押釦スイッチ用部材とその製造方法

申请号 JP2003500928 申请日 2002-04-23 公开(公告)号 JPWO2002097837A1 公开(公告)日 2004-09-16
申请人 信越ポリマー株式会社; 发明人 川口 利行; 利行 川口; 堀田 真司; 真司 堀田; 高橋 正幸; 正幸 高橋;
摘要 光エネルギーを無駄なく表示部の照光に使用することで、消費電 力 を押さえながらも輝度むらのない表示部の照光が実現でき、視認性が高く厚みの薄くて軽い押釦スイッチ用部材(1)を提供することを課題とし、キートップ部(3)と、該キートップ部(3)を所定の 位置 に配して回路 基板 (5)上に取り付けるためのカバー基材とを有すると共に、キートップ部(3)に設けたスイッチ機能を表示する表示部(2)と一体の面発光体(4)を有する押釦スイッチ用部材(1)において、面発光体(4)はベース電極(14)とベース電極(14)に対向する透明電極(10)との間に形成した発光体層(13)を有し、表示部(2)に接して設けた透明電極(10)を透明導電性ポリマーとした。
权利要求
  • 回路基板上の固定接点に対向して配置される可動接点を前記固定接点に接触させる方向に押圧するためのキートップ部と、該キートップ部を所定の位置に配して前記回路基板上に取り付けるためのカバー基材とを有すると共に、前記キートップ部にスイッチ機能を表示する表示部と一体の面発光体を有する押釦スイッチ用部材であって、前記面発光体はベース電極と該ベース電極に対向する透明電極との間に発光体層を有し、前記表示部に接して設けた前記透明電極を透明導電性ポリマーとしたことを特徴とする押釦スイッチ用部材。
  • 前記透明電極の表面抵抗が10Ω/□以上で、光線透過率が90%以下であることを特徴とする請求の範囲第1に記載の押釦スイッチ用部材。
  • 前記透明電極に線径が0.5μm以下でアスペクト比が20以上の導電性繊維を含有してなることを特徴とする請求の範囲第1または2項に記載の押釦スイッチ用部材。
  • 前記透明電極が着色されていることを特徴とする請求の範囲第1乃至3項のいずれか1つに記載の押釦スイッチ用部材。
  • 前記透明導電性ポリマーがポリピロール、ポリチオフェン或いはポリアニリンのいずれか1つの誘導体からなることを特徴とする請求の範囲第1乃至4項のいずれか1つに記載の押釦スイッチ用部材。
  • 前記ベース電極と透明電極とには延伸性を有する導電体が連なっており、該導電体の少なくとも成形時に引っ張り力が作用する延伸部が延伸性のある絶縁性薄膜によって被覆されていることを特徴とする請求の範囲第1乃至5項の何れかに記載の押釦スイッチ用部材。
  • 平面視において前記ベース電極に連なる導電体と透明電極に連なる導電体とが重なることがないように配置されていることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の押釦スイッチ用部材。
  • 前記絶縁性薄膜の材料の成形温度における貯蔵弾性率が、前記ベース電極に連なる導電体と透明電極に連なる導電体の成形温度における貯蔵弾性率よりも大きいことを特徴とする請求の範囲第6または7項に記載の押釦スイッチ用部材。
  • 前記ベース電極とベース電極に連なる導電体が有機ポリマーと導電性フィラーとを有する導電層からなり、前記導電性フィラーの実質的に少なくとも一辺の長さが該導電層の厚みの1/3以下であることを特徴とする請求の範囲第6乃至8項のいずれか1つに記載の押釦スイッチ用部材。
  • 前記導電層に導電性ポリマー層を付加していることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の押釦スイッチ用部材。
  • 前記導電性フィラーが線径1μm以下の繊維状物であることを特徴とする請求の範囲第9又は10項に記載の押釦スイッチ用部材。
  • 前記ベース電極とベース電極に連なる導電体が、導電性ポリマーからなることを特徴とする請求の範囲第6乃至11項のいずれか1つに記載の押釦スイッチ用部材。
  • 前記キートップ部は、前記ベース電極の裏面に所望のキートップ形状をしたキートップ本体を有し、該キートップ本体の裏面には前記固定接点に前記可動接点を接触させるための押圧突部を有することを特徴とする請求の範囲第1乃至12項の何れか1つに記載の押釦スイッチ用部材。
  • 前記キートップ部は、前記透明電極の表面に透明絶縁性フィルムを介して所望のキートップ形状をした透明の第1樹脂成形体を有し、前記ベース電極の裏面に前記固定接点に前記可動接点を接触させるための押圧突部を形成した第2樹脂成形体とを有することを特徴とする請求の範囲第1乃至12項の何れか1つに記載の押釦スイッチ用部材。
  • 複数の前記キートップ部と該複数のキートップ部に対応する前記ベース電極と透明電極とによる複数のスイッチ回路とが前記カバー基材に一体的に形成されていることを特徴とする請求の範囲第1乃至12項の何れか1つに記載の押釦スイッチ用部材。
  • 透明絶縁性フィルムの片面に前記透明電極を形成したものを絞り加工して所望のキートップ形状を成形する際に、少なくとも絞り加工時に引っ張り力が作用する延伸部の前記透明電極に、延伸性のある導電性ポリマーを使用したことを特徴とする請求の範囲第1乃至15項のいずれか1つに記載の押釦スイッチ用部材の製造方法。
  • 少なくとも絞り加工前の前記透明電極の延伸部を肉厚に形成したことを特徴とする請求の範囲第16項に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法。
  • キートップ部の外表面を覆う透明絶縁性フィルムの片面の前記キートップ部に対応した箇所に透明電極を形成し、該透明電極の上に発光層を形成し、該発光層の上にベース電極を形成し、該ベース電極及び前記透明電極に連なる延伸性を有する導電体を形成した絞り加工前の印刷済みシートを製作する工程と、該印刷済みシートを絞り加工して所望のキートップ形状を成形する工程とを有し、絞り加工時に引っ張り力が作用する前記導電体の一部の延伸部には延伸性のある絶縁性薄膜が被覆されていることを特徴とする請求の範囲第6乃至15項のいずれか1つに記載の押釦スイッチ用部材の製造方法。
  • 说明书全文

