Resistant film type transparent touch panel

申请号 JP6475298 申请日 1998-02-27 公开(公告)号 JPH11250764A 公开(公告)日 1999-09-17
申请人 Gunze Ltd; グンゼ株式会社; 发明人 NODA KAZUHIRO; SATOU HIROTOSHI; MURAKAMI YUKIO; TANIMURA KOUTAROU; FURUKAWA SHUJI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a resistant film type transparent touch panel with higher transparency, visibility, and abrasion resistance without generating Newton rings. SOLUTION: This touch panel is provided with a touch side transparent electrode T with a thin-film layer 2 of silicone oxide having a film thickness of 20 to 55 nm interposed as an intermediate layer and display side transparent electrode D so as to be faced with each other through insulating spacers 6. In this case, the surfaces of transparent thin film electrodes 3 and 5 of ITO (indium tin oxide) or the like laminated on the upper surface of the touch side and/or the display side have a rough surface 7, which has uncountable numbers of fine irregularities having center line average roughness (Ra) of 0.05 to 2 μm, and its maximum height (Rmax) of 0.6 t 2.5 μm.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 透明樹脂フィルム(1)の片面に、膜厚20〜55nmの酸化ケイ素薄膜層(2)と透明薄膜電極層(3)とが順次積層されているタッチ側透明電極(T)と、透明板(4)の片面に透明薄膜電極層(5)
    が積層されているディスプレイ側透明電極(D)とが、
    その透明薄膜電極層(3、5)を対向して、絶縁スペーサ(6)を介して配置されてなる抵抗膜型透明タッチパネルにおいて、タッチ側又は/及びディスプレイ側の透明薄膜電極層(3、5)の表面が、中心線平均粗さ(R
    a)0.05〜2μm、その最大高さ(Rmax)0.
    6〜2.5μmの無数の微細凹凸による粗面(7)を有することを特徴とする抵抗膜型透明タッチパネル。
  • 【請求項2】 前記酸化ケイ素薄膜層(2)がペルヒドロポリシラザンの分解又は多官能アルコキシシランのゾル−ゲル法によるコーティング層からなる請求項1に記載の抵抗膜型透明タッチパネル。
  • 【請求項3】 前記透明板(4)が環状ポリオレフィンとポリカーボネート板又はガラス板との複合透明板である請求項1又は2に記載の抵抗膜型透明タッチパネル。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、高い透明性と視認性を維持し、より高い耐摩耗性(ペン摺動に対する)と共に、ニュートンリングの発生しない高度に改良された抵抗膜型透明タッチパネルに関する。

    【0002】

    【従来の技術】一般に抵抗膜型透明タッチパネル(以下、単にタッチパネルと呼ぶ。)は、ディスプレイ側にITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極を設けたガラス板を、そして、タッチ側には同様に薄膜透明電極を設けたフレキシブルな透明樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)を用いて、該電極面を絶縁スペーサを介して対向配置して作られた一つのフラットパネルデバイスであり、これは液晶ディスプレイ、
    CRTディスプレイ等と組み合わされて使用されている。

    【0003】ところで、タッチパネルの用途拡大と共に、品質、性能面における要求も厳しくなり、特に透明性、視認性、耐摩耗性の一層の改良が求められるようになった。 そこで、本発明者らは、先に、これらの課題を解決するための新たな手段を見出し、例えば特開平8−
    64067号公報又は特開平9−237159号公報で公開されている。

    【0004】前記各号公報は、従来のタッチパネルを構成するタッチ側又はディスプレイ側のITO等による薄膜透明電極に関し、膜厚を特定した酸化ケイ素層を中間介在せしめることによって達成しようとするものである。 つまり、特開平8−64067号公報では、透明フィルム上に、まず100〜600Åの酸化ケイ素薄膜層を設け、その上にITO薄膜層を設けるものであり、一方、特開平9−237159号公報は、前記特開平8−
    64067号公報の更なる改良として、特にペルヒドロポリシラザンの化学的分解により形成される膜厚20〜
    55nmの二酸化ケイ素コーティング薄膜層を設け、その上にITO等の薄膜層を設けるものである。

    【0005】

    【発明が解決しようとする課題】ところが最近新たに、
    光干渉によって生じるニュートンリングに関する問題が提起され、早急に解決する必要が生じた。 このニュートンリングは、タッチパネルのタッチ側をペン又は指でタッチして情報入を行う際に、そのタッチ点を中心に虹色の縞模様がリング状に発生する現象である。

    【0006】更に、このニュートンリングはタッチパネル自体のサイズが大きくなるほど発生しやすくり、これが発生すると視認性が極めて悪くなる。 視認性とは、画面が見やすく気持ちよく(いらつかないで)入力動作できる性能をいうが、入力動作の度にニュートンリングが発生すると、常に目に入るため気持ちよく入力動作ができなくなる。 更に、このタッチパネルが液晶ディスプレイと組み合わせて使用されると、該ディスプレイからのカラー画像とニュートンリングによる虹模様とがオーバーラップし、更に視認性を悪くすることにもなる。 また特に連続的に速く入力動作を行う場合に、ニュートンリングが残存していると、次に入力動作が遅くなるとか誤入力してしまうという問題も発生することになる。 つまり、タッチパネルにおけるニュートンリングの問題も、
    他の必要な特性向上と共に、極めて重要な解決課題である。

    【0007】本発明は、より改良された透明性と視認性、更には耐摩耗性の上に立って、これにニュートンリングが発生しない特性を付与したタッチパネルを開発することを課題とし、鋭意検討した結果、その解決手段を見出し達成したものである。 それは次のような手段を講ずるものである。

