X線イメージングの統計的分析

申请号 JP2017231516 申请日 2017-12-01 公开(公告)号 JP2018116046A 公开(公告)日 2018-07-26
申请人 エフ イー アイ カンパニ; FEI COMPANY; 发明人 フラガー ウィルフレッド ケルシャム; キングストン アンドリュー マウリス; マイヤーズ グレン ロバート; パズィレシュ マーサ; ヴァルスロト トロン カーステン;
摘要 【課題】X線を用いて試料を分析する方法を提供する。 【解決手段】入 力 X線で前記試料を照射するステップと、前記照射に応答して前記試料から放出される出力X線の線束を検出するために検出器を用いるステップと、を備え、当該方法はさらに以下のステップを備える:前記試料の少なくとも部分のピクセル化されたイメージの集合を生成するように前記線束の少なくとも一部を妨害するために検出器を用いるステップ。各イメージの各画素について、蓄積された 信号 強度を求め、従って関連する信号強度の集合を生成するステップ。画素 位置 当たりの平均信号強度、分散を算出ステップ。画素当たりの平均X線格子エネルギーのマップを生成するために、これらの値を使用するステップ。 【選択図】図1B
权利要求

X線を用いて試料を分析する方法であって、 − 入X線で前記試料を照射するステップと、 − 前記照射に応答して前記試料から放出される出力X線の線束を検出するために検出器を使用するステップと、 − 前記試料の少なくとも一部をピクセル化したイメージIjの集合{Ij}を生成するように前記線束の少なくとも部分を傍受するために検出器を使用するステップであって、前記集合{Ij}の基数がM>1である、ステップと、 − 各イメージIjの各画素piについて、蓄積された信号強度Sijを求め、従って関連する信号強度{Sij}の集合を生成するステップと、 − 以下の値、 ・ 画素位置i当たりの平均信号強度S、 ・ 画素位置i当たりのSの分散σ2S、 を算出するために集合{Sij}を使用するステップと、 − 画素当たりの平均X線格子エネルギーEのマップを生成するために、これらの値S及びσ2Sを使用するステップと、 を含む方法。前記マップは、画素位置i当たりの関数依存性E〜σ2S/Sを用いて生成される、 請求項1記載の方法。前記集合{Ij}は、(n+1)番目のイメージIn+1全体の捕捉に進む前に、n番目のイメージIn全体を捕捉する手順を反復的に繰り返すことにより生成される、 請求項1又は2記載の方法。前記集合{Ij}は、n番目のピクセル位置において、(n+1)番目のピクセル位置に進む前に、異なる検出器試料のうちの複数のMを収集する手順を、反復的に繰り返すことにより生成される、 請求項1又は2記載の方法。X線トモグラフィック・イメージング手順の部分として実行される、 請求項1乃至4のいずれか記載の方法。前記Eの値は、ビーム硬化補正を実行するために使用される、 請求項1乃至5のいずれか記載の方法。前記Eの値は、ボクセル当たりの、少なくとも1つの試料の材料密度及び原子番号を導くために用いられる、 請求項5又は6記載の方法。− 荷電粒子の照射ビームを生成するための荷電粒子源と、 − X線ビームを生成するようにターゲット上に前記照射ビームを方向づけるための粒子光学カラムと、 − 前記X線ビームにより照射されるべき試料を保持するための試料ホルダと、 − 前記照射に応答して前記試料から放出される出力X線の線束を検出するための検出器と、 を有する荷電粒子顕微鏡において、 当該荷電粒子顕微鏡は、さらに 以下の動作、 − 前記試料の少なくとも部分のピクセル化されたイメージIjの集合{Ij}を生成するために検出器を用いるステップであって、前記集合{Ij}の基数がM>1であるステップと、 − 各イメージIjの各画素piについて、蓄積された信号強度Sijを求め、従って関連する信号強度{Sij}の集合を生成するステップと、 − 以下の値、 ・ 画素位置i当たりの平均信号強度S ・ 画素位置i当たりのSの分散σ2S − 画素当たりの平均X線格子エネルギーEのマップを生成するために、これらの値S及びσ2Sを使用するステップと、 を実行するように構成されたコントローラを有する、 荷電粒子顕微鏡。

