【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車用パワーウインドスイッチのようにケース内に小型スイッチで成るスイッチ接触部を基板と下ケースとの間に配設したスイッチの組付け構造に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、この種の技術としては、例えば実開平3−37921号公報に開示された技術がある。 該技術は、パワーウインドスイッチのケースに連結部を有する小型スイッチで成るスイッチ接触部を内設している。 該スイッチ接触部は、極盤に固定したプリント基板の上面に半田付けすると共に、前記連結部を前記ケースに軸支したノブの操作杆に係合して開閉作動する。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した従来技術は、スイッチ接触部をプリント基板上に半田付けして、該プリント基板を極盤上に固定し、かつノブを軸支した上ケースと前記極盤を合致することで、ノブの操作杆をスイッチ接触部の連結部に係合している。 このため、ノブの操作杆と連結部は、ノブを上ケースに軸支したときの誤差と、スイッチ接触部をプリント基板に半田付けしたときの誤差と、プリント基板を極盤に固定するときの誤差と、該極盤と上ケースとを合致して組付けるときの誤差とで、所望位置に正確に配設できないという問題点がある。 また、前記従来の技術は、ノブの操作杆と連結部の係合位置がズレたことにより、ノブを操作したときの操作フィーリングが悪く、ノブの動きが不良となることがある。 【0004】また、従来のパワーウインドスイッチは、 例えば特開昭63−245837号公報に開示されているように、スイッチケース内に中間ケースや基板を設け、かつ、該中間ケースや基板の上下面に電気部品を配設しているので、部品点数や組付工数が多く、かつスイッチが大型化するという問題点があった。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、前述した従来の技術の問題点を解消すべく発明したものであり、上ケースと、該上ケースに合致する下ケースと、前記上ケースに軸支し、操作杆を垂下したノブと、該ノブの操作杆に係合する操作軸を有するスイッチ接触部と、を備えたスイッチにおいて、前記下ケースに、前記スイッチ接触部を所望位置に配置するための位置決め部を形成したことで、スイッチ接触部の位置決めを正確にすると共に、 各スイッチ接触部品を機械で自動組付けすることを可能にし、かつノブの操作フィーリングを向上させるものである。 【0006】また、本発明は、前記上ケースと前記下ケースとで成る箱体内に、基板を水平に設置すると共に、 該基板の下面に前記スイッチ接触部を配設したことで、 スイッチの組付作業の自動化を図るものである。 【0007】また、本発明は、前記基板が、上ケースの内天井面の近隣に水平に配設すると共に、前記ノブの操作杆が挿通する貫通孔、又は切欠部を形成したことで、 スイッチケースの高さを低くし、スイッチ全体の小型化を図るものである。 【0008】また、本発明は、前記基板の下側の片面のみに電気部品を配設したことで、基板に配設する全電気部品を機械で自動的に半田付けすることを可能にするものである。 【0009】 【実施例】以下、図1、乃至図5に基づき本発明の一実施例を詳述する。 1は、例えば、自動車の窓ガラスを開閉するパワーウインドスイッチ等のスイッチ本体である。 該スイッチ本体1は、例えば自動車のドアのアームレストやドアの内側壁面等に設置する。 2は、上面にノブ3、4、5、6、7、及び8を有する上ケースである。 ノブ3は、窓ガラスをロックするプッシュロックスイッチの操作部材で、スプリング9を介して爪3aを筒部2a内の段部(図示せず)に係止することで、上ケース2に上下動自在に組付けている。 該ノブ3は、筒部2 aを挿通する操作杆3bを突設している。 【0010】上下動する操作杆3bは、スイッチ接触部11の操作軸11aを水平方向に移動させるための斜孔3cを穿設している。 該操作杆3bは、筒部2a、及び基板10の貫通孔10aを挿通して斜孔3cを操作軸1 1aに嵌入している。 該操作杆3bは、上ケース2に形成したハートカム2cに圧接するロックピン12を挿設する孔3dを穿設している。 該操作杆3bは、ロックピン12を付勢する板ばね13を係止する孔3eを穿設している。 【0011】ノブ4は、ドアをロックするシーソースイッチの操作部材であり、軸穴4aを支軸2dに軸合することで、上ケース2に揺動自在に取付けられる。 4b は、スプリング14に付勢されたスチールボール15が圧接する節度溝である。 前記ノブ4は、スイッチ接触部16の操作軸16aに係合する操作杆4cを突設している。 操作杆4cは、二股状の下端を、筒部2h、及び基板10の切欠部10bを挿通してスイッチ接触部16の操作軸16aに係合している。 【0012】ノブ5は、運転席の窓を開閉する2段階シーソースイッチの操作部材で、軸穴5aを支軸2eに軸合することでケース2に揺動自在に取付けられる。 該ノブ5は、第1段目の操作で操作時間中窓を上下動させると共に、第2段目の操作で自動的に窓を上下動する。 該ノブ5は、スイッチ接触部19の操作軸19aに係合する操作杆5cを形成している。 該ノブ5は、操作部に設けた夜間照明表示部5dを照明する発光体30を下方に設置している。 