    技術分野この発明は、携帯電話機、PDA等の携帯端末、カーステレオ、車載用ボードコンピュータ、オーディオ、計測器、パーソナルコンピュータ等の入装置におけるスイッチ機能を表示する表示部を有する押釦スイッチ用部材に関するものであり、より詳しくは、暗い所で表示部を照らし出すことのできる照光式の押釦スイッチ用部材とその製造方法に関するものである。
    背景技術従来、この種の入力装置に用いられる押釦スイッチ用部材は、夜間時の使用において押釦スイッチの機能を示した表示部を照光するいわゆる文字照光機能が必要とされている。
    例えば、携帯電話機等の入力装置に使用される押釦スイッチ30では、第18図又は第19図に示したように、操作キーを構成する複数のキートップ部31を一体に形成したカバー基材32と回路基板33とが向かい合った状態で、目的とする入力装置の筐体内に組み込まれて押釦スイッチ30のスイッチ機能を実現できるようにしている。 そして、暗い所でも押釦スイッチ30の機能がわかるように、各々の操作キーとなるキートップ部31の天面部又は裏面部には、それぞれのスイッチ機能に応じた文字、符号又は図柄等の表示を施した表示部34が設けられており、回路基板33上に設けたLED35や電球36等の光源から発せられる直射光及びこの直射光が周辺の部材に反射して生じる反射光がキートップ部31の裏面部から天面部に透過することで、表示部34の表示内容が浮かび上がって視認できるようになっている。 これにより、夜間時でも支障なく携帯電話等を使用することができる。
    また、より均一な明るさが要求される場合には、第20図又は第21図に示したように、LED35とキートップ部31との間に薄板上の導光部材37を挿入したり、光源として面発光するEL(エレクトロルミネセンス)シート38を使用することで発光表面積を大きくすることが試みられていた。
    しかしながら、LED35、電球36、ELシート38等の光源及び光源からの直射光を導く導光部材37は、回路基板33上の接点部39とキートップ部31との接触動作を阻害することのないよう、キートップ部31から離れた所に配置されているため、光源35,36,38や導光部材37と表示部34とが離れた位置関係となり、LED35や電球36の数を増やしたり、導光部材37を補ったり、或いは高価なELシート38を用いた場合にあっては、部品点数が増加することによる設計の困難性が高くなる割には、暗い所で表示部34の表示内容を確認するだけの十分な光量を供給できない場合が生じ、その実効性に乏しかった。
    特に、電池駆動する携帯電話機にあっては、低消費電力が求められており、少ない数の光源で十分な光量を確保することが望まれるが、上述した従来の方法では光源から発せられる光の一部しか表示部34の視認性向上に寄与できず、大きな消費電力を使用しても視認性を向上することができないといった矛盾が生じていた。
    さらに、キートップ部31とこれに対応する固定基板33に設けた接点部39の間に、光源35,36,38や導光部材37を設けるため押釦スイッチ30の厚みを薄くすることができず、ひいては入力装置や機器本体の厚みを薄くすることに制約が生じると共に重量の増加を招くこととなっていた。
    そこで、以上のような不具合を解消するため、日本国特許公開公報平成11年第232954号又は2000年第285760号に記載された発明のように、キートップ部の天面部に自発光する面発光体を設けて表示部の近傍に光源を取り付けることで、光の拡散と障害物による光量の損失を防ぐ工夫が行われているものが知られている。
    これらの面発光体は、透明導電層が透明絶縁フィルム上に、酸化スズ、酸化スズインジウムや酸化アンチモンスズ等をイオンスパッタ法等でセラミック層形成したもの又はセラミック粉を透明絶縁性樹脂に分散混合した透明導電性インクをスクリーン印刷等で形成したものである。
    ところが透明導電層を酸化スズ等のイオンスパッタ法等でセラミック層形成する場合は、セラミック層自体が脆く、ほとんど伸びないことから、基材である透明絶縁性フィルムを所望のキートップ形状に延伸しようとしても、透明導電層がその形に追従できず、急激に抵抗が上昇してしまうという不利があった。 また、セラミック粉を透明絶縁性樹脂に分散配合した透明導電性インクにより印刷形成してなる透明導電層は粉体の連鎖により導電性を確保するメカニズムであるが、セラミック粉含有量が多くてもさほど抵抗値は低くならず、粉体の均一分散作業にも難があり、基材である透明絶縁性フィルムを所望のキートップ形状に延伸しようとすると、透明電動層のセラミック粉体連鎖が容易に破壊されることから抵抗値の上昇を招き、輝度むらを発生させていた。
    そこで、この発明は、以上のような従来のキートップ部の表示部を照光する押釦スイッチ用部材の問題を解消するために考えられたものであって、光エネルギーを無駄なく表示部の照光に使用することで、消費電力を押さえながらも輝度むらがなく、発光効率の高い表示部の照光が実現でき、視認性が高く厚みが薄くて軽い押釦スイッチ用部材を提供することを目的としている。
    発明の開示上記課題を解決するために、第1の発明は、回路基板上の固定接点に対向して配置される可動接点を前記固定接点に接触させる方向に押圧するためのキートップ部と、該キートップ部を所定の位置に配して前記回路基板上に取り付けるためのカバー基材とを有すると共に、前記キートップ部にスイッチ機能を表示する表示部と一体の面発光体を有する押釦スイッチ用部材であって、前記面発光体はベース電極と該ベース電極に対向する透明電極との間に発光体層を有し、前記表示部に接して設けた前記透明電極を透明導電性ポリマーとしたことを特徴としている。
    これにより、表示部自体が発光するためキートップ部の視認性が大幅に向上する。
    また、面発光体の発光体層をキートップ部のみに使用量を限定できるため、製造コストが低減できると共に照光に使用する消費電力も抑えられる。 さらに、キートップ部とこれに対応する固定基板に設けた接点部の間に、光源や導光部材を設ける必要がないため、厚みの薄い押釦スイッチ用部材を提供することができる。 これにより、押釦スイッチ用部材を組み込んだ入力装置や機器本体も薄いものとすることができる。
    第2の発明は、第1の発明の構成に加えて、前記透明電極の表面抵抗が10Ω/□以上で、光線透過率が90%以下であることを特徴としている。
    これにより、透明度、延伸性を保ちつつ消費電力を小さくすることができる。
    第3の発明は、第1または2の発明の構成に加えて、前記透明電極に線径が0.5μm以下でアスペクト比が20以上の導電性繊維を含有してなることを特徴としている。
    これにより、絞り加工による引っ張り力が作用した場合でも透明度と導電性が維持されるため、請求項1乃至3のいずれか1つの効果に加え、スイッチ機能の信頼性が一層向上する。
    第4の発明は、第1乃至3の発明のいずれか1つの構成に加えて、前記透明電極が着色されていることを特徴としている。
    これにより、表示部を構成する部材を少なくすることができるから一層製造コストを低減することができる。
    第5の発明は、第1乃至4の発明のいずれか1つの構成に加えて、前記透明導電性ポリマーがポリピロール、ポリチオフェン或いはポリアニリンのいずれか1つの誘導体からなることを特徴としている。
    透明導電性ポリマー材料が酸素や湿度に対する安定性が高く、透明性があり導電性が高いため、キートップ部の視認性とスイッチ機能の信頼性が一層向上する。
    第6の発明は、第1乃至5の発明の構成に加えて、前記ベース電極と透明電極とには延伸性を有する導電体が連なっており、該導電体の少なくとも成形時に引っ張り力が作用する延伸部が延伸性のある絶縁性薄膜によって被覆されていることを特徴としている。
    これにより、絶縁性薄膜がベース電極に連なる導電体の材料の流れを規制することとなり、ベース電極の抵抗値の上昇を抑えることができ、均一な発光をする表示部が得られる。 また、表示部に近接して小さな発光体層を備えたため、低消費電力にも拘わらずデザイン的にも視認性が良く、しかも他の余分な部品、部材を必要としないことから、軽薄短小かつ優れた経済性をもたらす押釦スイッチ用部材を提供することができる。
    第7の発明は、第6の発明の構成に加えて、平面視において前記ベース電極に連なる導電体と透明電極に連なる導電体とが重なることがないように配置されていることを特徴としている。
    これにより、成形時及び成形後の完成品として使用しているときに、ベース電極と透明電極とが接触して損傷や破断するようなことがなく、安定した照光が得られる。
    第8の発明は、第6または7の発明の構成に加えて、前記絶縁性薄膜の材料の成形温度における貯蔵弾性率が、前記ベース電極に連なる導電体と透明電極に連なる導電体の成形温度における貯蔵弾性率よりも大きいことを特徴としている。
    これにより、キートップ形状を成形するに当たってよりその成形性が向上する。
    第9の発明は、第6乃至8の発明の何れか1つの構成に加えて、前記ベース電極とベース電極に連なる導電体が有機ポリマーと導電性フィラーとを有する導電層からなり、前記導電性フィラーの実質的に少なくとも一辺の長さが該導電層の厚みの1/3以下であることを特徴している。
    これにより、成形後でも導電フィラー同士の絡み合いが保たれた状態にあるから、導電性能をより確実に確保することができる。
    第10の発明は、第9の発明の構成に加えて、前記導電層に導電性ポリマー層を付加していることを特徴としている。
    これにより、さらに導電性能を保証することができる。
    第11の発明は、第9または10の発明の構成に加えて、前記導電性フィラーが線径1μm以下の繊維状物であることを特徴としている。
    これにより、成形時に導電性フィラーが容易に配向できるから、200%を超えるような過度の延伸が行われても必要とする導電性を維持できる。
    第12の発明は、第6乃至11の発明の構成に加えて、前記ベース電極とベース電極に連なる導電体が、導電性ポリマーからなることを特徴としている。
    これにより、延伸による過度の抵抗上昇が起こりにくく、成形加工の収率が安定し易い。
    第13の発明は、第1乃至12の発明の何れか1つの構成に加えて、前記キートップ部は、前記ベース電極の裏面に所望のキートップ形状をしたキートップ本体を有し、該キートップ本体の裏面には前記固定接点に前記可動接点を接触させるための押圧突部を有することを特徴としている。
    これにより、押圧突部が可動接点を確実に固定接点に接触させることとなるため、スイッチ機能の信頼性が高まる。
