【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話機、自動車電話機等の移動体通信機器、家庭用電話機、電子手帳、計測機器類、車載用スイッチ、リモコン、計算機あるいはパーソナルコンピュータのデータ入力装置やスイッチ装置等に部品として用いられる押釦スイッチ構造体に関する。 【0002】 【従来の技術】近年の携帯電話の普及に伴い、そのデザインや色調には様々なものが用いられるようになり、特にメタリック色調が好評である。 また、携帯電話の殆どが、その使用態様から、照光性(文字照光、ボタン照光)も要求される。 メタリック色調を出すには、雲母、 金属、酸化チタン等の粉体を樹脂中、塗料中、インキ中に配合することによって行われているが、いずれもメタリック色調のトーンが金属に類似したものになり難い。 メタリック色調を出すために、押釦スイッチ部材のキートップに直接金属蒸着を施すことも試みられている。 しかし、キートップ成形後に蒸着処理を施すことからバッチ式処理となる上に、蒸着膜を保護するコーティングが更に必要になるなど、コストアップに繋がる要因が多い。 また、遮光性である蒸着膜に文字等の透かし部分を形成するにはレーザ光を照射してその部分を取り除く、 いわゆるエッチング手法が用いられているため、レーザ光を照射した部分の材料が部分蒸発、燃焼又は昇華し、 エッチング時にガス発生が伴うので、ガス発生に対応する措置に更にコストを要する。 更に、導電性(10 8 Ωcm以下)を有しているものが操作部表面に存在すると、静電気印加試験において、携帯用無線機器としてパスしない(家庭用・軽工業環境機器規格:EN5008 2−1/1997)という不都合もあった。 【0003】また、無線機器において、電磁波の漏れが周辺機器に悪影響を与えることは古くから知られており、近年は人体への危険性も一部に報告されている。 E MI(磁界・電界シールド)対策のために、無線機器のケースに導電性を付与したり、回路基板又は基板上面の機構部品の一部に導電性を付与することにより対応する例もあるが、押釦スイッチ部は無防備に近い状態であった。 すなわち、無線機器のケースを金属等の導電部材にするとか、ケース内面に導電性の塗料を施すものでは、 押釦スイッチ部分はシールドされない。 押釦スイッチ部材の接点部が対向する回路基板の上面、特に対向電極以外の場所に導電部を形成するものでは、回路基板上の電極・電気部品等が邪魔になり、ごく一部分にしかシールドのための導電部が形成されないため、シールド対策としては不充分である。 携帯電話を取り巻く環境は、より周波数の高い領域を使うようになってきており、また、 アナログからデジタルへの移行も加速している。 デジタル方式一つとってもPDC(800MHz〜1.5GH z)→TDMA→CDMA・One(1.5GHz)→ CDMA・Wide band (1.5GHz以上)方式への移行が計画されており、益々電磁波シールドの必要性は高まりつつある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き従来技術の欠点を解決し、照光式でかつメタリック色調を有し、同時にEMI(磁界・電界)シールド機能を有し、ESD(静電気破壊)対策が取られている押釦スイッチ構造体を安価で容易に提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】前記の課題を達成するために、本発明は、キートップ部である複数の突起部を有する照光性の押釦スイッチ構造体において、熱可塑性透明フィルムと、その裏面側に形成された金属蒸着膜と、 熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂(以下、成形樹脂という)からなる押釦スイッチ部材とを有し、前記金属蒸着膜の内、レーザ光が照射された部分のみが、レーザ照射の熱エネルギにより酸化されて、その蒸着金属部分の光屈折率が変化することにより、透明性を付与して文字パターン表示部が形成されている。 そして、前記金属蒸着膜の全面あるいは前記金属蒸着膜のキートップ部天面に相当する部分に透光性着色層を設けてあることが好ましい。 