    【0008】

    【課題を解決するための手段】即ち本発明は、請求項1
    に記載して明らかにするように、透明樹脂フィルム(1)の片面に、膜厚20〜55nmの酸化ケイ素薄膜層(2)と透明薄膜電極層(3)とが順次積層されているタッチ側透明電極(T)と、透明板(4)の片面に透明薄膜電極層(5)が積層されているディスプレイ側透明電極(D)とが、その透明薄膜電極層(3、5)を対向して、絶縁スペーサ(6)を介して配置されてなる抵抗膜型タッチパネルにおいて、タッチ側又は/及びディスプレイ側の透明薄膜電極層(3、5)の表面が、中心線平均粗さ(Ra)0.05〜2μm、その最大高さ(Rmax)0.6〜2.5μmの無数の微細凹凸による粗面(7)を有することを特徴とする抵抗膜型透明タッチパネルである。 そして請求項2〜3では、請求項1
    に従属するものとして好ましい形態での発明として提供するものである。 以下に本発明を詳述する。

    【0009】

    【発明の実施の形態】まず、本発明の前提となるタッチパネル(抵抗膜型透明タッチパネル)について説明する。 図1に示したように、該タッチパネルにおけるタッチ側透明電極(T)の構成基体である透明樹脂フィルム(1)としては、一般には厚さ約0.1〜0.2mm、
    全光線透過率(以下、Ttと略す)が約80%以上あって、更に耐熱性、耐屈曲性、耐溶剤特性等にも優れていて、柔軟的で回復弾性に富むフィルム状物が使われる。
    具体的には二軸延伸された透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと呼ぶ)をはじめ、他に、例えば、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリスルホンフィルム、非晶性ポリエステルフィルム、非晶性ポリオレフィンフィルム等を挙げることができる。

    【0010】そして、前記透明樹脂フィルムの片面に、
    まず膜厚20〜55nm、好ましくは30〜50nmの酸化ケイ素薄膜層(2)を設ける。 限定された該薄膜層が形成されていることで、ITO等による透明薄膜電極層のみの場合に比較して全体としてのTtがより向上すると共に、タッチ入力動作によって直接タッチする該電極層の耐摩耗性(長期間の使用でも該電極層が摩耗するとかクラックの発生がないこと)において極めて優れた状態となる。 更に、本発明における前記透明薄膜電極層表面が粗面状態にあっては前記特性が失われることなく、より向上することとなる。 つまり、膜厚20〜55
    nmの酸化ケイ素層と、後述する該電極層表面に設けられている前記特定範囲にある無数の微細凹凸にある粗面(7)とは、不可避的に結合されていることになる。 具体的には、該電極層表面の該特定範囲にある粗面であっても、20nm未満では特に透明性が悪く耐摩耗性にも劣り、そして55nmを越えるとクラックが発生し易くなり摩耗性が悪くなるばかりか、淡黄色の色感を発現し人間の目に対し好ましくない状況となる。

    【0011】前記酸化ケイ素薄膜層(2)の形成手段は、特に限定されないが、一般にはスパッタリング法、
    真空蒸着法、CVD法等の薄膜形成手段とペルヒドロポリシラザン又は多官能アルコキシシランを原料とし、これらのコーティングによって形成するコーティング法とを例示することができる。

    【0012】例えば、前記スパッタリング法では、まず、一般的に好ましく行われる前記PETフィルムなどの透明樹脂フィルムの片面を脱脂洗浄とかコロナ、グロー等による放電を前処理として行った後、ターゲットとして二酸化ケイ素や導電性不純物を添加したケイ素と該フィルムをスパッタリング装置の真空槽内に対峙してセットする。 そしてアルゴン等の不活性ガス又は該ガスに酸素を混合し該槽内に導入することで、該槽内の真空度を10-1〜10-3Torr程度に保つ。 そして高周波又は直流マグネトロン方式によってスパッタ蒸着して、2
    0〜55nmの薄膜を形成する方法である。

    【0013】一方、コーティング法として例示するペルヒドロポリシラザンによる酸化ケイ素薄膜層は、まず前記透明樹脂フィルムの片面に、該ポリシラザンの有機溶媒溶液(例えばキシレン、デカヒドロナフタレン等の芳香族化合物とかジブチルエーテル等の脂肪族エーテル等を溶媒として固形分濃度を数%にした溶液)を、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング等の方法によってコーティングする。 次にこのコーティングされた該ポリシラザン面を脂肪族アミン(例えばトリエチルアミン)を蒸気化し、これと蒸気とを混合した混合蒸気雰囲気下に放置する。 最後に100℃前後、相対湿度80%前後の高温高湿雰囲気下に数分間放置すると、該ポリシラザンは化学的に分解して二酸化ケイ素に変化し、20〜55nm
    の膜厚で形成される。 この該ポリシラザンの二酸化ケイ素への分解手段には、他に、例えばナトリウムアルコラート、アセチルアセトナート錯体(例えばパラジウム錯体)を分解促進剤として添加し湿気中で加熱することでも可能であるので、その方法には特に限定されない。

    【0014】尚、前記ポリシラザンは、例えば東燃株式会社から低温硬化型ポリシラザン溶液(例えばN−V1
    10)として上市されている。 この化学構造は基本的には下記化1(nは重合度)で示されるが、下記化2に示す不規則な環状構造のものが共存することもある。

    【0015】

    【化1】

    【0016】

    【化2】

    【0017】前記ポリシラザンの分子量は、あまりに高分子量であると有機溶媒に対する溶解性が低下することと、二酸化珪素への反応活性も低下するので望ましくない。 望ましい分子量は、約600〜2,000であり、
    オリゴマと呼ばれる程度のポリマであるのが好ましい。
    尚、化1又は化2において、水素原子が、例えば、アルキル基によって置換されたポリオルガノシラザンの若干の共存は許されるにしても、実質的には除外される。 これは、より均質な二酸化珪素コーテング層形成にとって有効でないからである。 また、該ポリシラザンは、例えば、ジクロロシランとピリジンとの錯体にアンモニアを注入し、アンモノリシスを行うことで合成できる。

