未硬化の光活性化硬化ポリマーを含む放射線硬化可能媒質を硬化するための方法

申请号 JP2016127329 申请日 2016-06-28 公开(公告)号 JP6313371B2 公开(公告)日 2018-04-18
申请人 イミュノライト・エルエルシー; デューク・ユニバーシティ; DUKE UNIVERSITY; 发明人 フレデリック・エー・バーク・ジュニア; トゥアン・ヴォー−ディン;
摘要
权利要求

未硬化の光活性化可能硬化ポリマーを含む媒質を硬化するための方法であって、 (1)前記媒質内部に、エネルギー変調作用物質と前記未硬化のポリマーとの間の化学反応の可能性を低減するために、エネルギー変調作用物質を前記媒質から分離する封入構造を有するエネルギー変調作用物質を含めるステップと、 (2)前記エネルギー変調作用物質と相互作用させるために、X線、ガンマ線及び電子ビームのうち少なくとも1つを含む開始エネルギーを前記媒質に印加するステップと、 (3)前記X線、ガンマ線及び電子ビームのうち少なくとも1つとの前記相互作用によって、前記エネルギー変調作用物質から光を発生させ、前記エネルギー変調作用物質からの光を前記未硬化の光活性化可能硬化ポリマー内に放出させるステップと、 (4)前記光により、前記媒質を硬化させるために、前記光活性化可能硬化ポリマーの光活性化硬化反応を発生させるステップと、を含み、 前記カプセル封入構造が、1)前記エネルギー変調作用物質からの前記光を増強または修正し、2)前記開始エネルギーを増強または修正するプラズモニクス作用物質による被覆であり、 前記プラズモニクス作用物質が前記エネルギー変調作用物質の表面全体を被覆する、方法。前記エネルギー変調作用物質から前記光を発生させるステップにおいて、前記印加開始エネルギーと異なるエネルギーの前記光をエネルギー変調作用物質から放出する、請求項1に記載の方法。前記開始エネルギーを前記媒質に印加するステップは、 外部エネルギー源から前記開始エネルギーを印加するステップ、または 前記媒質が配設される空洞内に少なくとも部分的に存在するエネルギー源から前記開始エネルギーを印加するステップ、または 前記空洞を有する構造体の開口部を通して暴露されるエネルギー源から前記開始エネルギーを印加するステップ、または 前記開始エネルギーの指向性または集束ビームを印加して、前記未硬化の光活性化硬化ポリマーからパターン形成された要素を前記空洞内に形成するステップを含む請求項1に記載の方法。前記エネルギー変調作用物質は、硫化物、テルル化物、セレン化合物、および酸化物半導体のうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載の方法。前記エネルギー変調作用物質は、 Y2O3、 ZnS、 ZnSe、 MgS、 CaS、 Mn,ErドープされたZnSe、 Mn,ErドープされたMgS、 Mn,ErドープされたCaS、 Mn,ErドープされたZnS、 Mn,YbドープされたZnSe、 Mn,YbドープされたMgS、 Mn,YbドープされたCaS、 Mn,YbドープされたZnS、 Tb3+,Er3+ドープされたZnS、 Tb3+ドープされたZnS、 Tb3+ドープされたY2O、 Tb3+,Er3+ドープされたY2O3、 Mn2+ドープされたZnS、 Mn,Er3+ドープされたZnS のうちの少なくとも1つを含む請求項4に記載の方法。前記プラズモニクス作用物質は、誘電体材料と金属材料の複合材料を含む請求項1に記載の方法。前記光によって活性化され、前記光活性化硬化反応を開始する光活性化可能作用物質を前記媒質に導入するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。前記光活性化可能作用物質は、光触媒を含む請求項7に記載の方法。前記光触媒作用物質は、TiO2、ZnO、CdS、CdSe、SnO2、SrTiO3、WO3、Fe2O3、およびTa2O5のうちの少なくとも1つを含む請求項8に記載の方法。前記エネルギー変調作用物質は、前記媒質中の少なくとも1つの光活性化可能作用物質を活性化する波長の前記光を放出するように構成された光子放出体を備え、 前記プラズモニクス作用物質は、前記エネルギー変調作用物質から放出される前記光を増強して、増強された放射光が前記少なくとも1つの光活性化可能作用物質を活性化するようにする請求項1に記載の方法。前記光子放出体は、複数のルミネッセンス発光作用物質を含む請求項10に記載の方法。前記ルミネッセンス発光作用物質は、前記開始エネルギーに暴露された後に前記光を放出するリン光発光化合物、化学発光化合物、および生物発光化合物からなる群から選択される請求項11に記載の方法。前記ルミネッセンス発光作用物質は、ナノチューブ、ナノ粒子、化学発光粒子、および生物発光粒子、ならびにこれらの混合物を含む請求項11に記載の方法。前記ルミネッセンス発光作用物質は、半導体または金属材料を含む請求項11に記載の方法。前記ルミネッセンス発光作用物質は、前記開始エネルギーに暴露された後に化学発光が増強される化学発光作用物質を含む請求項11に記載の方法。前記ルミネッセンス発光作用物質は、カーボンナノチューブを含む請求項11に記載の方法。前記カーボンナノチューブは、前記開始エネルギーに暴露された後にルミネッセンス発光する請求項16に記載の方法。印加するステップは、 前記開始エネルギーを、前記媒質が配設される空洞の容積分全体にわたって印加するステップを含む請求項1に記載の方法。印加するステップは、 前記印加開始エネルギーを、アルミニウム製容器、石英製容器、ガラス製容器、プラスチック製容器、またはこれらの組合せのうちの少なくとも1つを含む構造体の空洞に透過させるステップを含む請求項1に記載の方法。前記エネルギー変調作用物質は、前記エネルギー変調作用物質から前記媒質中に発生する前記光が前記媒質全体にわたって遮られることのない密度で前記媒質内に供給される請求項1に記載の方法。前記開始エネルギーは、X線エネルギーを含み、前記エネルギー変調作用物質からのUV/VISエネルギーは、前記媒質中の光活性化可能作用物質を活性化する請求項1に記載の方法。印加するステップは、前記開始エネルギーについて、前記エネルギー変調作用物質によって発生するエネルギーより低いエネルギーを印加するステップを含む請求項1に記載の方法。前記未硬化のポリマーが、エネルギー変調作用物質と化学的に相互作用可能である、請求項1に記載の方法。

说明书全文

[関連出願の相互参照] 本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2007年4月8日に出願した「METHOD OF TREATING CELL PROLIFERATION DISORDERS」という表題の米国仮出願第60/910,663号、および2007年11月6日に出願した「METHOD OF TREATING CELL PROLIFERATION DISORDERS」という表題の米国非仮出願第11/935,655号に関係する。本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2008年3月11日に出願した「SYSTEMS AND METHODS FOR INTERIOR ENERGY−ACTIVATION FROM AN EXTERIOR SOURCE」という表題の米国仮出願第61/035,559号に関係する。本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2008年2月21日に出願した「METHODS AND SYSTEMS FOR TREATING CELL PROLIFERATION DISORDERS USING PLASMONICS ENHANCED PHOTOSPECTRAL THERAPY (PEPST) AND EXCITONPLASMON ENHANCED PHOTOTHERAPY (EPEP)」という表題の米国仮出願第61/030,437号に関係する。本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2009年2月20日に出願した「METHODS AND SYSTEMS FOR TREATING CELL PROLIFERATION DISORDERS USING PLASMONICS ENHANCED PHOTOSPECTRAL THERAPY (PEPST) AND EXCITON−PLASMON ENHANCED PHOTOTHERAPY (EPEP)」という表題の米国非仮出願第12/389,946号に関係する。本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2008年3月11日に出願した「SYSTEMS AND METHODS FOR INTERIOR ENERGY−ACTIVATION FROM AN EXTERIOR SOURCE」という表題の米国仮出願第61/035,559号に関係し、米国特許法第119条(e)項に基づく優先権を主張するものである。本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2008年7月11日に出願した「PLASMONIC ASSISTED SYSTEMS AND METHODS FOR INTERIOR ENERGY−ACTIVATION FROM AN EXTERIOR SOURCE」という表題の米国仮出願第61/080,140号に関係し、米国特許法第119条(e)項に基づく優先権を主張するものである。

本発明は、媒質または人体の内部において放射エネルギーを発生し、放射線への暴露による媒質または人体の特性の変化を引き起こすための方法およびシステムに関する。

現在、光(つまり、電波から、可視光、そしてX線、ガンマ線の波長帯に至る電磁放射線)活性化処理は、フォトレジストの硬化から、オンデマンドのオゾン発生、滅菌、ポリマー架橋活性化(例えば、接着剤および表面コーティングにおける)の促進、およびその他に至る、多くの工業プロセスにおいて使用されている。今日では、光活性化処理は、これらの領域にみられ、従来のアプローチに比べて際立った利点を有する。例えば、従来の高圧蒸気殺菌法、または食品加工分野では低温殺菌法は、殺菌すべき媒質を熱しすぎて不適当な場合がある。そのようなものとして、光活性化硬化可能コーティングは、コーティング業界において急速に成長している部門の1つである。近年、この技術は、光ファイバー、感光接着剤、感圧接着剤、硬化トップコートのような自動車応用品、および硬化可能粉末コーティングなどの多くの市場セグメントに入り込んでいる。この発展の推進は、大半がコーティングおよび硬化プロセスの生産性向上の探求であり、従来の非光活性化接着剤および表面コーティングは、典型的には、1)硬化を生じさせるために接着剤および表面コーティングから溶剤を除去すること、ならびに2)製造プロセスの遅延とコストの増大につながる時間/温度硬化を必要とする。

さらに、接着剤および表面コーティングの用途における溶剤ベースの製品の使用は、エネルギーコストの上昇と大気中への溶剤放出に対する厳しい規制のため、次第に魅力を失ってきている。最適なエネルギー節減、さらには有益な生態的配慮は、両方とも、放射線硬化可能接着剤および表面コーティング組成物によってもたらされる。高いオーブン温度を不要にし、また高価な溶剤回収システムを不要にする放射線硬化可能ポリマー架橋システムが開発されている。これらのシステムでは、ありふれた光感作物質の存在下で光を照射することによってフリーラジカルの架橋が開始する。

しかし、接着剤および表面コーティング用途では、また上記の他の用途の多くにおいて、処理された媒質中への光の侵入深さのせいで、光活性化処理は制限される。例えば、の殺菌では、水溶媒中の細菌が紫外線に確実に暴露されるようにするために、紫外線光源が攪拌/かき混ぜ機構と結合されている。光活性化接着剤および表面コーティング処理における第1の制限は、硬化させるべき材料を、タイプ(波長またはスペクトル分布)と強度の両方において、光に直接暴露させなければならないという点である。接着剤および表面コーティング用途では、「陰影」領域は、二次的硬化機構を必要とし、その後の硬化が通らなければならないシールされたスキンが存在するため、これにより非陰影領域上の硬化時間が長くなり、硬化時間がさらに遅延する(つまり、繭効果と称される)。

米国仮出願第60/910,663号

米国非仮出願第11/935,655号

米国仮出願第61/035,559号

米国仮出願第61/030,437号

米国非仮出願第12/389,946号

米国仮出願第61/080,140号

米国特許出願公開第2007/0063154号

米国特許第6627923号

米国特許第7,008,559号

米国特許第6,087,141号

米国特許第5,118,422号

米国特許第4,675,346号

米国特許第6,281,261号

米国特許第6,323,253号

米国特許第6,051,625号

米国特許第4,111,890号

米国特許第7,294,656号

米国特許第7,267,948号

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本発明は、以下のさまざまな実施形態において説明されているような従来技術の問題点および不利点を解決するものである。

一実施形態では、人工容器中に配設されている媒質中に変化を引き起こすための方法およびシステムが構成される。この方法は、(1)媒質に近接してプラズモニクス作用物質およびエネルギー変調作用物質のうちの少なくとも一方を配置し、(2)印加される開始エネルギー源から人工容器を通して開始エネルギーを媒質に印加する。印加された開始エネルギーは、プラズモニクス作用物質またはエネルギー変調作用物質と相互作用して、媒質の変化を直接的にまたは間接的に発生させる。このシステムは、エネルギー変調作用物質またはプラズモニクス作用物質を含む媒質を収納するように構成された人工容器を備える。このシステムは、人工容器を通じて開始エネルギーを媒質に印加しプラズモニクス作用物質およびエネルギー変調作用物質のうちの少なくとも一方を活性化するように構成された印加開始エネルギー源をさらに備える。

他の実施形態では、放射線硬化可能媒質を硬化させるための方法およびシステムが構成される。この方法は、未硬化の放射線硬化可能媒質およびプラズモニクス作用物質とエネルギー変調作用物質のうちの少なくとも一方を含む組成物全体にわたって印加エネルギーを印加する。印加された開始エネルギーは、プラズモニクス作用物質またはエネルギー変調作用物質と相互作用して、媒質中のポリマーの重合による媒質の直接的または間接的な硬化を引き起こす。システムは、開始エネルギーを組成物に印加するように構成された開始エネルギー源を備える。

本発明の前記概要および以下の詳細な説明は両方とも、例であり、本発明を制限するものではないことは理解されるであろう。

添付の図面に関連して考察を加えるときに以下の詳細な説明を参照することによってより理解が進むので、本発明および本発明の付随する利点の多くのさらに詳しい内容が容易に得られる。

メートル単位の例示的な電磁スペクトルを示す図である(1nmは10

−9メートルに等しい)。

光活性化可能作用物質の一覧表である。

開始エネルギー源が媒質の変化を引き起こすための自己充足媒質に向けられる本発明の一実施形態によるシステムを示す略図である。

開始エネルギー源が媒質内に放出されたエネルギー変調作用物質を有する媒質を入れた容器に向けられる本発明の他の実施形態によるシステムを示す略図である。

開始エネルギー源が媒質内で分離されたエネルギー変調作用物質を有する媒質を入れた容器に向けられる本発明の他の実施形態によるシステムを示す略図である。

開始エネルギー源が流動床構成において媒質内で分離されたエネルギー変調作用物質を有する媒質を入れた容器に向けられる本発明の他の実施形態によるシステムを示す略図である。

本発明のさまざまな実施形態を実装するための例示的なコンピュータシステムを示す図である。

異なる励起波長におけるプラズモンナノ構造およびその理論的電磁増強を示す図である。

本発明において有用なプラズモニクス光活性プローブの実施形態を示す図である。

本発明のプラズモニクス増強効果の図形による説明図である。

プラズモニクス活性ナノ構造の実施形態を示す図である。

光子放射によって切断されうるリンカーを伴うPEPSTプローブのいくつかの実施形態の図である。

水和媒質中の「窓」を示す図である。

本発明のエネルギー変調作用物質(または励起エネルギーコンバータ/EEC)−光アクティベータ(PA)システムの一実施形態を示す図である。

プラズモニクス光活性エネルギー変調作用物質−PAプローブのいくつかの実施形態を示す図である。

XEOLを呈示する金錯体のさまざまな好ましい実施形態の構造を示す図である。

XEOLを呈示する金錯体のさまざまな好ましい実施形態の構造を示す図である。

XEOLを呈示する化合物の他の実施形態、つまり、トリス−8−ヒドロキシキノリン−アルミニウム錯体の構造を示す図である。

本発明の光活性エネルギー変調作用物質−PAプローブのプラズモニクス増強機構を示す図である。

脱離可能な結合を有するPEPSTエネルギー変調作用物質−PAシステムの実施形態を示す図である。

二重プラズモン励起用のPEPSTプローブの一実施形態を示す図である。

カプセル封入された光活性作用物質の使用のためのシーケンスを示す図である。

BaFBrマトリックス中にドープされたEuのXEOLを示すグラフである。

本発明のEIPプローブのさまざまな実施形態を示す図である。

本発明のEIPプローブの他の実施形態を示す図である。

EIPプローブの概略設計の他の実施形態を示す図である。

基本的なEPEPプローブのさまざまな実施形態を示す図である。

NP、NW、およびNRを有するEPEPプローブの一実施形態を示す図である。

NP、NW、NR、およびバイオレセプターを有するEPEPプローブの一実施形態を示す図である。

NPおよび複数のNWを有するEPEPプローブの一実施形態を示す図である。

本発明の殺菌システムの一実施形態を示す略図である。

プラズモニクスを使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

光活性物質を使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

光活性物質と誘電体媒質を使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

プラズモニクス機能を発揮する埋め込み金属ナノ粒子とともにX線エネルギーコンバータを使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

殺菌される媒質が中を流れるリエントラント構造上に組み込まれている埋め込み金属ナノ粒子を使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

殺菌される媒質が流れる容器の内側層上に含まれる図31の埋め込み金属ナノ粒子とともにX線エネルギーコンバータを使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

殺菌される媒質が中を流れるリエントラント壁構造上に組み込まれている埋め込み金属ナノ粒子を使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

殺菌される媒質が流れる容器の内側で化学レセプターを使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

殺菌される媒質が流れる容器の内側の一方層では埋め込み金属ナノ粒子を使用し、他方のより内側の層では化学レセプターを使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

殺菌される媒質が流れる容器の内側で光活性物質および化学レセプターを使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

殺菌される媒質が流れる容器の内側のプローブの表面上で光活性物質、埋め込み金属ナノ粒子と併用する誘電体層、および化学レセプターを使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

本発明の殺菌プローブシステムの一実施形態を示す略図である。

埋め込み金属ナノ粒子と併せて誘電体層を使用する本発明の殺菌プローブシステムの他の実施形態を示す略図である。

殺菌される媒質が流れる容器の内側のプローブの表面上でX線エネルギーコンバータと化学レセプターを使用する本発明の殺菌プローブシステムの他の実施形態を示す略図である。

殺菌される媒質が流れる容器の内側のプローブの表面上でX線エネルギーコンバータを使用し、さらには埋め込み金属ナノ粒子と併せて誘電体層を使用する本発明の殺菌プローブシステムの他の実施形態を示す略図である。

磁性コア物質を使用する本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す略図である。

本発明の異なるプラズモニクスプローブを示す図である。

本発明では、効果的で、特異的で、媒質への変化を生じさせることができる媒質の活性の変化を引き起こすための新規性のある方法を説明する。

一般に、本発明は、媒質の内側で放射光を発生させた後に媒質に変化を引き起こすための方法を提供する。この方法では、開始エネルギー源は、媒質内に所望の効果を生じさせるために媒質中に侵入し、内部放射線を誘導する開始エネルギーを供給する。

一実施形態では、開始エネルギー源は、媒質に対し直接的に、または間接的に印加される。本発明の文脈において、「間接的に印加される」という語句(英語では、「applied indirectly」という語句、および「applying indirectly」、「indirectly applies」、「indirectly applied」、「indirectly applying」などというこの語句の変更形態)は、開始エネルギーの印加を指し示す場合に、媒質の表面の下の媒質および媒質内の活性化可能作用物質またはエネルギー変調作用物質への開始エネルギーによる侵入を意味する。一実施形態では、開始エネルギーは、その後活性化可能作用物質を活性化するすでに供給されているエネルギー変調作用物質と相互作用する。

特定の理論によって束縛されること、または他の何らかの形で制限されることを意図していないけれども、科学的原理および定義の以下の理論的説明は、本発明を読者が理解し、評価するのを手助けするためになされている。

本明細書で使用されているように、「活性化可能作用物質」は、活性化シグナルが存在していない場合には通常不活性状態で存在する作用物質である。作用物質が、活性化条件の下で活性化シグナルによって活性化されると、その作用物質は、所望の薬理学的な、細胞に関わる、化学的な、電気的な、または力学的な効果を媒質中に引き起こすことができる(つまり、所定の変化)。例えば、光触媒作用物質が可視光または紫外線を照射されると、これらの作用物質は、感光性接着剤の重合および「硬化」を誘発する。

対応する作用物質を活性化するために使用できるシグナルとしては、限定はしないが、特定の波長(例えば、X線または可視光)の光子、電磁エネルギー(例えば、電波もしくはマイクロ波)、熱エネルギー、音響エネルギー、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。作用物質の活性化は、シグナルを作用物質に伝えるのと同じくらいに単純なものであるか、または一組の活性化条件をさらに必要とする場合もある。例えば、光感作物質などの活性化可能な作用物質は、UV−A放射線(例えば、媒質内部において生成されるUV−A放射線)によって活性化されうる。活性化されると、その活性状態にある作用物質は、次いで、所定の変化を引き起こす段階に直接進むことができる。

活性化が、他の条件をさらに必要とする場合、所定の変化を引き起こすためには活性化シグナルを送出するだけでは十分でない可能性がある。例えば、その活性状態にある特定の構造に結合することによってその効果を生じる光活性化合物は、活性化シグナルが送出されるときに標的構造に物理的に近接している必要がある場合がある。このような活性化可能な作用物質については、非活性化条件の下で活性化シグナルを送出しても、所望の効果が得られない。活性化条件のいくつかの例として、限定はしないが、温度、pH、場所、媒質の状態、および補因子の有無が挙げられる。

活性化可能作用物質の選択は、所望の変化、所望の活性化形態、さらには適用されうる物理的および生化学的制約条件などの多くの因子に大きく依存する。例示的な活性化可能作用物質として、限定はしないが、光エネルギー、電磁エネルギー、音響エネルギー、化学もしくは酵素反応、熱エネルギー、マイクロ波エネルギー、または他の好適な活性化機構によって活性化されうる作用物質が挙げられる。

活性化可能作用物質は、活性化されると、限定はしないが、生命体活性の増大、発酵、生命体活性の減少、アポトーシス、代謝経路の方向の切り替え、媒質の殺菌、媒質の架橋重合および硬化、または媒質の低温殺菌を含む変化を引き起こしうる。

活性化可能作用物質がその所望の効果を引き起こしうる機構は、特に限定されない。このような機構は、所定の標的に対する直接作用だけでなく、生化学的経路への変更による間接作用をも含むことができる。一実施形態では、活性化可能作用物質は、媒質中の生命体に化学的に結合することができる。この実施形態では、活性化可能作用物質は、エネルギー変調作用物質から放出される活性化エネルギーにその場で暴露され、次いで、これは開始エネルギー源からエネルギーを受け取る。

好適な活性化可能作用物質としては、限定はしないが、光活性作用物質、音響活性作用物質、熱活性作用物質、および電波/マイクロ波作用物質が挙げられる。活性化可能作用物質は、小分子、またはタンパク質、核酸、または脂質などの生体分子、または超分子集合体、またはナノ粒子、または活性化された後に所定の活性を引き起こすことが可能な他の分子的実体とすることができる。

活性化可能作用物質は、天然由来のもの、または合成由来のものとすることができる。好適活性化シグナル源によって活性化され、所定の細胞変化を引き起こしうるそのような分子的実体は、本発明において有利に使用することができる。