熱可塑性透明フィルムの裏面側全面に金属蒸着膜を設けた蒸着フィルムと、別の熱可塑性透明フィルムのキートップ部相当部分に透光性着色層、キートップ部相当部分以外の全面に遮光性着色層を設けた着色フィルムとが、金属蒸着膜側と着色層及び遮光性着色層側をあわせるようにラミネートされていてもよい。 【0006】前記金属蒸着膜の厚みが80Å〜4μm で、金属蒸着膜の電気導電率が10 1 Ωcm以下であり、EMI(磁界・電界)シールド機能を有することが、特に好ましい。 また、金属蒸着膜がキートップ部の表面側に露出せず、熱可塑性透明フィルムにより金属蒸着膜が保護されているとともに、ESD(静電気破壊) 対策が取られていることも特に好ましい。 本発明の押釦スイッチ構造体を製造するには、熱可塑性透明フィルムに金属蒸着膜を設けた後にその上に文字パターン及び/ 又は透光性着色層を印刷して成形フィルム原反とする工程、又は、熱可塑性透明フィルムに金属蒸着膜を設けた蒸着フィルムと別の熱可塑性透明フィルムに文字パターン及び/又は透光性着色層を印刷して得た着色フィルムとをラミネートして成形フィルム原反とする工程、成形フィルム原反を金型凹型に載置し、成形樹脂を載置又は充填して、金型凸型を用いて成形フィルム原反と押釦スイッチ部材とを一体化成形する工程、前記蒸着フィルムの金属蒸着膜にレーザ光線を照射してレーザ光線が照射された部分にだけ透明性を付与する工程からなる。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明者は、金属蒸着膜にレーザ光を照射して金属酸化物に変化させることにより、その部分が透明になることを見出した。 本発明は、熱可塑性透明フィルムに直接金属を蒸着し、その上に印刷層を形成して成形フィルム原反とするか、文字等を印刷した着色フィルムと熱可塑性透明フィルムに金属を蒸着した蒸着フィルムとを貼り合わせて成形フィルム原反とし、その成形フィルム原反と成形樹脂とを一体化成形し、その後、熱可塑性透明フィルムの上からレーザ光を照射して金属蒸着膜を部分的に酸化して透光性を付与することを基本としている。 金属蒸着膜を形成する熱可塑性透明フィルムベースには、様々な材料が利用できるが、蒸着時の安定性(耐熱性・物理強度・環境特性・塗着性・加工時の伸び、収縮)ならびに押釦スイッチに加工する際の成形加工性(形状追従性・耐熱性・物理的強度・平滑性)、更に製品としての操作性、外観などをあわせて評価した場合、PET(ポリエチレンテレフタレート)、 ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PC(ポリカーボネート )、などが適当である。 【0008】蒸着フィルムの膜厚としては、PETで8 〜300μm、ETFEで20〜500μm、FEPで10〜400μm、PCで30〜400μmが適当である。 膜厚がそれぞれの数値下限に満たないと、金型より絞り加工品を離型するときに破れが生じ、型より取り出しができないばかりか、成型時の形状を保持できない。 それぞれの数値上限を超えると、形状の再現性が乏しく、更に押釦操作時にフィルムがたわみ難い。 蒸着物質として利用できる金属は、メタリック色調を有する層を形成するものであれば、特に制限はない。 具体的には、 Cr、Ni、Ti、Al、Cu、Si、Agなどが挙げられる。 環境特性、信頼性やコスト面等を勘案すると、 中でもCr、Ni、Ti、Cu、Alがより好ましい。 Auは、メタリック色調の面でも、後述する電磁波シールドの面でも、使用することが好ましいものではあるが、レーザ光による酸化が行えないので、本発明では望ましいものではない。 金属蒸着は、PVD手法(蒸着・ スパッタリング・イオンプレーティング)によって行われる。 なかでも、蒸着による方法が好ましい。 【0009】金属蒸着膜の均一膜形成には、80Å程度の厚みが必要であり、また、その厚みが5000Åまでのものは、照光型携帯機器の最高バックライト輝度である1000ルックスの元で視認できる透過性を有する。 それ以上の膜厚のものは、それ自身で遮光性を有する。 蒸着物質にもよるが、均一な膜が形成でき、かつ蒸着フィルムの変形等を起こさない厚みは4μm程度が上限である。 