Electrostatic relay

申请号 JP5784294 申请日 1994-03-28 公开(公告)号 JPH07272610A 公开(公告)日 1995-10-20
申请人 Matsushita Electric Works Ltd; 松下電工株式会社; 发明人 ICHIYA MITSUO; KASANO FUMIHIRO; NISHIMURA HIROMI;
摘要 PURPOSE: To provide an electrostatic relay suitable for a latching type or single type relay.
CONSTITUTION: Regarding an electret 18 formed on a lower fixed piece 3 (and an upper fixed piece), a static charge distribution is sequentially raised from a base end (support end section 9), so that the distribution at a section faced to the free end (contact 5) of a moving piece 2 becomes larger than a section faced to the base end. According to this construction, a latching type relay having a large contact gap and high contact pressure can be provided.
COPYRIGHT: (C)1995,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】固定電極を形成せる固定片と、固定電極に空隙を介して対向する可動電極を有し固定電極と可動電極との間に印加される外部電圧によって発生する静電力で固定電極側に一端部が移動するように他端部が支持固定された可動部を有する可動片とを接合し、可動部の移動により互いに接離する接点を可動部の一端部とこの一端部に対応する固定片の端部とに設けるとともに、これら接点を外部電気回路に接続する静電リレーにおいて、
    固定電極若しくは可動電極のいずれか一方若しくは両方にエレクトレットを設けるとともに、このエレクトレットに帯電分布差を持たせたことを特徴とする静電リレー。
  • 【請求項2】固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成したことを特徴とする請求項1記載の静電リレー。
  • 【請求項3】固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成したことを特徴とする請求項1記載の静電リレー。
  • 【請求項4】可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成したことを特徴とする請求項1記載の静電リレー。
  • 【請求項5】可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成したことを特徴とする請求項1記載の静電リレー。
  • 【請求項6】固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成し、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成したことを特徴とする請求項1記載の静電リレー。
  • 【請求項7】固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成し、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成したことを特徴とする請求項1記載の静電リレー。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は静電によって駆動される静電リレーに関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】従来の静電リレーの公知例としては特公昭55−15060号、特開平2−100224号に示されるものがあり、前者のものは図37に示すように並行配設した固定電極40、40の間にエレクトレットを形成した可動片21を配置した構成となっている。 また後者のものは図38に示すように固定片を構成する基板43上に固定電極40を形成し、この固定電極40の上方に並行するように可動片21を配置した構成となっている。

    【0003】

    【発明が解決しようとする課題】上記の従来例の内前者の構成では、可動片21のエレクトレットを分極させた時にエレクトレットの電荷の総和が0の場合、動作しない構成となっている。 従って分極させたそれぞれの電荷の絶対値が異なるように帯電させる必要があり、正確な帯電量の制御が困難であった。 しかも充放電回路を外部に設ける必要があるため、システム全体のコストが高く、大型化する欠点があった。 また可動片21の支持端部付近の可動電極42と固定電極40との間の空隙が常に大きく、静電力が十分に得られない原因となっていた。

    【0004】また後者の場合は電極に印加された電圧による静電力のみで動作しており、可動片21の支持端部付近の可動電極(図示せず)と、基板43の固定電極4
    0との間の空隙は常に大きく、静電力が十分に得られないため、接点圧力が弱く、接触信頼性が悪いという問題があった。 更にこの従来例では可動片21をシリコンウェハで形成し、固定電極40を形成している基板43を樹脂で製作しており、可動片21と固定片である基板4
    3とがそれぞれ異なる材料で製作されているため、可動片21と基板43とで熱膨張率が異なり、結果使用温度の変動があると構造体に歪みが生じて動作が不安定になるという問題があった。

    【0005】上記の問題点を解消するものとしては本発明者等が特願平5−10607号により提案した静電リレーがある。 この静電リレーは固定電極を形成せる固定片と、固定電極に空隙を介して対向する可動電極を有し固定電極と可動電極との間に印加される外部電圧によって発生する静電力で固定電極側に一端部が移動するように他端部が支持固定された可動部を有する可動片とを接合し、可動部の移動により互いに接離する接点を可動部の一端部とこの一端部に対応する固定片の端部とに設けるとともに、これら接点を外部電気回路に接続する静電リレーにおいて、可動部の一端部側とこれに対向する固定片の端部側との間の空隙が他の可動部と固定片との間の空隙より小さくなるように可動部と固定片との対向面の何れか一方に段差を設け、更に固定電極上にエレクトレットを形成したものであるが、エレクトレットの帯電分布を略均一にしていたため、ラッチング型リレーを構成する場合には、接点圧が小さく、またシングル型リレーを構成した場合に整合余裕度が小さいという問題があった。