    【0018】次に、多官能アルコキシシランによるゾル−ゲル法によるコーティングについて説明する。 まず、
    該アルコキシシランはアルコキシ基の2〜4個を結合するシラン化合物で、具体的に例えばジメトキシジメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、テトラメトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリメトキシエチルシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。 中でもアルコキシ基を3〜4個結合するアルコキシシランが二酸化ケイ素への変化を効率的に行うことができるので好ましい。

    【0019】そして前記多官能アルコキシシランを水とアルコール類と触媒(塩酸など)の混合液に混合する。
    各成分の混合比は予備実験により最適値を求めて決められるが、一例を挙げれば、該アルコキシシラン1モルに対して水2モル、アルコール類(主としてエチルアルコール)6モル、塩酸0.03モルの割合である。 得られたゾル−ゲル液は、前記したペルヒドロポリシラザンに例示するコーティング方法によって透明樹脂フィルムにコーティングする。 コーティングが終了したら、常温で放置し、予め溶媒を蒸発除去して、最後に所定温度(一般に100℃前後)で加熱する。 コーティングされている該アルコキシシラン層は分解して二酸化ケイ素に変化する。 尚、前記ゾル−ゲル液は、例えばコルコート株式会社からコルコートN−103Xとして上市されている。

    【0020】以上、膜厚20〜55nmの酸化ケイ素薄膜層の形成手段について例示したが、中でも後者二つのコーティング法による形成が好ましい。 これは、スパッタリングなどの薄膜形成手段では、淡い黄色に着色しやすく、視認性の低下につながることと、後述する微細凹凸による粗面化において、中心線平均粗さとその最大高さとが所望する通りに得られにくく、コントロールしにくい。 一方、後者二方法においては、完全に無色透明であり視認しやすく、該粗面化において中心線平均粗さとその最大高さとが所望する通りに得られ、コントロールしやすいことによるものである。

    【0021】尚、前記色感が異なることについては、形成さされる酸化ケイ素の二酸化ケイ素からの化学量論的ずれに起因するものと考えられる。 つまりスパッタリング等の薄膜形成法では、形成される酸化ケイ素がSiO
    x(x=1〜1.9)で示されるもので、SiOやSi
    2O3なども共存している状態である。 これらの共存により、二酸化ケイ素よりも屈折率が高くなるとともに可視光領域での光吸収が生じる。 しかし、ペルヒドロポリシラザンや多官能アルコキシシランのコーティングからなる酸化ケイ素層は純粋な二酸化ケイ素に近くなっているため、屈折率も小さく光吸収も生じない。

    【0022】前記酸化ケイ素層は、タッチ側透明樹脂フィルムには必須とするが、ディスプレイ側の透明板(4)にも前記同様形成してもよい。 もちろん、これら各基板の両サイドに同様設けることには制限はない。

    【0023】次に、タッチ側では膜厚20〜55nmの酸化ケイ素層の上に、ディスプレイ側では透明板(4)
    の片面に積層する透明薄膜電極層(3、5)について説明する。

    【0024】前記両者の透明薄膜電極層(3、5)の形成材料は、一般には共通してITO(酸化インジウムに錫をドーピングした酸化インジウム錫)に代表されるが、他に、例えば、二酸化錫をアンチモン又はフッ素でドーピングした酸化錫アンチモン(ATO)、又は、酸化錫フッ素(FTO)、酸化亜鉛をアルミニウムでドーピングした酸化亜鉛アルミニウム(AZO)等のドーピング金属酸化物とか、酸化インジウムと酸化亜鉛の複合酸化物など、ドーピングしない金属酸化物等でもよいので、特に制限はない。 尚、これらの例示の中で、両者材質の異なる該電極層としてもよい。

    【0025】そして前記透明薄膜電極層の 形成手段は、一般に行われるスパッタリング法、真空蒸着法、C
    VD法、イオンプレーティング法等のいずれかの方法によるが、操作条件的にも迅速さの点でもスパッタリング法が好ましく利用される。 このスパッタリング法は、例えば前記ITO等の金属酸化物の焼結体をターゲットとして前記被体とを、スパッタリング装置の真空槽内に対峙してセットする。 そしてアルゴン等の不活性ガス又は該ガスに酸素を混合し該槽内に導入することで、該槽内の真空度を10-1〜10-3Torr程度に保つ。 そして高周波又は直流マグネトロン方式によってスパッタ蒸着して、所定厚みの透明電極薄膜を形成する方法である。

    【0026】前記透明薄膜電極層の膜厚は限定されないが、10〜40nmとするのが望ましい。 これはタッチパネルとして必要な導電性(一般には200〜1KΩ/s
    q.)、透明性、摩耗性、後述する微細凹凸による表面粗面化のための加工性等から最も有効であるからである。

    【0027】前記ディスプレイ側の透明板(4)は、タッチ側透明電極からのタッチ押圧に対して湾曲したり窪んだりしないことも必要であるので、硬直な透明板が使用され、その厚さは材料によるが、一般には0.5〜2
    mm程度である。 しかし透明性の点からは可能な限り薄い方が望ましい。 材料としては、一般に無機ガラス板が用いられるが、取り扱い性、軽量化の点から、最近はこれをプラスチック板に置き換えることも行われている。
    該プラスチック板の場合には耐熱性、耐薬品性、機械的性質も考慮して決める必要があるが、例示すると次のもが挙げられる。 例えば、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリスチレン、メチルメタアクリレートとスチレンとの共重合体、スチレンとアクリルニトリルとの共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、
    ポリアリレート、非晶性ポリエステル(一般にA−PE
    Tと呼ばれる)等による板状体である。

