パルス大電流スイッチ

申请号 JP2014006971 申请日 2014-01-17 公开(公告)号 JP6301659B2 公开(公告)日 2018-03-28
申请人 株式会社神戸製鋼所; テクノ電気工業株式会社; 发明人 後藤 崇志; 片桐 和夫;
摘要
权利要求

回転可能に支持された第1のアームと、 前記第1のアームの自由端側に配置された円柱形状又は柱形状の第1の接点部材と、 回転可能に支持された第2のアームと、 前記第2のアームの自由端側に配置され、前記第1の接点部材に接触する円柱形状又は角柱形状の第2の接点部材とを備え、 前記第1の接点部材と前記第2の接点部材とが接触した後に、両接点部材の接触位置が前記第1のアーム及び前記第2のアームの回転動作にともなって変位し、前記第1の接点部材と前記第2の接点部材とが面接触して前記変位が終了する構成のパルス大電流スイッチ。前記接触位置を変位させる変位機構を更に備え、 前記変位機構は、前記第1の接点部材と前記第2の接点部材とが接触した後に、前記第1のアームに前記第2のアームを押し戻す回転動作をさせることによって前記接触位置を変位させることを特徴とする請求項1に記載のパルス大電流スイッチ。前記変位機構は、前記第1のアームに前記第2のアームを押し戻す弾性を付与する弾性部材を有することを特徴とする請求項2に記載のパルス大電流スイッチ。前記第1のアームの回転軸と前記第2のアームの回転軸とが、前記第1の接点部材と前記第2の接点部材との接触位置を挟んで相対する位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパルス大電流スイッチ。前記第1のアームの回転軸と前記第2のアームの回転軸とが、前記第1の接点部材と前記第2の接点部材との接触位置に対して同じ側に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパルス大電流スイッチ。前記第1の接点部材と前記第2の接点部材との接触部を取り囲む環状部材を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパルス大電流スイッチ。前記環状部材が樹脂材からなることを特徴とする請求項6に記載のパルス大電流スイッチ。前記第1のアーム、前記第2のアーム及び前記環状部材を覆う筐体を更に備えることを特徴とする請求項7に記載のパルス大電流スイッチ。前記筐体が気体導入口を備えることを特徴とする請求項8に記載のパルス大電流スイッチ。前記筐体内が不活性ガス又は素ガスで置換されていることを特徴とする請求項9に記載のパルス大電流スイッチ。

说明书全文

本発明は、ルス大電流を通電するパルス大電流スイッチに関する。

電磁を利用して金属を塑性加工する電磁成形技術等では、管の拡管やフランジ成形、縮管かしめ、板成形等様々な成形が行われる。電磁成形では、成形対象の材料をインダクタの付近に設置し、コンデンサに充電したエネルギーを、数ミリsec以内の極めて短い時間でパルス状の大電流としてインダクタに印加する。これによって磁束が生じ、成形対象の材料には誘導電流が発生してフレミングの左手の法則により成形対象の材料が塑性変形される。

電磁成形等に用いられるパルス電流スイッチとして、ギャップスイッチを用いたものが特許文献1に開示されている。ギャップスイッチは、例えば湿度などの使用雰囲気の環境によって放電ギャップすなわち電極間の距離を調整する必要があるため、成形材の成形量のバラつきが大きく量産に適さないという問題があった。

ギャップスイッチの他にサイラトロンスイッチ、半導体スイッチ、イグナイトロンスイッチといったものが特許文献2に例示されている。この中でパルス大電流を用いて量産工程において多くの回数の放電すなわちショットを行うスイッチとしては、イグナイトロンスイッチが最も適しているといえる。

その他にも、接点同士を機械的に接触させて通電するメカニカルスイッチの適用が考えられる。大電流の通電に適用したメカニカルスイッチにおいては、例えば特許文献3がある。このスイッチは、接点材料を特定の組成に設定して接点同士のくっつき即ち溶着を抑えるというものである。