    【0006】本発明は上述の点に鑑みて為されたものでその目的とするところは、ラッチング型若しくはシングル型リレーに適した静電リレーを提供するにある。

    【0007】

    【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、請求項1の発明では、固定電極を形成せる固定片と、固定電極に空隙を介して対向する可動電極を有し固定電極と可動電極との間に印加される外部電圧によって発生する静電力で固定電極側に一端部が移動するように他端部が支持固定された可動部を有する可動片とを接合し、可動部の移動により互いに接離する接点を可動部の一端部とこの一端部に対応する固定片の端部とに設けるとともに、これら接点を外部電気回路に接続する静電リレーにおいて、固定電極若しくは可動電極のいずれか一方若しくは両方にエレクトレットを設けるとともに、このエレクトレットに帯電分布差を持たせたものである。

    【0008】請求項2の発明では、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成したものである。 請求項3の発明では、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成したものである。 請求項4の発明では、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成したものである。

    【0009】請求項5の発明では、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成したものである。 請求項6の発明では、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成し、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由側へ向かって順次大きく構成したものである。

    【0010】請求項7の発明では、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成し、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成したものである。

    【0011】

    【作用】請求項1の発明によれば、固定電極を形成せる固定片と、固定電極に空隙を介して対向する可動電極を有し固定電極と可動電極との間に印加される外部電圧によって発生する静電力で固定電極側に一端部が移動するように他端部が支持固定された可動部を有する可動片とを接合し、可動部の移動により互いに接離する接点を可動部の一端部とこの一端部に対応する固定片の端部とに設けるとともに、これら接点を外部電気回路に接続する静電リレーにおいて、固定電極若しくは可動電極のいずれか一方若しくは両方にエレクトレットを設けるとともに、このエレクトレットに帯電分布差を持たせているので、帯電分布差の持たせ方により接点ギャップを大きくし且つ接点圧を高くしたラッチング型リレーや、或いは接点ギャップを変えることなく、静電力とバネ負荷との整合がし易いラッチング型リレーを実現することができる。

    【0012】請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成してあるので、また請求項4の発明によれば、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成してあるので、更に請求項6の発明によれば、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成し、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成してあるので、接点ギャップが大きく、しかも接点圧を高くしたラッチング型リレーを実現することができる。

    【0013】請求項3の発明によれば、請求項1の発明において、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成してあるので、また請求項5の発明によれば、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成してあるので、更に請求項7の発明によれば、請求項1の発明において、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成し、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成してあるので、接点ギャップを変えることなく、
    静電力とバネ負荷とを整合し易いラッチング型リレーを実現することができる。

    【0014】

    【実施例】以下本発明を実施例により説明する。 (実施例1)本実施例は、図5、図6に示すように上部固定片1と、可動片2と、下部固定片3とで構成され、
    上下の固定片1、3間に可動片2をサンドイッチ状に挟持する構造となっている。

    【0015】可動片2は、図7に示すようにシリコン単結晶ウェハを基材とするもので、可動電極4、固定接点端子5、可動接点6、固定片接合用金属薄膜層7、電極端子8等を形成している。 可動電極4は可動片2の周辺部より異方性エッチング等により、上下から凹部に加工されたもので、外周はコの字状にエッチングされて可動片2と切り離されその一端が可動片2と一体につながった支持端部9となっており、可動電極4は上記支持端部9を中心に揺動回転する。

    【0016】よって可動電極4は、後述する上下の固定片1、3の固定電極10、11に対して移動する。 また下部固定片3の固定接点19から電気信号を取り出せるように可動片2の隅には切欠き13も設けられている。
    可動接点6は、上記絶縁膜14上に形成され、可動電極4の凹部により、2つの固定片1、3が可動片2の上下に接合されるだけで接点間ギャップを設けることができるようになっている。 この可動接点6と可動電極4とを設けた部位で可動部を構成する。