说明书全文

発明は、X線を使用して試料を分析する方法であって、 − 入X線で前記試料を照射するステップと、 − 前記照射に応答して前記試料から放出される出力X線の線束を検出するために検出器を使用するステップと、 を備える方法に関する。 本発明は、X線トモグラフィック・イメージング手順の一部として実行される場合のそのような方法にも関する。 本発明は特に、荷電粒子顕微鏡内で実行される場合のそのような方法に関する。

上記のようなトモグラフィック・イメージング(コンピュータ・トモグラフィ(CT)とも呼ばれる)では、様々な視点から試料の浸透的な観察を取得するように、異なる視線に沿って試料を調査するために、放射線源及び(直径方向に対向した)検出器が使用される。それらは、その後、試料の(内部の)(一部の)再構成された「ボリュームイメージ」を生成する数学的手順への入力として、使用される。ここで言及する一連の異なる視線を達成するために、例えば、以下のことを選択できる。 (i) 線源と検出器を静的に保ち、それらに対して試料を相対的に移動させること。 (ii) 試料を静的に保ち、それに対して線源を動かすこと。この場合、次のことを選択できる。 − 線源と同期して検出器を動かすこと。又は、 − 検出器を、線源により仮定される異なる位置に対応するように適合した位置で、サブ検出器の(静的な)アレイとして構成すること。 (iii) 静的な分散された線源/検出器のアレイを(静的な試料と併用して)使用し、異なる視線に沿って異なる線源/検出器ペアを、順次又は同時に呼び出すこと。 線源又は試料が移動されるかどうかにかかわらず、(例えば)試料の中心の座標系/参照フレームを使用して相対運動を描写することが可能である。典型的に、使用は、以下のように行われる。 − 円形走査。線源が試料についての平面軌道をたどり、イメージはこの軌道に沿って比較的高いサンプリングレート(すなわち準連続的)でキャプチャされる。この種の走査は、試料の比較的薄い「スライス」のみがイメージングされなければならない状況で適用できる。例えば以下の参考文献を参照されたい。 https://en.wikipedia.org/wiki/Cone_beam_computed_tomography ヘリカルスキャン。線源が試料の(長手方向)軸の回りにコイル状(螺旋状)の経路をたどり、イメージもこの経路に沿って、ここでも比較的高いサンプリングレート(すなわち準連続的)でキャプチャされる。この種の走査は、試料の比較的長い部分がイメージングされなければならない状況に適用できる。これは、典型的には(例えば線源の)円形運動と(例えば試料の)並進運動とを組み合わせることにより達成される。例えば以下の参考文献を参照されたい。 https://en.wikipedia.org/wiki/Spiral_computed_tomography − サンプリング位置の「マトリックス」。曲線に沿って配置されていないが、その代わりに実質的に均一の分布で配置されている。そのような筋書きは、(本出願と同じ譲受人による)同時係属の欧州特許出願EP15181202.1、米国特許出願US15/237,309に記述されている。 試料を横断する放射ビームは、例えば、検出器が線源に「提示」する、幾何学的配列/形状に依存して、(いわゆるコーンビーム・トモグラフィを生じる)円錐状であるか、又は、ディスク状のセグメントに類似している(したがって、いわゆる扇形ビーム・トモグラフィを生じる)とみなすことができる。あるいは、平行/コリメートされたビームも可能である。ここで言及する「視線」は、(線源から検出器まで)伝搬するビームに沿った「光軸」に対応するものとみなすことができる。それは、基本的には、そのビーム内の中央/中心/コアレイの位置に対応する。

一連の入力イメージからトモグラムを生成するために使用される数学的再構成技術に関して、SIRT(同時反復再構成技術)、ART(代数的再構成技術)、DART(離散ART)、SART(同時ART)、MGIR(マルチグリッド反復再構成)及び多数の他の技術の使用があげられる。例えば、以下の刊行物に示される概要を参照されたい。 http://www.cs.toronto.edu/~nrezvani/CAIMS2009.pdf

