電磁継電器

申请号 JP2016562319 申请日 2015-07-27 公开(公告)号 JPWO2016088402A1 公开(公告)日 2017-07-20
申请人 オムロン株式会社; 发明人 修一 井戸田; 修一 井戸田; 将之 野田; 将之 野田; 幸二 ▲高▼見; 幸二 ▲高▼見; 西田 剛; 剛 西田; 靖雄 林田; 靖雄 林田; 啓介 矢野; 啓介 矢野; 彩加 三宅; 彩加 三宅;
摘要 小型化で、設計の 自由度 が大きい電磁継電器を提供する。このため、可動接点(86a)と固定接点(21a)との間、もしくは、可動接点(86b)と固定接点(22a)との間の少なくともいずれか一方の接点間にアークが発生してから所定時間経過後に、前記可動接点(86a)と前記固定接点(21a)との間に生じたアーク(111)を、磁界発生手段(35)によって、前記可動接点(86b)と前記固定接点(22a)との間に生じたアーク(112)よりも長く引き伸ばす。
权利要求

可動接触片に配置した第1可動接点および第2可動接点と、 前記第1可動接点および前記第2可動接点に接離可能にそれぞれ対向するように配置した第1固定接点および第2固定接点と、 前記第1可動接点と前記第1固定接点との間、ならびに、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間に生じたアークを、所定の方向に誘引するように配置された磁界発生手段と、 からなる電磁継電器であって、 前記第1可動接点と前記第1固定接点との間、もしくは、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間の少なくともいずれか一方の接点間にアークが発生してから所定時間経過後に、前記第1可動接点と前記第1固定接点との間に生じたアークを、前記磁界発生手段によって、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間に生じたアークよりも長く引き伸ばすことを特徴とする電磁継電器。可動接触片に配置した第1可動接点および第2可動接点と、 前記第1可動接点および前記第2可動接点に接離可能にそれぞれ対向するように配置した第1固定接点および第2固定接点と、 前記第1可動接点と前記第1固定接点との間、ならびに、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間に生じたアークを、所定の方向に誘引するように配置された磁界発生手段と、 からなる電磁継電器であって、 前記第1可動接点と前記第1固定接点との間の磁束密度が、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間の磁束密度よりも大きくなるように前記磁界発生手段の磁束密度を定めたことを特徴とする電磁継電器。可動接触片に配置した第1可動接点および第2可動接点と、 前記第1可動接点および前記第2可動接点に接離可能にそれぞれ対向するように配置した第1固定接点および第2固定接点と、 前記第1可動接点と前記第1固定接点との間、ならびに、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間に生じたアークを、所定の方向に誘引するように配置された磁界発生手段と、 からなる電磁継電器であって、 前記第1可動接点と前記第1固定接点との開離時における接点間距離を、前記第2可動接点と前記第2固定接点との開離時における接点間距離よりも大きくしたことを特徴とする電磁継電器。前記可動接触片から前記第1固定接点までの距離が、前記可動接触片から前記第2固定接点までの距離よりも大きくなるように前記可動接触片の形状を定めたことを特徴とする請求項3に記載の電磁継電器。前記第1固定接点の高さ寸法を、前記第2固定接点の高さ寸法よりも小さくしたことを特徴とする請求項3に記載の電磁継電器。前記第1可動接点の高さ寸法を、前記第2可動接点の高さ寸法よりも小さくしたことを特徴とする請求項3に記載の電磁継電器。前記第1可動接点と前記第1固定接点との間に生じたアークを、前記第1可動接点もしくは前記第1固定接点から見て対向する前記第1固定接点もしくは前記第1可動接点とは反対方向に配置したアーク消去空間に、誘引して引き伸ばすことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電磁継電器。

说明书全文

本願発明は電磁継電器、特に、発生したアークを効率的に消去できる電磁継電器に関する。

従来、電磁継電器としては、例えば、電磁石ブロックの励磁、非励磁によって揺動する接極子と、可動接点を有し、前記接極子に取り付けられて当該接極子の揺動に伴って揺動する可動接点部と、前記可動接点が接離する固定接点を有する固定接点部と、を備える電磁リレーであって、前記電磁リレーには、前記可動接点と前記固定接点とが接離する際に生じるアークを伸長させるアーク伸長空間が形成されており、前記可動接点と前記固定接点とが接離する際に生じるアークを、前記アーク伸長空間に導く磁界発生手段が設けられていることを特徴とする電磁リレーが開示されている(特許文献1参照)。

前記電磁継電器では、その図7に示すように、ベース30の上面縁部に固定接点22aを配置するとともに、前記固定接点22aの内側に可動接点21aを配置している。そして、前記電磁継電器では、前記可動接点21aと固定接点22aとの間で発生したアークを、永久磁石50の磁で上方に誘引し、前記アークをより長く引き伸ばすことにより、アークを消去する構成としている。

特開2013−80692号公報

しかしながら、前述の電磁継電器では、前記アークを上方に引き伸ばすために隣り合う固定接点間に永久磁石をそれぞれ配置している。そして、前述の電磁継電器では、一対の前記可動接点21aおよび固定接点22aごとに同等の大きさを有するアーク消去空間を必要とするので、装置を小型化しにくく、設計の自由度が小さいという問題点がある。 本発明に係る電磁継電器は、前記問題点に鑑み、小型化しやすく、設計の自由度が大きい電磁継電器を提供することを課題とする。

本発明に係る電磁継電器は、前述の課題を解決すべく、可動接触片に配置した第1可動接点および第2可動接点と、前記第1可動接点および前記第2可動接点に接離可能にそれぞれ対向するように配置した第1固定接点および第2固定接点と、前記第1可動接点と前記第1固定接点との間、ならびに、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間に生じたアークを、所定の方向に誘引するように配置された磁界発生手段と、からなる電磁継電器であって、前記第1可動接点と前記第1固定接点との間、もしくは、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間の少なくともいずれか一方の接点間にアークが発生してから所定時間経過後に、前記第1可動接点と前記第1固定接点との間に生じたアークを、前記磁界発生手段によって、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間に生じたアークよりも長く引き伸ばす構成としてある。