【0013】5bは、スプリング17に付勢された円柱状のピン18が圧接する節度溝である。 該節度溝5b は、ノブ5の第1段目の操作と、第2段目の操作のクリック感をノブ5に付与すると共に、該ノブ5をOFF位置に自動復帰させるものである。 操作杆5cは、二股状の下端を、筒部2i、及び基板10の貫通孔10cを挿通してスイッチ接触部19の操作軸19aに係合している。 5dは、例えば夜間照明用の照明表示部であり、発光体30により照明される。 【0014】ノブ6は、助手席の窓ガラスを開閉する自動復帰型シーソースイッチの操作部材で、軸穴6aを支軸2fに軸合することで上ケース2に揺動自在に取付けられる。 6bは、スプリング20に付勢されたスチールボール21が圧接する節度溝である。 該節度溝6bは、 ノブ6をOFF位置に自動復帰させる。 前記ノブ6は、 スイッチ接触部22の操作軸22aに係合する操作杆6 cを突設している。 操作杆6cは、二股状の下端を、筒部2j、及び基板10の切欠部10dを挿通してスイッチ接触部22の操作軸22aに係合している。 【0015】ノブ7は、後席運転席側の窓ガラスを開閉する自動復帰型シーソースイッチの操作部材で、軸穴7 aを支軸2gに軸合することで上ケース2に揺動自在に取付けられる。 7bは、スプリング23に付勢されたスチールボール24が圧接する節度溝である。 節度溝7b は、ノブ7をOFF位置に自動復帰させる。 前記ノブ7 は、スイッチ接触部25のスライド軸25aに係合する操作杆7cを突設している。 操作杆7cは、二股状の下端を、筒部2k、及び基板10の貫通孔10eを挿通してスイッチ接触部25の操作軸25aに係合している。 【0016】ノブ8は、後席助手席側の窓ガラスを開閉する自動復帰型シーソースイッチの操作部材で、該ノブ8は、前述したノブ7と同一形状かつ同一構造である。 該ノブ8は、スイッチ接触部26の操作軸26aに係合する操作杆8aを突出している。 操作杆8aは、二股状の下端を、筒部2m、及び基板10の切欠部10fを挿通してスイッチ接触部26の操作軸26aに係合している。 【0017】基板10は、スイッチ接触部11、16、 19、22、25、26と、リレー27と、下ケース2 8等を下面に配置し、かつ上面のみで各々の端子29等を半田付けしている。 基板10は、下ケース28にインサート成形した端子29を半田付けすることで、下ケース28に固定される。 【0018】スイッチ接触部11、16、19、22、 25、及び26は、下ケース28に突出形成した位置決め部28b、28c、28d、28e、28f、及び2 8gにそれぞれ圧入し、かつ各スイッチ接触部11、1 6、19、22、25、及び26の端子と、下ケース2 8の端子29とを基板10のスルーホールに挿入して半田付けで固定している。 【0019】スイッチ接触部11、16、19、22、 25、及び26は、例えば、特開平3−37921号公報あるいは特開昭63−245837号公報に開示している小型スイッチ等で成る。 スイッチ接触部11、1 6、19、22、25、及び26は、図2に示すように、1本乃至2本の操作軸11a、16a、19a、2 2a,25a、及び26aが水平方向に直線移動することで、可動接片が揺動してスイッチ作動する。 【0020】電気部品27は、自動車用パワーウインドの電気回路を構成するリレー等で、下ケース28の位置決め部28iに圧入し、かつ基板10の下面に配置される。 下ケース28は、上ケース2の下面開口部に嵌合すると共に、爪28aで上ケース2に係止される。 該下ケース28は、スイッチ接触部11、16、19、22、 25、26、及び電気部品27を保持する位置決め部2 8b、28c、28d、28e、28f、28g、及び28iを、上面に一体に突出形成している。 各位置決め部28b、28c、28d、28e、28f、28g、 及び28iは、各スイッチ接触部11、16、19、2 2、25、26、及び電気部品27の外周部を支持する複数の突起等で成る。 【0021】尚、位置決め部28b、28c、28d、 28e、28f、28g、及び28iは、スイッチ接触部11、16、19、22、25、26、及び電気部品27を保持するものであればよく、特にその形状は限定しない。 位置決め部28b、28c、28d、28e、 28f、28g、及び28iは、例えば、スイッチ接触部11、16、19、22、25、26、及び電気部品27の下面が圧嵌する溝、穴、筒状部、又は弾性片でもよい。 【0022】端子29は、下ケース28にインサート成形し、一方を下ケース28の上面から突出し、他方を下ケース28のコネクタ28h内に突出している。 発光体30は、発光ダイオード又はランプ等で成る。 発光体3 0は、図5に示すように、端子をコ字状に折曲して基板10の下面からスールホールに挿入し、該基板10の上面で半田付けし、発光部分は貫通孔10cから基板10 の上面に配置されている。 【0023】本発明は、以上のような構成であり、次に作用を組付手順と共に、図1乃至図5に基づき詳述する。 【0024】ノブ3に、ロックピン12と板ばね13とを挿入する。 該ノブ3は、スプリング9を介して操作杆3bを筒部2aに挿入し、ロックピン12をハートカム2cに係止する。 各ノブ4、5、6、7、及び8は、スチールボール15、21、24、又はピン18、並びにスプリング14、17、20、及び23を介して上ケース2にそれぞれ軸支する。 