本明細書で言及されるトモグラフィック・イメージングは、例えば、試料(例えば、ヒト又は動物)が肉眼で視認可能である医用イメージング用途では従来から行われている独立型装置を用いて行うことができる。独立型CTツールは、例えば地質学/岩石学、生物組織研究などの、微視的試料をイメージングするために微小集束された線源が用いられる、いわゆる「ミクロCT」を実行するためにも利用できる。 これまで以上に高解像度化を続ける、いわゆる「ナノCT」装置も開発された。これらは独立型ツールでもよいが、例えば荷電粒子顕微鏡(CPM)の空いた真空/インターフェースポート用の(アドオン)モジュールとして実施することもでき、この場合、CPMの荷電粒子 ビームが(ブロック状の)金属ターゲットを照射するために使用され、所望のトモグラフィを行うために使用されるX線の生成を引き起こす。これらのトピックの(いくつかの)詳細については、たとえば、次の参考文献を参照されたい。 https://en.wikipedia.org/wiki/X-ray_microtomography https://en.wikipedia.org/wiki/Nanotomography http://www.ndt.net/article/dir2007/papers/24.pdf 本明細書で言及するように、CPMのコンテキストにおいて、「荷電粒子」という用語は、以下のものを含むものとして、広義に解釈されるべきであることに留意されたい。 − 電子、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)及び走査型透過電子顕微鏡(STEM)の場合。例えば以下の参考文献を参照されたい。 http://en.wikipedia.org/wiki/Electron_microscope http://en.wikipedia.org/wiki/Scanning_electron_microscope http://en.wikipedia.org/wiki/Transmission_electron_microscopy http://en.wikipedia.org/wiki/Scanning_transmission_electron_microscopy −正(例えばGa又はHeイオン)又は負でありうるイオン。このようなイオンビームは、イメージング・オブジェクトで使用できるが、例えば、集束イオンビーム(FIB)ミリング、イオンビーム誘導堆積(IBID)、イオンビーム誘導エッチング(IBIE)などの場合のように、表面改質の目的でもしばしば使用される。 https://en.wikipedia.org/wiki/Focused_ion_beam http://en.wikipedia.org/wiki/Scanning_Helium_Ion_Microscope W.H. Escovitz, T.R. Fox and R. Levi-Setti, Scanning Transmission Ion Microscope with a Field Ion Source, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 72(5), pp 1826-1828 (1975) − 例えば、陽子及びポジトロンのようなその他の荷電粒子。例えば以下の参考文献を参照されたい。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22472444 イメージング及び/又は表面改質に加えて、CPMにおける荷電粒子ビームは、例えば、分光法の実施、ディフラクトグラムの検査、等の他の機能を有することもできる。 本発明は、より大きい/巨視的な対象物の微視的サブ部分である試料を含む微視的試料をイメージングするために適用されるトモグラフィに主に関係する。それゆえ主に(必ずしも必要ではないが)マイクロ及びナノCT技術に関係する。

欧州特許公開第3133554号公報

米国特許公開第20170052264号公報

先行技術のX線イメージング技術はこれまでに許容可能な結果をもたらしたが、本発明者らは従来の手法の革新的な変化を提供するために広範囲に研究を行った。そのような努力の結果が、本発明の対象である。

本発明の目的は、上記の冒頭の段落に記載された拡張方法を提供することにある。特に、本発明の1つの目的は、上記の方法が従来技術と比較して有用な追加の機能性を有することである。さらに、本発明の1つの目的は、上記の方法が改良されたX線トモグラフィック・イメージングを実行することに役立てられることである。

これらの及び他の目的は、以下のステップを特徴とする、上記の冒頭の段落に記載された方法で達成され、その方法は、 − 前記試料の少なくとも一部のピクセル化されたイメージIjの集合{Ij}を生成するように前記線束の少なくとも部分を妨害するために検出器を用いるステップであって、前記集合{Ij}の基数がM>1である、ステップと、 − 各イメージIjの各画素piについて、蓄積された信号強度Sijを求め、従って関連する信号強度{Sij}の集合を生成するステップと、 − 以下の値、 ・ 画素位置i当たりの平均信号強度S ・ 画素位置i当たりのSの分散σ2S を算出するために集合{Sij}を用いるステップと、 − 画素当たりの平均X線格子エネルギーEのマップを生成するために、これらの値S及びσ2Sを使用するステップと、 を含む。 ここで使用される用語に関して、イメージIjは、複数の(実際の又は仮想の)構成要素のサブ領域に区画できるならば、「画素化」されているとみなされ、画素化された検出器が問題となるイメージを生成するために使用されていれば、サブ領域は検出画素に対応していてもよいし、していなくてもよい。さらに、画素piに関する下つき添字iは、座標よりもむしろ列挙子と考えられる。そこで、例えば、100x100画素の正方形アレイで、iは、アレイの左上の第1の画素のために1の値が割り当てられ、アレイの右下の最後の画素のために10000の値を割り当てられることが可能である。当業者は、これらの点を十分に把握するであろう。

