X-ray microscopy and x-ray microscopic method

申请号 JP2008520103 申请日 2006-06-02 公开(公告)号 JP4826632B2 公开(公告)日 2011-11-30
申请人 株式会社日立製作所; 发明人 義弘 阿南; 雅成 高口;
摘要
权利要求
  • 試料を保持する試料台と、
    該試料の表面上で電子線を収束、走査するための照射光学系と、
    該電子線の走査により試料を透過したエックス線を検出する検出器と、
    該電子線の走査により試料を透過した電子線を検出する検出器と、
    該検出器で検出された信号から前記試料の透過像を形成する手段と、
    該透過像を表示する手段と
    X線を発生させる薄膜とを有し、
    前記試料には 薄片化した試料であって該電子線の入射側に 前記薄膜を形成した試料を用いることを特徴とするエックス線顕微鏡。
  • 請求項1に記載の試料台には、試料の温度を調整する機構を設けることを特徴とするエックス線顕微鏡。
  • 請求項2に記載の試料の温度を調整する機構において、
    液体窒素、液体酸素、液体ヘリウム、ペルティエ素子で試料を冷却する機構と、ヒータで試料を加熱する機構を備えることを特徴とするエックス線顕微鏡。
  • 電子線が透過できる厚さを有し、且つ該電子線を照射してエックス線を発生させる薄膜が形成された試料を保持する試料台と、
    前記電子線を前記試料に照射し走査する照射光学系と、
    該電子線の走査により試料を透過する電子を検出する透過電子検出器と、
    該電子線の走査により試料を透過するエックス線を検出するエックス線検出器と、
    前記透過電子検出器で検出される前記試料の画像情報または前記エックス線検出器で検出される前記試料の画像情報から、前記試料の透過像またはエックス線像を形成し表示する画像形成手段と、
    前記透過電子検出器で検出される前記試料の画像情報から、前記エックス線像を取得するための前記電子線の照射位置を制御する手段を備えることを特徴とするエックス線顕微鏡。
  • 請求項4記載のエックス線顕微鏡において、
    前記電子線の照射により前記試料から散乱した電子線を検出する散乱電子検出器を備え、
    当該散乱電子検出器で検出される前記試料の画像情報から、前記試料の散乱電子像を前記画像形成手段に表示できることを特徴とするエックス線顕微鏡。
  • 試料内部の構造物を観察するエックス線顕微方法において、
    前記構造物を露出させ、前記構造物を電子線が透過できるように前記試料を研磨し、
    前記試料の研磨された箇所に前記電子線を照射してエックス線を発生させる薄膜を形成し、
    研磨後の前記試料に前記電子線を照射して前記構造物の透過像を形成し、
    前記形成された透過像を基に、前記構造物への前記電子線の照射位置を決定し、
    当該照射位置に前記電子線を照射して発生するエックス線を検出してエックス線像を取得することを特徴とするエックス線顕微方法。
  • 電子線が透過できる厚さを有し、且つ該電子線を照射してエックス線を発生させる薄膜が形成された試料を保持する試料台と、
    前記電子線を前記試料に照射し走査する照射光学系と、
    該電子線の走査により試料を透過する電子を検出する透過電子検出器と、
    該電子線の照射により前記試料から散乱した電子線を検出する散乱電子検出器と、
    該電子線の走査により試料を透過するエックス線を検出するエックス線検出器と、
    前記透過電子検出器で検出される前記試料の画像情報、前記散乱電子検出器で検出される前記試料の画像情報または前記エックス線検出器で検出される前記試料の画像情報から、前記試料の透過像、散乱電子像またはエックス線像を形成し表示する画像形成手段と、
    前記透過電子検出器または前記散乱電子検出器で検出される前記試料の画像情報から、前記エックス線像を取得するための前記電子線の照射位置を制御する手段を備えることを特徴とするエックス線顕微鏡。
  • 说明书全文

