Film for membrane switch and its manufacture

申请号 JP13226997 申请日 1997-05-22 公开(公告)号 JPH10321076A 公开(公告)日 1998-12-04
申请人 Teijin Ltd; 帝人株式会社; 发明人 FURUYA KOJI; WATANABE MASAYA; KAWAI SHINICHI; SUZUKI KENJI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To enhance permanent deformation resistance in use under a high temperature by using a biaxially oriented film whose main component is polyethylene-2,6-naphthalene dicarboxylate which has an endothermic peak in the specified temperature range as determined with a differential scanning calorimeter, and has an endothermic energy of the specified value or more.
SOLUTION: A film whose main component is polyethylene-2,6-naphthalene dicarboxylate having a glass transition point higher than that of polyethylene terephthalate is used, and a special heat treatment is conducted. Specifically, a biaxially oriented film whose main component is polyethylene-2,6-naphthalene dicarboxylate which has an endothermic peak in the range of 110-160°C as determined with a differential scanning calorimeter(DSC) with an endothermic energy of 0.4 mJ/mg or more is used and heat-treated at 150°C for 30 minutes, and heat contraction ratio in the longitudinal and lateral directions is controlled to 1.2% or less.
COPYRIGHT: (C)1998,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分としてなる二軸延伸フィルムであって、示差走査型熱量計(DSC)による測定において110〜160℃の温度範囲内に吸熱ピークがあり、その吸熱エネルギー量が0.4mJ/mg以上であることを特徴とするメンブレンスイッチ用フィルム。
  • 【請求項2】 二軸延伸フィルムがポリエチレン−2,
    6−ナフタレンジカルボキシレートを80mol%以上含む共重合体および/または混合体から成ることを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスイッチ用フィルム。
  • 【請求項3】 フィルムのヤング率が縦方向(MD)および横方向(TD)ともに400kg/mm 2以上70
    0kg/mm 2以下であることを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスイッチ用フィルム。
  • 【請求項4】 フィルムを構成するポリマーの固有粘度が0.47dl/g以上0.90dl/g以下であり、
    密度が1.345g/cm 3以上1.370g/cm 3以下であり、厚み方向の屈折率が1.490以上1.53
    0以下であることを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスイッチ用フィルム。
  • 【請求項5】 フィルムを150℃で30分間加熱処理したときの縦方向、横方向の熱収縮率が1.2%以下であることを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスイッチ用フィルム。
  • 【請求項6】 フィルムの表面粗さ(Ra)が5nm以上であり、厚みが12μm以上350μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスイッチ用フィルム。
  • 【請求項7】 フィルムがフィルムのガラス転移点(T
    g)以下(Tg−40)℃以上の温度で熱処理され、該熱処理がフィルムの製膜後ロールに巻き取られた後からメンブレンスイッチの製造工程における任意の工程において行われることを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスイッチ用フィルムの製造方法。
  • 【請求項8】 フィルムがメンブレンスイッチの製造工程の加熱最終工程後フィルムTg以下(Tg−40)℃
    以上の温度で熱処理される前に、前熱処理として(フィルムTg+5)℃以上(Tg+40)℃以下の温度から(Tg−40)℃以上(Tg−5)℃以下の温度まで−
    3℃/hr以上−25℃/hr以下の冷却速度で徐冷処理されることを特徴とする請求項1に記載のメンブレンスイッチ用フィルムの製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、メンブレンスイッチ用フィルムに関し、更に詳しくは、ポリエチレン−
    2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分としてなる高温下での使用における耐永久変形性に優れたメンブレンスイッチ用フイルムに関する。

    【0002】

    【従来の技術】メンブレンスイッチとはスペーサーを介在した2つの基材フィルムの対向する面に各々相対する接点(電極)を配置してなるものであり、押下することで、導電、絶縁のスイッチ作用が容易にできるものである。