本発明は、とりわけ以下の洞察を利用する。 − 試料内のX線光子発生プロセスは、一般的に、(所与の照射パラメータに対して)試料中の所与の点から放出される光子の数及び/又はエネルギーに時間的な変動があるという点で、本質的に統計的である。 − 従来のX線検出は、所与の時間窓(そのあとでリフレッシュ/リセットが生じる)の間の累積光子エネルギーを登録することを含む。 これに関連して、典型的な検出器は、例えば、登録された累積エネルギーが、高エネルギー光子の低流量によるものか、低エネルギー光子の高流量によるものか、又はこれら2つのシナリオのハイブリッド/混合によるものか、どうかを識別することができない。 − 本発明者らは、上述した光子放射プロセスの統計的性質が、害とみなされるのではなく有利に利用され得ることを認識した。 この点に関して、彼らは従来のノイズ低減の目的ではなく、純粋に統計的な分析を行うための基礎としての働きのために、試料の複数のイメージを記録するという珍しいステップを取った。これは、例えばスループット・ペナルティに関して逆効果と考えられ、一般的に試料への放射線照射量を増加させる。 しかしながら、これらの様々なイメージをピクセルごとベースで試験し、それらを数学的に処理することによって、発明者らが複数の(時間的に異なる)イメージを記録したという事実は、データからピクセル当たりの統計的平均/アベレージ(S)及び分散(σ2S)を抽出することを可能にした。これは、本質的に、当初は「混乱している(muddled)」データ内で、2つの異なるパラメータを互いに切り離すことができるデコンボリューション・プロセスと実質的に同じである。本発明者らは、光子生成/イメージング・プロセスをより詳細に検討することによって、検出器に到達する光子のエネルギー(E)及び数(N)によって、S及びσ2Sの抽出値が異なる方法でスケールされ、生産されるべき試料の「Eマップ(“E-map”)」と、必要に応じて、「Nマップ(“N-map”)」が可能になることを見出した。これは、例えば、以下のように説明できる。 ○ 量Sは、以下の通りに表されることができる関数挙動を示す。 S〜EN0η (1) ここで、 ・ N0は、入力ビーム内の光子の平均数を表し、ポアソン過程による変化を示す。 ・ ηは、検出確率係数である。 ・ Eは、単一入力光子の衝突から生じる検出光子の平均エネルギーを表す。 結合された結果は、平均値N=N0ηを有するポアソン過程であり、入力光子当たりの検出された光子数の計測(measure)である。したがって、次のように書くことができる、 S〜EN (1a) ○ Sの分散は、以下の通りに表されることができる関数挙動を示す。 σ2S〜E22S (2) 式(1a)と(2)を組み合わせると、次のようになる。 E=f(S,σ2S) (3) N=g(S22S) (4) ここで、f及びgは関数である。例えば: E〜σ2S/S (3a) N〜S22S (4a) これらの値は画素毎に計算されるので、画素当たりのそれらの値のプロットは、それぞれ試料のEマップ(及びNマップ)並びに平均強度マップ(従来のX線投影データを含む)を描写する。 平均強度は、特定の材料を通過する経路長に依存するが、その材料の組成(X線減衰係数)にも依存する。このデータからだけでは、(例えば、異なる汚染物質及び/又はドーパント、異なる密度、ある物質から別の物質への一般的な遷移などを含む領域の)組成情報から幾何学的情報を区別することは不可能である。X線減衰係数は、典型的にはX線光子エネルギーに非線形に依存する。本発明は、2つのいくつかの強制的ハイブリッド/混合に耐えなければならないことよりもむしろ、2つの異なるタイプの情報を同じイメージから分離する手段を提供するものである。Eマップを抽出する能力は、X線分光法(EDS)に頼らなくても基本的な組成情報を抽出できるので、特に興味深いものとなる。 − 当業者は、例えば、データ{Sij}を自動的に分析し、付随するピクセルごとの平均振幅及びスプレッドを決定するために、比較的簡単なソフトウェアを使用し、集合{Sij}の分析からS及びσ2Sを好適に定量化できるであろう。そうすることで、必要な平均と分散について様々な推定量から選択する自由度を得る。例えば、量Sの場合、使用された平均は、(値の和を値の数で割った)単純な演算平均、又は推定量の他の種類でもよい。同様に、比較的単純なソフトウェアは、例えば、上記式(3a)及び(4a)に示されるような計算を自動的に実行できる。問題のソフトウェアは、データ集合{Ij}を自動的に収集し、E/Nマップをディスプレイ装置上に描写するようにプログラムされることもできる、電子マイクロプロセッサなどのコントローラの助けを借りて実行できる。とりわけ、上記の解説の状況において、一般的な情報の目的で、以下の説明的なWikipediaのリンクを参照する。 http://en.wikipedia.org/wiki/Average http://en.wikipedia.org/wiki/Variance http://en.wikipedia.org/wiki/Standard_deviation