特開2003−311434号公報

特開2007−253182号公報

特開平11−73848号公報

しかし、特許文献3に記載の技術では、溶着の程度は低減できても例えば電磁成形品の量産設備のように連続して多数回の放電を行う場合は、溶着が完全に回避できない以上、スイッチがすぐに使用不可能になり生産性の低下とコストの向上を招いていた。

そこで、本発明は、接点同士の溶着を防止して多数回連続的にパルス大電流を通電できるパルス大電流スイッチを提供することを主目的とする。

本発明に係るパルス大電流スイッチは、回転可能に支持された第1のアームと、前記第1のアームの自由端側に配置された円柱形状又は柱形状の第1の接点部材と、回転可能に支持された第2のアームと、前記第2のアームの自由端側に配置され、前記第1の接点部材に接触する円柱形状又は角柱形状の第2の接点部材とを備え、前記第1の接点部材と前記第2の接点部材とが接触した後に、両接点部材の接触位置が前記第1のアーム及び前記第2のアームの回転動作にともなって変位し、前記第1の接点部材と前記第2の接点部材とが面接触して前記変位が終了する構成である。 また、本発明のパルス大電流スイッチは、前記接触位置を変位させる変位機構を更に備え、前記変位機構は、前記第1の接点部材と前記第2の接点部材とが接触した後に、前記第1のアームに前記第2のアームを押し戻す回転動作をさせることによって前記接触位置を変位させてもよい。 また、本発明のパルス大電流スイッチは、前記変位機構が、前記第1のアームに前記第2のアームを押し戻す弾性力を付与する弾性部材を有してもよい。 また、本発明のパルス大電流スイッチは、前記第1のアームの回転軸と前記第2のアームの回転軸とが、前記第1の接点部材と前記第2の接点部材との接触位置を挟んで相対する位置に配置されていてもよい。または、前記第1のアームの回転軸と前記第2のアームの回転軸とは、前記第1の接点部材と前記第2の接点部材との接触位置に対して同じ側に配置されていてもよい。 また、本発明のパルス大電流スイッチは、前記第1の接点部材と前記第2の接点部材との接触部を取り囲む環状部材を更に備えてもよい。 また、本発明のパルス大電流スイッチは、前記環状部材が樹脂材からなるものであってもよい。 また、本発明のパルス大電流スイッチは、前記第1のアーム、前記第2のアーム及び前記環状部材を覆う筐体を更に備えてもよい。 また、本発明のパルス大電流スイッチは、前記筐体が気体導入口を備えてもよい。 また、本発明のパルス大電流スイッチは、前記筐体内が不活性ガス又は素ガスで置換されていてもよい。

本発明によれば、多数回連続的にパルス大電流を通電できるパルス大電流スイッチを提供することができる。

本発明の第1の実施形態のスイッチ1及びその動作例を説明するための正面図であり、Aは初期状態、Bは接点部材の接触開始の状態、Cは接点部材の接触位置の変位が終了した状態を示す正面図。

接点部材の接触位置の変位を説明するための拡大正面図である。

本発明の第2の実施形態のスイッチ12を示す正面図である。

本発明の第3の実施形態のスイッチ13の構成を説明するための正面図である。

本発明の第4の実施形態のスイッチ14の構成を説明するための正面図である。

以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。

<第1の実施形態> (スイッチ1) 先ず、本発明の第1の実施形態のスイッチ1について説明する。図1は、本実施形態のスイッチ1を模式的に示す正面図である。なお、以下の説明において、図1のX軸正方向を前方、X軸負方向を後方、Y軸正方向を右方、Y軸負方向を左方、Z軸正方向を上方、Z軸負方向を下方とする。また、以下の説明では、X軸正負両方向を総称して奥行き方向、Y軸正負両方向を総称して横方向、Z軸正負両方向を総称して高さ方向とする。

本実施形態のスイッチ1は、蓄積されたエネルギーを短時間で放電することに適用され、パルス大電流の通電に好適な構成である。具体的には、図1に示すように、スイッチ1は、第1のアーム3と、第1の接点部材4と、第2のアーム5と、第2の接点部材6とを備える。