    【0003】近年、電卓、パーソナルコンピューター等のキーボードスイッチ、テレビ、VTR等の各種リモートコントロールのパネルスイッチ等としてメンブレンスイッチが多用されている。

    【0004】このメンブレンスイッチは押下の繰り返しによりスイッチ作用を行うものであるため、その基材フィルムには可とう性つまり耐永久変形性が要求される。
    従来、メンブレンスイッチの基材フィルムとして、その耐永久変形性、電極との密着性、印刷との接着性等の理由からポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と省略する場合がある)フィルムが一般的に多用されてきた。

    【0005】しかしながら、最近のカーオーディオ、カーエアコンのタッチパネル化、あるいはカーナビゲーションシステム等の普及による車内でのリモートコントロールスイッチの使用により、高温下での耐永久変形性がメンブレンスイッチの基材フィルムに要求されるようになってきた。

    【0006】この基材フィルムに従来のようにPETフィルムを使用すると、夏季の車内の温度(約80℃)がPETのガラス転移点を超えることが有り、永久変形量が大きくなるためにスイッチの作動不良が発生する。

    【0007】この改善策として特公平4−75610に見られるように基材フィルムをPETフィルムよりガラス転移点の高いポリエチレンナフタレンジカルボキシレート(以下「PEN」と省略する場合がある)フィルムにすることが提案されている。 しかしながら、最近のP
    L法施行の影響から耐永久変形性の規格の見直しが一部で行われるようになり、PENフィルムでも耐永久変形性が不足することが一部で指摘されている。

    【0008】

    【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述の従来技術の問題点を解決し、ポリエチレン−2,6−
    ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分としてなる高温下での使用における耐永久変形性に優れたメンブレンスイッチ用フイルムを提供することにある。

    【0009】

    【課題を解決するための手段】本発明者はメンブレンスイッチの基材フィルムに、PETよりもガラス転移点の高いポリエチレン−2、6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするフィルムを用いさらに特別な熱処理を行うことにより、高温下での耐永久変形性がPE
    Tフィルムおよび従来の未処理のPENフィルムに対して非常に優れたものになることを知見し、本発明に至った。

    【0010】すなわち、本発明はポリエチレン−2,6
    −ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分としてなる二軸延伸フィルムであって、示差走査型熱量計(DS
    C)による測定において110〜160℃の温度範囲内に吸熱ピークがあり、その吸熱エネルギー量が0.4m
    J/mg以上であることを特徴とするメンブレンスイッチ用フィルムにより達成される。 以下、本発明を詳細に説明する。

    【0011】[ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート]本発明のメンブレンスイッチ用フイルムはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分としてなるものであるが、このポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートにはエチレン−2,6−ナフタレレンジカルボキシレートを繰返し単位とするホモポリマー或いは繰り返し単位の少なくとも80mol%がエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであるコポリマーが好ましく用いられる。 エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが繰り返し単位の80mol%以上であるとポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム本来の特性を極端に失うことがなく、高温下の使用での耐永久変形性を確保できる。

    【0012】コポリマーを用いる場合、コポリマーを構成する共重合成分としては、分子内に2つのエステル形成性官能基を有する化合物を用いることができ、例えばシュウ酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4
    −シクロヘキサンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,7
    −ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸;p−オキシ安息香酸、p
    −オキシエトキシ安息香酸等の如きオキシカルボン酸;
    或いはプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコール等の如き2価アルコール類を用いることができる。

    【0013】また、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端の酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってもよく、或いは例えば極く少量のグリセリン、ペンタエリスリトール等の如き3以上のエステル形成性官能基を有する化合物で実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共重合したものであってもよい。

    【0014】[吸熱エネルギー量]本発明のフィルムは示差熱走査型熱量計(以下、DSCと略することがある)により二軸配向フィルムを熱分析した時、110〜
    160℃の範囲内に吸熱ピークが観察され、この吸熱ピークの大きさを表している吸熱エネルギー量が0.4m
    J/mg以上である。 この吸熱ピークは結晶融解熱を示すピークとは異なるピークである。 吸熱ピークが現れる温度、および吸熱エネルギー量が上記範囲にあると高温下での永久変形量が非常に小さくなるため、高温下の使用でもメンブレンスイッチは正常に作動する。

