ソレノイド装置

申请号 JP2013165396 申请日 2013-08-08 公开(公告)号 JP6078434B2 公开(公告)日 2017-02-08
申请人 株式会社デンソー; 株式会社日本自動車部品総合研究所; アンデン株式会社; 发明人 堀口 将且; 田中 健; 田中 智明; 伊藤 貴史;
摘要
权利要求

通電により磁束を発生する少なくとも1個の電磁コイル(2、2a、2b)と、 上記磁束が通る磁気回路の一部を構成する固定コア(3)と、 上記固定コア(3)と共に上記磁気回路を構成し、上記電磁コイル(2、2a、2b)への通電、非通電の切り替えに伴って上記固定コア(3)に対してそれぞれ進退するよう構成された複数のプランジャ(4、4a、4b、4c)とを備え、 上記磁気回路の一部には、該磁気回路に形成される上記磁束の抵抗となる磁気抵抗部(5)が設けてあり、 上記複数のプランジャ(4、4a、4b、4c)は、少なくとも1個の上記電磁コイル(2、2a、2b)への通電によって上記固定コア(3)に吸引されるよう構成されており、 上記磁気抵抗部(5)は、上記固定コア(3)の一部を上記磁路の方向に分断するギャップによって構成されていることを特徴とするソレノイド装置(1)。上記複数のプランジャ(4、4a、4b、4c)が上記固定コア(3)に吸引された複数吸引状態は、1個の上記電磁コイル(2、2a、2b)への通電によって維持されるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のソレノイド装置(1)。上記複数のプランジャ(4、4a、4b、4c)が、上記固定コア(3)によって磁気的に並列接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のソレノイド装置(1)。上記ギャップは、上記固定コア(3)における上記磁路の方向に直交する方向の全体にわたり、一定の寸法にて形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のソレノイド装置(1)。上記ギャップには、上記固定コア(3)よりも透磁率の低い低透磁率部材(51)が配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のソレノイド装置(1)。上記電磁コイル(2、2a、2b)は複数個配設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のソレノイド装置(1)。

说明书全文

本発明は、複数のプランジャを有するソレノイド装置に関する。

複数の電磁コイルと、複数のプランジャと、固定コアとを有するソレノイド装置が知られている(下記特許文献1参照)。このソレノイド装置は、電磁コイルへ通電することにより磁を発生させ、プランジャを固定コアに吸引するよう構成されている。また、プランジャと固定コアとの間には、ばね部材が配置されている。電磁コイルへの通電を停止すると磁力が低下し、ばね部材の弾性力によってプランジャが固定コアから離隔する。このようにして、プランジャを進退動作させている。

そして、上記ソレノイド装置は、各プランジャを個別の電磁コイルによって進退動作させるよう構成されている。これにより、複数のプランジャのうち進退動作させたいプランジャに対応する電磁コイルに通電し、或いは通電を切ることで、当該プランジャを固定コアに対して進退させることができる。

特開2010−287455号公報

しかしながら、上記ソレノイド装置において、複数のプランジャを固定コアに吸引した複数吸引状態を維持するために、電磁コイルへの通電を維持する必要がある。それゆえ、複数吸引状態を長時間維持する必要がある場合、消費電力が大きくなってしまうという問題がある。

本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、消費電力を低減することができるソレノイド装置を提供しようとするものである。

本発明の一態様は、通電により磁束を発生する少なくとも1個の電磁コイルと、 上記磁束が通る磁気回路の一部を構成する固定コアと、 上記固定コアと共に上記磁気回路を構成し、上記電磁コイルへの通電、非通電の切り替えに伴って上記固定コアに対してそれぞれ進退するよう構成された複数のプランジャとを備え、 上記磁気回路の一部には、該磁気回路に形成される上記磁束の抵抗となる磁気抵抗部が設けてあり、 上記複数のプランジャは、少なくとも1個の上記電磁コイルへの通電によって上記固定コアに吸引されるよう構成されており、 上記磁気抵抗部は、上記固定コアの一部を上記磁路の方向に分断するギャップによって構成されていることを特徴とするソレノイド装置にある。

上記ソレノイド装置において、上記磁気回路の一部には上記磁気抵抗部が設けてある。これにより、効率的に複数吸引状態を維持することができる。すなわち、磁気抵抗部を磁気回路の適切な部位に設けることにより、電磁コイルによって生じる磁束を、磁気回路における複数のプランジャのそれぞれを含む複数の閉磁路に適切に形成することが可能となる。それゆえ、電磁コイルによる複数吸引状態の維持を効果的に実現することができる。その結果、ソレノイド装置における消費電力を低減することができる。

