【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、リードスイッチとコイルとの間に筒状の静電シールドを介在させて成るリードリレーに関する。 【0002】 【従来の技術】リードリレーは接点が密封されているため、周囲の環境の影響を受けにくく、かつ、小型化が容易であるために種々の装置に用いられており、近年、I Cテスターへの実装が増加している。 【0003】図19に従来技術によるリードリレーを示す。 図19において従来のリードリレーは、コイル集成体100、筒状の静電シールド118、リードスイッチ120を主要構成要素として具備している。 コイル集成体100は、筒状の巻胴104と、該巻胴104の両端に設けられたフランジ部102とを有する樹脂製のコイルボビンにコイル106が巻設されている。 コイル枠1 04の貫通穴108に静電シールド118が挿入され、 更に、静電シールド118にリードスイッチ120が挿入される。 リードスイッチ120は、ガラス製の本体1 20内にスイッチ(図示せず)を有しており、該スイッチに接点122が接続されている。 【0004】コイルボビン集成体100は、静電シールドの端子118aに接続される第1のリード110と、 コイル106に接続される第2のリード112と、リードスイッチ120の端子112に接続される第3のリード114を有している。 第1、第2、第3のリードは、 インサートモールド法によりコイルボビンの一方のフランジ部102の外側に配設され、スポット溶接やハンダ付けにより各々の対応する接点に接続される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従来のリードリレーは別途成形された静電シールド118をコイルボビンの貫通穴108に挿入しているため、部品点数および工数が高くなるばかりか、静電シールド118の端子118a と第1のリード端子110を人手により接続しなければならず製造コストが増加する。 【0006】また、従来のリードリレーは、ICテスターなど非常に多数のリードリレーを同一基板状に配列、 実装することを考慮していないので、こうした場合に、 リードスイッチの端子に接続されているリードに隣接するコイルへの通電用リードから、リードスイッチの端子に接続されたリードを通してリードスイッチの接点動作への悪影響に対する対策が施されていない。 【0007】更に、従来のリードリレーでは、コイルを巻設したリードリレーに最終的にパッケージをインサート成形する際、個々のリードリレーを型に配置しており、製造方法の自動化につき改良の余地がある。 【0008】本発明は、こうした従来技術の問題点を克服した新規なリードリレーおよびリードリレー製造方法を提供することを目的としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、リードスイッチを静電シールドにより包囲し、前記静電シールドの周囲に絶縁材料から成る巻胴を形成し、前記巻胴にコイルを巻設して成るリードリレーにおいて、前記静電シールドに接続された第1と第2のリードと、前記コイルに接続された第3のリードと、前記リードスイッチに接続された第4のリードとを具備し、前記第4のリードを前記第1と第2のリードの間に配設したリードリレーを要旨とする。 【0010】リードスイッチに接続された第4のリードを、静電シールドに接続された第1と第2のリードの間に配置することにより、特に、多数のリードリレーを同一基板上に配列したときに、第4のリードを通じたコイルの影響が可及的に低減される。 【0011】更に本発明は、リードスイッチを静電シールドにより包囲し、前記静電シールドの周囲に絶縁材料から成る巻胴を形成し、前記巻胴にコイルを巻設して成るリードリレーの製造方法において、前記静電シールド成形するための主部と、前記主部に連結された第1と第2のリードと、前記主部に連結されていない第3のリードと、前記第1から第3のリードに連結されたタブを含む複数の第1のリードフレームセグメントから成る帯状の第1のリードフレームを形成する工程と、前記主部をプレス加工により筒状の静電シールドを形成する工程と、前記静電シールドの周囲に設けられた巻胴と、前記静電シールドの両端部および前記第1から第3のリードの少なくとも一部に設けられたフランジとを絶縁材料によりインサート成形してコイルボビンを形成する工程と、前記コイルボビンを前記第1のリードフレームから切断、分離する工程と、前記巻胴の周囲にコイルを巻設してコイル集成体を形成する工程と、前記静電シールド内にリードスイッチを挿入する工程と、前記リードスイッチの端子に第4のリードを接続する工程とを含むリードリレー製造方法を要旨とする。 【0012】好ましくは、前記第4のリードを接続する工程の前に、更に、一直線上に配置された一対の第4のリードを含む複数の第2のリードフレームセグメントから成る第2のリードフレームを形成し、前記コイルを巻設したコイルボビンを前記第2のフレームに取り付けられる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、図1から図18を参照して本発明の実施形態を説明する。 