80〜5000Åの厚さの金属蒸着膜は、隠蔽性のあるインキを用いることにより、メタリック色調を保って文字等のパターンを容易に確保できる。 また、80 〜5000Åの厚さの金属蒸着膜においては、たとえば、Cr蒸着膜裏面に透光性の黄色印刷を施すことにより金色調を得ることができる。 また、Cr蒸着膜裏面に半透明な赤色を印刷すると銅色が発現する。 このことは、さまざまな金属光沢を有した色調を得ることができることを意味する。 【0010】金属蒸着面に印刷する印刷インキとしては、一般的なプラスチック印刷用インキが利用できる。 印刷方法としては、スクリーン印刷、タンポ印刷、コータ等、通常の印刷方法がそのまま利用できる。 熱可塑性透明フィルムに直接金属蒸着をし、その上に印刷することに代えて、2つの熱可塑性透明フィルムに金属蒸着と印刷とを別個に行って、それらをラミネートすることもできる。 その場合の、印刷側の熱可塑性透明フィルムとしては、上記の熱可塑性透明フィルムが、印刷インキとしては、一般的なプラスチック印刷用インキが、そしてラミネートするときの接着剤としては、フェノール系、 アクリル系などの接着剤が、それぞれ利用可能である。 着色フィルムと蒸着ベースフィルムとを別体として使用するときは、両者は同じものでもよいし、別の種類のものでもよい。 また、両者の膜厚を調整する。 印刷インキは、目的に応じて、遮光性のもの、透光性のもの、半透明のものが使い分けられる。 たとえば、金属蒸着膜の厚みが大きくそれ自体が遮光性であれば、格別遮光性の印刷インキを用いる必要がない場合も多く、また、金属蒸着膜の膜厚が薄く、照光時に透光性を有する場合に、透光性の着色印刷インキを用いると、金属蒸着膜のメタリック色調に変化を与えることができる。 【0011】金属蒸着され印刷された熱可塑性透明フィルム、又は、金属蒸着と印刷とを2つの熱可塑性透明フィルムに別個に行いラミネートされたものは、成形フィルム原反となる。 成形フィルム原反は、インジェクション成形、プレス成形等の成形方法により、押釦スイッチ部材を成形すると同時に、一体化成形する。 押釦スイッチ部材を成形する材料としては、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム若しくはEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)等の合成ゴム、天然ゴムなどの熱硬化性樹脂、又はポリエステル系、メタクリル系、アクリル系、 ポリウレタン系、ポリカーボネート系あるいはこれらの樹脂のアロイ等の熱可塑性樹脂から任意に選択できる。 なかでも、特に、シリコーンゴムであることが好ましい。 一体化成形は、インジェクション成形、プレス成形等によることができる。 また、所望により、成形樹脂を充填する前に、仮絞り成形をすることも有用である。 成形フィルム原反と押釦スイッチ部材とが一体化成形されたものに、表面の熱可塑性透明フィルム側からレーザ光を照射して、金属蒸着膜を部分的に酸化させる。 【0012】金属蒸着膜にレーザ光を照射すると、金属が酸化現象を呈する。 たとえば、Al蒸着膜が酸化されるとその屈折率は1.37〜1.43程度となり、透明性を発現する。 すなわち、レーザ光が照射された部分は、透明に近い状態となるため、その部分のみが光を透過するようになり、下層に形成したカラー層の色が視認でき、いわゆる文字照光が実現される。 酸化現象を利用して加工するため、ガス等の発生が無く、その処理が容易にできる。 従って、全ての加工が終了した後、キートップ天面の熱可塑性透明フィルムの上から加工ができるという大きなメリットを有する。 また、金属が酸化された場合、その部分は脆くなるのが一般的であるが、フィルムにカバーされた状態で加工されるため、構成的に脆くなることによる悪影響の心配はない。 成形工程の後で自由にパターン形成ができるため、製品仕様的に非常に大きなメリットがある。 【0013】周波数帯域とEMI(磁界・電界シールド)機能を有するのに必要なシールド部材の電気導電率との間には、以下のような関係があることが知られている。 〜800MHz:10 1 Ω・cm以下 800MHz〜1.5GHz:10 −1 Ω・cm以下 1.5GHz〜2.3GHz:10 −2 Ω・cm以下 2.3GHz〜 :10 −3 Ω・cm以下 金属蒸着膜の成膜条件(ベースフィルム、蒸着方式、成膜スピード、成膜温度等)によっては、金属蒸着膜の抵抗値は変わり得る。 