本発明によれば、前記第1可動接点と前記第1固定接点との間、もしくは、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間の少なくともいずれか一方の接点間にアークが発生してから所定時間経過後に、前記第1可動接点と前記第1固定接点との間に生じたアークを、前記磁界発生手段によって、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間に生じたアークよりも長く引き伸ばし、遮断する。このため、対となった可動接点および固定接点ごとに同等の大きさを有するアーク消去空間を設ける必要がない。 例えば、第1可動接点と第1固定接点との間に発生したアークを、磁界発生手段によって、電磁継電器内部のデッドスペースであるアーク消去空間に誘引し、長く引き伸ばすことにより、遮断できる。このため、第2可動接点と第2固定接点との間に発生したアークを消去するためのアーク消去空間には、前記デッドスペースと同等の大きさを必要としない。この結果、小型化しやすいだけでなく、設計の自由度が大きい電磁継電器が得られる。

本発明に係る別の電磁継電器は、前述の課題を解決すべく、可動接触片に配置した第1可動接点および第2可動接点と、前記第1可動接点および前記第2可動接点に接離可能にそれぞれ対向するように配置した第1固定接点および第2固定接点と、前記第1可動接点と前記第1固定接点との間、ならびに、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間に生じたアークを、所定の方向に誘引するように配置された磁界発生手段と、からなる電磁継電器であって、前記第1可動接点と前記第1固定接点との間の磁束密度が、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間の磁束密度よりも大きくなるように前記磁界発生手段の磁束密度を定めてもよい。

本発明によれば、第1可動接点と前記第1固定接点との間にアークが発生してから所定時間経過後に、第1可動接点と前記第1固定接点との間に生じたアークが、第2可動接点と第2固定接点との間に生じたアークよりも長く引き伸ばされ、遮断される。このため、第2可動接点と第2固定接点との間に発生したアークを消去するためのアーク消去空間は小さくてもよい。この結果、第2可動接点と第2固定接点との近傍に樹脂成形品が配置されていても、アークが接触しにくく、塵埃や有機ガスの発生を確実に防止できる。

本発明に係る他の電磁継電器は、前述の課題を解決すべく、可動接触片に配置した第1可動接点および第2可動接点と、前記第1可動接点および前記第2可動接点に接離可能にそれぞれ対向するように配置した第1固定接点および第2固定接点と、前記第1可動接点と前記第1固定接点との間、ならびに、前記第2可動接点と前記第2固定接点との間に生じたアークを、所定の方向に誘引するように配置された磁界発生手段と、からなる電磁継電器であって、前記第1可動接点と前記第1固定接点との開離時における接点間距離を、前記第2可動接点と前記第2固定接点との開離時における接点間距離よりも大きくしてもよい。

本発明によれば、第1可動接点および第1固定接点の方が、第2可動接点および第2固定接点よりも早く開離する。 すなわち、第1可動接点と第1固定接点との間のアークは、第2可動接点と第2固定接点との間のアークよりも早期に発生する。このため、開離時における接点間距離を調整することにより、第1可動接点と前記第1固定接点との間に生じたアークの方が、第2可動接点と第2固定接点との間に生じたアークよりも早期に長く引き伸ばされ、遮断する。この結果、第2可動接点と第2固定接点との間に発生したアークを消去するためのアーク消去空間は小さくてもよい。これにより、第2可動接点と第2固定接点との近傍に樹脂成形品が配置されていても、アークが接触しにくく、塵埃や有機ガスの発生を確実に防止できる。

本発明の実施形態としては、前記可動接触片から前記第1固定接点までの距離が、前記可動接触片から前記第2固定接点までの距離よりも大きくなるように前記可動接触片の形状を定めてもよい。 本実施形態によれば、可動接触片の形状によって接点間距離を調整することにより、アーク発生時期を調整できる。

本発明の異なる実施形態としては、前記第1固定接点の高さ寸法を、前記第2固定接点の高さ寸法よりも小さくしてもよい。 本実施形態によれば、高さ寸法の異なる固定接点を使用して接点間距離を調整することにより、アーク発生時期を調整できる。

本発明の新たな実施形態としては、前記第1可動接点の高さ寸法を、前記第2可動接点の高さ寸法よりも小さくしてもよい。 本実施形態によれば、高さ寸法の異なる可動接点を使用して接点間距離を調整することにより、アーク発生時期を調整できる。

本発明の他の実施形態としては、前記第1可動接点と前記第1固定接点との間に生じたアークを、前記第1可動接点もしくは前記第1固定接点から見て対向する前記第1固定接点もしくは前記第1可動接点とは反対方向に配置したアーク消去空間に、誘引して引き伸ばすようにしてもよい。 本実施形態によれば、アーク消去空間にアークを誘引することにより、十分な長さまでアークを引き伸ばすことができ、アークを確実に遮断できるという効果がある。

図Aおよび図Bは本発明に係る電磁継電器の斜め上方から視た全体斜視図および斜め下方から視た全体斜視図である。

図Aおよび図Bは本発明に係る電磁継電器からカバーを外し、斜め上方から視た全体斜視図および斜め下方から視た全体斜視図である。

図1で示した電磁継電器の斜め上方から視た分解斜視図である。

図1で示した電磁継電器の斜め下方から視た分解斜視図である。

図Aおよび図Bは電磁継電器を異なる位置で切断した横断面図である。

図Aおよび図Bは電磁継電器を異なる位置で切断した平断面図である。

図Aおよび図Bは電磁継電器を異なる位置で切断した縦断面図である。

図Aおよび図Bは電磁継電器の縦断面図および部分拡大縦断面図である。

図Aおよび図Bは動作後の電磁継電器を異なる位置で切断した縦断面図である。

図Aおよび図Bはベースの平面図および底面図である。

図Aおよび図Bは補助ヨークの変形例を示す斜視図および右側面図、図Cおよび図Dは補助ヨークの他の変形例を示す斜視図および右側面図である。

図Aおよび図Bはアーク遮断部材を示す斜視図および縦断面図、図Cおよび図Dは他のアーク遮断部材を示す斜視図および縦断面図である。

図Aおよび図Bは接点機構を示す概略平面図および概略正面図である。

図Aおよび図Bは実施例1に係る電磁継電器の永久磁石の磁力線をベクトル線で図示した平面図および正面図である。

図Aおよび図Bは実施例1に係る電磁継電器の永久磁石の磁束密度を濃淡で図示した平面図および正面図である。

図Aおよび図Bは実施例2に係る電磁継電器の磁力線をベクトル線で図示した平面図および正面図である。

図Aおよび図Bは実施例2に係る電磁継電器の永久磁石の磁束密度を濃淡で図示した平面図および正面図である。

第2実施形態に係る電磁継電器の正面断面図である。

図18に示した電磁継電器の平面断面図である。

図18に示した電磁継電器の左側面断面図である。

第3実施形態に係る平面断面図である。

図21に示した平面断面図の部分拡大図である。

第4実施形態に係る平面断面図である。

図23に示した平面断面図の部分拡大図である。

第5実施形態に係る平面断面図である。

図25に示した平面断面図の部分拡大図である。

本願の実施例3に係るグラフ図である。

本願の実施例4に係るグラフ図である。

比較例1に係るグラフ図である。

第2実施形態に係る電磁継電器の左側面断面図である。

本願の第5実施例に係るグラフ図である。

本発明に係る電磁継電器を図1ないし図31の添付図面に従って説明する。 第1実施形態に係る電磁継電器(図1および図2)は、図3および図4に示すように、大略、ベース10と、固定接点端子21〜24と、磁界発生手段35と、電磁石ブロック40と、可動鉄片60と、可動接触片80,81と、カバー90とで構成されている。