第1のアーム3は、その上端から下端側に延びている。第1のアーム3は、その下端部を除いて、長尺かつ奥行き方向に所定の幅を有する板状に形成されている。第1のアーム3は、下端部が回転可能に支持されている。具体的には、第1のアーム3の下端部は、前方から視た場合に矩形状を呈する第1の支持部31となっており、この第1の支持部31には、奥行き方向に延びた第1の支持軸311が設けられている。第1の支持軸311は、第1のアーム3の回転軸を構成している。

第1のアーム3は、第1の支持部31を介して第1の支持軸311に回転可能に支持されている。第1の支持軸311は、スイッチ1における第1の支持軸311の所定の固定位置に固定されている。

第1のアーム3は、導体によって形成されている。導体は、導電性及び強度を確保する観点から金属であることが好ましく、銅、銅合金又はタングステンなどであることがより好ましい。銅合金は、コストや加工の容易性などの観点から黄銅などであることが好ましい。一方、第1の支持軸311は、第1のアーム3からの絶縁性を確保する観点から、絶縁体であることが好ましい。この場合、絶縁体は、繊維強化プラスチック(FRP)などであってもよい。第1のアーム3の回転を円滑に行わせる観点から、第1の支持軸311と第1のアーム3との間には、潤滑剤が配置されていることが好ましい。この場合、潤滑剤は、グリースなどであってもよい。

第1の接点部材4は、第1のアーム3の自由端側すなわち上端側に配置されている。すなわち、第1の接点部材4は、第1のアーム3を介して回転可能に支持されている。第1の接点部材4は、第1のアーム3の上端部右側面に、第1のアーム3から右方に突出した態様で配置されている。

第1の接点部材4の形状は限定されず、例えば、実質的な円柱形状又は角柱形状などの種々の形状を選択してもよい。なお、後述する第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触位置を円滑に変位させる観点から、第1の接点部材4の右側面41は、平坦面であることが好ましい。また、両接点部材4、6間に生じ得る高周波放電による表皮効果の影響をなるべく少なくして両接点部材4、6の導通を適切に図る観点から、接点部材4の右側面41の面積をできるだけ広く形成することが好ましい。

第1の接点部材4は導体によって形成されている。導体は、導電性及び強度確保の観点から金属であることが好ましく、銅、銅合金又はタングステンなどであることがより好ましい。銅合金は、コスト、加工容易性及び接点部材4の溶着し難さなどの観点から黄銅であることが好ましい。

第2のアーム5は、その下端から上端側に延びている。第2のアーム5は、その上端部を除いて、長尺かつ奥行き方向に所定の幅を有する板状に形成されている。第2のアーム5の下端部は、第1のアーム3の上端部の右方に位置する。第2のアーム5は、上端部が回転可能に支持されている。具体的には、第2のアーム5の上端部は、前方から視た場合に矩形状を呈する第2の支持部51となっており、この第2の支持部51には、奥行き方向に延びた第2の支持軸511が設けられている。第2の支持軸511は、第2のアーム5の回転軸を構成している。

第2のアーム5は、第2の支持軸511に回転可能に支持されている。第2のアーム5は、第1のアーム3と同様の導体によって形成されている。第2のアーム5からの絶縁性を確保する観点から、第2の支持軸511は繊維強化プラスチックなどの絶縁体であることが好ましい。第2のアーム5の回転を円滑に行わせる観点から、第2の支持軸511と第2のアーム5との間には、グリースなどの潤滑剤が配置されていることが好ましい。

第2の接点部材6は、第2のアーム5の自由端側すなわち下端側に配置されている。すなわち、第2の接点部材6は、第2のアーム5を介して回転可能に支持されている。第2の接点部材6は、第2のアーム5の下端部左側面に、第2のアーム5から左方に突出した態様で配置されている。第2の接点部材6は、第1の接点部材4に対して右方において対向している。第2の接点部材6の形状は限定されず、例えば、実質的な円柱形状又は角柱形状などの種々の形状を選択してもよい。第2の接点部材6は、第1の接点部材4と同様の導体によって形成されている。

