【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、切換スイッチに汗等が浸入する可能性がある電子機器に適用する電子スイッチとこれを用いた補聴器に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、例えば耳かけ形補聴器には、図3 に示すように、補聴器ケース100の背面に、電源の入り切り等を行うレバー式切換スイッチ101をはじめとして、各種の調整を行うトリマーやボリュームなどのスイッチ類102が設けられている。 レバー式切換スイッチ101は、電源を切る位置「O」、入力として誘導コイルを選択する位置「T」及び入力としてマイクロホンを選択する位置「M」などの安定な選択位置を有する。 【0003】レバー式切換スイッチ101は、図4に示すように、機械式接点切換え方式の2つの独立したスイッチSW10とスイッチSW20が連動する、いわゆる2回路3接点のスイッチである。 スイッチSW20側では、選択位置「O」で電池Bと補聴処理部60が遮断され、選択位置「T」及び選択位置「M」で接続される。 一方、スイッチSW10側では、選択位置「O」及び選択位置「T」において誘導コイル50が選択され、選択位置「M」でマイクロホン40が選択される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】耳かけ形補聴器は、耳介上部と頭部との間に装用されるため、特に夏季等には汗が補聴器を濡らし、汗の一部は補聴器上部に配置された切換スイッチ101内部に浸入し、切換スイッチ10 1の2つの可動接片101g,101h及び複数の接点101a,101b,101c,101d,101e, 101fの内の幾つかの接点同士がブリッジすることも多々生じていた。 汗の成分は、個人により異なり、一概には言えないが、汗によるブリッジを起したときの抵抗値は、数10KΩ、時によっては数KΩの抵抗値となってしまうことがある。 【0005】通電状態で、汗により切換スイッチ101 のスイッチSW20側の可動接片101g又は接点10 1b,101cとスイッチSW10側の可動接片101 h又は接点101e,101fとの間がブリッジされると、汗の抵抗分によって短絡され、発振、音切れ(音が出なくなる)等の問題が生じていた。 また、接点101 fと接点101eとの間が汗によりブリッジされると、 マイクロホン40や誘導コイル50の出力電圧が低下したり、混信等の問題が生じていた。 【0006】このような問題を解決するために、防水対策を施した切換スイッチを採用することが考えられるが、一般にこのような切換スイッチは大型になる傾向がある。 小型であることが重要視される補聴器においては、大型の切換スイッチが補聴器の背面を専有してしまうという問題が生じる。 また、レバー式の構造に適用しにくく、これにより、レバー式切換スイッチの利点、即ち高齢者や手先の不自由な人でも操作が容易である点、 スイッチのレバー位置の確認が容易である点、が損なわれるなど、実際に採用するには難点があった。 【0007】本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、切換スイッチ内に汗等の液体が浸入したとしても、電気特性に何等の不都合が生じない電子スイッチとこれを用いた補聴器を提供しようとするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく請求項1の発明は、一対の接点とこれらの接点と接触する可動接片からなる切換スイッチと、前記接点の一方をセット入力端子に接続し、他方をリセット入力端子に接続するフリップフロップと、前記セット入力端子とリセット入力端子に直流電圧を供給する直流電圧供給回路と、 前記フリップフロップの出力端子の電圧レベルに応じてオン状態又はオフ状態を維持するスイッチング素子を備える電子スイッチであって、前記切換スイッチは前記可動接片が選択する選択位置の間に前記接点を配設したものである。 