前記ベース10は、図10Aに示すように、その上面中央に設けた凹所11の左右両側に一対の断面L字形状の仕切り壁12,12を突設してある。また、前記ベース10は、前記凹所11を間にして前後に対向する縁部のうち、一方の縁部に段部13を設ける一方、他方の縁部に圧入孔14を設けてある。前記段部13は後述する電磁石ブロック40のスプール41を支持するためのものである。そして、前記圧入孔14は前記電磁石ブロック40のヨーク55の下端部57aを圧入させるためのものである。さらに、前記ベース10は、その上面において対向する縁部のうち、一方の縁部に沿って端子孔15a〜15dを同一直線上に設けてある一方、他方の縁部に沿って端子孔16,16を設けてある。ついで、前記ベース10は、前記仕切り壁12,12と前記端子孔15a,15dとの間にアーク消去空間19,19をそれぞれ形成してある。また、前記ベース10は、前記仕切り壁12,12を間にして対向する外側面に一対の係合爪部10aをそれぞれ形成してある。 本実施形態によれば、前記ベース10のデッドスペースをアーク消去空間19として有効に活用することにより、電磁継電器の大型化を回避できるという利点がある。

また、前記ベース10は、図10Bに示すように、その下面のうち、固定接点端子21,24が挿入される前記端子孔15a,15dの後方に(前記端子孔15a,15dから見て後述する可動接点86a,87bの設置方向とは反対側の方向)、凹部である略L字形状の切り欠き溝17,17をそれぞれ設けてある。前記切り欠き溝17は、その一部が前記ベース10の側面から外部に連通しており、後述する第1永久磁石30および補助ヨーク31を収納できる。また、前記ベース10は、前記端子孔15b,15cの間に後述する第2永久磁石32を収納する凹部18を有している。そして、前記ベース10は、本発明に係る電磁継電器を基板に表面実装したときの傾きをなくすため、その下面に一対のリブ10b,10bを突設してある。

固定接点端子21〜24(図3および図4)は、図13に示すように、その上端部に固定接点21a〜24aを固定してあるとともに、その下端部に端子部21b〜24bを有している。そして、前記端子部21b〜24bを前記ベース10の端子孔15a〜15d(図10Aおよび図10B)に挿入することにより、前記固定接点21a〜24aは同一直線上に整列する。このように、4個の固定接点21a〜24aを配置したのは、個々の固定接点21a〜24aに負荷される負荷電圧を下げるためである。これにより、直流電源回路を開閉する場合にアークの発生を抑制できる。

コイル端子25は、図3および図4に示すように、その上端部に屈曲した接続部25aを有する一方、その下端部に端子部25bを有している。そして、前記端子部25bを前記ベース10の端子孔16(図10Aおよび図10B)に圧入することにより、前記コイル端子25,25は同一直線上に整列する。

磁界発生手段35は、図3,4および図13に示すように、第1永久磁石30、補助ヨーク31および第2永久磁石32で構成されている。そして、固定接点21a,24aと可動接点86a,87bとが接離する方向、すなわち、固定接点21a,24aから見て可動接点86a,87bとは反対方向に第1永久磁石30が配置される(図6B)。また、前記第1永久磁石30に隣接するように補助ヨーク31が配置される。そして、図6Bに示す固定接点22aと固定接点23aとの間に第2永久磁石32(図7B)が配置される。

また、第1永久磁石30,第2永久磁石32の磁極の方向は、固定接点端子22,23を導通させた時に、固定接点21a〜24aと可動接点86a,86b,87a,87bとの間に流れる電流の方向に対応させて定められている。このため、前記第1永久磁石30,補助ヨーク31および第2永久磁石32は、固定接点21a,22a,23a,24aと、可動接点86a,86b,87a,87bとの間にそれぞれ生じたアークを所定の方向に誘引し、引き伸ばして消去できる。

特に、前記補助ヨーク31は、その形状や位置を調整することにより、第1永久磁石30の磁力線を所望の方向に変えことができる。このため、アークの誘引方向を調整できるとともに、前記第1永久磁石30の磁束漏れを無くし、磁気効率を高めることができる。

すなわち、図6Aおよび図6Bに示すように、第1永久磁石30と補助ヨーク31とは、固定接点21aと可動接点86aとの間に生じたアークを、前記固定接点21aから見て可動接点86aとは反対方向に誘引できる磁力線を発するように、配置されている。 また、第1永久磁石30と補助ヨーク31とは、固定接点24aと可動接点87bとの間に生じたアークを、前記固定接点24aから見て可動接点87bとは反対方向に誘引できる磁力線を発するように、配置されている。

そして、第2永久磁石32は、固定接点22aと可動接点86bとの間に生じたアークを、前記ベース10の上面に向かうように誘引できる磁力線を発するように、配置されている。 また、前記第2永久磁石32は、固定接点23aと可動接点87aとの間に生じたアークを、前記ベース10の上面と反対方向に誘引できる磁力線を発するように、配置されている。

なお、本実施形態に係る電磁継電器は4極である。しかし、本実施形態では、対向する固定接点22aと可動接点86bとの間、および、対向する固定接点23aと可動接点87aとの間にそれぞれ発生したアークを、3個の永久磁石で所定の方向に誘引できる。このため、従来例よりも部品点数が少ないという利点がある。

本実施形態では、図6Bに示すように、発生したアークが、固定接点21a,24aから見て可動接点86a,可動接点87bとは反対方向の斜め上方に向かうように誘引される構成について説明した。しかし、これに限らず、固定接点21aと可動接点86aとの位置、あるいは、固定接点24aと可動接点87bとの位置を入れ替えてもよい。このように入れ替えた場合、固定接点端子22,23を導通させた時に固定接点21a,22a,23a,24aと可動接点86a,86b,87a,87bとの間に流れる電流の方向に対応させて、第1永久磁石30,第2永久磁石32の磁極の方向を適宜定めることができる。これにより、発生したアークを、可動接点86a,可動接点87bから見て固定接点22a,23aとは反対方向の斜め上方に向かうように誘引できる。