    【0015】[熱処理]本発明の熱処理は該ポリエステルフィルムのガラス転移点(Tg)以下(Tg−40)
    ℃以上の温度で行うことが好ましい。 熱処理温度が(T
    g−40)℃より低いと高温下での耐永久変形性を発現させるために非常に長い熱処理時間を要し、生産効率が悪くなるため好ましくない。 熱処理温度がフィルムのT
    gを超えると、逆に耐永久変形性を悪化させることとなるためメンブレンスイッチ用フィルムとして好ましくないものとなる。 なお、該熱処理の処理時間は生産効率の点から1時間以上1000時間以下であることが好ましい。

    【0016】また、熱処理はフィルムの製膜後ロールに巻き取られた後からメンブレンスイッチの製造工程における任意の工程において行われればよい。 ただし、該熱処理後にその処理温度より高温にフィルムが晒されるとその熱処理の効果はかなり失われてしまうため、熱処理後はその処理温度以下の温度範囲で取り扱うことが必要である。

    【0017】だだし、メンブレンスイッチの製造工程において印刷後の乾燥工程等の中で、やむを得ずフィルムのTgを超えるような温度での加熱処理がある場合は、
    その製造工程後、好ましくは製造工程の最終段階において、フィルムTg以下(Tg−40)℃以上の温度で熱処理される前に、前熱処理として(フィルムTg+5)
    ℃以上(Tg+40)℃以下の温度から(Tg−40)
    ℃以上(Tg−5)℃以下の温度まで−3℃/hr以上−25℃/hr以下の冷却速度で徐冷処理することが好ましい。

    【0018】熱処理の方法としてはフィルム製膜後フィルムそのものをロールに巻き取った状態のまま、あるいは枚葉の状態でオーブン中で熱処理する方法、フィルム上に電極、あるいはスペーサーを配置した後ロールに巻き取った状態あるいは枚葉の状態でオーブン中で熱処理する方法等があるが、これらの方法に特に限定されることはない。

    【0019】[フイルム厚み]本発明のメンブレンスイッチ用フイルムの厚みは12〜350μmの範囲であり、フィルムの強度および可とう性の点からさらに好ましくは25〜250μm、とくに好ましくは50〜20
    0μmである。

    【0020】[ヤング率]本発明のメンブレンスイッチ用フィルムは直交する2方向、例えば長手方向(MD)
    と幅方向(TD)のヤング率がともに400kg/mm
    2以上700kg/mm 2以下であることが好ましい。 ヤング率が400kg/mm 2未満であるとフィルムの剛性が不足するため好ましくない。

    【0021】また、ヤング率が700kg/mm 2を超えるとフイルムの裁断時にデラミが発生したり切粉が多く発生し易くなる。 両方向のヤング率の差は特に限定されないが、150kg/mm 2以下であることが好ましい。

    【0022】[固有粘度]本発明のメンブレンスイッチ用フィルムは、フィルムを構成するポリマーの固有粘度が0.47dl/g以上0.90dl/g以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.51dl/g以上0.80dl/g以下である。 固有粘度が0.47dl
    /g未満であるとフィルムが脆くなり、フィルムを裁断した後の端面にバリが発生し、ときにはバリの一部分から亀裂が入り、工程を搬送している途中でフィルムが切断する等の異常が発生するため好ましくない。 また、フィルムの固有粘度が0.90dl/gを超えると、PE
    Nポリマーの固有粘度をかなり高くする必要があり、通常の合成手法では重合に長時間を要し生産性が悪くなるため好ましくない。 また特別な重合方法(固相重合等)
    を行うためには専用の設備が必要となるため生産コストが高くなるため好ましくない。