本発明の実施形態によるリードリレー10は、中空状のコイル集成体40(図8 参照)と、該コイル集成体40の中心穴44内に挿入されたリードスイッチ50(図9参照)とを具備している。 コイル集成体40は、帯状の第1のリードフレーム20(図2参照)からプレス加工により筒状の静電シールド22を形成し、静電シールド22の周壁に巻胴34 と、その両端にフランジ部32とを絶縁性の樹脂材料、 好ましくは、液晶プラスチックによりインサート成形してコイルボビン30(図5から図7参照)を形成し、次いで、個々のコイルボビン30を第1のリードフレーム20から切り離した後に、巻胴34にコイル42を巻設して形成されている。 【0014】第1のリードフレーム20は、図2に示すように、銅合金等の非磁性材料にハンダメッキ等の表面処理を施した帯状の部材から成り、複数の第1のリードフレームセグメント21を含んで成る。 第1のリードフレームセグメント21の各々は、後の工程にてプレス加工にて筒状の静電シールド22(図4参照)となる主部20aと、該主部20aと長手のエッジフレーム24との間に横断方向に延設された第1と第2のリード20 b、20cと、エッジフレーム24から第1と第2のリード20b、20cに平行に延設された第3のリード2 0dと、第3のリード20dの内側の端部から長手方向に延びる連結部20fとを含んでいる。 第3のリード2 0dと連結部20fの間に、後の工程にてインサート成形したときに、第3のリード20dをフランジ32にしっかりと固定するための補強部20eが形成されている。 【0015】主部20aをプレス加工して筒状の静電シールド22を形成した後、第1のリードフレーム20には、インサート成形にて巻胴34とフランジ部32が樹脂により形成され、第1のリードフレーム20に連結した状態で複数のコイルボビン30が形成される。 フランジ部32は、第1から第3のリード20b、20c、2 0dの先端部を内部に包み込み、これらを固定するように形成される。 本実施形態において前記巻胴は一対の巻胴半体部34から成る。 巻胴34は、後の工程で巻設されるコイル42と静電シールド22との間の絶縁を確実にすると共に、第1のリードフレーム20に形成されるバリからコイル42を保護する。 巻胴半体部34は図6 において鉛直方向の直径を挟んで対称に設けられ、両者間に長手方向に延びるスリット36が形成される。 スリット36を巻胴34に設けることにより、巻胴34にコイル42を巻設したときに、コイル42の鉛直方向の寸法が低減され、完成したリードリレーが小型化される。 フランジ部32には、後述する第4のリード62を位置決め、固定するための受承部32a、32bが形成されている。 【0016】こうして第1のリードフレーム20に連結された複数のコイルボビン30を形成した後に、コイルボビン30の各々が第1のリードフレーム20のエッジフレーム24の一部であるタブ20′を有するように、 第1のリードフレーム20が切断され個々のコイルボビン30が分離される。 このとき、連結部20fは、その一部がリードフレームから分離されたコイルボビン30 に残るように切断され、この部分がコイル接続部20g となる。 次いで、個々のボビン30は、コイル42が巻胴34に巻設され、そしてコイル42の端部がコイル接続部20gに接続されコイル集成体40となる(図8参照)。 コイル集成体40に巻設されたコイル42を試験するために、第3のリード20dはタブ20′から切断されている。 【0017】前記コイル集成体40の中心穴44、つまり筒状の静電シールド22内にリードスイッチ50が挿入されてリードリレー10が形成される。 リードスイッチ50はガラス製の中空本体52内に端子54に接続された磁性材料から成る接点(図示せず)を有している。 リードスイッチ50をコイル集成体40の中心穴44に挿入してコイル42を励磁、消磁することにより前記接点が閉成、開成する。 【0018】次いで、リードリレー10は、第2のリードフレーム60(図10から図13参照)に取り付けられる。 第2のリードフレーム60は、例えば、ニッケルを42%または52%含むニッケル鉄合金などの磁性材料にハンダメッキ等の表面処理を施した帯状の部材から成り、複数の第2のリードフレームセグメント61を含んでいる。 第2のリードフレームセグメント61の各々は、長手のエッジフレーム68から内側に対向して延びる一対の第4のリード62を有している。 第4のリード62の先端には、図13に示すようにリードリレー10 に組み込まれたリードスイッチ50の端子54に接続される接続部64が形成されており、接続部64の両側部にコイルボビン30のフランジ部32に設けられた受承部32a、32bに嵌合する突起部66a、66bが設けられている。 【0019】第2のリードフレーム60の第2のリードフレームセグメント61の数に合致する複数のリードリレー10を横並びに配列して、突起部66a、66bがフランジ部32の受承部32a、32bに嵌合するように、第2のリードフレーム60をコイル集成体40の上方から重ね合わせ、リードリレー10のタブ20′をエッジフレーム68に溶接して、リードリレー10が第2 のリードフレーム60に取り付けられる。 このとき、第4のリード62は、リードリレー10の第1と第2のリード20b、20cの間に配置される。 