このような光活性作用物質としては、限定はしないが、ソラレンおよびソラレン誘導体、ピレンオレイン酸コレステリル、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16−ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属錯体、デクリコブレオマイシンの遷移金属錯体、有機白金錯体、7,8−ジメチル−10−リビチルイソアロキサジン(リボフラビン)、7,8,10−トリメチルイソアロキサジン(ルミフラビン)、7,8−ジメチルアロキサジン(ルミクロム)、イソアロキサジン−アデニンジヌクレオチド(フラビンアデニンジヌクレオチド[FAD])、アロキサジンモノヌクレオチド(フラビンモノヌクレオチド[FMN]およびリボフラビン−5−ホスフェートとも称される)などのアロキサジン、ビタミンK群、ビタミンL、その代謝産物および前駆体、およびナフトキノン、ナフタレン、ナフトール、および平面分子配座を有するその誘導体、ポルフィリン、ニュートラルレッド、メチレンブルー、アクリジン、トルイジン、フラビン(塩酸アクリフラビン)、およびフェノチアジン誘導体などの染料、クマリン、キノロン、キノン、およびアントロキノン、テトラスルホン酸アルミニウム(111)フタロシアニン、ヘマトポルフィリン、およびフタロシアニン、ならびにタンパク質への影響をほとんど、またはまったくなしに核酸に選択的に吸着する化合物が挙げられる。「アロキサジン」という用語は、イソアロキサジンを含む。

内因性誘導体は、誘導体を形成する光感作物質の下級(1から5個の炭素)アルキルもしくはハロゲン置換体を有するか、または有しない場合がある、また機能および実質的無毒性を維持する、合成由来の類縁体および内因性光活性化分子の同族体を含む。内因性分子は、本質的に無毒であり、光照射の後に有毒な光分解生成物を生成することがない。

図1は、メートル単位の例示的な電磁スペクトルを示す(1nmは1ナノメートルに等しい)。本明細書で使用されているように、「エネルギー変調作用物質」は、エネルギー源からエネルギー入力を受け取り、異なるエネルギーを受け取り側標的に再放出することができる作用物質を指す。分子間のエネルギー移動は、さまざま形で生じうる。エネルギーの形態は、本質的に、電子的、熱的、電磁的、動力学的、または化学的なものとしてよい。エネルギーは、一方の分子から他方の分子に移動されうるか(分子間移動)、または分子の一方の部分からその同じ分子の他方の部分に移動されうる(分子内移動)。例えば、変調作用物質は、電磁エネルギーを受け取り、そのエネルギーを熱エネルギーの形態で再放出することができる。

図2の表1は、一次または二次内部光源として使用されうる光活性化可能作用物質の一覧である。例えば、光活性化可能作用物質は、ナノ粒子からのX線誘導放出のレセプター(以下で説明する)とすることが可能であり、これは次いで二次光を放出する。いくつかの媒質において、表1の励起波長は、特定の媒質に対して透過的であり、放射波長は、吸収性が高い(例えば、分子または固体状態バンドギャップ遷移により)。これらの場合において、表1の光反応性作用物質は、一次内部発光源となる。

さまざまな実施形態において、エネルギー変調作用物質は、より高いエネルギー(例えば、X線)を受け取って、より低いエネルギー(例えば、UV−A)を放出する。いくつかの変調作用物質は、非常に短いエネルギー保持時間を有するが(fsのオーダー、例えば、蛍光分子)、他の変調作用物質は、非常に長い半減期を有する場合がある(数分から数時間のオーダー、例えば、ルミネッセンス発光またはリン光発光分子)。好適なエネルギー変調作用物質としては、限定はしないが、生体適合性蛍光発光金属ナノ粒子、蛍光発光色素分子、金ナノ粒子、ポリアミドアミンデンドリマーによってカプセル封入された水溶性量子ドット、ルシフェラーゼ、生体適合性リン光発光分子、複合電磁エネルギーハーベスター分子、および強いルミネッセンスを放射することができるランタニドキレートが挙げられる。典型的には、エネルギー変調作用物質は、媒質中に光反応性変化を誘発し、媒質をもっぱら加熱する目的には使用されない。

以下の実施形態において、さまざまな使用例について説明する。

変調作用物質は、標的を定めることを目的とする担体にさらに結合することができる。例えば、UV−A帯域の光を放出する蛍光発光金属ナノ粒子または蛍光発光色素分子などの生体適合性分子は、エネルギー変調作用物質として選択されうる。エネルギー変調作用物質は、好ましくは、媒質内への全身投与によって所望の部位に向けることができる。例えば、UV−A放出エネルギー変調作用物質は、物理的挿入および/または混合によって、あるいはUV−A放出エネルギー変調作用物質を脂質、キチンもしくはキチン誘導体、キレート、または媒質の特定の標的領域内にUV−A放出源を集中させることができる他の官能化担体などの特異的担体と共役結合することによって、媒質中に分散させることができる。

それに加えて、エネルギー変調作用物質は、エネルギー変調作用物質がエネルギーカスケードを形成するように、単独でまたは一連の2つまたはそれ以上のエネルギー変調作用物質として使用することができる。したがって、カスケード内の第1のエネルギー変調作用物質は、活性エネルギーを吸収して、それを異なるエネルギーに変換し、次いで、この異なるエネルギーは、カスケード内の第2のエネルギー変調によって吸収され、というように続き、カスケードの終わりに到達すると、カスケード内の最終エネルギー変調作用物質が活性化可能作用物質を活性化するために必要なエネルギーを放出する。あるいは、カスケード内の1つまたは複数のエネルギー変調作用物質が、追加の活性化可能作用物質を活性化することもできる。

活性化可能作用物質およびエネルギー変調作用物質は、異なり、分離していることも可能であるけれども、これら2つの作用物質は、独立の、分離した実体である必要はないことは理解されるであろう。実際、これら2つの作用物質は、多数の異なる構成を介して互いに会合しうる。これら2つの作用物質が、独立していて、互いから別々に移動可能である場合、これらは、一般的には、共通の周囲の媒質内の拡散と偶然の出会いを介して互いと相互作用する可能性がある。活性化可能作用物質およびエネルギー変調作用物質が、分離していない場合、これらを組み合わせて、1つの単一実体にすることができる。

開始エネルギー源は、活性化可能作用物質を直接的に活性化するのに十分なレベルのエネルギー、またはエネルギー変調作用物質に、活性化可能作用物質の活性化エネルギーを放出するために必要な入力を供給する(間接活性化)のに十分なレベルのエネルギーを供給することができるエネルギー源であればどのようなものであってもよい。好ましい開始エネルギー源としては、限定はしないが、UV−AおよびUV−Bランプなどの紫外線ランプ、ハロゲンランプ、光ファイバー線、光針、内視鏡、安定器内蔵形水銀ランプ、安定器付きHIDランプ、およびX線、Y線、ガンマ線、または電子ビームを発生することができる任意のデバイスなどが挙げられる。

一実施形態では、開始エネルギーは、媒質内に完全に侵入することができる。本発明の文脈において、「媒質内に完全に侵入することができる」という語句は、媒質内の活性化可能作用物質を活性化するために必要な距離だけ容器に侵入することができるエネルギーを指し示すために使用される。実際に印加されたエネルギーが媒質内を完全に通過することが必要ではなく、単に、活性化可能作用物質を活性化するために所望の距離だけ侵入させるためそうすることができる必要があるだけである。選択されたこのタイプのエネルギー源は、媒質それ自体に依存する。媒質内に完全に侵入することができる例示的な開始エネルギー源としては、限定はしないが、X線、ガンマ線、電子ビーム、マイクロ波、および電波が挙げられる。

一実施形態では、開始エネルギー源は、カリフォルニア大学バークリー校物理学部のK. Jensen、J. Weldon、H. Garcia、およびA. Zettlによって説明されているような電波放射ナノチューブとすることができる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれているhttp://socrates.berkeley.edu/〜argon/nanoradio/radio.htmlを参照のこと)。これらのナノチューブは、媒質に導入することができ、好ましくは、活性化可能作用物質またはエネルギー変調作用物質に、またはその両方に結合され、これにより、開始エネルギーを印加した後に、これらのナノチューブは、開始エネルギー(好ましくは電波)を受け入れ、次いで、活性化可能作用物質に近接近して、またはエネルギー変調作用物質に近接近して電波を放射し、次いで、活性化可能作用物質の活性化を引き起こす。このような一実施形態では、ナノチューブは、本質的に、活性化可能作用物質またはエネルギー変調作用物質に近接近している電波集束または増幅デバイスとして働く。

あるいは、エネルギー放射源は、移動作用物質による吸収または媒質のいくつかの成分との直接的相互作用に適した形態のエネルギーを放出するエネルギー変調作用物質とすることができる。例えば、開始エネルギー源は、音響エネルギーとすることができ、1つのエネルギー変調作用物質は、音響エネルギーを受け取って、光エネルギー(例えば、音ルミネッセンス分子)を放出し、これを、光エネルギーを受け取ることができる他のエネルギー変調作用物質が受け取ることができる。他の例は、X線波長のエネルギーを受け取り、UV波長、好ましくはUV−A波長のエネルギーを放出する移動作用物質を含む。上述のように、複数のこのようなエネルギー変調作用物質は、活性化可能作用物質を活性化するために一連のエネルギー変調作用物質を介して開始エネルギー源からエネルギーを移動するカスケードを形成するために使用されうる。

光活性化可能作用物質は、照射、共鳴エネルギー移動、励起子移動、電子入射、または化学反応などの機構を介したエネルギー源により刺激され、所定の望ましい変化を引き起こすことができる活性化エネルギー状態にされうる。利点の1つは、放出される放射線の波長が、1つまたは複数の光活性化可能作用物質または1つまたは複数の光活性化可能作用物質を刺激することができるエネルギー変調作用物質を選択的に刺激するために使用できるという点である。エネルギー変調作用物質は、媒質に対して変化をほとんど、またはまったく引き起こさない波長およびエネルギーで適宜刺激される。

他の実施形態では、光活性化可能作用物質は、共鳴エネルギー移動を介して刺激される。共鳴エネルギー移動(RET)は、重なり合う発光帯と吸収帯を有する2つの分子の間のエネルギー移動機構である。電磁放射体は、到来する波長をより長い波長に変換することができる。例えば、第1の分子によって吸収されるUV−Bエネルギーは、双極子間相互作用によってUV−B吸収分子に近接近しているUV−A放出分子に移動されうる。利点の1つは、放出される放射線の複数の波長が、1つまたは複数の光活性化可能作用物質または1つまたは複数の光活性化可能作用物質を刺激することができるエネルギー変調作用物質を選択的に刺激するために使用できるという点である。RETを使用する場合、エネルギー変調作用物質は、好ましくは、周囲の媒質にほとんどまたはまったく影響を及ぼさない波長およびエネルギーで刺激され、1つまたは複数のエネルギー変調作用物質からのエネルギーは、フェルスター共鳴エネルギー移動などによって、光活性化可能作用物質に移動される。

あるいは、移動分子の発光帯と重なる吸収帯を有する非放射分子にREFを与えるように、より短い波長を吸収する物質を選択することができる。あるいは、リン光発光、化学発光、または生体発光を使用して、エネルギーを光活性化可能分子に移動することができる。

あるいは、開始エネルギー源を媒質に印加することができる。本発明の文脈の範囲内において、開始エネルギー源の印加は、作用物質が媒質内の標的構造に到達できるような形で、それ自体開始エネルギーを発生する作用物質を施すことを意味する。このような印加は、任意の形態をとりうる。さらに、この実施形態における開始エネルギー源は、限定はしないが、錠剤、粉末、溶液、懸濁液、分散液、ガス、または蒸気などを含む、任意の形態とすることができる。この実施形態では、開始エネルギー源は、限定はしないが、化学エネルギー源、ナノエミッター、ナノチップ、および所望の周波数のエネルギーを生成し、放出する他のナノマシンを含む。

ナノテクノロジーにおける近年の進歩の成果は、EC Research and Development ProjectのDr. Keith Firmanによる分子スイッチ(またはMol−Switch)の研究、またはCornellら(1997)の研究などの、ナノスケールの、エネルギーを発生または放出するさまざまなデバイスの実例となっており、これは、サイズがわずか1.5nmのイオンチャネルスイッチをベースとするナノマシンの構成について記述しており、このナノマシンは、2つのグラミジシン分子によって人工膜内に形成されたイオンチャネルを使用し、一方のグラミジシン分子は金電極に取り付けられている膜の下側層内にあり、もう一方は抗体またはヌクレオチドなどの生体レセプターに繋留される上側層内にある。レセプターが、標的分子または細胞を捕捉すると、イオンチャネルが壊れ、その伝導率が下がり、生化学的シグナルが電気信号に変換される。これらのナノデバイスを本発明と結合して、標的細胞の標的設定を行い、開始エネルギー源を所望の部位に直接当てるようにすることも可能である。

他の実施形態では、本発明は、活性化可能作用物質を、化学発光、リン光発光、または生物発光などの化学エネルギーの供給源とともに適用することを含む。化学エネルギー源は、2つまたはそれ以上の化合物の間の化学反応であってもよいし、または媒質の外側で、または媒質の内側で、適切な活性化エネルギーを使用して化学発光、リン光発光、または生物発光化合物を活性化することによって誘導することができ、化学発光、リン光発光、または生物発光で媒質中の活性化可能作用物質を活性化させることができる。活性化可能作用物質の投与および化学エネルギー源の適用は、任意の順序で実行することができるか、または同時に実行することができる。

このような化学エネルギーのいくつかの供給源の場合、化学エネルギー源の適用は、媒質外の活性化の後に実行することができ、エネルギーの放出の寿命は例えばいくつかの種類のリン光発光物質については最大数時間となる。

分子が励起光を吸収すると、電子は、基底状態から励起された電子状態への遷移を受ける。電子励起エネルギーは、その後、放射放出(ルミネッセンス発光)および無放射性崩壊チャネルを介して緩和する。分子が励起エネルギーを吸収すると、これは、S0からマニホールドS1、...、Sn内の励起一重項状態Snのうちの1つのある振動準位まで高められる。凝集媒質(組織)内では、Sn状態の分子は、振動緩和(VR)プロセスを介して、10−13から10−11sまでの時間範囲内で、急速に非活性化し、これらの分子は、可能なSnの最低振動準位に確実に置かれる。VRプロセスは、電子遷移に比べて速いので、過剰な振動エネルギーは、分子が非活性化され、対応する励起電子状態の低い振動準位に移るにつれ急速に失われる。この過剰なVRエネルギーは、熱エネルギーとして周囲媒質に解放される。内部変換(IC)プロセスを介して、分子はSn状態から急速に非活性化して、Sn−1などの低い電子状態の等エネルギー振動準位に移る。ICプロセスは、同じ多重度の状態の間の遷移である。

分子は、その後、VRプロセスを介してSn−1の最低振動準位まで非活性化する。一連のICプロセスとその直後のVRプロセスとによって、分子は急速に非活性化して、基底状態Slに移る。このプロセスの結果、過剰なVRおよびICエネルギーが熱エネルギーとして周囲媒質に解放され、ひいては、光吸収薬物分子の周囲の局所環境の過熱を引き起こす。熱が発生する結果として、媒質に局所的変化が生じる。

さまざまな実施形態における光吸収化学種は、組織中の天然発色団またはインドシアニングリーン、ナフタロシアニン、および遷移金属と金属ナノ粒子と金属のナノシェルを配位したポルフィリンなどの外因性色素化合物を含むことができる。しかし、天然発色団には、吸収率が非常に低いという欠点がある。外因性光熱作用物質の選択は、その強い吸収断面と高効率の光熱変換に基づいてなされる。この特徴は、媒質中の局所変化を引き起こすのに必要なレーザーのエネルギー量を最小限に抑える。

色素分子を使用することに付随する問題の1つは、レーザー照射の下での光退色である。そこで、金ナノ粒子およびナノシェルなどのナノ粒子が、近年、使用されてきた。医学的応用におけるナノシェルの有望な役割は、[Hirsch、L.R.、Stafford、R.J.、Bankson、J.A.、Sershen、S.R.、Rivera、B.、Price、R.E.、Hazle、J. D.、Halas、N. J.、およびWest、J. L.、「Nanoshell−mediated near−infrared thermal therapy of tumors under magnetic resonance guidance.」PNAS、2003、100(23):13549〜13554頁]において実証されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。光熱療法に金属ナノ粒子のプラズモニクス増強光熱特性を利用することについても、検討されており(Xiaohua Huang & Prashant K. Jain & Ivan H. E1−Sayed & Mostafa A. El−Sayed、「Plasmonic photothermal therapy (PPTT) using gold nanoparticles」、Lasers in Medical Science、2007年8月)、その内容は参照によりその全体が明細書に組み込まれている。

さらに他の例では、1ナノメートルより長く、より好ましくは5ナノメートルより長く、なお一層好ましくは少なくとも10ナノメートルなどの比較的大きな距離にわたって共鳴エネルギー移動を行えるようにいくつかの原子のナノ粒子またはナノクラスタを導入することができる。機能的には、共鳴エネルギー移動は、十分に大きな「フェルスター」距離(R0)を有することができ、これにより、媒質の1部のナノ粒子は、媒質の遠い部分に配設される光活性化可能作用物質の活性化を、その距離がR0を大きく超えない限り、刺激することができる。例えば、近年、サイズが金原子5個分である金ナノスフェアは、紫外線領域内に発光帯を有することが示された。

光活性化可能作用物質は、媒質内に用意されている励起エネルギー源に暴露されうる。光活性作用物質は、レセプター部位に対し強い親和力を有する担体によってレセプター部位に向けることができる。本発明の文脈の範囲内において、「強い親和力」は、好ましくは、少なくともナノモルnM範囲またはそれ以上の平衡解離定数Kiを有する親和力である。担体は、ポリペプチドであってもよく、例えば、光活性作用物質との共有結合形成することができる。あるいは、光活性作用物質は、担体に結合することなく媒質中の標的分子に対する強い親和力を有することができる。

一実施形態では、電磁放射線エネルギーを供給するための、またはエネルギー移動のための複数の供給源が、媒質に供与される1つまたは複数の分子によって形成される。これらの分子は、光活性化可能作用物質を刺激する正しい波長帯の刺激放射線を放出することができるか、またはこれらの分子は、共鳴エネルギー移動または他の機構によってエネルギーを光活性化可能作用物質に直接的に移動するか、あるいは他の分子相互作用を介してカスケード効果により間接的に移動することができる。

他の実施形態では、UV−A帯域の光を放出する蛍光発光金属ナノ粒子または蛍光発光色素分子などの生体適合性発光源が選択される。UV−Aおよび他のUV帯域は、殺菌剤としての効果を有することが知られている。

一実施形態では、UV−A発光源は、ポリアミドアミンデンドリマーによってカプセル封入された水溶性量子ドットなどの金原子5個からなるクラスタを含む金ナノ粒子である。金原子クラスタは、例えば、金塩(例えば、HAuCl4またはAuBr3)または他のカプセル封入アミンのゆっくりとした還元を介して生成されうる。そのような金ナノ粒子の利点の1つは、フェルスター距離(つまり、R0)の増大であり、これは、100オングストロームより大きいものとしてよい。フェルスター距離を決定する式は、分子蛍光発光に対するものと実質的に異なり、これは、100オングストローム未満の距離で使用することに制限される。金ナノ粒子は、1/R6の距離依存関係ではなく1/R4距離依存関係を持つナノ粒子表面/双極子間の式によって決定されると考えられる。例えば、これにより、金属ナノ粒子と光活性化可能分子との間の細胞質核間エネルギー移動が可能になる。

他の実施形態では、UVまたは発光ルシフェラーゼが、光活性化可能作用物質を励起するための発光源として選択される。ルシフェラーゼを分子と組み合わせ、次いで、追加の分子とともに酸化処理することにより、所望の波長での発光を励起することができる。あるいは、リン光発光源も使用可能である。リン光発光物質は、蛍光発光物質に比べて長い緩和時間を有する場合があるが、それは、三重項状態の緩和が禁止エネルギー状態遷移を受け、より低いエネルギー状態に戻すのに利用可能な限られた数の量子力学的エネルギー移動プロセスとともに励起された三重項状態のエネルギーを保存するからである。エネルギー放出の時間は、数分の1秒から数時間程度、遅延されるか、または延長される。あるいは他の場合には、リン光発光緩和時に放出されるエネルギーは、蛍光発光とは他の形では異ならず、波長帯は、特定のリン光体を選ぶことによって選択されうる。

他の実施形態では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているJ. Am. Chem. Soc. 2005年、127、9760〜9768頁において開示されている複合光ハーベスターなどの複合電磁エネルギーハーベスター分子が設計される。分子構造内の蛍光分子団を組み合わせることによって、共鳴エネルギー移動カスケードを使用し、広帯域の電磁放射線を収穫することができ、その結果、狭帯域の蛍光エネルギーを放出する。複合エネルギーハーベスターを光活性化可能分子と対にすることによって、光活性化可能分子がすぐ近くの刺激複合エネルギーハーベスター分子である場合に、さらなる共鳴エネルギー移動が光活性化可能分子を励起する。ハーベスター分子の他の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている「Singlet−Singlet and Triplet−Triplet Energy Transfer in Bichromophoric Cyclic Peptides」、M.S. Thesis by M.O. Guler、Worcester Polytechnic Institute、2002年5月18日の図4において開示されている。

他の実施形態では、1つの発光源またはカスケードに配列された一連の発光源のストークスシフトは、X線などのより短い波長のエネルギーを媒質中の光活性化可能分子を刺激するために使用される光またはUV−Aなどのより長い波長の蛍光放射に変換するように選択される。

追加の一実施形態では、光活性化可能作用物質は、活性物質(細胞毒性が必要な場合には細胞毒性作用物質であるか、または活性化可能作用物質とすることができる)がフォトケージ内に納められているフォトケージ錯体とすることができる。さまざまな実施形態において、活性物質が細胞毒性作用物質である場合、フォトケージ分子は細胞毒性作用物質を媒質中に放出し、この細胞毒性作用物質が媒質中の有益でない「標的」種を攻撃することができる。活性物質は、特定の標的に結合するのを妨げる他の分子を入れてバルクアップし、そうすることで、その活性を遮蔽することができる。フォトケージ錯体が、光活性化されると、かさがはがれ落ちて、活性物質が露出する。このようなフォトケージ錯体では、フォトケージ分子が、光活性を有することができるか(つまり、光活性化されたときに、これらがフォトケージ錯体から解離させられて、中にある活性物質を露出する)、または活性物質が、光活性化可能作用物質であるものとすることができるか(光活性化されたときに、フォトケージがはがれ落ちる)、またはフォトケージと活性物質の両方が、同じもしくは異なる波長で光活性化される。好適なフォトケージとしては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているYoungおよびDeiters、「Photochemical Control of Biological Processes」、Org. Biomol. Chem.、5、999〜1005頁(2007年)および「Photochemical Hammerhead Ribozyme Activation」、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、16(10)、2658〜2661頁(2006年)において開示されているものが挙げられる。

研究の結果、細胞溶解、ひいては細胞死を引き起こすのに必要な一重項酸素の量は、0.32×10−3モル/リットル以上、もしくは109一重項酸素分子/細胞個数以上であることが示された。本発明の一実施形態では、活性化後に開始エネルギーまたは活性化可能作用物質によって生じる一重項酸素生成レベルは、媒質中に変化を引き起こすのに十分なものであり、この媒質から微生物がなくなる。微生物としては、限定はしないが、細菌、ウイルス、酵母菌、または真菌が挙げられる。このために、上述のような十分な量の一重項酸素は、媒質を殺菌するために使用することができる。

例えば、医療用ボトルキャップは、基部キャップ材料と医療用ボトルの基部と接触する接着シール材料との間で殺菌される必要がある。この目的に蒸気滅菌装置では不十分であるため、本発明の一実施形態では、シール材料がボトルキャップに塗布されるときに接着剤層に含まれるUVルミネッセンス発光粒子を使用する。次いで、X線照射が、接着剤を硬化し、直接殺菌のため接着性媒質内でUV放射線を発生させるか、または生物学的殺菌剤となる一重項酸素もしくはオゾンを発生させることができる。

