【発明の詳細な説明】 【0001】 【技術分野】本願発明は、少なくとも1種の高分子電解質を含む分散剤の存在下、水またはアルコール中における磁性固体粒子の分散液から本質的に成る磁性インク濃縮物に関する。 【0002】 【従来技術】上述の一般タイプの磁性インク濃縮物はドイツ特許出願公開第4115608号に開示されている。 上記出版物には水または、アルコールおよび、分散剤の作用並びに1000から25000の分子量を有する高分子電解質中における超常磁性固体粒子が記述されている。 高分子電解質は、ポリアクリレート、アクリル酸/アクリルアミド共重合体およびポリビニルホスホン酸並びにこれらの化合物のアルカリ金属塩より成る群から選択される。 これらの高分子電解質は生物的分解性が極めて小さく、そのため磁性インク濃縮物の処分が現在の生態学的観点からもはや適当でない物質である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本願発明の目的は、分散剤の作用を有する高分子電解質が実質的に改善された生物分解性を有する上述の一般タイプの磁性インク濃縮物を提供することである。 更に本願発明の目的は、インク濃縮物の沈降に対する安定性、および更に従来技術の高分子電解質と比較して上記インク濃縮物の収率を向上させることである。 【0004】 【課題を解決するための手段】この目的は、500から100000の分子量を有する高分子電解質が、少なくとも2個の同じかまたは異なるヘテロ原子を主鎖に、且つ重合体鎖当たり少なくとも3個の遊離のカルボキシル基または3個の遊離のアミノ基を側鎖に有し、少なくとも1種の高分子電解質より成る分散剤の存在下、水またはアルコール中における磁性固体粒子の分散液から本質的に成る磁性インク濃縮物によって達成されることが見出された。 更に本願発明の詳細はサブクレームおよび発明の詳細な説明から明らかである。 【0005】生物的分解性という用語は、高分子電解質からの重合体分裂片の生成が、酸素の存在下または不存在下で加水分解状態、酵素的状態または光分解状態下で起きることができることを意味すると理解されている。 分解は、例えば廃水処理プラントまたは堆肥化設備または地上水または土壌中の生体の作用により起こり得る。 本願発明によれば、500から100000の分子量を有する高分子電解質が、重合体鎖当たり、少なくとも二つの同じかまたは異なるヘテロ原子を主鎖に、且つ少なくとも三つの遊離のカルボキシル基またはアミノ基を側鎖に有する。 【0006】ヘテロ原子はN、O、P、またはSで、且つカルボキシル基はNH 4 、テトラメチルアンモニウム、Li、Na、K、H、CaまたはMg塩のような中和形態で存在してもよい。 新規の高分子電解質は、水または20の誘電率を有するアルコール、または両者の混合物中で容易に分散される。 このような高分子電解質は以下の比較例で示される。 新規の高分子電解質は40% 以上、望ましくは60%以上の生物的分解性を有する。 【0007】かくて、ポリアスパラギン酸を含む縮合物は、例えば無水マレイン酸およびアンモニアまたはアンモニウム塩から作られる欧州特許第0256366号明細書または未公開ドイツ特許出願P4300020.7 号に記載されているもの、並びにドイツ特許出願公開第4217847号によるアスパラギン酸の1モルあたり0.1−10モルのホスホン酸との重縮合によるか、アスパラギン酸結晶を200℃以上、望ましくは220− 240℃で加熱することにより固体状態の重縮合でアスパラギン酸から作られる公知の方法で製造され得る。 【0008】多塩基カルボン酸をベースとしたカルボン酸ポリエステルは、ドイツ特許出願公告第161712 2号、同第2147778号、欧州特許出願公開第04 33010号およびドイツ特許出願公告第421328 2号各公報、米国特許出願連番第08/117134号および米国特許第5217642号明細書に記載されているごとく製造することができる。 