    第14の発明は、第1乃至12の発明の何れか1つの構成に加えて、前記キートップ部は、前記透明電極の表面に透明絶縁性フィルムを介して所望のキートップ形状をした透明の第1樹脂成形体を有し、前記ベース電極の裏面に前記固定接点に前記可動接点を接触させるための押圧突部を形成した第2樹脂成形体とを有することを特徴としている。
    これにより、押圧突部が可動接点を確実に固定接点に接触させることとなるため、スイッチ機能の信頼性が高まる。
    第15の発明は、第1乃至12の発明の何れか1つの構成に加えて、複数の前記キートップ部と該複数のキートップ部に対応する前記ベース電極と透明電極とによる複数のスイッチ回路とが前記カバー基材に一体的に形成されていることを特徴としている。
    これにより、複数のキートップ部が均一に明るく照光されるから、携帯電話等の複数のキートップを必要とする電気・電子機器に適用した場合に、よりデザイン性と使用性の向上が際立つ。
    第16の発明は、第1乃至15の発明のいずれか1つに記載の押釦スイッチ用部材の製造方法であって、透明絶縁性フィルムの片面に前記透明電極を形成したものを絞り加工して所望のキートップ形状を成形する際に、少なくとも絞り加工時に引っ張り力が作用する延伸部の前記透明電極に、延伸性のある導電性ポリマーを使用したことを特徴としている。
    これにより、成形加工による導電不良を生じることがなくなるため、キートップ部の側面部での導電不良による不良がなくなり製造効率が向上する。
    第17の発明は、第16の発明の構成に加えて、少なくとも絞り加工前の前記透明電極の延伸部を肉厚に形成したことを特徴としている。
    これにより、成形加工による透明電極の延伸部での導電性が維持されるため、透明電極の屈曲部での導電不良がなくなり製造効率が向上する。
    第18の発明は、第6乃至15の発明のいずれか1つに記載の押釦スイッチ用部材の製造方法であって、キートップ部の外表面を覆う透明絶縁性フィルムの片面の前記キートップ部に対応した箇所に透明電極を形成し、該透明電極の上に発光層を形成し、該発光層の上にベース電極を形成し、該ベース電極及び前記透明電極に連なる延伸性を有する導電体を形成した絞り加工前の印刷済みシートを製作する工程と、該印刷済みシートを絞り加工して所望のキートップ形状を成形する工程とを有し、絞り加工時に引っ張り力が作用する前記導電体の一部の延伸部には延伸性のある絶縁性薄膜が被覆されていることを特徴としている。
    これにより、絶縁性薄膜がベース電極に連なる導電体の材料の流れを規制することとなり、ベース電極の抵抗値の上昇を抑えることができ、均一な発光をする表示部が得られる。 また、表示部に近接して小さな発光体層を備えたため、低消費電力にも拘わらずデザイン的にも視認性が良く、しかも他の余分な部品、部材を必要としないことから、軽薄短小かつ優れた経済性をもたらす押釦スイッチ用部材の製造方法を提供することができる。
    発明を実施するための最良の形態以下、この発明の実施の形態について、図面に従って詳細に説明する。
    [発明の実施の形態1]
    第1図は、この発明の実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材を示した要部断面図である。
    第1図に示した実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材1は、文字、符号又は図柄等によるスイッチ機能を表示した表示部2をキートップ部3の天面部側に設けたものであって、表示部2に自発光する面発光体4を採用したものである。
    実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材1には、回路基板5上の固定接点6に対向させて配置される可動接点7が設けられている。 具体的には、キートップ部3の裏面部中央に設けた押圧突部8の先端に可動接点7を形成し、キートップ部3を回路基板5側へ押圧することにより可動接点7が固定接点6へ接触できるようにしている。
    また、キートップ部3の外周部でかつ押釦スイッチ用部材1と回路基板5との間には、所定の位置に配された複数のキートップ部3をシリコーンゴム等の弾性材料のカバー基材(図示せず)が設けられており、キートップ部3を押圧した際にカバー基材の一部が回路基板5側に弾性変形して、キートップ部3から手を離した際にカバー基材の弾性復元力によりキートップ部3が元の位置に復帰できるようにしている。
    キートップ部3の実質的な形状を決定するキートップ本体16の材料は硬質又は軟質樹脂或いはエラストマー等から選ばれる。 熱可塑性又は熱硬化性のいずれでもよく、フィルム状、ペレット状、液状等素材の形態に限定されることもないが、液状熱硬化性樹脂は注入作業が容易であり好ましい。
    キートップ部3の裏面部を除いた外周表面には透明絶縁性フィルム9が被覆されており、この透明絶縁性フィルム9の裏面にはキートップ部3の側面からキートップ部3の天面部に達する範囲で、面発光体4の一方の電極となる透明電極10が設けられている。 そして、透明電極10の裏面及び透明電極10が設けられていない透明絶縁性フィルム9の裏面には、遮光性及び絶縁性を有する不透明着色層11が設けられている。 そして、不透明着色層11には表示部2の文字、符号又は図柄等の形態に合わせた抜き型部12が形成されている。 不透明着色層11の裏面には、抜き型部12を含めたキートップ部3の天面部の大きさより僅かに小さな大きさの発光体層13を設けている。 したがって、抜き型部12は発光体層13で埋められ、文字、符号又は図柄等からなる模様部が形成され、この模様部と抜き型部12の周囲の不透明着色層11からなる地部とによって表示部2のデザインが完成されることになる。 そして、発光体層13の裏面には、もう一方の電極を形成するベース電極14を設けている。
    キートップ部3の外表面の透明絶縁性フィルム9は、厚みが25〜500μm程度のポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフロロエチレンプロピレン、ポリクロロトリフロロエチレン、ポリビニリデン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリアリレート、或いはスチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の熱可塑エラストマーや、それらの共重合物、アロイ等の変性物のほか、数種のフィルムをラミネーションした複層品等が使用できる。 ここでは、キートップ形状の形成が容易な、軟化点が50〜200℃以下、好ましくは100〜150℃以下の樹脂がよく、ガス透過の小さいものが望ましい。 成形後、外側に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物を蒸着法、ゾルゲル法等の方法でガスバリアー層として形成することは、発光体層13を保護し、長寿命化に好ましい。
    透明電極10に用いられる導電性ポリマーは、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリセレノフェン、ポリアズレン、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリピリダジン、ポリナフチレン、ポリフルオレンやそれらのアルキル化やアルコキシル化等の置換基を導入したポリエチレンジオキシチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ(3メチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3−チオフェン−β−エタンスルフォネール)、ポリメチルピロール、ポリ(3ヘキシルピロール)、ポリ(3−メチル−4−ピロールカルボン酸メチル)、ポリシアノフェニレンビニレン、ポリジメトキシフェニレンビニレン誘導体、或いはポリイソプレ� �変成物等の共役系導電性ポリマーが挙げられる。
    このうち、ドーパントの影響もあるが、酸素や湿度に対して安定性が高く、透明性があり導電性が高い、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンの誘導体は好ましい。 有機ELに使用する場合は、陽極として高い仕事関数を持ったポリアニリン、ポリチオフェンの誘導体が好ましい。
    導電性ポリマーは、その骨格が共役二重結合であることから剛直で、接着性が乏しい。 そのため、基材との十分な密着性を得るには、高い極性を有するアンカーコートを付加することが好ましく、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリルアミド等や、アミノ基、酸基、ニトリル基、カルボキシル基、シアノ基を側鎖に有するポリマー等を用いることができる。
    また、導電性ポリマー単体では、十分な抵抗値を得ることができないため、ドーピングする必要があり、アクセプターとしてヨウ素、臭素などのハロゲン、PF 、AsF 、BF 等のルイス酸、HF、HCl、H SO 等のプロトン酸やパラトルエンスルホン酸、パラメトキシエチルトルエンスルホン酸等の有機酸、FeCl 、TiCl 等の遷移金属化合物、テトラシアノジメタン、テトラシアノテトラアザナフタレン、クロラニル等の有機物質或いはドナーとしてはLi、Na、K等のアルカリ金属、Ca、Sr、Ba等のアルカリ金属土類等が挙げられる。
    湿度、温度による安定性を高めるため、脱ドープには注意が必要で、電解質アニオン、カチオンは避ける方がよく、導電性ポリマーとの配位結合や共重合等は固定に対し有効な方法である。 特に、ドーパントをAB2型のモノマーを出発原料とし、中心核分子から順次結合させて合成されたデンドリマーやポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン等のオリゴマー、ポリマー或いはフラーレン分子に導入し、官能基として担持することは簡便であり、透明絶縁性フィルム9への密着性が高まることから、特に望ましい。 また、このような担体を中心に多官能となったドーパントは、伝導的には、導電性ポリマー分子間をブリッジさせ、安定化し抵抗を下げることにもなるため、非常に有用である。 導電性ポリマーが封止された状態では脱ドープの影響は非常に小さくなるので、成形体中に収めるようにする方がよい。 さらに、導電性を低下させるためには、導電性ポリマーを延伸し、導電性ポリマーの分子間距離を縮めることは有用で、成形時の延伸を利用することができる。