以上のごとく、本発明によれば、消費電力を低減することができるソレノイド装置を提供することができる。

実施例1における、ソレノイド装置を用いた電磁継電器の断面図。

実施例1における、ソレノイド装置が複数吸引状態にある電磁継電器の断面図。

実施例1における、磁気抵抗部が形成された底部コアの底面図。

実施例1における、磁気抵抗部に低透磁率部材を配置した底部コアの底面図。

実施例1における、直流電源とインバータとの間に電磁継電器を用いた回路図。

参考例における、磁気抵抗部が形成された底部コアの底面図。

実施例3における、ソレノイド装置を用いた電磁継電器の断面図。

実施例3における、ソレノイド装置の第1のプランジャと第2のプランジャが吸引状態にある電磁継電器の断面図。

実施例3における、ソレノイド装置を複数吸引状態とした電磁継電器の断面図。

実施例3における、ソレノイド装置を複数吸引状態に維持している電磁継電器の断面図。

実施例4における、ソレノイド装置を用いた電磁継電器の断面図。

実施例5における、ソレノイド装置を用いた電磁継電器の断面図。

実施例5における、ソレノイド装置の第1のプランジャが吸引状態にある電磁継電器の断面図。

実施例5における、ソレノイド装置を複数吸引状態とした電磁継電器の断面図。

実施例5における、ソレノイド装置を複数吸引状態に維持している電磁継電器の断面図。

実施例6における、ソレノイド装置を用いた電磁継電器の断面図。

実施例6における、ソレノイド装置を複数吸引状態とした電磁継電器の断面図。

実施例6における、ソレノイド装置を複数吸引状態に維持している電磁継電器の断面図。

実施例7における、ソレノイド装置を用いた電磁継電器の断面図。

実施例7における、固定コアの斜視図。

上記ソレノイド装置は、例えば、複数のスイッチ部を備えた電磁継電器に用いることができる。すなわち、複数のプランジャの進退動作によって、それぞれ異なるスイッチ部を開閉するよう構成することができる。 本明細書において、複数のプランジャが固定コアに吸引された状態を、複数吸引状態という。また、上記磁気抵抗部は、磁気回路における他の部位よりも磁気抵抗が大きい部分をいい、例えば、プランジャの一部に設けてもよいし、固定コアの一部に設けてもよい。

また、上記複数のプランジャが上記固定コアに吸引された複数吸引状態は、1個の上記電磁コイルへの通電によって維持されるよう構成されていることが好ましい。この場合には、複数の電磁コイルを用いることなく、複数のプランジャの吸引状態を維持することができるため、その消費電力を低減することができる。特に、複数のプランジャを固定コアへ吸引した状態を長時間維持する場合にも、その消費電力を大幅に低減することができる。

また、上記複数のプランジャが、上記固定コアによって磁気的に並列接続されていることが好ましい。この場合には、1個の電磁コイルによる複数吸引状態の維持を効果的に実現することができる。

また、上記磁気抵抗部は、上記固定コアの一部を磁路の方向に分断するギャップによって構成されている。これにより、磁気抵抗部を容易に形成することができる。

上記ギャップには、上記固定コアよりも透磁率の低い低透磁率部材が配置されていてもよい。この場合にも、磁気抵抗部を容易に形成することができる。また、固定コアの剛性を向上させることができる。

また、上記磁気抵抗部は、上記固定コアにおける磁路の方向に対して直交する断面の断面積を他の部分よりも小さくした小断面積部によって構成することもできる。この場合には、上記小断面積部の断面積を十分に小さくすることで、磁気飽和を生じさせることにより、所定の閉磁路における磁束を適切に制限することもできる。

(実施例1) 上記ソレノイド装置の実施例につき、図1〜図5を用いて説明する。 本例のソレノイド装置1は、図1、図2に示すごとく、通電により磁束を発生する電磁コイル2と、磁束が通る磁気回路の一部を構成する固定コア3と、固定コア3と共に磁気回路を構成する複数のプランジャ4とを備えている。複数のプランジャ4は、電磁コイル2への通電、非通電の切り替えに伴って固定コア3に対してそれぞれ進退するよう構成されている。

磁気回路の一部には、磁気回路に形成される磁束の抵抗となる磁気抵抗部5が設けてある。 複数のプランジャ4は、電磁コイル2への通電によって固定コア3に吸引されるよう構成されている。 複数のプランジャ4が固定コア3に吸引された複数吸引状態は、1個の電磁コイル2への通電によって維持されるよう構成されている。