【0009】ポリアセタールは、例えば欧州特許第00 01004号明細書に記載のような方法で製造することができる。 【0010】上記のごとく、20以上の誘電率を有するアルコールが新規のインク濃縮物用の分散媒として使用される。 その例としてエチレングリコール、ジエチレングリコールおよびグリセロール並びにこれらのアルコールと水との混合物が挙げられる。 【0011】新規のインク濃縮物に混合される磁性粒子は60から130、望ましくは80から110m 2 /g のBET比表面積を有する超常磁性固体粒子であってもよい。 それらは、特に一般式M v Mn w Zn x Fe y O zが次の条件、M=Coおよび/またはNi、 v,w=0−0.998、 x=0.001−o. 998、 y=2.001−2.998、 z=3.001−4、 v+w+x=0.002−0.999、 v+w+x+y=3、 w=0の場合、v≠0;v=0の場合、w≠0 を適用できる超常磁性固体粒子である。 【0012】そのような超常磁性固体粒子は、例えば米国特許第4810401号明細書に記載されている。 【0013】しかしながら、硬磁性の固体粒子は、例えばバリウムフェライトまたは本出願人による本出願と並行出願の「磁性インク濃縮物」に記載されているような、M a Mn b Zn c Fe d O eが次の条件、すなわちMがCoおよび/またはNiであり、a、bおよびcがそれぞれ0.00−0.99、a+b+cが0.01− 0.99、dが2.00−2.99、a+b+c+dが2.00−3.00およびeが3.01−4である成分を有する顔料もまた使用され得る。 このような硬磁性の固体粒子は70から200、望ましくは90から120 m 2 /gの比表面積、10から500、望ましくは15 から350kA/mの保磁力を有し、このような顔料または上記顔料の混合物の残留磁束密度は12nTm 3 / gより大であるべきである。 【0014】これら新規のインク濃縮物は簡単な方法で調製することができる。 このために水またはアルコールおよび高分子電解質および/または20−80重量%濃度でのそのアルカリ金属塩の混合物は、磁性固体粒子のフィルターケーキと撹拌され、それは通常なお湿潤状態であり、更に懸濁液は半時間から2時間、高剪断力の作用により分散させられる。 温度はこの手順の間に70℃ に上昇する。 この成分の添加順序は臨界的ではなく、得られたインク濃縮物の性質に作用しない。 その後遠心分離を200から2000gで5分から2時間実施し、沈殿した少量の粒子が分離される。 【0015】得られた生成物は、以下の実施例に開示されている新規の磁性インク濃縮物の成分および性質に対応し、それは比較例に比して収率が改善される。 生物的分解能は例えば、密閉ボトル中の酸素濃度の減少、または化学物質の試験のためのOECDガイドライン、パリ、1981、302Bによるツアーンウェレンス試験における溶解有機炭素の減少から測定される。 化学物質の試験のためのOECDガイドライン、パリ、198 1、302AによるSCASテストもまたその評価に適している。 【0016】 【実施例および比較例】2つの異なるフェライト(フェライト1およびフェライト2)は、鉄/マンガン/亜鉛塩溶液と水酸化ナトリウムとの沈殿による米国特許第4 810401号に記載された方法で磁性固体粒子として調製され、両方のフェライトはMn 0.3 Zn 0.2 Fe 2.5 O 4の組成を有した。 フェライトは次の磁気的性質を有した:フェライトは次の磁気的性質を有した。 【0017】 BET(m 2 /g) M m/ ρ(nTm 3 /g) フェライト1 103 82 フェライト2 103 80 インク濃縮物は上記のように調製され、2000gの加速度で5分間、または1000gの加速度で30分間(比較例1)で遠心分離後測定された。 生物的分解性ポリマーは水酸化ナトリウム溶液によりpH7に中和された。 K値はFiken-tscher、Cellulosechemie 13 (1932) により、25℃でpH7において1%水溶液において測定された。 