首页 / 国际专利分类库 / 电学 / 基本电气元件 / 电开关;继电器;选择器;紧急保护装置 / 其他 / .高温考虑 / キーシート、押圧式スイッチ、及びこれを備えた電子機器

キーシート、押圧式スイッチ、及びこれを備えた電子機器

申请号 JP2008556930 申请日 2007-02-05 公开(公告)号 JPWO2008096406A1 公开(公告)日 2010-05-20
申请人 パナソニック株式会社; 发明人 市川 洋平; 洋平 市川;
摘要 電子回路などから発生した熱で、筐体やボタン部が局所的に高温になることを十分に抑制し、人体が 接触 する部分での局所的な 温度 上昇を抑えることができると共に、電子回路などから発生した熱を放熱させる際の放熱効率を高めることができるキーシートなどを提供すること。シート状で粘弾性を有し第1の面および第2の面をもつ粘弾性シート16bと、粘弾性シート16bの第1の面側に配置され、押下されるボタン部16aと、粘弾性シート16bの第1の面もしくは第2の面の何れか一方の面に沿って設けられ、熱伝導率が所定値である熱伝導シート14と、粘弾性シート16bの第2の面に、ボタン部16aに対応する 位置 に配置され、粘弾性シート16bの第1の面から第2の面に向かった方向に突出した当接部16dとを備えて構成する。
权利要求
  • シート状で粘弾性を有し第1の面および第2の面をもつ粘弾性シートと、
    前記粘弾性シートの第1の面側に配置され、押下されるボタン部と、
    前記粘弾性シートの第1の面もしくは第2の面の何れか一方の面に沿って設けられ、熱伝導率が所定値である熱伝導シートと、
    前記粘弾性シートの第2の面に、前記ボタン部に対応する位置に配置され、前記粘弾性シートの第1の面から第2の面に向かった方向に突出した当接部と、
    を備えたことを特徴とするキーシート。
  • 前記ボタン部は、第1のボタン部および第2のボタン部と、前記第1のボタン部と前記第2のボタン部を結ぶ直線上にない第3のボタン部とで構成され、前記熱伝導シートが前記第1のボタン部と前記第2のボタン部と前記第3のボタン部で囲まれる中にあることを特徴とする請求項1に記載のキーシート。
  • 前記熱伝導シートは第1の面と第2の面を有し、前記粘弾性シートの第1の面と前記熱伝導シートの第2の面が接するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキーシート。
  • 前記熱伝導シートの第1の面に接するように設けられ、絶縁性を有し、前記熱伝導シートの外周部を覆うように前記粘弾性シートに接合される絶縁カバー層を有することを特徴とする請求項3に記載のキーシート。
  • 前記熱伝導シートが開口する開口部を有し、前記ボタン部が前記開口部に配置されかつ前記粘弾性シートの第1の面に接するように配置されることを特徴とする請求項3に記載のキーシート。
  • 前記熱伝導シートが文字形状で開口していることを特徴とする請求項3に記載のキーシート。
  • 前記熱伝導シートは第1の面と第2の面を有し、前記粘弾性シートの第2の面と前記熱伝導シートの第1の面が接するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキーシート。
  • 前記熱伝導シートが開口する開口部を有し、前記当接部が前記開口部に配置されかつ前記粘弾性シートの第2の面に接するように配置されることを特徴とする請求項7に記載のキーシート。
  • 前記熱伝導シートの第2の面に接するように設けられ、絶縁性を有し、前記熱伝導シートの外周部を覆うように前記粘弾性シートに接合される絶縁カバー層を有することを特徴とする請求項7に記載のキーシート。
  • 前記絶縁カバー層は、可視光の反射性を有することを特徴とする請求項9に記載のキーシート。
  • 前記熱伝導シートがグラファイトで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキーシート。
  • 第1の面および第2の面を有し、電子回路が構成された基板と、
    前記基板の第1の面に設けられ、押下点を有し、前記電子回路の一部の配線の導通状態を前記押下点に対する押下に応じて変化させるスイッチ部と、
    前記当接部が前記押下点に対向して配置された請求項1に記載のキーシートと、
    を備えたことを特徴とする押圧式スイッチ。
  • 前記基板が導電層を有し、前記熱伝導シートが、導電性の材料で構成されるとともに前記基板の導電層と電気的に接続されていることを特徴とする請求項12に記載の押圧式スイッチ。
  • 請求項12に記載の押圧式スイッチを備えたことを特徴とする電子機器。
  • 说明书全文

    本発明は、キーシート、押圧式スイッチ及びこれを備えた電子機器、特に均熱化と放熱特性の改善を図った携帯用電子機器に好適なキーシート、押圧式スイッチ及びこれを備えた電子機器に関する。

    近年の電子機器、特に携帯用電子機器においては、小型化・薄型化と多機能化が高度に要求されており、筐体内の回路基板に多数の電子部品を高密度に実装するとともに、その実装部品からの放熱を効率よく行なう必要がある。

    この種の電子機器としては、例えば、図13から図15に示すような携帯電話機がある。 この電子機器100は、図13に示すように、操作入部102や音声入力部103を備えた下側筐体101と、表示画面106や音声出力部107を備えた上側筐体105と、両筐体101,105を開閉可能に結合するヒンジ部104とからなる。

    また、下側筐体101は、操作面側筐体部材101aと背面側の筐体部材101bとで構成されている。 この下側筐体101内には、図14に示すように、通信及び入出力制御を行なう回路基板121と、弾性シート部122aに複数のキートップ122b,122c,122dを支持させたキーシート122と、可撓性絶縁シート123とが装備されており、複数のキートップ122b,122c,122dの操作によって開閉される押圧式スイッチ(図15参照)が装備されている。

    具体的には、図15に断面図で示すように、基板121のキー接点120に対応する領域に穴部125を有するとともに、可撓性絶縁シート123は、シート状の熱伝導素材よりなり、かつ、電気的に導通しない熱伝導シート123aと、熱伝導シート123aの基板121側とは反対側の面に形成された導電性被膜123bと、導電性被膜123bの熱伝導シート123a側とは反対側の面に形成されるとともに、熱伝導シート123aの穴部125以外の領域に孔部を有する樹脂シート123cと、基板121のキー接点120のスイッチ要素を構成するとともに、熱伝導シート123aの穴部125に収納されて取り付けられ、かつ、ドーム状に形成された金属よりなるメタルドーム124と、を備える(特許文献1等参照)。 上述した従来の押圧式スイッチは、電子回路129から発生した熱を発散させることができ、キー操作面が熱くなることを回避することができる。

    特開2006−310035号公報

    しかしながら、従来の押圧式スイッチでは、基板121に接触している熱伝導シート123aが導電性被膜123bおよびキーシート122に覆われているため、電子回路129から発生した熱を放散でき難くなり、放熱効率が低くなってしまうという問題があった。 また、一般的に絶縁シートの熱伝導率は低いため、電気的に導通しない熱伝導シート123aを用いる従来の押圧式スイッチは、放熱効率がさらに低くなってしまう。

    本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、電子回路などから発生した熱で、筐体やボタン部が局所的に高温になることを十分に抑制し、人体が接触する部分での局所的な温度上昇を抑えることができると共に、電子回路などから発生した熱を放熱させる際の放熱効率を高めることができるキーシート、押圧式スイッチ、及び電子機器を提供するものである。

    本発明のキーシートは、シート状で粘弾性を有し第1の面および第2の面をもつ粘弾性シートと、前記粘弾性シートの第1の面側に配置され、押下されるボタン部と、前記粘弾性シートの第1の面もしくは第2の面の何れか一方の面に沿って設けられ、熱伝導率が所定値である熱伝導シートと、前記粘弾性シートの第2の面に、前記ボタン部に対応する位置に配置され、前記粘弾性シートの第1の面から第2の面に向かった方向に突出した当接部と、を備えた構成を有している。
    この構成により、発熱が大きい電子部品が実装される基板上にキーシートを重ねて設けた場合、熱伝導シートが、常に空気が入れ替わり凡そ温度が一定である外気に接しているキーシートにあって、発熱する電子部品側でなく外気に近い側に設けられているので、電子回路などの熱を放熱させる際の放熱効率を高めることができる。 また、熱伝導シートが粘弾性シートに沿って設けられているので、キーシートの面方向において均熱効果が大きくなる。

    また、本発明のキーシートの前記ボタン部は、第1のボタン部および第2のボタン部と、前記第1のボタン部と前記第2のボタン部を結ぶ直線上にない第3のボタン部とで構成され、前記熱伝導シートが前記第1のボタン部と前記第2のボタン部と第3のボタン部で囲まれる中にある構成を有している。
    この構成により、熱熱伝導シートが第1のボタン部と第2のボタン部と第3のボタン部で囲まれる部分にあり、熱伝導シートが第1のボタン部と第2のボタン部と第3のボタン部で囲まれる部分の所定の面積を有するので、キーシートの面方向において所定の均熱効果を有する。