    【0023】[厚み方向の屈折率]本発明のメンブレンスイッチ用フィルムは厚み方向の屈折率が1.490以上1.530以下であり、さらに好ましくは1.495
    以上1.520以下である。 厚み方向の屈折率が1.4
    90未満であるとフィルムがデラミを起こし易く(折り目デラミ白化率が高い値を示す)、引っ掻きによる傷が凹凸(ギザギザ)を有する傷となるため、白く目立つようになり好ましくない。 また、厚み方向の屈折率が1.
    530を超えるとフィルムの厚み斑が大きくなり、フィルム表面にシワ(フルート)が発生し易くなるため好ましくない。

    【0024】[密度]本発明のメンブレンスイッチ用フイルムは密度が1.345g/cm 3以上1.370g
    /cm 3以下であり、より好ましくは1.350g/c
    3以上1.365g/cm 3以下である。 密度が1.3
    45g/cm 3未満であるとメンブレンスイッチとしたときに繰り返し押下することによりフィルムの変形した後の回復が小さくなり、作動不良が発生するため好ましくない。 また、1.370g/cm 3を超えると結晶性が高くなり過ぎてフィルムの靭性が失われるためメンブレンスイッチ用としては好ましくないフィルムとなる。

    【0025】[表面粗さ]本発明のメンブレンスイッチ用フイルムは表面粗さ(Ra)が5nm以上であり、より好ましくは7nm以上である。 表面粗さ(Ra)が5
    nm未満であるとフィルムの滑り性が悪く、フィルムをロールに巻き取ったとき、フィルム同士のブロッキングの発生、フィルム走行時の搬送ロール等でのスクラッチの発生等、フィルムの欠点が多発するため好ましくない。 また、表面粗さの上限はフィルムの設計上1000
    nm以下であることが好ましい。

    【0026】[熱収縮率]本発明のメンブレンスイッチ用フイルムは150℃の温度で30分間加熱処理したときの熱収縮率が縦方向・横方向ともに1.2%以下であり、より好ましくは縦、横方向ともに1.0%以下である。 150℃の温度で30分間加熱処理したときの熱収縮率が1.2%を超えると寸法変化が大きくなり、スイッチ作動の精度が悪くなる他、フィルムの平面性が悪くなるため好ましくない。

    【0027】また、縦方向と横方向の両方向の熱収縮率の差は、平面性の悪化を防止するため0.6%以下であることが好ましい。

    【0028】[添加剤]本発明のメンブレンスイッチ用フィルムには添加剤、例えば安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、および難燃剤を含有させることができる。

    【0029】フイルムに滑り性を付与するためには不活性微粒子を少割合含有させることが好ましい。 かかる不活性微粒子としては、例えば球状シリカ、多孔質シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、二酸化チタン、カオリンクレー、硫酸バリウム、ゼオライトの如き無機粒子、
    或いはシリコン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子の如き有機粒子を挙げることができる。 無機粒子は粒径が均一であること等の理由で天然品よりも、合成品であることが好ましく、あらゆる結晶形態、硬度、比重、色の無機粒子を使用することができる。 フィルムに添加する不活性微粒子は上記に例示した中から選ばれた単一成分でもよく、二成分あるいは三成分以上を含む多成分でもよい。

    【0030】上記の不活性微粒子の平均粒径は0.05
    〜5.0μmの範囲であることが好ましく、0.1〜
    3.0μmであることがさらに好ましい。 また、不活性微粒子の含有量は0.001〜1.0重量%であることが好ましく、0.03〜0.5重量%であることがさらに好ましい。

    【0031】不活性微粒子の添加時期は、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを製膜する迄の段階であれば特に制限はなく、例えば重合段階で添加してもよく、また製膜の際に添加してもよい。

    【0032】[製造方法]本発明のメンブレンスイッチ用フィルムは通常の方法により得た未延伸フィルムを二軸延伸し熱固定することで製造することができ、また熱固定後に弛緩処理を行うことによってさらに有利に製造することができる。