活性化可能作用物質およびその誘導体、さらにはエネルギー変調作用物質を、特定の媒質に送るのに適した組成物中に組み込むことができる。この組成物は、潤滑剤または密封剤などの媒質に対して補完性効果を有する少なくとも1つの添加物を含むこともできる。

担体は、例えば、水、エタノール、多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール、および同様のもの)、およびこれらの適当な混合物を含む溶媒もしくは分散媒とすることができる。例えば、レシチンなどのコーティングを使用すること、分散媒の場合には必要な粒子サイズを維持すること、および界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。

図3Aを参照すると、本発明の一実施形態による例示的なシステムは、媒質4に向けられた開始エネルギー源1を有することができることがわかる。活性化可能作用物質2およびエネルギー変調作用物質3は、媒質4全体に分散される。開始エネルギー源1は、さらに、ネットワーク8を介して開始エネルギーの送達を方向付けることができるコンピュータシステム5に接続することができる。さまざまな実施形態において、エネルギー変調作用物質3は、シリカに包み込まれたエネルギー変調作用物質として図3Aに示されている、カプセル封入エネルギー変調作用物質6である。図3Aに示されているように、開始エネルギー源1からの放射線の形態の開始エネルギー7は、媒質4全体を透過した。コンピュータシステム5のさらに詳しい説明を、図4を参照しつつ以下に示す。以下でさらに詳しく説明するように、開始エネルギー源1は、外部エネルギー源、または少なくとも部分的に媒質4内に配置されているエネルギー源とすることができる。以下でさらに詳しく説明するように、活性化可能作用物質2および/またはエネルギー変調作用物質3は、印加エネルギーまたはエネルギー変調作用物質3から放出されるエネルギーを増強し、媒質の変化を直接的にまたは間接的に引き起こすプラズモニクス作用物質を含むことができる。

さまざまな実施形態において、開始エネルギー源1は、正確に較正された放射線ビームを事前選択された座標に送達する画像誘導コンピュータ制御機能を備えた線形加速装置であってもよい。このような線形加速装置の一例は、Varian医療用システム (カリフォルニア州パロ・アルト所在のVarian Medical Systems, Inc.社)からのSmartBeam(商標)IMRT(強度変調放射線治療)システムである。他の実施形態では、開始エネルギー源1は、X線機器または非医療用X線機器の市販のコンポーネントとすることができる。10から150keVのX線を発生するX線機器は、市場で容易に手に入る。例えば、General Electric DefiniumシリーズまたはSiemens MULTIXシリーズは、医療産業向けに設計された典型なX線機器のうちの2例にすぎないが、Smith Detection社のEagle Packシリーズは非医療用X線機器の一例である。そのようなものとして、本発明は、市販のX線機器と併用するときに所望の機能を実行することができる。

他の実施形態では、開始エネルギー源1は、媒質を透過し、中のエネルギー変調要素6との相互作用によって媒質中に二次放射エネルギー放出を誘発または発生させる周波数の電波またはマイクロ波発生源とすることができる。他の実施形態では、開始エネルギー源1は、媒質4を透過し、中のエネルギー変調要素6との相互作用によって媒質4中に二次放射エネルギー放出を誘発または発生させる周波数で放射する紫外線、可視光線、近赤外線(NIR)、または赤外線(IR)放射体とすることができる。

図3Bは、図3Aの開始エネルギー源1が流体媒質4(例えば、液体または他の流体状媒質)の付近に置かれ、容器9内に保持されるエネルギー変調要素6に向けられる本発明の他の実施形態による他のシステムを示す略図である。容器9は、放射線7に対して「透過的」である材料で作られる。例えば、プラスチック、石英、ガラス、またはアルミニウム製容器であれば、X線に対して十分に効果的であるが、プラスチックまたは石英またはガラス製容器であれば、マイクロ波もしくは無線周波数の光に対し透過的である。エネルギー変調要素6は、媒質全体にわたって一様に分散されうるか、または媒質の異なる部分に隔離されうるか、またはカプセル封入構造10によって媒質から物理的にさらに分離されうる。供給部11は、媒質4を容器9に供給する。

あるいは、図3Cに示されているように、ルミネッセンス発光粒子が、カプセル封入構造10内の媒質中に存在する可能性がある。一実施形態では、カプセル封入構造10は、外部開始エネルギー源1と一列になる配向に揃えられる。この構成において、カプセル封入構造10のそれぞれは、それ自体、カプセル封入構造10の他方によって塞がれることなく図3Cに示されている外部開始エネルギー源1の「見通し内」にある。他の実施形態では、カプセル封入構造10は、その方向にそのように揃えられないが、図3Cに示されている方向に対して垂直になるように揃えられるか、または無作為に配置することが可能である。実際、流体媒質4の供給は、それ自体、カプセル封入構造10を攪拌し、容器9内の流体媒質4を混合するために使用することが可能である。

図3Cのシステムは、エネルギー変調作用物質なしで使用することもできる。この実施形態では、開始エネルギー源1は、例えば、流体媒質4内の物理的、化学的、および/または生物学的プロセスに適したエネルギーのものとすることができる。カプセル封入構造10内に含まれるプラズモニクス作用物質は、媒質4と相互作用するときに開始エネルギー源1からの光を効果的に増幅する。本発明の一態様において、開始エネルギー源1は、多くの従来型のUV殺菌システムの場合と同様に紫外線源とすることができ、また図3Cのカプセル封入構造10は、外部発光源から紫外線を媒質4内の一領域に伝える光棒である。本発明の一態様では、開始エネルギー源1は、媒質の内側に均一に配設され、また多くの従来型のUV殺菌システムの場合と同様に紫外線源とすることができる。

図3Dは、開始エネルギー源が流動床20構成において媒質内で分離されたエネルギー変調作用物質を有する媒質を入れた容器に向けられる本発明の他の実施形態によるシステムを示す略図である。流動床20は、処理される流体がカプセル封入構造10の間に通される構成のカプセル封入構造10を含む。カプセル封入構造10は、本明細書で説明されているようにエネルギー変調作用物質とプラズモニクス作用物の両方を含むことができる。

本発明の他の実施形態では、エネルギー変調要素6を媒質4内に送達し、分散させることを目的として、または処置のため古い製品を取り除き、新しい製品をシステム内に導入することを目的として、図3A、3B、3C、および3Dのシステム内にロボット操作デバイスを備えることもできる。

本発明では、分子間のエネルギー移動は、さまざまな形で生じうる。エネルギーの形態は、本質的に、電子的、熱的、電磁的、動力学的、または化学的なものとしてよい。エネルギーは、投入開始エネルギーに比べて高いエネルギーをエネルギー変調作用物質から放出するように変調して高めることができるか、または投入開始エネルギーに比べて低いエネルギーをエネルギー変調作用物質から放出するように変調して下げることができる。エネルギーは、一方の分子から他方の分子に移動されうるか(分子間移動)、または分子の一方の部分からその同じ分子の他方の部分に移動されうる(分子内移動)。例えば、変調作用物質は、電磁エネルギーを受け取り、そのエネルギーを異なるエネルギーの形態で再放出することができる。さまざまな実施形態において、エネルギー変調作用物質は、より高いエネルギー(例えば、X線)を受け取って、より低いエネルギー(例えば、UV−A)を放出する。他の実施形態において、エネルギー変調作用物質は、より低いエネルギー(例えば、赤外線もしくは近赤外線)を受け取って、より高いエネルギー(例えば、可視光線もしくは紫外線)を放出する。エネルギー移動プロセスは、分子励起とも称される。いくつかの変調作用物質は、非常に短いエネルギー保持時間を有するが(fs−nsのオーダー、例えば、蛍光分子)、他の変調作用物質は、非常に長い半減期を有する場合がある(数秒から数時間のオーダー、例えば、ルミネッセンス発光無機分子またはリン光発光分子)。好適なエネルギー変調作用物質としては、限定はしないが、金属ナノ粒子または生体適合性金属ナノ粒子、生体適合性外層でコーティングされたまたはコーティングされていない金属、ルミネッセンス発光率がマイクロ波活性化によって増大する化学発光分子、蛍光発光色素分子、金ナノ粒子、ポリアミドアミンデンドリマーによってカプセル封入された水溶性量子ドット、ルシフェラーゼ、生体適合性リン光発光分子、生体適合性蛍光発光分子、生体適合性散乱分子、複合電磁エネルギーハーベスター分子、および強いルミネッセンスを放射することができるランタニドキレートが挙げられる。これらのさまざまな例示的な使用について説明する。

変調作用物質は、標的を定めることを目的とする担体にさらに結合することができる。例えば、UV−A帯域の光を放出する蛍光発光金属ナノ粒子または蛍光発光色素分子などの生体適合性分子は、エネルギー変調作用物質として選択されうる。

エネルギー変調作用物質は、好ましくは、エネルギー変調作用物質を活性化エネルギーに暴露される媒質中に事前に分配することによって所望の部位(例えば光触媒または光開始剤などの光活性物質に近接近する)に向けることができる。例えば、UV−A放出エネルギー変調作用物質は、物理的挿入によって、またはUV−A放出エネルギー変調作用物質を光活性化可能樹脂と共役結合することによって、2つの部分を接着してつなぎ合わせるために接合部内に集中させることができる。

それに加えて、エネルギー変調作用物質は、単独でまたは一連の2つまたはそれ以上のエネルギー変調作用物質として使用することができ、エネルギー変調作用物質はエネルギーカスケードを形成する。したがって、第1のエネルギー変調作用物質は、活性エネルギーを吸収して、それを異なるエネルギーに変換し、次いで、この異なるエネルギーは、カスケード内の第2のエネルギー変調によって吸収され、というように続き、カスケードの終わりに到達すると、カスケード内の最終エネルギー変調作用物質が媒質中の光活性化可能作用物質を活性化するために必要なエネルギーを放出する。

光活性化可能作用物質およびエネルギー変調作用物質は、異なり、分離していることも可能であるけれども、これら2つの作用物質は、独立の、分離した実体である必要はないことは理解されるであろう。実際、これら2つの作用物質は、多数の異なる構成を介して互いに会合しうる。これら2つの作用物質が、独立していて、互いから別々に移動可能である場合、これらは、一般的には、共通の周囲の媒質内の拡散と偶然の出会いを介して互いと相互作用する。光活性化可能作用物質およびエネルギー変調作用物質が、分離していない場合、これらを組み合わせて、1つの単一実体にすることができる。

開始エネルギー源は、活性化可能作用物質を直接的に活性化するのに十分なレベルのエネルギー、またはエネルギー変調作用物質に、活性化可能作用物質の活性化エネルギーを放出するために必要な入力を供給する(間接活性化)のに十分なレベルのエネルギーを供給することができるエネルギー源であればどのようなものであってもよい。好ましい開始エネルギー源としては、限定はしないが、UV−Aランプまたは光ファイバー線、光針、内視鏡、およびX線、ガンマ線、または電子ビームを発生する線形加速装置などが挙げられる。使用されるエネルギーは、限定はしないが、ガンマ線、X線、紫外線、近紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、マイクロ波、電波などを含む、任意のタイプのエネルギーとすることができる。好ましい一実施形態では、開始エネルギーは、被検体内に完全に侵入することができる。被検体内に完全に侵入することができる例示的な開始エネルギー源としては、限定はしないが、X線、ガンマ線、電子ビーム、マイクロ波、および電波が挙げられる。

プラズモニクスおよび増強電磁場の基本原理 プラズモニクス増強原理は、理論的には電磁場効果の増強機構に基づく。これらの理論は、本発明を例示するためにここで詳細に述べるが、実施形態をこの特定の理論に限定することを必ずしも意図していない。電磁増強の主要な発生源は2つあり、(1)1つは、レーザー電磁場が、金属粒子の分極によって引き起こされる場が加わることによって増強されるというものであり、(2)もう1つは、金属粒子をさらに分極し、それにより、ラマン/ルミネッセンス発光シグナルをさらに増幅するためのアンテナとして働く、増幅された放射(ルミネッセンス、ラマンなど)場を放射する分子による増強である。

電磁増強は、2つの主要なクラスに分けられ、これらは、a)放射線場の存在下でのみ生じる増強と、b)放射線場なしであっても生じる増強である。第1のクラスの増強は、いくつかのプロセスにさらに分けられる。表面プラズモンとも称される、基材表面上のプラズマ共鳴は、電磁増強に大きく関わる。プラズモニクス活性基材の効果的なタイプの1つは、ナノ構造を持つ金属粒子、突起部、または金属材料の粗面を含む。これらの表面を照射する入射光は、金属中の伝導電子を励起し、表面プラズモンの励起を誘発し、ラマン/ルミネッセンス発光を増強する。プラズモン周波数では、金属ナノ粒子(または他のナノ構造を有する粗面化構造)は、分極し、その結果、大きな電場誘起分極を生じ、したがって表面上に大きな局所電場が形成される。これらの局所電場は、分子における印加電場の平方に比例するルミネッセンス発光/ラマン発光強度を高める。

その結果、これらの表面上の検体分子に対し及ぼされる有効電磁場は、実際の印加電場に比べてかなり大きい。この場は、表面からの距離の1/r3に比例して減少する。したがって、電磁気的モデルでは、ルミネッセンス/ラマン活性検体分子は、金属表面と接触している必要はなく、この分子を分極させることができる、増強局所電場の範囲内であればどこにでも配置することができる。次いで、ラマンまたはルミネッセンスの波長λで発振する双極子が、金属ナノ構造を分極することができ、λが局在表面プラズモンと共鳴する場合には、これらのナノ構造は、観察される発光(ラマンまたはルミネッセンス)を増強することができる。

したがって、プラズモニクス活性金属ナノ粒子も、強く増強された可視光線および近赤外線の吸収を呈示し、これは従来型のレーザー光線療法剤に比べて数桁ほど強い。そこで、プラズモンナノ粒子を高増強光吸収剤として使用することは、内部発生光の効率的使用のための選択的な効率的戦略となる。

したがって、本発明では、以下のいくつかの重要な機構を使用する。 (A)結果として光開始剤または光触媒の光活性化を増強する、プラズモン金属ナノ粒子による励起光の吸収の増大。 (B)光開始剤または光触媒の励起を増大するより多くの光を発生する、より効率的なエネルギー変調作用物質システムとして使用されるプラズモン金属ナノ粒子による励起光の吸収の増大。 (C)プラズモン金属ナノ粒子上のまたはプラズモン金属ナノ粒子の近くにある媒質物質による励起光の吸収の増大。 (D)金属ナノ粒子上に、または金属ナノ粒子の近くで吸着されるエネルギー変調作用物質分子の光吸収の増大。 (E)金属ナノ粒子上に、または金属ナノ粒子の近くで吸着されるエネルギー変調作用物質分子からの発光の増幅。 (F)光開始剤または光触媒によるエネルギー変調作用物質から放出される発光の吸収の増大。

上述のように、金属ナノ構造上に、または金属ナノ構造の近くで吸着される分子からの発光(ラマンまたはルミネッセンス)の効率を増強することができるいくつかの現象のうちの1つである、ラマン散乱は、表面増強ラマン散乱(SERS)効果である。1984年に、SERSを分析技術として一般的に利用することが、本発明の発明者のうちの1人によって初めて報告され、内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれている[T. Vo−Dinh、M. Y. K. Hiromoto、G. M. BegunおよびR. L. Moody「Surface−enhanced Raman spectroscopy for trace organic analysis」、Anal. Chem.、第56巻、1667頁、1984年]において示されているいくつかの同素環式または複素環式多環芳香族化合物を含むさまざまな化学物質に対するSERS測定の可能性が報告された。1980年代半ば以降、広範な研究がSERSにおけるラマン増強の理解およびモデリングに注がれた。例えば、図5は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている[M. M. Kerker、Acc. Chem. Res.、17, 370(1984年)]に記載されている1984年にさかのぼる誘電体コアの周りの球状銀ナノ粒子および金属ナノシェルに対する電磁場増強をモデル化するKerkerによる初期研究を示している。この図は、異なる励起波長における孤立球状ナノスフェアおよびナノシェルに対する電磁増強の理論的計算の結果を示している。通常弱いラマン散乱プロセスの強度は、SERS基材上に吸着される化合物について1013倍または1015倍程度増大され、これにより、単分子検出が可能になる。電磁場増強がナノ構造を有する金属表面の近くに生じた結果として、ナノ粒子は、蛍光およびラマンナノプローブとしての用途が増えた。

理論的モデルは、ナノ粒子およびナノシェルのサイズを励起波長に同調させることが可能であることを示している。実験的証拠から、106から1015倍のラマン増強は主に2つの機構、a)「表面プラズモン」と称されることが多い、電磁共鳴によって引き起こされる大きな局所電場に関連する金属表面構造の近くで生じる電磁「光棒」効果と、b)分子と金属表面との間の直接エネルギー移動に関連する効果に由来することが示唆される。

古典的電磁場理論によれば、電磁場は、光が金属ナノ構造上に入射すると局所的に増幅されうる。これらの電場増強は、極めて大きくなる可能性がある(典型的には、106から107倍であるが、「ホットスポット」では最大1015倍の増強に達する)。ナノ構造を有する金属表面が、電磁場(例えば、レーザービーム)の照射を受けた場合、伝導帯内の電子は、入射光の周波数に等しい周波数で振動を開始する。これらの振動する電子は、「表面プラズモン」と称され、入射場に加わる二次電場を生成する。これらの振動する電子が、空間的に閉じ込められている場合、孤立金属ナノスフェアまたは粗面化された金属表面(ナノ構造)の場合のように、入射場への集団振動の共鳴応答がある固有周波数(プラズモン周波数)がある。この条件から、金属表面上の、または金属表面の近くの分子と相互作用することができる強い局在化された電場増強が得られる。「光棒」に類似の効果では、二次場は、典型的には、粗面化された金属表面上の高い曲率の点に最も集中する。

プラズモニクス増強構造の設計、加工、および操作 図6A〜6Gは、設計されうるプラズモニクス増強プローブ構造(PEPST)のさまざまな多数の実施形態を示している。 (A)金属(例えば、金)ナノ粒子に結合された光活性化可能(PA)分子。 (B)金属ナノ粒子で被覆された光活性化可能(PA)分子。 (C)PAナノキャップで被覆された金属ナノ粒子。 (D)金属ナノキャップで被覆されたPA含有ナノ粒子。 (E)PAナノシェルで被覆された金属ナノ粒子。 (F)金属ナノシェルで被覆されたPA含有ナノ粒子。 (G)保護コーティング層を有する金属ナノシェルで被覆されたPA含有ナノ粒子。 PEPSTの基本的な実施形態は、図6Aに示されている。このPEPSTは、金属(例えば、金)ナノ粒子に結合されたPA分子を含む。図7は、一次励起光源とエネルギー変調作用物質との相互作用を増強する、または媒質に変化をもたらす際の二次的に発生する光と媒質との相互作用を増強する本発明で使用されるようなプラズモニクス増強効果を示している。好適なエネルギーの放射を使用して、PEPST構造を励起し、次いで、例えば、近くにある光開始剤を活性化する。

例えば、HeNeレーザーの光(632.8nmの励起)を励起に使用することができる。この場合、金属ナノ粒子は、632.8nmを中心とする強いプラズモン共鳴帯を呈示するように設計される。表面プラズモン共鳴効果は、ナノ粒子における励起光を増幅し、その結果、光開始剤または光触媒の光活性化が増大し、また反応速度が改善される。さらに、殺菌用途では、この効果は、ナノ粒子の付近の媒質中の殺菌事象の可能性を高める。媒質中でHeNeレーザー光などの光が散乱し、吸収される可能性があるが、PEPST構造が存在すると、侵入光の相互作用が通常は有用と考えられる以上に増強される。プラズモニクス増強機構は、図6B、6C、6D、6E、6F、および6Gの他のPEPSTプローブとともに使用することもできる。

プラズモニクス活性金属ナノ構造の構造 プラズモン共鳴は、入射光場によって駆動される自由電子の集団振動から金属ナノ粒子内に生じる。ナノ粒子のプラズモン応答は、表面増強ラマン散乱(SERS)、化学センシング、薬物送達、光熱癌療法、および新しい光素子を含む、増え続ける多数の用途において役割を果たしてきた。SERS検出に対するプラズモニクスナノ基材の調査結果および応用は、20年間にわたって本発明の発明者らの1人によって使用されており、このことは参照によりその全体が本明細書に組み込まれている[T. Vo−Dinh、「Surface−Enhanced Raman Spectroscopy Using Metallic Nanostructures」、Trends in Anal. Chem.、17、557(1998年)]に記載されている。いくつかの同素環式および複素環式多環芳香族化合物を含むさまざまな化学物質の微量成分分析にSERS技術を使用する実用的分析法に関する本発明者らの1人による最初のレポートは、1984年であり、内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれている[T. Vo−Dinh、M. Y. K. Hiromoto、G. M. BegunおよびR. L. Moody「Surface−enhanced Raman spectroscopy for trace organic analysis」、Anal. Chem.、第56巻、1667頁、1984年]において示されている。それ以来、化学センシング、生物学的分析、および医療診断における用途向けにSERS技術の開発が進行中である。基材は、一方の側(ナノキャップまたは半シェル)において金属(銀など)でコーティングされたナノ粒子の層を有するナノ粒子および半ナノシェルを伴う。いくつかのグループが、球形シェルのプラズモン共鳴は、ナノシェル構造のシェル厚さおよびアスペクト比を制御することによって調節できることを示した[参照によりその全体が本明細書に組み込まれているM. M. Kerker、Acc. Chem. Res.、17、370(1984)、J. B. Jackson、S. L. Westcott、L. R. Hirsch、J. L. WestおよびN. H. Halas、「Controlling the surface enhanced Raman effect via the nanoshell geometry」、Appl. Phys. Lett.、第82巻、257〜259頁、2003年、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているS. J. NortonおよびT. Vo−Dinh、「Plasmonic Resonances of nanoshells of Spheroidal Shape」、IEEE Trans. Nanotechnology、6、627〜638頁(2007年)]。これらのシェルは、典型的には、誘電体コア上に金属層を有する。本発明の一実施形態では、これらのシェルは、回転楕円形シェルを含むが、それは、プラズモン共鳴(縦と横の両モード)がシェル厚さとアスペクト比の両方の影響を受けるからである。多くの研究者らが、表面増強ラマン散乱の分析において固体回転楕円形粒子のプラズモン応答を調査したが、回転楕円形シェルは調査されていないように思われる。本発明は、そのプラズモン共鳴においていくつかの興味深い定性的特徴を示す、扁長および扁球の回転楕円形シェルも含む。回転楕円形シェルは、シェル厚さとシェルアスペクト比を調節する、自由度2を有し、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている[S. J. NortonおよびT. Vo−Dinh、「Plasmonic Resonances of Nanoshells of Spheroidal Shape」、IEEE Trans. Nanotechnology、6、627〜638頁(2007年)]に示されている。

図7は、設計可能な、また本発明の好ましい実施形態である、プラズモニクス活性ナノ構造のさまざまな実施形態のうちのいくつかを示している。 (A)金属ナノ粒子。 (B)金属ナノキャップで被覆された誘電体ナノ粒子コア。 (C)誘電体回転楕円形コアを被覆する球状金属ナノシェル。 (D)誘電体回転楕円形コアを被覆する扁球金属ナノシェル。 (E)誘電体ナノシェルで被覆された金属ナノ粒子コア。 (F)保護コーティング層を有する金属ナノシェル。 (G)誘電体回転楕円形コアを被覆する多層金属ナノシェル。 (H)マルチナノ粒子構造。 (I)金属ナノキューブおよびナノトライアングル/ナノプリズム。 (J)金属シリンダー。