【0025】端子29をインサート成形した下ケース2 8の上面の位置決め部28b、28c、28d、28 e、28f、28g、及び28iに、それぞれスイッチ接触部11、16、19、22、25、26、及び電気部品27を圧入する。 これにより、各スイッチ接触部1 1、16、19、22、25、及び26が、正確に下ケース28に組付けることができる。 基板10のそれぞれのスルーホールに、端子29と、各スイッチ接触部1 1、16、19、22、25、26、電気部品27、及び発光体30の端子を嵌入して、半田付けする。 【0026】該基板10は、スイッチ接触部11、1 6、19、22、25、26、電気部品27、及び発光体30の全実装部品を下側片面に配置し、かつ一方から半田付けするので、機械による自動半田付けが可能である。 また、下ケース28は、位置決め部28b、28 c、28d、28e、28f、28g、及び28iが、 自動組付けするときに、各スイッチ接触部11、16、 19、22、25、26や電気部品27を保持する治具の役目をする。 【0027】下ケース28は、位置決め部28b、28 c、28d、28e、28f、28g、及び28iを有することで、機械による自動組付けや自動半田付けするときに、スイッチ接触部11、16、19、22、2 5、及び26等を保持する治具が不要となる。 これにより、治具の着脱時に発生するスイッチ接触部11、1 6、19、22、25、及び26等の端子が湾曲、及び損傷することを防止すると共に、治具の着脱が不要なため、組付工数や組付時間を削減できる。 【0028】また、位置決め部28b、28c、28 d、28e、28f、28g、及び28iは、基板10 に半田付けしたスイッチ接触部11、16、19、2 2、25、26や電気部品27を保持して、衝撃や振動等から保護する。 これにより、各スイッチ接触部11、 16、19、22、25、及び26は、基板10に対して正確に設置でき、スイッチ本体1の品質を向上できる。 【0029】また、基板10に実装したスイッチ接触部11、16、19、22、25、26、電気部品27、 及び発光体30は、1つの基板10の片面に配設し、かつ該基板10を上ケース2の内天井面の近隣に水平に配設したので、スイッチ本体1全体の高さを低くできる。 【0030】また、基板10は、位置決め部28b、2 8c、28d、28e、28f、28g、及び28iに保持されたスイッチ接触部11、16、19、22、2 5、26、及び電気部品27の端子と、下ケース28にインサート成形した多数の端子29とを半田付けしたので、ねじ等で下ケース28に固定する必要がなく、組付工数を削減することができる。 【0031】スイッチ本体1は、操作杆3b、4c、5 c、6c、7c、及び8aを操作軸11a、16a、2 2a、25a、26aに係合すると共に、前記上ケース2と下ケース28とを合致することで組付けが完了する。 スイッチ本体1は、上ケース2と、下ケース28との間に1枚の基板10だけで、他のプリント基板や中間ケース体を配設していないので、部品点数や組付け工数が少なく、低コストのパワーウインドスイッチを提供できる。 【0032】 【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成したので、次のような効果がある。 (1)本発明は、下ケースに、スイッチ接触部を所望位置に配置するための位置決め部を形成したことで、下ケースが、スイッチ接触部等を基板に自動半田付けするときの治具の役目を兼用すると共に、スイッチ接触部を衝撃や振動から保護し、かつ該スイッチ接触部を正確に配置してノブの操作フィーリングを向上できる。 (2)本発明は、上ケースと下ケースとで成る箱体内に、基板を水平に配設すると共に、該基板の片側下面のみに前記スイッチ接触部を配設したことで、機械による自動半田付けを可能にすると共に、組付工数や組付時間を短縮することができる。 (3)本発明は、基板が、上ケースの内天井面の近隣に水平に配設すると共に、ノブの操作杆が挿通する貫通孔、又は切欠部を形成したことで、スイッチケースの高さを低くして、スイッチを小型化することができる。 (4)本発明は、基板の下側の片面のみに電気部品を配設したことで、基板に配設する全電気部品を機械で自動的に組付けすることを可能にし、組付工数や組付時間やコストを削減できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の好適な実施例を示す分解斜視図である。 【図2】本発明の好適な実施例を示す図面であり、横断面図である。 【図3】図2の矢視A−A線方向断面図である。 【図4】図2の矢視B−B線方向断面図である。 【図5】図3の矢視C−C線方向断面図である。 【符号の説明】 1 スイッチ本体 2 上ケース 3、4、5、6、7、8 ノブ 3b、4c、5c、6c、7c、8a 操作杆 10 基板 10a、10c、10e 貫通孔 10b、10d、10f 切欠部 11、16、19、22、25、26 スイッチ接触部 27 電気部品 28 下ケース 28b、28c、28d、28e、28f、28g、2 8i 位置決め部 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) 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