第2の接点部材6は、第1の接点部材4と接触する構成である。第2の接点部材6は、第1の接点部材4とともに第1のアーム3と第2のアーム5とを導通させる構成である。

スイッチ1は、第1の接点部材4と第2の接点部材6とが互いに接触した後に、両接点部材4、6の接触位置が第1のアーム3及び第2のアーム5の回転動作にともなって変位すなわち移動する構成である。両接点部材4、6の接触位置を変位させる際には、両アーム3、5の回転速度、回転方向又はトルク若しくは接触時における第1の接点部材4と第2の接点部材6とのなす角度などを適宜調整して与えてもよい。また、第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触位置を変位させるための機構を更に設けてもよい。

図1Bに示すように、第1の支持軸311と第2の支持軸511とは、第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触位置Pを挟んで相対する位置に配置されている。なお、両支持軸311、511の位置が接触位置Pを挟んで相対する関係は、接触位置Pの変位にかかわらず確保される。このような構成によれば、スイッチ1の横幅を抑えることができスイッチの装置全体をコンパクトにすることができる。

図1に示すように、第1のアーム3の下端部には、第1の導線17が連結されている。また、第2のアーム5の上端部には、第2の導体18が連結されている。第1の導体17及び第2の導体18は、不図示の電源及び負荷に接続されている。負荷としては、電磁成形用のインダクタなどを用いてもよい。導線17、18としては、多芯丸線などを用いてもよい。

(スイッチ1の動作例) 次に、スイッチ1の動作例について説明する。先ず、初期状態においては、図1Aに示すように、第1の接点部材4と第2の接点部材6とは非接触状態であり、パルス電流の通電は行われない。

次いで、初期状態から、第1のアーム3及び第2のアーム5に対して不図示の動力源から動力を伝達させることなどによって、両アーム3、5を回転させる。このとき、第1のアーム3は、第1の支持軸311を中心に、図1において時計回りに回転する。また、第2のアーム5も、第2の支持軸511を中心に、図1において時計回りに回転する。図1A中の2つの破線矢印は、両アーム3、5の回転方向を示している。

このような第1のアーム3及び第2のアーム5の回転により、図1Bに示すように、第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触が開始される。このとき、両接点部材4、6の接触位置Pは、第1の支持軸311の中心と第2の支持軸511の中心とを結ぶ仮想直線Lに対して左側すなわち第1の接点部材4側に位置する。図1Bの状態では、第1の接点部材4の右側面41における下端部の近傍の部位と、第2の接点部材6の左側面61の下端部とが、両接点部材4、6の接触位置Pとなっている。なお、両接点部材4、6の大きさなどによっては、第1の接点部材4の右側面41における下端部が、第2の接点部材6の左側面61における下端部の近傍の部位に接する場合もあり得る。

図1Bのような両接点部材4、6の接触の始期すなわち接触の開始時点における接触位置Pの態様は、第2のアーム5の回転速度を第1のアーム3の回転速度より速くすることなどによって具現化してもよい。この場合、図1のように、第1のアーム3を、第1の接点部材4に作用する重力に逆らう方向すなわち時計回りに回転させ、第2のアーム5を、第2の接点部材6に作用する重力に従う方向すなわち時計回りに回転させることが好ましい。これにより、第1のアーム3には、第1の接点部材4の重力が回転を妨げる向きに作用し、第2のアーム5には、第2の接点部材6の重力が回転を促す向きに作用するので、両アーム3、5の回転速度の差を効率よく形成することができる。

図1Bの状態において、第1のアーム3と第2のアーム5とは互いに導通されており、更に、各アーム3、5は、それぞれに連結された導線17、18を介して外部の電源に導通されている。この結果、第1のアーム3と第2のアーム5との間で、電源のエネルギーに基づいてパルス電流が通電される。

次いで、図1Bの後に、第1のアーム3の時計回りへの回転が更に進行することで、図1Cに示すように、第1の接点部材4と第2の接点部材6とが両接点部材4、6の接触位置の変位が終了する位置まで移動される。このとき、両接点部材4、6の接触位置Pは、仮想直線L上に位置する。このとき、両接点部材4、6は、側面41、61の全面が面接触するようにしてもよい。図1Cの一点鎖線枠は、接触位置Pの変位が終了し接点部材4と接点部材6とが面接触している状態を示している。