    絞り加工時には、特にキートップ部3の側面に相当する箇所(延伸部)に引っ張り力が作用して延伸されるため、透明絶縁性フィルム9、透明電極10はこれに適した材料でなければならず、破断や抵抗上昇しにくいものが選ばれる。 導電性ポリマーはこれに適した材料である。 成形により、導電性ポリマーの固有抵抗値は変化しないものの、物理的に厚みが薄くなり、延伸することから抵抗値は上昇する。 そのため、延伸率が高い表示部2の模様部の周囲(延伸部)の導電性ポリマーを厚く形成し、抵抗値の絶対値を抑えることができる。 表示部2の地部或いはキートップ部3側面が不透明の場合は、後述する導電性インクによって補うことも可能である。
    100%を超えるような過度の延伸が行われた時は、抵抗が上昇する恐れがある。 この場合、導電性ポリマーに線径が0.5μm以下の微細な導電性繊維を混合することにより、導電性を維持することができる。 線径が0.5μmを越えると実質的に透明でなくなること、及び繊維が剛直になるため成形の障害となる。 アスペクト比は10以上望ましくは20以上、さらに望ましくは50以上がよい。 印刷性の点から、長さは0.1mm以下がよい。
    さらに、200%を超えるような過度の延伸が行われた時は、導電性ポリマーに線径が1μm以下の微細な導電性繊維を混合すると、成形時に配向し導電性を維持することができる。
    導電性繊維としては、ポリアクリロニトリル系等のカーボンファイバーを裂いたもの、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等のセラミックスウィスカーにカーボンコート或いは銀メッキを施したもの等が挙げられるが、柔軟なものがよく、アクリル、レーヨン、ポリエステル、フェノール等の合成繊維に銀メッキ等を施したもの、或いはシングルウォールナノチューブ、マルチウォールナノチューブ等が挙げられ、ナノチューブは線径が0.2μm以下の導電性繊維で非常に都合がよい。 配合量は所望の抵抗値によって決定されるが、0.1から20wt%である。 径が細いほど及び配合量が少ないほど透明性が高いことはいうまでもない。
    導電性ポリマーは、その前駆体モノマーを酸化剤や触媒を用いて重合する化学的重合法、非共役ポリマーからなる中間体を熱処理して得る方法、或いは芳香族化合物をモノマーとして電気化学的に酸化或いは還元して重合する電解重合法等があるが、これらに限定されるものではない。
    透明絶縁性フィルム9上には、導電性ポリマーの低分子品を蒸着等で設けるか、水或いは溶剤に溶解した状態或いは分散したエマルジョン状態で、一般的な印刷塗布方法で形成することができる。 その膜厚は、おおよそ0.1〜25μm程度である。 導電性ポリマーの場合は膜厚と抵抗は非オーミックである場合が多く、厚くしても、それに見合った抵抗減少が得られない場合もあり、光線透過率が悪くなるだけである。 そのため、前もって必要な厚みを決定しておく必要がある。
    透明電極10の表面抵抗は10Ω/□以上、望ましくは100Ω/□以上とし、光線透過率は90%以下望ましく80%以下とする。 表面抵抗値と光線透過率は裏腹の関係にあり、表面抵抗が10Ω/□未満であると、ドーパント量が増大し、着色が強くなり、所望の色を得ることができず、導電性ポリマーも硬質化し、十分な伸度を示さない。 光線透過率は高い方が良いが、90%を超えると表面抵抗が増大しすぎ、消費電力が増加する。
    面発光体4の発光体層13が発光する構造は、電気−光変換のメカニズムを利用すればよく、表示部2の領域を均一に発光させ、樹脂の成形体との複合化を考えると、有機系の無機EL、有機EL或いはLEC(Light Emitting Electrochemical Cell:電気化学発光素子)等が挙げられ、直接、可視発光するものや、可視光外、例えば紫外発光をし、これを可視発光に変換したもの等が含まれる。 これらは、いずれも給電のために対向する電極が必要であるが、実施の形態1では、一方の電極を透明とした透明電極10とし、他方をベース電極14としている。
    無機ELは、対向する少なくとも一方が透明の2電極間に、約5〜50μm厚の発光体層13を設け、20〜100V、50〜400Hz等の交流を印加して発光させる。 携帯機器等の直流電池の場合は、インバーター等によって昇圧し、交流に変換する必要がある。
    発光体層13は、硫化亜鉛等の無機蛍光体粉末をシアノエチルセルロース、シアノエチルサッカロース、シアノエチルプルラン等高誘電体有機物バインダーに分散させ、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等で溶液化し、湿式にて加工を施すことができる。 特に、蛍光体には銅、鉄等の金属をドーピングし多色化が図られている。 また、蛍光体をプラズマ重合或いはゾルゲル法、その他既存の方法により、セラミックスでマイクロカプセル化し、耐湿性や基材への密着性等の安定性を高めることが可能である。 その他、このバインダーにはチタン酸バリウム、チタン酸カリウム等の高誘電体をさらに配合した励起反射層等により電界効率を上げることができる。
    接着性の低い導電性ポリマーからなる透明電極10に、良好に接着するためには、前記したアンカーコートの材料と同等のものを用いることが好ましい。
    発光体層13の発光材料としては、硫化亜鉛に銅等をドーピングした蛍光体粉末をシアノエチルセルロースやシアノエチルサッカロース、シアノエチルプルラン等の強誘電体バインダーに必要ならばチタン酸バリウム等の強誘電セラミック粉末をアセトニトリル等の極性溶剤に溶いたインクや、ポリビニルカルバゾール等のホール輸送性バインダーにトリスヒドロキシキノリノラアルミニウム錯体等の電子輸送性色素を混合したトルエン溶液等が挙げられる。
    無機ELシートは、従来から面状光源としても用いられているが、この発明では表示部2のみに採用するため、その面積は従来バックライトとして使用されていたものの約1/5〜1/100といった僅かな量で足り、それに比例して消費電力を低減することができる。
    有機ELは、使用する発光体材料によって、低分子型と高分子型とがある。 そのうち、膜厚が厚い高分子型は加工がし易く、この発明ではこれに限定して説明すると、対向する少なくとも一方が透明の2電極間に発光体層13を挟持し、約0.1〜0.15μmの発光体層13と、必要ならば、電子注入層、正孔注入層、輸送層等の機能層を設け、直流5〜20Vを印加する。 発光体層13は、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリジアルキルフルオレン、ポリパラフェニレン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体等の可溶性π共役ポリマーがある(シーエムシー発行、「有機EL材料とディスプレー」)。 これら溶液をスピンコート、インクジェット印刷等で設けることができ、色は各物質が持つエネルギーギャップで決定され、エネルギーギャップが大きいほど短波長側になる。 発光体層13と上下の電極層は電子と正孔注入のバランスを吟味して設計される。 高分子型のうち、色素分散型のものは構造が簡単である。 ポリビニルカルバゾールやポリフェニレンビニレンに、トリスヒドロキシキノリラアルミニウム錯体等の電子輸送性或いはオキサジアゾール誘導体等の正孔輸送成分を混合し、ドーパントとしてクマリン誘導体、キナクドリン、ルブレン等のレーザー色素を混合した層を電極に挟持したものである。 この他、σ共役ポリマーのポリメチルフェニルシラン等は近紫外に発光ピークを持ちブチルベンゾオキサゾリルチオフェン、ベンゾピラノン誘導体等のレーザー色素を混合することにより可視発光とすることができる。
    LECは、対向する少なくとも一方が透明の2電極間に発光体層13を挟持し、約15μmの発光体層13のみの構造で、発光体層13は有機ELと同様の共役ポリマーとエチレンオキサイド、フォスファゼン等のポリマー或いはオリゴマーの電解質物質とトリフロロメタンスルホン酸リチウム塩等の金属塩を混合したものである。 直流の3〜5Vの電圧を印加すると、塩のカチオン、アニオンは共役ポリマーを電気化学ドーピングし、P型及びN型半導体を電気化学的にバランスよく生成し、共役ポリマーに電子或いは正孔を効率よく供給することになり、有機EL同様に発光する(WO96/00968)。
    以上3種の面発光体4のうち、無機ELは膜厚制御が容易で環境に対する安定性があり、LECは構造がシンプルで電極材料に制限がなく、膜厚制御が容易で、低消費電力であることから好ましい。
    透明電極10と対向するベース電極14は、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、パラジウム、白金等の金属又は合金或いはタングステンカーバイト、炭化珪素、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性セラミックス或いはフラーレンを光重合、電子線照射重合、プラズマ重合、電解重合等で形成できる。 発光体層13が有機ELである場合は、透明電極10と仕事関数の差が大きい材料が選ばれる。 この他それら微粒子のほか、カーボンブラック、グラファイト等の導電性フィラーをエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の絶縁性樹脂溶液に混合した導電性インクによっても形成できる。
    透明電極10と同様に、延伸による抵抗変化を抑えるため、前述のような導電性セラミックスの微粒子、カーボンブラック、グラファイト等の導電性フィラーをエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の低架橋の熱硬化性樹脂、或いは、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル、塩素化ポリオレフィンや未加硫合成ゴム、熱可塑性エラストマー等の分子量の大きな熱可塑性樹脂などの有機ポリマーに混合して形成することは好ましい。 また、このベース電極14を、有機ポリマーの代わりに、前述のような導電性ポリマーから形成してもよい。
    導電性ポリマーとした場合は、バインダー自体も導電性となることから導電性フィラーの連鎖が壊れても導通を維持することができるので、さらに好ましい。 さらに、導電性繊維或いは可撓性のあるカーボンナノチューブを混合した場合は、バイパス効果で抵抗を下げ、維持することができるので好ましい。
    次に、実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材1の製造方法について説明する。