    【0017】また上記金属薄膜層7及び固定接点端子5
    も上記絶縁膜14上に形成されたもので、金属薄膜層7
    は金或いは金合金層からなり、可動片2の基材であるシリコン単結晶ウェハに接続されている。 上、下固定片1、3は可動片2と同様にシリコン単結晶ウェハを基材とするもので、図8、図9に示すように絶縁膜15、1
    6上に固定電極10、11、エレクトレット17、1
    8、固定接点12、19、可動片接合用の金或いは金合金層からなる金属薄膜層25、26を夫々形成し、各固定電極10、11とエレクトレット17、18はコンタクト21、22により接続されている。 尚23は上部固定片1の電極端子である。

    【0018】可動片2の上、下面に設けた上記固定接点端子5は上記上、下固定片1、3の固定接点12、19
    に接続される固定接点端子である。 而して、これら可動片2、上下の固定片1、3の接合用金属薄膜層7と25
    及び26とが合わさるように接触させて、適当な圧力を加えながら加熱すると接合用金属薄膜層7、25、26
    が互いに基材のシリコンとともに共晶化して、図5に示すように機械的にも、電気的にも接続されることになるのである。

    【0019】ここで可動電極4の支持端部9から略中央部に亘って対向する固定片1、3の固定電極10、11
    の部位が、可動電極4の略中央部から自由端に亘って対向する固定電極10、11の部位に比べて可動電極4との空隙が小さくなるように可動電極4の中間部から支持端部9に対向する固定電極10、11の部位表面が可動電極4側へ突出するように固定電極10、11の表面に段差27、28を夫々形成している。

    【0020】而して本実施例では上部固定片1のエレクトレット17の可動電極4に面している表面がプラス、
    下部固定片3のエレクトレット18の可動電極4に面している表面がマイナスとなるように永久分極している。
    そして両エレクトレット17、18の電荷量の絶対値が同じ時の電極間距離と静電力(可動電極4にかかるトルク)及びバネ負荷との関係を図10に示す。 ただし静電力とバネ負荷によるトルクは逆向きに作用するが、図1
    0では同じ向きとして示している。 尚図10中イはバネ負荷力を、ロは印加電圧が0Vの時の静電力を、ハは可動電極4にプラス電圧を印加した時の静電力を、ニは可動電極4にマイナス電圧を印加した時の静電力を夫々示す。

    【0021】さて本実施例の静電リレーは固定電極1
    0、11と可動電極4の電位が同電位の場合、固定電極10、11と可動電極4が平行になっている中立位置では2つのエレクトレット17、18により発生する静電力は同じ大きさで、可動電極4に働くトルクは0である。 可動電極4が上部エレクトレット18側に傾くと、
    上部エレクトレット17により発生する静電力が大きいので、可動電極4には、上部エレクトレット17側に傾こうとするトルクが発生する。 逆に可動電極4が下部エレクトレット18側に傾くと、下部エレクトレット18
    により発生する静電力が大きいので、可動電極4には、
    下部エレクトレット18側に傾こうとするトルクが発生する。

    【0022】そして可動電極4に電極端子8、23及び26を用いてプラスの電圧を印加した場合、下部エレクトレット18と可動電極4には吸収力が発生するため、
    可動電極4に下部エレクトレット18側に傾こうとするトルクが発生する。 逆に可動電極4にマイナスの電圧を印加した場合、上部エレクトレット17と可動電極4には吸収力が発生するため可動電極4に上部エレクトレット17側に傾こうとするトルクが発生する。

    【0023】また可動電極4のバネ力が中立位置では0、どちらかのエレクトレット17又は18側に可動電極4が傾いている時、中立位置へ戻ろうとするトルクが働く。 即ち、静電力とバネ力は互いに逆向きにかかることになる。 図10において可動電極4に電圧が印加されていない状態で、可動電極4がどちらかのエレクトレット17又は18に傾いている時、静電力の方がバネ力より大きくなるように設定すると、可動電極4はその位置を保持して、中立位置へは戻らない。 即ち2つの安定状態を持つ。

    【0024】例えば、最初、上部エレクトレット17側に傾いた状態から、可動電極4にプラスの電圧を印加した場合、上部エレクトレット17への吸着力が弱くなり、下部エレクトレット18側に回転し保持される。 この状態で可動電極4への印加電圧を0にしても、その状態を保持する。 逆に可動電極4へマイナスの電圧を印加した場合、逆の動作をする。 つまりラッチング動作が可能になる。