言うまでもなく、前段落で説明した手順の精度は、とりわけ蓄積イメージIjの数M、すなわち集合{Ij}の基数Mに依存する。これは選択の問題であり、当業者は、一方では(SとσSの計算値の)より高い精度とスループットとの間のトレードオフをどのように管理するかを決定できる。考慮する必要のある別の問題は、試料に照らされる総放射線量であり、この点に関して許容可能な上限は、Mの値に制限を加える可能性がある。しかし、本発明者らは、本発明が、イメージIj自体の直接的内容よりも、集合{Ij}におけるイメージ間の差異に主に関心があるので、取得されたイメージの多重度を(部分的に)補償するようにイメージ毎の線量を低下させることが可能であるという状況があり、したがってイメージ集合{Ij}全体の累積放射線量が減少する、ということを見出した。さらに、集合{Sij}の分析からS及びσ2Sの値を計算する際に、より小さいデータセット、例えば、所与の対象画素に隣接する補助(隣接)画素のクラスタからのデータを外挿/補間することによって、より小さいデータセットからS及びσ2Sのよりリファインされた値を生成するために、インテリジェントアルゴリズムを使用できる。このようにして、より小さいMの値で開始できる。非限定的な例として、一般的な指針の目的だけのために、本発明者らは、例えば、本発明で50〜300の範囲のMの値を用いて満足のいく結果を達成した。

有利な実施形態では、本発明の方法は、X線トモグラフィック・イメージング手順の一部として実行される。上述したように、トモグラフィック再構成は、異なる視線に沿って撮影された一連の2次元(2D)イメージを3次元(3D)イメージに合成する。本発明は、これらの個々の視線LKの(選択されたサブセットの)それぞれに適用することができ、それにより、上述の基数Mの値は、異なる視線に対して同じであっても異なっていてもよい。トモグラフィック再構成のプロセスは効果的な数学的デコンボリューション/解きほぐし(disentanglement)プロセスであるので、また、本発明が各視線に沿った特定の情報の解きほぐし(上述した、E(組成)及びN(トポグラフィカル)情報の分離)をすでに生じているので、統計学的に処理した2Dイメージを3Dトモグラフィック再構成へと入力するための本発明の使用は再構成プロセスを促進し/強化する(expedite/enrich)。特に、トモグラフィック・イメージング手順と連動する本発明の使用は、以下を可能にする。

(I) ビーム硬化補正: ビーム硬化(Beam Hardening)(BH)は、X線の多色ビーム中で、低エネルギー光子が、材料を通過する際にビームから選択的に「フィルタリング」される傾向があり、それによって、ビームのエネルギー分布が変化する現象である。この光子の選択的除去は、光電効果やコンプトン散乱などの、物質内での様々な(エネルギー特有の)相互作用によるものであり、一般に、ビーム中の光子と、原子、材料中のイオン、フォノン及びプラズモンのうちの1つ以上との間の相互作用のいくつかの形態を含む。この現象は、再構成されたトモグラムにおいて、特にイメージングされた試料における構造/材料間の界面に沿って、望ましくない視覚的アーチファクトを生成する傾向がある。本発明は、試料を通る光線方向毎のエネルギーシフトを推定するための基礎として、上述のEマップを用いることによって、この問題に対処できる。例えば、下記の実施態様2参照のこと。

(II) ボクセル当たりの、少なくとも1つの試料材料の密度(ρ)及び原子番号(Z)の決定/推定。 以下の実施形態2において、より詳細に述べられるように、例えば、ビーム硬化効果は、ρ及びZと密接に関連している。本発明に関連する減衰モデルを使用すると、ρ及び/又はZの値を導出することが可能である。