たとえば、5000Å以下の膜厚で最も抵抗値が下がる条件でいくつかの金属について蒸着膜の電気伝導率を示すと、Cuの2000Å厚の膜で1 0 −4 Ωcm、Crの150Å厚の膜で10 −1 Ωc m、Alの450Å厚の膜で10 −3 Ωcmであった。 1μm厚を超える蒸着膜の抵抗値は、例えば、次の通りであった。 Cu…2μm厚、2.86×10 −6 Ωcm Ni…2μm厚、10.0×10 −6 Ωcm Al…4μm厚、 7.5×10 −6 Ωcm この結果によれば、かなりの範囲でEMI(磁界・電界シールド)機能効果が実現する。 ESD(静電気障害) を回避するためには、表面層の抵抗値が10 8 Ωcm 以上であれば、すなわち表面層が絶縁体であれば、よいと一般に考えられている。 【0014】 【実施例】(実施例1)以下、図1とともに、実施例1 を説明する。 なお、図1〜3は、いずれも模式図であって、各層の相対的な厚みを必ずしも反映していない。 1 00μmの厚みを有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである熱可塑性透明フィルム(1) の表面全面に蒸着方式により6000Å厚さのCrの蒸着膜(2)を形成した。 押釦スイッチのキートップ部に対応した位置に、蒸着膜側より、商品名:9100シリーズPETインキ[十条ケミカル(株)製]の赤インキを用いて、スクリーン印刷にて印刷層(3)を印刷し、 温風循環式乾燥機にて80℃、30分の乾燥処理を行って成形フィルム原反を製作した。 この成形フィルム原反を、所定形状の凹型成形型にPETフィルムが接するように蒸着膜を上側にして位置決めして、10kg/cm 2の圧力、100℃、20秒の条件で仮絞り成形を行った。 【0015】この仮絞り成形されたフィルムを金型より取り出さずに、あらかじめ配合されたシリコーンゴム[商品名:KE−1990−60A/B、信越化学工業(株)製]を所定量計量後、その仮絞り成形されたフィルムの上に載せ、50kg/cm 2の圧力、120 ℃、1分の条件で成形フィルム原反と押釦スイッチ部材(5)とを一体化成形加工を行った。 このシリコーンゴムと成形フィルム原反とが一体化成形されている成形物を金型より取り出し、YAGレーザ[商品名:MY−9 500、キーエンス(株)製]を用い、SSP=23. 5、Q−shitch=50KHz、電流=5A、時間=3秒の条件で、文字パターンをフィルムの上方より照射し、照射された蒸着膜部分を酸化させ、その部分の光屈折率を変化させて透明性を付与した。 この後、外周を打ち抜き、文字照光タイプの押釦スイッチ構造体とした。 この製品のキートップは金属Cr色、文字は照光時赤色に発色していた。 文字部分をカットしてその厚みを測定したところ、蒸着面より3μmの文字突起が確認された。 このことから、レーザ照射した部分の蒸着金属が酸化されてその分子量が増加し、結果としてその部分の厚みだけが増加していることが分かる。 端面から露出している蒸着層の比抵抗を測定したところ、電気抵抗率1 0 0 〜10 −1 Ωcmを示した。 また、キートップ部の表面抵抗を測定したところ、10 12 Ωcmオーダであり、絶縁性の高いものであった。 【0016】(実施例2)以下、図2とともに、実施例2を説明する。 75μmの厚みを有する透明性ポリカーボネート(PC)フィルム[商品名:マクロフォール、 バイエル(株)製]である印刷ベースフィルム(4)の表面に商品名:1700シリーズHITインキ[十条ケミカル(株)製]の白インキを用いてスクリーン印刷にて印刷層(3b)を印刷し、温風循環式乾燥機にて80 ℃、30分の乾燥処理後、上記印刷面に青インキを用いて、押釦のキートップにあたる位置に、スクリーン印刷にてベタパターンで印刷層(3a)を印刷し、温風循環式乾燥機にて80℃、30分の乾燥処理を行った。 一方、50μm厚さのポリエチレンテレフタレート(PE T)フィルムである熱可塑性透明フィルム(4)に金属蒸着膜(2)としてNiが3000Å蒸着されている蒸着フィルム[東邦化研(株)製]の金属蒸着膜に、ホットメルト系粘着材を塗布して乾燥させたものを、上記印刷された透明性PCフィルムの青印刷側とラミネートして成形フィルム原反とした。 