    【0025】2つのエレクトレット17、18の帯電量の絶対値が異なる場合の動作を図11に示す。 この図示例ではエレクトレット17のプラスの帯電量の方が大きくなるようにしている。 可動電極4に電圧を印加していない状態では上部からの吸引力の方が大きくなるため、
    上部に傾いた状態で安定している。 そして可動電極4にプラスの電圧を印加した時は下部からの吸引力が強くなり可動電極4には下部へ傾こうとするトルクが働き接点部を閉じた状態で安定する。 また印加電圧を取り除くとバネの復元力の方が優るため、中立位置へ戻り、上部の吸引力によって再び元の位置へ戻る。 図11中イはバネ負荷力、ロは印加電圧が0のときの静電力、ハは可動電極4にプラス電圧を印加した時の静電力を示す。

    【0026】以上により2つのエレクトレット17、1
    8の帯電量のバランスを変えることによってラッチング動作、シングル動作の両方を可能にする。 また可動電極4の支持端部9から略中央部に亘って対向する固定電極10、11との間の空隙が可動電極4の自由端側と固定電極10、11との間の空隙に比べて段差27、28により小さくなり、しかもエレクトリック17、18による可動電極4に及ぼす静電力と外部印加電圧による静電力を重ねた力を利用することとにより、大きな静電力が得られて、接点圧が大きくとれる。

    【0027】本実施例では上述のように構成しているので、固定片1、3、可動片2が多数個形成されたシリコンウェハ3枚を先に接合してから切り出すことが可能になり、生産効率が向上する。 さらに固定片1、3に、ウェハ内に高濃度ドーピング層からなる固定電極10、1
    1を形成したり、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、コンデンサ等で構成される静電駆動回路用ICを形成しても良く、駆動回路を一体形成した場合、外部に駆動回路を設ける必要は無くなる。

    【0028】また静電リレーを動作させる場合印加電圧は数十Vの電圧が必要だが昇圧回路を固定片1、3に形成しておくと入力は数Vで動作する。 尚可動片2は図1
    2に示す工程で形成される。 つまり図12(a)に示すように表面にSiO 2からなる絶縁膜14を形成したシリコンウェハ31の上面に同図(b)に示すように異方性エッチングによって凹部32aを形成し、更に同図(c)に示すように絶縁膜14を形成して、可動電極4、可動接点6、固定片接続用金属薄膜片7、固定接点端子5をAuにより形成する。 この後これら可動電極4、可動接点6、固定片接続用金属薄膜片7、固定接点端子5を保護膜33で覆って、下側の面に異方性エッチングで凹部32bを形成する(同図(d))。 この後上述の同様に下面側に可動電極4、可動接点6、固定片接続用金属薄膜片7、固定接点端子5をAuにより形成した後保護膜33で下面側も覆う(同図(e))。 この後エッチングによって可動電極4の周囲をコ状に切り離し、この切離し後保護膜33を除去すれば、可動電極4
    等を形成した可動片2が得られることになる(同図(f))。

    【0029】また上部固定片1は図13に示す工程で形成される。 つまり図13(a)に示すように表面にSi
    2からなる絶縁膜15を形成したシリコンウェハ31
    の下面に異方性エッチングによって段差27を形成し(同図(b))、しかる後にコンタクト21を形成し、
    更に下面の絶縁膜15上にAuによって固定電極10、
    固定接点12、金属薄膜層25を同図(c)に示すように形成し、更に同図(d)を経てエレクトレット17を同図(e)に示すように形成し、固定電極11を絶縁膜16で覆って上部固定片1が得られることになる。

    【0030】下部固定片3は図14に示す工程で形成される。 つまり図14(a)に示すように表面にSiO 2
    からなる絶縁膜16を形成したシリコンウェハ31の上面に異方性エッチングによって段差28を形成し(同図(b))、しかる後にコンタクト22を形成し、更に上面の絶縁膜16上にAuによって固定電極11、固定接点19、金属薄膜層26を同図(c)に示すように形成し、更に同図(d)を経てエレクトレット18を同図(e)に示すように形成し、また固定電極11を絶縁膜16で覆い下部固定片3が得られることになる。