本発明によれば、集合{Ij}を生成できる異なる方法があることに留意されたい。例えば、 (i) 1つのアプローチでは、集合{Ij}は、(n+1)番目のイメージIn+1の全体の捕捉に進む前に、n番目のイメージIn全体が捕捉される手順を反復して繰り返すことにより生成される。この場合、集合{Ij}は、基本的に、イメージIjが予め組み立てられた個別のMの積層体である。このような方法は、以下の検出スキーム(a)又は(b)を用いて定められることが可能である。 (ii) 代替的方法によれば、集合{Ij}は、n番目のピクセル位置において、(n+1)番目のピクセル位置に進む前に、異なる検出器試料のうちの複数のM(a plurality M)を収集する手順を、反復的に繰り返すことにより生成される、この場合、集合{Ij}は基本的に、2次元床面積上にピクセル積層体を並設することにより、若干、隣り合って配置されたM階建のミニ高層ビルのように組み立てられる。所与のイメージInは、問題の個々の高層ビルのすべてのn番目の階から構成される累積床面積である。したがって、この場合、個々のイメージIjは、予め組み立てられているのではなく、組み立て後のものとみなすことができる。このシナリオでは、「解決されていない」集合{Ij}の外に個々のイメージIjを明示的に「解決すべき」(組み立てるべき)に問題が実際に生じるか否かは、本発明とは特に関係しない。主な目的は、(解決済み又は未解決の)集合{Ij}を介して、データセット{Sij}と、S及びσ2Sの関連値を収集することである。そのようなアプローチは、例えば、以下の検出スキーム(a)を用いて成立させることができる。 (iii) 必要に応じて、アプローチ(i)及び(ii)の様々なハイブリッド/混合が考えられる。 上記で言及された検出方式に関しては、以下の可能性が考えられる。 (a) 走査ベースの検出であって、 − 検出器が(例えば)単一セグメントの検出器である。 − イメージは、試料に対して入力X線のビームを走査することにより生成される。 このシナリオでは、入力X線の狭ビーム(narrow beam)は、任意の所与の時間に試料の小さな領域のみを照射し、使用される検出器は、成分イメージサブセクションを作成するように、問題のその照射された領域から放出されるX線の線束(の一部)を途中で捉える。このプロセスは、(走査経路に続く)試料上の連続した領域で繰り返され、得られた成分イメージサブセクションを一緒に「タイリング(tiling)」することによって、完全なイメージを組み立てることができる。類似の手順が、例えばSEMにおいて、一般的に用いられる。 (b) 「フルフィールド」検出。 ここでは、試料全体(又はその比較的広い領域)が比較的広い入力ビームのビームを使用して照射され、ピクセル化された検出器(例えばCCD又はCMOSアレイなど)が、試料の照射ゾーン全体から放出し、2次元イメージの完全な形成へ導くX線を捕捉するのに使用される。類似の手順が、例えばTEMにおいて、一般的に用いられる。 (c) 必要に応じて、スキーム(a)及び(b)の種々のハイブリッド/混合が考えられる。当業者は、これらの点を把握し、集合{Ij}を介して集合{Sij}を累積する方法を自分自身で選択できるであろう。

本発明は、ここで、例示的な実施形態及び添付の概略的な図面に基づいてより詳細に説明される。

本発明と関連して使用できる荷電粒子顕微鏡の立面図を示す。

CPMで使用できる現場CTモジュールを示す。

図1及び2では、関連して対応する部分は、対応する参照符号を用いて示される場合がある。一般に、図は縮尺どおりではない点に留意すべきである。

実施形態1 図1Aは、本発明とともに用いられることが可能であるCPM1の実施形態を極めて模式的に示す図である。より具体的には、これはSEMの実施形態を示すが、この場合、例えばイオンベースの顕微鏡、又は例えばTEMに有効である。顕微鏡1は、粒子光学軸5’に沿って伝播する荷電粒子ビーム5(この場合、電子ビーム)を生成する粒子光学カラム/照射器3を備える。粒子光学カラム3は、試料ホルダ9及び試料13を保持/位置決めするための関連するステージ/アクチュエータ11を含む真空チャンバ7上に装着される。真空チャンバ7は、真空ポンプ(図示せず)を用いて排気される。電圧源15を用いて、試料ホルダ9又は少なくとも試料13は、必要に応じて、アースに対して、ある電位にバイアスされて(浮いて)いてもよい。