図1Cのような両接点部材4、6の接触位置の移動終了後の態様は、第2のアーム5の回転方向が図1Bの時点から逆転すなわち反時計回りになる構成によって具現化することができる。

次いで、図1Cの状態の後に、動力源の制御などによって第1のアーム3及び第2のアーム5を反時計回りに回転させることで、第1のアーム3及び第2のアーム5を初期状態(図1A)に復帰させる。その後は、図1Bの状態への遷移、図1Cの状態への遷移及び図1Aの状態への遷移を順次繰り返す。

ここで、第1の接点部材4と第2の接点部材6とが接触する際に、両接点部材4、6の電位差によって両接点部材4、6間の間隙部に放電(スパーク)が生じ、この放電によって両接点部材4、6に溶融箇所が生じる場合がある。そして、両接点部材4、6の溶融箇所同士が互いに接触したまま凝固すなわち硬化する場合、両接点部材4、6が溶着されることになる。

しかしながら、本実施形態のスイッチ1では、図2に示すように、両接点部材4、6の接触開始(図2A)から接触位置の変位終了(図2C)に至る期間中、互いに接触した第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触位置Pを変位させることができる。より具体的には、図2の場合、接触位置Pは、時間経過にともなって下方に変位する。図2A中の破線矢印は、接触位置Pの変位方向を示す。これにより、両接点部材4、6の溶融箇所同士が互いに接触したままの状態で凝固することを回避できるので、両接点部材4、6の溶着は生じない。なお、第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触位置が変位する方向は、図2で説明した下方に限定されず、例えば、奥行き方向などであってもよい。

以上説明したように、本実施形態のスイッチ1によれば、第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触位置を第1のアーム3及び第2のアーム5の回転動作にともなって変位させることで、両接点部材4、6の溶着を防止することができる。これにより、両接点部材4、6を繰り返し接触及び離間させることができるので、多数回連続的にパルス大電流を通電することができる。

また、本実施形態のスイッチ1によれば、両接点部材4、6の接触が、両接点部材4、6間に軸圧縮が生じない状態すなわち両接点部材4、6の側面41、61同士が互いに傾いた状態(図1B参照)で開始されるので、溶着を更に有効に防止することができる。

さらに、本実施形態のスイッチ1によれば、両接点部材4、6の接触の繰り返しにともない、両接点部材4、6の形状が溶融の繰り返しによって逐次変化するので、両接点部材4、6の接触開始時における接触位置を、通電1回毎に移動させることができる。これにより、接点部材の一部分が集中して溶損することを防止することができ、スイッチの長寿命化を図ることができる。

<第2の実施形態> (スイッチ12) 次に、本発明の第2の実施形態のスイッチ12について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態のスイッチ12を示す正面図である。

本実施形態のスイッチ12は、第1の実施形態のスイッチ1と比べ、構成が更に特定されている。

具体的には、図3に示すように、スイッチ12は、筐体2を有しており、この筐体2の内部には、第1の実施形態で説明した各構成部3〜6、17、18が収容されている。なお、図3に示す筐体2は、筐体2の不図示の前壁部が開放された状態である。前壁部は、蝶番などの開閉部材200によって開閉可能に支持されていてもよい。

図3に示すように、第1のアーム3は、筐体2内における底壁部21寄りの位置に配置されている。第1のアーム3は、筐体2の後壁部22に固定された第1の支持軸311に回転自在に支持されている。

図3に示すように、第2のアーム5は、筐体2内における上壁部23寄りの位置に配置されている。第2のアーム5は、筐体2の後壁部22に固定された第2の支持軸511に回転自在に支持されている。

図3に示すように、スイッチ12は、第1のアーム3及び第2のアーム5を駆動するアーム駆動機構7を有している。

アーム駆動機構7の態様は特に限定されないが、図3に示すように、アーム駆動機構7は、アーム駆動軸71と、第1のアーム連結部材72と、第2のアーム連結部材73と、3つの弾性部材74a〜74cとを備えてもよい。