本例において、プランジャ4は2個配設されている。2個のプランジャ4(4a、4b)は互いに別体に構成されている。そして、2個のプランジャ4が、固定コア3によって磁気的に並列接続されている。2個のプランジャ4は、互いに平行に配されており、電磁コイル2への通電、非通電の切り替えによって、互いに平行に進退するよう構成されている。また、2つのプランジャ4の並び方向(以下において、適宜「X方向」という。)において、電磁コイル2は、2つのプランジャ4の間に配設されている。そして、電磁コイル2の軸方向は、プランジャ4の進退方向(以下において、適宜「Z方向」という。)と平行となっている。

固定コア3は、電磁コイル2の内側を貫通するように配された中央コア31と、プランジャ4とZ方向に対向して配置される対向コア32と、中央コア31とプランジャ4とを磁気的に連結する上部コア33と、中央コア31と対向コア32とを磁気的に連結する底部コア34とを有する。中央コア31は1個であり、対向コア32は2個である。これにより、中央コア31と上部コア33と第1のプランジャ4aと対向コア32と底部コア34とによって、1つの閉磁路〔後述する磁束φ1(図2)が形成される閉磁路〕が形成される。同様に、中央コア31と上部コア33と第2のプランジャ4bと対向コア32と底部コア34とによって、他の1つの閉磁路〔後述する磁束φ2(図2)が形成される閉磁路〕が形成される。これら2つの閉磁路は、1つの中央コア31を共有している。なお、「上部」、「底部」等の表現は、便宜的なものであり、上部コア33及び底部コア34の位置関係を特に限定するものではない。以下においても、これらと同様の表現は、特に示さない限り、位置関係を限定するものではない。

また、プランジャ4は、その少なくとも一部が磁性体部41からなる。本例においては、プランジャ4における磁性体部41が、上部コア33に対して摺動しつつ、対向コア32に対して対向している。そして、磁性体部41における対向コア32と反対側に、樹脂製の当接部42が設けてある。プランジャ4は、当接部42において、固定接点支持部152に当接するよう構成されている。

プランジャ4と対向コア32との間には、プランジャ4を対向コア32から離れる方向へ付勢するプランジャ押圧部材11が設けてある。プランジャ押圧部材11は、例えばコイルばねによって構成することができる。 また、磁気抵抗部5は、底部コア34の一部に形成されている。本例において、磁気抵抗部5は、固定コア3(底部コア34)の一部を磁路の方向に分断するギャップによって構成されている。磁気抵抗部5を構成するギャップは、図3に示すごとく、空隙(エアギャップ)としておいてもよいし、図4に示すごとく、ギャップには、固定コア3よりも透磁率の低い低透磁率部材51を配置してもよい。低透磁率部材51としては、例えば樹脂を用いることができる。ギャップに樹脂等の低透磁率部材51を配置した場合、磁気抵抗部5をエアギャップによって構成した場合に比べ、固定コア3の剛性を向上させることができる。

図1、図2に示すごとく、本例のソレノイド装置1は、電磁継電器10に用いられている。電磁継電器10のケース14内には、ソレノイド装置1と2個のスイッチ部15とが収納されている。個々のスイッチ部15は、可動接点151を支持する導体からなる1個の可動接点支持部152と、固定接点153を支持する導体からなる2個の固定接点支持部154とを備える。ケース14の上壁と可動接点支持部152との間には、可動接点支持部152をZ方向における固定接点支持部154側へ押圧する接点押圧部材12が配設されている。接点押圧部材12も、コイルばね等によって構成することができる。ただし、接点押圧部材12はプランジャ押圧部材11よりも押圧力(ばね定数)が小さい。

ソレノイド装置1の2個のプランジャ4の当接部42は、2個の固定接点支持部152のそれぞれに当接することができるよう構成されている。そして、図1、図2に示すごとく、プランジャ4を進退動作させることにより、可動接点151と固定接点153とを接離させている。これにより、可動接点支持部152を通して2個の固定接点支持部154の間に電流が流れるオン状態(図2参照)と、電流が流れないオフ状態(図1参照)とを切り替えることができるよう構成されている。

具体的には、オフ状態(図1)から、電磁コイル2へ通電することにより、図2に示すごとく、第1のプランジャ4aを含む閉磁路と、第2のプランジャ4bを含む閉磁路との双方に、それぞれ磁束φ1、φ2が形成され、2つのプランジャ4が、それぞれ固定コア3(対向コア32)に吸引される。これにより、プランジャ4に押し上げられていた可動接点支持部152がソレノイド装置1側へ移動し、可動接点151が固定接点153に接触し、オン状態(図2)となる。