前記第1永久磁石30および補助ヨーク31を前記ベース10に設けた切り欠き溝17(図10)に挿入する。これにより、前記補助ヨーク31が前記第1永久磁石30に隣接するように位置決めされる。また、前記第2永久磁石32は前記ベース10に設けた凹部18に収納される。

本実施形態によれば、ベース10の下面から第1,第2永久磁石30,32および補助ヨーク31を組み付けている。このため、発生したアークによる第1,第2永久磁石30,32および補助ヨーク31の劣化を防止できる。また、前記ベース10の厚さ寸法を有効利用できるので、省スペースの電磁継電器が得られる。 なお、前記第1永久磁石30,前記補助ヨーク31,前記第2永久磁石32は必ずしも全てをベース10の下面から組み付ける必要はなく、必要に応じて前記ベース10の上面から組み付けてもよい。 また、前記固定接点21a〜24aの背後に永久磁石、または、永久磁石および補助ヨークをそれぞれ配置してもよい。

前述の補助ヨーク31は、方形の板状磁性材にかぎらず、例えば、正面略L字形状であってもよい(図11A,11B)。この変形例によれば、第1永久磁石30の磁力線の方向を、方形の板状磁性材を使用した場合と異なる方向に変えることができる。このため、補助ヨーク31の形状と位置とを適宜調整することにより、アークの誘引方向を所望の方向に変えることができる。

また、前述の補助ヨーク31は、部を面取りした方形の板状磁性材であってもよい(図11C,11D)。この変形例によれば、角部が面取りされているので、切り欠き溝17に挿入しやすくなり、組立性が向上するという利点がある。

そして、前記アーク消去空間19には、例えば、図12A,12Bに図示するようなアーク遮断部材100を配置しておいてもよい。発生したアークを急冷し、効率的に消去するためである。 前記アーク遮断部材100は、短冊状金属板を断面略J字形状に屈曲したものである。そして、前記アーク遮断部材100は、その正面に断面略三角形の複数の突出し突起101を突設してある。前記突出し突起101はアークとの接触面積を広げて急冷効果を高めるものである。また、前記アーク遮断部材100は、その正面の両側縁部にリブ102を対向するように曲げ起こしてある。さらに、前記アーク遮断部材100は、その底面の両側縁部にもリブ103を対向するように曲げ起こしてある。前記リブ102,103は、発生したアークがアーク消去空間19から漏れ出ないようにするためのものである。

他のアーク遮断部材100としては、例えば、図12C,12Dに図示するように、その正面に複数の舌片104を切り起こしておいてもよい。他は前述のアーク遮断部材100と同一であるので、同一部分には同一番号を付して説明を省略する。なお、アーク遮断部材は金属製であればよく、金属板に限ることはない。

電磁石ブロック40は、図3および図4に示すように、スプール41と、コイル51と、鉄芯52と、ヨーク55とで形成されている。 前記スプール41は、両端に鍔部42,43を有する胴部44に断面方形の貫通孔45を設け、一方の鍔部42の外向面に絶縁用リブ46を側方に突設してある。また、前記スプール41は、他方の鍔部43の両側縁部に設けた係合孔47に中継クリップ50をそれぞれ係合し、抜け止めしてある(図7B)。

前記コイル51は、図3に示すように、前記胴部44に巻回され、その引き出し線を前記中継クリップ50から延在した絡げ部50a(図6A)に絡げてハンダ付けされている。

前記鉄芯52は、図3に示すように、複数枚の平面略T字形の板状磁性材を積層したものである。そして、前記鉄芯52を前記スプール41の貫通孔45に挿通し、突出するその一端部を磁極部53とする一方、突出するその他端部54を、後述する断面略L字形状のヨーク55の垂直部57にカシメ固定してある。

前記ヨーク55は、断面略L字状に屈曲した磁性板からなる。そして、前記ヨーク55は、その水平部56の中央に係止突起56aを曲げ起こすとともに、前記水平部56先端の両側縁部に支持突起56bを切り出してある。また、前記ヨーク55は、その垂直部57の下端部57aを前記ベース10の圧入孔14に圧入可能な形状としてある。

可動鉄片60は板状磁性材からなる。そして、図3および図4に示すように、可動鉄片60は、その上辺縁部に係止突起61を突設してあるとともに、その両側縁部に切り欠き部62,62を設けてある。 そして、前記可動鉄片60は、前記切り欠き部62を前記ヨーク55の支持突起56bに係合してある。さらに、前記可動鉄片60は、前記係止突起61を前記ヨーク55の係止突起56aに復帰バネ63を介して連結することにより、回動可能に支持される。

可動接触片80,81は正面略T字形状であり、その巾広部82,83の両端に導電性の裏打ち材84,85を介して可動接点86a,86b,87a,87bを固定してある。前記裏打ち材84,85は、前記巾広部82,83の断面積を実質的に増大させることにより、電気抵抗を小さくして発熱を抑制する。また、前述したようにアークが、固定接点21a,24aから見て、可動接点86a,可動接点87bとは反対方向の斜め上方に向かうように誘引される。このため、発生したアークが可動接触片80,81自体に接触しにくくなり、アークによる可動接触片80,81の劣化を防止できる。 前記可動接触片80,81は、その上端部を可動台74にインサート成形で一体化してある。そして、図7Bに示すように、前記可動台74はリベット64を介してスペーサ70および前記可動鉄片60に一体化されている。前記スペーサ70は、図4に示すように、その内向面に設けた凹部71に前記可動鉄片60を嵌合することにより、絶縁性を高めている。また、前記スペーサ70は、その内向面の下辺縁部に絶縁用リブ72(図3,図7B)を有している一方、その外向面の下辺縁部に前記可動接触片80,81を仕切る絶縁用リブ73(図3,図7B)を側方に突設している。

そして、可動接触片80,81を取り付けた電磁石ブロック40を前記ベース10に収納し、前記ベース10の段部13(図7B)に前記スプール41の鍔部42を載置する。ついで、ヨーク55の下端部57aを前記ベース10の圧入孔14に圧入して位置決めする。これにより、電磁石ブロック40の中継クリップ50がコイル端子25の接続部25aを挟持する(図7A)。また、可動接点86a,86b,87a,87bが固定接点21a,22a,23a,24aに接離可能にそれぞれ対向する。そして、図8Bに示すように、前記スペーサ70の絶縁用リブ72が前記スプール41の絶縁用リブ46の上方近傍に位置する。