遠隔活性化光活性化可能分子を有するPEPSTプローブ 本発明の他の実施形態では、PA分子を、金属(金)ナノ粒子上にナノキャップを形成することができる物質(例えば、生体適合性ポリマー)中に組み込むことができる。この物質は、長時間連続的放出特性を有することができるゲルまたは生体適合性ポリマーとしてよい。好適なゲルまたは生体適合性ポリマーとしては、限定はしないが、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリカルポラクトン(PCL)、およびその共重合体をベースとするポリ(エステル)、さらにはPHB−PHVクラスのポリ(ヒドロキシアルカノエート)、追加のポリ(エステル)、天然ポリマー、とりわけ、修飾ポリ(サッカリド)、例えば、デンプン、セルロース、およびキトサン、ポリエチレンオキシド、ポリ(エーテル)(エステル)ブロック共重合体、およびエチレン酢酸ビニル共重合体が挙げられる。放出機構は、RF、MW、超音波、光子などの非侵襲的技術によっても誘発されうる(図8)。

図9は、光子放射によって切断可能なリンカーを介してPA分子が金属ナノ粒子に結合される他の可能な実施形態を示している。このようなリンカーとしては、限定はしないが、生化学的結合(図9A)、DNA結合(図9B)、または抗体抗原結合(図9C)が挙げられる。他の実施形態では、リンカーは、細胞内の化学的環境によって壊される化学的に不安定な結合である。さまざまな実施形態において、より小さな分子の場合に比べて金属ナノ粒子が標的とする部位に入り込むことは難しい場合がある。これらの実施形態では、放出可能なPA分子を有するPEPSTプローブを用意することが望ましい。

金属(銀または金などの)ナノ粒子(ナノスフェア、ナノロッドなど)の集塊は、多くの場合問題となり、特に、クエン酸塩をキャップした金ナノスフェア、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)をキャップした金ナノスフェア、およびナノロッドおよびナノシェルの場合に問題となるが、それは、塩イオンの凝集効果のせいで緩衝溶液中に分散させたときに安定性が低下するからである。ナノ粒子をポリエチレングリコール(PEG)でキャップすることによって(チオール官能化PEGと金属ナノ粒子との共役結合により)、生体適合性を改善し、ナノ粒子凝集を妨げることができる。

生体分子および金属ナノ粒子の固定化 担体への生体分子(PA分子、薬物、タンパク質、酵素、抗体、DNAなど)の固定化では、文献に公開されているさまざまな方法を使用することができる。例えば、図3Cおよび3Dのカプセル封入構造10は、PEPST構造が外側露出表面上に固定化されカプセル封入構造から出る光が媒質との相互作用で増強されるように本発明の一実施形態において修正することができる。さらに、一実施形態では、カプセル封入構造10は、エネルギー変調作用物質を含むことができない。むしろ、フラッシュランプまたはLEDアレイまたはレーザーまたは紫外線源などの外部光源から出る光が空のカプセル封入構造10を透過し、媒質中に伝搬することが可能である。結合は、天然に存在するかまたは生体分子構造中に組み込むことができるアミン(−NH2)または硫化物(−SH)などの反応基を利用する共有結合を通じて実行されうる。アミンは、高収量でカルボン酸またはエステル部分と反応し、安定したアミド結合を形成することができる。チオールは、マレイミドカップリングに関与し、安定したジアルキルスルフィドを生成することができる。

本発明で注目する1つの固体担体は、金属(好ましくは金または銀)ナノ粒子である。金または銀などの金属表面を伴う固定化技術の大半は、アルキルチオールによる表面の事前誘導体化を使用し、安定した結合を形成することができる。アルキルチオールは、マイクロモル濃度で銀表面上に自己組織化単分子層(SAM)を容易に形成する。アルキルチオール鎖の末端は、生体分子を結合するために使用できるか、または結合するように容易に修飾することができる。アルキルチオール鎖の長さは、重要なパラメータであることがわかっており、これにより、生体分子は表面から遠ざけられ、アルキル基の長さは炭素4から20個分が好ましい。

強い金チオール結合を形成することがすでに示されているチオール官能化生体分子を使用することによって金粒子との安定したオリゴヌクレオチド共役体を調製することに関係する多くの方法がある。5’−末端アルカンチオール官能基をアンカー基とするオリゴヌクレオチドは、金ナノ粒子の表面に結合することができ、結果として得られる標識は、高温と低温の両方の条件に曝されてもロバストで、安定していたが、これについては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている[R. Elghanian、J. J. Storhoff、R.C. Mucic、R. L. LetsingerおよびC. A. Mirkin、「Selective colorimetric detection of polynucleotides based on the distance−dependent optical properties of gold nanoparticles.」Science 277 (1997年)、1078〜1081頁]に説明されている。オリゴヌクレオチドを金表面に結合するために環状ジチアン−エピアンドロステロンジスルフィドリンカーが開発されたが、これについては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている[R. Elghanian、J.J. Storhoff、R.C. Mucic、R.L. LetsingerおよびC.A. Mirkin、「Selective colorimetric detection of polynucleotides based on the distance−dependent optical properties of gold nanoparticles.」Science 277 (1997年)、1078〜1081頁]に説明されている。Liらは、100nmの直径を有する金金属ナノ粒子を安定させつつ、非環式またはジチオール−オリゴヌクレオチド修飾粒子に匹敵するハイブリダイゼーション特性を維持することができるトリチオールをキャップしたオリゴヌクレオチドを報告しているが、これについては参照によりその全体が本明細書に組み込まれている[Z. Li、R.C. Jin、C.A. MirkinおよびR. L. Letsinger、「Multiple thiol−anchor capped DNA−gold nanoparticle conjugates.」Nucleic Acids Res. 30 (2002年)、1558〜1562頁]において説明されている。

一般に、銀ナノ粒子は、金粒子について開発された定評のある実験プロトコルを使用してアルキルチオール修飾オリゴヌクレオチドにより効果的に不動態化することはできない。銀のコアを有するコアシェル粒子および金の薄いシェルを生成する方法の1つでは、純金粒子オリゴヌクレオチド共役体を調製するために使用される実証ずみの方法を使用して銀ナノ粒子をアルキルチオールオリゴヌクレオチドで容易に官能化することができた。参照によりその全体が本明細書に組み込まれている[Y. W. Cao、R. JinおよびC.A. Mirkin、「DNA−modified core−shell Ag/Au nanoparticles.」J. Am. Chem. Soc. 123(2001年)、7961〜7962頁]を参照のこと。

銀表面は、アルキルチオールのエタノール溶液を希釈するために暴露されたときに制御された自己組織化動態を呈示することが判明している。表面と炭化水素末端とがなす傾斜度は、0から15°までの範囲である。また、金と比較すると、銀上の充填密度は大きいが、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている[Burges、J. D.、Hawkridge、F. M. Langmuir 1997年、13、3781〜6頁]に示されている。金/銀ナノ粒子上に自己組織化単層(SAM)が形成された後、アルキルチオールを生体分子に共有結合することができる。生体分子の共有結合固定化のための合成技術の大半は、ポリペプチド(酵素、抗体、抗原など)またはアミノ標識されたDNA鎖の遊離アミン基を使用して、カルボン酸部分と反応させ、アミド結合を形成する。

このような結合方式は、ナノ粒子を媒質中に制御可能なように分散させ送達する機構による応用例を有するだけでなく、上で詳述されているように、本発明のカプセル封入構造の形成に際して役割を果たしうる。

PEPSTに使用される光のスペクトル域 プラズモニクス増強効果は、好適なナノ構造、ナノスケール寸法、金属の種類が使用される場合に、電磁的領域全体にわたって生じうる。したがって、PEPSTの概念は、電磁スペクトル全体、つまり、ガンマ線およびX線から紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、および電波エネルギーまでの範囲のエネルギーに対して使用することができる。しかし、実用上の理由から、銀および金に対するプラズモン共鳴がそれぞれ可視光線領域およびNIR領域内で生じるので可視光線およびNIR光は銀および金のナノ粒子に使用される。特に金ナノ粒子の場合には、NIR領域は、例えば廃水の処理または高濃度の懸濁固形物を有する食品の殺菌などにおいて、他の方法では短い波長での光散乱が問題を引き起こす媒質にエネルギーを送達するのに非常に適している。

光子励起 媒質中の光活性化化合物を励起するために光を使用するいくつかの方法が本発明にはある。波長がいわゆる「窓」の範囲内にある光を使用することができる(処理される媒質を保持する容器に侵入するか、および/または媒質中を透過するように設計される)。さらに、本発明のいくつかの態様では、プラズモンに関する利点により、励起光が媒質中で公称的に非吸収性であることが好ましいが、本発明は、それでも、かなりの散乱および吸収がある媒質中において有用である。例えば、上述のUVの応用では、プラズモン増強PEPSTプローブを媒質中に導入し、紫外線を活性化源として使用することが可能である。表面近くの媒質の領域内では、PEPSTプローブは主要な役割を果たし得ないが、紫外線が減衰された表面奥深くの領域では、PEPSTプローブは、光開始剤または光触媒において重要な役割を果たす。

光が媒質中に侵入できるかどうかは、吸収と散乱によって決まる。水和媒質中では、窓は600から1300nmまで延在し、可視光スペクトルのオレンジ色/赤色領域からNIRまでである。短波長端では、DNAおよびアミノ酸トリプトファンおよびチロシンを含む、吸収生体分子が重要になってくる。窓の赤外線(IR)端では、侵入は水の吸収特性によって制限される。窓内では、散乱が吸収に勝る影響力を有し、したがって、伝搬光が拡散するが、必ずしも拡散限界内に入るわけではない。図10は、水和媒質に対する窓の図を示している。以下の節では、1光子および多光子技術の使用について説明する。

光励起法:単一光子および多光子励起 2つの方法、1光子励起と多光子励起を使用することができる。2光子技術が使用される場合、PA分子を700〜1000nmの光で励起することができ、この光は媒質中深奥部まで侵入し、350〜500nmのスペクトル領域において吸収する分子を励起する。このアプローチは、290〜350nmのスペクトル領域で吸収し、可視光領域において放出する化合物を励起することができる。1光子法では、光アクティベータ(PA)分子は、600〜1300nmの励起光を直接的に吸収することができる。この場合、異なる波長で吸収する能力を変えるように追加の芳香環または他の共役体を有するシステムを設計することができる。

X線励起 X線は、媒質中の化合物を非侵襲的に励起できるけれども、X線は、エネルギー変調が望まれる化合物の多くにおいて容易には吸収されない。本発明では、X線エネルギーを吸収することができ、そのエネルギーを使用可能な他のエネルギーに変えることができる分子システムを形成することによって、この問題を解決しようとする。より具体的には、本発明においてX線エネルギーを吸収し、変えることができる分子システムの一例は、ナノ粒子を含むPEPSTプローブである(上述のように)。

この実施形態では、本発明は、励起にX線を使用する。この利点は、X線が媒質中深奥部まで侵入することができるので分子を非侵襲的に励起することができる点である。本発明の一実施形態では、PA分子(例えば、光開始剤)は、X線と相互作用し、その後、PA分子によって吸収されうる放射光と相互作用することができる「エネルギー変調作用物質」と称される、分子的実体に結合される。(図11)

X線励起用のPEPSTプローブ 前の節では、プラズモニクス活性化システムとしての金ナノ粒子の利点が説明された。さらに、金ナノ粒子は、これらが生体適合性を有しX線造影剤の有望な候補であることが実証されているため好適なエネルギー変調作用物質システムでもあるが、これについては参照によりその全体が本明細書に組み込まれている[Hainfeldら、「The British Journal of radiology」79、248頁、2006年]において説明されている。癌放射線療法における線量増大に高Z物質を使用するという概念は、20年以上も前に進展した。金ナノ粒子を線量増大剤として使用することは、2つの大きな理由から、マイクロスフェアおよび他の材料を使用する以前の試みに比べて有望であるように思われる。第1に、金は、ヨウ素(I、Z=53)またはガドリニウム(Gd、Z=64)より高いZ数を有するが、齧歯類腫瘍細胞またはヒト腫瘍細胞のいずれかで少なくとも3重量%まで、毒性はほとんど示さない。金ナノ粒子は、マウスに対して無毒であり、大部分が腎臓を通して体内から排出された。小さな金ナノ粒子のこのような新規性のある使用を行っても、これらのナノ粒子の一部を偶然取り込んでいる可能性のある物質がヒトの消費に対して安全を損ねることはない。

図12は、エネルギー変調作用物質PAシステムのX線励起に好ましくは使用されうるPEPSTプローブのさまざまな実施形態を多数示している。これらのプローブは、以下のとおりである。 (A)エネルギー変調作用物質およびプラズモン金属ナノ粒子に結合されたPA分子。 (B)PA分子で被覆されたエネルギー変調作用物質ナノキャップを有するプラズモン金属ナノ粒子。 (C)プラズモン金属ナノ粒子を有するPA被覆ナノ粒子。 (D)PA分子およびプラズモン金属ナノキャップで被覆されたエネルギー変調作用物質含有ナノ粒子。 (E)PA分子で被覆されたエネルギー変調作用物質ナノシェルを有するプラズモン金属ナノ粒子。 (F)脱離可能生化学的結合によってエネルギー変調作用物質(プラズモン金属ナノ粒子に取り付けられている)ナノ粒子に結合されているPA分子。

エネルギー変調作用物質PAに基づくPEPSTシステムの例 簡素化するために、以下の説明は金属材料としての金およびエネルギー変調作用物質としてのCdSに重点を置く(これは、DNA安定化CdSとして使用することもできる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Maら、Langmuir、23 (26)、12783〜12787頁(2007年)を参照のこと)。しかし、金属材料、エネルギー変調作用物質、およびPA分子の他の多くの実施形態が本発明の範囲内で可能であり、また以下の説明は、例示することのみを目的としていることは理解されるであろう。

図12Aの実施形態では、PEPSTシステムは、金ナノ粒子、PA薬物分子(例えば、ソラレン)に結合されたエネルギー変調作用物質ナノ粒子(例えば、CdS)を含む。X線がCdSに照射され、CdSはX線を吸収し[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Huaら、Rev. Sci. Instrum.、73、1379頁、2002年]、金ナノ粒子によってプラズモニクス増強されるCdS XEOL光(波長350〜400nm)を放出する。この増強XEOL光は、PA分子を光活性化するために使用することができる。この場合、金ナノ粒子のナノ構造は、350〜400nmのXEOL光を増強するように設計されている。

図12Bの実施形態では、PEPSTシステムは、エネルギー変調作用物質ナノキャップ(CdS)がPA分子で被覆されているプラズモニクス活性金属(金)ナノ粒子を含む。X線がCdSに照射され、CdSはX線を吸収して、金ナノ粒子によってプラズモニクス増強されるXEOL光を放出する。この増強XEOL光は、PA分子を光活性化するために使用される。

図12Cの実施形態では、PEPSTシステムは、より小さなプラズモン金属(金)ナノ粒子を有するPA(例えば、ソラレン)被覆CdSナノ粒子を含む。X線がCdSに照射され、CdSはX線を吸収して、金ナノ粒子によってプラズモニクス増強されるXEOL光を放出する。この増強XEOL光は、PA分子を光活性化するために使用される。

図12Dの実施形態では、エネルギー変調作用物質コアは、金のナノキャップで被覆されたCdSまたはCsClナノ粒子を含む。X線がCdSまたはCsClに照射され、CdSまたはCsClはX線を吸収して[Jaegleら、J. Appl. Phys.、81、2406頁、1997年]、金ナノキャップ構造によってプラズモニクス増強されるXEOL光を放出する。この増強XEOL光は、PA分子を光活性化するために使用される。

同様に、図12Eの実施形態は、CdSまたはCsClのシェルによって被覆されている球状金コアを含む。X線がCdSまたはCsCl材料に照射され、CdSまたはCsCl材料はX線を吸収して[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Jaegleら、J. Appl. Phys.、81、2406頁、1997年]、金ナノスフェア構造によってプラズモニクス増強されるXEOL光を放出する。この増強XEOL光は、PA分子を光活性化するために使用される。

図12Fの実施形態では、PEPSTシステムは、金ナノ粒子、および放射線によって脱離されうる結合によってPA薬物分子(例えば、ソラレン)に結合されたエネルギー変調作用物質ナノ粒子(例えば、CdS)を含む。X線がCdSに照射され、CdSはX線を吸収して、金ナノ粒子によってプラズモニクス増強されるCdS XEOL光(波長350〜400nm)を放出する。この増強XEOL光は、ソラレン(PA分子)を光活性化するために使用される。この場合、金ナノ粒子のナノ構造は、350〜400nmのXEOL光を増強するように設計されている。

代替実施形態では、金属ナノ粒子または単一ナノシェルは、ナノシェルの複数の層で置き換えられる[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Kun Chen、Yang Liu、Guillermo Ameer、Vadim Backman、「Optimal design of structured nanospheres for ultrasharp light−scattering resonances as molecular imaging multilabels」、Journal of Biomedical Optics、10(2)、024005(2005年3月/4月)]。

他の代替実施形態では、金属ナノ粒子は、誘電体(例えば、シリカ)の層(1〜30nm)で被覆される。誘電体層(または、ナノシェル)は、金属がエネルギー変調作用物質分子と直接接触することでエネルギー変調作用物質(EECとも称される)分子によって放出されるルミネッセンス光の消光を防ぐように設計される。さらに他の代替実施形態では、エネルギー変調作用物質分子または材料は、スペーサー(リンカー)を介して金属ナノ粒子に結合される(または近接している)。スペーサーは、エネルギー変調作用物質分子または材料によって放出されるルミネッセンス光の消光を妨げるように設計される。

他の使用可能な材料 エネルギー変調作用物質材料は、X線を吸収し、光を放出して、PA分子を励起することができる任意の材料を含むことができる。エネルギー変調作用物質としては、限定はしないが、 金属(金、銀、など)、 量子ドット、 半導体材料、 シンチレーションおよびリン光物質、 X線励起ルミネッセンス(XEOL)を呈示する材料、 有機固体、金属錯体、無機固体、結晶、希土類材料(ランタニド)、ポリマー、シンチレータ、リン光材料など、 励起子特性を呈示する材料が挙げられる。

量子ドット、半導体ナノ構造。量子ドット、半導体材料などに関係するさまざまな材料を、エネルギー変調作用物質システムとして使用することができる。例えば、CdSに関係するナノ構造は、UV可視光線領域においてX線励起ルミネッセンスを呈示することが証明されている[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Huaら、Rev. Sci. Instrum.、73、1379頁、2002年]。

エネルギー変調作用物質システムとしてのシンチレータ材料。さまざまなシンチレータ材料は、X線を吸収し、ルミネッセンス発光を放射するのでエネルギー変調作用物質として使用することができ、これを使用してPAシステムを励起することができる。例えば、モリブデン酸塩の単結晶は、X線によって励起することができ、400nmを中心とするルミネッセンス発光を放射することができる[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Mirkhinら、Nuclear Instrum. Meth. In Physics Res. A、486、295(2002年)]。

エネルギー変調作用物質システムとしての固体材料。さまざまな固体材料が、そのX線励起ルミネッセンス発光特性によりエネルギー変調作用物質として使用することができる。例えば、CdS(またはCsCl)は、軟X線によって励起されたときにルミネッセンスを発光する[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Jaegleら、J. Appl. Phys.、81、2406頁、1997年]。

XEOL材料。ランタニドまたは希土類材料。参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、L. Soderholm、G. K. Liu、Mark R. Antonioc、F. W. Lytle、「X−ray excited optical luminescence .XEOL. detection of x−ray absorption fine structure」、.XAFZ、J. Chem. Phys、109、6745頁、1998年、または参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Masashi Ishiia、Yoshihito TanakaおよびTetsuya Ishikawa、Shuji KomuroおよびTakitaro Morikawa、Yoshinobu Aoyagi、「Site−selective x−ray absorption fine structure analysis of an optically active center in Er−doped semiconductor thin film using x−ray−excited optical luminescence」、Appl. Phys. Lett, 78、183、200を参照のこと。

エネルギー変調作用物質システムとして使用できるXEOLを呈示する金属錯体のいくつかの例が、図13および14に示されている。このような構造を金属原子を金属ナノ粒子で置き換えることによって修飾し、プラズモニクス増強PEPSTプローブを加工することができる。本発明では、ナノ構造のサイズ、形状、および金属の種類を含む実験パラメータは、励起放射(NIRまたはX線励起)、光活性化放射線(UVB)、および/またはエネルギー変調作用物質システム(可視光NIR)からの放出プロセスに基づいて選択することができる。

X線励起を使用するPEPSTプローブのプラズモニクス増強効果の原理 基本的なPEPSTプローブ実施形態の一実施形態は、エネルギー変調作用物質およびプラズモン金属(金)ナノ粒子に結合されたPA分子を含む。金属ナノ粒子は、2つの役割を持つことができる。 (A)X線電磁場の増強 (B)エネルギー変調作用物質システムの放出シグナルの増強

エネルギー変調作用物質システムを励起するために使用される、X線放射線は、プラズモン共鳴により、金属ナノ粒子によって増幅される。その結果、エネルギー変調作用物質システムは、PA分子を光活性化し、これらの分子に光活性を持たせるために使用されるより多くの発光を放射する。この場合、金属ナノ粒子は、X線波長またはX線波長の近くの波長の強いプラズモン共鳴帯を呈示するように設計される。表面プラズモン共鳴効果は、ナノ粒子における励起光を増幅し、その結果、PA薬物分子の光活性化が増大し、また治療効率が高まる。プラズモニクス増強機構は、上述の他のPEPSTプローブとともに使用することもできる。

図15は、PEPSTプローブのプラズモニクス増強効果を例示している。医療診断画像処理で使用されるX線は、約10から150keVまでの光子エネルギーを有し、これは、1.2から0.0083オングストロームまでの波長帯に相当する[λ(オングストローム)=12.4/E(keV)]。軟X線は、10nmに達することがある。プラズモニクス活性ナノ粒子の寸法は、通常、使用される放射線の波長以下のオーダーの寸法を有する。金の近似的原子半径は、約0.15ナノメートルであることに留意されたい。限界での金については、最小の「ナノ粒子」サイズは、0.14nm(わずか金原子1個分)である。数百nmのサイズを持つナノ粒子は、金原子約106〜107個分である。したがって、本発明で説明されている金原子の範囲は、金原子1〜107個分の範囲とすることができる。

金ナノ粒子は、PA分子を励起するために使用される、エネルギー変調作用物質放射シグナルも増強しうる。ソラレンの場合、このスペクトル範囲は、UVB領域内にある(320〜400nm)。銀または金ナノ粒子、ナノシェル、およびナノキャップは、この領域内で強いプラズモン共鳴を呈示するように加工された。図16は、ソラレン化合物(8−メトキシソラレン)の励起および発光蛍光スペクトルを示す。