そして、2つのスイッチ部15(15a、15b)がオン状態となった後においては、電磁コイル2への通電を維持することで、オン状態を維持する。また、オン状態からオフ状態に切り換える際には、電磁コイル2への通電を切ることで、固定コア3によるプランジャ4の吸引を解除する。これにより、プランジャ押圧部材11の付勢力により、2つのプランジャ4が可動接点支持部152を押し上げるように駆動して、スイッチ部15が切断されることとなる。

本例のソレノイド装置1を備えた電磁継電器10は、図5に示すごとく、インバータ61と直流電源6との接続に用いられる。インバータ61は直流電源6の直流電力を交流電力に変換しており、この交流電力によって三相交流モータ63を駆動するよう構成されている。電磁継電器10は、上述した2つのスイッチ部15を有する。この2個のスイッチ部15のうち一方のスイッチ部15aは、直流電源6の正電極とインバータ61との間を繋ぐ正側電力ライン64に設けられ、他方のスイッチ部15bは、直流電源6の負電極とインバータ61との間を繋ぐ負側電力ライン65に設けられている。そして、制御回路62からの信号によって電磁継電器10のオン状態とオフ状態とを切り替えることにより、インバータ61を直流電源6に接続したり、遮断したりすることができる。図5に示す電源システムは、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車において用いることができる。

電磁継電器10をオン状態からオフ状態に切り替える際に、2個のスイッチ部15(15a、15b)のうち一方のスイッチ部15が溶着することがある。この場合でも、他方のスイッチ部15をオフにすることができれば、インバータ61に流れる直流電流Iを遮断できるよう構成されている。

次に、本例の作用効果につき説明する。 上記ソレノイド装置1において、複数吸引状態は、1個の電磁コイル2への通電によって維持されるよう構成されている。それゆえ、複数の電磁コイル2を用いることなく、複数のプランジャ4の吸引状態を維持することができるため、その消費電力を低減することができる。

また、磁気回路の一部には磁気抵抗部5が設けてある。これにより、1個の電磁コイル2によって複数吸引状態(図2)を容易に実現することができる。すなわち、磁気抵抗部5を磁気回路の適切な部位に設けることにより、1個の電磁コイル2によって生じる磁束φ1、φ2を、磁気回路における複数のプランジャ4のそれぞれを含む複数の閉磁路に適切に形成することが可能となる。それゆえ、1個の電磁コイル2による複数吸引状態の維持を効果的に実現することができる。

より具体的に説明すると、上記のような2つの閉磁路が存在する場合、電磁コイル2へ通電したとき、2つの閉磁路のうち、より磁気抵抗が小さい閉磁路に、まず磁束φ1が形成されることとなる。これにより、第1のプランジャ4aが固定コア3(底部コア32)に吸引される。これにより、さらに、この一方の閉磁路の磁気抵抗が小さくなるため、他方の閉磁路に磁束φ2が形成され難くなる。ここで、一方の閉磁路に磁気抵抗部5がないと、電磁コイル2に大きな電流を流して大きな起磁力を生じさせても、他方の閉磁路への磁束φ2の形成が困難となる。

すなわち、プランジャ4aが吸引された場合、磁束φ1が通る磁気回路の磁気抵抗は極小となり、仮に磁気抵抗部5がないと、磁束φ1は非常に大きくなる。その結果、磁束φ1と磁束φ2との共通の磁気回路である中央コア31における磁束密度が大きくなり、磁気飽和に近づいていく。つまり、中央コア31の部分の磁気抵抗が高くなる。その結果、磁束φ2が小さく制限されてしまい、プランジャ4bの吸引が難しくなる。 そこで、閉磁路に磁気抵抗部5を設けることにより、一方の閉磁路に形成される磁束φ1の大きさを制限することで、他方の閉磁路へも十分に磁束φ2が形成されるようにすることができる。

これにより、2つの閉磁路に形成される磁束φ1、φ2の大きさのばらつきを抑制することができる。その結果、電磁コイル2に流す電流を特に大きくしなくても、2つのプランジャ4を安定して吸引することができ、複数吸引状態を維持する際に消費する消費電力を抑制することができる。