    平らな透明絶縁性フィルム9を一番下にして、この透明絶縁性フィルム9のキートップ部3が位置する箇所に、キートップ部3の天面の幅とほぼ等しい帯状の透明電極10を形成し、この透明電極10の上からキートップ部3の天面部に該当する箇所を中心にして遮光性及び絶縁性を有する不透明着色インクによるネガ印刷を行うことで、キートップ部3の裏面部を除いた外周表面を覆うに十分な大きさの不透明着色層11を形成する。 この際、不透明着色層11のキートップ部3の天面部が位置する箇所には、スイッチ機能を表示した表示部2の模様部の形状を象った抜き型部12を形成しておく。
    次に、不透明着色層11の上には、抜き型部12を含めたキートップ部3の天面部の大きさより僅かに小さな大きさに発光材料を印刷して発光体層13を形成する。 これにより、抜き型部12には発光体層13が充填される。 さらに、発光体層13の上に発光体層13とほぼ同じ大きさのベース電極14を形成して、発光体層13が不透明着色層11の抜き型部12に留まるようにすることで、絞り加工前の印刷済みシート(図示せず)が完成する。
    発光体層13の発光材料としては、硫化亜鉛に銅等をドーピングした蛍光体粉末をシアノエチルセルロースやシアノエチルサッカロース、シアノエチルプルラン等の強誘電体バインダーに必要ならばチタン酸バリウム等の強誘電セラミック粉末をアセトニトリル等の極性溶剤に溶いたインクや、ポリビニルカルバゾール等のホール輸送性バインダーにトリスヒドロキシキノリノラアルミニウム錯体等の電子輸送性色素を混合したトルエン溶液等が挙げられる。
    表示部2の模様部と地部及び不透明着色層11等の形成は、通常の透明、不透明インクをスクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷、グラビア印刷、吹き付け塗装、ディップコーティング、スピンコーティング、蒸着等の手法を用いて行えばよい。 また、印刷基体の色をそのまま利用することもできる。
    次に、前述した絞り加工前の印刷済みシートを圧空・真空成形やプレス成形等により所望のキートップ部3の形状に合わせた絞り加工を行い、キートップ本体16が設けられる凹部を有する賦形シートを作成する。 このとき、透明電極10とベース電極14の抵抗値が大きく変化しないように、透明電極10の屈曲部は十分な丸みを確保することが必要である。
    次に、絞り加工によって成形された賦形シートの凹部に熱硬化性樹脂を注入して金型内で硬化させる。 その後、キートップ部3の押圧突部8の先端に導電性インクを塗布することで可動接点7を形成して実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材が完成する。
    地部及び着色層、発光体層13等の形成は、通常のスクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷、グラビア印刷、タンポ印刷、吹き付け塗装、ディップコーティング、スピンコーティング、蒸着等を用いる。
    透明着色層15と不透明着色層11とは、軟質の樹脂やエラストマーをバインダーにし、染料や顔料を混合したもので、前記透明絶縁性フィルム9に密着し、同じく延伸性のあるものがよく、同様の樹脂を用いることが好ましい。 その厚みは1〜20μmとされるが、印刷等で設け易い3μm以上で、全厚の薄いほうが成型し易いことから、10μm以下が好ましい。
    キートップ形状の賦形は、通常用いられる、ブロー成形、真空成形、金型成形等が採用される。 表示部2の意匠の位置ずれをなくすためには、金型成形がよく、透明絶縁性フィルム9を、その表示部2のあるところを除いて、熱変形温度に加熱し、金型に沿った形状に保持した後、除圧前に、冷却すると精度のよい形状を得ることができる。 延伸の速度が、速い程、導電体の抵抗値が上昇し易いため、100mm/分以下、望ましくは50mm/分以下がよい。
    プランジャー部等を形成するキートップ本体16に充填される材料は、硬質又は軟質の樹脂や、エラストマーから選ばれる。 熱可塑性、熱硬化性、ペレット状、液状等限定するものではないが、液状熱硬化性樹脂は注入作業が容易で好ましい。 この形成には、射出成型、トランスファー成型、ポッティング等によって行うことができ、予め成型したものを接着して設けることも可能である。
    次に、表示部2の各種態様について説明する。
    表示部2は文字、符号又は図柄等の模様部とその地部からなり、その少なくともいずれか一方が自発光するもので、自発光する部分は、一対のいずれか一方が透明電極10とベース電極14とに挟持された発光体層13からなっている。
    表示部2の模様部となる文字、符号又は図柄等は通常の印刷方法により設けることができ、表示部2の背景との関わりによって、透過光、自発光、反射光及び色差の組み合わせによって種々のデザインが考案される。
    第2図乃至第11図は、デザインの異なる表示部を示した要部断面図である。 このうち、第2図乃至第8図は文字、符号又は図柄等が発光する表示部のパターンを示し、第8図乃至第10図は地部が発光する表示部のパターンを示している。
    第2図に示した表示部2の第1の態様は、上から順番に透明絶縁性フィルム9、透明電極10、抜き型部12を有する不透明着色層11、抜き型部12を埋める発光体層13及びベース電極14を有しており、第1図に示した実施の形態1と同じ構成である。
    第3図に示した表示部2の第2の態様は、上から順番に透明絶縁性フィルム9、抜き型部12を有する地部を構成する不透明着色層11、抜き型部12を埋める模様部を構成する透明着色層15、透明電極10、発光体層13及びベース電極14を有している。
    第4図に示した表示部2の第3の態様は、上から順番に透明絶縁性フィルム9、抜き型部12を有する地部を構成する不透明着色層11、抜き型部12に挿入される模様部を構成する着色透明電極10a、着色透明電極10aを介して抜き型部12を埋める発光体層13及びベース電極14を有している。
    第5図に示した表示部2の第4の態様は、上から順番に透明絶縁性フィルム9、透明電極10、抜き型部12を有する地部を構成する不透明着色層11、抜き型部12を埋める模様部を構成する透明着色層15、発光体層13及びベース電極14を有している。
    第6図に示した表示部2の第5の態様は、上から順番に透明のオーバーコート層16、抜き型部12を有する地部を構成する不透明着色層11(抜き型部12はオーバーコート層16で埋められている)、模様部を構成する透明着色層15、透明絶縁性フィルム9、透明電極10、発光体層13及びベース電極14を有している。
    第7図に示した表示部2の第6の態様は、上から順番に透明絶縁性フィルム9、透明電極10、模様部を構成する不透明着色層11と地部を構成する透明着色層15、発光体層13及びベース電極14を有している。
    第8図に示した表示部2の第7の形態は、上から順番に透明絶縁性フィルム9、透明電極10、模様部を構成する発色体層13、着色誘電体層18a及びベース電極14を有している。
    第9図に示した表示部2の第8の態様は、上から順番に透明絶縁性フィルム9、透明電極10、模様部を構成する不透明着色層11、不透明着色層11の外周を覆い地部を構成する透明着色層15、発光体層13及びベース電極14を有している。
    第10図に示した表示部2の第9の態様は、上から順番に透明絶縁性フィルム9、模様部を構成する不透明着色層11と地部を構成する透明着色層15、不透明着色層11と透明着色層15との外周を覆う透明電極10、発光体層13及びベース電極14を有している。
    第11図に示した表示部2の第10の態様は、上から順番に透明の透明絶縁性フィルム9、模様部を構成する不透明着色層11、不透明着色層11の外周を覆う透明着色電極10a、発光体層13及びベース電極14を有している。
    このうち、第4図と第11図に示したものは、透明電極10を着色して透明着色電極10aとしたものであり、この場合には透明着色層15を使用しなくてよいため、製造工程が簡単となり製造コストが低減できる。
    また、第8図に示したものは、発光体層13により文字、符号又は図形等が形成されているので、不透明着色層の印刷を省くことができ、印刷回数を少なくして製造工程を簡単にすることができる。
    なお、透明着色層15と不透明着色層11とは、軟質の樹脂やエラストマーをバインダーにし、染料や顔料を混合したもので、透明絶縁性フィルム9に密着し、同じく延伸性のあるものがよく、透明絶縁性フィルム9と同様に樹脂を用いることが好ましい。
    [発明の実施の形態2]
    この実施の形態の押釦スイッチ用部材は、透明電極とベース電極とに連なる導電体を設けた他は、実施の形態1と同じである。 この実施の形態に係るキートップ部の天面部近傍の構成について、第3図の詳細に相当する層構成を示した第12図に従って詳しく説明する。
    透明絶縁性フィルム9の下に、隠蔽層として不透明着色層11と表示部2である透明着色層15が設けられている。 次いで、透明電極10の密着性を高めるために、アンカーコート17層が設けられている。 このアンカーコート層17は透明着色層15が同機能を持つ場合は、省略することが可能である。 透明電極10は不必要に大きくすることなく、ベース電極14との絶縁を保つために、ベース電極14に連なる導電体14dとは重なることがないように形成することが肝要である。 発光体層13と誘電体層18bはベース電極14と透明電極10の絶縁性を保つ必要から、透明電極10とベース電極14が重なる部分においては、透明電極10を覆うように形成する必要がある。 ベース電極14は、絶縁薄膜層19で覆われている。 これにより、ベース電極14と透明電極10とは絶縁性を保ち、同時にベース電極14の成形の延伸時に、軟化流動しているベース電極14の導電体14dの材料の流れを規制し、ベース電極14の抵抗値上昇を抑える働きをするものである。
    誘電体層18bのバインダーにはチタン酸バリウム、チタン酸カリウム等の高誘電体をさらに配合し、電界効率を上げることができる。 透明電極10とベース電極14を絶縁するには、この誘電体層18bの体積抵抗と膜厚が重要で、DC100V印加で13乗以上の体積抵抗が必要で、膜厚は少なくとも10μm以上必要である。 この絶縁性が低下すると、発光輝度が低くなり、効率が落ちるので注意が肝心である。 もちろん、ピンホールや異物の混入等があってはならない。 無溶剤インク等の高濃度インクを用いると、一度に厚膜が形成され、溶剤揮発によるピンホール等が低減し、絶縁性を維持しやすい。
    このバインダーの成形温度における貯蔵弾性率は、基材及び絶縁性薄膜層19のそれより小さくてはならず、それらより早く流動状態になり、容易に延伸されることが必要である。 動的粘弾性を測定すると、その貯蔵弾性率は1桁以下、さらに好ましくは2桁以下であることが好ましい。 動的粘弾性を測定するのに十分な試料の大きさがない場合は、微小硬度計を用い、試料を必要な温度に維持した状態で、大小の判別は行うことができる。