    【0028】前記プラスチック板の場合、実用されているのはポリカーボネート板であるが、小サイズでしかも用途限定されて使用されるにとどまっている。 この理由はポリカーボネート板は、耐衝撃性には優れているが、
    他の樹脂に比較して吸水性が大きいことや耐熱温度が低い等の理由からスパッタリング等の真空成膜には、十分満足できる材料ではない等によるものである。 これらの問題に対して解決できる手段は、特に環状ポリオレフィンとの複合透明板を使用することである。 ここで環状ポリオレフィンと複合する他の透明板は無機ガラス板をはじめ、前記例示するプラスチック板のいずれであってもよいが、タッチパネルとして必要な寸法安定性等の特性が総合的により高いレベルで発現できる点から、無機ガラス板又はポリカーボネート板との複合が望ましい。

    【0029】環状ポリオレフィンは、環状オレフィンが主成分となって主鎖中に結合されているポリマで、直鎖オレフィンによるポリマの結晶性を非晶性にかえ、かつより高い透明性、低複屈折性、耐熱性、耐薬品性等が付与されたもので、一般的に知られているものの全てをいう。 該ポリマは環状オレフィンとしてよく知られ、また実用されているものはノルボルネンであるが、このノルボルネン自身を開環重合した後、水添して得た単独環状ポリオレフィンと、ノルボルネンとエチレンなどの直鎖オレフィンとの付加重合による共重合環状ポリオレフィンの2つに代表される。 単独環状ポリオレフィンとして知られているものに、日本合成ゴム株式会社から上市されている“アートン”(商標)と日本ゼオン株式会社から上市されている“ゼオネックス”(商標)があり、共重合環状ポリオレフィンポリマとしては、三井化学株式会社から上市されている“アペル”(商標)がある。

    【0030】前記複合において、環状ポリオレフィンは被複合板よりも薄い厚さで複合するのがよい。 これは、
    被複合板自身の有効な特性を残して、該ポリオレフィンの特性を相乗させることができるからである。 その厚さは、0.05〜0.3mm程度とし、全厚を0.5〜2
    mmに調整するのがよい。 そして、その複合方法は、一般に別途成膜して得た厚さ0.1〜0.4mmの該環状ポリオレフィンフィルムを透明接着剤を介して接着複合するか、又は該ポリオレフィンの有機溶媒溶液を使ってこれをコーティングし乾燥して複合するかのいずれかの方法で行う。

    【0031】そして、複合は少なくとも透明薄膜電極層(5)が積層される側の被複合板の片面に行うのはもちろんであるが、両面に行ってもよい。 両面を複合した場合、被複合板をより薄くできるので、より軽量で寸法安定性等に優れる複合透明板が得られるので望ましいことである。

    【0032】前記複合透明板の場合のITO等による透明薄膜電極層の形成は、前記と同様条件にて行うが、予め成膜された環状ポリオレフィンフィルムを使って接着複合する場合には、該フィルムの段階で該透明薄膜電極層を形成しこれを被複合板に接着複合するという手段で行うのがよい。 これは、複合板化された後にスパッタリングする場合、該板から水や残留有機溶剤などの不純物ガスが大量に放出されるので、その結果所望するITO
    等の透明薄膜電極層の膜質が得られないことや、他にスパッタリングそのものがバッチ生産となり連続生産できないことによる。 前記、ポリカーボネート板単独での欠点として説明した、より高い導電性が付与できない理由は、環状ポリオレフィンに対して、ポリカーボネートの熱変形温度が低くて、より高い温度でのITO等のスパッタリングができないということである。

    【0033】尚、前記透明薄膜電極層は、タッチパネルの情報入力形式によって3つの電極パターンがあるが、
    本発明ではいずれも対象となる。 この電極パターンの一つはタッチ側もディスプレイ側も全面に設けられている面状パターンで、これによってなるアナログ方式、もう1つはストライプ状パターンでこれを交叉してなるマトリックス方式、3つ目は面状パターンとストライプ状パターンで、これによってなる混成方式である。

    【0034】そして、絶縁スペーサは一般にタッチ側透明電極(T)とディスプレイ側透明電極(D)との間において、タッチによるスイッチON/OFF動作のために設けられるものであり、その作製法、サイズ、配置位置と数量については一般に行われているものでよく、特に規制するような条件はない。 しかし、該スペーサの大きさ、特に高さについては、後述する透明薄膜電極層に設ける粗面化における微細凹凸の最大高さ(Rmax)
    0.6〜2.5μmよりも高い絶縁体でなければならない。 他はスイッチング動作が円滑に行われるように必要最小限の条件を維持すればよい。 例示的に示せば、ディスプレイ側に設けられている透明薄膜電極層の上に、接地面積0.001〜0.003mm2、高さ4〜10μ
    m、ピッチ3〜5mmの大きさと間隔をもって、アクリル系の透明硬化性樹脂を使って、スクリーン印刷等の印刷法により植設する。

    【0035】以上のように説明する抵抗膜型透明タッチパネルにおいて、本発明では更に、特にタッチ側又は/
    及びディスプレイ側の上層に設けられている透明薄膜電極層(3、5)の表面が平滑ではなく中心線平均粗さ(以下Raと略す)0.05〜2μm、好ましくは0.
    07〜1.5μm、その最大高さ(以下Rmaxと略す)が0.6〜2.5μm、好ましくは1〜2μmである無数の微細凹凸の粗面をもってなることが必要である。 以下このことについて説明する。