具体的には、絶縁用リブ46,72の少なくともいずれか一方が、固定接点22a,23a(あるいは固定接点端子22,23)と、磁極部53とを最短距離で結ぶ直線を遮るように配置される。これにより、鉄芯52の磁極部53から固定接点22a,23aまでの空間距離が長くなり、高い絶縁性が得られる。 また、前記絶縁用リブ72が、前記絶縁用リブ46の先端縁部と、磁極部53とを最短距離で結ぶ直線を遮るように配置してもよい。これにより、鉄芯52の磁極部53から固定接点22a,23aまでの空間距離を長くでき、より一層高い絶縁特性が得られる。

なお、鍔部42の外向面から突出する絶縁用リブ46の長さ寸法は、鍔部42の外向面から固定接点22a,23aの先端までの距離よりも短い長さ寸法が好ましい。なぜならば、絶縁用リブ46の長さ寸法が、鍔部42の外向面から固定接点22a,23aの先端までの距離よりも長い長さ寸法であると、可動接触片80,81の動作を妨げるおそれがあるからである。また、他の理由としては、固定接点22a,23aと可動接点86b,87aとの間でそれぞれ生じたアークが、前記絶縁用リブ72に当たりやすくなり、前記絶縁用リブ72が劣化しやすいからである。このため、より好ましい絶縁用リブ46の長さ寸法は、前記鍔部42の外向面から固定接点端子22,23の外向面までの長さ寸法である。

カバー90は、図3および図4に示すように、前記電磁石ブロック40を組み付けたベース10に嵌合可能な箱形状を有する。そして、前記カバー90は、天井面に一対のガス抜き孔91,91を設けてある。また、前記カバー90は、対向する内側面に前記ベース10の係合爪部10aに係合する係合受け部92を設けてあるとともに、天井内面に位置規制リブ93(図5B)を突設してある。

このため、前記電磁石ブロック40を組み付けたベース10に前記カバー90を嵌合すると、前記ベース10の係合爪部10aに前記カバー90の係合受け部92が係合し、固定される。そして、前記位置規制リブ93が前記ヨーク55の水平部56に当接することにより、前記電磁石ブロック40の浮き上りを規制する(図5B)。さらに、前記ベース10の下面にシール材(図示せず)を注入,固化して密封することにより、組立作業が完了する。

本実施形態では、前記シール材を注入することにより、ベース10とカバー90との隙間をシールすると同時に、前記第1,第2永久磁石30,32および補助ヨーク31を前記ベース10に固定できる。このため、本実施形態によれば、作業工数が少なく、生産性の高い電磁継電器が得られる。

次に、前述の実施形態の動作について説明する。 前記電磁石ブロック40が励磁されていない場合には、図7および図8に示すように、復帰バネ63のバネ力で可動鉄片60が時計回りに付勢されている。このため、可動接点86a,86b,87a,87bが、固定接点21a,22a,23a,24aからそれぞれ開離している。

そして、前記コイル51に電圧を印加して励磁すると、可動鉄片60が鉄芯52の磁極部53に吸引され、前記可動鉄片60が、復帰バネ63のバネ力に抗し、反時計回りに回動する。このため、前記可動鉄片60と一体に可動接触片80,81が回動し、可動接点86a,86b,87a,87bが固定接点21a,22a,23a,24aにそれぞれ接触した後、可動鉄片60が鉄芯52の磁極部53に吸着する(図9)。

ついで、前記コイル51への電圧の印加を停止すると、前記復帰バネ63のバネ力で可動鉄片60が時計回りに回動し、可動鉄片60が鉄芯52の磁極部53から開離した後、可動接点86a,86b,87a,87bが固定接点21a,22a,23a,24aからそれぞれ開離し、元の状態に復帰する。

本実施形態によれば、図6および図7に示すように、可動接点86a,87bが固定接点21a,24aから開離したときにアーク110が生じても、第1永久磁石30の磁力線が補助ヨーク31を介して前記アーク110に作用する。このため、フレミングの左手の法則に基づき、発生した前記アーク110は前記ベース10のアーク消去空間19にローレンツ力で誘引され、引き伸ばされて消失する。

また、本実施形態によれば、第1永久磁石30だけで、前記アーク110を固定接点21a,24aの斜め後方に誘引し、消去できる。ここで、前記固定接点21a,24aの斜め後方とは、固定接点21a,24aから見て対向する可動接点86a,87bとは反対方向、かつ、ベースとは反対方向をいう。

さらに、前記補助ヨーク31を配置することにより、前記アーク110を左右方向に誘引でき、誘引方向を調整できる。ここで、前記アーク110の左右方向とは、固定接点21a,24aと可動接点86a,87bとが対向する方向に対して垂直方向、かつ、前記ベースの上面に対して平行な方向をいう。 したがって、本実施形態によれば、発生したアーク110が、カバー90の内面や電磁石ブロック40に接触することなく、斜め後方の適切な方向に引き伸ばされる。このため、より一層効率的に前記アーク110を消去できる。

そして、本実施形態によれば、固定接点21a,24aの後方に位置するデッドスペースをアーク消去空間19として有効利用するので、装置の大型化を回避できるという利点がある。

前記第1,第2永久磁石30,32および補助ヨーク31の形状、大きさ、材質、配置等は前述のものに限らず、必要に応じて変更できることは勿論である。

実施例1は、第1,第2永久磁石30,32と補助ヨーク31とを組み合わせた場合の磁力線の方向および強弱を解析したものである。 解析結果として、磁力線の方向をベクトル線(図14)で図示するとともに、磁力線の強弱を濃淡(図15)で図示する。

実施例2は補助ヨーク31を設けない点を除き、他は前述の実施例1と同様に配置した場合の磁力線の方向および強弱を解析したものである。 解析結果として、磁力線の方向をベクトル線(図16)で図示するとともに、磁力線の強弱を濃淡(図17)で図示する。

図14,図15から第1,第2永久磁石30,32の磁力線が固定接点21a,22a,23a,24aと可動接点86a,86b,87a,87bとの間にどの様に、かつ、どの程度、作用しているかを確認できた。 また、図14,図15と図16,図17とを比較することにより、補助ヨーク31を設けると、永久磁石の磁力線の方向および磁力線の強さの分布が変化することを確認できた。

第2実施形態は、図18ないし図20に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は、磁界発生手段35に補助ヨークを設けない点である。また、別の異なる点は、第1永久磁石30の磁束密度を第2永久磁石32の磁束密度よりも大きくした点である。 同一部分については、同一番号を付して説明を省略する。