【0009】請求項2の発明は、電話機等が出力する電磁波を検出してこれに応じた電気信号を出力する誘導コイルと、外部音を検出してこれに応じた電気信号を出力するマイクロホンと、これらの電気信号を補聴処理した信号を電気音響変換器に出力する補聴処理部と、この補聴処理部に駆動電圧を供給する電池を備える補聴器において、前記マイクロホンと前記補聴処理部との間、前記誘導コイルと前記補聴処理部との間、及び前記補聴処理部と前記電池との間を、請求項1に記載の電子スイッチにより導通状態又は遮断状態にするものである。 【0010】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。 ここで、図1は本発明に係る電子スイッチを用いた補聴器の回路図、図2は電子スイッチの動作を示すタイミングチャートである。 【0011】図1に示すように、電子スイッチを用いた耳かけ形補聴器は、補聴部1と、補聴部1の入力切換えを行う切換スイッチ部2と、切換スイッチ部2の操作に応じて補聴部1に複数のスイッチング制御信号を出力するスイッチング制御部3とから構成されている。 【0012】補聴部1は、外部音を検出して、これに対応した電気信号を出力するマイクロホン4と、電話機等の発する電磁波を検出して、これに対応した電気信号を出力する誘導コイル5と、マイクロホン4の出力信号又は誘導コイル5の出力信号を入力して、これら入力信号に増幅等の適宜の補聴処理を施して信号を出力する補聴処理部6と、補聴処理部6の出力信号を電気音響変換するイヤホン7と、補聴処理部6に駆動電圧Vccを供給する電池Bからなる。 【0013】誘導コイル5の出力端と補聴処理部6の入力端との間には、抵抗R1と抵抗R2の直列回路が接続され、抵抗R1と抵抗R2との接続点とアース間には、 スイッチング制御部3の制御信号に基づいて、抵抗R1 と抵抗R2との接続点とアース間を導通状態又は遮断状態にするトランジスタ(MOS形FET)Tr1が接続されている。 【0014】従って、トランジスタTr1がオン状態の時は、抵抗R1と抵抗R2との接続点とアース間は導通状態となり、誘導コイル5の出力信号は補聴処理部6の入力端に印加されない。 逆に、トランジスタTr1がオフ状態の時は、抵抗R1と抵抗R2との接続点とアース間は遮断状態となり、誘導コイル5の出力信号は補聴処理部6の入力端に印加される。 【0015】マイクロホン4の出力端と補聴処理部6の入力端間には、抵抗R3と抵抗R4の直列回路が接続され、抵抗R3と抵抗R4との接続点とアース間には、スイッチング制御部3の制御信号に基づいて、抵抗R3と抵抗R4との接続点とアース間を導通状態又は遮断状態にするトランジスタ(MOS形FET)Tr2が接続されている。 【0016】従って、トランジスタTr2がオン状態の時は、抵抗R3と抵抗R4との接続点とアース間は導通状態となり、マイクロホン4の出力信号は補聴処理部6 の入力端に印加されない。 逆に、トランジスタTr2がオフ状態の時は、抵抗R3と抵抗R4との接続点とアース間は遮断状態となり、マイクロホン4の出力信号は補聴処理部6の入力端に印加される。 【0017】なお、抵抗R2,R4は、トランジスタT r1,Tr2のいずれか一方がオン状態になったとき、 オフ状態にある他方のトランジスタにとって過負荷とならないための抵抗である。 【0018】補聴処理部6は、電池Bによって駆動され、電池Bと補聴処理部6とで構成される回路には、電池Bによる給電を入り切りするトランジスタ(MOS形FET)Tr3が設けられており、このトランジスタT r3のスイッチング動作によって、補聴部1の電源Vc cが入り切りする。 【0019】図1では、トランジスタTr1,Tr2, Tr3として、ソースS、ドレインD、ゲートGを有するMOS形FET(電界効果トランジスタ)を示しているが、他のFETや接合形トランジスタなどのスイッチング素子であればよい。 また、トランジスタTr1では、ソースSをアースに接続し、ドレインDを抵抗R1 と抵抗R2との接続点に接続しているが、ソースSを抵抗R1に接続し、ドレインDを抵抗R2に接続してもよい。 トランジスタTr2についても同様である。 【0020】切換スイッチ部2は、連動する2つのスイッチSW1,SW2からなり、電源切り位置「O」、誘導コイル入力位置「T」及びマイクロホン入力位置「M」の3つの選択位置に設定できる。 そして、連動する2つの可動接片8,9がこれらの選択位置O,T,M に位置したとしても、2つの可動接片8,9は如何なる接点とも接触せず、2つの可動接片8,9がこれらの選択位置O,T,M間を通過するときに、複数の接点と接触するように構成されている。 