    【0033】例えば、未延伸フィルムをTg〜(Tg+
    60)℃の温度で縦方向、横方向に倍率2.0〜5.0
    倍で二軸延伸し、(Tg+50)℃〜(Tg+140)
    ℃で1〜100秒間熱固定する。 延伸は一般に用いられる方法例えばロールによる方法やステンターを用いる方法で行うことができ、縦方向、横方向を同時に延伸してもよく、また縦方向、横方向に逐次延伸してもよい。

    【0034】さらに、弛緩処理を行う場合には熱固定後ロールに巻き取るまでの間で弛緩処理を行う。 弛緩処理方法としては熱固定ゾーンの途中でフィルムの両端部を切り離しフィルムのTg以上融解温度以下の温度条件下においてフィルムの供給速度に対して引き取り速度を減速させる方法、2つの速度の異なる搬送ロールの間においてIRヒーターで加熱する方法、加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ加熱搬送ロール後の搬送ロールの速度を減速させる方法、熱固定後熱風を吹き出すノズルの上にフィルムを搬送させながら、供給の速度よりも引き取りの速度を減速する方法、あるいは製膜機で巻き取った後、Tg以下での熱処理を行うまでの間に加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ搬送ロールの速度を減速する方法、あるいは加熱オーブン内やIRヒーターによる加熱ゾーンを搬送させながら加熱ゾーン後のロール速度を加熱ゾーン前のロール速度より減速する方法があり、
    いずれの方法を用いても良い。 いずれにしても供給側の速度に対して引き取り側の速度の減速率を0.1〜10
    %にして弛緩処理を行う。

    【0035】このようにして得られたフィルムは、メンブレンスイッチの製造工程の加熱最終工程後フィルムT
    g以下(Tg−40)℃以上の温度で熱処理される前に前熱処理されることが好ましい。

    【0036】前熱処理として好ましくは(フィルムTg
    +5)℃以上(Tg+40)℃以下の温度から(Tg−
    40)℃以上(Tg−5)℃以下の温度まで−3℃/h
    r以上−25℃/hr以下の冷却速度で徐冷処理される。

    【0037】得られたフィルムはフィルムのガラス転移点(Tg)以下(Tg−40)℃以上の温度で熱処理される。 該熱処理はフィルムの製膜後ロールに巻き取られた後からメンブレンスイッチの製造工程における任意の工程において行われる。

    【0038】

    【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。

    【0039】(1)エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの純度測定 フィルムサンプルを測定溶媒(CDCl 3 :CF 3 COO
    D=1:1)に溶解後、 1 H−NMR測定を行い、得られた各シグナルの積分比をもって算出する。

    【0040】(2)ガラス転移点(Tg) セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置DSC
    220を用い、下記条件にて測定する。 昇温速度:20℃/min サンプル量:10mg 窒素気流中にて測定 一度サンプルを上記条件にて加熱融解した後急冷し、再度上記条件で測定する。

    【0041】(3)吸熱ピーク温度、吸熱エネルギー量 セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置DSC
    220を用い、下記条件にて測定する。 昇温速度:20℃/min サンプル量:10mg 窒素気流中にて測定

    【0042】フィルムサンプルを上記条件にて加熱融解した際の吸熱挙動を1次微分、2次微分で解析してピークを示す温度を決定する。 この時、吸熱エネルギーを対応するDSCチャート上の吸熱側面積から求める。 この面積は昇温することによりベースラインから吸熱側にずれ、さらに昇温を続けて吸熱ピークを示した後、ベースライン位置にもどるまでの吸熱側の面積であり、吸熱開始温度位置から終了温度位置までを直線で結び面積(A)を求める。 同じDSCの測定条件、サンプル量でIn(インジウム)を測定し、この面積(B)を28.
    5mJ/mgとして次の計算式により求める。

    【0043】

    【数1】吸熱エネルギー量=(A/B)×28.5(m
    J/mg)