    また、本発明のキーシートの前記熱伝導シートは、前記粘弾性シートの第1の面と前記熱伝導シートの第2の面が接するように設けられてもよい。

    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートが前記粘弾性シートの第1の面と前記熱伝導シートの第2の面が接するように設けられた場合、前記熱伝導シートの第1の面に接するように設けられ、絶縁性を有し、前記絶縁カバー層は、前記熱伝導シートの外周部を覆うように前記粘弾性シートに接合される絶縁カバー層を有するようにしてもよい。

    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートが前記粘弾性シートの第1の面と前記熱伝導シートの第2の面が接するように設けられた場合、前記熱伝導シートが開口する開口部を有し、前記ボタン部が前記開口部に配置されかつ前記粘弾性シートの第1の面に接するように配置されるようにしてもよい。
    この構成により、基板に実装されたLEDなどの光源から開口部を通してボタン部の照光が可能となる。

    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートが前記粘弾性シートの第1の面と前記熱伝導シートの第2の面が接するように設けられた場合、前記熱伝導シートが文字形状で開口していてもよい。
    この構成により、ボタン部を文字形状に光らせることができる。

    また、本発明のキーシートの前記熱伝導シートは、第1の面と第2の面を有し、前記粘弾性シートの第2の面と前記熱伝導シートの第1の面が接するように設けられていてもよい。

    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートが第1の面と第2の面を有し、前記粘弾性シートの第2の面と前記熱伝導シートの第1の面が接するように設けられた場合、前記熱伝導シートが開口する開口部を有し、前記当接部が前記開口部に配置されかつ前記粘弾性シートの第2の面に接するように配置されてもよい。

    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートが第1の面と第2の面を有し、前記粘弾性シートの第2の面と前記熱伝導シートの第1の面が接するように設けられた場合、前記熱伝導シートの第2の面に接するように設けられ、絶縁性を有し、前記絶縁カバー層は、前記熱伝導シートの外周部を覆うように前記粘弾性シートに接合される絶縁カバー層を有してもよい。

    また、本発明のキーシートの前記絶縁カバー層は、可視光の反射性を有してもよい。
    この構成により、白色又は光沢色などの可視光の反射性の絶縁カバー層により、例えば照光用の光を筐体内の所要の照光範囲に導くことができ、色むらの無い照光が可能となる。 この場合、絶縁カバー層の表層部のみが白色又は光沢色であってもよく、絶縁カバー層全体が白色又は光沢色の材料で形成してもよい。

    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートがグラファイトで形成されていてもよい。

    本発明の押圧式スイッチは、第1の面および第2の面を有し、電子回路が構成された基板と、前記基板の第1の面に設けられ、押下点を有し、前記電子回路の一部の配線の導通状態を前記押下点に対する押下に応じて変化させるスイッチ部と、前記当接部が前記押下点に対向して配置された請求項1に記載のキーシートと、を備えた構成を有している。
    この構成により、熱伝導シートがキーシートにあって、発熱する電子部品側でなく外気に近い側に設けられているので、電子回路などの熱を放熱させる際の放熱効率を高めることができる。

    また、本発明の押圧式スイッチは、前記基板が導電層を有し、前記熱伝導シートが、導電性の材料で構成されるとともに前記基板の導電層と電気的に接続されていてもよい。

    また、本発明の電子機器は、上記の何れかの押圧式スイッチを備えた構成を有している。
    この構成により、電子部品が実装される基板上にキーシートを重ねて設けた場合、熱伝導シートがキーシートにあって、発熱する電子部品側でなく外気に近い側に設けられているので、電子回路などの熱を放熱させる際の放熱効率を高めることができる。 また、熱伝導シートがキーシートの粘弾性シートに沿って設けられているので、電子機器内の発熱部品や発生した熱を熱伝導シートで均熱し、筐体やボタン部等の人体接触する部分での局所的な温度上昇を抑えることができる。

    なお、ここにいう熱伝導シートとは、前記絶縁カバー層の他の部分や他の部材よりも熱伝導率の大きいものであることはいうまでもない。

    熱伝導率の所定値について以下に例示する。 例えば、熱伝導シートがグラファイトで形成される場合、グラファイトの厚さが100μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は700(W/(m・K))に設定される。 また、グラファイトの厚さが70μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は850(W/(m・K))に設定され、グラファイトの厚さが25μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は1600(W/(m・K))に設定される。 この様に、グラファイトには厚さを薄くしても熱伝導率を高める技術が知られている。 従って、熱伝導シートをグラファイトを用いて形成すると、薄くてかつ熱伝導率が高い熱伝導シートを形成することができる。

    また、熱伝導シートがアルミで形成される場合、例えば、アルミで形成される熱伝導シートの面方向への熱伝導率は237(W/(m・K))である。 熱伝導シートが銅で形成される場合、例えば、銅で形成される熱伝導シートの面方向への熱伝導率は398(W/(m・K))である。

    以上のように本発明は、電子回路などから発生した熱を放熱させる際の放熱効率を高めることができるキーシート、押圧式スイッチ、及び電子機器を提供することができる。

    図1は本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の外観斜視図である。

    図2は本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の要部分解斜視図である。

    図3は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチのキーシートに関わる分解斜視図である。

    図4は本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチの側面断面図である。

    図5は本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の複数の押圧式スイッチを示す要部側面断面図である

    図6は本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の筐体表面の温度分布を示す図で、図6(a)はその筐体の操作面全域における表面温度分布を示し、図6(b)は図6(a)のX−X断面における操作面の表面温度分布を示している。

    図7は比較例の電子機器の筐体表面の温度分布を示す図で、図7(a)はその筐体の操作面全域における表面温度分布を示し、図7(b)は図7(a)のX−X断面における操作面の表面温度分布を示している。

    図8は熱伝導シートの熱伝導率の所定値について示した図である。

    図9は本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の外観斜視図である。

    図10は本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の要部分解斜視図である。

    図11は、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチのキーシートに関わる分解斜視図である。

    図12(a)(b)は本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチの側面断面図である。

    図13は従来例の電子機器の外観斜視図である。

    図14は従来例の電子機器の要部分解斜視図である。

    図15は従来例の電子機器の複数の押圧式スイッチを示す要部側面断面図である。

    符号の説明

    1 電子機器 10、20 押圧式スイッチ 11 プリント基板 11a 第1の接点部 11b 第2の接点部 12 第3の接点部 12c 中央部 13 絶縁シート 13a クリック部 14、24 熱伝導シート 15、25、27 絶縁カバー層 16、26 キーシート 16a、26a ボタン部 16b、26b 粘弾性シート 16c 突起部 16d、26d 当接部 17 下側筐体 17a 操作面側筐体部材 18 LED
    19 発熱部品 30、31 領域

    以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
    (第1の実施の形態)
    図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の外観斜視図である。 図1に示したように電子機器1は、操作入力部102や音声入力部103を備えた下側筐体17と、表示画面106や音声出力部107を備えた上側筐体105と、両筐体17,105を開閉可能に結合するヒンジ部104とからなる。 さらに、下側筐体17は、操作面側筐体部材17aと背面側の筐体部材17bとからなる。 図2に示すように、下側筐体17内には、通信及び入出力制御を行なうプリント基板11と、押圧式スイッチのキーシート16とが装備されている。

    図3(a)(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチのキーシートに関わる斜視図と分解斜視図である。 図3(a)は、キーシート16を示すものであり、図3(b)は、ボタン部16a−1、ボタン部16a−2、ボタン部16a−3等によって構成される複数のボタン部16aと、粘弾性シート16bと、熱伝導シート14とを備えるキーシート16に関わる分解斜視図である。 図4は、本発明の第1の実施の形態に係る押圧式スイッチを示す図である。

    電子機器1は、図4に示すような押圧式スイッチ10を、図5に示すように下側筐体17内に複数搭載した小型・薄型の機器である。 なお、電子機器1は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)のような携帯可能な他の小型・薄型の電子機器であってもよい。

    図4に示すように、本実施形態の押圧式スイッチ10は、プリント基板11上の第1の接点部11aと、その第1の接点部11aに導通可能な第2の接点部11bとが、プリント基板11上を覆う絶縁シート13の可撓性のクリック部13aの内方に配置されている。 また、図5に示すように、プリント基板11及び押圧式スイッチ10は、電子機器1の下側筐体17内に収納されており、下側筐体17内には更にキーシート16が収納されている。

