【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動販売機等における押ボタンに関し、特に、小型化および構成の簡略化を図った自動販売機等における押ボタンに関する。 【0002】 【従来の技術】図7は自動販売機の一例における外観を示す斜視図である。 【0003】自動販売機(以下、「自販機」という)1 00は縦長の箱形を成し、正面には金属パネル101が設けられている。 この金属パネル101の上部には、透明材による正面パネル102を用いた陳列部103が設けられ、この陳列部103の中央部には水平に押ボタン200が設置されている。 押ボタン200は、表面が透明(白濁色)の操作部材を備え、その操作面の内部にはスイッチ、LED(発光ダイオード)、ネームプレート等が収容されている。 LEDは、商品販売可、売切れの表示等を行うために用いられる。 また、スイッチは商品指定をCPUの制御部に入力するために用いられる。 また、操作面や取付面の隙間を通して雨水等が内部に侵入するのを防止するため、内部が防水性空間になっている。 【0004】陳列部103の上段及び下段には種類の異なる複数の商品見本(又は印刷物等)104が設けられている。 また、陳列部103の下部には、指定の商品が排出される取出口105が設けられている。 更に、陳列部103の片側には、料金支払い部106が設けられている。 この料金支払い部106は、コイン投入口10 7、釣り銭支払い口108(返却口を兼ねる)、釣り銭切れ予告灯109等を備えている。 【0005】図8は自販機に用いられる従来の押ボタンの主要部の構成を示す断面図である。 また、図9は従来の押ボタンの全体構成を示す正面図、図10は図9の平面図、図11は図10の側面図、図12は図10の裏面図である。 【0006】図8〜図12に示すように、従来の押ボタン200は、例えばASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート樹脂)を成形加工したケース201 と、このケース201と一体にされるベース202を本体にしている。 ケース201の複数箇所には、操作面となる楕円形等のレンズ203が可動可能にして配設されている。 レンズ203はケース201の表面よりやや突出し、指の操作によりケース201内に押し込むことができ、この押圧操作によりスイッチオンになる。 【0007】ケース201には、ベース202を嵌合させて取り付けることができ、ベース202の背面には、 円筒状のコネクタ204が設けられている。 このコネクタ204には自販機100の制御装置より導かれたケーブル(不図示)に接続される。 ベース202が図7で説明した透明パネル102に取り付けられる。 【0008】レンズ203はケース201に形成された楕円形等の開口部に位置し、その内面には、文字部分が透光可能で他の部分を遮光させたネームプレート205 (素材は透明な樹脂シート)が配設されている。 このネームプレート205を内側から支えるようにしてカバー206が配設されている。 カバー206の内部には一対の反射鏡を形成する傾斜面を有したリフレクトケース2 07が配設されている。 リフレクトケース207の傾斜面には鏡面加工が施され、更に底面には所定寸法の貫通孔208が形成されている。 【0009】ベース202には、プリント基板209が配設され、貫通孔208に対向する部位にはLED21 0a(販売可用),210b(売切れ用)が実装されている。 このLED210a,210bで発光した光の一部はリフレクトケース207の鏡面で反射することにより、レンズ203に到達する光量の増大を図っている。 また、スイッチ用の電極212a,212bがプリント基板209上に設けられている。 レンズ203の押圧操作に応じて基板上の配線パターン(不図示)を電気的に接続するために導電部材213a、213bがカバー2 06内面に装着されている。 【0010】更に、ベース202のコネクタ204の相互の中間には、押ボタン200を透明パネル102に固定する際に用いられるボス214が設けられており、中心部にはスクリューネジをねじ込むための貫通孔が設けられている。 ボス214及びコネクタ204の各根元部には、押ボタン200の取付後に陳列部103の内部に雨水等が侵入するのを防止するため、円環状のパッキン215,216が装着されている。 【0011】レンズ203の各々は商品見本104の各々に対応しており、コインを投入しても該当の商品が自販機100内に存在しない時にはLED210bが点灯するように制御される。 LED210bの光はネームプレート205を透過してレンズ203を通過する。 これにより、ユーザーは売切れを知ることができる。 