図3に例示するアーム駆動機構7について更に詳述すると、図3に示すように、アーム駆動軸71は、高さ方向に長尺に形成されている。アーム駆動軸71は、筐体2内に上下にスライド可能に保持されている。

3つの弾性部材74a〜74cは、いずれも外部から作用する圧縮力に抗する弾性力を発揮する構成である。各弾性部材74a〜74cは、圧縮ばねであってもよいが、これに限定されず、ゴムクッションやエアダンパなどを採用してもよい。各弾性部材74a〜74cは、アーム駆動軸71上における互いに異なる位置に、弾性力の発揮方向をアーム駆動軸71の軸方向に合わせた状態で固定されている。

具体的には、1つの弾性部材74a(以下、第1の弾性部材と称する)は、アーム駆動軸71の上端部に、アーム駆動軸71の外周に固定されている。より具体的には、第1の弾性部材74aは、その上端が、アーム駆動軸71の外周に固定された第1のフランジ751の下端面に接続されている。また、第1の弾性部材74aは、その下端が、第2のアーム連結部材73の右端部に接続されている。なお、第2のアーム連結部材73の右端部は、アーム駆動軸71を包囲した状態で第1の弾性部材74aに接続されている。また、第2のアーム連結部材73の右端部は、アーム駆動軸71の外周に固定された第2のフランジ752の上端面に接している。

他の1つの弾性部材74c(以下、第3の弾性部材と称する)は、アーム駆動軸71の下端部に、アーム駆動軸71を包囲した状態で固定されている。より具体的には、第3の弾性部材74cは、その上端が、アーム駆動軸71の外周に固定された第4のフランジ754の下端面に接続されている。また、第3の弾性部材74cは、その下端が、筐体2の底壁部21に接続されている。

残りの1つの弾性部材74b(以下、第2の弾性部材と称する)は、アーム駆動軸71における第3の弾性部材74cの上方近傍位置に、アーム駆動軸71を包囲した状態で固定されている。より具体的には、第2の弾性部材74bは、その上端が、アーム駆動軸71の外周に固定された第3のフランジ753の下端面に接続されている。また、第2の弾性部材74bは、その下端が、第1のアーム連結部材72の右端部に接続されている。なお、第1のアーム連結部材72の右端部は、アーム駆動軸71を包囲した状態で第2の弾性部材74bに接続されている。また、第1のアーム連結部材72の右端部は、第4のフランジ754の上端面に接している。

第1の弾性部材74a及び第2の弾性部材74bは、第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触位置を変位させる変位機構として機能する。詳細は後述する。

アーム駆動軸71は、外力が作用しない状態において、第3の弾性部材74cの弾性力によってスライド可能範囲における最上端に位置される。また、アーム駆動軸71には、第3の弾性部材74cによる上方への弾性力に勝る下方への外力を作用させることが可能となっている。具体的には、例えば、アーム駆動軸71に強磁性体などからなる不図示の磁力作用部を設け、この磁力作用部の外周に、アーム駆動軸71の軸方向への磁界を生じさせるソレノイドを設けることで、磁力作用部に下方への磁力を作用させてもよい。この場合、スイッチへの通電時にアーム3、5から電流が漏洩してソレノイドへダメージを与えることを回避する観点から、アーム駆動軸71は、絶縁体によって形成することが好ましい。絶縁体は、アーム駆動軸71の強度の確保及び軽量化などの観点から、繊維強化プラスチックなどであることが好ましい。

第1のアーム連結部材72は、第1のアーム3を、アーム駆動軸71における下端寄りの部位に連結している。第1のアーム連結部材72とアーム駆動軸71とが第2の弾性部材74bを介して連結されていることは既に述べた通りである。第1のアーム連結部材72は、第1のアーム3との絶縁及び強度を確保する観点から、繊維強化プラスチックなどによって形成することが好ましい。

第2のアーム連結部材73は、第2のアーム5を、アーム駆動軸71における上端寄りの部位に連結している。第2のアーム連結部材73とアーム駆動軸71とが第1の弾性部材74aを介して連結されていることは既に述べた通りである。第2のアーム連結部材73は、第2のアーム5との絶縁及び強度を確保する観点から、繊維強化プラスチックなどによって形成することが好ましい。