    キートップ部3の天面部近傍は成形によって歪まず、ほとんど延伸されることはないが、キートップ側面の部分が最大に延伸されるため、この天面部近傍に、各層の材料の界面、特に、透明電極10やそれに連なる導電体10dとベース電極14とそれに連なる導電体14dの重なる部分があっては、損傷、破断が生じやすいため、避けなければならない。
    また、成形のばらつき等による、不慮の破断或いは抵抗値の上昇を避けるために、冗長回路として、複数のスイッチ回路が透明電極10とベース電極14のそれぞれに連なることは、発光の安定性に大変好ましい。
    第13図は、この発明の実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材に使用する複数のベース電極とそれに連なる導電体のパターンの一例を示した平面図である。
    複数のキートップ部3の表示部2に対応するベース電極14は、発光体層13の底面側を覆い尽くすに十分な大きさを有する略円形乃至楕円形をし、それらのベース電極14の外周から各2本ずつの帯状の導電体14dが延出しており、それら2本の導電体14dが経路線14kを経由して最終的には1本の主幹14sにまとめられ押釦スイッチ用部材1の電極端子へと接続されるようになっている。
    第14図は、この発明の実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材に使用する複数の透明電極とそれに連なる導電体のパターンの一例を示した平面図である。
    複数のキートップ部3の表示部2に対応する透明電極10は、発光体層13の上面側を覆い尽くすに十分な大きさを有する略円形乃至楕円形をし、それらの透明電極10の外周から各2本ずつの帯状の導電体10dが延出しており、それら2本の導電体10dが経路線10kを経由して最終的には1本の主幹10sにまとめられ押釦スイッチ用部材1の電極端子へと接続されるようになっている。
    図面では、透明電極10の外形がベース電極14より一回り大きい場合を示しており、ベース電極14のパターンに透明電極10のパターンを重ねると、第15図に示した状態となる。 つまり、ベース電極14は透明電極10で覆われるが(完成品にあっては、両者の間に発光体層13が挟み込まれる)、ベース電極14から延出する導電体14dと透明電極10から延出する導電体10dとは互いに重なることなく、かつベース電極14の経路線14k及び主幹14sと透明電極10の経路線10k及び主幹10sとが重なることがないように配置される。
    これにより、ベース電極14に連なる導電体14dと透明電極10に連なる導電体10dとが接触して損傷や破断が生じるおそれがなくなるため、安定した照光が保証される。
    第16図は、第12図に示した表示部と同様のデザインにおいて、ベース電極14の構造をより具体的に示した拡大断面図である。
    第16図に示したように、ベース電極14を導電性ポリマー層20と有機ポリマーと導電性フィラーとからなる導電性フィラー層21との複合体の導電層とした場合には、導電性フィラーの連鎖が壊れても、導電性ポリマー層20が補うことで、導通を維持することができるので、さらに好ましい。
    ベース電極14及びそれに連なる導電体14dの膜厚は、成形後に薄くなった膜厚が導電フィラーの大きさの3倍以上、好ましくは5倍以上がよい。 バインダーの流れ、変形に伴い、導電性フィラーも同様に移動することが必要で、形状は球形に近い粒状がよい。
    粒子連鎖を確実にするためには、このほか繊維状、平面状のフィラーも選択されるが、繊維状のものは、流れに伴い配向し、抵抗値を維持し易く、大変好都合である。 繊維状導電フィラーのアスペクト比は10以上望ましくは20以上、さらに望ましくは50以上がよい。 長さは、印刷性の点から0.1mm以下がよい。 ポリアクリロニトリル系等のカーボンファイバーを裂いたもの、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等のセラミックスウィスカーにカーボンコート或いは銀メッキを施したもの等が挙げられるが、柔軟なものがよく、アクリル、レーヨン、ポリエステル、フェノール等の合成繊維に銀メッキ等を施したもの、或いはシングルウォールナノチューブ、マルチウォールナノチューブ等が挙げられ、ナノチューブは線径が0.2μm以下の導電性繊維で非常に都合がよい。 配合量は所望の抵抗値によって決定されるが、0.1〜20wt%である。
    [発明の実施の形態3]
    第17図は、この発明の実施の形態3に係る押釦スイッチ用部材を示している。
    第17図に示した実施の形態3に係る押釦スイッチ用部材1は、文字、符号又は図柄等による表示部2をキートップ部3の中間部に設けたものであって、表示部2に自発光する面発光体4を採用したものである。
    実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材1には、回路基板5上の固定接点6の配置に合わせてこの固定接点6と対向する位置に可動接点7を配するように弾性変形可能なドーム部22の内面に可動接点7を設けた接点シート部材23と、接点シート部材23のドーム部22の中央部をキートップ部3の裏面部に設けた押圧突部8で押圧できるように配置されたキートップ部3が一体に形成されている。
    そこで、透明絶縁性フィルム9の表面には、所望のキートップ形状に成形された第1樹脂成形体24が一体に設けられており、透明絶縁性フィルム9の裏面には、透明電極10が設けられている。
    透明電極10の裏面には、キートップ部3の天面部に当たる箇所に透明な着色インクで表示部2の模様部を形成した透明着色層15が形成されている。 表示部2はキートップ部3の天面部の一部分に形成されるが、透明着色層15の裏面及び透明着色層15の周囲の透明電極10の裏面には、発光材料からなる発光体層13が設けられている。 また、発光体層13の裏面には銀ペーストによるベース電極14が設けられている。 ベース電極14の裏面には、キートップ部3の裏面中央部に当たる箇所に押圧突部8を設けた第2樹脂成形体25を一体に形成している。
    なお、実施の形態3おける各部材の材料については、実施の形態1と同様であるため、実施の形態1の説明を参照のこと。
    次に、実施の形態3に係る押釦スイッチ用部材1の製造方法について説明する。
    まず、透明絶縁性フィルム9の裏面のキートップ3が位置する箇所に、キートップ3の天面の幅とほぼ等しい帯状の透明電極10を形成し、この透明電極10の上に透明な着色インクで表示部2の模様部を形成する。 次に、発光材料をキートップ3の裏面側の透明電極10及び表示部2の上に塗布して発光体層13を形成する。 次に、発光体層13のキートップ3の裏面部中央に当たる箇所を除いて、遮光性及び絶縁性を有する絶縁性インクを発光体層13の外周部と透明電極10の上に塗布して不透明着色層11を形成する。 発光体層13の上には対向電極としてベース電極14を印刷し、不透明着色層11の印刷エリア内に留める。 ベース電極14の上には、第2樹脂成形体25とその裏面中央部の押圧突部8を一体に形成する。
    次に、第2樹脂成形体25を形成した透明絶縁性フィルム9の対応する位置の表面側に、予め所望のキートップ形状に形成した第1樹脂成形体24を接着固定して、押釦スイッチ用部材1を完成する。
    実施の形態3にあっては、発光体層13が第1樹脂成形体24と第2樹脂成形体25との間に配置されキートップ部3の中間部の位置に設けられているため、発光体層13が外部雰囲気から隔離された環境状態に保たれているため、水分や酸素の影響を受けることがなく長期に使用しても発光性能が低下することがない。
    なお、実施の形態1、2では表示部2をキートップ部3の天面部に設け、実施の形態3では表示部2をキートップ部3の中間部に設けたが、表示部2はキートップ部3の天面部又は裏面部或いは中間部等、キートップ部3と一体的であればその位置を限定するものでなく、デザインの好みによって決定すればよい。
    さらに、表示部2のキートップ部3内の位置は、透明電極10が透明絶縁フィルム9上にあるため、キートップ部3の上部になることが一般的であるが、発光体層13は水分や酸素にその寿命が影響されることから、表示部2が印刷塗布された透明絶縁性フィルム9を成形後、上部に透明絶縁性樹脂からなる成形体を貼着させあるいはインモールドで一体形成し、キートップ部3の中央部に表示部2を形成すると、上部、下部からの水分や酸素の浸入を均等化することができるので有効的な長寿命化策となる。
    従来の面状光源として無機ELシートを用いていた場合には、その使用面積が広かったが、この発明に係る押釦スイッチ用部材にあっては、キートップ部の表示部のみに発光体層を設けるため、その使用面積は従来の無機ELシート方式に比べ約1/5〜1/100となり、それに比例して消費電力も大幅に低減することができる。
    実施例以下、実施の形態1ないし3についての評価を行うために製作した実施例1乃至5と、その比較対照品として製作した比較例1及び比較例2について説明する。
    [予備試験]
    以下、この発明に係る押釦スイッチ用部材1を成形する前の印刷済みシートについて、その性能を確認するために行った予備試験について説明する。
    (熱可塑性バインダーの調整)
    100℃における貯蔵弾性率が1×10E6(Pa)と5×10E8(Pa)の熱可塑性ポリエステル(東洋紡製、商品名バイロン)をそれぞれ、固形分が50%となるようにセロソルブアセテートに溶解させ、絶縁性バインダー溶液(前者をILと後者をIHと以下略して表示。)を作製した。
    (銀ペーストの調整)
    ILに平均粒子径2.5μmと0.3μmの粒状銀粉(福田金属箔粉工業(株)製商品名シルコート及びディーエムシースクウェアー製シルバーパウダー)を、体積抵抗が1×10E−3から5×10E−2になるよう所望量を混合分散し、銀ペーストを得た(それぞれILSL、ILSSという。)。 同様にIHにも加え、IHSLとIHSSを得た。
    (引張試験)
    上記条件によって作製した4種類の銀ペーストを使用して10種類の試料を作製し、50μm厚の非晶性ポリエチレンテレフタレートシート上にこれらの銀ペーストを印刷し、乾燥後、さらに絶縁性バインダー溶液をコートし、10μm厚の皮膜で覆った。 この印刷物を首の幅が2mmのダンベル状に打ち抜き、100℃の雰囲気中で、テンシロンを用い、引張速度100mm/分で引張試験を行い、随時200%までの伸び率と抵抗を測定した。 試験終了後、試験片上の銀ペーストの膜厚を測定した。
    以上の10種類の試料についての試験結果を表1及び表2に示す。