本実施形態では、例えば、図18,図19に示すように、第1永久磁石30の磁束密度を第2永久磁石32の磁束密度よりも大きくしてある。このため、固定接点23aと可動接点87aとの間で発生したアーク112よりも、固定接点24aと可動接点87bとの間で発生したアーク111に大きな磁力が作用する。この結果、可動接触片81が回動して復帰する際に、固定接点23aと可動接点87aとの間で発生したアーク112が第2永久磁石32によって所定の長さまで引き延ばされる時間よりも、固定接点24aと可動接点87bとの間で発生したアーク111が第1永久磁石30によって同じ長さまで引き延ばされる時間が短い。 要するに、前記アーク111を所定の長さに引き伸ばす時間は、前記アーク112のそれよりも短い。

したがって、同一時間であれば、固定接点24aと可動接点87bとの間で発生したアーク111を、固定接点23aと可動接点87aとの間で発生したアーク112よりも長く引き伸ばすことができる。そして、前記アーク111を第1永久磁石30によってアーク消去空間19に誘引して遮断すれば、可動接点87aと可動接点87bとは導通しているため、アーク112も同時に遮断される。これにより、アーク112を長く引き伸ばす前に前記アーク112を遮断できる。 なお、アーク111を十分な長さまで引き延ばし、早期に遮断できれば、アーク111,112の発熱に伴う固定接点24a,23aと可動接点87b,87aとの間の空間の絶縁劣化を軽減できる。これにより、アーク111,112の再発生を防止できる。

本実施形態によれば、同一時間内にアーク111をアーク112より長く引き伸ばすことができる。このため、アーク112が引き伸ばされる前に、発生したアーク111を十分な長さまで引き延ばして遮断できれば、アーク112が同時に遮断されるため、アーク112を長く引き伸ばす必要がない。この結果、アーク112を消去するために大きなスペースを必要としない。また、アーク112が樹脂成形品に接触することがなく、塵埃や有機ガスの発生による絶縁劣化という問題も生じない。 したがって、本実施形態によれば、大電流を流しても、アークによる絶縁劣化の問題が生じない小型の電磁継電器が得られる。

第3実施形態は、図21および図22に示すように、可動接触片80,81の厚さ寸法に段差を設け、同一高さ寸法の可動接点86a,86bおよび可動接点87a,87bをそれぞれ固定した場合である。このため、固定接点21aと可動接点86aとの接点間距離は、固定接点22aと可動接点86bとの接点間距離よりも大きい。同様に、固定接点24aと可動接点87bとの接点間距離は、固定接点23aと可動接点87aとの接点間距離よりも大きい。

このため、例えば、図22に示すように、動作状態の可動接触片81を回動させて復帰させる際に、可動接点87aが固定接点23aから開離する前、すなわちアーク112が発生する前に、可動接点87bが固定接点24aから開離し、アーク111が発生する。 すなわち、アーク112が発生する前、あるいは、アーク112が発生した時には、アーク111は第1永久磁石30によって既に長く引き伸ばされた状態にある。そして、アーク111を、アーク消去空間19を利用して十分な長さに引き伸ばして遮断すれば、可動接点87aと可動接点87bとは導通しているため、アーク112も同時に遮断される。これにより、アーク112を長く引き伸ばす前に遮断できる。 なお、アーク111を十分な長さまで引き延ばして遮断すれば、アーク111,112の発熱に伴う固定接点24a,23aと可動接点87b,87aとの間の空間の絶縁劣化を軽減できる。これにより、アーク111,112の再発生を防止できる。

本実施形態によれば、段差を設けた可動接触片80,81に、可動接点86a,86b,87a,87bをそれぞれ設けるだけで接点間距離を調整できる。このため、アーク111とアーク112との発生のタイミングを簡単に調整できる。 すなわち、接点間距離を適当な寸法に調整すれば、アーク112が発生する前に、第2永久磁石32によってアーク111を十分な長さまで引き延ばすことができる。このため、アーク111を第1永久磁石30によって十分な長さに引き延ばし、アーク消去空間19に誘引して遮断すれば、可動接点87aと可動接点87bとは導通しているため、アーク112も同時に遮断される。これにより、アーク112を長く引き伸ばす前に遮断できる。この結果、アーク112を消去するために大きなスペースを必要としない。また、アーク112が樹脂成形品に接触することがなく、塵埃や有機ガスの発生による絶縁劣化の問題も生じない。 したがって、本実施形態によれば、接点間距離を調整するという簡単な構成だけで、大電流を流してもアークによる絶縁劣化の問題が生じない小型の電磁継電器が得られる。

第4実施形態は、図23および図24に示すように、固定接点21aの高さ寸法を固定接点22aの高さ寸法よりも小さくし、また、固定接点24aの高さ寸法を固定接点23aの高さ寸法をよりも小さくすることにより、接点間距離を調整した場合である。 したがって、固定接点21aと可動接点86aとの接点間距離は、固定接点22aと可動接点86bとの接点間距離よりも大きい。同様に、固定接点24aと可動接点87bとの接点間距離は、固定接点23aと可動接点87aとの接点間距離よりも大きい。

本実施形態では、図24に示すように、動作状態の可動接触片81を回動させて復帰させる際に、可動接点87aが固定接点23aから開離する前、すなわち、アーク112が発生する前に、可動接点87bが固定接点24aから開離し、アーク111が発生する。このため、アーク112が発生する前、あるいは、アーク112が発生した時には、アーク111は第1永久磁石30によって既に長く引き伸ばされた状態にある。この結果、アーク消去空間19を利用してアーク111を十分な長さに引き伸ばして遮断すれば、可動接点87aと可動接点87bとは導通しているため、アーク112も同時に遮断される。これにより、アーク112を長く引き伸ばす前に遮断できる。 なお、アーク111を十分な長さまで引き延ばして遮断すれば、アーク111,112の発熱に伴う固定接点24a,23aと可動接点87b,87aとの間の空間の絶縁劣化を軽減できる。これにより、アーク111,112の再発生を防止できる。

本実施形態によれば、固定接点21a,24aの高さ寸法を小さくするだけで接点間距離を調整できる。このため、アーク111とアーク112との発生のタイミングを簡単に調整できる。 すなわち、接点間距離を適当な値に調整すれば、アーク112が発生する前に、あるいは、アーク112が発生した時には、第2永久磁石32によってアーク111を十分な長さまで引き延ばすことができる。このため、アーク111を第1永久磁石30によって十分な長さに引き延ばし、アーク消去空間19に誘引して遮断すれば、可動接点87aと可動接点87bとは導通しているため、アーク112も同時に遮断される。これにより、アーク112を長く引き伸ばす前に遮断できる。