二重プラズモニクス効果に対するナノ粒子鎖 前述のように、二重(または多重)プラズモニクス共鳴モードを有することができるナノ粒子システムを開発する必要がある。図17は、このような二重プラズモニクスベースの増強を呈示する可能性のある、異なるサイズを有し、互いに結合されている金属粒子の連鎖を有する本発明のPEPSTプローブの一実施形態を示している。例えば、より大きなナノ粒子(図17、左)のパラメータ(サイズ、金属の種類、構造など)は、NIR、VIS、または紫外線に合わせて調節することができるが、より小さな粒子(図17、右)は、X線に合わせて調節することができる。また、これらの粒子間にカップリング効果もある。

これらのナノ粒子連鎖は、使用される入射放射線(例えば、CdSのX線活性化)とPAを次いで活性化する放出される放射線のプラズモニクス増強の両方のプラズモニクス増強を行ううえで有用である。類似のナノ粒子システムがナノレンズとして使用されている[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている「Self−Similar Chain of Metal Nanospheres as an Efficient Nanolens」、Kuiru Li、Mark I. Stockman、およびDavid J. Bergman、Physical Review Letter、第91巻、第22号、227402−1、2003年]。

金ナノ粒子の加工:本発明では、8〜10nmの範囲の直径を有する金ナノ粒子の溶液を合成するために、Frens法[参照によりその全体が本明細書に組み込まれているFrens、G.、「Controlled nucleation for the regulation of the particle size in monodisperse gold solutions.」Nature (London) Phys Sci.、1973年. 241:20〜22頁]を使用することができる。簡単に言うと、5.0×10−6モルのHAuCl4を脱イオン水19ml中に溶解して、かすかに黄色がかった溶液を作るということである。この溶液を、45分間、ロータリーエバポレーター内で勢いよくかき混ぜながら加熱する。0.5%のクエン酸ナトリウム1mlを加えて、その溶液をさらに30分間かき混ぜる。溶液の色が、次第に、最初のかすかに黄色がかった色から透明色、灰色、紫色へと変化し、最終的にメルローワインに似た食欲をそそるワインレッドの色に変わった。使用されるクエン酸ナトリウムは、2つの機能に使用され、一方の機能は還元剤として作用し、もう一方の機能は金ナノ粒子上に吸着されて粒子を反発する表面電荷を導入し、ナノクラスタ形成を妨げるクエン酸塩の陰イオンを発生する。

NaBH4または3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)を還元剤として使用するウマ脾臓アポフェリチン(HSAF)による安定化を伴う金ナノ粒子を合成するための他の方法が報告されている[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Lei Zhang、Joe Swift、Christopher A. Butts、Vijay YerubandiおよびIvan J. Dmochowski、「Structure and activity of apoferritinstabilized gold nanoparticles」、Journal of Inorganic Biochemistry、第101巻、1719〜1729頁、2007年]。かご形状タンパク質アポフェリチンの空洞内に亜硫酸金(Au2S)ナノ粒子を調製した。アポフェリチンは、直径7nmの空洞を有し、加工されたAu2Sナノ粒子の直径は、この空洞とほぼ同じサイズであり、サイズ分散は小さかった。[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Keiko Yoshizawa、Kenji Iwahori、Kenji SugimotoおよびIchiro Yamashita、「Fabrication of Gold Sulfide Nanoparticles Using the Protein Cage of Apoferritin」、Chemistry Letters、第35巻(2006年)、第10号、1192頁]。したがって、一実施形態では、PAまたはエネルギー変調作用物質PA化合物は、アポフェリチンシェルの中にカプセル封入される。

固形物中の励起子 励起子は、多くの場合、固形物内の「準粒子」として定義される。半導体、分子結晶、および共役有機材料などの固形物中では、好適な波長(X線、UV、および可視光線など)の光励起により、価電子帯から伝導帯へ電子を励起することができる。クーロン相互作用を通じて、この新しく形成された伝導電子は、価電子帯内で後に残される正電気を帯びた孔に引き寄せられる。その結果、電子と正孔は一緒になって励起子と称される束縛状態を形成する。この中性結合錯体は、ボース粒子−ボース=アインシュタイン統計に従う整数スピンを持つ粒子であり、ボース粒子気体の温度がある値以下に下がったときに、多数のボース粒子が単一量子状態に「凝縮する」−として振る舞うことができる「準粒子」であり、これがボース=アインシュタイン凝縮(BEC)であることに留意されたい。励起子生成は、固形物のX線励起に関わっている。ワイドバンドギャップ材料は、シンチレータおよびリン光体の加工の際にX線を紫外線/可視光線の光子に変換するために使用されることが多い[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Martin Nikl、「Scintillation detectors for x−rays」、Meas. Sci. Technol. 17(2006年) R37−R54]。励起子の理論は、材料研究において、また半導体および他の材料の加工および応用においても、よく知られている。

初期変換時に、高エネルギーX線光子とシンチレータ材料の格子との多段階相互作用は、光電効果およびコンプトン散乱効果を通じて発生し、100keVの光子エネルギーより低いX線励起の場合には、光電効果が主要プロセスである。多数の励起子(つまり、電子−正孔対)が生成され、伝導帯(電子)と価電子帯(正孔)に熱的に分配される。この最初のプロセスは、1psより短い間に発生する。後続の輸送プロセスにおいて、励起子は材料中を通って移動し、そこで、欠陥のところで繰り返し捕獲が生じ、ひいては非発光性再結合などによりエネルギーが失われる。最終段階である、ルミネッセンス発光は、ルミネッセンス発光中心における電子−正孔対の連続捕獲とその発光性再結合である。電子−正孔対は、欠陥のところで捕獲され、再結合して、ルミネッセンス発光を生じることができる。ルミネッセンス発光ドーパントも、励起子のためのトラップとして使用することができる。

励起子トラップ 結晶ホストマトリックス中の不純物を使用して、励起子トラップを生成することができる。双極性ゲスト分子を持つ不純結晶では、電子が不純物分子の近傍に局在している場合に電子トラップ状態が生じうる。このようなトラップは、カルバゾールをドープしたアントラセンにおいて観察されている[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Kadshchuk、A. K.、Ostapenko、N. I.、Skryshevskii、Yu. A.、Sugakov、V. I.およびSusokolova、T. O.、Mol. Cryst. and Liq. Cryst.、201、167(1991年)]。これらのトラップの形成は、不純物の双極子モーメントと電荷担体との相互作用によるものである。ドーパント(または不純物)の濃度が高まると、スペクトルは、不純物分子のクラスタ上に担体が捕獲されることによりスペクトルの追加構造があることを示す。ときには、不純物およびドーパントは不要である。電子または励起子も、擾乱結晶分子の再配向された双曲モーメントとの静電気的相互作用によりこのような結晶内の構造欠陥上に捕獲されうる[S. V. Izvekov、V. I. Sugakov、「Exciton and Electron Traps on Structural Defects in Molecular Crystals with Dipolar Molecules」、Physica Scripta. 第T66巻、255〜257頁、1996年]。励起子トラップとして働く分子結晶中の構造欠陥を設計することができる。GaAs/AIGaAsナノ構造の開発およびナノ加工技術の使用によって、本発明で使用される材料中の新規性のある量子力学的特性を持つ励起子トラップの加工が可能になる。

EIPプローブの設計、加工、および操作 図18A〜Dは、設計されうるEIPプローブのさまざまな実施形態を示している。 (A)好適な波長(例えば、X線)の放射励起の下で励起子を生成することができるエネルギー変調作用物質粒子に(固定または脱離可能なものとしてよい、リンカーを通じて)結合されているPA分子を含むプローブ。この好ましい実施形態では、エネルギー変調作用物質材料は、励起子に対しトラップとして働く構造欠陥を有する。 (B)好適な波長(例えば、X線)の放射励起の下で励起子を生成することができるエネルギー変調作用物質粒子に(固定または脱離可能なものとしてよい、リンカーを通じて)結合されているPA分子を含むプローブ。この好ましい実施形態では、エネルギー変調作用物質材料は、励起子に対しトラップとして働く不純物またはドーパント分子を有する。

放出が調節可能なEIPプローブ 上の(B)において説明されているようなプローブは、PA分子を励起するために励起X線源から注目する波長へのエネルギー変換を調節する能力を備える。1976年に、D’Silvaらは、凍結n−アルカン固形物中にドープされた多核芳香族炭化水素(PAH)分子が、X線によって励起され、そのルミネッセンス発光スペクトルの可視光線波長特性でルミネッセンス発光を生じることが可能であることを実証した[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、A. P. D’Silva、G. J. Oestreich、およびV. A. Fassel、「X−ray excited optical luminescence of polynuclear aromatic hydrocarbons」、Anal. Chem.、1976年:48(6)、915〜917頁]。調節可能なEIPプローブは、ソラレンを活性化するのに適している300〜400nmの範囲内のルミネッセンス発光を呈示する高ルミネッセンス発光性のPAHなどのそのようなルミネッセンス発光ドーパントを含むように設計することができる。調節可能な放射を伴うEIPの一実施形態は、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、または300〜400nmの範囲のルミネッセンス発光(蛍光発光)を呈示する他の化合物固体マトリックス(半導体、ガラス、石英、共役ポリマーなど)を含む[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、T. Vo−Dinh、「Multicomponent analysis by synchronous luminescence spectrometry」、Anal. Chem.、1978年、50(3)、396〜401頁]。EECマトリックスは、半導体材料、好ましくは注目する可視光波長を透過する半導体材料とすることが可能である(励起および放射)。

希土類などの他のドーパント種も、ドーパントとして使用することができる。図19は、370〜420nmで発光する、BaFBrのマトリックス中にドープされたユウロピウムのX線励起光ルミネッセンス(XEOL)を示している。米国特許出願公開第2007/0063154号(参照により本明細書に組み込まれている)では、これらのナノ複合材料およびXEOLに適している他のナノ複合材料(およびそれらを作製する方法)が説明されている。

図20は、設計されうるEIPプローブのさまざまな実施形態を示している。 (A)好適な波長(例えば、X線)の放射励起の下で励起子を生成することができるエネルギー変調作用物質粒子の周りに結合されている、またはエネルギー変調作用物質粒子の周りのシェル内に埋め込まれているPA分子を含むプローブ。この実施形態では、エネルギー変調作用物質材料は、励起子に対しトラップとして働く構造欠陥を有する。 (A)好適な波長(例えば、X線)の放射励起の下で励起子を生成することができるエネルギー変調作用物質粒子の周りに結合されている、またはエネルギー変調作用物質粒子の周りのシェル内に埋め込まれているPA分子を含むプローブ。この実施形態では、エネルギー変調作用物質材料は、励起子に対しトラップとして働く不純物またはドーパント分子を有する。

光物理学における基本的重要概念は、強結合状態の混合物から新しい準粒子を形成することである。このような混合状態は、いずれの一次粒子も保有しないまれな特性を有することができる。励起子とプラズモンとの間のカップリングは、弱いか、または強いかのいずれかとしてよい。光物質相互作用が摂動とみなせない場合、システムは、強いカップリング領域にある。表面プラズモン(SP)モードと有機励起子との間の強いカップリングが発生することが示されており、使用される有機半導体は、銀フィルム上に堆積されたポリマーマトリックス中の高濃度シアニン色素であった[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、J. Bellessa、C. Bonnand、およびJ. C. Plenet、J. Mugnier、「Strong Coupling between Surface Plasmons and Excitons in an Organic Semiconductor」、Phys. Rev. Lett、93 (3)、036404−1、2004年を参照のこと]。他の研究では、半導体および金属ナノ粒子からなるハイブリッド錯体中の励起子の光物理学的特性を説明している。個別のナノ粒子間の相互作用によって、発光の増強または抑制が生じうる。発光の増強は、プラズモン共鳴によって増幅された電場によるものであるが、発光抑制は、半導体から金属ナノ粒子へのエネルギー移動の結果である。[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Alexander O. Govorov、Garnett W. Bryant、Wei Zhang、Timur Skeini、Jaebeom Lee、Nicholas A. Kotov、Joseph M Slocik、およびRajesh R. Naik、「Exciton−Plasmon Interaction and Hybrid Excitons in Semiconductor−Metal Nanoparticle Assemblies」、Nano Lett.、第6巻、第5号、984頁、2006年]。他の研究では、小口径(<1nm)の半導体単一壁カーボンナノチューブ(CN)における励起子状態と表面電磁モードとの相互作用に関する理論を説明している。[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、I. V. Bondarev、K. TaturおよびL. M. Woods、「Strong exciton−plasmon coupling in semiconducting carbon nanotube」]。

他の研究では、制御された厚さのSiO2シェルで囲まれた湿式化学成長銀ワイヤコアとそれに続く高ルミネッセンス発光性のCdSeナノ結晶の外殻とからなる複合金属絶縁体半導体ナノワイヤシステムの合成および光学特性について報告している[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Yuri Fedutik、Vasily Temnov、Ulrike Woggon、Elena Ustinovich、およびMikhail Artemyev、「Exciton−Plasmon Interaction in a Composite Metal−Insulator−Semiconductor Nanowire System」、J. Am. Chem. Soc.、129(48)、14939〜14945頁、2007年]。厚さ約15nmのSiO2スペーサーについては、CdSeナノ結晶の励起子発光による表面プラズモンの効率のよい励起が観察された。dが10nmよりも十分に小さい場合、発光は、減衰するミラーダイポールとの双極子間相互作用が支配的であることが予想されることと呼応して強く抑制される(PL消光)[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、G. W. FordおよびW. H. Weber、「Electromagnetic interactions of molecules with metal surfaces」、Phys. Rep. 113、195〜287頁(1984年)]。最大約10μmまでのナノワイヤ長では、複合金属絶縁体半導体ナワイヤ((Ag)SiO2)CdSeは、ナノワイヤ先端での光子アウトカップリングの効率が高い光周波数における1D表面プラズモンに対する導波路として働き、これは可視光スペクトル域においてサブミクロンスケールの効率的な励起子プラズモン光子変換および表面プラズモン誘導に関して有望である。

J凝集体で被覆されたAgナノ粒子のコロイド溶液に関する実験で、強散乱断面および表面プラズモンに付随する増強電場を使用して励起出力が非常に低いJ凝集体励起子から誘導放出を発生させる可能性が示された。[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Gregory A. Wurtz、Paul R. Evans、William Hendren、Ronald Atkinson、Wayne Dickson、Robert J. Pollard、およびAnatoly V. Zayats、「Molecular Plasmonics with Tunable Exciton−Plasmon Coupling Strength in J−Aggregate Hybridized Au Nanorod Assemblies」、Nano Lett.、第7巻、第5号、1297頁、2007年]。したがって、表面プラズモン励起へのそれらのカップリングは、低出力光学素子を作製するための特に魅力的なアプローチとなる。このプロセスは、光線療法向けの効率的なX線カップリングをもたらしうる。それに加えて、J凝集体とプラズモニクス構造とのカップリングは、混合プラズモン励起子状態の形成に対する真の基本的な関心を引き起こしている。

EPEPプローブの設計、加工、および操作 図21は、励起子プラズモンカップリングを示す本発明のEPEPプローブのさまざまな実施形態を示している。 (A)好適な波長(例えば、X線)の放射励起の下で励起子を生成することができるエネルギー変調作用物質粒子に(固定または脱離可能なものとしてよい、リンカーを通じて)結合されているPA分子またはPA分子団を含むプローブ。エネルギー変調作用物質粒子は、シリカ(または他の誘電体)のナノシェルで被覆されている金属ナノ粒子に結合されている(か、または近接している)。シリカ層(またはナノシェル)(図25Aおよび図25Bを参照のこと。エネルギー変調材料と金属ナノ構造との間の白色のナノシェル層)は、X線によって励起されるエネルギー変調作用物質粒子によって放出されるルミネッセンス光の消光を妨げるように設計されている。金属ナノ粒子(Au、Agなど)は、X線励起を増強するプラズモンを誘導し、その後、エネルギー変調作用物質の発光を増大し、最終的に、光活性化、つまり、光線療法の効率を高める。ナノ粒子の構造も、プラズモニクス効果がエネルギー変調作用物質の発光も増強するように設計されうる。これらのプロセスは、エネルギー変調作用物質材料中の励起子と金属ナノ粒子中のプラズモンとの間の強いカップリングによるものである。 (B)好適な波長(例えば、X線)の放射励起の下で励起子を生成することができるエネルギー変調作用物質粒子に(固定または脱離可能なものとしてよい、リンカーを通じて)結合されているPA分子またはPA分子団を含むプローブ。エネルギー変調作用物質粒子は、スペーサー(リンカー)を介して金属ナノ粒子に結合される(または近接している)。スペーサーは、X線によって励起されたエネルギー変調作用物質粒子によって放出されるルミネッセンス光の消光を妨げるように設計される。

図22は、本発明のEPEPプローブの他の実施形態を示している。 (A)好適な波長(例えば、X線)の放射励起の下で励起子を生成することができるエネルギー変調作用物質粒子に(固定または脱離可能なものとしてよい、リンカーを通じて)結合されているPA分子またはPA分子団を含むプローブ。エネルギー変調作用物質粒子は、金属(Au、Ag)の分離ナノ構造(ナノアイランド、ナノロッド、ナノキューブなど)の層で覆われる、シリカ(または他の誘電体)のナノシェルで被覆される。シリカ層(または他の誘電体)は、X線によって励起されたEEC(エネルギー変調作用物質とも称される)粒子によって放出されるルミネッセンス光の消光を妨げるように設計される。金属ナノ構造(Au、Agなど)は、X線励起を増強するプラズモンを誘導し、その後、EECの発光を増大し、最終的に、光活性化、つまり、光線療法の効率を高める。ナノ粒子の構造も、プラズモニクス効果がエネルギー変調作用物質の発光も増強するように設計されうる。これらのプロセスは、エネルギー変調作用物質材料中の励起子と金属ナノ構造中のプラズモンとの間の強いカップリングによるものである。 (B)好適な波長(例えば、X線)の放射励起の下で励起子を生成することができるエネルギー変調作用物質粒子に(固定または脱離可能なものとしてよい、リンカーを通じて)結合されている粒子中のPA分子団を含むプローブ。PAを含む粒子は、金属ナノ構造(Au、Ag)の層で被覆される。金属ナノ構造(Au、Agなど)は、エネルギー変調作用物質の発光を増強するプラズモンを誘導し、最終的に、光活性化、つまり、光線療法の効率を高める。 (C)好適な波長(例えば、X線)の放射励起の下で励起子を生成することができるエネルギー変調作用物質粒子に(固定または脱離可能なものとしてよい、リンカーを通じて)結合されているPA分子またはPA分子団を含むプローブ。エネルギー変調作用物質粒子は、金属ナノ構造(Au、Ag)の層で覆われる、シリカ(または他の誘電体)のナノシェルで被覆される。シリカ層(または他の誘電体)は、X線によって励起されたエネルギー変調作用物質粒子によって放出されるルミネッセンス光の消光を妨げるように設計される。金属ナノ構造(Au、Agなど)は、X線励起を増強するプラズモンを誘導し、その後、エネルギー変調作用物質の発光を増大し、最終的に、光活性化の効率を高める。それに加えて、PAを含む粒子は、金属ナノ構造(Au、Ag)の層で被覆される。金属ナノ構造(Au、Agなど)は、EECの発光を増強するプラズモンを誘導し、最終的に、光活性化の効率を高める。

ハイブリッドEPEPナノ超構造 EPEPプローブは、生物および非生物ナノスケール成分で構成されるハイブリッド自己組織化超構造も備えることができ、これは、光線療法で使用するための固有電子のスペクトル、表面特性、および光スペクトル特性を持つ多目的の分子構造を備えることができる。

生体ポリマーおよびナノ粒子を超構造内に組み込むことができ、これは、固有の機能性を備えるが、それは、無機ナノ材料の物理的特性およびポリマーの化学的柔軟性/特異性を利用することができるからである。注目すべきは、結合励起をもたらす励起子およびプラズモンなどのナノ材料中にふつうにある2種類の励起を組み合わせた複合システムである。金属、半導体ナノ粒子(NP)、ナノロッド(NR)、またはナノワイヤ(NW)を含む構成単位を備える分子構造は、光線療法の分野では基本的に重要な各種の光特性および増強相互作用を持つEPEPプローブを形成することができる。バイオセンシングにおいて、いくつかのNWナノ構造およびNPの集合体のいくつかの例が報告されている。CdTeナノワイヤ(NW)と金属ナノ粒子(NP)から作られるナノスケール超構造は、生物接合反応を介して調製される。D−ビオチンとストレプトアビジンの対などの原型的な生体分子を利用して、NPとNWを溶液中で接続した。Au NPは、CdTe NWの周りに高密度シェルを形成することがわかった。超構造は、半導体と貴金属ナノコロイドの長距離相互作用に関係するふつうでない光学的効果を示した。NWとNP錯体は、ルミネッセンス発光強度について5倍の増強を示し、また非共役NWと比べて発光ピークのブルーシフトを示した。[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Jaebeom Lee、Alexander O. Govorov、John Dulka、およびNicholas A. Kotov、「Bioconjugates of CdTe Nanowires and Au Nanoparticles: Plasmon−Exciton Interactions, Luminescence Enhancement, and Collective Effects.」Nano Lett.、第4巻、第12号、2323頁、2004年]。

図23は、NP、NW、およびNRの超構造を含む本発明のEPEPプローブのさまざまな実施形態を示している。 (A)好適な波長(例えば、X線)の放射励起の下で励起子を生成することができるエネルギー変調作用物質粒子に(固定または脱離可能なものとしてよい、リンカーを通じて)結合されているPA分子またはPA分子団を含むプローブ。エネルギー変調作用物質粒子は、シリカ(または他の誘電体)のナノシェルシリンダーで被覆されている金属ナノワイヤ(またはナノロッド)に結合されている(か、または近接している)。シリカナノシェルシリンダーは、X線によって励起されたエネルギー変調作用物質粒子によって放出されるルミネッセンス光の消光を妨げるように設計される。金属ナノ粒子(Au、Agなど)は、X線励起を増強するプラズモンを誘導し、その後、エネルギー変調作用物質の発光を増大し、最終的に、光活性化、つまり、光線療法の効率を高める。ナノ粒子の構造は、プラズモニクス効果および/または励起子−プラズモンカップリング(EPC)効果もエネルギー変調作用物質の発光を増強するようにも設計されうる。これらのプロセスは、エネルギー変調作用物質材料中の励起子と金属ナノ粒子中のプラズモンとの間の強いカップリングによるものである。 (B)好適な波長(例えば、X線)の放射励起の下で励起子を生成することができるエネルギー変調作用物質粒子に(固定または脱離可能なものとしてよい、リンカーを通じて)結合されているPA分子またはPA分子団を含むプローブ。エネルギー変調作用物質粒子は、スペーサー(リンカー)を介して金属ナノ粒子に結合される(または近接している)。スペーサーは、X線によって励起されたエネルギー変調作用物質粒子によって放出されるルミネッセンス光の消光を妨げるように設計される。上の(A)のと同じ効果。

図24および25は、NP、NW、およびNRの超構造ならびにバイオレセプター(抗体、DNA、表面細胞受容体など)を含む本発明のEPEPプローブの他の一組の実施形態を示している。腫瘍細胞を標的とするバイオレセプターの使用については、PEPSTプローブに関して上ですでに説明されている。この実施形態では、NWからの発光によって励起されるように、PA分子はNW軸にそって付着することに留意されたい。

図26は、複数のNWに結合されているNPの超構造を含む本発明のEPEPプローブの他の実施形態を示している。

いくつかの実施形態について、エネルギー変調作用物質システム内で励起子と特異的に相互作用するように設計されている金属ナノ構造を加えることによって、著しい改善がみられる。 (1)励起子から光子への変換の追加の放射経路が導入される。 (2)金属ナノ構造は、励起放射(例えば、X線)および/または発光放射(例えば、UVまたは可視光線)を(プラズモニクス効果により)増幅し、光活性(PA)分子を励起し、それにより、PA有効性を増大するように設計することができる。

