコンタクト53を活性化する。 【0012】導電、導磁性体62は、絶縁層64で覆われており、導電体65が絶縁層64の上についている。 図示の実施例は、6つの導電体65とそれぞれのマイクロリードコンタクト53の櫛の形で6つの舌片60とを有し、6つの導電体65は、マイクロエレクトリック・ ポジションセンサの(図示されていない)出力端子に接続されている。 選択点67で、導電体65は、下になっている導電、導磁性体62のそれぞれの1つにつながっている。 電気的接触が、絶縁層64を通して接点67でつくりだされる。 それぞれのマイクロリードコンタクト53は、導電、導磁性体62と導電体65とが個別に接続された個々の組み合わせを持っている。 磁石54と収束舌片55、56とを有する可動部52が、櫛状の舌片60を有する1つの特定のマイクロリードコンタクト5 3を活性化するとき、(接触点67を介して導電、導磁性体62へ接続されている)個々の抵抗を介して論理「1」を表している電位へそれぞれ接続されている導電体65は、マイクロリードコンタクト53の櫛状の舌片60を介して共通導体57へ電気的に接続され、この共通導体57はマイクロエレクトリック・ポジションセンサの出力端子(図示せず)へ接続されている。 何かの装置に使用されるときは共通導体57へ接続された出力端子を論理「0」を表している大地電位のような基準電位に接続するのが典型であり、そして導体65は可動部5 2の位置を表しているバイナリーコードを伝える。 可動部が例えばデジタル補聴器の回転利得制御部であると、 このマイクロエレクトリック・ポジションセンサの出力はその利得制御の位置のデジタルコードであり、このデジタルコードはそれに応じて利得を設定する補聴器のデジタル回路に使用できる。 【0013】この実施例では、それぞれのマイクロリードコンタクト53は、26=64の利得レベルに対応する6ビットコードを持っている。 【図面の簡単な説明】 【図1】磁界感知要素を円形に組み立てたマイクロエレクトリック・ポジションセンサの断面図である。 【図2A】磁界収束構成の平面図である。 【図2B】図2Aの線IIB-IIB で切断した断面図である。 【図3A】それぞれの磁界感知要素がいくつかの細分要素を含んだマイクロエレクトリック・ポジションセンサの平面図である。 【図3B】図3Aの線IIIB-IIIB で切断した断面図である。 【符号の説明】 10……ベース 11、51……固定部 12……カバー 13……スイッチ 14, 54……棒磁石 15、16、55,56……収束舌片 15a、16a……端部 17……中央部 18……周辺部 19……中心軸 52……可動部 53……マイクロリードコンタクト 57、62……導電、導磁性体 58……導電、導磁性の端子 60……舌片 61……基部 64……絶縁層 65……導電体 67……選択点 |