    本発明は、走査透過電子顕微鏡をベースとしたエックス線顕微鏡および顕微方法に関する。 本発明は、半導体デバイスやバイオ材料などをナノメートルレベルの高空間分解能で非破壊にて透視する新たな計測手法を供するものである。

    この明細書で参照される文献は以下の通りである。 文献は、その文献番号によって参照されるものとする。

    特開2004−138461号公報

    特開2002−202272号公報

    電子線より透過能が高く、光より高空間分解能で透過像が得られるエックス線顕微鏡(以下、X線顕微鏡)については、多くの研究や実用化装置が市販されている。 これらは大別して、(1)走査透過型結像法、(2)投射投影型結像法の2種に大別される。
    走査透過型結像法では、電子源から放射された電子線を照射電子レンズによりナノメートルオーダに収束し、これを真空中に設置されたX線ターゲットに照射する。 これにより、電子線の照射サイズと同程度の大きさのX線が発生する。 発生したX線は、直下の試料を透過してX線検出器に到達する。 X線は試料中で内部の組成や密度などに対応した吸収を受けるため、試料を透過したX線を結像することで、試料内部の組成や密度に対応したコントラストの投影像を得ることができる。 この方法については、特許文献1に基本的な構成が開示されている。 この方法では、X線ターゲットで発生したX線をできるだけ小さいまま試料に照射することでX線像の空間分解能を維持したいため、大電流を維持しつつできるだけ小さく電子線をX線ターゲット上に収束すると共に、X線ターゲットと試料をできるだけ接近させる工夫が有効となる。 現在、技術的には後者で空間分解能が決まっている。 このため、特許文献2には、X線ターゲットと試料を機械的に接近させるための装置について開示されている。 ところが、この走査透過型結像法では通常、機械的に部材同士を接近させるのは、部材の加工精度が限界を決めるため、両者の距離はサブミクロン程度となる。 特に、電子線を収束させるためには収束レンズがインレンズ方式と呼ばれる上極と下極に挟まれる数mm空間に試料を挿入することが必要となるため、X線ターゲットと試料を接近させるメカニズムをこの空間に挿入することが極めて難しいという問題があった。
    一方、投射投影型結像法では、電子線は試料に面上に平行に照射される。 試料への電子線照射で、試料からX線が2次元的に発生するため、これをX線レンズ(一般的にはフレネルレンズとよばれる回折格子)を用い、CCDカメラなどの受光面に面結像する。 この方法では、空間分解能は電子線の照射径にはよらず、主にはX線レンズの収差で決定される。 しかしながら、投射投影型結像法ではフレネルレンズのX線透過率が低いため、感度が十分でない可能性がある。 特に、試料中の軽元素のイメージングにおいては、発生するX線量が小さいため、投射投影型結像法ではS/N(Signal−to−Noise ratio)が十分でない可能性が大きい。

    本発明では、走査透過型結像法をベースに上記課題である空間分解能と像S/Nとを向上させたX線顕微鏡およびX線顕微方法を提供する。
    課題を解決するため、以下の手段を設けた。
    1. 試料面上にX線発生源となる薄膜を形成することとした。
    2. 試料とX線ターゲットが接触することから、試料ホルダに温度調整機構を設けることとした。 すなわち、十分なX線量を得るためには大電流で電子線をX線ターゲットに照射する必要があり、電子線照射に起因する試料温度上昇が固有の問題となる。 このため、液体窒素タンクからの熱伝導で試料を冷却する等の冷却機構と、試料出し入れ時の結露を防ぐための加熱機構を試料ホルダに装備させる。
    3. X線ターゲットは薄膜とし、電子線は十分に停止し、X線は十分に透過する厚さとする。 このため、薄膜厚さは電子線の加速エネルギーにも依存して大小するため、このための規定として、電子線の飛程の2倍を最適な厚さとすることとした。
    4. X線顕微鏡においては、ターゲットで発生したX線が試料中で吸収されることから、組成や密度差に起因した像コントラストが得られる。 例えば半導体デバイスは、シリコン、酸化シリコン、銅、タングステンなど様々な材料による部材から構成されている。 X線の吸収率は材料ごとに異なるため、様々なエネルギーのX線を試料に照射できることが望ましい。 このため、試料上に形成するX線ターゲット膜は複数材料からなる多層膜であるものとする。 特に、対象となる材料に近い材料からの特性X線が吸収率が高いことから、対象試料の原子番号の前後5以内の原子番号の材料をターゲットとする。
    5. X線ターゲット薄膜は試料表面に蒸着などで形成することを基本とするが、半導体デバイス解析において、しばしばウェハ裏面から目的のトランジスタ近辺のみを収束イオンビーム加工(FIB:Focused Ion Beam)装置により薄くして観察する方法が取られる。 このため、ここでもFIB加工した加工溝にX線ターゲット膜を形成することで、試料の蒸着面積を抑えることで迅速な評価を可能とする。
    このように、半導体デバイスやバイオ材料などをナノメートルレベルの高空間分解能で非破壊にて透視する新たな計測手法を供する。 さらに本手法によれば、着目した結晶面の存在する部分を明るい像として、それ以外の部分を暗い像として走査透過電子顕微鏡の拡大像を形成できる。