【0017】この成形フィルム原反を、所定形状の凹型成形型にPETフィルムが接するようにして位置決めして、10kg/cm 2の圧力、100℃、20秒の条件で仮絞り成形を行った。 仮絞り成形されたものの上に実施例1と同様のシリコーンゴムを載せ、50kg/c m 2の圧力、110℃、1分の条件で、一体化成形を行って押釦スイッチ部材(5)も形成した。 この成形体を押釦スイッチ外形状に打ち抜き加工した。 このシリコーンゴムと成形フィルム原反とが一体化されている成形体を金型より取り出し、実施例1と同様の条件で文字パターンをPETフィルムの上方より照射し、文字照光タイプの押釦スイッチ構造体を得た。 この製品のキートップは、白みがかったNi色に発色しており、青の照光性も満足のいくものであった。 端面から露出している蒸着層の比抵抗を測定したところ、電気抵抗率10 0 〜10 −1 Ωcmを示した。 また、キートップ部の表面抵抗を測定したところ、10 12 Ωcmオーダであり、絶縁性の高いものであった。 【0018】(実施例3)以下、図3とともに、実施例3を説明する。 75μmの厚みを有する透明性ポリカーボネート(PC)フィルム[商品名:マクロフォール、 バイエル(株)製]である印刷ベースフィルム(4)の表面に商品名:1700シリーズHITインキ[十条ケミカル(株)製]の白インキを用いてスクリーン印刷にて印刷層(3b)を印刷し、温風循環式乾燥機にて80 ℃、30分の乾燥処理後、上記印刷面に青インキを用いて、押釦のキートップにあたる位置に、スクリーン印刷にてベタパターンで印刷層(3a)を印刷し、温風循環式乾燥機にて80℃、30分の乾燥処理を行った。 一方、50μm厚さのポリエチレンテレフタレート(PE T)フィルムである熱可塑性透明フィルム(4)に金属蒸着膜(2)としてNiが3000Å蒸着されている蒸着フィルム[東邦化研(株)製]の金属蒸着膜に、ホットメルト系粘着材を塗布して乾燥させたものを、上記印刷された透明性PCフィルムの青印刷側とラミネートして成形フィルム原反とした。 【0019】この成形フィルム原反を、所定形状の凹型成形型にPETフィルムが接するようにして位置決めして、10kg/cm 2の圧力、100℃、20秒の条件で仮絞り成形を行った。 仮絞り成形されたものの上に、熱可塑性樹脂のポリカーボネート樹脂[商品名:S −3000、三菱ガス化学(株)製]を、樹脂温度31 0℃、金型温度60℃、射出圧力1000kg/cm 2 、成形時間40秒の条件で射出成形により一体化成形を行って押釦スイッチ部材(5)を成形した。 この成形体を押釦スイッチ外形状に打ち抜き加工した。 この熱可塑性樹脂と成形フィルム原反とが一体化されている成形体を金型より取り出し、実施例1と同様の条件で文字パターンをPETフィルムの上方より照射し、文字照光タイプの押釦スイッチ構造体を得た。 この製品のキートップは、白みがかったNi色に発色しており、青の照光性も満足のいくものであった。 端面から露出している蒸着層の比抵抗を測定したところ、電気抵抗率10 0 〜10 −1 Ωcmを示した。 また、キートップ部の表面抵抗を測定したところ、10 12 Ωcmオーダであり、絶縁性の高いものであった。 【0020】 【発明の効果】本発明によれば、金属蒸着膜により鮮やかな透光性メタリック色調の押釦スイッチ構造体が、燃焼・昇華ガスの発生を伴わずにきわめて簡易に得られ、 かつ、その押釦スイッチ構造体は、EMI(磁界・電界)シールド機能を有し、ESD(静電気破壊)対策が取られている。 【図面の簡単な説明】 【図1】 実施例1により得られた押釦スイッチ構造体のキートップ部の模式的断面図である。 【図2】 実施例2により得られた押釦スイッチ構造体のキートップ部の模式的断面図である。 【図3】 実施例3により得られた押釦スイッチ構造体のキートップ部の模式的断面図である。 【符号の説明】 1:熱可塑性透明フィルム 2:蒸着膜 3:印刷層(a:ベタパターン、b:文字パターン) 4:印刷ベースフィルム 5:押釦スイッチ部材 6:文字(透光部) |