【0021】スイッチSW1側では、誘導コイル入力位置「T」とマイクロホン入力位置「M」間に2つの接点10,11が配置されており、可動接片8を、誘導コイル入力位置「T」からマイクロホン入力位置「M」に切り換えるとき、可動接片8は、接点11から接点10へと順々に接触する。 【0022】スイッチSW2側では、電源切り位置「O」、誘導コイル入力位置「T」の間に2つの接点1 3,14が配置され、さらに誘導コイル入力位置「T」 とマイクロホン入力位置「M」間に接点12が配置されている。 そして、可動接片9を、電源切り位置「O」、 誘導コイル入力位置「T」及びマイクロホン入力位置「M」に順次切り換えるとき、電源切り位置「O」と誘導コイル入力位置「T」の間で、可動接片9は、接点1 4から接点13へと順々に接触する。 また誘導コイル入力位置「T」とマイクロホン入力位置「M」の間で、可動接片9は、接点12と接触する。 【0023】なお、接点12は、切換スイッチ部2がどの選択位置にあっても電池Bを装填できるように配慮して設けられたものである。 接点12を省略した場合、切換スイッチ部2が電源切り位置「O」の選択位置にあるとき、電池Bを装填すれば、切換動作は正常に行われるが、これ以外の選択位置にあるとき、電池Bを装填すると、切換動作は正常に行われない。 そこで、電源切り位置「O」の選択位置で電池Bを装填ように予め取り決めておけば、必ずしも接点12を設ける必要はない。 【0024】スイッチング制御部3は、パルスの立下がりで動作する2つのRSフリップフロップF1,F2 と、これらのセット端子SE1,SE2とリセット端子RE1,RE2に切換スイッチ部2の動作と連動した信号を入力する2つの直流電圧供給回路20,21から構成されている。 直流電圧供給回路20は、電源Vcc と、抵抗R5,R6,R7と、コンデンサC1からなり、直流電圧供給回路21は、電源Vccと、抵抗R 8,R9,R10と、コンデンサC2からなる。 【0025】RSフリップフロップF1のセット端子S E1には、スイッチSW1の接点10が接続され、またリセット端子RE1には、スイッチSW1の接点11が接続されている。 更に、出力端子Q1は、トランジスタTr1のゲートGに接続されており、反転出力端子Q' 1は、トランジスタTr2のゲートGに接続されている。 【0026】また、セット端子SE1と電源Vccは、 抵抗R6を介して接続され、リセット端子RE1と電源Vccは、抵抗R5を介して接続されている。 また、リセット端子RE1とアースは、抵抗R7とコンデンサC 1との並列接続回路によって接続されている。 コンデンサC1は、リセット端子RE1に抵抗R5を介して電源電圧Vccが供給される時に、リセット端子RE1の電位を瞬時の間だけアース電位に保つためのものである。 【0027】RSフリップフロップF2のセット端子S E2には、スイッチSW2の接点12,13が接続され、リセット端子RE2には、スイッチSW2の接点1 4が接続されている。 更に、出力端子Q2は、トランジスタTr3のゲートGに接続されている。 セット端子S E2と電源Vccは、抵抗R9を介して接続され、リセット端子RE2と電源電圧Vccは、抵抗R8を介して接続されている。 【0028】また、リセット端子RE2とアースは、抵抗R10とコンデンサC2との並列接続回路によって接続されている。 コンデンサC2は、コンデンサC1と同様に、リセット端子RE2に抵抗R8を介して電源電圧Vccが供給される時に、リセット端子RE2の電位を瞬時の間だけアース電位に保つためのものである。 【0029】なお、RSフリップフロップF1,F2のリセット端子RE1,RE2とアースとの間に接続されている抵抗R7,R10は、装填してある電池Bを取外した後、即電池Bを装填した場合でも、コンデンサC 1,C2に蓄積された電荷を放電させて、正しく初期化が行われるようにするための抵抗である。 【0030】抵抗R7,R10を設けていない場合、電池Bを取外した後、即電池Bを装填すると、コンデンサC1,C2に充電された電荷が放電しきれず、リセット端子RE1,RE2はHレベルのままで、出力端子Q 1,Q2をLレベルにする初期化が行われない。 