    【0036】まず、前記した範囲での粗面であることによって、少なくとも本発明において前提となる抵抗膜型透明タッチパネルの本来有する透明性も視認性及び耐摩耗性をも維持し、新たに発生したニュートンリングの欠点を一挙に解決することができるのである。 そして、この粗面化により、更に視認性と耐摩耗性をも向上させることができるようになった。 これらの効果は、その粗面が前記の特にRaとRmaxの範囲にあって、はじめて得られるものである。 つまりRaにおいては0.05μ
    m未満では、あまりにも微細凹凸粗面であるためにニュートンリングの発生を完全に防止することができなくなるのはもちろん、耐摩耗性の向上もみられなくなる。 一方、2μmを超えると、全体的に白っぽく視認され、従って透明性が維持できなくなる。

    【0037】一方、Rmaxについては前記Raの中で、その凹凸の高さを更に0.6〜2.5μmに特定するものであり、従って仮にRa=0.05〜2μmであっても、それはRmax=0.6〜2.5μmの範囲以内でなければならないということである。 つまり0.6
    μmより小さいと透明薄膜電極層の表面はより微細なマット状面となるので、ニュートンリングの発生が完全に防止できなくなる。 逆に2.5μmを超えると、Ra=
    2μmの粗面中に、より高い凹凸が抜きんでて存在している表面状態になり、光が乱反射され視認性を悪くする。 更には、絶縁スペーサの高さと同等又はそれ以上になる場合があるので、タッチ側とディスプレイ側との透明薄膜電極層が非常に接し易くなる又は常に接している状態になり、絶縁スペーサの機能を果たさず、タッチパネルとして使用できない。

    【0038】前記の粗面は、一般にはタッチ側の透明薄膜電極層(3)の表面に設けるが、これをディスプレイ側の透明薄膜電極層(5)の表面又はこれら両側の該表面に設けてもよい。

    【0039】そして、前記Ra=0.05〜2μm、R
    max=0.6〜2.5μmの無数の微細凹凸を設ける手段については、次の3つが例示できるが、これらに特定されるものではない。

    【0040】その一つの方法は、まず、基体となるタッチ側の透明樹脂フィルム又はディスプレイ側の透明板(プラスチックの場合)一面に、エンボス加工された金属ロールを使ってエンボス加工し、所望とする粗面に賦形する。 ここで金属ロール面に加工された凹部の粗面は、該フィルム又はプラスチック板面に賦形されるが、
    一般にはそのまま再現されることはなく、ある割合でもってより小さい粗面で賦形される場合が多い。 従って、
    必要とするRa=0.05〜2μm、Rmax=0.6
    〜2.5μmに対して、どれだけの大きさの凹部を金属ロール面に作製するのがよいかは、予備実験を行って決めることになるが、金属ロール面の表面粗さは大略Ra
    =0.5〜4μm、Rmax=5〜20μmを目標とすればよい。

    【0041】前記エンボス金属ロールは、一般に機械やレーザー彫刻又は写真製版と化学エッチング法によって作製されるが、これによるエンボス加工条件は一般には次の通りである。 該金属ロールに対峙して受けロールを設け、この間を線圧約10〜50Kg/cm、ローリング速度2〜10m/min、透明樹脂フィルム又はプラスチック板の軟化点より20〜30℃低く設定した加熱条件下に、透明樹脂フィルム又はプラスチック板を通してローリングプレス加工する。

    【0042】二つ目の方法は、コーティングによる方法である。 これは一般にシリカ透明微粉体を透明樹脂(アクリル系樹脂の場合が多い)に分散混合し、これを前記透明樹脂フィルム又は透明板(無機ガラス板又はプラスチック板)の一面にコーティングする。 分散するシリカ微粉体によって、所望するRaとRmaxとの粗面を得るものである。 該微粉体の大きさ、該透明樹脂に混合する量によってRaとRmaxとはその範囲をコントロールできるので、最適条件は予備実験によって決めることになる。 尚、このコーティングを前記環状ポリオレフィンとの複合板で行なう場合には、まず、このコーティングを環状ポリオレフィンのフィルムに行なって、これを透明板に接着剤等で貼合する方法を採るのがよい。

    【0043】以上に例示する方法は、予め粗面付与されたタッチ側又はディスプレイ側の透明基体を使って、これに前記する手段によってタッチ側では20〜55nm
    の酸化ケイ素薄膜層と透明薄膜電極層とを順次積層し、
    ディスプレイ側では透明薄膜電極層を積層する。 その結果得られた上層の各透明薄膜電極層の表面にはRa=
    0.05〜2μm、Rmax=0.6〜2.5μmの無数の微細凹凸が付与されていることになる。

    【0044】三つ目の方法は、前記と異なり、前記した手段にて積層し得られたタッチ側又はディスプレー側の透明薄膜電極層面に前記したエンボス金属ロールをあてて、直接ローリングプレスして、該電極層表面にRa=
    0.05〜2μm、Rmax=0.6〜2.5μmの無数の微細凹凸を賦形するものである。 ここでのエンボス加工条件なども、前記の透明基体に賦形する場合と実質的に差はないが、特にタッチ側の透明薄膜電極層面に賦形する場合には、下層の酸化ケイ素層にクラックが生じる場合があるので、十分に注意する必要がある。 かかる点から、この3つ目の方法による場合は、ディスプレイ側の透明電極層にエンボス加工して所望の粗面とする方法を採るのがよい。