    【0031】ところで本実施例では、上記のエレクトレット17,18の帯電量のバランスを変えることによってラッチング動作、シングル動作の両方を可能にするのであるが、ラッチング型リレーを構成する場合には下部固定片3(及び上部固定片1)に形成されたエレクトレット18(及び17)において、可動片2の自由端(接点6)と対向する部分の帯電分布が図1に示すように可動片2の基端と対向する部分より大きくなるように基端側(支持端部9)から順次帯電分布を大きくしてある。

    【0032】まず図2(a)に帯電分布を均一とした場合を示す。 この場合印加電圧が0Vでは可動片2は静電力(a)とバネ負荷(α)とは初期安定点(A)にて釣合い静止している。 この初期安定点(A)から接点オンまでの距離が接点ギャップGとなる。 これに正の電圧(例えば定格を+48V)を印加すると、静電力が(b')のようにバネ負荷(A)より大きくなり、接点6がオンするが、ラッチング動作の場合、印加電圧が0
    Vとなるので、接点圧(β)は図に示すように小さくなる。 また負の電圧(例えば−48V)を印加すると、静電力が(c)のようにバネ負荷(X)より小さくなると、初期安定点Aまで戻ることになる。

    【0033】これに対して上述のように帯電分布を行なうと静電力(a)とバネ負荷(α)とが釣り合う初期安定点は図2(b)のように(A')のようになり、接点ギャップ(G)を大きくとることができ、しかも接点圧(β)を大きくとることができる。 エレクトレット1
    7、18に対する具体的な帯電方法としては、図3に示すように電圧V 1のワイヤー100より発生した電荷をグリッド101の電圧V 2により電荷量を調節してエレクトレット18(又は17)に埋め込まれ、即ち帯電される。

    【0034】そして帯電装置(ワイヤー101、カバー103、グリッド102)は時間と共に、エレクトレット18(又は17))に対して速度vでx(t 1 )からx(t 2 )まで移動するが図14に示すように、エレクトレット18(又は17)の位置に対応させてグリッド電圧V 2を変化させることにより上記のように可動片2
    の自由端(接点6)と対向する部分の帯電分布を図1に示すように可動片2の基端(支持端部9)側と対向する部分より大きくすることができるのである。

    【0035】またシングル型リレーを構成する場合には下部固定片3(又は上部固定片1)に形成されたエレクトレット18(又は17)において、可動片2の支持端部9と対向する部分の帯電分布が図15に示すように可動片2の自由端(接点)と対向する部分より大きくなるように自由端側から帯電分布を順次大きくてある。 図では+記号で示してある。

    【0036】図16(a)に帯電分布を均一とした場合を示す。 この場合上述したように印加電圧が0Vでは可動片2は静電力(a)とバネ負荷(α)とは初期安定点(A)にて釣合い、静止している。 その初期安定点(A)から接点オン時までの距離が接点ギャップ(G)
    となる。 これに正の電圧を印加すると、静電力が〔b'
    (この場合は定格を+48Vとした場合の50%の電圧+24Vを印加した時を示す)〕,〔b(この場合は定格を+48Vを印加した場合を示す)〕のようにバネ負荷(A)より大きくなり、接点がオンするが、ストローク途中における静電力(b')とバネ負荷(α)との整合余裕(γ)が小さく、部品のばらつきによっては動作が不安定となる。

    【0037】これに対して上述のように帯電分布を行なうと図16(b)に示すように接点ギャップ(G)を殆ど変えることなく、しかもストローク途中における静電力(b')とバネ負荷(α)との整合余裕(γ)を大きくとることができて、静電力(b)とバネ負荷(α)とを整合し易くすることができる。 尚エレクトレット18
    (又は17)に対する具体的な帯電方法としては、ラッチング型リレーを構成する場合と同様に図13に示す帯電装置を用いてこの帯電装置(ワイヤー101、カバー103、グリッド102)を時間と共に、エレクトレット18(又は17))に対して速度vでx(t 1 )からx(t 2 )まで移動させながら、図17に示すように、
    エレクトレット18(又は17)の位置に対応させてグリッド電圧V 2を変化させることにより上記のように可動片2の基端(支持端部9)側と対向する部分の帯電分布を図15に示すように可動片2の自由端(接点6)と対向する部分より高くすることができるのである。