    この予備試験の結果によれば、絶縁コートの無い試料5、6は、絶縁コートのある場合に比べて、引張試験後の抵抗上昇が大きい。 また、引張試験後の膜厚が導電粒子の大きさの3倍未満の試料7、8では、抵抗上昇が甚だしいものとなった。


    [実施例1]


    実施例1は、この発明の実施の形態1に対応するものである。


    まず、100μmのポリメチルメタクリレート(アクリプレン、三菱レーヨン(株)製)の片面にスルホン化ポリスチレンをドーピングしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(デナトロン4001、長瀬産業(株)製)溶液にその固形分に対し3%のマルチウォールナノチューブ(線径0.01μm、平均線長5μm、ハイペリオン社製)をホモジナイザーを用い分散させ透明な処理液を得た。 次に、処理液を透明絶縁フィルム9の片面にグラビアコーターにより全面塗布し、1μm厚の透明電極10を形成した。 このものの全光線透過率は70%(JIS−K7105に準じて測定)で表面抵抗は500Ω/□(JIS−K6911に準じて測定)であった。


    不透明着色層11を遮蔽性及び絶縁性のある黒色の着色インクで表示部2の地部をスクリーン印刷で、表示部2の模様部及び第2の電極端子部を除き全面に塗布した。 緑色の発光色を有する硫化亜鉛をシアノエチルセルロースに分散させた無機ELペーストを地部の抜き型部12に印刷で20μmの発光体層13を、ついでチタン酸バリウム粉末をシアノエチルセルロースに分散させた10μmの励起反射層を設けた。 最後に、ベース電極(ドーデントNH−030A、熱可塑性ポリアミドバインダー、ニホンハンダ(株)製)14で発光体層13上に対向電極とそれに繋がる端子電極を不透明着色層11に設けた。 印刷工程終了後、真空乾燥装置でよく乾燥させ印刷済みフィルムを得た。


    直径12mm、深さ7.8mm、底面がR50(mm)の凹曲面を有する12個のキャビティーを有する金型と、これにより型取りした硬度90°(ショアーA)の弾性体からなる第1の雄型を用い、表示部2の模様部に断熱のため直径8mmの金属片を置き、赤外線により110℃に加熱し、金属片を取り去り直ちに、印刷済みフィルムを冷間で圧縮成形した。 雄型を取り除いた後、キートップ本体16として硬度80°(ショアーA)の液状シリコーンゴムを必要量注型し、第1図に示した断面形状を有する第2の雄型により、キートップ本体16の裏面部に押圧突部8を成形した。 この押圧突部8にカーボンブラックを含有するシリコーンインクにより可動接点7を形成し、押釦スイッチ用部材1(実施の形態1に対応するもの)を得た。


    押釦スイッチ用部材1の電極端子と回路基板5上の電極端子とを合わせて載置し、発光体層13に50V、100Hzの交流を印加すると表示部2は全て緑色の発光を呈し、輝度は5.2ニットであった。


    [比較例1]


    比較例1は実施例1を評価するためのものである。


    比較例1は、透明電極10が透明セラミックス粒子を分散させたITOインク(住友大阪セメント(株)製)で形成されていること以外(ナノチューブ無し)、実施例1と同じである。


    比較例1に係る押釦スイッチ用部材を点灯させると、5箇所点灯せず、残りは輝度がまちまちで、点灯したと判断するのが困難なものもあった。


    [実施例2]


    実施例2はこの発明の実施の形態1に対応するものである。


    実施例2では、透明電極10として実施例1と同様の導電性ポリマーに、赤く着色させた。 発光体層13は白色の硫化亜鉛からなる。


    まず、100μmポリメチルメタクリレート(三菱レーヨン(株)製、アクリプレン)の片面にスルホン化ポリスチレンをドーピングしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(デナトロン4001、長瀬産業(株)製)溶液にその固形分に対し3%のマルチウォールナノチューブ(線径0.01μm、平均線長5μm、ハイペリオン社製)とアゾ化合物からなる染料を固形分に対して0.1wt%添加し、ホモジナイザーを用い分散させ透明な赤色の処理液を得た。 次に、処理液を透明絶縁性フィルム9の片面にグラビアコーターにより全面塗布し、1μm厚の赤い透明電極10を形成した。 さらに、着色されていない前記の導電性ポリマー溶液を表示部2の模様部の周囲にスクリーン印刷により塗布した。


    これ以降、実施例1と同様の処理し、押釦スイッチ用部材1を得た。


    押釦スイッチ用部材1の電極端子と回路基板5上の電極端子とを合わせて載置し、発光体層13に50V、100Hzの交流を印加すると表示部2は全て発光を呈し、輝度は6.0ニットであった。


    [実施例3]


    実施例3は、この発明の実施の形態2に対応するものである。


    まず、100μmのポリメチルメタクリレート(アクリプレン、三菱レーヨン(株)製)の片面にスルホン化ポリスチレンをドーピングしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(デナトロン4001、長瀬産業(株)製)溶液にその固形分に対し3%のマルチウォールナノチューブ(ハイペリオン社製、線径0.01μm、平均線長5μm)をホモジナイザーを用い分散させ透明な処理液を得た。


    次に、この処理液を透明絶縁性フィルム9の片面にグラビアコーターにより全面塗布し、1μm厚の透明電極10を形成した。 このものの全光線透過率は70%(JIS−K7105に準じて測定)で、表面抵抗は500Ω/□(JIS−K6911に準じて測定)であった。