    【0045】以上に説明した本発明による抵抗膜型透明タッチパネルの製造手段の中で好ましい方法は次の2つの場合である。

    【0046】まず、その一つはタッチ側の透明樹脂フィルムの一面を前記エンボス加工して、所定の粗面を形成し、次にその粗面に前記のペルヒドロポリシラザン溶液又は多官能アルコキシシランのゾル−ゲル液をコーティングし、各々二酸化ケイ素に分解して20〜55nmの二酸化ケイ素層を形成し、最後にスパッタリングによりITO等の透明薄膜電極層を積層して得たRa=0.0
    5〜2μm、Rmax=0.6〜2.5μmの粗面よりなるタッチ側透明電極と、スパッタリングによるITO
    などによって無機ガラス板又はプラスチックの板面に透明薄膜電極層を設けたディスプレイ側透明電極とを、該ディスプレイ側透明薄膜電極層に植設した絶縁スペーサーを介して対向配置して得るものである。 なお、前記の酸化ケイ素薄膜層の形成については、ペルヒドロポリシラザン溶液又は多官能アルコキシシランのゾル−ゲル液によるコーティング法が、二酸化ケイ素や場合によっては更に他の導電性不純物を添加したケイ素のスパッタ蒸着による形成よりも好ましいのは、前記した色感とかより高い透明性の発現効果以外に、ニュートンリング防止のために付与されるRa=0.05〜2μm、Rmax
    =0.6〜2.5μmの粗面を形成するのにコントロールしやすいからである。 つまり、コーティング法では、
    凹凸部の凸部分よりも凹部分に厚くコーティングされることになるので、規格外の凹部分(Rmaxを左右する)があっても埋まってしまうため、得られたRaとR
    maxは上記範囲に入りやすい。

    【0047】もう一つは、タッチ側の透明樹脂フィルムの片面に、前記したペルヒドロポリシラザン溶液又は多官能アルコキシシランのゾル−ゲル液をコーティングして化学的に分解して、20〜55nmの酸化ケイ素薄膜層を形成し、その上にITO等をスパッタ蒸着して透明薄膜電極層を積層して得たタッチ側透明電極と、環状ポリオレフィンフィルムの片面に、前記エンボス加工又はシリカ微粉体を含有する透明樹脂をコーティングして粗面化し、その上にITO等をスパッタ蒸着して透明薄膜電極層を積層して得たRa=0.05〜2μm、Rma
    x=0.6〜2.5μmのディスプレイ側透明電極を、
    プラスチック板又は無機ガラス板と貼り合わせて得た複合透明板とを、該ディスプレイ側透明電極面に植設した絶縁スペーサを介して、対向配置して得るものである。

    【0048】

    【実施例】以下、本発明を比較例と共に、実施例によって更に詳述する。 なお、本文中または該例中でいうRa
    とRmax、透明性、耐摩耗性及びニュートンリングは次のように測定して、これによって表現したものである。

    【0049】○RaとRmax・・・(株)東京精密製の表面粗さ形状測定器“サーフコム570A”型で測定した値である。

    【0050】○透明性・・・全光線透過率[%]Ttで示し、これは、各々の検体についてJIS K7105
    (1981)に基づいて、株式会社日立製作所製のU−
    3410型分光光度計によって測定した波長300〜8
    00nmの透過量を%で示す。 これが大きい程透明性は高いことになる。

    【0051】○耐摩耗性・・・各例において作製されたタッチパネルを用いて、ポリアセタール製のペン先(R
    =0.8mm)へ250g又は500gの加重を行い、
    タッチ側の同位置を往復摺動する。 摺動距離は50mm
    で、片道1回と数え、これを5〜10〜20万回行う。
    そして、所定回数に達したら、次の方法によって摺動部で発生した電位差ΔVを測定し、印加電圧(5V)で除して、耐久性として%で示す。 この値が小さいほど、耐摩耗性に優れていることになる。 電位差ΔVの測定方法は以下の通りである。 まず、所定回数を摺動したら、タッチ側の透明電極を外して、これを図2に示す測定回路にセットする。 そして、両端の銀ペースト電極Agに5
    Vの電圧を印加する。 そして、測定回路8の+極側に設けられている探針9で、ペン摺動の軌道10と垂直に、
    透明薄膜電極層表面を1mm間隔で触針しつつ、電位差計Vcの値を記録する。 ペン摺動により、積層されている透明薄膜電極層が大きく摩耗し又はクラック等が入った場合は、摺動部分で大きな電位差ΔVが発生することとなるので、摩耗又はクラック等がない場合の理想電圧勾配曲線から大きく外れることとなる。

    【0052】○ニュートンリング・・・各例において作製されたタッチパネルのタッチ面をポリアセタール製のペン先(R=0.8mm)でランダムにピンポイント的に30点タッチする。 タッチ点周辺で虹色の干渉縞が発生しないかどうかを目視により確認する。

    【0053】(実施例1)まず、厚さ188μm、幅3
    50mmの二軸延伸PETフィルムロール(Tt=8
    8.8%)の片面を次の条件でエンボス加工した。 ○エンボス金属ロール・・・レーザー彫刻によって、R
    a=1.9μm、Rmax=18.4μmの粗面とした表面クロムメッキロール ○プレス圧力(線圧)・・・35Kg/cm ○プレス温度(金属ロールの表面温度)・・・175℃ ○プレス速度・・・3m/min 以上によって賦形されたPETフィルム面の表面粗さは、Ra=0.14μm、Rmax=1.18μmであった。