【0012】コインを投入すると、売切れ表示以外のL ED210aが制御回路の制御によって一斉に点灯する。 そこで、ユーザーは希望の商品に対応するレンズ2 03を押圧する。 この操作に伴って導電部材213a、 213bがプリント基板209側へ移動し、基板上の配線パターン(不図示)が接触してオンになる。 すると自販機100内の商品搬出機構が作動し、指定した商品を取出口105へ排出させる。 この排出動作に連動してL ED210aの各々は一斉に消灯する。 なお、料金支払いが商品価格以上であった場合、釣り銭が釣り銭支払い口108へ払い出される。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の押ボタンによると、売切れ表示及び販売可表示を明確にするためにネームプレートがレンズの内側に配設されている。 このため、部品点数が増えるため、その分だけ押ボタンがコストアップになる。 更に、売切れを文字表示するため、所定の表示面積と光量が必要になる。 そのため、寸法、特に、レンズの長さ及び幅を小さくすることができず、またリフレクトケース207を必要とするので、小型化に制限がある。 【0014】そこで本発明は、表示機能を損なうことなくネームプレートおよびリフレクトケースを不要にすることにより部品点数を減らしてコストダウンを図り、かつ、小型化を実現する自動販売機等における押ボタンを提供することを目的としている。 【0015】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明は、自動販売機等の内部に収容した商品の販売可および売切れを表示する自動販売機等の押ボタンにおいて、内部に防水性空間を形成し、前面に透光部を有し、自動販売機等の商品展示用の透明板の外面上に取り付けられた本体と、前記本体の前記透光部に対応する位置の底面に設けられた発光色の異なる少なくとも2つの発光体を備え、前記少なくとも2つの発光体のオン、 オフに基づいて販売可あるいは売切れを表示する構成を備えたことを特徴とする自動販売機等の押ボタンを提供する。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。 【0017】図1は自動販売機に用いられる本発明の押ボタンの主要部の構成を示す断面図(自販機のパネルに取り付け後の状態)である。 また、図2は本発明の押ボタンの全体構成を示す正面図、図3は図2の平面図、図4は図3の側面図、図5は図4の裏面図である。 【0018】本発明による押ボタン10は、図1〜図5 に示すように、例えばASAを成形加工したケース11 及び同じくASAを成形加工したベース12により本体が形成され、両者は嵌め合い構造になっている。 ケース11は半円形の断面形状を有している。 これに対し、ベース12は平板状を成し、後面には円筒形のコネクタハウジング13とボス14が所定間隔に複数個(ここでは、各4個)が立設されている。 ケース11の中心線上のコネクタハウジング13の各々に対向する部位には、 操作面となる楕円形の複数個のレンズ15が上下動可能に且つ埋め込み状態にして配設されている。 レンズ15 はケース11の表面よりやや突出し、指の操作によりケース11内に押し込むことができ、この押圧操作によりスイッチオンになる。 すなわち、自動復元式のスイッチを形成している。 レンズ15の内側には、従来のようなネームプレートおよびリフレクトケースを配置していない。 一方、ベース12上にプリント基板17が設けられ、プリント基板17には、緑色を発光するLED18 a、赤色を発光するLED18b、及び保護用のダイオード21が設けられている。 緑色を発光するLED18 aと赤色を発光するLED18bの2個をレンズ15及び防水性のカバー20内に内蔵させ、その発光色を使い分けることにより以下の表示を行う。 その一例を表1に示す。 【表1】 【0019】なお、赤色を発光するLED18aに代えて橙色や黄色を発光するLEDを用いても良いし、緑色を発光するLEDに代えて青色を発光するLEDを用いることもできる。 ただし、屋外で使用されることの多い自販機では、表示輝度を確保しないと見にくくなるので、或る程度以上の発光輝度を有するLEDを選択する必要がある。 【0020】また、緑色のLEDチップと赤色のLED チップを同時に発光させれば、橙色を発光させることができる。 したがって、表2に示すように、コーヒー等の温かい飲み物(ホット)のときに橙色を発光させ、ジュース等の冷たい飲み物(コールド)のときに緑色(表2 の場合)を発光させれば、ユーザーは商品選択がし易くなる。 【表2】 【0021】以上のように、本発明ではネームプレートを用いずに表示を行えるため、従来のように表示文字分の表示面積をレンズに確保する必要が無くなり、LED の発光スペースと必要最低限の操作スペースさえ確保すればよいため、レンズ15の長さ及び幅を小さくすることができる。 