    不透明着色層11を隠蔽性のある絶縁性で黒色の着色インクで表示部2の地部をスクリーン印刷で、表示部2及び第2の電極端子部を除き全面に塗布した。 緑色の発光色を有する硫化亜鉛をシアノエチルセルロースに分散させた無機ELペーストを地部の開口部分最小限に同様に印刷で20μmの発光体層13を、ついでチタン酸バリウム粉末をシアノエチルセルロースに分散させた10μmの誘電体層18bを設けた。 最後に、銀ペースト(ILSS)で誘電体層18b上にベース電極14とそれに連なる導電体14dからなる端子電極を不透明着色層11に設けた。 このベース電極14とそれに連なる導電体14dを覆うように、前記した熱可塑性バインダー(IH)で印刷した。 印刷工程終了後、真空乾燥装置でよく乾燥させ印刷フィルムを得た。


    直径12mm深さ78mm、底面50mmRの凹面を有する12個のキャビティーを有する金型と、これにより型取りした硬度90°(ショアーA)の弾性体からなる雄型を用い、表示部2に断熱のため直径8mmの金属片を置き、赤外線により110℃に加熱し、金属片を取り去り直ちに、前記印刷フィルムを冷間で圧縮成形をした。 雄型を取り除いた後、キートップ本体26として硬度80°(ショアーA)の液状シリコーンゴムを必要量注型し、第1図に示す断面形状を有する第2の雄型により、コア部に突起を成形した。 この突起部にカーボンブラックを含有するシリコーンインクにより接点部を形成し、複数のキートップ部3を有する押釦スイッチ用部材1を得た。


    押釦スイッチ用部材1の電極端子と基板上の電極端子とを合わせて載置し、発光体層13に50V、100Hzを印加すると、複数のキートップ部3の表示部2はすべて緑色の発光を呈し、輝度は6.2ニットで十分な明るさを得ることができた。


    [実施例4]


    実施例4も実施例3同様に、この発明の実施の形態2に対応するものである。


    実施例4では、透明電極10として実施例3と同様の導電性ポリマーに、赤く着色させたものを用いた。 発光体層13は白色の硫化亜鉛からなる。


    まず、100μmのポリメチルメタクリレート(アクリプレン、三菱レーヨン(株)製)の片面にスルホン化ポリスチレンをドーピングしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(デナトロン4001、長瀬産業(株)製)溶液にその固形分に対し3%のマルチウォールナノチューブ(ハイペリオン社製、線径0.01μm、平均線長5μm)とアゾ化合物からなる染料を固形分に対して0.1wt%添加し、ホモジナイザーを用い分散させ透明な赤色の処理液を得た。


    次に、この処理液を透明絶縁性フィルム9の片面にグラビアコーターにより全面塗布し、1μm厚の赤い透明電極を形成した。 さらに、着色されていない前記導電性ポリマー溶液を意匠パターン周囲にスクリーン印刷により塗布した。 以後、実施例1と同様に誘電体層18bまで処理した。 次いで、ベース電極14を透明電極10と同様の導電性ポリマーに20%のマルチウォールナノチューブを混合した導電性インクで形成し、その上に、銀ペースト(ILSL)を10μm厚に印刷した。 以後、実施例2と同様にして、複数のキートップ部を有する押釦スイッチ用部材1を得た。


    押釦スイッチ用部材1の電極端子と基板上の電極端子とを合わせて載置し、発光体層13に50V、100Hzを印加すると、複数のキートップ部3の表示部2はすべて発光を呈し、輝度は7.0ニットで十分な明るさを得ることができた。


    [実施例5]


    実施例5は、この発明の実施の形態3に対応するものである。


    実施例5では、透明絶縁体フィルム9として、両面プラズマ処理を施した100μmのポリプロピレンフィルムの両面に15μmのエチレンビニルアルコールコポリマーフィルムをラミネートした。 緑色の不透明着色インクで表示部2の地部をスクリーン印刷で、表示部2の模様部を除いた全面に塗布した。 その上に、ポリアニリンの構造単位の1/6モルのスルホン化デンドリマー(ジアミノブタン、DSM社製)とシアノエチレンを出発物質としたデンドリマー(DAB(PA)8)にベンゼンスルホン酸を反応させたドーパントを含むポニアニリン溶液をインクジェット印刷により表示部2の模様部とそれに繋がる端子電極を形成した。 さらに、ポリアニリン溶液の固形分の75wt%の銀粉(シルコート、福田金属箔粉工業(株)製)を混合した導電性ポリマーインクを表示部2の模様部の周囲から端子部まで、ポリアニリンを覆うように5μmの形成層を印刷した。 透明電極10の全光線透過率は65%(JIS−K7105に準じて測定)で、表面抵抗は700Ω/□(JIS−K6911に準じて測定)であった。


    ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾイミダゾール)とポリエチレンオキサイドとトルエンスルホン酸リチウム塩とからなるLEC用インクを同様にインクジェット印刷により、透明電極10を覆うように、厚さ15μmの発光体層13を形成した。 次いで、銀混合導電性ポリマーインクで、発光体層13のベース電極14とそれに繋がる電極端子を、前記形成層から離して形成した。 印刷工程終了後、真空乾燥装置でよく乾燥させ印刷済みフィルムを得た。


    3mm×5mm、深さ1.5mmの底面が平坦な凹部を形成した15個のキャビティーを有する雌型と2.8mm×4.8mm、高さ0.9mmの天面が平坦な凸部を有する雄型を用い、表示部2の模様部に断熱のため2.6mm×4.6mmの金属片を置き、赤外線照射により100℃に加熱し、金属片を取り去り直ちに、印刷済みフィルムを冷間で圧縮成形した。 雄型を取り除いた後、酸素除去剤として10wt%の鉄分を含む液状エポキシ樹脂を必要量注型し、第11図に示すものと同じ断面形状を有する第2の雄型により、第2樹脂成形体20とその裏面中央部の押圧突部8を成形した。


    さらに、アクリル樹脂からなる所望のキートップ形状をした第1樹脂成形体19を二液性アクリル接着剤で貼着した。 得られた成形体の電極部分をマスクして、アミノシラノールを触媒とするシラノール溶液にディップし、40℃で乾燥させ、反応させ、成形体表面に2μm厚のシリカ層を形成し、均一な押釦スイッチ用部材1(実施の形態2に対応したもの)を得た。


    押釦スイッチ用部材1の電極端子と回路基板5上の電極端子とを合わせて載置し、発光体層13に直流4Vを印加すると表示部2は全て発光を呈し、輝度は6.5ニットであった。


    [比較例2]


    比較例2は、実施例5を評価するためのものである。


    比較例2として、透明電極10が酸化インジウムスズをイオンスパッタリングで形成されていること以外は、実施例3と同じものを製作した。


    比較例2に係る押釦スイッチ用部材を点灯させると、全く点灯しなかった。


    産業上の利用可能性この発明は、携帯電話機、PDA等の携帯端末、カーステレオ、車載用ボードコンピュータ、オーディオ、計測器、パーソナルコンピュータ等の入力装置におけるスイッチ機能を表示する表示部を有する押釦スイッチ用部材のうち、暗い所で表示部を照らし出すことのできる照光式の押釦スイッチ用部材に有効に利用される。


    【図面の簡単な説明】


    第1図は、この発明の実施の形態1に係る押釦スイッチ用部材を示した要部断面図である。


    第2図は、この発明に係る押釦スイッチ用部材の表示部の第1の態様(実施の形態1に対応したもの)を示した要部断面図である。


    第3図は、同表示部の第2の態様を示した要部断面図である。


    第4図は、同表示部の第3の態様を示した要部断面図である。


    第5図は、同表示部の第4の態様を示した要部断面図である。


    第6図は、同表示部の第5の態様を示した要部断面図である。


    第7図は、同表示部の第6の態様を示した要部断面図である。


    第8図は、同表示部の第7の態様を示した要部断面図である。


    第9図は、同表示部の第8の態様を示した要部断面図である。


    第10図は、同表示部の第9の態様を示した要部断面図である。


    第11図は、同表示部の第10の態様を示した要部断面図である。


    第12図は、この発明の実施の形態2に係る押釦スイッチ用部材の要部を示し、第3図の詳細に相当する構成を示す拡大断面図である。


    第13図は、同押釦スイッチ用部材ベース電極とそれに連なる導電体のパターンを示した平面図である。


    第14図は、同押釦スイッチ用部材の透明電極とそれに連なる導電体のパターンを示した平面図である。


    第15図は、同押釦スイッチ用部材のベース電極とそれに連なる導電体のパターンに透明電極とそれに連なる導電体のパターンを重ねた状態を示した平面図である。


    図16は、第11図に示した表示部と同様のデザインにおいて、ベース電極の構造をより具体的に示した拡大断面図である。


    第17図は、この発明の実施の形態3に係る押釦スイッチ用部材を示した要部断面図である。


    第18図は、従来の光源にLEDを使用した押釦スイッチ用部材の要部断面図である。


    第19図は、従来の光源に電球を使用した押釦スイッチ用部材の要部断面図である。


    第20図は、従来の導光部材を採用した押釦スイッチ用部材の要部断面図である。


    第21図は、従来の光源にELシートを使用した押釦スイッチ用部材の要部断面図である。

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