    キーシート16は、図5に示すように、押圧可能な複数のボタン部16aを柔軟な粘弾性シート16b上に装着したものであり、その粘弾性シート16bの下面側には、絶縁シート13側に突出する支持用の複数の突起部16cと、絶縁シート13のクリック部13aに当接する当接部16dとが、粘弾性シート16bと一体に設けられている。

    また、キーシート16は、図4に示すように、粘弾性シート16bに沿って設けられている熱伝導シート14と、熱伝導シート14に対して操作面側筐体部材17a側に位置する絶縁カバー層15とを有している。 熱伝導シート14の一部は、例えば図3(a)に示すように、ボタン部16a−1とボタン部16a−2とボタン部16a−1とボタン部16a−2を結ぶ直線上にないボタン部16a−3とで囲まれる領域30の中にある。 ここで、熱伝導シート14は、その熱伝導率がプリント基板11や絶縁シート13、粘弾性シート16b、操作面側筐体部材17aの熱伝導率よりも大きい層で、例えばグラファイトシートや熱伝導性に優れた金属シート等で構成されている。 なお、粘弾性シート16bは、シリコンゴム等で構成される。

    絶縁シート13は、絶縁性の樹脂材料、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)シートと図示しない接着層又は絶縁性接着層とからなる。 また、絶縁カバー層15も絶縁性の樹脂材料、例えばPETシートからなる。

    クリック部13a(押下点)が押圧されたとき、第1の接点部11a及び第2の接点部11bが導通することで、電子回路の一部の配線の導通状態(導通の有無)が切り替わるようになっている。 クリック部13aは、プリント基板11上の絶縁シート13の平坦なシート部分から電子機器1の操作面側に略円弧状の断面形状をなして所定の高さに突出するとともに、プリント基板11から浮き上がった略円形の外周形状を有する突出部としている。

    なお、クリック部13aは必ずしも非押圧(非操作)時に突出した形状である必要はない。 すなわち、所定の復帰位置で絶縁シート13と略同一面上に位置する平坦なクリック部13aを押圧操作して略凹球面状に変形させることで、そのクリック部13aのプリント基板11側の面(内面)側に保持された中央部12c(可動接点部)が変位し、押圧操作力が解放されたときにそのクリック部13a及び中央部12cが前記所定の位置に復帰するように構成されていてもよい。

    さらに、絶縁シート13のみが前記所定位置への復帰力を発生させるものであってもよいし、接点部を構成する部材又はそれと導通する部材が主たる復帰力を発生させるものであってもよい。 したがって、クリック部13aは、中央部12cを変位させるために押圧操作に応じて変形するのに十分な可撓性を有するものであればよい。 また、クリック部13aの外周形状は押圧操作を加える部材の形状に応じて任意に設定し得る。

    具体的には、図4に示すように、第2の接点部11bは、プリント基板11上で第2の接点部11b同士が互いに離間するよう複数設けられるか、若しくは環状に形成されており、第1の接点部11aはプリント基板11の板面方向(図4の左右方向;以下、基板面方向という)において第2の接点部11bの間に位置している。 これら第1の接点部11a及び第2の接点部11bは、それぞれプリント基板11の上面側又は下面側に構成された図示しない制御回路に接続されている。

    また、図4中で第1の接点部11aの両側に位置する左右の第2の接点部11bには、例えば、導電性の金属製ダイヤフラム(略円弧状断面の皿状の導電性板ばね)からなる第3の接点部12が接触しており、第3の接点部12は絶縁シート13のクリック部13aの内面に固着され保持されている。

    第3の接点部12は、その中央部12cを可動接点として機能させるもので、絶縁シート13のクリック部13aを介してキーシート16のボタン部16aからの押圧力(使用者等によるボタン部16aを介した押圧操作)を受けたとき、その中央部12cを第1の接点部11aに接近させるように撓んで、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を導通状態とすることができる。

    また、第3の接点部12は、キーシート16のボタン部16aからの押圧力が解除されたとき、その中央部12cを第1の接点部11aから離間させる復帰位置に復帰し、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を非導通状態とすることができる。

    絶縁シート13は、第3の接点部12を固着・保持するとともにプリント基板11に固着された絶縁保持層となっている。

    絶縁カバー層15は、熱伝導シート14に固着された絶縁保護層となっている。 また、熱伝導シート14は、キーシート16の全体、あるいはボタン部16aの下部の一部を開口してキーシート16の全体に配置されている。 そして、絶縁カバー層15は、熱伝導シート14の上面のみならず外周面部をも被覆するように、熱伝導シート14の外周面部に沿って互いに接着等により固着・接合された接合部を有している。 なお、絶縁カバー層15の周縁部を裁断することで熱伝導シート14の外周面部が露出するようなものも考えられるが、絶縁被覆するのが好ましい。

    本実施形態では、上述のように、第3の接点部12を保持しプリント基板11に固着された絶縁保持層としての絶縁シート13が配置され、この絶縁シート13のクリック部13aでは、絶縁シート13の最下層下面の接着剤層(図示していない)により、第3の接点部12がプリント基板11の第1の接点部11a及び第2の接点部11b上に位置するように位置決め・保持され、第3の接点部12の下端部が第1の接点部11aの両側で第2の接点部11bに接触している。

    さらに、キーシート16は、絶縁シート13に対してプリント基板11とは反対側に配置されており、キーシート16上の複数のボタン部16aが、キートップとして操作面側筐体部材17aの対応する開口部から操作面側筐体部材17aの外表面側に露出するとともに、キーシート16の下面側の各当接部16dが、対応するボタン部16aの直下で絶縁シート13の対応する各クリック部13aに当接している。

    なお、図5に示すように、プリント基板11の上面側、すなわちキーシート16側の面には、数字や文字を入力するための操作キー等の複数のボタン部16aを下側筐体17の内部側から照光するための複数の発光部材、例えばLED(Light Emitting Diode)18が装着されており、プリント基板11の下面側にはパワーアンプ等の発熱部品19と図示しない多数の電子部品が実装されている。

    プリント基板11には、電子機器1における通信及び入出力の制御を行なうための制御回路を構成するために図示しない多数の電子部品が実装され、そのプリント基板11が下側筐体17内に収納されることから、電子機器1の動作中には、プリント基板11上のパワーアンプ等の発熱部品19が発熱する。 そして、その発熱により、下側筐体17内の温度が上昇し、発熱部品19とその近傍の部材の温度が上昇する。

    この状態においては、プリント基板11上で発生した熱が熱伝導シート14によって熱伝導シート14の面方向(広がり方向)に拡散される。 すなわち、熱伝導シート14がキーシート16の粘弾性シート16bに沿って設けられているので、面方向に十分な熱伝導がなされ、キー入力側の操作面側筐体部材17aおよびボタン部16aの均熱効果が高められる。 その結果、電子機器1内の発熱部品19の近傍の操作面側筐体部材17aやボタン部16aの局所的な温度上昇が確実に防止される。

    また、特許文献1に記載したような従来の押圧式スイッチでは、基板に接触している熱伝導シートが導電性被膜およびキーシートに覆われていて外気から遠い位置にあるため、発熱部品19から発生した熱を放散でき難くなり、放熱効率が低くなっているが、本実施形態の押圧式スイッチ10では、熱伝導シート14がキーシート16にあって外気に近い位置に設けられているので、放熱効率が高くなっている。

    熱伝導シート14がグラファイトで形成される場合、そのグラファイトシートの面方向への熱伝導率は700(W/(m・K))以上と高い値であるので、大きな放熱効果が得られる。 また、100マイクロメートル以下の層厚に薄くすることができるので、キーシート16の厚みをより薄くすることができ、電子機器1をより薄型化することができる押圧式スイッチ10を構成することができる。

    図6は、本実施形態の電子機器における発熱部品19の位置や発熱量等を基に、操作面側筐体17aにおける温度分布を計算により求めた一実施例のシミュレーション結果を示しており、図6(a)は、その操作面全域の温度分布を複数の等温線で区画した温度分布図、図6(b)は、図6(a)中のX−X断面における操作面上の温度の分布を示すグラフである。

    このシミュレーションにおいては、操作面側筐体部材17aは厚さ0.9mmで熱伝導率0.3(W/(m・K))、プリント基板11は厚さ0.5mmでの熱伝導率35(W/(m・K))、キーシート16の粘弾性シート16bは厚さ0.5mm(突起部16cの下端からの高さ1.0mm)で熱伝導率0.2(W/(m・K))、発熱部品19は厚さ1.0mmで熱伝導率1(W/(m・K))とし、熱伝導シート14にグラファイトシートを用いた絶縁シート13は厚さ0.1mmで熱伝導率(面方向)700(W/(m・K))とした。 また、絶縁シート13の範囲は複数のボタン部16aの設置範囲をカバーするが、プリント基板11の全域を覆うものではない。