    図1は、インレンズ型走査透過電子顕微鏡(STEM)をベースにしたX線顕微鏡の構成例である。
    図2は、アウトレンズ型走査電子顕微鏡(SEM)をベースにしたX線顕微鏡の構成例である。
    図3は、試料上へのX線ターゲット薄膜形成例(表面形成)である。
    図4は、試料上へのX線ターゲット薄膜形成例(裏面形成、裏面研磨)である。
    図5は、試料上へのX線ターゲット薄膜形成例(表面形成、表面・裏面研磨)である。
    図6は、試料上へのX線ターゲット薄膜形成例(多層膜ターゲット形成)である。
    図7は、試料上へのX線ターゲット薄膜形成例(表面形成)である。
    図8は、温度調整可能な試料ステージの構成例である。

    図1には、本発明の1実施例を示す。 ここでは、通常、走査透過電子顕微鏡 (STEM:Scanning Transmission Electron microscope)と呼ばれる装置を電子線装置として用いている。 すなわち、電子銃11から放射された1次電子線26は照射レンズ12、コンデンサ絞り13、軸ずれ補正用偏向器14、スティグメータ15、イメージシフト用偏向器16、走査用偏向器17、対物レンズ18で微小に成形されて試料ステージ20上に固定された試料24にフォーカスされて照射される。 本発明においては、試料24上に直接X線ターゲットとなる薄膜を形成する。 例えば図1においては、試料24上に蒸着膜25を蒸着により形成しており、1次電子線26はまず蒸着膜25に入射する。 従って、試料24の直上で電子線に励起されたX線27が発生し、これが試料24を透過し、シンチレータ33を介して、CCDカメラ34に入射する。 ここでCCDカメラ34は光像を検知するものであり、直接X線を照射しても結像することができるが、X線は透過能が高く、CCDの分光感度特性と合わせるためには、シンチレータ33でCCDの受光感度(変換量子効率)の高い500nm光にX線を変換することとした。 ここでは、例えばCeをドープしたYAG単結晶などを用いることが有効である。 図1では、CCDカメラ34は大気中に設置する構造とした。 すなわち、X線27はX線窓付き真空フランジ32を透過してシンチレータ33上に結像する。 しかしながら、X線のエネルギーが低い場合、シンチレータ33とCCDカメラ34は真空中に設置される場合もある。 CCDカメラ34は、高感度化、すなわち像S/N向上の観点でペルティエ素子、もしくは冷されること、信号の読み出し速度を遅くするいわゆるスロースキャンの機能を有するものとする。
    さて、X線は蒸着膜25からCCDカメラ34まで直進することから、X線ターゲット(ここでは蒸着膜25)と試料の距離に比例してX線光源が大きくなり、解像度が劣化する。 例えば、X線ターゲットと試料の間隔をLとし、X線ターゲットから±45°の度で放射されたX線を用いた場合、光源径dは、d=2Lとなる。 このため、従来法のように、両者を機械的に接近させた場合は、d〜数100nmとなり、いくら照射系で電子線を小さく収束しても、解像度は両者間距離で律せられて限界となる。 しかしながら本発明では、試料上にX線ターゲットを形成することから、両者間距離は数10nmとすることができることから、1桁以上の高分解能化が実現できる。
    電子銃11、照射レンズ12、コンデンサ絞り13、軸ずれ補正用偏向器14、スティグメータ15、イメージシフト用偏向器16、走査用偏向器17、対物レンズ18はそれぞれ電子銃制御回路11'、照射レンズ制御回路12'、コンデンサ絞り制御回路13'、軸ずれ補正用偏向器制御回路14'、スティグメータ制御回路15'、イメージシフト用偏向器制御回路16'、走査用偏向器制御回路17'、対物レンズ制御回路18'を介してシステム制御・表示計算機22から制御される。 同様に、試料ステージ20は、試料ステージ制御回路20'を介してシステム制御・表示計算機22から制御される。 