そこで、電池Bを取外した時は、コンデンサC1,C2に蓄積された電荷が放電する数秒間たった後に電池Bを装填するように予め取り決めておけば、必ずしも抵抗R7, R10を設ける必要はない。 【0031】従って、電子スイッチは、可動接片8,9 が選択する選択位置O,T,Mの間に接点10,11, 12,13,14を配設する2つの連動スイッチSW 1,SW2を備えた切換スイッチ部2と、接点10,1 2,13をセット入力端子SE1,SE2に接続し、接点11,14をリセット入力端子RE1,RE2に接続するRSフリップフロップF1,F2と、セット入力端子SE1,SE2とリセット入力端子RE1,RE2に直流電圧を供給する直流電圧供給回路20,21と、R SフリップフロップF1,F2の出力端子Q1,Q2又は反転出力端子Q'1の電圧レベルに応じてオン状態又はオフ状態を維持するトランジスタTr1,Tr2,T r3から構成される。 【0032】また、RSフリップフロップF1,F2の代わりにJKフリップフロップを用いてもよく、その場合にはプリセット端子をセット端子、クリア端子をリセット端子として使用し、J、K、クロック端子は電源V ccに接続すればよい。 【0033】汗がスイッチSW1内に浸入すると、接点10と接点11の間、あるいは接点10,11と可動接片8の間が汗でブリッジされ、汗がスイッチSW2内に浸入すると、接点12と接点13と接点14の間、あるいは接点12,13,14と可動接片9の間が汗でブリッジされる。 【0034】更に、2つのスイッチSW1,SW2が一体に形成されている場合には、スイッチSW1とスイッチSW2の間も汗でブリッジされる。 汗でブリッジした部分(汗によるブリッジ抵抗)は、ある抵抗値を有して導通状態となるが、抵抗R5,R6,R8,R9は、この汗によるブリッジ抵抗に比して十分小さい値(例えば、100オーム程度)に設定されている。 【0035】以上のように構成した、電子スイッチを用いた補聴器の動作について説明する。 先ず、切換スイッチ部2内に汗が浸入していない場合に、切換スイッチ部2をなす連動スイッチSW1,SW2の可動接片8,9 を電源切り位置「O」にした状態で、電池Bを装填すると、RSフリップフロップF1のセット端子SE1には抵抗R6を介して電圧Vccが供給され、セット端子S E1は電圧Vccの値をとる(以下、この電圧レベルを「Hレベル」という)。 【0036】また、リセット端子RE1には、抵抗R5 を介して電圧Vccが供給されるがリセット端子RE1 はコンデンサC1を介して接地しているので、リセット端子RE1の電位は、瞬時アース電位(以下、アース電位のことを「Lレベル」という)となった後にHレベルとなる。 【0037】これにより、RSフリップフロップF1の出力端子Q1はLレベル、反転出力端子Q'1はHレベルとなる。 出力端子Q1がLレベルでは、トランジスタTr1はオフ状態となる。 また、反転出力端子Q'1がHレベルでは、トランジスタTr2はオン状態となる。 【0038】一方、RSフリップフロップF2は、RS フリップフロップF1の場合と同様に、抵抗R8,R9 及びR10並びにコンデンサC2によって、出力端子Q 2はLレベルとなる。 出力端子Q2がLレベルになると、トランジスタTr3はオフ状態となる。 【0039】トランジスタTr1がオフ状態、且つトランジスタTr2がオン状態にあることは、誘導コイル5 の出力信号が補聴処理部6に接続させていることになる。 マイクロホン4の出力信号はトランジスタTr2を介してアースに接続され、補聴処理部6の入力とはならない。 しかしながら、トランジスタTr3がオフ状態となっているので、補聴部1は機能しないことになる(以下、この状態を初期状態という)。 【0040】連動スイッチSW1,SW2を電源切り位置「O」から誘導コイル入力位置「T」に切り換え、その後誘導コイル入力位置「T」からマイクロホン入力位置「M」に切り換えたときの動作を、図2に示す電子スイッチのタイミングチャートを用いて説明する。 【0041】連動スイッチSW1,SW2を電源切り位置「O」から誘導コイル入力位置「T」に切り換えると、スイッチSW2の可動接片9はt1の時点で接点1 4に接触し、t2の時点で接点14を離れるが、RSフリップフロップF2の出力端子Q2は、依然としてLレベルのままである。 