    【0044】(4)ヤング率 フィルムを試料巾10mm、長さ150mmに切り、チャック間100mmにして引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分でインストロンタイプの万能引張試験装置で引張る。 得られた荷重−伸び曲線立上部の接線よりヤング率を算出する。

    【0045】(5)厚み方向の屈折率 アツベの屈折率計((株)アタゴ製)を使用して、25
    ℃にてNa−D線を用いてフィルム厚み方向の屈折率を求める。 フィルムサンプルは表面、裏面の両面について測定し、その平均値を厚み方向の屈折率(nz)とする。

    【0046】(6)熱収縮率 150℃に温度設定されたオーブンの中に無緊張状態で30分間フィルムを保持し、加熱処理前後での寸法変化を熱収縮率として下式により算出する。

    【0047】

    【数2】 熱収縮率(%)=((L 0 −L)/L 0 )×100 L0:熱処理前の標点間距離 L :熱処理後の漂点間距離

    【0048】(7)固有粘度 o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した値(単位:dl/g)である。

    【0049】(8)折り目デラミ白化率 80mm×80mmの大きさにフィルムを切り出し、手で軽く2つに折ながらプレス機により所定の圧P1
    (kg/cm 2 )で20秒間プレスする。 プレス後2つ折のフィルムを手でもとの状態に戻し、圧力P2(kg
    /cm 2 )で20秒間プレスする。 その後サンプルを取り出し,折り目に現れた白化部分の長さ(mm)を測定して合計する。

    【0050】それぞれ新しいフィルムサンプルを使用し、プレス圧P1=4.2,6.3,8.4,10.5(kg/c
    2 )で折った後、プレス圧P2=1.26(kg/cm 2
    で折り目を開いて測定を繰り返す。

    【0051】各プレス圧における白化部分の長さ(mm)
    の合計の平均値が、折り目の全長(80mm)に占める割合をもって、折り目デラミ白化率とし、この値をフィルムのデラミネーション(層間剥離)の起こり易さを示す指標として使用する。

    【0052】

    【数3】折り目デラミ白化率(%)=(白化部分の長さの総計(mm)/(80mm×4))×100

    【0053】(9)密度 硝酸カルシウム水溶液を溶媒として用いた密度勾配間中、25℃で浮沈法により測定した値である。

    【0054】(10)表面粗さ(Ra) フィルムの表裏両面を表面粗さ計(東京精密(株)サーフコム111A)で測定し平均値を算出して表面粗さとする。

    【0055】(11)メンブレンスイッチの作動性評価 メンブレンスイッチに80℃下で5分間、一定圧力を加える。 圧力を維持した状態のまま温度を25℃まで下げた後、圧力を除去する。 各々のサンプルについてn=5
    で評価し、圧力を除去した後、スイッチ部が離れてスイッチOFFの状態となったサンプル数から確率を算出((スイッチ部が離れたサンプル数/5)×100%)
    し、3段階で評価した。 ○:良好(確率100%) △:使用可能(確率80%以上) ×:使用不可能(確率60%以下)

    【0056】[実施例1]平均粒径0.3μmのシリカ粒子を0.2重量%含有し、固有粘度0.60であるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートをダイスリットより溶融押出し、キャステイングドラム上で冷却固化させて未延伸フイルムを作成した。

    【0057】この未延伸フイルムを、縦方向(機械軸方向)に3.6倍、横方向(幅方向)に3.8倍逐次二軸延伸して熱固定し、厚みが75μmの二軸配向フイルムを得、ロールに巻取った。 この後、IRヒーターによる加熱ゾーンを搬送させながら加熱ゾーン後のロール速度を加熱ゾーン前のロール速度より1%減速して弛緩処理を行った。

    【0058】得られた二軸配向フィルムを150℃において30分間保持した際の熱収縮率は縦方向が0.05
    %、横方向が0.02%であり、フィルムの固有粘度は0.55dl/g、密度は1.359g/cm 3 、厚み方向の屈折率は1.498、縦方向、横方向のヤング率はともに640kg/mm 2であった。