また、以上の構成に加えて、更に、図3に示すように、筐体2に気体導入口30を設けてもよい。そして、気体導入口30を介して外部のガス供給源から給気された不活性ガス又は水素ガスによって筐体2内が置換されていてもよい。不活性ガスは、窒素ガスやアルゴンガスなどであってもよい。このような構成によれば、接点部材4、6の酸化を防止することができ、また、接点部材4、6の放電時に生じる火花を抑制することができる。なお、筐体2に気体排出口31を更に設けてもよい。

筐体2内に供給されるガスが空気より重い場合、図3に示すように、気体導入口30を筐体2における下端部寄りの位置に配置し、気体排出口31を筐体2における上端部寄りの位置に配置することが好ましい。このような構成によれば、筐体2内にガスを十分に充満させた上で余剰分を排気させることができるので、接点部材4、6の酸化を更に有効に防止することができ、また、接点部材4、6の放電時における火花を更に有効に抑制することができる。

さらに、メンテナンス性や組み立て容易性等の観点から、接点部材4、6は、アーム3、5に対して着脱可能とされていることが好ましい。この場合、アーム3、5側に雌ねじを形成し、接点部材4、6側に雄ねじを形成することで、接点部材4、6の着脱を、ねじを締め付ける又は緩めるといった簡便な作業で行えるようにしてもよい。この場合、接点部材4、6は、図3に示すように、外周面の一部が接点部材4、6の着脱時にスパナを噛ませるのに適した平面4a、6aに形成されていてもよい。

さらにまた、接点部材4、6の熱を放熱するための放熱フィンをアーム3、5に形成してもよい。

また、アーム駆動機構71の動力源は、ソレノイドに限定されず、アーム駆動軸71を上下動させることが可能な種々の動力源を適用してもよい。

(スイッチ12の動作例) 次に、本実施形態のスイッチ12の動作例について説明する。本実施形態のスイッチ12では、先ず、図1Aに示した初期状態が、アーム駆動軸71に作用する第3の弾性部材74cの弾性力すなわち上方への力によって形成される。

次いで、図1Bに示した第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触の始期の状態が、アーム駆動軸71に作用する下方への外力によって形成される。具体的には、アーム駆動軸71に作用する下方への外力により、アーム駆動軸71が、第3の弾性部材74cの弾性力に抗して下方に移動する。このとき、第3の弾性部材74cは、ダンパとして機能し、アーム駆動軸71の下方への移動を安定的に行わせる。そして、アーム駆動軸71の下方への移動に連動して、アーム駆動軸71に連結された第1のアーム3が、第1の支持軸311を中心に図3における時計回りに回転する。また、このとき、アーム駆動軸71に連結された第2のアーム5が、第2の支持軸511を中心に図3における時計回りに回転する。このようにして、両接点部材4、6が接触状態になる。アーム駆動軸71に対する下方への外力の作用は、不図示の電源装置によるソレノイドへの断続的な通電などによって一定の時間間隔で繰り返し行ってもよい。

次いで、図2に示した第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触位置の変位が、変位機構の一例としての第1の弾性部材74a及び第2の弾性部材74bによって具現化される。具体的には、両接点部材4、6の接触の始期の状態(図1B参照)から、アーム駆動軸71が更に下方に移動すると、第1の弾性部材74aの上端及び第2の弾性部材74bの上端にフランジ751、753から作用する下方向への力が大きくなる。

これにより、第1の弾性部材74a及び第2の弾性部材74bが上方から圧縮される。すると、第1の弾性部材74a及び第2の弾性部材74bには、圧縮状態を解消しようとする復元力が生じる。具体的には、第1の弾性部材74aには、これの下端に連結された第2のアーム連結部材73を下方に押そうとする力すなわち第2のアーム5を更に時計回りに回転させようとする弾性力が生じる。また、第2の弾性部材74bには、これの下端に連結された第1のアーム連結部材72を下方に押そうとする力すなわち第1のアーム3を更に時計回りに回転させようとする弾性力が生じる。