【0042】そして、t3の時点で可動接片9は接点1 3に接触し、この瞬間にRSフリップフロップF2の出力端子Q2は、LレベルからHレベルに反転する。 RS フリップフロップF2の出力端子Q2がHレベルとなると、トランジスタTr3がオン状態となり、補聴処理部6に電源電圧Vccが供給され、補聴部1が機能し始めることになる。 この切り換え過程において、スイッチS W1の可動接片8はいずれの接点10,11とも接触することはないので、RSフリップフロップF1は、初期状態、即ち誘導コイル5の出力は補聴処理部6に接続されていることになる。 【0043】更に、連動スイッチSW1、SW2を誘導コイル入力位置「T」からマイクロホン入力位置「M」 に切り換える場合、スイッチSW2の可動接片9が、t 4の時点で接点12に接触することになる。 しかし、可動接片9が接点12に接触してもRSフリップフロップF2の出力端子Q2はHレベルに保持されるので、トランジスタTr3はオン状態を維持し続ける。 従って、補聴部1には電源電圧Vccが供給され続ける。 【0044】一方、スイッチSW1の可動接片8は、t 4の時点で接点11に接触し、t5の時点で接点11を離れるが、RSフリップフロップF1の出力端子Q1は依然としてLレベルのままである。 t6の時点で可動接片8が接点10と接触すると、この瞬間、RSフリップフロップF1の出力端子Q1はLレベルレからHレベルに反転し、RSフリップフロップF1の反転出力端子Q'1はHレベルからLレベルに反転する。 これにより、トランジスタTr1はオン状態、トランジスタTr 2はオフ状態となる。 これによって補聴処理部6の入力としてマイクロホン4の出力信号が選択される。 【0045】連動スイッチSW1,SW2をマイクロホン入力位置「M」から誘導コイル入力位置「T」に切り換える場合にも、上述した、誘導コイル入力位置「T」 からマイクロホン入力位置「M」に切り換える場合と逆の動作をする。 また、誘導コイル入力位置「T」から電源切り位置「O」に切り換える場合についても同様である。 【0046】補聴器装用者は、連動スイッチSW1,S W2が電源切り位置「O」に設定されている以外の状態で、電池Bを装填することもあるので、これらの場合について説明する。 連動スイッチSW1,SW2が誘導コイル入力位置「T」を選択している場合に、電池Bを装填すると、上述した電源切り位置「O」に選択されているときと同様に、初期化により、補聴器は初期状態となる。 【0047】初期状態で、連動スイッチSW1,SW2 を誘導コイル入力位置「T」からマイクロホン入力位置「M」に切り換えた場合、RSフリップフロップF2の出力端子Q2はLレベルからHレベルに反転する。 これによりトランジスタTr3はオン状態となり、補聴部1 に電源電圧Vccが供給される。 【0048】一方、RSフリップフロップF1の出力端子Q1はLレベルからHレベルに反転し、反転出力端子Q'1はHレベルからLレベルに反転する。 これにより、トランジスタTr1はオン状態、トランジスタTr 2はオフ状態となり、補聴処理部6の入力としてマイクロホン4の出力信号が選択されることになる。 【0049】また、連動スイッチSW1,SW2がマイクロホン入力位置「M」を選択している場合に、電池B を装填すると、上述した電源切り位置「O」に選択されているときと同様に、初期化され、補聴器は初期状態となる。 【0050】初期状態で、連動スイッチSW1,SW2 をマイクロホン入力位置「M」から誘導コイル入力位置「T」に切り換えた場合、RSフリップフロップF2の出力端子Q2はLレベルからHレベルに反転する。 これによりトランジスタTr3はオン状態となり、補聴部1 に電源電圧Vccが供給される。 【0051】一方、RSフリップフロップF1は、スイッチSW1の可動接片8が接点10と接点11に順次接触するので、出力端子Q1はLレベル→Hレベル(接点10に接触した瞬間)→Lレベル(接点11に接触後) となり、反転出力端子Q'1は出力端子Q1と反対の動作を行い、Hレベルに落ちつく。 これにより、トランジスタTr1はオフ状態、トランジスタTr2はオン状態となり、補聴処理部6の入力として誘導コイルの出力信号が選択されることになる。 