    【0038】(実施例2)上記実施例1では、固定電極10、11の表面に段差27、28を形成して、可動電極4の支持端部9側と固定電極10、11との間の空隙を、自由端側戸固定電極10、11との間の空隙より小さくしているが、本実施例では、図18乃至図22に示すように可動電極4の支持端部9から中央部に亘る可動片2の厚みを可動電極4の略中央部から自由端に亘る可動片2の厚みより厚くして、表面の可動電極4に段差2
    9を形成し、可動電極4の支持端部9から中央部に亘って対向する固定電極10、11との間の空隙を、可動電極4の中部から自由端部に亘って対向する固定電極1
    0、11との間の空隙より小さくしたものである。 尚段差29以外の構成は実施例1と同じであるため、実施例1の同じ構成部位には同じ番号を付している。

    【0039】而して本実施例でも可動電極4の支持端部9から略中央部に亘って対向する固定電極10、11との間の空隙が可動電極4の自由端側と固定電極10、1
    1との間の空隙に比べて段差6により小さくなり、しかもエレクトリック11又は18による可動電極4に及ぼす静電力と外部印加電圧による静電力を重ねた力を利用することとにより、大きな静電力が得られて、接点圧が大きくとれる。 尚本実施例のその他の動作、その特性も実施例1と同様であるため、動作説明は省略する。

    【0040】尚可動片2、固定片1、3は図23、1
    7、18に夫々示す工程で形成されるが、可動片2の形成工程では段差29を異方性エッチングで形成する工程(図23の(a)(c))がある点で実施例1と異なり、また固定片1、3の形成では実施例1における段差27、28を形成する工程が無くなっている点で相違するが、その他は同じであるため説明は省略する。 またエレクトレット17、18に対する帯電分布を、ラッチング型又はシングル型に対応させて実施例1と同様に行なうのは勿論で、この帯電分布については実施例1と同じであるから説明を省略する。

    【0041】(実施例3)上記実施例1では、段差形成のために、周囲をほり込む構成であったが、本実施例では図26、図27に示すように可動接点6と接触する固定接点12、19の部位が、可動片2の固定接点端子5
    に接続される部位より低くなるように固定片1、3をほり込む構成としたものである。 本実施例の動作は実施例1と同じであるため、動作説明は省略する。 またエレクトレット17、18に対する帯電分布を、ラッチング型又はシングル型に対応させて実施例1と同様に行なうのは勿論で、この帯電分布については実施例1と同じであるから説明を省略する。

    【0042】(実施例4)上記実施例1〜実施例3は、
    2つの固定片1、3を用いて、切換型の静電リレーを実現したものであるが、本実施例は1つの固定片のみを用いて1接点型の静電リレーを実現した2層構造にかかるもので、図28、図29に示すように固定片3の構成を図1の下部固定片3と同じ構成とし、可動片2の構成を図1の上部固定片1に対応する構成を除いた構成としている。 可動片2の固定片3に対する動作は、実施例1における下部固定片3に対する動作と同じであるため、動作説明は省略する。 またエレクトレット18に対する帯電分布を、ラッチング型又はシングル型に対応させて実施例1と同様に行なうのは勿論で、この帯電分布については実施例1と同じであるから説明を省略する。 本実施例のように2層構造の場合帯電分布の代えてラッチング型リレーを構成する場合より大きな接点ギャップ(G)
    をとることができる。

    【0043】尚図28、図29において、図1の構成と同じ構成部位には同じ番号を付している。 (実施例5)本実施例は実施例4と同様に1つの固定片のみを用いた2層構造にかかるもので、図30、図31
    に示すように固定片3の構成を図26、図27の下部固定片3と同じ構成とし、可動片2の構成は図26、図2
    7の上部固定片1に対応する構成を除いた構成としており、その他の構成、動作を実施例3に準ずるものとしている。 またエレクトレット17、18に対する帯電分布を、ラッチング型又はシングル型に対応させて実施例1
    と同様に行なうのは勿論で、この帯電分布については実施例1と同じであるから説明を省略する。