特に、複数のプランジャ4を固定コア3へ吸引した状態を長時間維持する場合に、その消費電力を大幅に低減することができる。つまり、本例のように、インバータ61と直流電源6との間に接続される電磁継電器10にソレノイド装置1を用いる場合、インバータ61の稼働時は、常に2つのスイッチ部15(15a、15b)をオン状態とすることとなる。この2つのスイッチ部15をオン状態に保つために、2つのプランジャ4(4a、4b)を固定コア3へ吸引しておく複数吸引状態を保つ必要がある。つまり、インバータ61の稼働時は、常時、複数吸引状態を保つ必要がある。それゆえ、1個の電磁コイル2への通電で複数吸引状態を維持することができ、しかも、特に大きな電流を電磁コイル2に流さなくても複数吸引状態を維持することができるということは、ソレノイド装置1の消費電力を大きく低減することができるということとなる。 また、本例のソレノイド装置1は、電磁コイル2が1個であるため、製造コストの低減及び小型化が容易である。

また、本例のソレノイド装置1においては、磁気抵抗部5が、固定コア3の一部を磁路の方向に分断するギャップによって構成されている。それゆえ、後述する参考例に示すような小断面積部52(図6)を磁気抵抗部5として設ける場合に比べ、磁気設計が容易となる。すなわち、小断面積部52によって磁気抵抗部5を構成する場合、1つの電磁コイル2で複数のプランジャ4を吸引保持するためには、先に吸引したプランジャ4を含む閉磁路を飽和させる必要がある。

ここで、プランジャ4の吸引しはじめにおいては小断面積部52の磁気抵抗は小さいが、吸引完了付近においては、プランジャ4と対向コア32との間のギャップが小さくなることにより、閉磁路全体の磁気抵抗が小さくなり、小断面積部52における磁束密度が大きくなる。このとき、先に吸引したプランジャ4を含む閉磁路が通過する小断面積部52が磁気飽和して、磁気抵抗が高くなるようにする必要がある。つまり、1つの磁気コイル2によって複数吸引状態を維持するのに適切な磁気抵抗を磁気回路にもたせるためには、磁気飽和の領域を的確に見定める必要がある。ところが、BHカーブは固体差をもつため、個体差を考慮した磁気設計が必要となる。 これに対して、本例のように、ギャップによって磁気抵抗部5を構成した場合、ギャップの距離と面積とによって一定の磁気抵抗値を容易に設計できるというメリットがある。

以上のごとく、本例によれば、消費電力を低減することができるソレノイド装置を提供することができる。

(参考例) 本例は、図6に示すごとく、磁気抵抗部5が、固定コア3における磁路の方向に対して直交する断面の断面積を他の部分よりも小さくした小断面積部52によって構成した例である。 すなわち、固定コア3の一部に貫通孔35を設けることにより、上記小断面積部52を形成し、これを磁気抵抗部5としている。 その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。

本例の場合にも、実施例1と同様に、磁気抵抗部5を設けることにより、特に大きな電流を電磁コイル2に流すことなく、2つの閉磁路に磁束を十分に形成することができる。また、小断面積部52の断面積を十分に小さくすることで、磁気飽和を生じさせることにより、所定の閉磁路における磁束を適切に制限することもできる。 その他、実施例1と同様の作用効果を有する。

(実施例3) 本例は、図7に示すごとく、2個の電磁コイル2と3個のプランジャ4とを備えたソレノイド装置1の例である。 2個の電磁コイル2(2a、2b)の軸方向と、3個のプランジャ4(4a、4b、4c)の軸方向とは、すべて平行である。2つの電磁コイル2a、2bのうち一方の電磁コイル2aは、第1のプランジャ4aと第2のプランジャ4bとの間に配置されている。また、他方の電磁コイル2bは、第2のプランジャ4bと第3のプランジャ4cとの間に配置されている。

本例のソレノイド装置1においては、固定コア3が、2個の中央コア31と3個の対向コア32とを有する。そして、中央コア31とプランジャ4とをつなぐように、上部コア33が配設され、中央コア31と対向コア32とをつなぐように、底部コア34が配設されている。そして、底部コア34に磁気抵抗部5が形成されている。

本例のソレノイド装置1も、電磁継電器10に用いられている。電磁継電器10は、3個のプランジャ4(4a、4b、4c)のそれぞれによって接離する3個のスイッチ部15(15a、15b、15c)を有する。