    この場合、一実施例の電子機器1においては、操作面側筐体17aの温度は、図6(a)に示すようにグラファイトシートを用いた絶縁シート13の設置範囲で均熱化され、複数のボタン部16aの設置範囲でほぼ一定温度範囲に収まっている。 また、図6(b)のグラフは、発熱の影響を受け難い筐体周縁部(同図中のグラフの左右両端)の温度に対して、操作面各部の温度上昇は数度の範囲内であることを示している。

    一方、図7は上記一実施例の構成から熱伝導シート14をボタン部16aのみの大きさに限定した場合の比較例の電子機器における筐体操作面上の温度分布を計算により求めたシミュレーション結果を示しており、同図(a)はその操作面全域の温度分布を複数の等温線で区画した温度分布図、同図(b)は図7(a)中のX−X断面における操作面上の温度の分布を示すグラフである。

    この場合、比較例の電子機器においては、筐体操作面の温度は、図7(a)に示すように発熱部品の近傍ほど顕著に高くなっており、均熱化されていないことがわかる。 また、図7(b)のグラフから、発熱の影響を受け難い筐体周縁部(同図中のグラフの左右両端)の温度に対して、操作面各部の温度上昇は発熱部品の近傍では上記一実施例の場合の温度上昇値の倍程度となっており、局部的な温度上昇が見られる。

    これら図6に示す本実施形態の一例のシミュレーション結果と図7に示す比較例のシミュレーション結果から明らかなように、本実施形態の電子機器1においては、キーシート16の面方向における均熱効果を高めて、発熱部品19近傍での局所的な筐体及びボタン部の温度上昇を有効に防止することができる。

    また、プリント基板11に実装されたLED18の発光によりキーシート16のボタン部16aを照光する場合に、粘弾性シート16bとボタン部16aの接合部分で熱伝導シート14の一部または全部が開口していることから、ボタン部16aを照光することができる。 また、熱伝導シート14の開口を文字形状にして、ボタン部16aを照光することができる。

    さらに、本実施形態においては、絶縁カバー層15あるいは粘弾性シート16bを接点部(図示していない)で切り欠き熱伝導シート14を露出させ、導電性の接続層や金属バネ、金属ネジ等を介してプリント基板11のグランドパターンに電気的に接続することができる。 導電性の熱伝導シート14がプリント基板11のグランドパターンに電気的に接続されることにより、プリント基板11の各接点部への静電気の侵入を防ぎ、静電気による電子機器1の誤動作等を防止することができる。

    なお、キーシート16が、粘弾性シート16bに沿って設けられた熱伝導シート14を有し、キーシート16の装着と同時に熱伝導シート14を積層することができるので、電子機器の組立工数が増加することはない。

    なお、グラファイトには厚さを薄くしても熱伝導率を高める技術が知られている。 従って、熱伝導シートをグラファイトを用いて形成すると、薄くてかつ熱伝導率が高い熱伝導シートを形成することができる。

    例えば、図8は、熱伝導シートの熱伝導率の所定値について示した図である。 図8の表に示すように、熱伝導シートがグラファイトで形成される場合、グラファイトの厚さ(Z方向)が100μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は700(W/(m・K))(X−Y方向)に設定される。 また、グラファイトの厚さ(Z方向)が70μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は850(W/(m・K))(X−Y方向)に設定され、グラファイトの厚さ(Z方向)が25μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は1600(W/(m・K))(X−Y方向)に設定される。

    また、熱伝導シートがアルミで形成される場合、例えば、アルミで形成される熱伝導シートの面方向への熱伝導率は237(W/(m・K))(X−Y方向)に設定される。 熱伝導シートが銅で形成される場合、例えば、銅で形成される熱伝導シートの面方向への熱伝導率は398(W/(m・K))(X−Y方向)に設定される。

    (第2の実施の形態)
    図9は、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の外観斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の外観は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の外観と同様である。 なお、以下の説明においては、第1の実施の形態と同一の構成要素については第1の実施の形態の対応する構成要素と同一符号を用いて簡単に説明し、上述の第1の実施形態との相違点について詳細に説明する。

    図10に示すように、下側筐体17内には、通信及び入出力制御を行なうプリント基板11と、押圧式スイッチのキーシート26とが装備されている。 図11(a)(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチのキーシートに関わる斜視図と分解斜視図である。 図11(a)は、キーシート26を示すものであり、図11(b)は、ボタン部26a−1、ボタン部26a−2、ボタン部26a−3等によって構成される複数のボタン部26aと、粘弾性シート26bと、熱伝導シート24とを備えるキーシート26に関わる分解斜視図である。 図12(a)および図12(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る押圧式スイッチを示す図である。

    図12(a)に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る押圧式スイッチ20は、プリント基板11上の第1の接点部11aと、その第1の接点部11aに導通可能な第2の接点部11bとが、プリント基板11上を覆う絶縁シート13の可撓性のクリック部13aの内方に配置され、クリック部13aが押圧されたとき、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの導通の有無が切り替わるようになっている。 また、プリント基板11及び押圧式スイッチ20は電子機器1の下側筐体17内に収納されており、下側筐体17内には更にキーシート26が収納されている。

    具体的には、図12(a)に示すように、第1の接点部11aはプリント基板11の板面方向において第2の接点部11bの間に位置しており、第1の接点部11aの両側に位置する第2の接点部11bに第3の接点部12が接触している。

    ここで、第3の接点部12は、絶縁シート13のクリック部13aを介してキーシート26のボタン部26aからの押圧力を受けたとき、可動接点としての中央部12cを第1の接点部11aに接近させるように撓んで、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を導通状態とすることができる。 また、第3の接点部12は、キーシート26のボタン部26aからの押圧力が解除されたとき、その中央部を第1の接点部11aから離間させる復帰位置に復帰し、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を非導通状態とすることができる。

    より具体的には、図12(a)に示すように、絶縁シート13は、第3の接点部12を固着・保持するとともにプリント基板11に固着された絶縁保持層となっている

    一方、キーシート26は、ボタン部26aの配置面の反対側の面に粘弾性シート26bに沿って設けられている熱伝導シート24及び絶縁カバー層25を有している。 ここで、熱伝導シート24は、その熱伝導率がキーシート26の絶縁カバー層25やプリント基板11の熱伝導率よりも大きい層で、例えばグラファイトシートや熱伝導性に優れた金属シート等で構成されている。 また、絶縁カバー層25は絶縁性の樹脂材料、例えばPETシートからなる。

    ここで、熱伝導シート24及び絶縁カバー層25は、キーシート26の当接部26dの輪郭形状に沿って例えば円形に開口しており、図12(a)に示すように、熱伝導シート24の開口内周部と絶縁カバー層25とが重合している。

    これら絶縁カバー層25及び熱伝導シート24と粘弾性シート26bの3層は、図12(a)に示すような態様で、互いに積層され一体的に固着されてキーシート26となる。

    また、熱伝導シート24の一部は、例えば図11(a)に示すように、ボタン部26a−1とボタン部26a−2とボタン部26a−1とボタン部26a−2を結ぶ直線上にないボタン部26a−3とで囲まれる領域31の中にある。 その他の構成については、上述した第1の実施の形態と同一である。

    本発明の第2の実施の形態においても、プリント基板11上で発生した熱が熱伝導シート24によって熱伝導シート24の面方向(広がり方向)に拡散される。 すなわち、熱伝導シート24がキーシート16の粘弾性シート16bに沿って設けられているので、面方向に十分な熱伝導がなされ、キー入力側の筐体およびボタン部16aの局所的な温度上昇を抑制することができる。 その結果、上述の第1の実施形態と同様な効果が得られる。

    さらに、プリント基板11に実装されたLEDの発光によりキーシート26のボタン部26aを照光する場合に、当接部26dの接合部分で熱伝導シート24が開口していることから、ボタン部26aを照光することができる。

    また、第2の実施の形態においては、絶縁カバー層25の全体又は一部は、白色又は光沢色などの可視光の反射性を有することにより、キーシート26全体のボタン部26aを明るさや色のむらのないように照光することができる。

    あるいは、図12(b)に示すように、絶縁カバー層25を透明にし、白色又は光沢色などの可視光の反射性を有する絶縁カバー層27を絶縁カバー層25に重ねてもよい。 なお、絶縁カバー層27は、キーシート26の当接部26dの輪郭形状に沿って例えば円形に開口しており、全体又は一部で白色又は光沢色である絶縁性の樹脂材料、例えばPETシートからなる。

    この構成で絶縁カバー層27の開口は、透明の絶縁カバー層25の開口よりは大きく、熱伝導シート24の開口より同等又は小さくすることにより、図12(a)に示した構成に比べ、プリント基板11に実装されたLED18の光をキーシート26のボタン部26aに通す面積が増加するため、ボタン部26aをさらに明るく照光することができる。