そして、このとき、両弾性部材74a、74bの弾性係数の違いなどによって第2の弾性部材74bの弾性力が第1の弾性部材74aの弾性力に勝ることで、第1のアーム3の時計回りへの回転が優先される。このとき、第2のアーム5は、両接点部材4、6の接触部を介して第1のアーム3によって押し戻され、反時計回りに後退する。このようにして、両接点部材4、6の接触位置が下方に変位し、図1Cの状態に遷移する。ただし、第1のアーム3が第2のアーム5を押し戻すメカニズムは、以上に限定されない。

図1Cの後は、アーム駆動軸71に対する下方への外力の作用を終了させた上で、第3の弾性部材74cの弾性力によってアーム駆動軸71を上方に移動させ、この移動に連動させて第1のアーム3及び第2のアーム5を初期状態(図1A)に復帰させる。

本実施形態のスイッチ12によれば、変位機構74a、74bにより、両接点部材4、6の接触の後に第1のアーム3に第2のアーム5を押し戻す回転動作を行わせることで、両接点部材4、6の接触位置を簡便かつ確実に変位させることができる。また、変位機構74a、74bが、第1のアーム3に第2のアーム5を押し戻す弾性力を付与する第2の弾性部材74bを有することで、接触位置の変位を簡易な構成によって低コストで行うことができる。また、アーム駆動機構7に変位機構74a、74bを組み込むことができるので、スイッチの構成を更に簡素化することができる。また、第1の支持軸311と第2の支持軸511とが両接点部材4、6の接触位置Pを挟んで相対する位置に配置されているので、アーム駆動機構7における1本のアーム駆動軸71を、第1のアーム3及び第2のアーム5の双方の駆動に活用することができる。これにより、部品点数を抑えることができる。

<第3の実施形態> 次に、本発明の第3の実施形態のスイッチ13について説明する。図4は、本発明の第3の実施形態のスイッチ13の構成を説明するための図である。

本実施形態のスイッチ13は、第1の実施形態のスイッチ1と比べ、第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触位置Pを基準とした第1の支持軸311と第2の支持軸511との相対的な位置関係が異なる。具体的には、図4に示すように、本実施形態では、第1の支持軸311と第2の支持軸511とが、接触位置Pに対して同じ側すなわち図4における上側に配置されている。

また、図4に示すように、第1の接点部材4の右側面41は、第1のアーム3の長手方向に対して傾きを有している。また、第2の接点部材6の左側面61は、第2のアーム5の長手方向に対して傾きを有している。

本実施形態のスイッチ13は、第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触時における第1のアーム3の回転方向と第2のアーム5の回転方向とが互いに逆方向となる。具体的には、第1のアーム3が図4における反時計回りに回転し、第2のアーム5が図4における時計回りに回転することで、第1の接点部材4と第2の接点部材6とが接触する。

本実施形態のスイッチ13は、スイッチの高さを抑えようとする場合に好適な構成である。

<第4の実施形態> 次に、本発明の第4の実施形態のスイッチ14について説明する。図5は、本発明の第4の実施形態のスイッチ14の構成を説明するための図である。

本実施形態のスイッチ14は、第2の実施形態のスイッチ12と比べ、図5に示すように、第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触部を取り囲む環状部材20を更に備えることのみが異なる。環状部材20は、第1のアーム3および第2のアーム5とともに筐体2(図3参照)によって覆われている。

環状部材20は、絶縁性を確保する観点から、絶縁体であることが好ましく、また、耐熱性及び耐衝撃性を確保する観点から、フッ素系樹脂によって形成されることが更に好ましい。フッ素系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンなどであってもよい。

本実施形態のスイッチ14によれば、環状部材20により、第1の接点部材4と第2の接点部材6との接触によって生じたジェット気流から筐体2を保護することができる。また、ジェット気流によって接点部材4、6の溶融金属が飛散したとしても、環状部材20によって飛散の拡大を防止することができる。

なお、環状部材20は、第3の実施形態のスイッチ13に適用してもよい。

1、12、13、14 スイッチ 3 第1のアーム 4 第1の接点部材 5 第2のアーム 6 第2の接点部材 74a 第1の弾性部材 74b 第2の弾性部材

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