なお、隣り合う一対の可動接点86a,86b、あるいは、隣り合う一対の可動接点87a,87bの高さ寸法をそれぞれ異ならしめることにより、接点間距離を調整してもよいことは勿論である。

第5実施形態は、図25および図26に示すように、可動接触片80を傾斜させることにより、固定接点21aと可動接点86aとの接点間距離を、固定接点22aと可動接点86bとの接点間距離よりも大きくしている。同様に、可動接触片81を傾斜させることにより、固定接点24aと可動接点87bとの接点間距離を、固定接点23aと可動接点87aとの接点間距離よりも大きくしている。ただし、固定接点21aと可動接点86aとの接点間距離は、固定接点24aと可動接点87bとの接点間距離と同一である。

本実施形態では、図26に示すように、動作状態の可動接触片81を回動させて復帰させる際に、可動接点87aが固定接点23aから開離する前、すなわち、アーク112が発生する前に、可動接点87bが固定接点24aから開離してアーク111を発生する。このため、アーク112が発生する前、あるいは、アーク112が発生した時には、アーク111は第1永久磁石30によって既に長く引き伸ばされた状態にある。この結果、アーク消去空間19を利用してアーク111を十分な長さに引き伸ばして遮断すれば、可動接点87aと可動接点87bとは導通しているため、アーク112も同時に遮断される。これにより、アーク112を長く引き伸ばす前に遮断できる。 なお、アーク111を十分な長さまで引き延ばして遮断すれば、アーク111,112の発熱に伴う固定接点24a,23aと可動接点87b,87aとの間の空間の絶縁劣化を軽減できる。これにより、アーク111,112の再発生を防止できる。

本実施形態によれば、既存の部品である可動接触片80,81に捩り加工を施すだけで、可動接触片80,81を傾斜させることができる。このため、新たな製造設備の設置を少なくでき、生産コストの上昇を抑制できるという利点がある。

前述の実施形態に係る電磁継電器に高負荷を作用させた場合のアーク発生状況を以下のように測定した。

実施例3は、補助ヨークを備えておらず、かつ、接点間距離を全て同一とした第 2実施形態(図18ないし図20)に係る電磁継電器について測定した。 第1永久磁石30による固定接点21a,24aと、可動接点86a,87bとの接触時における前記接点近傍の磁束密度を46mTとした。また、第2永久磁石32による固定接点22a,23aと、可動接点86b,87aとの接触時における前記接点近傍の磁束密度を24mTとした。 そして、固定接点端子22と固定接点端子23とを図示しない抵抗を介して接続し、固定接点端子21と固定接点端子24との間に1000Vの電圧を印加した場合のアークの発生状況を測定した。なお、前記抵抗の値は、固定接点21a,22a,23a,24aと、可動接点86a,86b,87a,87bとがそれぞれ接触した状態で15Aの電流が流れるように定めてある。測定結果を図27のグラフ図に示す。

図27において、V1は固定接点21aと可動接点86aとの間の電圧を示す。V2は固定接点22aと可動接点86bとの間の電圧を示す。V3は固定接点23aと可動接点87aとの間の電圧を示す。V4は固定接点24aと可動接点87bとの間の電圧を示す。また、t1は固定接点21a,22a,23a,24aと、可動接点86a,86b,87a,87bとの開離時におけるアークの発生からアークが伸長し始めるまでの時間を示す。さらに、t2はアークが伸長し始めてからアークの遮断が完了するまでの時間を示す。そして、t1+t2はアーク継続時間を示す。なお、V1,V2,V3,V4およびt1,t2は、後述する図28、図29においても同様とする。

図27のグラフ図によれば、後述する比較例1(図29)と比較すると、第1永久磁石30の磁束密度を第2永久磁石32の磁束密度より高くしてある。このため、固定接点21a,24aと、可動接点86a,87bとの開離時におけるアークの発生からアークが伸長し始めるまでの時間t1が短くなっていることを確認できた。 また、固定接点21a,22a,23a,24aと、可動接点86a,86b,87a,87bとの各々におけるアーク継続時間t1+t2も短くなっていることを確認できた。 さらに、図27のグラフ図によれば、時間t2の間におけるアークの発生,伸長,遮断を示す電圧波形の振動数が、比較例1における電圧波形の振動数より少ない回数で終了していることも確認できた。 特に、樹脂成形品の近傍に配置されている固定接点22a,23aと、可動接点86b,87aとの間の接点間電圧V2,V3の振動数が少なくなっている。このため、アークを確実に消去できることを確認できるとともに、アークの発生に伴う塵埃,有機ガスの発生を低減でき、絶縁劣化を確実に防止できることが判った。

実施例4は、補助ヨークを備えておらず、かつ、接点間距離が一様でない第5実施形態(図25,26)に係る電磁継電器について測定した。 第1,第2永久磁石30,32による固定接点21a,22a,23a,24aと、可動接点86a,86b,87a,87bとの接触時における当該接点近傍の磁束密度を24mTとした。そして、固定接点端子22と固定接点端子23とを図示しない抵抗を介して接続し、固定接点端子21と固定接点端子24との間に1000Vの電圧を印加し、アークの発生状況を測定した。測定結果を図28のグラフ図に示す。

図28のグラフ図によれば、後述する比較例1(図29)と比較すると、固定接点21a,24aと可動接点86a,87bとの接点間距離を、固定接点22a,23aと可動接点86b,87aとの接点間距離よりも大きくしている。このため、固定接点21a,22a,23a,24aと、可動接点86a,86b,87a,87bとの各々におけるアーク継続時間t1+t2が短くなっていることを確認できた。 さらに、図28のグラフ図によれば、時間t2の間におけるアークの発生,伸長,遮断を示す電圧波形の振動数が、比較例1における電圧波形の振動数より少ない回数で終了していることも確認できた。 特に、樹脂成形品の近傍に配置されている固定接点22a,23aと、可動接点86b,87aとの間の接点間電圧V2,V3の振動数が少なくなっている。このため、アークを確実に消去できることを確認できるとともに、アークの発生に伴う塵埃,有機ガスの発生を低減でき、絶縁劣化を確実に防止できることが判った。