    さらに、第2の実施の形態においても、絶縁カバー層25あるいは粘弾性シート26bを接点部(図示していない)で切り欠き熱伝導シート24を露出させ、導電性の接続層や金属バネ、金属ネジ等を介してプリント基板11のグランドパターンに電気的に接続することができる。 導電性の熱伝導シート24がプリント基板11のグランドパターンに電気的に接続されることにより、プリント基板11の各接点部への静電気の侵入を防ぎ、静電気による電子機器1の誤動作等を防止することができる。

    また、第2の実施の形態においても、キーシート26が、粘弾性シート26bに沿って設けられている熱伝導シート24を有し、キーシート26の装着と同時に熱伝導シート24を積層することができるので、電子機器の組立工数が増加することはない。

    以上説明したように、本発明は、熱伝導シートをキーシートの粘弾性シートに沿って設けられていることでキーシートの面方向へ広範囲に熱を拡散させることができ、その大きな均熱効果により電子機器内の発熱部品の近傍の筐体やボタン部などの局所的な温度上昇を確実に抑えることができるという効果を奏するものであり、人体が直接触れることが多い携帯用に好適な小型・薄型の電子機器全般に有用である。

    【書類名】 明細書【発明の名称】 キーシート、押圧式スイッチ、及びこれを備えた電子機器【技術分野】
    【0001】
    本発明は、キーシート、押圧式スイッチ及びこれを備えた電子機器、特に均熱化と放熱特性の改善を図った携帯用電子機器に好適なキーシート、押圧式スイッチ及びこれを備えた電子機器に関する。
    【背景技術】
    【0002】
    近年の電子機器、特に携帯用電子機器においては、小型化・薄型化と多機能化が高度に要求されており、筐体内の回路基板に多数の電子部品を高密度に実装するとともに、その実装部品からの放熱を効率よく行なう必要がある。
    【0003】
    この種の電子機器としては、例えば、図13から図15に示すような携帯電話機がある。 この電子機器100は、図13に示すように、操作入力部102や音声入力部103を備えた下側筐体101と、表示画面106や音声出力部107を備えた上側筐体105と、両筐体101,105を開閉可能に結合するヒンジ部104とからなる。
    【0004】
    また、下側筐体101は、操作面側筐体部材101aと背面側の筐体部材101bとで構成されている。 この下側筐体101内には、図14に示すように、通信及び入出力制御を行なう回路基板121と、弾性シート部122aに複数のキートップ122b,122c,122dを支持させたキーシート122と、可撓性絶縁シート123とが装備されており、複数のキートップ122b,122c,122dの操作によって開閉される押圧式スイッチ(図15参照)が装備されている。
    【0005】
    具体的には、図15に断面図で示すように、基板121のキー接点120に対応する領域に穴部125を有するとともに、可撓性絶縁シート123は、シート状の熱伝導素材よりなり、かつ、電気的に導通しない熱伝導シート123aと、熱伝導シート123aの基板121側とは反対側の面に形成された導電性被膜123bと、導電性被膜123bの熱伝導シート123a側とは反対側の面に形成されるとともに、熱伝導シート123aの穴部125以外の領域に孔部を有する樹脂シート123cと、基板121のキー接点120のスイッチ要素を構成するとともに、熱伝導シート123aの穴部125に収納されて取り付けられ、かつ、ドーム状に形成された金属よりなるメタルドーム124と、を備える(特許文献1等参照)。 上述した従来の押圧式スイッチは、電子回路129から発生した熱を発散させることができ、キー操作面が熱くなることを回避することができる。
    【先行技術文献】
    【特許文献】
    【0006】
    【特許文献1】特開2006−310035号公報【発明の概要】
    【発明が解決しようとする課題】
    【0007】
    しかしながら、従来の押圧式スイッチでは、基板121に接触している熱伝導シート123aが導電性被膜123bおよびキーシート122に覆われているため、電子回路129から発生した熱を放散でき難くなり、放熱効率が低くなってしまうという問題があった。 また、一般的に絶縁シートの熱伝導率は低いため、電気的に導通しない熱伝導シート123aを用いる従来の押圧式スイッチは、放熱効率がさらに低くなってしまう。
    【0008】
    本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、電子回路などから発生した熱で、筐体やボタン部が局所的に高温になることを十分に抑制し、人体が接触する部分での局所的な温度上昇を抑えることができると共に、電子回路などから発生した熱を放熱させる際の放熱効率を高めることができるキーシート、押圧式スイッチ、及び電子機器を提供するものである。
    【課題を解決するための手段】
    【0009】
    本発明のキーシートは、シート状で粘弾性を有し第1の面および第2の面をもつ粘弾性シートと、前記粘弾性シートの第1の面側に配置され、押下されるボタン部と、前記粘弾性シートの第2の面に、前記ボタン部に対応する位置に配置され、前記粘弾性シートの第1の面から第2の面に向かった方向に突出した当接部と、熱伝導率が所定値であり第1の面および第2の面をもつ熱伝導シートと、を備え、前記熱伝導シートは、前記粘弾性シートの第1の面と前記熱伝導シートの第2の面が接するように設けられ、前記ボタン部は、第1のボタン部および第2のボタン部と、前記第1のボタン部と前記第2のボタン部を結ぶ直線上にない第3のボタン部とで構成され、前記熱伝導シートが前記第1のボタン部と前記第2のボタン部と前記第3� ��ボタン部で囲まれる構成を有している。
    この構成により、発熱が大きい電子部品が実装される基板上にキーシートを重ねて設けた場合、熱伝導シートが、常に空気が入れ替わり凡そ温度が一定である外気に接しているキーシートにあって、発熱する電子部品側でなく外気に近い側に設けられているので、電子回路などの熱を放熱させる際の放熱効率を高めることができる。 また、熱伝導シートが粘弾性シートに沿って設けられているので、キーシートの面方向において均熱効果が大きくなる。 また、熱伝導シートが第1のボタン部と第2のボタン部と第3のボタン部で囲まれる部分にあり、熱伝導シートが第1のボタン部と第2のボタン部と第3のボタン部で囲まれる部分の所定の面積を有するので、キーシートの面方向において所定の均熱効果を有する。
    【0010】
    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートの第1の面に接するように設けられ、絶縁性を有し、前記熱伝導シートの外周部を覆うように前記粘弾性シートに接合される絶縁カバー層を有するようにしてもよい。
    【0011】
    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートが開口する開口部を有し、前記ボタン部が前記開口部に配置されかつ前記粘弾性シートの第1の面に接するように配置されるようにしてもよい。
    この構成により、基板に実装されたLEDなどの光源から開口部を通してボタン部の照光が可能となる。
    【0012】
    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートが文字形状で開口していてもよい。
    この構成により、ボタン部を文字形状に光らせることができる。
    【0013】
    また、本発明のキーシートは、シート状で粘弾性を有し第1の面および第2の面をもつ粘弾性シートと、前記粘弾性シートの第1の面側に配置され、押下されるボタン部と、前記粘弾性シートの第2の面に、前記ボタン部に対応する位置に配置され、前記粘弾性シートの第1の面から第2の面に向かった方向に突出した当接部と、熱伝導率が所定値であり第1の面および第2の面をもつ熱伝導シートと、を備え、前記熱伝導シートが、前記粘弾性シートの第2の面と前記熱伝導シートの第1の面が接するように設けられていてもよい。
    【0014】
    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートが開口する開口部を有し、前記当接部が前記開口部に配置されてもよい。
    【0015】
    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートの第2の面に接するように設けられ、絶縁性を有し、前記熱伝導シートの外周部を覆うように前記粘弾性シートに接合される絶縁カバー層を有してもよい。
    【0016】
    また、本発明のキーシートは、前記絶縁カバー層が可視光の反射性を有してもよい。
    この構成により、白色又は光沢色などの可視光の反射性の絶縁カバー層により、例えば照光用の光を筐体内の所要の照光範囲に導くことができ、色むらの無い照光が可能となる。 この場合、絶縁カバー層の表層部のみが白色又は光沢色であってもよく、絶縁カバー層全体が白色又は光沢色の材料で形成してもよい。
    【0017】
    また、本発明のキーシートは、前記熱伝導シートがグラファイトで形成されていてもよい。
    【0018】
    本発明の押圧式スイッチは、第1の面および第2の面を有し、電子回路が構成された基板と、前記基板の第1の面に設けられ、押下点を有し、前記電子回路の一部の配線の導通状態を前記押下点に対する押下に応じて変化させるスイッチ部と、前記当接部が前記押下点に対向して配置された請求項1又は請求項5に記載のキーシートと、を備えた押圧式スイッチ。
    この構成により、熱伝導シートがキーシートにあって、発熱する電子部品側でなく外気に近い側に設けられているので、電子回路などの熱を放熱させる際の放熱効率を高めることができる。
    【0019】
    また、本発明の押圧式スイッチは、前記基板が導電層を有し、前記熱伝導シートが、導電性の材料で構成されるとともに前記導電層と電気的に接続されていてもよい。
    【0020】
    また、本発明の電子機器は、上記の何れかの押圧式スイッチを備えた構成を有している。