粒子光学カラム3は、(ショットキーエミッタのような)電子ソース17と、電子ビーム5を試料13上に集束させる(一般に、ここでの模式的な描写よりもより複雑な構造の)(静電/磁気)レンズ19、21と、ビーム5のビーム偏向/走査を行うための偏向ユニット23と、を備える。ビーム5が試料13上に入射され/試料13にわたって走査されると、後方散乱電子、二次電子、X線及び(赤外、可視及び/又は紫外光子の)カソードルミネッセンスなどの様々なタイプの「誘導(stimulated)」放射の放出が引き起こされる。それらの放射の1種類以上が、典型的には試料上の走査位置の関数として検出器出力の「マップ」(又は「マトリックス」)を組み立てることによって、イメージ、スペクトル、ディフラクトグラムなどを形成しうる1以上の検出器を使用して、検出され/記録させることができる。本図はこの種の2つの検出器25、27を示し、例えば、以下の通りに実施されることができる。 − 検出器25は、例えば、電子検出器(例えば固体光電子増倍管又はエバーハート・ソーンリー検出器)、(カソードルミネセンス)光検出器(例えばフォトダイオード)又はX線検出器(例えばSDD又はSi(Li)センサ)でもよい。 − 検出器27はセグメント化された電子検出器であり、(ビーム5の通過を可能にする)中央貫通孔29のまわりに配置された複数の独立検出セグメント(例えば4区分)を備える。このような検出器は、例えば、試料13から放出される、(二次後方散乱)電子流(の度依存性)を調べるために用いることができる。 これらは単なる実施例であり、当業者であれば、検出器の他の種類、数及び幾何学的形状が可能であることを理解するであろう。

顕微鏡1は、とりわけ、レンズ19及び21と、偏向ユニット23と、検出器25、27とを制御し、検出部25、27から集めた情報を(フラットパネルディスプレイなどの)表示部33に表示するコントローラ/コンピュータ処理部31をさらに備える。そのような制御は、制御線(バス)31を介して発生する。コントローラ31(又は他のコントローラ)は、さらに、合成、積分、減算、偽色、エッジ強調、及び当業者に公知の他の処理などの様々な数学的処理を実行するために使用できる。さらに、(例えば粒子分析のために使用されるような)自動認識プロセスが、そのような処理に含まれることができる。

また、真空チャンバ7の内部に/内部から、アイテム(部品、試料)を導入し/取り除くように、開放されることができるか、又は、例えば(図示されていない)補助デバイス/モジュールが搭載されることができる、真空ポート7’が示されている。顕微鏡1は、必要に応じて、複数のそのようなポート7’を備えることができる。

X線トモグラフィを実行すること関して、顕微鏡1は、図1Bに示すような現場(in situ)CTモジュール7”を備えることもできる。この図において、CPMの試料ホルダ9は、電子ビーム5が入射するように(アクチュエータ11を使用して)配置される独立型金属ターゲット13’が設けられており、様々な方向のX線を生成する。この図は、ターゲット13’(実効ソースSx)からモジュール7”へと一方の側に伝搬し、サンプルSを通過して検出器Dに入射する、そのようなX線のビームBを示す。試料Sは、ソースSxに対して試料Sを位置決めし/移動させる(典型的に平行移動させ、回転させる)ステージ装置A上に取り付けられる。そのようなCTモジュール7”は、(最初から)取り外せない形で真空エンクロージャ7内に存在していてもよいし、又は、例えば予備の真空ポート7’上に/内に(CPM1の製造後に)取り付け可能なアドオンモジュールであってもよい。

本発明の特定の状況において、コントローラ31及び/又は専用の別個の処理ユニット(図示せず)は、以下の動作を実行するために使用されることができる。 − 試料Sの少なくとも一部のピクセル化されたイメージIjの集合{Ij}を生成するために検出器を使用するステップであって、前記集合{Ij}の基数がM>1であるステップ。上述のように、これは、例えば、 ・ ピクセルごとベースでは、試料S上の次の位置上にビームBを移動させる前に、試料S上の所与の位置において、連続してX線束のM個の試料が測定されるか、又は、イメージごとベースでは、イメージIj全体の補正を導く試料Sの(部分の)完全な走査がビームBにより行われ、この手順が連続してMの合計行われる。 − 各イメージIjの各画素piについて、蓄積された信号強度Sijを求め、従って関連する信号強度{Sij}の集合を生成するステップ。 − 以下の値を計算するために集合{Sij}を使用するステップ。 ・ 画素位置i当たりの平均信号強度S ・ 画素位置i当たりのSの分散σ2S − これらの値S及びσ2S(例えば、式(3a)への入力として)を、画素あたりの平均X線光子エネルギーEのマップを生成するために使用するステップ。