次に、本例のソレノイド装置1(電磁継電器10)の作動の一例を説明する。 まず、3個のスイッチ部15がオフとなっている状態(図7の状態)から、一方の電磁コイル2aへ通電することにより、図8に示すごとく、第1のプランジャ4aを含む閉磁路と、第2のプランジャ4bを含む閉磁路とに、磁束φ1、φ2が形成され、2つのプランジャ4が、それぞれ固定コア3(対向コア32)に吸引される。これにより、2つのプランジャ4(4a、4b)にそれぞれ押し上げられていた2つの可動接点支持部152がソレノイド装置1側へ移動し、可動接点151が固定接点153に接触し、2つのスイッチ部15a、15bがオン状態となる。 このとき、第1の電磁コイル2aの内側を通りつつ第3のプランジャ4cを通る閉磁路にも、磁束φ3は形成され得るが、この閉磁路の磁気抵抗は比較的大きいため、この段階では第3のプランジャ4cは対向コア32に吸引されない。

なお、この閉磁路の磁気抵抗は、第2の電磁コイル2bの内側の中央コア31と、第3のプランジャ4cと対向する対向コア32との間における底部コア34に設けられた磁気抵抗部5によって調整することができる。

次いで、第1の電磁コイル2aへの通電を維持しつつ、図9に示すごとく、第2の電磁コイル2bへも通電する。これにより、第2の電磁コイル2bから第3のプランジャ4cにも磁束が流れ、第3のプランジャ4cを含む閉磁路にも十分に磁束φ4が形成され、第3のプランジャ4cが、固定コア3(対向コア32)に吸引される。これにより、スイッチ部15cもオン状態となる。

このように、3つのプランジャ4が対向コア32に吸引された複数吸引状態においては、上述の3つの閉磁路における磁気抵抗が小さくなっている。そこで、図10に示すごとく、2つの電磁コイル2のうちの1つ(例えば第2の電磁コイル2b)への通電を切って、他の1つの電磁コイル2(例えば第1の電磁コイル2a)による起磁力のみによって3つのプランジャ4の吸引状態を維持する。これにより、3個のプランジャ4を対向コア32に吸引させておく複数吸引状態を、低い消費電力にて維持することができる。

その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。

本例の場合には、3個のプランジャ4を備えたソレノイド装置1において、消費電力を低減することができる。 その他、実施例1と同様の作用効果を有する。

(実施例4) 本例は、図11に示すごとく、1個の電磁コイル2と2個のプランジャ4とを有するソレノイド装置1であって、一方のプランジャ4(4a)を電磁コイル2の内側に配置した例である。 具体的には、第1のプランジャ4aが電磁コイル2の内側に配置され、第2のプランジャ4bが電磁コイル2の外側に配置されている。そして、2つのプランジャ4a、4bは、互いに平行に配置されている。

また、固定コア3は、各プランジャ4に対向配置された2つの対向コア32と、両者をつなぐ底部コア34と、2つのプランジャ4を磁気的につなぐ上部コア33とを有する。また、固定コア3は、底部コア34と上部コア33とを電磁コイル2の外側においてつなぐ側部コア36を有する。側部コア36は、X方向において、電磁コイル2に対して第2のプランジャ4bから遠い側の側面に隣接する位置に配置されている。そして、底部コア34のうち、第1のプランジャ4aに対向する対向コア32と側部コア36との間の領域の一部に、磁気抵抗部5が形成されている。

次に、本例のソレノイド装置1(電磁継電器10)の作動の一例を説明する。 まず、2個のスイッチ部15がオフとなっている状態(図11の状態)から、電磁コイル2に通電すると、第1のプランジャ4aと側部コア36とを含む閉磁路に磁束が形成される。これにより、第1のプランジャ4aが対向コア32に吸引され、スイッチ部15aがオンとなる。

第1のプランジャ4aが対向コア32に吸引されることにより、2つのプランジャ4a、4bを含む閉磁路の磁気抵抗が小さくなる。このとき、第1のプランジャ4aと側部コア36とを含む閉磁路の磁気抵抗も小さくなるが、磁気抵抗部5の存在によって、この閉磁路に形成される磁束の大きさは制限される。それゆえ、他方の閉磁路(2つのプランジャ4a、4bを含む閉磁路)にも、十分な磁束が形成されることとなる。これにより、第2のプランジャ4bも対向コア32に吸引され、第2のスイッチ部15bもオンとなる。

この2つのプランジャ4が吸引された複数吸引状態においては、1つの電磁コイル2への通電により、上記2つの閉磁路に十分に磁束が形成される。そして、1つの電磁コイル2への通電によって、2つのプランジャ4の吸引状態を維持し、2つのスイッチ部15のオン状態を維持することができる。