    【0059】得られた二軸配向フイルムから幅1000
    mm、長さ2000mのフイルムをサンプリングし、これを直径165mmの巻芯に巻取ってサンプルロールとした。 この状態で、115℃まで24時間かけて昇温し、24時間保持後、24時間かけて室温まで降温する熱処理を行った。 熱処理後のフィルムには、結晶融解熱を示すピークとは別に吸熱ピークがDSC測定で観測され、そのピーク温度は135℃であり、吸熱エネルギー量は1.0mJ/mgであった。

    【0060】このPEN基材フィルム上に導電回路として銀ペースト、印刷接点部(電極)としてカーボンペーストをスクリーン印刷し、100℃で20分間乾燥を行い、スイッチ用シートを作成した後、このシート2枚を貼り合わせるための接着剤およびメンブレンスイッチのスペーサーとしてフィルム状スチレン−ブタジエン樹脂を用いた。

    【0061】二軸配向フイルムの物性および評価、メンブレンスイッチの作動性の評価結果を表1に示す。

    【0062】

    【表1】

    【0063】[実施例2]実施例1において製膜後ロールに巻き取った後の熱処理で115℃で8時間保持した以外は実施例1と同様に製膜して、メンブレンスイッチを得た。 評価結果を表1に示す。

    【0064】[実施例3]実施例1において製膜後ロールに巻き取った後の熱処理で95℃において48時間保持した以外は実施例1と同様に製膜してメンブレンスイッチを得た。 評価結果を表1に示す。

    【0065】[実施例4]実施例1においてフィルム上に電極およびスペーサーを設置して枚葉の状態で150
    ℃で5分間乾燥処理を行い、そのまま乾燥温度から11
    5℃まで前熱処理として−15℃/hrの冷却速度で徐冷処理を行った後、さらに115℃において24時間熱処理を行った。 他の条件を実施例1と同様にしてメンブレンスイッチを得た。 評価結果を表1に示す。

    【0066】[実施例5]実施例1において固有粘度0.62の共重合ポリエステル(エチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位90mol%、ビス(4
    −(2−エトキシ)フェニル)スルホン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位(表中BPS−EOと省略する)10mol%からなるポリエステル)を原料とした以外は実施例1と同様に製膜を行いメンブレンスイッチを得た。 評価結果を表1に示す。

    【0067】[実施例6]実施例1において固有粘度0.60の共重合ポリエステル(エチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位95mol%、エチレン−4,4'−ジフェニルジカルボキシレート単位(表中4,4'−Dと省略する)5mol%)を原料とした以外は実施例1と同様に製膜を行い、メンブレンスイッチを得た。 評価結果を表1に示す。

    【0068】[比較例1]実施例1においてフィルム製膜後、ロールに巻き取られた後からメンブレンスイッチ組立ての任意の工程において、フィルムTg以下(Tg
    −40)℃以上温度で熱処理せずにメンブレンスイッチにした。 評価結果を表1に示す。 メンブレンスイッチ用フィルムとして耐永久変形性が不満足なものとなった。

    【0069】[比較例2]実施例1において製膜後ロールに巻き取った後の熱処理で70℃において100時間保持した以外は実施例1と同様に製膜してメンブレンスイッチを得た。 評価結果を表1に示す。 メンブレンスイッチ用フィルムとして耐永久変形性が不満足なものとなった。

    【0070】[比較例3]実施例1において製膜後ロールに巻き取った後の熱処理で140℃において24時間保持た以外は実施例1と同様に製膜してメンブレンスイッチを得た。 評価結果を表1に示す。 メンブレンスイッチ用フィルムとして耐永久変形性が不満足なものとなった。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 6識別記号 FI // B29K 67:00 B29L 7:00 C08L 67:00 (72)発明者 鈴木 賢司 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人株式会社相模原研究センター内

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