例えば、現在の加速電圧200kVの走査透過電子顕微鏡では0.1nm程度のビーム径の電子線を試料24上に照射できるが、例えば、コンデンサ絞り13の孔径を大きくする等によりビーム径を1nmすれば、試料面上での電流は数桁大きくすることができる。 特にX線顕微鏡の場合、試料内でのX線発生量が小さいため、できるだけ照射電流量を大きくする必要がある。 また、スティグメータ15などにより電子光学系の収差補正を行うが、多重極レンズを組み合わせた球面収差レンズを設置することで、さらにビーム径を小さいままで電流密度を向上させることも有効である。
    本実施例では、試料24近傍にX線もしくは2次電子検出器19を設置する。 これは、X線像を取得する前段階で、ビームが蒸着膜25上に正しく収束されていることを確認するために像情報が別途必要だからである。 ここで検出器がX線検出器の場合は蒸着膜25もしくは試料24で発生した特性X線28を検知することから、組成像が得られる。 また、2次電子検出器の場合は主に蒸着膜25の表面凹凸像となる。 いずれにしてもこれをモニタしながら照射条件を最適化して微小かつ大電流の1次電子線26を形成する。 同様に、本実施例では、透過電子検出器21、散乱電子検出器23が設置される。 これは、主に試料24の透過像を得るためのものである。 すなわち、透過電子検出器21からは試料の結晶構造などの情報、散乱電子検出器23からは試料の組成構造の情報を得ることが出来、これを見ながらどの位置のX線像を得るか参考にできる。 透過電子検出器21、散乱電子検出器23は電子検出器制御回路21'を介してシステム制御・表示計算機22から制御され、またシステム制御・表示計算機22に像が表示される。

    図2には、本発明の1実施例を示す。 ここでは、通常、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron microscope)と呼ばれる装置を電子線装置として用いている。 すなわち、電子銃11から放射された1次電子線26は照射レンズ12、コンデンサ絞り13、軸ずれ補正用偏向器14、スティグメータ15、イメージシフト用偏向器16、走査用偏向器17、対物レンズ18で微小に成形されて試料ステージ20上に固定された試料24にフォーカスされて照射される。 本発明においては、実施例1と同様、試料24上に直接X線ターゲットとなる薄膜を形成する。 1次電子線26はまず蒸着膜25に入射する。 従って、試料24の直上で電子線に励起されたX線27が発生し、これが試料24過し、シンチレータ33を介して、CCDカメラ34に入射する。 CCDカメラ34は大気中に設置する構造とした。 すなわち、X線27はX線窓付き真空フランジ32過してシンチレータ33結像する。 電子銃11射レンズ12、コンデンサ絞り13、軸ずれ補正用偏向器14、スティグメータ15、イメージシフト用偏向器16、走査用偏向器17、対物レンズ18はそれぞれ電子銃制御回路11'、照射レンズ制御回路12'、コンデンサ絞り制御回路13'、軸ずれ補正用偏向器制御回路14'、スティグメータ制御回路15'、イメージシフト用偏向器制御回路16'、走査用偏向器制御回路17'、対物レンズ制御回路18'を介してシステム制御・表示計算機22から制御される。 同様に、試料ステージ20は、試料ステージ制御回路20'を介してシステム制御・表示計算機22から制御される。 本実施例では、試料24近傍にX線もしくは2次電子検出器19、上方に、E×B偏向器42、2次電子もしくは反射電子検出器31を設置する。 これも実施例1と同様、ビームを精度良く蒸着膜25上に収束させるためである。 E×B偏向器42はE×B偏向器制御回路42'、2次電子もしくは反射電子検出器31は2次電子もしくは反射電子検出器制御回路31'により、システム制御・表示計算機22から制御される。