【0018】 【表1】 【0019】 実施例6アルコール中における生物的分解性を有する磁性液体 使用される超常磁性固体粒子は、沈殿反応によって調製され、Mn 0.3 Zn 0.2 Fe 2.5 O 4の組成を有し、且つ、BET表面積:96m 2 /g、M m/ ρ=87nTm 3 /gを有するMn Znフェライトを含む。 沈殿反応は、熟練した当業者には公知であり、鉄、マンガンおよび亜鉛とアルカリとの塩水溶液の反応である。 沈殿反応から得られた顔料は濾過され、洗浄されて湿潤されたフィルターケーキ(Mn Znフェライト含有量31重量%)として使用された。 804gのフィルターケーキは29のK値を有する50gのポリアスパラギン酸および150gの水並びに625gのエチレングリコールの溶液と混合された。 NaOHの添加によりpH9.5にもたらされ、均一化はウルトラタラックス分散装置(G4 5FF)で15分間実施された。 次に混合物はボールミル(Dyno Mill)中で8時間ミルにかけられた。 ミルにかけられた磁性液体は2000gで5分間遠心分離処理され、非常に少量の沈降物のみが分離された。 磁性液体の収率は96.8%であった。 次に水が減圧下、80℃でロータリーエバポレーター中で分離除去された。 このような方法で乾燥された液体は360ガウスの飽和磁化を有した。 2週間貯蔵後、磁性顔料の沈降は、アルコール性磁性液体10cm高さの層の底部では観察されなかった(0.5%未満)。 この液体は、例えば、筆記装置または材料を研磨またはラッピングする装置の分散媒として適している。 【0020】 実施例7アルコール性生物的分解性高分子電解質を含む磁性液体 使用される超常磁性固体粒子は、沈殿反応によって調製され、且つBET表面積:80m 2 /g、M m/ ρ=72 nTm 3 /gの性質を有するMn Znマグネタイトを含む。 沈殿反応は、熟練した当業者には公知であり、アルカリとの鉄(II、III)塩水溶液の反応である。 沈殿反応から得られた顔料は濾過され、洗浄されて湿潤されたフィルターケーキ(マグネタイト含有量27重量%)として使用された。 784gのフィルターケーキは29のK値を有する40gのポリアスパラギン酸および120gの水並びに500gのエチレングリコールの溶液と混合された。 NaOHの添加によりpH9.2にもたらされ、均一化はウルトラタラックス分散装置(G4 5FF)で15分間実施された。 次に混合物はボールミル(Dyno Mill)中で8時間ミルにかけられた。 ミルにかけられた磁性液体は2000gで5分間遠心分離処理され、非常に少量の沈降物のみが分離された。 磁性液体の収率は98.3%であった。 次に水が減圧下、80℃でロータリーエバポレーター中で分離除去された。 このような方法で乾燥された液体は350ガウスの飽和磁化を有した。 2週間貯蔵後、磁性顔料の沈降は、アルコール性磁性液体10cm高さの層の底部では観察されなかった(0.5%未満)。 この液体は、例えば、筆記装置または材料を研磨またはラッピングする装置の分散媒として適している。 【0021】このタイプのインク濃縮物はインクジェットプリンター、筆記装置および情報記憶に使用され得る。 しかしながら、生物的分解性のために、単純なマグネタイトがMn Znフェライト(黒インク)の代わりに使用されるなら、化粧品用に、更にまた医療用用途(MRIコントラスト媒体)および工業用、例えば磁性液体と研磨剤の混合物による磁場の作用下での研磨に適している。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アンゲーリカ、フンホフ ドイツ、69126、ハイデルベルク、パノラ ーマシュトラーセ、3アー (72)発明者 デイーター、ベック ドイツ、67117、リムブルガーホーフ、ツ ェッペリンシュトラーセ、3 (72)発明者 マティアス、クロナー ドイツ、67304、アイゼンベルク、ブルク ナーシュトラーセ、25 |