    この構成により、電子部品が実装される基板上にキーシートを重ねて設けた場合、熱伝導シートがキーシートにあって、発熱する電子部品側でなく外気に近い側に設けられているので、電子回路などの熱を放熱させる際の放熱効率を高めることができる。 また、熱伝導シートがキーシートの粘弾性シートに沿って設けられているので、電子機器内の発熱部品や発生した熱を熱伝導シートで均熱し、筐体やボタン部等の人体接触する部分での局所的な温度上昇を抑えることができる。
    【0021】
    また、本発明のキーシートは、前記ボタン部が、第1のボタン部および第2のボタン部と、前記第1のボタン部と前記第2のボタン部を結ぶ直線上にない第3のボタン部とで構成され、前記熱伝導シートが前記第1のボタン部と前記第2のボタン部と前記第3のボタン部で囲まれる中にある構成を有している。
    この構成により、熱伝導シートが第1のボタン部と第2のボタン部と第3のボタン部で囲まれる部分の所定の面積を有するので、キーシートの面方向において所定の均熱効果を有する。
    【0022】
    なお、ここにいう熱伝導シートとは、前記絶縁カバー層の他の部分や他の部材よりも熱伝導率の大きいものであることはいうまでもない。
    【0023】
    熱伝導率の所定値について以下に例示する。 例えば、熱伝導シートがグラファイトで形成される場合、グラファイトの厚さが100μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は700(W/(m・K))に設定される。 また、グラファイトの厚さが70μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は850(W/(m・K))に設定され、グラファイトの厚さが25μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は1600(W/(m・K))に設定される。 この様に、グラファイトには厚さを薄くしても熱伝導率を高める技術が知られている。 従って、熱伝導シートをグラファイトを用いて形成すると、薄くてかつ熱伝導率が高い熱伝導シートを形成することができる。
    【0024】
    また、熱伝導シートがアルミで形成される場合、例えば、アルミで形成される熱伝導シートの面方向への熱伝導率は237(W/(m・K))である。 熱伝導シートが銅で形成される場合、例えば、銅で形成される熱伝導シートの面方向への熱伝導率は398(W/(m・K))である。
    【発明の効果】
    【0025】
    以上のように本発明は、電子回路などから発生した熱を放熱させる際の放熱効率を高めることができるキーシート、押圧式スイッチ、及び電子機器を提供することができる。
    【図面の簡単な説明】
    【0026】
    【図1】図1は本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の外観斜視図である。
    【図2】図2は本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の要部分解斜視図である。
    【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチのキーシートに関わる分解斜視図である。
    【図4】図4は本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチの側面断面図である。
    【図5】図5は本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の複数の押圧式スイッチを示す要部側面断面図である 【図6】図6は本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の筐体表面の温度分布を示す図で、図6(a)はその筐体の操作面全域における表面温度分布を示し、図6(b)は図6(a)のX−X断面における操作面の表面温度分布を示している。
    【図7】図7は比較例の電子機器の筐体表面の温度分布を示す図で、図7(a)はその筐体の操作面全域における表面温度分布を示し、図7(b)は図7(a)のX−X断面における操作面の表面温度分布を示している。
    【図8】図8は熱伝導シートの熱伝導率の所定値について示した図である。
    【図9】図9は本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の外観斜視図である。
    【図10】図10は本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の要部分解斜視図である。
    【図11】図11は、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチのキーシートに関わる分解斜視図である。
    【図12】図12(a)(b)は本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチの側面断面図である。
    【図13】図13は従来例の電子機器の外観斜視図である。
    【図14】図14は従来例の電子機器の要部分解斜視図である。
    【図15】図15は従来例の電子機器の複数の押圧式スイッチを示す要部側面断面図である。
    【発明を実施するための形態】
    【0027】
    以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
    (第1の実施の形態)
    図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の外観斜視図である。 図1に示したように電子機器1は、操作入力部102や音声入力部103を備えた下側筐体17と、表示画面106や音声出力部107を備えた上側筐体105と、両筐体17,105を開閉可能に結合するヒンジ部104とからなる。 さらに、下側筐体17は、操作面側筐体部材17aと背面側の筐体部材17bとからなる。 図2に示すように、下側筐体17内には、通信及び入出力制御を行なうプリント基板11と、押圧式スイッチのキーシート16とが装備されている。
    【0028】
    図3(a)(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチのキーシートに関わる斜視図と分解斜視図である。 図3(a)は、キーシート16を示すものであり、図3(b)は、ボタン部16a−1、ボタン部16a−2、ボタン部16a−3等によって構成される複数のボタン部16aと、粘弾性シート16bと、熱伝導シート14とを備えるキーシート16に関わる分解斜視図である。 図4は、本発明の第1の実施の形態に係る押圧式スイッチを示す図である。
    【0029】
    電子機器1は、図4に示すような押圧式スイッチ10を、図5に示すように下側筐体17内に複数搭載した小型・薄型の機器である。 なお、電子機器1は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)のような携帯可能な他の小型・薄型の電子機器であってもよい。
    【0030】
    図4に示すように、本実施形態の押圧式スイッチ10は、プリント基板11上の第1の接点部11aと、その第1の接点部11aに導通可能な第2の接点部11bとが、プリント基板11上を覆う絶縁シート13の可撓性のクリック部13aの内方に配置されている。 また、図5に示すように、プリント基板11及び押圧式スイッチ10は、電子機器1の下側筐体17内に収納されており、下側筐体17内には更にキーシート16が収納されている。
    【0031】
    キーシート16は、図5に示すように、押圧可能な複数のボタン部16aを柔軟な粘弾性シート16b上に装着したものであり、その粘弾性シート16bの下面側には、絶縁シート13側に突出する支持用の複数の突起部16cと、絶縁シート13のクリック部13aに当接する当接部16dとが、粘弾性シート16bと一体に設けられている。
    【0032】
    また、キーシート16は、図4に示すように、粘弾性シート16bに沿って設けられている熱伝導シート14と、熱伝導シート14に対して操作面側筐体部材17a側に位置する絶縁カバー層15とを有している。 熱伝導シート14の一部は、例えば図3(a)に示すように、ボタン部16a−1とボタン部16a−2とボタン部16a−1とボタン部16a−2を結ぶ直線上にないボタン部16a−3とで囲まれる領域30の中にある。 ここで、熱伝導シート14は、その熱伝導率がプリント基板11や絶縁シート13、粘弾性シート16b、操作面側筐体部材17aの熱伝導率よりも大きい層で、例えばグラファイトシートや熱伝導性に優れた金属シート等で構成されている。 なお、粘弾性シート16bは、シリコンゴム等で構成される。
    【0033】
    絶縁シート13は、絶縁性の樹脂材料、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)シートと図示しない接着層又は絶縁性接着層とからなる。 また、絶縁カバー層15も絶縁性の樹脂材料、例えばPETシートからなる。
    【0034】
    クリック部13a(押下点)が押圧されたとき、第1の接点部11a及び第2の接点部11bが導通することで、電子回路の一部の配線の導通状態(導通の有無)が切り替わるようになっている。 クリック部13aは、プリント基板11上の絶縁シート13の平坦なシート部分から電子機器1の操作面側に略円弧状の断面形状をなして所定の高さに突出するとともに、プリント基板11から浮き上がった略円形の外周形状を有する突出部としている。
    【0035】
    なお、クリック部13aは必ずしも非押圧(非操作)時に突出した形状である必要はない。 すなわち、所定の復帰位置で絶縁シート13と略同一面上に位置する平坦なクリック部13aを押圧操作して略凹球面状に変形させることで、そのクリック部13aのプリント基板11側の面(内面)側に保持された中央部12c(可動接点部)が変位し、押圧操作力が解放されたときにそのクリック部13a及び中央部12cが前記所定の位置に復帰するように構成されていてもよい。