    【0054】次に前記得られたエンボスPETフィルムの粗面に、5重量%のペルヒドロポリシラザンを溶解したm−キシレン溶液をロールコーティングし、m−キシレンのみを蒸発除去して、その後トリエチルアミン蒸気を含む水蒸気に接触させた後、最後に95℃、RH85
    %雰囲気下に5min放置した。 得られたコーティング層面をXPS(X−ray Photospectro
    scopy)でチェックしたところ、ほぼ完全な二酸化ケイ素膜であることを確認した。 そして、二酸化ケイ素薄膜の厚さは、平均厚みで約50nmであった。 また、
    Tt=89.5%、Ra=0.11μm、Rmax=
    0.94μmで、コーティング前と比して、かなり白濁が少なくなり透明感が増した。

    【0055】次に、前記得られたPETフィルムを横1
    00×縦120mmに裁断し、このフィルム上の二酸化ケイ素薄膜層の全面に、次の条件にてITOをスパッタリングして、透明薄膜電極層を積層した。 ○スパッタ方式・・・直流マグネトロン ○ターゲット・・・ITO(酸化インジウムスズ)の焼結体 ○フィルム温度・・・100℃ ○真空度・・・2×10-3Torr(Arに酸素を4.
    5%混合したガス) ○投入電力・・・0.8kW ○成膜時間・・・5sec 積層されたITO電極薄膜層の膜厚は25nmであった。 また、Tt=88.1%、Ra=0.11μm、R
    max=0.94μmであった。 以下、薄膜を積層して得たフィルムを、タッチ側PET透明電極と呼ぶ。

    【0056】一方、厚さ1.1mm、横100×縦12
    0mmの無機ガラス板(Tt=91.6%)を準備し、
    この一面に前記同一条件にてITOをスパッタリングして、ITOの透明薄膜電極層を積層した。 積層したIT
    O薄膜電極層の厚さは26nmであり、Tt=91.0
    %で表面は平滑であった。 以下これをディスプレイ側ガラス透明電極と呼ぶ。

    【0057】次に、前記タッチ側PET透明電極の長手方向の両サイドに、幅5mm、厚さ約10μmの取り出し電極を、銀導電ペーストのスクリーン印刷により形成した。 一方、前記ディスプレイ側ガラス透明電極には、
    高さ7μm、直径50μmのドットスペーサを3mmピッチで千鳥状に植設されるように、光硬化型アクリル系樹脂をスクリーン印刷し、紫外線照射して硬化した。 最後に、得られた両電極を対向してタッチパネルとして組み立てた。

    【0058】前記組み立てて得たタッチパネルについて、まず、ニュートンリングの発生の有無をチェックした後、耐摩耗性(ペン摺動耐久性)と色感を調べた。 結果を表1にまとめた。

    【0059】

    【表1】

    【0060】(実施例2)実施例1で用いたのと同じP
    ETフィルムを使って、まず、この片面にコロナ放電処理による前処理を行った。 そして、この処理面に、テトラエトキシシラン1モルに対して水6モル、エチルアルコール6モル及び塩酸0.03モルの割合になるようにして全体を混合したゾル−ゲル溶液をロールコーティングし、70℃、30secの熱風乾燥により溶媒を蒸発除去した後、100℃で1.5hr、更に120℃で5
    分間加熱した。 得られたコーティング層をXPSでチェックしたところ、完全な二酸化ケイ素膜であることが確認できた。 また、厚さは47nmで、Ttは89.8%
    あった。

    【0061】次に、前記得られた二酸化ケイ素薄膜の上に、実施例1で行ったのと同一条件にてITOをスパッタリングし、膜厚24nmのITO透明薄膜電極層を全面に積層した。 このとき、Ttは88.3%であった。
    ここで得られたものを、タッチ側非粗面PET電極と呼ぶ。

    【0062】一方、厚さ0.1mm、幅750mmの環状ポリオレフィンフィルム(日本合成ゴム株式会社製のアートン、Tt=92.5%)の片面に、粒径5μmのシリカ微粉体を4重量%と粒径3μmのシリカ微粉体を2重量%含有させた光硬化性アクリル系モノマ乃至オリゴマを主成分とする有機溶媒(メチルエチルケトン/酢酸エチル/イソプロピルアルコール3成分混合溶媒)溶液をロールコーターにてコーティングし、該溶媒を蒸発除去した後、紫外線を照射して硬化せしめた。 得られた該硬化膜の厚みは4μmで、その粗面は、Ra=0.1
    4μm、Rmax=1.46μm、Tt=92.0%であった。

    【0063】次に、フィルム温度を130℃にする以外は同一条件にて、実施例1のPETフィルムで行ったのと同様に、ITOをスパッタリングして、ITOの透明薄膜電極層を全面に設けた。 該ITOの電極層の膜厚は30nmであり、その粗面はRa=0.14μm、Rm
    ax=1.46μmであり、Tt=89.5%であった。

    【0064】一方、厚さ1.0mm、横100mm×縦120mmのポリカーボネート板(Tt=90.0%)
    に、得られた上記フィルムを、アクリル系感圧接着剤(日東電工株式会社製HJ−9150W)を介して接着し、複合透明板を作製した。 得られた透明板のTt=8
    8.0%であった。 ここで得られた該板をディスプレイ側粗面複合板電極と呼ぶ。

    【0065】そして、前記タッチ側非粗面PET電極の長手方向の両サイドに幅5mm、厚さ10μmになるように、実施例1と同様に銀導電ペーストによる取り出し電極を設け、一方、前記ディスプレイ側粗面複合板電極には、実施例1と同様にして同じ絶縁スペーサを植設し、両者の電極面を対向してタッチパネルを組み立てた。