本発明のEPEPプローブ実施形態において使用されうるさまざまな金属ナノ構造は、PEPSTプローブに関して図4に示されているものと同じである。

マイクロ共振器を備えるEPEPプローブ 一実施形態では、エネルギー変調作用物質システムは、ミクロンまたはサブミクロンサイズの微小共振器としても働くように設計されうる。以前の研究では、共鳴微小空洞共振器について説明しており、より具体的には、強い光−物質相互作用を発生する共鳴微小空洞共振器について説明している[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、M. Lipson、L. C. Kimerling、Lionel C、「Resonant microcavities」という表題の2000年に出願した米国特許第6627923号]。共鳴微小空洞共振器は、典型的には、シリコンなどの基材内に形成され、数ミクロンまたは数分の1ミクロンのオーダーの寸法を有する。共鳴微小空洞共振器は、光学活性物質(つまり、ルミネッセンス発光材料)および光学活性物質中に光を閉じ込める反射体を収納する。閉じ込められた光は、光学活性物質と相互作用して、光−物質相互作用を生じる。微小空洞共振器内の光−物質相互作用は、強い相互作用または弱い相互作用として特徴付けることができる。弱い相互作用は、物質中のエネルギー準位を変えないが、強い相互作用は、物質中のエネルギー準位を変える。強い光−物質相互作用の配置構成では、閉じ込められた光をこれらのエネルギー準位の遷移で共振させ、微小空洞共振器の特性を変えることができる。

実験方法 ナノ粒子(Ag、Au)の調製 EPEPまたはPEPSTプローブ用に金属ナノ粒子を調製する方法は多数ある。金および銀コロイドを調製するための手順は、電気爆発、電着、気相凝縮、電気化学的方法、および溶液相化学的方法を含む。直径2〜40nmの均質なサイズの球形コロイド状金集団を調製するための方法は、よく知られているけれども[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、N. R. Jana、L. GearheartおよびC.J. Murphy、「Seeding growth for size control of 5−40 nm diameter gold nanoparticles.」Langmuir 17 (2001年)、6782〜6786頁]、このサイズの粒子は市販されている。銀粒子(均質な光学的散乱特性を有する)または金粒子(サイズおよび形状の単分散性の制御が改善される)を調製するための効果的な化学的還元法は、銀または金層をさらに成長させるために小径の一様なサイズの金粒子を核生成中心として使用することに基づく。

広く使用されているアプローチは、金塩をクエン酸塩で還元して比較的狭いサイズ分布を有する12〜20nmのサイズの金粒子を形成することを伴う。より小さな金粒子を形成するために一般に使用される方法の1つは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Brust、M.、Walker、M.、Bethell、D.、Schiffrin、D. J.、Whyman、R. Chem. Commun. 1994年、801頁において説明されている。この方法は、1〜3nmの粒子を形成するためにアルカンチオール保護剤の存在下で金塩のホウ化水素還元を行うことに基づく。ナノ粒子サイズは、チオール濃度を変えることによって2から5nmまでの範囲内で制御することができる[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Hostetler、M.J.、Wingate、J. E.、Zhong、C. J、Harris.、J. E.、Vachet、R. W.、Clark、M. R.、Londono、J. D.、Green、S. J.、Stokes、J. J.. Wignall、G. D.、Glish、G. L.、Porter、M. D.、Evans、N. D.、Murray、R. W. Langmuir 1998年、14、17]。ホスフィン安定化金クラスタも形成され、その後、配位子交換によってチオールでキャップされたクラスタに変換されてその安定性を改善しており[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Schmid、G.、Pfeil、R.、Boese、R.、Bandrmann、F.、Meyer、S.、Calis、G. H. M.、van der Velden、J. W. A. Chem. Ber. 1981年、114、3634頁、Warner、M. G.、Reed、S. M.、Hutchison、J. E. Chem. Mater. 2000年、12、3316頁]、Brust法に似たプロトコルを使用してホスフィン安定化単分散金粒子が調製された[参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Weare、W. W.、Reed、S. M.、Warner、M. G.、Hutchison、J. E. J. Am. Chem. Soc. 2000年、122、12890頁]。なお、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Ziyi Zhong、Benoit Male、Keith B. Luong、John H.T.、「More Recent Progress in the Preparation of Au Nanostructures, Properties, and Applications」、Analytical Letters、2003年、第36巻、第15号、3097〜3118頁も参照のこと。

色素のナノシェルで被覆された金属のナノ粒子の加工 色素分子のナノシェルで被覆された金属ナノ粒子の加工は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Akito Masuhara、Satoshi Ohhashi、Hitoshi Kasai、Shuji Okada、「FABRICATION AND OPTICAL PROPERTIES OF NANOCOMPLEXES COMPOSED OF METAL NANOPARTICLES AND ORGANIC DYES」、Journal of Nonlinear Optical Physics & Materials、第13巻、第3 & 4号(2004年)587〜592頁において説明されている方法を使用して実行することができる。コアとしてのAgまたはAuおよびシェルとしての3−カルボキシメチル−5−[2−(3−オクタデシル−2−ベンゾセレナゾリニリデン)エチリデン]ロダニン(MCSe)または銅(II)フタロシアニン(CuPc)から構成されるナノ錯体が、共再沈殿法によって調製される。Ag−MCSeナノ錯体の場合、MCSeの0.5mMアセトン溶液を、NaBH4を使用するAgNO3の還元によって調製される、Agナノ粒子水分散10ml中に注入する。Au−MCSeナノ錯体も、同様の方法で加工される。クエン酸ナトリウムを使用するHAuCl4の還元によってAuナノ粒子の水分散を調製した。その後、2MのNH4OH (50μl)を加え、その混合物を50℃で熱処理した。このアミン処理では、多くの場合、MCSeのJ凝集形成を刺激する。6 Ag−CuPcおよびAu−CuPcナノ錯体も、同じようにして加工した。CuPcの1mM 1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)溶液(200μl)をAgまたはAuナノ粒子の水分散(10ml)中に注入した。

銀ナノ粒子の調製 標準のLee−Meisel法に従って銀(または金)コロイドを調製した、つまり、10−3MのAgNO3水溶液200mlを、勢いよくかき混ぜながら沸騰させ、次いで、35mMのクエン酸ナトリウム溶液5mlを加え、その結果得られる混合物を1時間の間沸騰状態に保った。この手順は、直径が約35〜50nmまで、吸収は390nmで最大の約1011粒子数/mLの均質なサイズのコロイド粒子を生成することが報告された。コロイド溶液を4℃で保管し、室内照明から保護した。蒸留水を使用して、コロイド溶液のさらなる希釈を行った。

金属ナノキャップの加工/調製 アプローチの1つは、所望の粗さを生み出して、制御するために、固相担体上にスピンコーティングされたナノスフェアの使用を伴っている。ナノ構造担体は、その後、表面プラズモン機構に必要な伝導電子を供与する銀の層で被覆される。固体基材に基づく技術のうち、テフロン(登録商標)またはラテックスナノスフェアなどの、単純なナノ材料を使用する方法は、調製するのが最も単純であるように見える。テフロン(登録商標)およびラテックスナノスフェアは、広範なサイズのものが市販されている。これらの材料の形状は、非常に規則正しい形状であり、そのサイズは、快適な増強となるように選択されうる。これらの材料は、ナノキャップと称される、半ナノシェルの銀生成システムでコーティングされた孤立誘電体ナノスフェア(直径30nm)を含む。

金ナノシェルの加工 Hirsch LR、Stafford RJ、Bankson JA、Sershen SR、Price RE、Hazle JD、Halas NJ、West JL (2003年)「Nanoshell−mediated near infrared thermal therapy of tumors under MR Guidance」Proc Natl Acad Sci 100:13549〜13554頁において説明されている方法を使用して、金ナノシェルを調製した。この方法では、核生成とその後のシリカ誘電体コアの周りの金ナノ粒子の連続成長を伴う機構を使用する。Frens法を使用して上述のように調製された、種である金ナノ粒子を使用して、金シェルを成長させた。ナノシェルのコアに使用されるシリカナノ粒子(100nm)を、1%のAPTESのEtOH溶液中に単分散させた。アミン基の分子連鎖を介して、Frens法を使用して合成した金の「種」コロイドをシリカナノ粒子の表面上に成長させた。「種」は、アミン化されたシリカナノ粒子表面を、不連続金金属層として最初に、被覆し、徐々に成長して連続的な金シェルを形成する。

商業用途 本明細書で説明されている本発明の以下の商業用途では、エネルギー変調作用物質3(例えば、ルミネッセンス発光粒子または光子放出体)が供給され、媒質4内に分配されて、媒質内の作用物質の不活性化または活性化を行い、媒質に物理的、化学的、または生物学的変化を引き起こす。一実施形態では、上で説明されているようなプラズモニクス作用物質が媒質に加えられる。プラズモニクス作用物質は、増強された開始エネルギーが活性化されたときに媒質に変化を引き起こす少なくとも1つの活性化可能作用物質を活性化するように印加開始エネルギーを増強するとともに、エネルギー変調作用物質によって変換される光を増強することができる。

ルミネッセンス発光粒子の例として、金粒子(例えば、上述の金のナノ粒子など)、BaFBr:Eu粒子、CdSe粒子、Y2O3:Eu3+粒子、および/または例えば、ZnS:Mn2+、ZnS:Mn2+,Yb3+,Y203:Eu3+、BaFBr:Tb3+、およびYF3:Tb3+などの他の知られている刺激されたルミネッセンス発光材料が挙げられる。

本明細書で説明されている本発明の一実施形態では、他の潜在的に有用なルミネッセンス発光粒子(またはエネルギー変調作用物質)は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Wangら「Electromagnetic excitation of nano−carbon in vacuum」、in OPTICS EXPRESS、第13巻、第10号、2005年5月10日において説明されているようなカーボンナノチューブを含む。このようなカーボンナノチューブは、マイクロ波照射を受けたときに可視光線中に黒体放射と離散線種放射の両方を示す。

本明細書で説明されている本発明の他の潜在的に有用なルミネッセンス発光粒子は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2006年9月23日インターネット上に公開されたAslanら、「Multicolor Microwave−Triggered Metal−Enhanced Chemiluminescence」、J. AM. CHEM. SOC.において説明されている化学発光反応/種を含む。これらの化学発光反応/種は、マイクロ波放射に暴露されたときに化学発光反応を増強する銀ナノ粒子とともに形成される。Aslanらは、市販のグロースティックからの化学発光種を使用したが、この場合、例えば過酸化水素がフェニルシュウ酸エステルを酸化してペルオキシ酸エステルとフェノールを生成する。不安定なペルオキシ酸エステルは、ペルオキシ化合物とフェノールに分解するが、このプロセスは発光に関わる電子的励起状態を化学的に誘発する。これらの化学発光種は、限られた寿命を有するが、硬化プロセスが1回限りのものであり、外部マイクロ波放射源が加速可視光線発生により硬化を加速する場合に、本明細書で説明されている本発明の硬化用途での使用はなおも可能である。

ルミネッセンス発光粒子のルミネッセンス発光波長および/または効率は、多くの場合、粒子のサイズに依存する。本明細書で説明されている本発明におけるナノメートルサイズ範囲の粒子サイズは、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2007/0063154号において説明されているように、多くの場合に強いルミネッセンス発光を呈示する。さらに、本明細書で説明されている本発明の一実施形態において、ルミネッセンス発光粒子は、ポリ(エチレングリコール)、ビタミンB12、またはDNAなどの分子錯体と結合することができ、ルミネッセンス発光粒子(特に、ナノ粒子)の凝固を軽減する働きをし、またルミネッセンス発光粒子を生体適合性にする働きをする。より具体的には、CdSeナノ結晶の合成の処方の1つは、米国特許出願公開第2007/0063154号からのものである。したがって、本明細書で説明されている本発明に適しているクエン酸塩安定化CdSeナノ結晶は、以下の手順に従って調製することができる。

水45mlに、クエン酸ナトリウム(Fluka)0.05gおよび4×10−2Mの過塩素酸カドミウム(Aldrich)2mlを加えた。pHを0.1MのNaOH(Alfa)で9.0に調整した。この溶液を窒素で10分間泡立てて、次いで、1×10−2MのN,N−ジメチルセレノ尿素(Alfa)2mlを加える。この混合物を、従来型の900ワット電子レンジで50秒間加熱する。この処方では、Cd:Seモル比は4:1であり、このため、CdSeナノ粒子の直径は約4.0nmとなり、Cd濃度を増大することによって、より小さなCdSeナノ粒子を合成することが可能である。

さらに、本明細書で説明されている本発明のルミネッセンス発光粒子は、例えば、ルミネッセンス発光粒子と媒質との間に化学的相互作用が生じる可能性を低減するシリカなどの絶縁体でコーティングすることができる。無機ナノ粒子の生物学的な応用では、主要な制限因子の1つがその有毒性である。一般に、すべての半導体ナノ粒子は多かれ少なかれ毒性を持つ。生物医学的応用のためには、毒性を極力下げたナノ粒子が望ましいか、さもなければ、ナノ粒子を媒質から隔てておく必要がある。純粋なTiO2、ZnO、およびFe2O3は、生体適合性を有する。CdTeおよびCdSeは毒性を有するが、ZnS、CaS、BaS、SrS、およびY2O3は毒性が低い。それに加えて、ナノ粒子の毒性は、TGAなどの無機安定剤、またはEu2+、Cr3+、またはNd3+などのドーパントからの結果とすることができる。最も生体適合性があると思われる他の好適なエネルギー変調作用物質は、硫化亜鉛、ZnS:Mn2+、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、ゼオライト中にカプセル封入された少量のAl2O3およびAglナノクラスタを含有する酸化亜鉛である。非医学的用途では、有毒性がそれほど重大な関心事とならない場合、ツリウムで活性化されたランタンおよびガドリニウムのオキシハロゲン化物、Er3+ドープBaTiO3ナノ粒子、Yb3+ドープCsMnCl3、およびRbMnCl3、BaFBr:Eu2+ナノ粒子、セシウムヨウ素、ゲルマン酸ビスマス、タングステン酸カドミウム、および二価EuでドープされたCsBr(さらには別のところに挙げてある材料)が適当であると考えられる。

本発明のさまざまな実施形態において、エネルギー変調作用物質としても好適なルミネッセンス発光ポリマーは、ポリ(フェニレンエチニレン)、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(ピリジルビニレン)、ポリ(ピロール)、ポリ(アセチレン)、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(フルオレン)、および同様のもの、さらにはそれらの共重合体および/または誘導体である。

本発明のエネルギー変調作用物質の多くは、ダウンコンバージョン作用物質であるが(つまり、より高いエネルギー励起がより低いエネルギー放出を発生する)、米国特許第7,008,559号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)では、767nmの励起が可視光域の発光を生じるZnSのアップコンバージョン性能を説明している。ZnSとともにEr3+ドープBaTiO3ナノ粒子およびYb3+ドープCsMnCl3を含む米国特許第7,008,559号で説明されている材料は、本発明のさまざまな実施形態において適している。

アップコンバージョンに指定されている他の材料は、CdTe、CdSe、ZnO、CdS、Y2O3、MgS、CaS、SrS、およびBaSを含む。このようなアップコンバージョン材料は、任意の半導体であってよく、より具体的には、限定はしないが、硫化物、テルル化物、セレン化合物、および酸化物半導体およびそのナノ粒子、例えば、Zn1−xMnxSy、Zn1−xMnxSey、Zn1−xMnxTey、Cd1−xMnSy、Cd1−xMnxSey、Cd1−xMnxTey、Pb1−xMnxSy、Pb1−xMnxSey、Pb1−xMnxTey、Mg1−xMnSy、Ca1−xMnxSy、Ba1−xMnxSy、およびSr1−xなど(ただし、0

1−zN

z)

1−xMn

xA

1−yB

y(M=Zn,Cd,Pb,Ca,Ba,Sr,Mg、N=Zn,Cd,Pb,Ca,Ba,Sr,Mg、A=S,Se,Te,O、B=S,Se,Te,O、0

0.4Cd

0.4Mn

0.2SおよびZn

0.9Mn

0.1S

0.8Se

0.2である。追加のコンバージョン材料としていくつかの例示的な化合物を挙げると、BaF

2、BaFBr、およびBaTiO

3などの絶縁および非導電性材料である。本発明に適している遷移および希土類イオン共ドープ半導体としては、硫化物、テルル化物、セレン化合物、および酸化物半導体およびそのナノ粒子、例えばZnS、Mn、Er、ZnSe、Mn,Er、MgS、Mn,Er、CaS、Mn,Er、ZnS、Mn,Yb、ZnSe、Mn,Yb、MgS、Mn,Yb、CaS、Mn,Ybなど、およびその複合化合物(M

1−zN

z)

1−x(Mn

qR

1−q)

xA

1−yB

y(M=Zn,Cd,Pb,Ca,Ba,Sr,Mg、N=Zn,Cd,Pb,Ca,Ba,Sr,Mg、A=S,Se,Te,O、B=S,...0

実際、ZnS:Tb3+,Er3+、ZnS:Tb3+、Y2O3:Tb3+、Y2O3:Tb3+,Er3+、ZnS:Mn2+、ZnS:Mn,Er3+などのいくつかのナノ粒子は、当技術分野では、2つの機能、つまり、ダウンコンバージョンルミネッセンス発光とアップコンバージョンルミネッセンス発光の両方の機能を果たす能力を有することが知られている。

有毒性を低減するか、またはこれらのナノ粒子を生体不活性または生体適合性にするために、本明細書で説明されている本発明の一実施形態では、これらのナノ粒子をシリカでコーティングする。シリカは、塗料から磁気流体、高品質の用紙コーティング材に至るまで、広範な産業用コロイド生成物におけるコーティング材料として使用される。さらに、シリカは、化学的にも生物学的にも不活性であり、また光学的に透明である。以下の処方で(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、M. A. Correa−Duarte、M. Giesig.およびL. M. Liz−Marzan、「Stabilization of CdS semiconductor nanoparticles against photodegradation by a silica coating procedure」、Chem. Phys. Lett.、1998年、286:497による)、本明細書で説明されている本発明に好適なクエン酸塩安定化CdTe:Mn2+/SiO2ナノ結晶をシリカコーティングにより調製することができる。

(1)CdTe:Mn2+ナノ粒子溶液(50ml)に、勢いよくかき混ぜながら3−(メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(MPS)の新しく調製した水溶液(0.5ml、1mM)(Sigma)を加える。MPSの機能は、ケイ酸塩イオンが粒子表面に接近する場所から溶液の方を指すシラン基を残しながらメルカプト基がCdTeの表面Cd部位に直接結合できるようにすることである。(2)勢いよくかき混ぜながらpH10.5のケイ酸ナトリウム(Alfa)溶液2mlを加える。(3)その結果得られる分散液(pH〜8.5)を5日間静置して、シリカがゆっくりと粒子表面上で重合するようにする。(4)分散液をエタノールに移して、過剰な溶解ケイ酸塩が沈殿し、シリカシェル厚さを増すようにする。

あるいは、図3Cおよび図3Dに示されているように、カプセル封入構造10内のルミネッセンス発光粒子を、媒質の近くに置くことも可能である。本明細書で説明されている本発明の一実施形態では、ルミネッセンス発光粒子が石英またはガラス管9の内側にコーティングされ、封止される。他の実施形態では、ルミネッセンス発光粒子は、球体またはチューブの表面にコーティングし、その後、(図3Cのように)容器の壁から延在するリエントラント構造の一部となりうる、または(図3Dのように)流動床構造の一部となりうるカプセル封入構造10を形成する上述の溶解プロセスの蒸着またはスパッタリングプロセスまたはスピンオンガラスプロセスを使用してシリカ(または他の好適な保護層)とともにカプセル封入することが可能である。他の実施形態では、プラズモニクス作用物質は、ガラス管9の外面に固定される。管に当てられ、外面へ散乱する外部光は、プラズモニクス作用物質のところで増強され、これにより、必ずしもエネルギー変調作用物質を使用しなくても媒質を効率よく処理することができる。

いずれかの構成において、処理される媒質は、カプセル封入構造10によって流れるか、またはカプセル封入構造6とともに流れ、カプセル封入構造6と10の間の分離距離は、媒質中のUV侵入深さより短い距離に設定される。

好適な光源(上述のX線源のうちの1つなど)を使用して、カプセル封入構造10内のルミネッセンス発光粒子を刺激することができる。本明細書で説明されている本発明の一実施形態では、媒質中のルミネッセンス発光粒子の濃度またはカプセル封入構造10の間の間隔は、ルミネッセンス発光粒子が媒質中で互いから媒質中へのUV侵入深さより短い距離だけ隔てられるように設定される。より高い濃度は、確かに有用であり、エネルギー源がすべてのルミネッセンス発光粒子を「発光させる」十分な強度を有している場合により高い紫外線束を発生する。

比較的曇りのない水媒体では、UV−B日射照度は、水試料中への0.2mから1mまでの間の侵入の後に1%減少するが、UV−Aは、数メートルのオーダーで侵入する。このような媒質では、ルミネッセンス発光粒子の濃度は、意図された紫外線束が媒質中の作用物質の活性化の不活性化を生じさせるのに要する時間によって決まることが多く、媒質それ自体が媒質全体にわたるUV刺激発光の侵入を妨げない場合にルミネッセンス発光粒子の濃度に基づいて設定する必要はない。媒質中の、また媒質の付近のルミネッセンス発光粒子の留置は、媒質の光学密度によって制限されない。

吸収されたX線のkeV毎のBaFBr:Eu2+から放出された平均5.2個の自然光子の公開されているデータ(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、M. Thoms、H. von Seggern、「Method for the determination of photostimulable defect center concentrations, production rates, and effective formation energies」、J. Appl. Phys. 1994年、75:4658〜4661頁)に基づくと、約50個の光子が吸収された50keVのX線毎にCdTeナノ粒子から放出される。

CdTe/BaFBr:Eu2+のX線スペクトルについての米国特許出願公開第2007/0063154号の結果に基づき、BaFBr:Eu2+リン光体0.2g中のL−システイン安定化CdTe粒子溶液0.8mlの濃度を使用してナノ複合材料を調製した。X線照射時間が長くなると、390nmのEu2+のX線ルミネッセンス発光強度は高くなる。この現象は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、W. Chen、S. P. Wang、S. Westcott、J. Zhang、A. G. Joly、およびD. E. McCready、「Structure and luminescence of BaFBr:Eu2+ and BaFBr:Eu2+, Tb3− phosphors and thin films」、J. Appl. Phys. 2005年、97:083506頁で説明されている。

したがって、本発明の一実施形態では、直径200nmの粒子に対し1cm3当たり約109個のナノ粒子の最低ベースライン濃度が、UV発光で媒質に変化を引き起こすのに十分であると予想される。本発明は、この濃度範囲に限定されないが、むしろ、この範囲は、説明のための例として与えられている。実際、濃度が高ければ、単位時間当たりのUV発光が増大し、反応も高速になり、一般に、生成物収量が問題となる場合の産業用とではより役立つものと考えられる。