この結果、小型になる。 また、光が拡がる面積が小さくなることから、従来のようにリフレクトケースを設ける必要がなくなる。 このため、更なる部品点数の低減が可能になる。 【0022】再び、図1〜図5の説明に戻ると、コネクタハウジング13と隣接するボス14にはシリコン材等を用いて作られた防水用のパッキン16が外嵌され、この状態でベース12が自販機の正面パネル301(透明アクリル板)に取り付けられる。 正面パネル301の裏面の押ボタン10の取り付け位置には、金属製の取付板302が取り付けられている。 この取付板302は押ボタン10の幅から出ない幅寸法に設定され、ボス14の部分ではすり鉢状の凹部303が形成され、ボス14が収納される。 また、取付板302には、コネクタハウジング13を嵌入させ、自販機内に露出させるための開孔304が形成されている。 【0023】前述したように、ベース12には、プリント基板17が配設されている。 このプリント基板17は両側のコネクタ間に渡る長さを有し、レンズ15の中心部に対向する部位には、表1や表2に示した内容の発光を行うための2個のLED18a(緑色又は青色発光),18b(赤色発光)が実装されている。 なお、L ED18a,18bに面実装型を用いることにより、押ボタン10の厚みを小さくすることができるほか、リードが基板裏面に突出しないので他の部品の配設がし易くなる。 更に、プリント基板17には、レンズ15以外の領域に複数の保護用ダイオード21が実装されている。 【0024】コネクタハウジング13内には、プリント基板17の裏面に実装された面実装型のコネクタ19 a,19b,19c,19dが内嵌されている。 コネクタ19a〜19dに面実装型を用いたことにより、基板表面には突出物が生ぜず、押ボタンの高さを低くすることができる。 このコネクタとLEDの接続関係について図6を参照して説明する。 【0025】図6はLEDとコネクタの接続を示す回路図である。 【0026】LED18とダイオード21の接続回路は各レンズにおいて同一であり、プリント基板17上に形成(詳細については後記する)されたスイッチSW1, SW2,SW3,SW4の各々は2回路を有し、並列接続されている。 また、レンズ毎に設けられるLED18 a,18bはアノード側が共通接続されている。 【0027】ここで、コネクタ19aをCN1、コネクタ19bをCN2、コネクタ19cをCN3、コネクタ19dをCN4とする。 また、L1〜L8はLED18 a,18bであり、L1,L3,L5,L7が緑色LE D18a、L2,L4,L6,L8が赤色LED18b である。 ダイオード21をD1〜D4で表す。 【0028】CN1及びCN4には、制御回路からの信号線22a(共通線:SW)、信号線22b(販売可表示用)及び信号線22c(売切れ表示用)の3本が接続されている。 また、CN2にはダイオードD1,D2のアノードが接続され、CN3にはダイオードD3,D4 のアノードが接続されている。 これらダイオードD1, D2,D3の一方のカソードの各々と信号線22aの間にはスイッチSW1,SW2及びSW3の各々が接続されている。 更に、CN2のダイオードD1の他方のカソードと信号線22bの間にはL1、信号線22cとの間にはL2が接続され、また、ダイオードD2の他方のカソードと信号線22bの間にはL3、信号線22cとの間にはL4が接続されている。 同様に、CN3のダイオードD3の他方のカソードと信号線22bの間にはL 5、信号線22cとの間にはL6が接続され、また、ダイオードD4の他方のカソードと信号線22bの間にはL7、信号線22cとの間にはL8が接続されている。 なお、図6の回路の動作については、図1の構成の説明が済んだ後に説明する。 【0029】図1の構成に説明を戻すと、レンズ15の内側には、両端のレンズ間に及ぶ長さを有する透明なシリコンゴム等の弾性に富んだカバー20が配設されている。 このカバー20は、レンズ15毎にLED18a, 18bを覆う。 更に、カバー20の全周は、L字形に加工された突出片20dを有し、この突出片20dがベース12内の溝に嵌入することによりカバー20の内部に水密性の空間を形成し、かつカバー20の全体の位置決めが行われる。 カバー20のLED18a,18bを覆う部分においては、レンズ周辺の近傍が厚み方向に撓むように肉薄部20aが形成され、この肉薄部20aが板バネとして機能する。 【0030】肉薄部20aに隣接させて、カバー20には凸部20bが形成されており、その先端(図1では下端)面には電極20cが貼着(又は一体成形で固定)されている。 この電極20cは、通常時にはプリント基板17面から浮いており、レンズ15を押圧した時にのみ基板側に接触する。 