    【0036】
    さらに、絶縁シート13のみが前記所定位置への復帰力を発生させるものであってもよいし、接点部を構成する部材又はそれと導通する部材が主たる復帰力を発生させるものであってもよい。 したがって、クリック部13aは、中央部12cを変位させるために押圧操作に応じて変形するのに十分な可撓性を有するものであればよい。 また、クリック部13aの外周形状は押圧操作を加える部材の形状に応じて任意に設定し得る。
    【0037】
    具体的には、図4に示すように、第2の接点部11bは、プリント基板11上で第2の接点部11b同士が互いに離間するよう複数設けられるか、若しくは環状に形成されており、第1の接点部11aはプリント基板11の板面方向(図4の左右方向;以下、基板面方向という)において第2の接点部11bの間に位置している。 これら第1の接点部11a及び第2の接点部11bは、それぞれプリント基板11の上面側又は下面側に構成された図示しない制御回路に接続されている。
    【0038】
    また、図4中で第1の接点部11aの両側に位置する左右の第2の接点部11bには、例えば、導電性の金属製ダイヤフラム(略円弧状断面の皿状の導電性板ばね)からなる第3の接点部12が接触しており、第3の接点部12は絶縁シート13のクリック部13aの内面に固着され保持されている。
    【0039】
    第3の接点部12は、その中央部12cを可動接点として機能させるもので、絶縁シート13のクリック部13aを介してキーシート16のボタン部16aからの押圧力(使用者等によるボタン部16aを介した押圧操作)を受けたとき、その中央部12cを第1の接点部11aに接近させるように撓んで、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を導通状態とすることができる。
    【0040】
    また、第3の接点部12は、キーシート16のボタン部16aからの押圧力が解除されたとき、その中央部12cを第1の接点部11aから離間させる復帰位置に復帰し、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を非導通状態とすることができる。
    【0041】
    絶縁シート13は、第3の接点部12を固着・保持するとともにプリント基板11に固着された絶縁保持層となっている。
    【0042】
    絶縁カバー層15は、熱伝導シート14に固着された絶縁保護層となっている。 また、熱伝導シート14は、キーシート16の全体、あるいはボタン部16aの下部の一部を開口してキーシート16の全体に配置されている。 そして、絶縁カバー層15は、熱伝導シート14の上面のみならず外周面部をも被覆するように、熱伝導シート14の外周面部に沿って互いに接着等により固着・接合された接合部を有している。 なお、絶縁カバー層15の周縁部を裁断することで熱伝導シート14の外周面部が露出するようなものも考えられるが、絶縁被覆するのが好ましい。
    【0043】
    本実施形態では、上述のように、第3の接点部12を保持しプリント基板11に固着された絶縁保持層としての絶縁シート13が配置され、この絶縁シート13のクリック部13aでは、絶縁シート13の最下層下面の接着剤層(図示していない)により、第3の接点部12がプリント基板11の第1の接点部11a及び第2の接点部11b上に位置するように位置決め・保持され、第3の接点部12の下端部が第1の接点部11aの両側で第2の接点部11bに接触している。
    【0044】
    さらに、キーシート16は、絶縁シート13に対してプリント基板11とは反対側に配置されており、キーシート16上の複数のボタン部16aが、キートップとして操作面側筐体部材17aの対応する開口部から操作面側筐体部材17aの外表面側に露出するとともに、キーシート16の下面側の各当接部16dが、対応するボタン部16aの直下で絶縁シート13の対応する各クリック部13aに当接している。
    【0045】
    なお、図5に示すように、プリント基板11の上面側、すなわちキーシート16側の面には、数字や文字を入力するための操作キー等の複数のボタン部16aを下側筐体17の内部側から照光するための複数の発光部材、例えばLED(Light Emitting Diode)18が装着されており、プリント基板11の下面側にはパワーアンプ等の発熱部品19と図示しない多数の電子部品が実装されている。
    【0046】
    プリント基板11には、電子機器1における通信及び入出力の制御を行なうための制御回路を構成するために図示しない多数の電子部品が実装され、そのプリント基板11が下側筐体17内に収納されることから、電子機器1の動作中には、プリント基板11上のパワーアンプ等の発熱部品19が発熱する。 そして、その発熱により、下側筐体17内の温度が上昇し、発熱部品19とその近傍の部材の温度が上昇する。
    【0047】
    この状態においては、プリント基板11上で発生した熱が熱伝導シート14によって熱伝導シート14の面方向(広がり方向)に拡散される。 すなわち、熱伝導シート14がキーシート16の粘弾性シート16bに沿って設けられているので、面方向に十分な熱伝導がなされ、キー入力側の操作面側筐体部材17aおよびボタン部16aの均熱効果が高められる。 その結果、電子機器1内の発熱部品19の近傍の操作面側筐体部材17aやボタン部16aの局所的な温度上昇が確実に防止される。
    【0048】
    また、特許文献1に記載したような従来の押圧式スイッチでは、基板に接触している熱伝導シートが導電性被膜およびキーシートに覆われていて外気から遠い位置にあるため、発熱部品19から発生した熱を放散でき難くなり、放熱効率が低くなっているが、本実施形態の押圧式スイッチ10では、熱伝導シート14がキーシート16にあって外気に近い位置に設けられているので、放熱効率が高くなっている。
    【0049】
    熱伝導シート14がグラファイトで形成される場合、そのグラファイトシートの面方向への熱伝導率は700(W/(m・K))以上と高い値であるので、大きな放熱効果が得られる。 また、100マイクロメートル以下の層厚に薄くすることができるので、キーシート16の厚みをより薄くすることができ、電子機器1をより薄型化することができる押圧式スイッチ10を構成することができる。
    【0050】
    図6は、本実施形態の電子機器における発熱部品19の位置や発熱量等を基に、操作面側筐体17aにおける温度分布を計算により求めた一実施例のシミュレーション結果を示しており、図6(a)は、その操作面全域の温度分布を複数の等温線で区画した温度分布図、図6(b)は、図6(a)中のX−X断面における操作面上の温度の分布を示すグラフである。
    【0051】
    このシミュレーションにおいては、操作面側筐体部材17aは厚さ0.9mmで熱伝導率0.3(W/(m・K))、プリント基板11は厚さ0.5mmでの熱伝導率35(W/(m・K))、キーシート16の粘弾性シート16bは厚さ0.5mm(突起部16cの下端からの高さ1.0mm)で熱伝導率0.2(W/(m・K))、発熱部品19は厚さ1.0mmで熱伝導率1(W/(m・K))とし、熱伝導シート14にグラファイトシートを用いた絶縁シート13は厚さ0.1mmで熱伝導率(面方向)700(W/(m・K))とした。 また、絶縁シート13の範囲は複数のボタン部16aの設置範囲をカバーするが、プリント基板11の全域を覆うものではない。
    【0052】
    この場合、一実施例の電子機器1においては、操作面側筐体17aの温度は、図6(a)に示すようにグラファイトシートを用いた絶縁シート13の設置範囲で均熱化され、複数のボタン部16aの設置範囲でほぼ一定温度範囲に収まっている。 また、図6(b)のグラフは、発熱の影響を受け難い筐体周縁部(同図中のグラフの左右両端)の温度に対して、操作面各部の温度上昇は数度の範囲内であることを示している。
    【0053】
    一方、図7は上記一実施例の構成から熱伝導シート14をボタン部16aのみの大きさに限定した場合の比較例の電子機器における筐体操作面上の温度分布を計算により求めたシミュレーション結果を示しており、同図(a)はその操作面全域の温度分布を複数の等温線で区画した温度分布図、同図(b)は図7(a)中のX−X断面における操作面上の温度の分布を示すグラフである。
    【0054】
    この場合、比較例の電子機器においては、筐体操作面の温度は、図7(a)に示すように発熱部品の近傍ほど顕著に高くなっており、均熱化されていないことがわかる。 また、図7(b)のグラフから、発熱の影響を受け難い筐体周縁部(同図中のグラフの左右両端)の温度に対して、操作面各部の温度上昇は発熱部品の近傍では上記一実施例の場合の温度上昇値の倍程度となっており、局部的な温度上昇が見られる。
    【0055】
    これら図6に示す本実施形態の一例のシミュレーション結果と図7に示す比較例のシミュレーション結果から明らかなように、本実施形態の電子機器1においては、キーシート16の面方向における均熱効果を高めて、発熱部品19近傍での局所的な筐体及びボタン部の温度上昇を有効に防止することができる。
    【0056】
    また、プリント基板11に実装されたLED18の発光によりキーシート16のボタン部16aを照光する場合に、粘弾性シート16bとボタン部16aの接合部分で熱伝導シート14の一部または全部が開口していることから、ボタン部16aを照光することができる。 また、熱伝導シート14の開口を文字形状にして、ボタン部16aを照光することができる。
    【0057】
    さらに、本実施形態においては、絶縁カバー層15あるいは粘弾性シート16bを接点部(図示していない)で切り欠き熱伝導シート14を露出させ、導電性の接続層や金属バネ、金属ネジ等を介してプリント基板11のグランドパターンに電気的に接続することができる。 導電性の熱伝導シート14がプリント基板11のグランドパターンに電気的に接続されることにより、プリント基板11の各接点部への静電気の侵入を防ぎ、静電気による電子機器1の誤動作等を防止することができる。
    【0058】