【0052】次に、切換スイッチ部2内に汗が浸入している場合に、連動スイッチSW1,SW2が「O」の位置で電池Bを装填すると、RSフリップフロップF1のセット端子SE1は、抵抗R6に接続されている他に接点10を通して接点11、可動接片8に接続される可能性がある。 【0053】更に、スイッチSW1とスイッチSW2が一体形であるとすると、RSフリップフロップF1のセット端子SE1は、スイッチSW2内の接点12,1 3,14、可動接片9についても、汗によるブリッジ抵抗を介して接続される可能性がある。 【0054】ここで、抵抗R6の抵抗値が汗によるブリッジ抵抗値と同程度か、あるいは大きい場合には個々のブリッジ抵抗の影響を受けてしまい、セット端子SE1 の入力電圧がLレベルになる可能性が高い。 しかし、抵抗R6の抵抗値は汗によるブリッジ抵抗値より十分小さな値としているので、汗によるブリッジが起ったとしても、セット端子SE1の入力電圧レベルはHレベルと判断される電圧レベルを維持することができる。 【0055】抵抗R5,R8,R9の抵抗値についても抵抗R6と同様に、汗によるブリッジ抵抗値より十分小さな値としているので、他のすべての動作時においてもRSフリップフロップF1,F2の動作に影響を与えない。 【0056】抵抗R7の抵抗値は、抵抗R5に対して十分大きな値であって、コンデンサC1に蓄積された電荷を速やかに放電することができる十分な値(例えば、1 00kオーム)であればよい。 たとえ、汗によるブリッジ抵抗の影響でリセット端子RE1のアースに対する抵抗値(抵抗R7と汗によるブリッジ抵抗の並列抵抗)が下がったとしても抵抗R5に対して十分大きな値であるため、RSフリップフロップF1の動作に影響を与えない。 【0057】抵抗R10の抵抗値についても抵抗R7と同様であり、汗によるブリッジ抵抗の影響でリセット端子RE2のアースに対する抵抗値(抵抗R10と汗によるブリッジ抵抗の並列抵抗)が下がったとしても抵抗R 8に対して十分大きな値であるため、RSフリップフロップF2の動作に影響を与えない。 【0058】上述のような電子スイッチを用いて補聴器を構成しているので、汗によって切換スイッチ部2の可動接片8,9並びに接点10,11,12,13,14 が、如何なる組み合わせでブリッジしたとしても、混信やマイクロホン4又は誘導コイル5の出力電圧の低下などの不具合を生じないし、連動スイッチSW1,SW2 を操作しても、混信やマイクロホン4又は誘導コイル5 の出力電圧の低下などの不具合は生じず、極めて安定したスイッチ切換をすることができる。 【0059】 【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によれば、切換スイッチを単にパルス発生源として使用するようにし、実際のスイッチング動作は、スイッチング素子により行っているので、汗等が接点及び可動接片等からなる切換スイッチ内に浸入したとしても、安定したスイッチング動作を行うことができる。 【0060】請求項2の発明によれば、汗等が接点及び可動接片等からなる切換スイッチ内に浸入したとしても、補聴処理装置の入力信号源としての誘導コイル又はマイクロホンの選択、及び電源の入り切りを安定して行うことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る電子スイッチを用いた補聴器の回路図 【図2】電子スイッチの動作を示すタイミングチャート 【図3】耳かけ形補聴器の外観斜視図 【図4】従来の耳かけ形補聴器の回路図 【符号の説明】 1…補聴部、2…切換スイッチ部、3…スイッチング制御部、4…マイクロホン、5…誘導コイル、6…補聴処理部、7…イヤホン(電気音響変換器)、8,9…可動接片、10,11,12,13,14…接点、20,2 1…直流電圧供給回路、B…電池、F1,F2…RSフリップフロップ(フリップフロップ)、O,T,M…連動スイッチの選択位置、R5,R6,R7,R8,R 9,R10…抵抗、SW1,SW2…連動スイッチ、T r1,Tr2,Tr3…MOS形FET(スイッチング素子)。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) H01H 9/54 H04R 25/00 |