その他は、実施例1と同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。

(実施例5) 本例は、図12に示すごとく、2個の電磁コイル2と2個のプランジャ4とを備えたソレノイド装置1の例である。 2つのプランジャ4(4a、4b)のそれぞれは、2つの電磁コイル2(2a、2b)のそれぞれの内側に配置されている。固定コア3は、2つのプランジャ4にそれぞれZ方向に対向配置された2個の対向コア32(第1の対向コア32a、第2の対向コア32b)を有する。2個の対向コア32(32a、32b)は、それぞれ底部コア34(第1の底部コア34a、第2の底部コア34b)に接続されている。また、第1のプランジャ4aと第2のプランジャ4bとは、第1連結コア371によって磁気的に連結されている。また、第1のプランジャ4aと第2の底部コア34bとは、第2連結コア372によって磁気的に連結されている。第2連結コア372の一部は、X方向において、2つの電磁コイル2の間に配置されている。

また、第1の底部コア34aと第1のプランジャ4aとは、第1の電磁コイル2aにおける第2の電磁コイル2bと反対側の外側を通る第1の側部コア36aによって連結されている。また、第2の底部コア34bと第2のプランジャ4bとは、第2の電磁コイル2bにおける第1の電磁コイル2aと反対側の外側を通る第2の側部コア36bによって磁気的に連結されている。そして、第2の底部コア34bにおける対向コア32bと側部コア36bとの間の一部に、磁気抵抗部5が形成されている。

次に、本例のソレノイド装置1の作動の一例を説明する。 2個のプランジャ4がいずれも対向コア32に吸引されていない状態(図12の状態)から、第1の電磁コイル2aに通電する。これにより、図13に示すごとく、第1のプランジャ4aと第1の側部コア36aを含む閉磁路に磁束φ1が形成され、第1のプランジャ4aが対向コア32aに吸引される。

次いで、第2の電磁コイル2bにも通電することで、図14に示すごとく、第2のプランジャ4bと第2の側部コア36bを含む閉磁路に磁束φ2が形成され、第2のプランジャ4bが対向コア32bに吸引される。そして、2つのプランジャ4がそれぞれ固定コア3(対向コア32)に吸引されていることで、2つのプランジャ4と第1連結コア371と第2連結コア372とを含む閉磁路の磁気抵抗が小さくなっている。また、磁束φ2が形成された閉磁路には磁気抵抗部5が形成されているため、この閉磁路に形成される磁束φ2の大きさは制限される。それゆえ、第2の電磁コイル2bへの通電に伴い、2つのプランジャ4と第1連結コア371と第2連結コア372とを含む閉磁路にも、磁束φ3が形成される。

そして、2つのプランジャ4が対向コア32に吸引された複数吸引状態を維持するにあたり、消費電力を低減すべく、図15に示すごとく、第1の電磁コイル2aへの通電を切る。すなわち、一旦複数吸引状態が得られると、その状態においては磁束φ3が形成された閉磁路の磁気抵抗が小さいため、特に大きな起磁力を生じなくても複数吸引状態を維持することができる。それゆえ、第2の電磁コイル2bへの通電のみによって、複数吸引状態を維持することができる。

その他は、実施例1と同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。

(実施例6) 本例は、図16〜図18に示すごとく、2個の電磁コイル2と2個のプランジャ4とを有するソレノイド装置1の例である。 本例のソレノイド装置1においては、固定コア3の一部を構成する2つの対向コア32(第1の対向コア32a、第2の対向コア32b)のそれぞれが、2つの電磁コイル2のそれぞれの内側を貫通している。そして、各対向コア32に対してZ方向に対向するように、2個のプランジャ4(4a、4b)が配設されている。プランジャ4は、上部コア33と対向コア32とを磁気的につなぐように配置されている。そして、各プランジャ4は、対向コア32及び上部コア33に対してZ方向に進退するよう構成されている。

また、上部コア33と底部コア34とは、第1の側部コア36aと第2の側部コア36bとによって、連結されている。側部コア36a、36bは、X方向に並んで配置された2つの電磁コア2に対して、X方向の外側に配置されている。そして、底部コア34における第1の対向コア32aと第1の側部コア36aとの間の一部と、底部コア34における第2の対向コア32bと第2の側部コア36bとの間の一部と、底部コア34における第1の対向コア32aと第2の対向コア32bとの間の一部とに、それぞれ磁気抵抗部5が形成されている。

なお、本例においては、プランジャ4の形状が、実施例1のソレノイド装置1のものとは異なる。すなわち、プランジャ4における磁性体部41が略円盤状となっており、その中央部からZ方向に突出するように当接部42が形成されている。これらの基本的な機能については、実施例1に示したものと同様である。