    なお、キーシート16が、粘弾性シート16bに沿って設けられた熱伝導シート14を有し、キーシート16の装着と同時に熱伝導シート14を積層することができるので、電子機器の組立工数が増加することはない。
    【0059】
    なお、グラファイトには厚さを薄くしても熱伝導率を高める技術が知られている。 従って、熱伝導シートをグラファイトを用いて形成すると、薄くてかつ熱伝導率が高い熱伝導シートを形成することができる。
    【0060】
    例えば、図8は、熱伝導シートの熱伝導率の所定値について示した図である。 図8の表に示すように、熱伝導シートがグラファイトで形成される場合、グラファイトの厚さ(Z方向)が100μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は700(W/(m・K))(X−Y方向)に設定される。 また、グラファイトの厚さ(Z方向)が70μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は850(W/(m・K))(X−Y方向)に設定され、グラファイトの厚さ(Z方向)が25μmであったとき、熱伝導シートの面方向への熱伝導率は1600(W/(m・K))(X−Y方向)に設定される。
    【0051】
    また、熱伝導シートがアルミで形成される場合、例えば、アルミで形成される熱伝導シートの面方向への熱伝導率は237(W/(m・K))(X−Y方向)に設定される。 熱伝導シートが銅で形成される場合、例えば、銅で形成される熱伝導シートの面方向への熱伝導率は398(W/(m・K))(X−Y方向)に設定される。
    【0062】
    (第2の実施の形態)
    図9は、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の外観斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の外観は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の外観と同様である。 なお、以下の説明においては、第1の実施の形態と同一の構成要素については第1の実施の形態の対応する構成要素と同一符号を用いて簡単に説明し、上述の第1の実施形態との相違点について詳細に説明する。
    【0063】
    図10に示すように、下側筐体17内には、通信及び入出力制御を行なうプリント基板11と、押圧式スイッチのキーシート26とが装備されている。 図11(a)(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の押圧式スイッチのキーシートに関わる斜視図と分解斜視図である。 図11(a)は、キーシート26を示すものであり、図11(b)は、ボタン部26a−1、ボタン部26a−2、ボタン部26a−3等によって構成される複数のボタン部26aと、粘弾性シート26bと、熱伝導シート24とを備えるキーシート26に関わる分解斜視図である。 図12(a)および図12(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る押圧式スイッチを示す図である。
    【0064】
    図12(a)に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る押圧式スイッチ20は、プリント基板11上の第1の接点部11aと、その第1の接点部11aに導通可能な第2の接点部11bとが、プリント基板11上を覆う絶縁シート13の可撓性のクリック部13aの内方に配置され、クリック部13aが押圧されたとき、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの導通の有無が切り替わるようになっている。 また、プリント基板11及び押圧式スイッチ20は電子機器1の下側筐体17内に収納されており、下側筐体17内には更にキーシート26が収納されている。
    【0065】
    具体的には、図12(a)に示すように、第1の接点部11aはプリント基板11の板面方向において第2の接点部11bの間に位置しており、第1の接点部11aの両側に位置する第2の接点部11bに第3の接点部12が接触している。
    【0066】
    ここで、第3の接点部12は、絶縁シート13のクリック部13aを介してキーシート26のボタン部26aからの押圧力を受けたとき、可動接点としての中央部12cを第1の接点部11aに接近させるように撓んで、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を導通状態とすることができる。 また、第3の接点部12は、キーシート26のボタン部26aからの押圧力が解除されたとき、その中央部を第1の接点部11aから離間させる復帰位置に復帰し、第1の接点部11a及び第2の接点部11bの間を非導通状態とすることができる。
    【0067】
    より具体的には、図12(a)に示すように、絶縁シート13は、第3の接点部12を固着・保持するとともにプリント基板11に固着された絶縁保持層となっている 【0068】
    一方、キーシート26は、ボタン部26aの配置面の反対側の面に粘弾性シート26bに沿って設けられている熱伝導シート24及び絶縁カバー層25を有している。 ここで、熱伝導シート24は、その熱伝導率がキーシート26の絶縁カバー層25やプリント基板11の熱伝導率よりも大きい層で、例えばグラファイトシートや熱伝導性に優れた金属シート等で構成されている。 また、絶縁カバー層25は絶縁性の樹脂材料、例えばPETシートからなる。
    【0069】
    ここで、熱伝導シート24及び絶縁カバー層25は、キーシート26の当接部26dの輪郭形状に沿って例えば円形に開口しており、図12(a)に示すように、熱伝導シート24の開口内周部と絶縁カバー層25とが重合している。
    【0070】
    これら絶縁カバー層25及び熱伝導シート24と粘弾性シート26bの3層は、図12(a)に示すような態様で、互いに積層され一体的に固着されてキーシート26となる。
    【0071】
    また、熱伝導シート24の一部は、例えば図11(a)に示すように、ボタン部26a−1とボタン部26a−2とボタン部26a−1とボタン部26a−2を結ぶ直線上にないボタン部26a−3とで囲まれる領域31の中にある。 その他の構成については、上述した第1の実施の形態と同一である。
    【0072】
    本発明の第2の実施の形態においても、プリント基板11上で発生した熱が熱伝導シート24によって熱伝導シート24の面方向(広がり方向)に拡散される。 すなわち、熱伝導シート24がキーシート16の粘弾性シート16bに沿って設けられているので、面方向に十分な熱伝導がなされ、キー入力側の筐体およびボタン部16aの局所的な温度上昇を抑制することができる。 その結果、上述の第1の実施形態と同様な効果が得られる。
    【0073】
    さらに、プリント基板11に実装されたLEDの発光によりキーシート26のボタン部26aを照光する場合に、当接部26dの接合部分で熱伝導シート24が開口していることから、ボタン部26aを照光することができる。
    【0074】
    また、第2の実施の形態においては、絶縁カバー層25の全体又は一部は、白色又は光沢色などの可視光の反射性を有することにより、キーシート26全体のボタン部26aを明るさや色のむらのないように照光することができる。
    【0075】
    あるいは、図12(b)に示すように、絶縁カバー層25を透明にし、白色又は光沢色などの可視光の反射性を有する絶縁カバー層27を絶縁カバー層25に重ねてもよい。 なお、絶縁カバー層27は、キーシート26の当接部26dの輪郭形状に沿って例えば円形に開口しており、全体又は一部で白色又は光沢色である絶縁性の樹脂材料、例えばPETシートからなる。
    【0076】
    この構成で絶縁カバー層27の開口は、透明の絶縁カバー層25の開口よりは大きく、熱伝導シート24の開口より同等又は小さくすることにより、図12(a)に示した構成に比べ、プリント基板11に実装されたLED18の光をキーシート26のボタン部26aに通す面積が増加するため、ボタン部26aをさらに明るく照光することができる。
    【0077】
    さらに、第2の実施の形態においても、絶縁カバー層25あるいは粘弾性シート26bを接点部(図示していない)で切り欠き熱伝導シート24を露出させ、導電性の接続層や金属バネ、金属ネジ等を介してプリント基板11のグランドパターンに電気的に接続することができる。 導電性の熱伝導シート24がプリント基板11のグランドパターンに電気的に接続されることにより、プリント基板11の各接点部への静電気の侵入を防ぎ、静電気による電子機器1の誤動作等を防止することができる。
    【0078】
    また、第2の実施の形態においても、キーシート26が、粘弾性シート26bに沿って設けられている熱伝導シート24を有し、キーシート26の装着と同時に熱伝導シート24を積層することができるので、電子機器の組立工数が増加することはない。
    【産業上の利用可能性】
    【0079】
    以上説明したように、本発明は、熱伝導シートをキーシートの粘弾性シートに沿って設けられていることでキーシートの面方向へ広範囲に熱を拡散させることができ、その大きな均熱効果により電子機器内の発熱部品の近傍の筐体やボタン部などの局所的な温度上昇を確実に抑えることができるという効果を奏するものであり、人体が直接触れることが多い携帯用に好適な小型・薄型の電子機器全般に有用である。
    【符号の説明】
    【0080】
    1 電子機器 10、20 押圧式スイッチ 11 プリント基板 11a 第1の接点部 11b 第2の接点部 12 第3の接点部 12c 中央部 13 絶縁シート 13a クリック部 14、24 熱伝導シート 15、25、27 絶縁カバー層 16、26 キーシート 16a、26a ボタン部 16b、26b 粘弾性シート 16c 突起部 16d、26d 当接部 17 下側筐体 17a 操作面側筐体部材 18 LED
    19 発熱部品 30、31 領域

    QQ群二维码
    意见反馈