流体の殺菌および低温殺菌 以下に示すTable 1(表1)は、殺菌作用による破壊に適した強度を示している。

したがって、(図3Bおよび3Cに関して上で説明されているように)本発明のエネルギー変調作用物質(またはルミネッセンス発光粒子)は、封止石英またはガラス管の内側に施されうるか、または球体またはチューブの表面上にコーティングして施され、シリカまたは保護層でカプセル封入されうる。プラズモニクス作用物質は、エネルギー変調作用物質とともに形成されうる。本明細書で説明されている本発明のいずれかの構成において、媒質は、カプセル封入構造6、10によって流れるようにすることが可能であり、カプセル封入構造または石英もしくはガラス管の間の分離距離はUV侵入深さより小さくされる。

例えば、波長が254nmの紫外線(UV)は、大半の種類の微生物を不活性化する傾向を有することが知られている。大半のジュースは、その中の高懸濁固形物のせいでUVに対し不透明であり、したがって、水処理のために通常使用される、従来のUV処理は、ジュースの処理には使用できない。プロセスを効率的にするために、ガラスで作製される薄膜反応装置が、薄膜として垂直ガラス管の内面にそって流れるジュースとともに使用されてきた。参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Tranら「Ultraviolet Treatment of Orange Juice」、published in Innovative Food Science & Emerging Technologies(第5巻、第4号、2004年12月、495〜502頁)を参照のこと。Tranらは、その中で、再構成オレンジジュース(OJ、10.5°ブリックス)に必要なD値(含量が1/10になるまでの時間)は、標準好気性生菌数(APC)および酵母およびカビについてそれぞれ87±7および119±17mJ/cm2であると報告した。その論文において、絞りたてオレンジジュースの貯蔵寿命は、UVの限られた照射線量(73.8mJ/cm2)で5日間に延長された。HPLCと滴定測定法の両方を使用してビタミンCの濃度に対するUVの効果を調べた。ビタミンCの分解は、通常熱殺菌で見られるのと同様の100mJ/cm2の高UV暴露の下で17%であった。ジュースの曇りなしの主原因である、酵素ペクチンメチルエステラーゼ(PME)活性も測定した。オレンジジュースのUV処理に必要なエネルギー(2.0kWh/m3)は、熱処理に必要なエネルギー(82kWh/m3)に比べてかなり小さかった。ジュースの色およびpHは、この処理の影響をあまり受けなかった。

本明細書で説明されている発明は、エネルギー変調作用物質をオレンジジュース(または他の流体媒質)中の石英またはガラス(カプセル封入構造8)などの固定具内に置き、例えばプラスチックまたはアルミニウム容器9を通してX線(または他の透過性放射線)を照射しオレンジジュース中のエネルギー変調作用物質3および6を活性化することができるという点でこのアプローチに勝る利点を有する。そのようなものとして、他の類似構造のガラスから作製された薄膜反応装置のコストの高さおよび壊れやすさが回避される。

オレンジジュースに関して説明されているが、食品、医療品、および化粧品を含む殺菌すべき他の媒質も、本明細書で説明されている本発明の技術を使用して処理することが可能である。

医療および医薬品の殺菌 上で指摘されているように、医療用ボトルキャップは、基部キャップ材料と医療用ボトルの基部と接触するシール材料との間で殺菌される必要がある。いったん接着されると、蒸気は接着剤継ぎ目に浸透できないため、蒸気滅菌装置はこの目的には不十分である。

従来、医療用ボトルキャップおよび外科用使い捨て品(例えば、外科用包帯、創傷被覆材、ゲージパッド、おむつ、配送キットなど)、金属製品(例えば、手術用刃物、インプラント、アルミニウムキャップ、容器など)、およびプラスチックおよびゴム製品(例えば、ペトリ皿、遠心分離管、血液採取セット、頭皮静脈セット、シャントバルブ、ゴム手袋、避妊具、ガウン、ラップカバー、シーツなど)などの他の医療品、医薬品、および化粧品を殺菌するために、ガンマ線照射が使用されてきた。本発明は、これらの製品および他の製品の「内側」表面の殺菌のために適用することが可能である。

本明細書で説明されている本発明の一実施形態では、UVルミネッセンス発光粒子は、シール材がボトルキャップに施されるときに接着剤層中に含まれる。次いで、X線照射が、接着剤を硬化することができ(例えば、接着剤が以下でさらに詳しく説明されるように感光性接着剤であった場合)、接着剤媒質中にUV放射線を発生させ、直接的に殺菌するか、または生物学的殺菌剤となる一重項酸素もしくはオゾンを発生させる。それに加えて、プラズモニクス作用物質を入れて、入射光または内部生成放射線の効果を増強することができる。

ここでは医療用ボトルキャップに関して示されているけれども、他の接着剤構成デバイスも、エネルギー変調作用物質3および6の活性化で接着剤媒質が硬化され、および/または殺菌されるこれらの手順を利用することが可能である。

血液製剤の殺菌 米国特許第6,087,141号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)では、輸血製剤の殺菌のための紫外線光活性化ソラレンプロセスについて説明している。ここでは、本発明を、例えば、輸血製剤中のAIDSおよびHIVまたは他のウイルスもしくは病原体の治療または中和のために図3Cおよび3Dに示されている機器において使用することができる。この実施形態では、少なくとも1つの光活性化可能作用物質が、ソラレン、ピレンオレイン酸コレステリル、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16−ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属錯体、デクリコブレオマイシンの遷移金属錯体、有機白金錯体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝産物、ビタミン前駆体、ナフトキノン、ナフタレン、ナフトール、および平面分子配座を有するその誘導体、ポルホリンポルフィリン、色素、およびフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、およびアントロキノンから選択される。これらの光活性化可能作用物質は、血液製剤(または患者の血流)中に導入される。侵入エネルギーが、血液製剤(または患者)に印加される。エネルギー変調作用物質(血液製剤またはカプセル封入構造10のいずれかに含まれる)は、血液製剤中の光活性化可能作用物質を活性化する紫外線などの二次光を発生する。

特定の一例において、光活性化可能作用物質は、ソラレン、クマリン、またはそれらの誘導体であり、上で説明されているように、血液製剤をインビボで(つまり、患者体内で)、または血液製剤(例えば、献血された血液など)の容器内で殺菌することができる。例えば、癌細胞、腫瘍細胞、自己免疫不全症候ウイルスなどの疾患を治療するために処理が施されうるか、またはソラレン、クマリン、またはそれらの誘導体によって血液感染性殺菌剤が処理される。

水解毒 規制放出限度を遵守するため、また生物学的処理において酸化されていない持続性化合物を酸化するために、光触媒作用が廃水の三次処理としてさらに使用されてきた。光触媒作用は、いくつかの汚染物質(例えば、アルカン、アルケン、フェノール、芳香族化合物、農薬)の排除に用いられており、大きな成功を収めている。多くの場合において、有機化合物の全無機化が観察されている。CdS、Fe2O3、ZnO、WO3、およびZnSなどのいくつかの光触媒が、研究されてきたが、最良の結果はTiO2 P25で得られている。これらの光触媒は、本明細書で説明されている発明に使用可能である。

石油精製所の廃水は、プロセスで使用される機器を洗浄する際に生じる水、望ましくない廃水、および下水である。これらの廃液は、溶液中の他の有機化合物に加えて、油脂含有量が高い。これらの汚染物質は、環境に重大な毒性危険をもたらしうる残留化学的酸素要求量(COD)をなす物質である。

廃水削減対策に光触媒作用を利用することができることは知られている。Cooperらの米国特許第5,118,422号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)では、酸化可能汚染要因化合物が混入している原料水を精製するための紫外線照射光触媒後処理技術について説明している。この研究では、原料水を約0.01から約1.0ミクロンまでの範囲の粒子サイズを有する、水の約0.01重量%から約0.2重量%までの量の光触媒半導体粒子(例えば、TiO2、ZnO、CdS、CdSe、SnO2、SrTiO3、WO3、Fe2O3、およびTa2O5粒子)と混合した。半導体混合物を含む水を酸化可能汚染要因物質の酸化を引き起こして水を浄化するのに十分な時間の間、バンドギャップ光子に暴露する。浄水を半導体粒子から分離するために交差流膜濾過が使用された。Cooperらは、再循環回分反応装置を使用すると、公称40PPMレベルの刺激された再生水の有機不純物炭素含有量が、10億分の1程度まで下がることを示した。

Cooperらは、光触媒プロセスの1つの重要な態様は、水中に分散された微粉が示す極端に大きな表面積上への有機分子の吸着であることを指摘した。Cooperらは、光電気化学的用途では、固相(金属酸化物半導体)が光活性も有し、生成される電荷担体が有機酸化に直接関与するという事実が利用されることもさらに示した。半導体粒子がバンドギャップ光子を吸着することで、電子(e)/正孔(h+)対が形成する。Cooperらは、伝導帯において生成される電子が溶液酸素を反応し、二原子酸素陰イオン(O2−)種を形成し、その後、これが、さらなる反応を受け、その結果、強力な酸化能力を有する水酸基種OHを生成することを説明している。これらの強力な酸化剤は、それだけで有機化合物を酸化することが知られている。そこで、Cooperらは、価電子帯内に生成される強く酸化する正孔は、すべての有機結合を酸化するのに十分なエネルギーを有することを説明している。

Cooperらの反応装置では、廃水汚染物質および光触媒チタニア粒子が紫外線に確実に暴露されるようにするために乱流が必要である。Cooperらは、光触媒光吸着およびそれと対流による混合との関係を考察することが最も基本的なことであると説明している。0.1wt%の光触媒充填では、実験の結果から、光の90%が0.08cm以内で吸収されることが示された。これは、主に、光触媒の大きなUV吸収係数によるものであり、したがって、光電気化学作用の大半は、この照射領域内で生じる。Cooperらの反応装置を4000のレイノルズ数(Re)で運転することによって、光活性領域のかなり部分は、十分に混合された乱流ゾーン内にあることが保証される。

Santosらは、「Photocatalysis as a tertiary treatment for petroleum refinery wastewaters」published in Braz. J. Chem. Eng.第23巻、第4号、2006年(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において、汚染物質の量を規制放出限度レベルまで十分に下げ、生物学的処理において酸化されていなかった持続的な化合物を酸化する石油精製廃水の三次処理用の光触媒作用を報告した。石油精製所(REDUC/PETROBRAS、ブラジルの石油精製所)で使用される処理順序として、石油/水の分離を行い、次いで生物学的処理を行う。生化学的酸素要求量(BOD)に関するプロセス効率は高いけれども、残留および持続性CODおよびフェノール含有量は残る。精油所の精製能力は、41,000m3/日であり、1,100m3/hの速さで廃水を生成し、廃水はグアナバラ湾(リオデジャネイロ)内に放出される。残留および持続性CODの処理は、依然として優先度が高い。

Santosらは、廃水60mLを入れた250mL開放反応装置内で行う第1の一組の実験を実施した。第2の一組の実験において、図1に示されているように、廃水550mLを入れたパレイックス(登録商標)環状反応装置を使用した(De PaoliおよびRodrigues、1978年)。磁気攪拌によって反応装置内の反応混合物を懸濁状態に保持した。すべての実験において、懸濁液中に空気を連続的に送り込んで泡立てた。250W Phillips HPL−N中圧水銀蒸気ランプ(外側ガラス球を取り外してある)を紫外線源として使用した(λ>254nmで108J・m−2・s−1の放射フラックス)。一組の実験において、ランプを液体の表面の上の固定された高さ(12cm)のところに配置した。第2の一組の実験では、ランプをウェル内に挿入した。Santosらによるすべての実験は、25±1℃で実施された。触媒濃度は、0.5から5.5gL−1までの範囲であり、初期pHは3.5から9までの範囲であった。

本明細書で説明されている発明において、ルミネッセンス発光粒子または他のエネルギー変調作用物質を廃水中の石英またはガラス固定具内に留置するか、または光触媒TiO2のように、照射時に廃水中に巻き込まれうる廃水中のシリカカプセル封入構造上に配置する。それに加えて、プラズモニクス作用物質を入れて、入射光または内部生成放射線の効果を増強することができる。

X線(または他の透過性放射線)を照射して例えばプラスチックまたはアルミニウム容器に通した後、ルミネッセンス発光粒子(つまり、エネルギー変調作用物質)が活性化すると、光触媒作用物質が近くに存在しているときに紫外線を発生する。本明細書で説明されている本発明について言い換えると、ルミネッセンス発光粒子または他のエネルギー変調作用物質は、廃水流体流中の光触媒半導体粒子とともに混合され、外部の活性化エネルギー源からの放射線が容器(例えば、プラスチックまたはアルミニウム容器)に侵入し、多量の廃水を照射し、廃水全体を通して紫外線を発生し、次いで、光触媒反応を推進する。一実施形態では、流体流に加えられる前に、プラズモニクス作用物質とルミネッセンス発光粒子または他のエネルギー変調作用物質との複合物質が形成される。

そのようなものとして、本明細書で説明されている本発明は、廃水用の高価な保持タンクが不要になること、十分な乱流を発生させるためにより高い圧力または流量で廃水をポンプでくみ上げなくてすむこと、および廃水全体を通して紫外線を発生させてそれにより廃水の高速なバルク処理を行えることを含む、上で説明されているものに勝る多数の利点を有する。

光刺激 光刺激は、物理的特性を改変または変化させるために光を当てる分野である。例えば、消費者および生物医学分野における生体分解性ポリマーの使用に対する注目が集まっている。ポリ乳酸(PLA)プラスチックおよびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)プラスチックは、これらの目的を達成するために重要な役割を果たしてきている。しかし、それらの表面が比較的疎水性であるため、さまざまな用途におけるそれらの使用が制限を受ける。したがって、これらの膜表面を表面修飾する必要がある。修飾可能な側鎖基を欠いているため、研究者らは、これらの生体ポリマーの表面修飾のために逐次的な2段階光グラフト重合技術を使用してきた。段階1で、ベンゾフェノンを膜表面上に光グラフト重合し、段階2で、アクリル酸およびアクリルアミドのような親水性モノマーを膜表面から光重合した。

研究者らは、UV照射で効果的なグラフト共重合を実現することが可能であることを発見した。エタノールにおけるUV支援光グラフト重合は、親水性ポリマー(例えば、ポリ(アクリル酸)およびポリアクリルアミド)をPLA、PHA、およびPLA/PHAブレンドフィルムの表面から成長させるために使用されている。その研究において、機能性ポリウレタン(PU)表面を、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリラート(DMAEM)を膜表面上に光グラフト重合することによって調製した。グラフト共重合を、光酸化と照射グラフト重合とを併用することによって実施した。PU膜を光酸化して、ヒドロペルオキシド基を表面上に導入し、次いで、すでにモノマー溶液中に浸漬されている膜に紫外線を照射した。その結果、本発明の前に、UV照射がグラフト共重合を効果的に実現できることが証明された。

本明細書で説明されている本発明において、これらのプロセスは、ルミネッセンス発光粒子または他のエネルギー変調作用物質を、光刺激に使用されている流体媒質中の分散液に入れることによって促進される。それに加えて、プラズモニクス作用物質を入れて、入射光または内部生成放射線の効果を増強することができる。一実施形態では、流体媒質に加えられる前に、プラズモニクス作用物質とルミネッセンス発光粒子または他のエネルギー変調作用物質との複合物質が形成される。

X線(または他の透過性放射線)を照射して例えばプラスチックまたはアルミニウム容器に通した後、ルミネッセンス発光粒子(つまり、エネルギー変調作用物質)が活性化すると、媒質の体積全体にわたって紫外線が発生し(シャドーイング効果がなくなる)、容器全体にわたってバッチまたはバルクタイプの処理を並行して実行できる。

他の例では、バルク媒質中の光の内部発生は、光と媒質中の活性化可能作用物質との直接的相互作用または分散されたエネルギー変調作用物質を使う本明細書に説明されている本発明において生物学的または化学的プロセスで材料のバットを加熱する制御され統一された手段が提供される熱の間接的発生のいずれかによって化学的または生物学的プロセスを刺激する働きをすることができる。

光不活性化 多くの産業プロセス、特に食品および飲料業界では、原料中の糖の転換など媒質中に変化を引き起こすために酵母が使用される。特に顕著な一例が、ワイン業界である。ワインがさらに発酵するのを停止すると、現在の甘味レベルが保たれる。同様に、ワインをさらに発酵させ続けても、日が過ぎる毎にワインの甘味は下がってゆくばかりである。最終的に、ワインは、完全に辛口になり、その時点で発酵は自ずと停止する。これは、発酵プロセスにおいて酵母が糖をアルコールに変えるからである。

発酵を停止させることを望むのは、それ自体問題ない。しかし残念なことに、発酵をすっかり止めてしまう実用的な方法は、まったくないのである。亜硫酸塩およびソルビン酸塩などの添加物を加えて、発酵製品を安定化し、さらに発酵するのを停止することはできる。そこで、多くのワイン生産者は、答えを求めて、亜硫酸水素ナトリウムまたはキャンプデンタブレットに見られるような亜硫酸塩に頼ることになる。しかし、これら2品は、活動を完全に停止することを保証するほど十分には酵母を確実に殺すことができない−少なくとも、ワインをなおも飲める状態に残す通常の投与量ではそうならない。

これらの原料のいずれかからの亜硫酸塩のバルクがワインから空気中に−亜硫酸塩がそうするように−散逸すると、もし十分な時間が与えられれば、残っているわずかな生酵母細胞が増殖を開始し、再び発酵し始めることになる。これは、通常、ワインが瓶詰めされ、貯蔵された後のような、最も不都合なときに発生する。

ソルビン酸カリウムは、ワインがそれ以上発酵するのを止めさせようとするときに多くのワイン生産者が考えるもう1つの材料である。この製品については多くの誤解がある。典型的には、ワインに甘味を加えるときに家庭向けワイン作りの本が求めるものである。これは、発酵がすでに完了して、瓶詰めできる状態にある状況である。ソルビン酸カリウムを、甘味用に加える糖とともに添加する。

ソルビン酸カリウムは、酵母が新たに加えられた糖を発酵させるのを停止する。したがって、多くのワイン生産者は、ソルビン酸カリウムが活発な発酵をも停止できると受け取っているが、ソルビン酸カリウムは、酵母をまったく殺しはせず、むしろ、酵母を不妊にするのである。言い換えると、酵母の生殖能力を損なう。しかし、酵母が糖を発酵させてアルコールにする能力を阻害することはしない。

紫外線は、酵母培地を破壊することが知られているが、紫外線は流体媒質全体に侵入できないため用途は限られている。熱を使用して酵母の活性を破壊することが可能であるが、産物の調理が早すぎる場合があるか、または濃度と味に望ましくない変化を引き起こす可能性がある。液体もしくは流体食品の場合、液体低温殺菌について上で説明されているのと同じ技術を本明細書で説明されている本発明に使用することが可能である。非液体製品の場合、毒性がほとんど、また好ましくはまったくないエネルギー変調作用物質(例えば、鉄酸化物またはチタン酸化物)を添加することが可能である。ここで、これらの添加物の濃度は、味が予想外に変化してしまうことによって制限される可能性がある。

ポリマーの光活性化架橋および硬化 この用途では、ルミネッセンス発光粒子(またはエネルギー変調作用物質)を用意して、媒質中の感光性作用物質を活性化させるために未硬化ポリマーベースの媒質中に分散させ、ポリマーベースの媒質の架橋および硬化を促進する。それに加えて、プラズモニクス作用物質を入れて、入射光または内部生成放射線の効果を増強することができる。一実施形態では、ポリマーに加えられる前に、プラズモニクス作用物質とルミネッセンス発光粒子または他のエネルギー変調作用物質との複合物質が形成される。

上述のように、接着剤および表面コーティング用途では、処理された媒質中への紫外線の侵入深さのせいで、光活性化処理は制限される。光活性化接着剤および表面コーティング処理における第1の制限は、硬化させるべき材料に、タイプ(波長またはスペクトル分布)と強度の両方において光を当てなければならないという点である。この制限は、1つの媒質が典型的には適切な光を透過しなければならないことを意味している。接着剤および表面コーティング用途では、「陰影」領域は、二次的硬化機構を必要とし、その後の硬化が通らなければならないシールされたスキンが存在するため、これにより非陰影領域上の硬化時間が長くなり、硬化時間がさらに遅延する。

従来、水分硬化機構、熱硬化機構、および光開始硬化機構を使用して、反応性シリコーン、ポリマー、および接着剤などの反応性組成物の硬化、つまり、架橋を開始する。これらの機構は、水分が特定の基を加水分解する縮合反応、または電磁放射線または熱などの形態のエネルギーによって開始されうる付加反応のいずれかに基づく。

本明細書で説明されている本発明では、以下の光活性化硬化ポリマーのどれか、さらにはルミネッセンス発光粒子(またはエネルギー変調作用物質)が加えられる当技術分野で知られている他のものを使用することができる。

例えば、1つの好適な光活性化ポリマー化合物は、メタクリラート官能基を有するUV硬化シリコーンを含む。開示が参照により本明細書に組み込まれている、Linの米国特許第4,675,346号は、特定の種類のシリコーン樹脂の少なくとも50%、フュームドシリカ充填剤の少なくとも10%、および光開始剤を含むUV硬化可能シリコーン組成物、およびその硬化組成物を対象とする。本発明に適している他の知られているUV硬化シリコーン組成物としては、(メタ)アクリラート官能基を含むオルガノポリシロキサン、光線感作物質、および溶媒を含み、硬化して堅いフィルムを作る。本発明に適している他の知られているUV硬化シリコーン組成物は、平均して1分子当たり少なくとも1つのアクリルオキシおよび/またはメタクリルオキシ基を有するオルガノポリシロキサン、低分子量ポリアクリルイル架橋剤、および光感作物質の組成物を含む。

Loctite社は、可燃性および燃焼性に対する高い耐性があることを示す、UVおよびUV/水分二重硬化可能シリコーン組成物を設計して開発したが、難燃性成分は、水酸化アルミニウムと、遷移金属のオルガノリガンド錯体、遷移金属のオルガノシロキサンリガンド錯体、およびこれらの組合せからなる群から選択されたメンバーとの組合せである。Benningtonの米国特許第6,281,261号および米国特許第6,323,253号を参照のこと。これらの製剤組成物は、本発明にも適している。

他の知られている紫外線活性化可能シリコーンは、例えばカルボン酸塩、マレイン酸塩、ケイ皮酸塩、およびこれらの組合せで官能化されたシリコーンを含む。これらの製剤組成物は、本発明にも適している。本発明に適している他の知られている紫外線活性化可能シリコーンとしては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、米国特許第6,051,625号において説明されているような、ベンゾインエーテル(「UVフリーラジカル発生剤」)およびフリーラジカル重合可能機能性シリコーンポリマーが挙げられる。UVフリーラジカル発生剤(つまり、ベンゾインエーテル)は、硬化可能組成物の総重量に基づいて0.001から10wt%で含まれる。組成物に照射することによって生成するフリーラジカルは、重合反応の開始剤として機能し、対象組成物中の重合可能官能基に関して触媒量のフリーラジカル発生剤を加えることができる。さらにこれらのシリコーン樹脂には、シロキサン結合を形成することができるシリコン結合二価酸素原子化合物を含めることができるが、それぞれの場合における残りの酸素は、他のシリコンと結合してシロキサン結合を形成するか、またはメチルもしくはエチルと結合してアルコキシ基を形成するか、または水素と結合してシラノールを形成することができる。このような化合物としては、トリメチルシリル、ジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ビニルジメチルシリル、トリフルオロプロピルジメチルシリル、(4−ビニルフェニル)ジメチルシリル、(ビニルベンジル)ジメチルシリル、および(ビニルフェネチル)ジメチルシリルが挙げられる。