    ここでは、図3から図7を用い、X線顕微方法、特に半導体デバイス評価を例に試料前処理について説明する。 図3(a)前処理前の典型的な構造を有する半導体デバイスの断面構造図である。 すなわち、シリコン基板上にプラグやゲート構造があり、さらに上方にこれらを電気的に繋ぐ配線構造がある。 図中において太実線は試料の表面輪郭を示しており、太点線は、点線を介して隣接した場所にも構造が繋がっている事を示している。 半導体デバイス解析においては、表面から下の配線やプラグ構造の断線、ボイド、また、プラグ基板間の変質層の有無や基板中結晶欠陥の有無を迅速に評価することが求められている。 従来は、収束イオンビームを用い、半導体ウェハから目的の薄膜試料を摘出し、これを透過電子顕微鏡などで高分解能観察していたが、試料摘出のために時間がかかり、試料へのダメージなども問題であることから、層間膜のような変形しやすい構造体の評価への適用も困難であった。 このため、X線のような透過能の高いプローブによる評価が求められるが、既に述べたように、電子線のように高空間分解能での評価が難しいという問題があった。 例えば、上記の評価課題について、配線では100nm以下(ボイドなどでは10nm変質層や欠陥の評価では1nm分解能が求められる。このために、試料に直接X線ターゲット膜を設けることで高分解能化を図ることを実施例1、2で述べて来た。これに対応し、図3では最もシンプルなX線ターゲット膜形成法を示した。すなわち、試料24上に直接蒸着膜25を形成する。この時、X線の入射方向は図中上から下向きである。これにより、蒸着膜25で発生したX線は試料24中を透過する。この際、組成や密度によりX線の吸収量が異なることから、試料を透過したX線分布を2次元的にとらえることで、試料中の組成や密度分布を得ることが出来る。蒸着膜の厚さは電子線が十分に停止し、かつX線が内部で吸収されない厚さが理想的である。通常、電子線の加速電圧をE(KV)、ターゲット試料の密度ρ(g/cc)の場合、電子線が侵入する深さとして、飛程Rρ(mg/cm )が以下の式(数1)で与えられる。

    例えば、ターゲット試料がシリコンの場合、E=200kVの電子線の飛程は約200ミクロンである。 一方、シリコンで発生した特性X線はシリコン中では数nm透過することから、ターゲット試料厚さは十分に薄いと言える。 試料24電子線照射エネルギーを抑制する観点から裕度を持たせるとして、ここではターゲット試料の厚さは、飛程の0.5倍以上、2倍以下と成るように形成するものとする。 ターゲット膜形成は、ターゲット材料を加熱して真空中で飛ばす真空蒸着法のほか、ターゲット材料に電子線を照射することで飛ばす電子線蒸着法、真空中の試料近傍に例えば有機タングステンガスなどを流し、成膜箇所を収束イオンビームで走査することにより有機タングステンガスを分解、金属化して固着させるイオンビームアシストデポジション法など、試料との相性や成膜面積に応じた膜形成法をとるものとする。