また、第4のリード62は、第2のリードフレーム60に取り付けられたリードリレー10の第1から第3のリード20b、2 0c、20dと同一平面内に配置されるように、第1のリードフレーム20の厚さに対応させて第2のリードフレーム60の平面から下方に凹み、次いで、接続部64 が、リードスイッチ50の端子54に係合できるように接続部64と第4のリード62の間に立ち上がり部62 aを有している。 リードリレー10を第2のリードフレーム50に取り付けた後に、接続部64がリードスイッチ50の端子54に溶接される。 この溶接を容易にするために、接続部64は開口部または切欠64aを有している。 【0020】第2のリードフレーム60に取り付けられたリードリレー10に、コイル42が形成する磁場を増強するヨーク70(図1、14、15参照)が取り付けられる。 ヨーク70は磁性材料から成り、一対のエンドプレート72と、該エンドプレート72を連結する一対の連結部74とを有している。 エンドプレート72には弧状の切欠72aが形成されている。 切欠72aは、リードスイッチ50の本体52の表面に係合して中心穴4 4内のリードスイッチ50を上方から押しつける作用をなす。 【0021】次いで、第2のリードフレーム60に取り付けられ、ヨーク70が取り付けられたリードリレー1 0に樹脂製のパッケージ80が設けられ、第1と第2のリードおよび第4のリード20b、20c、62を切断することにより第2のリードフレーム60から切断される。 パッケージ80は、好ましくは、液晶プラスチックから形成される。 パッケージ80をエポキシ樹脂により形成してもよい。 最後に、第1から第4のリード20 b、20c、20d、62が図17、18に示すようにパッケージ80の側面において概ねJ字状に折り曲げられる。 このとき、パッケージ70において第1から第4 のリード20b、20c、20d、62が突き出した側面に逃げ74を設けることにより、第1から第4のリード20b、20c、20d、62の曲げ加工が容易になる。 【0022】このようにして形成されたリードリレーは、実際には、パッケージ80の面80aを基板(図示せず)に対面させるようにして基板、例えば、ICテスターの回路基板に取り付けられる。 前述したように、リードスイッチ50の端子54に接続されている第4のリード62は、静電シールド22に接続された第1と第2 のリード20b、20cの間に配置されている。 これにより、第4のリード62を通じてのリードスイッチ50 の接点へのコイル42の影響が低減される。 リードリレーをICテスターの回路基板には非常に多数のリードリレーが取り付けられるので、リードスイッチに接続されているリードを、静電シールドに接続されている2つのリードの間に配置することが非常に有利となる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明実施形態によるリードリレーを第2のリードフレームに取り付けた状態で示す斜視図である。 【図2】第1のリードフレームの平面図である。 【図3】図2の第1のリードフレームの部分拡大図であり、第1のリードフレームセグメントを示す図である。 【図4】第1のリードフレームに静電シールドを形成した状態を示す斜視図である。 【図5】図4のリードフレームの静電シールドの周囲に巻胴と、静電シールドの端部と第1から第3の間にフランジをインサート成形した第1のリードフレームの部分拡大平面図である。 【図6】図5において矢視線VI−VIに沿う断面図である。 【図7】図5において矢視線VII−VIIの方向に見た側面図である。 【図8】第1のリードフレームから切断、分離されたコイル集成体の斜視図である。 【図9】リードスイッチの斜視図である。 【図10】第2のリードフレームの平面図である。 【図11】図10の第2のリードフレームの第2のリードフレームセグメントを拡大して示す第2のリードフレームの部分拡大斜視図である。 【図12】図10の第2のリードフレームの第2のリードフレームセグメントを拡大して示す第2のリードフレームの部分拡大平面図である。 【図13】図12において矢視線XIII−XIIIの方向に見た側面図である。 【図14】ヨークの斜視図である。 【図15】図1において矢視線XV−XVの方向に見た端面図である。 【図16】図1のリードリレーにパッケージをインサート成形した状態を示す斜視図である。 【図17】図16のリードリレーを第2のリードフレームから切り離し、第1から第4のリードをJ字状に折り曲げ完成した本発明実施形態のリードリレーの斜視図である。 【図18】図17のリードリレーの部分側面図である。 【図19】従来技術のリードリレーの分解斜視図である。 【符号の説明】 10…リードリレー 20…第1のリードフレーム 20a…主部 20b…第1のリード 20c…第2のリード 20d…第3のリード 22…静電シールド 30…コイルボビン 34…巻胴 32…フランジ 40…コイル集成体 42…コイル 50…リードスイッチ 60…第2のリードフレーム 62…第4のリード ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原山 秀人 長野県飯山市大字野坂田935番地 株式会 社しなの富士通内 |