    【0044】(実施例6)上記実施例1〜5は段差を設けることにより、可動部の一端部側とこれに対向する固定片の端部側との間の空隙が他の可動部と固定片との間の空隙より小さくなるようにしているが、本実施例では段差の代わりにテーパ面を形成している。 つまり本実施例では、図32、図33に示すように上部固定片1の固定電極10は可動電極4に対向する面を、可動電極4の自由端に近づく程連続的に深くなるようにエッチング加工して、テーパ面34に形成するとともに、可動電極4
    の自由端側に設けられた可動接点6に対向するテーパ面34の端部に固定接点12を形成している。

    【0045】同様に下部固定片3の固定電極11も可動電極4に対向する面を、可動電極4の自由端に近づく程連続的に深くなるようにエッチング加工して、テーパ面35に形成するとともに、可動電極4の自由端側に設けられた可動接点6に対向するテーパ面35の端部に固定接点19を形成している。 また可動片2の構造は実施例1と同様な構造となっているため、その構成についての説明は省略する。

    【0046】尚上記のように上下部の固定片1、3を構成した本実施例も実施例1と同様に動作して、その特性も同様なものとなるため、動作説明は省略する。 またエレクトレット17、18に対する帯電分布を、ラッチング型又はシングル型に対応させて実施例1と同様に行なうのは勿論で、この帯電分布については実施例1と同じであるから説明を省略する。

    【0047】図34、図35は上部固定片1、下部固定片3の形成工程を夫々示しており、上部固定片1は図3
    4(a)に示すように表面にSiO 2からなる絶縁膜1
    5を形成したシリコンウェハ31の下面に異方性エッチングによってテーパ面34を形成し(同図(b))、しかる後にコンタクト21を形成し、更に下面の絶縁膜1
    5上にAuによって固定電極10、固定接点12、金属薄膜層25を同図(c)に示すように形成し、更にエレクトレット17を同図(d)に示すように形成し、固定電極10を絶縁膜15で覆って同図(e)のように上部固定片1が得られることになる。

    【0048】下部固定片3は図35(a)に示すように表面にSiO 2からなる絶縁膜16を形成したシリコンウェハ31の上面に異方性エッチングによってテーパ面35を形成し(同図(b))、しかる後にコンタクト2
    2を形成し、更に上面の絶縁膜16上にAuによって固定電極11、固定接点19、金属薄膜層26を同図(c)に示すように形成し、更にエレクトレット18を同図(d)に示すように形成し、固定電極11を絶縁膜16で覆って同図(e)のように下部固定片3が得られることになる。

    【0049】尚上記テーパ面34、35を形成する場合には、テーパ面35、34の傾き(深さ)は、つまりエッチング量はエッチング液に浸される時間に比例するので、図36に示すようにエッチング液36に対して一定速度で固定片1(又は3)を引き上げなければならない。 可動片2の形成工程は実施例1と同じであるため説明は省略する。

    【0050】尚実施例6は固定片1、3側にテーパ面3
    4、35を形成したが、可動片2側にテーパ面を形成しても良く、また3層構造以外に1つの固定片3と可動片2とからなる2層構造のものにも展開できるのは言うまでもない。 ところで上記実施例1乃至実施例6ではエレクトレット17,18を固定電極10、11側に設けてあるが、可動片2の可動電極4側に設けて良く、この場合においてラッチング型リレーを構成する場合には、可動片2の可動電極4に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片2の基端(支持端部9)側から自由端側へ向かって順次大きくする。 またシングル型リレーを構成する場合には可動片2の可動電極4に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片2の自由端側から基端(支持端部9)側へ向かって順次大きくする。

    【0051】更にエレクトレットを固定電極10,11
    及び可動電極4の何れに設けても良く、この場合においてラッチング型リレーを構成する場合には固定電極1
    0、11に設けたエレクトレット17、18の帯電分布を可動片2の基端(支持端部9)側から自由端側へ向かって順次大きくし、可動片2の可動電極4に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片2の基端(支持端部9)
    側から自由端側へ向かって順次大きくする。 またシングル型リレーを構成する場合には、固定電極10又は11
    に設けたエレクトレット17又は18の帯電分布を可動片2の自由端側から基端(支持端部9)側へ向かって順次大きし、可動片2の可動電極4に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片2の自由端側から基端(支持端部9)側へ向かって順次大きくする。