    【0066】前記得られたタッチパネルについても、実施例1と同様にニュートンリング、耐摩耗性と色感について調べ、結果を表1にまとめた。

    【0067】(比較例1)(酸化ケイ素薄膜層の膜厚が範囲外の場合) 実施例1において、同様条件にて得られた2枚のエンボスによる粗面化PETフィルムの一面に、各々ペルヒドロポリシラザンによる二酸化ケイ素薄膜層の膜厚を15
    nmと70nmに変えて積層したものを作る以外は、同一条件にてタッチ側とディスプレイ側の透明電極を各々作製し、以後同様にして2組のタッチパネルに組み上げた。 該15nmの二酸化ケイ素膜厚によるタッチパネルをタッチパネル15と呼び、同様に70nmによるタッチパネルをタッチパネル70と呼ぶ。 各々についてニュートンリングと耐摩耗性と色感を測定し、表1にまとめた。 なお、15nmの二酸化ケイ素薄膜を積層した後、
    PETフィルムの粗面は、Ra=0.13μm、Rma
    x=1.10であり、同様に70nmの積層では、Ra
    =0.06μm、Rmax=0.75μmであった。

    【0068】(比較例2)(粗面RaとRmaxとが範囲外である場合) 実施例1において、PETフィルムに行うエンボス加工条件の中で、クロムめっき金属ロールの粗面を、Ra=
    0.75μm、Rmax=12.5μm(以下比較ロールAと呼ぶ)とRa=1.45、Rmax=25.3μ
    m(以下比較ロールBと呼ぶ)に変えた2本の該ロールを使う以外は、同一条件にてエンボス加工し、以後この二種類の微細凹凸を有するPETフィルムを使って実施例1と同様にして、50nmの酸化ケイ素層と25nm
    のITO電極薄膜層を順次積層した。

    【0069】前記比較ロールAによる場合のITO電極薄膜層面の表面粗さは、Ra=0.03μm、Rmax
    =0.95μmで、Tt=88.7%であった。 一方、
    比較ロールBによる場合のITO電極薄膜層面の表面粗さは、Ra=1.45μm、Rmax=4.5μmで、
    Tt=88.3%であった。

    【0070】一方、ディスプレイ側の透明電極は、実施例1と同一条件にて2枚の無機ガラス板の一面に、膜厚25nmのITO薄膜電極層を設けて作製した。

    【0071】そして、前記のタッチ側とディスプレイ側の各々の透明電極に、実施例1と同様に銀導電ペーストによる取り出し電極と絶縁スペーサとを植設して、両者電極面を対向して組み立て、2組のタッチパネルを得た。

    【0072】比較ロールAに基づくものをタッチパネルA、比較ロールBに基づくものをタッチパネルBとして、各々についてニュートンリング、耐摩耗性、及び色感について測定し、表1にまとめた。

    【0073】(比較例3)(粗面にせず、平滑面にした場合) 実施例1において、PETフィルムにエンボス加工をせず、他は同一条件にてペルヒドロキシポリシラザンによる二酸化ケイ素薄膜層とITO透明薄膜電極層とを順次積層してタッチ側透明電極を作製した。 ここで積層した該二酸化ケイ素薄膜層は50nm、ITO透明薄膜電極層は25nmであり、Ttは90.2%であった。

    【0074】そして、ディスプレイ側の透明電極は、実施例1と同様に作製し、前記のタッチ側透明電極と対向してタッチパネルに組み上げた。 このタッチパネルについてニュートンリングと耐摩耗性を測定し、表1にまとめた。

    【0075】(比較例4)(酸化ケイ素薄膜層を中間介在しない場合) 実施例1において、タッチ側のPETフィルムに積層したペルヒドロキシポリシラザンによる二酸化ケイ素薄膜層を設けない以外は全て同一条件にて、タッチ側のIT
    O透明電極とこれに対抗するディスプレイ側ガラス透明電極とを各々作製し、以後同様にしてタッチパネルに組み上げた。 このタッチパネルについて、ニュートンリングと耐摩耗性とを測定し、表1にまとめた。 なお、タッチ側ITO薄膜電極層表面の表面粗さは、Ra=0.0
    2μm、Rmax=0.34μmで、Tt=87.3%
    であった。 このことから、二酸化ケイ素薄膜層が20〜
    55nm積層されていることで、ITO透明薄膜電極層のみの場合より、透明性が向上することを示している。

    【0076】

    【発明の効果】本発明は、前記の通り構成されているので、次のような効果を奏する。

    【0077】まず、酸化ケイ素薄膜層が膜厚20〜55
    nmで中間介在することで、タッチパネル全体の透明性がより向上する。

    【0078】タッチ時にニュートンリングが全く発生しない。 この結果、画面が見やすく、文字などを短時間で正確に読み取ることができるので、情報の入力動作を軽快に行うことができる。 また、ディスプレイの色調がそのまま視認されるので、心理的にもいらいらすることがない。

    【0079】耐摩耗性(特にペン入力動作によって発生するITO等の透明薄膜電極層の摩耗やクラックの発生)が大きく改良される。

    【0080】また、全体に無色に近い色感を有するために、より鮮明で見やすいタッチパネルを得ることができるようになった。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明におけるタッチパネルの断面図を示す図である。

    【図2】耐摩耗性チェックのための測定回路図である。

    【符号の説明】

    1. 透明樹脂フィルム 2. 酸化ケイ素薄膜層 3. 透明薄膜電極層 4. 透明板 5. 透明薄膜電極層 6. 絶縁スペーサ 7. 無数の微細凹凸による粗面 8. 測定回路 9. 探針 10. ペン摺動軌道 T. タッチ側透明電極 D. ディスプレイ側透明電極 Ag. 銀ペースト電極

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷村 功太郎 滋賀県守山市森川原町163番地 グンゼ株 式会社滋賀研究所内 (72)発明者 古川 修二 滋賀県守山市森川原町163番地 グンゼ株 式会社滋賀研究所内

    QQ群二维码
    意见反馈