スイッチ回路(2回路分)を形成するために、プリント基板17上には電極20cに対向させて配線パターン(不図示)が形成されている。 【0031】ケース11には、レンズ15を取り囲むようにして突出片11aが内側に立設されている。 この突出片11aによって、カバー20の肉薄部20aの近傍がプリント基板17に接する面が押圧され、シール部を形成する。 【0032】次に、本発明による押ボタンの動作について、各図を参照しながら説明する。 図3において、レンズ15の各々は図7の商品見本104の各々に対応している。 コインを投入したとき、商品見本104が有りながら自販機100内に商品が存在しない場合、この状態は自販機100内のセンサによって感知され、これに基づいて機内の制御回路(不図示)は赤色LED18b (図6のL2,L4,L6,L8の内の該当するもの) が点灯するように制御する。 LED18bの光はカバー20及びレンズ15を通して外部に抜けるので、ユーザーは売切れ状態を知ることができる。 レンズ15として、光が内部拡散するものを使用すると、レンズ全面が赤あるいは緑になって表示効果が上がる。 【0033】次に、売切れ表示中のレンズ15以外のL ED18a(図6のL1,L3,L5,L7の緑色LE Dの内の該当するもの)が上記制御回路の制御の基に一斉に点灯する。 この時、表2の表示モードでは、商品が冷たい物では表示モードiiによる表示が行われ、商品が温かい物では表示モードiii による表示が行われる。 【0034】ここで、ユーザーは在庫している希望の商品に対応するレンズ15を指で押圧する。 仮に、図2の右側端のレンズ15(コネクタ19dの上部に配置のレンズ)が押圧されたとすると、その肉薄部20aは変形して撓み、電極20cがプリント基板17上の配線パターンに接触し、図6のSW4がスイッチオンになる。 すると、信号線22aとコネクタCN3の2番端子とが導通状態になり、そのオン信号が上記制御回路に取り込まれる。 制御回路は自販機100内の商品搬出機構を作動させ、指定された商品を図7の取出口105へ排出させる。 この排出動作に連動して点灯していた緑色LED (表1の表示方法の場合)の各々は一斉に消灯する。 なお、料金支払いが商品価格を越えていた場合、釣り銭(コイン)が釣り銭支払い口108へ払い出される。 以上により一回の自動販売動作が終了する。 【0035】以上説明したように、本発明の押ボタンは、ネームプレート及びリフレクトケースを設けず、L EDの光がカバー及びレンズを通して通過するようにしたので、押ボタン部のサイズを小さくできると共に厚みを薄くできる。 この結果、押ボタンのコストダウンが可能になる。 また、小型化が図れることから従来に比べてボタン数を増やすことができる。 更に、表示内容を色分けして行うことにより、従来の表示内容が2種類であったのに対し、本発明では表示内容を大幅に増やすことができる。 【0036】なお、本発明においては、従来のような文字表示を押ボタンでは行っていないが、色別表示の区別を説明する必要があるときは、適当な位置に設ければ良い。 【0037】また、輝度の低いLEDを使用したいときリフレクトケースの採用を妨げるものではない。 【0038】 【発明の効果】以上説明した通り、本発明の自動販売機等の押ボタンによると、発光色の異なる少なくとも2個のLEDを使用して色別によって販売可及び売切れを表示するようにしたので、部品点数の減少によりコストダウンを図ることができるとともにサイズの小型化を図ることができる。 また、少なくとも2個のLEDのオン、 オフの組み合わせによってロジック的な表示を行うようにすると、表示の種類を販売可、売切れの2種類から大幅に増加することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明による押ボタンの主要部の構成を示す断面図である。 【図2】本発明の押ボタンの全体構成を示す正面図である。 【図3】図2の平面図である。 【図4】図3の側面図である。 【図5】図3の裏面図である。 【図6】本発明の押ボタンにおけるLEDとコネクタの接続を示す回路図である。 【図7】自動販売機の一例における外観を示す斜視図である。 【図8】自動販売機等に用いられる従来の押ボタンの主要部の構成を示す断面図である。 【図9】従来の押ボタンの全体構成を示す正面図である。 【図10】図9の平面図である。 【図11】図11は図10の側面図である。 【図12】図10の裏面図である。 【符号の説明】 11 ケース 12 ベース 15 レンズ 16 パッキン 17 プリント基板 18a,18b LED 19a,19b,19c,19d コネクタ 20 カバー 20a 肉薄部 20b 凸部 20c 電極 20d 突出部 |