    【0052】

    【発明の効果】請求項1の発明は、固定電極を形成せる固定片と、固定電極に空隙を介して対向する可動電極を有し固定電極と可動電極との間に印加される外部電圧によって発生する静電力で固定電極側に一端部が移動するように他端部が支持固定された可動部を有する可動片とを接合し、可動部の移動により互いに接離する接点を可動部の一端部とこの一端部に対応する固定片の端部とに設けるとともに、これら接点を外部電気回路に接続する静電リレーにおいて、固定電極若しくは可動電極のいずれか一方若しくは両方にエレクトレットを設けるとともに、このエレクトレットに帯電分布差を持たせているので、帯電分布差の持たせ方により接点ギャップを大きくし且つ接点圧を高くしたラッチング型リレーや、或いは接点ギャップを変えることなく、静電力とバネ負荷との整合がし易いラッチング型リレーを実現することができるという効果がある。

    【0053】請求項2の発明は、請求項1の発明において、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成してあるので、また請求項4の発明は、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成してあるので、更に請求項6の発明は、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成し、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の基端側から自由端側へ向かって順次大きく構成してあるので、接点ギャップが大きく、
    しかも接点圧を高くしたラッチング型リレーを実現することができるという効果がある。

    【0054】請求項3の発明は、請求項1の発明において、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成してあるので、また請求項5の発明は、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成してあるので、更に請求項7の発明は、請求項1の発明において、固定電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成し、可動片の可動電極に設けたエレクトレットの帯電分布を可動片の自由端側から基端側へ向かって順次大きく構成してあるので、接点ギャップを変えることなく、静電力とバネ負荷との整合がし易いラッチング型リレーを実現することができるという効果がある。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の実施例1のラッチング型リレーを構成した場合の要部の構成説明図である。

    【図2】(a)は同上に対応するエレクトレットの帯電分布が均一のラッチング型リレーの従来例の特性説明図である。 (b)は同上のラッチング型リレーの特性説明図である。

    【図3】同上の帯電装置による帯電方法の説明図である。

    【図4】同上の帯電装置による帯電時のグリット電圧と、時間(位置との関係)との関係説明図である。

    【図5】同上の断面図である。

    【図6】同上の分解斜視図である。

    【図7】同上の可動片の上面図である。

    【図8】同上の上部固定片の下面図である。

    【図9】同上の下部固定片の上面図である。

    【図10】同上の動作説明用の接点間距離と静電力及びバネ負荷の関係図動作特性図である。

    【図11】同上の別の動作説明用の接点間距離と静電力及びバネ負荷の関係図動作特性図である。

    【図12】同上の可動片の形成工程説明図である。

    【図13】同上の上部固定片の形成工程説明図である。

    【図14】同上の下部固定片の形成工程説明図である。

    【図15】本発明の実施例1のシングル型リレーを構成した場合の要部の構成説明図である。

    【図16】(a)は同上に対応するエレクトレットの帯電分布が均一のシングル型リレーの従来例の特性説明図である。 (b)は同上のシングル型リレーの特性説明図である。

    【図17】同上の帯電装置による帯電時のグリット電圧と、時間(位置との関係)との関係説明図である。

    【図18】本発明の実施例2の断面図である。

    【図19】同上の分解斜視図である。

    【図20】同上の可動片の上面図である。

    【図21】同上の上部固定片の下面図である。

    【図22】同上の下部固定片の上面図である。

    【図23】同上の可動片の形成工程説明図である。

    【図24】同上の上部固定片の形成工程説明図である。

    【図25】同上の下部固定片の形成工程説明図である。

    【図26】本発明の実施例3の断面図である。

    【図27】同上の分解斜視図である。

    【図28】本発明の実施例4の断面図である。

    【図29】同上の分解斜視図である。

    【図30】本発明の実施例5の断面図である。

    【図31】同上の分解斜視図である。

    【図32】本発明の実施例6の断面図である。

    【図33】(a)は同上の上部固定片の下面図である。
    (b)は同上の可動片の上面図である。 (c)は同上の下部固定片の上面図である。

    【図34】同上の上部固定片の形成工程説明図である。

    【図35】同上の下部固定片の形成工程説明図である。

    【図36】同上の固定片のテーパ面の形成工程説明図である。

    【図37】従来例の構成図である。

    【図38】別の従来例の構成図である。

    【符号の説明】

    2 可動片 3 下部固定片 4 可動電極 6 可動接点 9 支持端部 11 固定電極 12 固定接点 18 エレクトレット 19 固定接点

    QQ群二维码
    意见反馈