    図4では、蒸着膜25を試料24表面に形成した後、基板側から評価箇所以外の構造物をウェハ裏面から研磨して除去した試料加工の方法を示す。 図4(b)では、配線構造の評価に着目し、プラグ・ゲート以下を研磨で除去した。 すなわち、蒸着膜25で発生したX線は配線構造のみで吸収の大小による像コントラストが形成されるものとし、プラグ・ゲートや基板での吸収によるコントラスト低下を抑制することを目的としている。


    図5では、配線構造を残し、裏面から試料を研磨し、さらに研磨孔部分に裏面からターゲット材料を蒸着する方法を示した。 すなわち、基板側に蒸着膜25が形成される。 この試料の場合、電子線入射方向は図中下から上向きとなる。 この試料前処理法においては、イオンビームアシストデポジション法が有効である。 すなわち、初めはアシストガスを流さず収束イオンビームで目的箇所を研磨し、試料加工が終了し次第ガスを流すことで、連続的にターゲット膜を視野近傍に形成することができるからである。


    図6には、ゲート・プラグ構造を評価する場合の試料前処理法を示す。 この場合、上部の配線構造と下部の基板構造を収束イオンビームで研磨、除去する。 図6(b)では、試料上面からターゲット膜を形成した例が示されているが、基板側の孔にターゲット膜を形成することも可能である。 それぞれ、ターゲット面がある側から電子線を照射することとする。 このように、X線は試料中の微小構造物での吸収量が小さいため、できるだけ目的の構造物による像コントラストを上げるためには、前後の余分な構造物を除去すると共に、加工孔にターゲット膜を形成することでターゲット膜と観察対象の距離をできるだけ短くすることが空間分解能の向上のために極めて重要である。


    図7には、ターゲット膜を複数多層に形成する実施例を示す。 半導体デバイスは複数の材料から形成される。 特に酸素、窒素のような軽元素、シリコンや銅のような中重元素、タングステンのような重元素と様々な材料からなる構造物が同一視野内に存在する場合、それぞれの材料の透過能を最大化するエネルギーのX線を複数準備することは重要である。 一般的には、観察対象の元素に近い原子番号のターゲット材から発生させたX線の吸収率が高くなることから、カーボン、アルミニウム、亜鉛、金などをターゲット膜として形成する。 ここでは、大電流の電子線を照射することから、融点が高く、電子線による照射ダメージが小さく、照射による脱ガスなどの少ない材料を選択するなどの工夫が必要である。

    本発明では、試料上にX線源となるターゲット膜を直接形成することから、試料の温度上昇というこれまでの方法にはない固有の問題が発生する。 すなわち、できるだけ多くのX線を発生させることから、電子線はマイクロアンペア以上の電流を照射する必要があり、試料形状にもよるが、温度上昇は数100°に及ぶ可能性がある。 この場合、試料の変形や流動、溶解などの問題が発生する。 このため、図8に示す試料ステージを考案した。 図8において、配線構造を残して研磨された試料24は試料ホルダ20上に固定されている。 蒸着膜25側から1次電子線26を照射し、発生したX線27が試料24中を透過し、試料ホルダ20に設けられた孔を通って下方に非図示のCCDカメラ34方向に投影される。 試料ホルダ20は冷却棒38を介して液体窒素タンク36中の液体窒素37に熱的に接触している。 試料24を効果的に冷却するために、試料24を取り囲む形で冷却冶具35が配置される。 液体窒素37と液体窒素タンク36は大気中に設置する必要があるため、冷却棒38は電子顕微鏡鏡体44に対してオーリングを介して真空シールされる。 すなわち、試料24は真空中で液体窒素温度に冷却される。 一方、試料を出し入れする際には、結露を起こさないために試料24は常温に戻っている必要がある。 このため、試料ホルダ20中にはヒータ制御電源40で制御されたヒータ39が埋め込まれるものとし、出し入れの際は試料温度を液体窒素温度から常温に戻すこととする。
    以上、本発明の例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々変形可能であり、上述した各実施例を適宜組み合わせることが可能であることは当業者に理解されよう。

    半導体デバイスやバイオ材料などをナノメートルレベルの高空間分解能で非破壊にて透視できる新たな計測手法を供する。

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