比較例1

比較例1は、第1,第2永久磁石30,32による固定接点21a,22a,23a,24aと、可動接点86a,86b,87a,87bとの接触時における前記接点近傍の磁束密度を24mTとした点を除き、他は前述の実施例3と同様の条件でアークの発生状況を測定した。測定結果を図29のグラフ図に示す。

図29のグラフ図によれば、可動接点86a,86b,87a,87bと、対向する固定接点21a,22a,23a,24aとの間にそれぞれ発生したアークのアーク継続時間t1+t2が、実施例3,4におけるアーク継続時間t1+t2よりも長いことを確認できた。この結果、磁束密度や接点間隔を適切に可変することによって、アーク継続時間を短くできることが判った。 また、時間t2の間におけるアークの発生,伸長,遮断を示す電圧波形の振動数は、実施例3,4の振動数よりも多い。特に、樹脂成形品の近傍に配置されている固定接点22aおよび固定接点23aの接点間電圧V2,V3の振動数が実施例3,4の振動数よりも格段に多い。この事実より、アークが何回も発生,伸長,遮断を繰り返していることが判った。

第2実施形態における電磁継電器(図30)の固定接点端子22と固定接点端子23とを図示しない抵抗を介して接続し、固定接点端子21と固定接点端子24との間に1000Vの電圧を印加して開閉試験を行い、アークの発生状況を測定した。 より具体的には、接点間電圧をオシロスコープで測定し、接点間電圧の変化を示す波形を得た。また、発生したアークを高速度カメラで撮影し、撮影したアークの画像を画像処理することにより、そのアーク長を測定した。そして、前記接点間電圧の波形に前記アーク長をプロットすることにより、アーク継続時間,接点間電圧およびアーク長の関係を示すグラフ図(図31)を得た。

図31から、図30に示す可動接触片80が動作位置から復帰位置の方向に回動し、可動接点86aが固定接点21aから開離した際に、アーク111Aが発生し、永久磁石30によって伸長したアーク111Bが遮断されるというサイクルを繰り返していることを確認できた。そして、接点間電圧とアーク長との間に相関関係があることも確認できた。

より詳細に説明すると、高電圧を印加した場合に、固定接点21aから可動接点86aが開離した瞬間に、前記固定接点21aと前記可動接点86aとの間にアーク111Aが発生する。開離動作の初期段階においては接点間距離が増大するにつれ、これに比例してアーク111Aも伸び、アーク111Aは接点間距離(約3mm)とほぼ同等のアーク長に達する。 その後、前記アーク111Aは第1永久磁石30の磁力で引き伸ばされ、対向する固定接点21aと可動接点86aとの接点間距離よりも長く引き伸ばされてアーク111Bとなる。そして、アーク111Bが存在する空間の絶縁抵抗が、対向する固定接点21aと可動接点86aとの間に位置する空間の絶縁抵抗よりも大きくなると、前記固定接点21aと前記可動接点86aとの間に新しいアーク111Aが発生する。これと同時に、伸長した前記アーク111Bが遮断される。ついで、発生した新しいアーク111Aが第1永久磁石30の磁力で前述と同様に引き伸ばされる。以後、同様なサイクルでアーク111Aが発生し、伸長したアーク111Bが遮断されるという現象が繰り返される。

通常、第2実施形態のようなダブルブレーク接点構造を有する電磁継電器(図19)であれば、可動接触片80の回動につれ、可動接点86a(87b)と固定接点21a(24a)との間、および、可動接点86b(87a)と固定接点22a(23a)との間でアーク111,112がそれぞれ同時に発生し、同様に引き伸ばされる。

しかし、第2実施形態に係る電磁継電器では、固定接点22a(23a)の近傍に配置した樹脂成形品にアーク112が接触しやすく、塵埃や有機ガスが発生しやすい。もしも、アーク112が樹脂成形品に接触することにより、塵埃や有機ガスが発生してしまうと、内部空間における絶縁劣化が起こり、絶縁抵抗が小さくなる。このため、例えば、可動接点86b(87a)と固定接点22a(23a)との間においてアーク112が増々、発生しやすくなる。この結果、可動接点86a,86bが完全に復帰した後においても、アーク111,112が発生,伸長,遮断を繰り返し、アーク111,112を完全に遮断するための時間が長くなる。これにより、繰り返して発生するアークが樹脂成形品に接触し、塵埃,有機ガスを発生し、接点寿命を短くするという悪循環が生ずることになる。

そこで、本願の発明者らは、前述の知見に基づき、近傍に樹脂成形品を配置していない可動接点86a(87b)と固定接点21a(24a)との間で発生したアーク111を、第1永久磁石30の磁力で優先的に誘引し、引き伸ばして早期に遮断することとした。これにより、近傍に樹脂成形品を配置した可動接点86b(87a)と固定接点22a(23a)との間でアーク112が発生しても、アーク112が伸長する前に、前記アーク111と同時にアーク112を遮断できる。この結果、アーク112の発生に伴う不具合を解消できることを確認し、本願発明を完成するに至った。

本発明は直流用電磁継電器に限らず、交流用電磁継電器に適用してもよい。 また、前記実施形態では、4極の電磁継電器に適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、少なくとも1極の電磁継電器に適用してもよい。 そして、1枚の可動接触片に2つ以上の可動接点を設けた2極以上の電磁継電器に適用してもよいことは勿論である。 さらに、本発明は電磁継電器に限らず、開閉器に適用してもよい。

10 ベース 10a 係合爪部 11 凹所 12 仕切り壁 13 段部 14 圧入孔 15a,15b,15c,15d 端子孔 16a,16b 端子孔 17 切り欠き溝 18 凹部 19 アーク消去空間 21〜24 固定接点端子 21a〜24a 固定接点 25 コイル端子 25a 接続部 25b 端子部 30 第1永久磁石 31 補助ヨーク 32 第2永久磁石 35 磁界発生手段 40 電磁石ブロック 41 スプール 42,43 鍔部 44 胴部 45 貫通孔 46 絶縁用リブ 47 係合孔 50 中継クリップ 51 コイル 52 鉄芯 53 磁極部 55 ヨーク 60 可動鉄片 70 スペーサ 71 凹部 72 絶縁用リブ 73 絶縁用リブ 74 可動台 80 可動接触片 81 可動接触片 82 巾広部 83 巾広部 84 裏打ち材 85 裏打ち材 86a,86b 可動接点 87a,87b 可動接点 90 カバー 91 ガス抜き孔 92 係合受け部 93 位置規制リブ 100 アーク遮断部材 101 突出し突起 102 リブ 103 リブ 104 舌片 110 アーク 111 アーク 111A アーク 111B アーク 112 アーク

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