そのような構成の、以下を含むがそれに限定されない多くの改変及び代替が、当業者に知られ得ることに留意されるべきである。 − 例えば、イメージング用の電子ビーム5及び試料Sを機械加工(又は場合によってはイメージング)するためのイオンビームなどの、デュアルビームの使用。 − 例えば、数ミリバールの圧力を維持する(いわゆる環境SEM)、又はエッチングガス又は前駆ガスなどのガスを受け入れるなどの、試料Sにおける制御された環境の使用。

実施形態2 次に、本発明をどのように使用してビーム硬化効果の補正を行うことができるかについての例を示す。 (A) 「平均イメージ」を生成するために、ピクセル化イメージの集合{Ij}に対して平均化演算を実行する。 (B) 上記のようにEマップをコンパイルする。 (C) ステップ(A)から得られた平均イメージから、「標準」トモグラムを構成する。 この断層像はビーム硬化作用の影響を受ける。 (D) ステップ(B)から得られたEマップから、「エネルギーシフト」トモグラムTβを構成する。 このトモグラムは、平均エネルギーが特定の点を通る光線ごとにどのくらいシフトするかを効果的に示す。 (E) 光源平均エネルギーE0を初期条件として使用して積分を計算することにより、所与の光線方向に沿った平均X線エネルギーEmを算出する: Em=E0+∫TΔds (F)一般に認められている減衰モデル(μ)は、アルバレスモデルである: μ(E)〜K1ρZ3/E3+K2ρ (5)、 ここで、 − K1及びK2は材料定数であり、ρは材料密度であり、Zは原子番号を表示し、Eはエネルギーである。 − (例えば150keV以下の典型的なマイクロCTエネルギー範囲で合理的である)問題のエネルギー帯域でいわゆるクライン・ニシナ関数が一定であると仮定して、いくつかの単純化が導入されている。 定数K1及びK2は、減衰対エネルギーについての表形式値(tabulated values)に基づいて、材料の所与のクラスについて推定できるが、以下に示すように、このことはこの状況では必要ではない。 この関係から、以下のことが見て取れる。 − 高エネルギーに対して、減衰は、エネルギーから独立している。 − 低エネルギーに対して、減衰は、1/E3とおよそ比例している。 平均エネルギーEmを保持する同じモデルを仮定し(上記(E)参照)、第2項がほぼゼロであると仮定できる低エネルギーバンド(例えば80keV未満)に集中する場合、補正されたX線減衰式を導き出すことができる。 μ(Em)=μ(E)(Em/E0)3 これは、各光線方向について、最初に測定された投影データから再構成されたX線減衰マップを使用するが、その後問題の光線方向に沿って本発明のEマップを使用して補正される、シミュレート投影の集合の構成を可能にする。これらのシミュレートされた投影は、通常の断層撮影再構成で使用され、大幅に低減された(理想的にはゼロの)ビーム硬化効果を有する断層像を得ることができる。 (G) 必要に応じて、Z及びρの少なくとも1つは、較正系列及び/又は表形式の参照から得られたK1、K2の値を用いて、式(5)から得ることができる。

実施形態3 実施形態2に記載された手法の代替として、本発明のEマップをエネルギー重み付きスペクトル(より厳密には、σ2Sは、E〜σ2S/Sでエネルギー重み付きイメージと見なすことができ)と考えることができる。集合{Ij}内のイメージの1つ(又は(A)で言及したような「平均イメージ」)と関連して、デュアルエネルギー再構成アルゴリズムへの2つの入力を有する。この場合、Eマップは事実上、より高いエネルギーに偏った標準イメージ(normal image)である。デュアルエネルギー再構成アルゴリズムに関するいくつかの追加情報は、例えば、以下の情報源から収集できる。 http://www.aapm.org/meetings/amos2/pdf/42-11941-4304-839.pdf https://engineering.purdue.edu/~bouman/publications/pdf/CT-2012-Ruoqiao.pdf

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