次に、本例のソレノイド装置1の作動の一例を説明する。 2個のプランジャ4がいずれも対向コア32に吸引されていない状態(図16の状態)から、第1の電磁コイル2aに通電する。これにより、第1の対向コア32aと第1の側部コア36aを含む閉磁路に磁束φ1(図17参照)が形成され、第1のプランジャ4aが対向コア32aに吸引される。

次いで、第2の電磁コイル2bにも通電することで、図17に示すごとく、第2の対向コア32bと第2の側部コア36bを含む閉磁路に磁束φ2が形成され、第2のプランジャ4bが対向コア32bに吸引される。これにより、2つのプランジャ4が対向コア32に吸引された複数吸引状態が得られる。そして、2つのプランジャ4がそれぞれ固定コア3(対向コア32)に吸引されていることで、2つの対向コア32と底部コア34と上部コア33とを含む閉磁路の磁気抵抗が小さくなっている。また、第1の対向コア32aと第1の側部コア36aを含む閉磁路、及び第2の対向コア32bと第2の側部コア36bを含む閉磁路のそれぞれには、磁気抵抗部5が形成されているため、これらの閉磁路に形成される磁束φ1、φ2の大きさは制限される。それゆえ、2つの対向コア32と底部コア34と上部コア33とを含む閉磁路にも磁束φ3が形成される。

そこで、2つのプランジャ4が対向コア32に吸引された複数吸引状態を維持するにあたり、消費電力を低減すべく、図18に示すごとく、いずれか一方の電磁コイル2(第2の電磁コイル2b)への通電を切る。これにより、第1の電磁コイル2aへの通電のみによって、複数吸引状態を維持することができる。

その他は、実施例1と同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。

なお、本例においては、第1の対向コア32aと第2の対向コア32bとの間における底部コア34にも磁気抵抗部5が設けてあるが、この磁気抵抗部5を設けない構成とすることもできる。かかる構成においても、上記と同様のソレノイド装置の動作を実現することができる。また、複数吸引状態の維持を第1の電磁コイル2aによって行うことを前提とすれば、第2の対向コア32bと第2の側部コア36bとの間における底部コア34にも、磁気抵抗部5を設けなくてもよい。

(実施例7) 本例は、図19、図20に示すごとく、1個の電磁コイル2と、その軸方向の両側にそれぞれ対向配置された2個のプランジャ4とからなる、ソレノイド装置1の例である。 固定コア3は、電磁コイル2の内側を貫通する対向コア32と、電磁コイル2に対してX方向の外側の双方にそれぞれ配置された2つの側部コア36と、側部コア36とプランジャ4とを磁気的に連結する底部コア34及び上部コア33とを有する。また、Z方向における底部コア34と電磁コイル2との間の位置に、側部コア36と対向コア32とを磁気的に連結する中間コア38が設けてある。そして、中間コア38の一部に、磁気抵抗部5が形成されている。

次に、本例のソレノイド装置1の作動の一例を説明する。 2個のプランジャ4がいずれも対向コア32に吸引されていない状態(図19の状態)から、電磁コイル2に通電する。これにより、対向コア32と第1のプランジャ4aと中間コア38とを含む閉磁路に磁束が形成され、第1のプランジャ4aが対向コア32に吸引される。

この状態においては、第1のプランジャ4aと第2のプランジャ4bとの双方と対向コア32とを含む閉磁路の磁気抵抗も小さくなる。また、中間コア38には磁気抵抗部5が形成されているため、対向コア32と中間コア38と第1のプランジャ4aとを含む閉磁路に形成される磁束の大きさは制限される。そのため、第1のプランジャ4aと第2のプランジャ4bとの双方を含む閉磁路にも十分な磁束が形成されて、第2のプランジャ4bも第1のプランジャ4aに続いて対向コア32に吸引される。 そして、上記2つの閉磁路には、それぞれ十分な磁束が形成されるため、2つのプランジャ4が対向コア32に吸引された複数吸引状態を、1個の電磁コイル2への通電によって維持することができる。

その他は、実施例6と同様の構成を有し、同様の作用効果を有する。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例6において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例6と同様の構成要素等を表す。

ソレノイド装置の構成及び作動方法については、上述の実施例に示したものに限られず、種々の態様が考えられる た、ソレノイド装置は、電磁継電器以外にも、種々の用途に用いることができる。

1 ソレノイド装置 2、2a、2b 電磁コイル 3 固定コア 4、4a、4b、4c プランジャ 5 磁気抵抗部

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