本発明の光開始剤成分は、限定はしないが、上記のフリーラジカル発生剤であるが、前述のベンゾインおよび置換ベンゾイン(アルキルエステル置換ベンゾイン)、ミチラーのケトン、ジエトキシアセトフェノン(「DEAP」)、ベンゾフェノン、および置換ベンゾフェノンなどのジアルコキシアセトフェノン、アセトフェノンおよび置換アセトフェノン、ならびにキサントンおよび置換キサントンを含む、当技術分野で知られている任意の光開始剤であってよい。他の望ましい光開始剤としては、DEAP、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシキサントン、クロロチオ−キサントン、アゾ−ビスイソブチロニトリル、N−メチルジエタノールアミンベンゾフェノン、およびこれらの混合物が挙げられる。可視光開始剤としては、カンファーキノン、ペルオキシ酸エステル開始剤、および非フルオレンカルボン酸ペルオキシ酸エステルが挙げられる。

本発明に適している光開始剤の市販の例として、ニューヨーク州ブルースター所在のVantico, Inc.社のIRGACUREおよびDAROCURという商標名のもの、特にIRGACURE 184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)、369(2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン)、500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニールケトンとベンゾフェノンの組合せ)、651(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、1700(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの組合せ)、および819[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド]、ならびにDAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン)および4265(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−ホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの組合せ)、ならびにIRGACURE 784DC(ビス(.eta..sup.5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1− −イル)フェニル]チタン)が挙げられる。

一般に、光開始剤(またはフリーラジカル発生剤)の量は、約0.1重量%から約10重量%までの範囲内、例えば、約2から約6重量%までの範囲内とすべきである。ベンゾインに対するフリーラジカル発生剤濃度は、一般的に、硬化可能組成物の総重量に基づいて0.01から5%である。

組成物を硬化させるのに効果的な量の水分硬化触媒も含めることができる。例えば、本発明では、水分硬化触媒の約0.1から約5重量%、例えば約0.25から約2.5重量%を使用して、光活性化硬化を超えて硬化プロセスを促進することができる。このような触媒の例として、チタン、スズ、ジルコニウム、およびこれらの組合せの有機化合物が挙げられる。チタン酸テトライソプロポキシおよびチタン酸テトラブトキシは、水分硬化触媒として適している。参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第4,111,890号も参照のこと。

本発明に適している従来のシリコーン組成物(ならびに他の無機および有機接着性ポリマー)には、さまざまな無機充填剤が含まれる。例えば、Kish社がQ−CELという商標で供給している中空マイクロスフェアは、白色の自由に流動する粉体である。一般に、これらのホウケイ酸塩の中空マイクロスフェアは、反応性樹脂システム内で増量剤として利用が進められており、通常は、炭酸カルシウムなどの重い充填剤の代わりとなり、一緒に形成される組成材料の重量を軽減する。Q−CEL 5019中空マイクロスフェアは、液体変位密度が0.19g/cm2、平均粒子サイズが70ミクロン、粒子サイズ範囲が10〜150μmであるホウケイ酸塩で作られる。他のQ−CEL製品を以下に表形式で示されている。他の市販の中空ガラスマイクロスフェアも、Kish社からSPHERICELという商標名で販売されている。SPHEREICEL 110P8は、平均粒子サイズが約11.7ミクロンであり、粉砕強度は10,000psiを超える。さらに他の市販の中空ガラスマイクロスフェアは、ニュージャージー州メタチェン所在のSchundler Company社からPERLITEという商標名で、英国チェスター所在のWhitehouse Scientific Ltd.社およびミネソタ州ミネアポリス所在の3M社からSCOTCHLITEという商標名で販売されている。

一般に、これらの無機充填剤成分(およびフュームドシリカなどの他の成分)は、硬化された組成物に構造的特性を加え、さらには、未硬化状態の組成物に流動性特性を付与し、UV硬化放射線の透過性を高める。フュームドシリカは、存在する場合、最大約50重量パーセントまでのレベルで使用することができ、約4から少なくとも約10重量パーセントまでの範囲が望ましい。シリカの正確なレベルは、特定のシリカの特性と組成物およびその反応産物の所望の特性に応じて変化しうるが、UV硬化が生じうるように本発明の組成物の透過性の適切なレベルを考慮するよう当業者は注意を払うべきである。

望ましい疎水性シリカとしては、ヘキサメチルジシラザン処理されたシリカ、例えば、ミシガン州エードリアン所在のWacker−Chemie社がHDK−2000という商標名で市販しているものが挙げられる。他のものとしては、ポリジメチルシロキサン処理されたシリカ、例えば、Cabot社がCAB−O−SIL N70−TSという商標名で市販しているもの、またはDegussa社がAEROSIL R202という商標名で市販しているものが挙げられる。さらに他のシリカとしては、トリアルキルシラン処理されたシリカ、例えば、Degussa社からAEROSIL R805という商標名で市販されているトリメトキシオクチルシラン処理されたシリカならびにDegussa社からR972、R974、およびR976という商標名で市販されている3−ジメチルジクロロシラン処理されたシリカが挙げられる。

これらの無機充填剤を利用すると、外皮のUV侵入深さを超えて材料の硬化を進めることができるように従来のUV硬化シリコーンシステムの使用が拡大したが、これらの無機充填剤単独では、シャドウイング効果が解消せず、またより小さな侵入深さに効果的に向かうUV散乱を被る。本明細書で説明されている本発明では、ルミネッセンス発光粒子とともにこれらの無機充填剤を含めることは、一様な活性化された硬化を、通常であれば影がつくか、または外部UVもしくは他の光源に到達しない領域内の接着剤固化集合体の本体内深くで生じさせる機構をなす。

したがって、本明細書で説明されている本発明のこの例では、従来の混合、加熱、およびインキュベート技術を使用して、従来のシリコーンおよびポリマー接着もしくは剥離もしくはコーティング組成物を調製する。これらの従来の組成物には、ルミネッセンス発光粒子が含まれる。次いで、組成物を含むこれらのルミネッセンス発光粒子を、一緒に固定すべき物体の表面に、または成形品の生産のため硬化可能形態で堅い被膜が望まれているか、または鋳造される表面に塗布することができる。これらの組成物中のルミネッセンス発光粒子は活性化するとポリマー組成物を含むルミネッセンス発光粒子の光活性化硬化のための放射光を発生する。これらの組成物中のルミネッセンス発光粒子の密度は、組成物を含むルミネッセンス発光粒子の「光透過性」に依存する。これらの組成物が、上述のようにかなりの量の無機充填剤を含む場合、ルミネッセンス発光粒子の濃度は、例えば、光透過性が著しく減じられる黒色顔料を含む組成物と比較して低減されうる。

この例に示されているように本明細書で説明されている本発明の利点の1つは、硬化生成物性能を著しく損なうことなく光硬化可能樹脂に現在の着色顔料を含めることができるという点である。これらの着色顔料は、当業者によく知られている1つまたは複数の有色顔料を含みうる。このような顔料は、一般的には、金属酸化物であり、限定はしないが、二酸化チタン、酸化鉄、有機錯体、マイカ、タルク、および石英が挙げられる。1つの顔料を使用することができるが、2つまたはそれ以上の顔料の組合せも使用することができる。適切な顔料を選択し、塗料工業では一般的な必要な調整を加えてそれらを以下の例で述べているのと同様の方法で組み合わせることによって異なる色を得ることができる。したがって、本発明の一実施形態において、カーボンブラックを含むこれらの着色顔料は、発生点からの内部発生した光の伝搬を制限する光学的に不透明な材料として含めることもできる。

参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Bachらの米国特許第7,294,656号では、従来の放射線硬化可能組成物に勝るいくつかの利点を有する2つのUV硬化可能ウレタンアクリラートの混合物を広範に含むUV放射線によって硬化可能な非水性組成物を説明している。Bacheらの組成物は、UV−C(200〜280nm)、UV−B(280〜320nm)、UV−A(320〜400nm)、および可視光線(400nm以上)の放射線を使用して比較的短時間のうちに硬化させることができる。とりわけ、Bacheらの組成物は、320nm以上の波長を有する放射線を使用して硬化させることができる。完全に硬化すると(使用される放射線の種類に関係なく)、Bachらの組成物は、少なくとも従来のコーティングに匹敵する堅さと耐衝撃性を呈示する。

本明細書で説明されている本発明では、上述のルミネッセンス発光粒子(またはエネルギー変調作用物質)を、適宜一実施形態においてさまざまな着色顔料を含むこれらのBachらの組成物に加える。外部エネルギー源による放射線はBachらの組成物の全体に侵入するということから、より厚い表面コーティングを実現することができる。さらに、これらのコーティングは、例えば陥凹部または突起部を備えている複雑な表面に施すことができる。陥凹部のところ、および突起部の周りの硬化は、従来のUVシェーディングによる制限を受けることなく、加工品への表面コーティングの接着度を増強する可能性がある。

さらに、本発明の一実施形態では、開始エネルギーの外部エネルギー源を、中にあるギャップ(またはひび割れ)が未硬化の放射線硬化可能媒質(上で説明されているようなもの)で充填された構造要素に向けることができる。内部で発生した光は、ギャップ(またはひび割れ)の中にある未硬化の放射線硬化可能媒質を硬化させ、これにより、照射を受けている構造の修復が行われる。

現在、コンクリートの構造物修復用にエポキシ樹脂注入を利用するエポキシシステムが市販されている。エポキシ注入は、非常に多くの場合に、構造物の完全交換の唯一の代替である。したがって、結果として、コスト節減が大きい。ひび割れを充填することのほかに、エポキシ注入は、コンクリート内の鉄筋を保護し、水漏れを止めることが知られている。商業的には、エポキシ注入樹脂は、コンクリート内に元々設計されていた元の強度および荷重を回復するひび割れの溶接のためのシステムを実現する。典型的には、低粘度樹脂が、ひび割れ内に圧力注入される。多くの場合、樹脂をひび割れ内にポンプで送り込むための導管を形成するためにひび割れの近く、またはひび割れの中にドリルで穴をあける。

しかし、樹脂が細い、髪の毛よりなお細いひび割れの中に侵入するのに時間を要する。残念なことに、樹脂を硬化剤と予混合され、硬化時間が低粘度樹脂がひび割れ内に流れ込む時間に対する上限を定めるという点で、現在の商業システムは時間が限られている。さらに、硬化剤は例えば24時間以内に樹脂を硬化させるのに十分な高さの濃度で通常は存在しているので、修復完了までの時間が、多くの産業的な修復における問題となっている。さらに、伝統的な樹脂方法では、実施のすべての領域が硬化するので、注目する特定の領域に硬化を誘発することは可能でない。

本発明には、多数の利点がある。第1の利点は、本発明の樹脂は、光活性化樹脂であり、X線源が光開始剤を活性化する内部光を発生するまで実質的に硬化しないという点である。このため、ポンプで送り込み、ひび割れが完全に埋まるのを待つうえでより柔軟に対応できる。第2の利点は、光活性化可能樹脂が適所に置かれた後、その硬化が活性化され、硬化は通例の硬化反応によって制御されない速度で生じるという点である。第3の利点は、コンクリートおよびひび割れ領域に侵入して貫通するX線が、樹脂を硬化させるためのより一様な機構をもたらし、深いひび割れでも、材料中奥深くに延在しうる狭いひび割れと同じくらいの完全硬化の可能性がある。さらに、本発明は、注目する特定の領域のみ、つまり、X線が照射される場所のみを硬化する可能性にも対応できる。

本発明の他の実施形態では、外部エネルギー源は、パターン形成された要素を生成する未硬化の放射線硬化可能媒質を硬化する開始エネルギーの指向性ビームまたは集束ビームとすることが可能である。この実施形態では、未硬化の放射線硬化可能媒質を保持するか、または少なくとも部分的に取り囲む構造は、可視光線に対して不透明な構造とすることができる。この方法では、早期硬化を引き起こさずに未硬化の放射線硬化可能媒質(通常であれば周辺光に暴露された後に光活性化される)を輸送することができる。この実施形態では、硬化は、例えばオーバーラップが未硬化の放射線硬化可能媒質を保持するか、または少なくとも部分的に取り囲む構造内の領域を生じるX線の1つまたは複数の指向性もしくは集束ビームによって活性化され、この場合、媒質中のエネルギー変調作用物質から発生するUVまたは可視光は、光開始剤を活性化するのに十分な強度の光である。この方法で、正確な三次元および二次元パターン形成が実行されうる。類似の実施形態において、アップコンバージョンエネルギー変調作用物質は、構造が例えば赤外線もしくはマイクロ波周波数を透過する場合に使用することが可能である。例えばIRレーザーからの開始エネルギーを、未硬化の放射線硬化可能媒質を保持するか、または少なくとも部分的に取り囲む構造内に向けて集束させる。

他の実施形態における一例として、デバイス(特定の内部穴または経路を閉じるためのプラグなど)などのパターン形成要素を、構造(例えば、材料、人工もしくは天然の地下貯蔵タンク、人体の内蔵など)の内側に、そのような構造の外部からのエネルギー励起(例えば、X線)を使用して加工する(例えば、硬化させる)ことができる。この技術の他の用途として、人体の内部に整形外科構造を加工する用途があり、この場合、硬化可能樹脂が、形成されるべき整形外科構造の地点に局所的に導入され、指向性または集束X線ビームがその構造を硬化させる。

したがって、本発明の他の実施形態では、構造の内部にパターン形成要素を作成するための方法(および関連するシステム)が実現される。この方法は、プラズモニクス作用物質とエネルギー変調作用物質のうちの少なくとも一方を含む放射線硬化可能媒質を構造内に配置する。エネルギー変調作用物質は、開始エネルギーとの相互作用の後に光を媒質中に放出するように構成される。この方法は、指向性または集束エネルギー源からの開始エネルギーを媒質に印加する。印加された開始エネルギーは、プラズモニクス作用物質またはエネルギー変調作用物質と相互作用して、構造内の局所的領域に光を発生させ、放射線硬化可能媒質を局所的に硬化する。

上記のように、この方法は、パターン形成要素のために、例えば建設材料、人工もしくは天然の地下貯蔵タンク、またはヒトもしくは動物の体内の内蔵の穴もしくは経路などの構造内の穴もしくは経路を閉じるプラグを形成することができる。この方法は、パターン形成された要素のために、ヒトもしくは動物の体内の局所的地点に補綴用デバイスを形成することができる。

この方法は、放射線硬化可能媒質中に光学的に密な材料(上述の着色顔料など)を留置して発生地点からの発生光の伝搬を低減することによって硬化をさらに局在化することができる。

コンピュータ支援制御 本発明の一実施形態では、開始エネルギー源、エネルギー変調作用物質、および活性化可能作用物質の好適な組合せを設計し選択するためのコンピュータ実装システムが構成される。例えば、コンピュータシステム5は、ストレージメディアを有する中央演算処理装置(CPU)を備えることができ、これには、励起可能化合物のデータベース、光活性化可能作用物質またはエネルギー移動作用物質用の第1の計算モジュール、エネルギー移動作用物質または光活性化可能作用物質を十分に活性化するために必要な必須エネルギー束を予測する第2の計算モジュールが備えられる。

図4は、本発明のさまざまな実施形態を実装するためのコンピュータシステム1201を示している。コンピュータシステム1201は、上述の機能のどれかまたはすべてを実行するためのコンピュータシステム5として使用されうる。コンピュータシステム1201は、情報を伝達するためのバス1202または他の通信機構と情報を処理するためにバス1202に結合されているプロセッサ1203とを備える。コンピュータシステム1201は、情報およびプロセッサ1203によって実行される命令を格納するためにバス1202に結合されている、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的ストレージデバイス(例えば、ダイナミックRAM(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)、およびシンクロナスDRAM(SDRAM))などのメインメモリ1204も備える。それに加えて、メインメモリ1204は、プロセッサ1203による命令の実行中に一時的変数または他の中間情報を格納するためにも使用されうる。コンピュータシステム1201は、静的情報およびプロセッサ1203用の命令を格納するためにバス1202に結合されている読み取り専用メモリ(ROM)1205または他の静的ストレージデバイス(例えば、プログラム可能読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、および電気的消去可能PROM(EEPROM))をさらに備える。

コンピュータシステム1201は、磁気ハードディスク1207、およびリムーバブルメディアドライブ1208(例えば、フレキシブルディスクドライブ、読み取り専用コンパクトディスクドライブ、読み書きコンパクトディスクドライブ、コンパクトディスクジュークボックス、テープドライブ、およびリムーバブル磁気光ドライブ)などの、情報および命令を格納するための1つまたは複数のストレージデバイスを制御するためにバス1202に結合されているディスクコントローラ1206も備える。ストレージデバイスは、適切なデバイスインターフェース(例えば、SCSI(Small Computer System Interface)、IDE(Integrated Device Electronics)、E−IDE(Enhanced−IDE)、DMA(ダイレクトメモリアクセス)、またはUltra−DMA)を使用してコンピュータシステム1201に追加することができる。

コンピュータシステム1201は、専用論理デバイス(例えば、ASIC(特定用途向け集積回路))または構成可能論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))も備えることができる。

コンピュータシステム1201は、情報をコンピュータユーザに対して表示する陰極線管(CRT)などのディスプレイを制御するためバス1202に結合されているディスプレイコントローラ1209も備えることができる。コンピュータシステムは、コンピュータユーザと相互にやり取りし、情報をプロセッサ1203に供給するための、キーボードおよびポインティングデバイスなどの入力デバイスを備える。例えば、ポインティングデバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ1203に伝達し、ディスプレイ上のカーソル移動を制御するためにマウス、トラックボール、またはポインティングスティックであってもよい。それに加えて、プリンタを備え、コンピュータシステム1201によって格納され、および/または生成されるデータのリスティングを印刷することができる。

コンピュータシステム1201は、メインメモリ1204などの、メモリに格納されている1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ1203が実行することに応答して、本発明の処理ステップ(例えば、図5に関して説明されているステップなど)の一部または全部を実行する。このような命令は、ハードディスク1207またはリムーバブルメディアドライブ1208などの他のコンピュータ可読メディアからメインメモリ1204内に読み込むことができる。マルチプロセッシング構成の1つまたは複数のプロセッサを利用して、メインメモリ1204に格納されている命令のシーケンスを実行することもできる。代替実施形態では、ハードワイヤード回路を、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて使用することができる。したがって、実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの特定の組合せに限定されない。

上述のように、コンピュータシステム1201は、本発明の教示によりプログラムされた命令を保持するための、また本明細書で説明されているデータ構造体、テーブル、レコード、または他のデータを格納するための少なくとも1つのコンピュータ可読メディアまたはメモリを備える。コンピュータ可読メディアの例として、コンパクトディスク、ハードディスク、フレキシブルディスク、テープ、磁気光ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、または他の磁気メディア、コンパクトディスク(例えば、CD−ROM)、または他の光メディア、パンチカード、紙テープ、または穴のパターンを使用する他の物理的メディア、搬送波(後述)、またはコンピュータが読み取ることができる他のメディアが挙げられる。

本発明は、コンピュータ可読メディアのどれか1つまたは組合せに格納される、コンピュータシステム1201を制御するためのソフトウェア、本発明を実装するための1つまたは複数のデバイスを駆動するためのソフトウェア、およびコンピュータシステム1201が人間のユーザと相互にやり取りできるようにするソフトウェアを備える。このようなソフトウェアとしては、限定はしないが、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、開発ツール、およびアプリケーションソフトウェアが挙げられる。このようなコンピュータ可読メディアは、本発明を実装する際に実行される処理の全部または一部(処理が分散される場合)を実行するための本発明のコンピュータプログラム製品をさらに備える。

本発明のコンピュータコードデバイスは、限定はしないが、スクリプト、インタプリタ型プログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLL)、Java(登録商標)クラス、および完全な実行可能プログラムを含む、インタプリタ実行可能コードまたは実行コード機構とすることができる。さらに、本発明の処理の一部を分散実行させることで、性能、信頼性、および/またはコストを改善することができる。

本明細書で使用されているような「コンピュータ可読メディア」という用語は、実行のため命令をプロセッサ1203に提供することに関わるメディアを指す。コンピュータ可読メディアは、限定はしないが、不揮発性メディア、揮発性メディア、および伝送メディアを含む多くの形態をとりうる。不揮発性メディアとしては、例えば、ハードディスク1207またはリムーバブルメディアドライブ1208などの光ディスク、磁気ディスク、および磁気光ディスクがある。揮発性メディアとしては、メインメモリ1204などのダイナミックメモリが挙げられる。伝送メディアとしては、バス1202を構成する電線を含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバーが挙げられる。伝送メディアは、電波および赤外線データ通信の際に発生する波などの、音波または光波の形もとりうる。

さまざまな形態のコンピュータ可読メディアが、実行のため1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサ1203に搬送することに関与しうる。例えば、命令は、最初に、リモートコンピュータの磁気ディスクに入れて搬送することができる。リモートコンピュータは、本発明の全部または一部を実装するためにリモートで命令をそのリモートコンピュータのダイナミックメモリ内にロードし、モデルを使用して電話回線を介して命令を送信することができる。コンピュータシステム1201のローカルに接続するモデムは、電話回線でデータを受信し、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。バス1202に結合されている赤外線検出器は、赤外線信号で搬送されるデータを受信し、データをバス1202に送り出すことができる。バス1202は、データをメインメモリ1204に搬送し、プロセッサ1203は、そのメインメモリから命令を取り出して実行する。メインメモリ1204が受け取った命令は、任意選択により、プロセッサ1203による実行前または実行後にストレージデバイス1207または1208に格納することができる。

コンピュータシステム1201は、バス1202に結合されている通信インターフェース1213も備える。通信インターフェース1213は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)1215またはインターネットなどの他の通信ネットワーク1216に接続されているネットワークリンク1214に結合する双方向データ通信機能を備える。例えば、通信インターフェース1213は、パケット交換LANに装着するネットワークインターフェースカードであってもよい。他の例として、通信インターフェース1213は、非対称型デジタル加入者回線(ADSL)カード、デジタル総合サービス網(ISDN)カード、または対応する種類の通信回線にデータ通信接続を行うためのモデムとすることができる。無線リンクを実装することもできる。このような実装において、通信インターフェース1213は、さまざまな種類の情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を送受信する。

ネットワークリンク1214は、典型的には、1つまたは複数のネットワークを介して他のデータデバイスとデータ通信を行う。例えば、ネットワークリンク1214は、ローカルネットワーク1215(例えば、LAN)を通じて、または通信ネットワーク1216を通じて通信サービスを提供するサービスプロバイダによって運用されている機器を通じて他のコンピュータとの接続を行うことができる。ローカルネットワーク1214および通信ネットワーク1216は、例えば、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号、および関連する物理層(例えば、CAT5ケーブル、同軸ケーブル、光ファイバーなど)を使用する。さまざまなネットワークを通るこれらの信号およびデジタルデータをコンピュータシステム1201との間でやり取りする通信インターフェース1213を介した、ネットワークリンク1214上の信号は、ベースバンド信号、または搬送波ベースの信号で実装することができる。ベースバンド信号は、デジタルデータを、デジタルデータビットのストリームを表す無変調の電気パルスとして伝送するが、この場合、「ビット」は、シンボルを意味するものと広く解釈されるべきであり、それぞれのシンボルは、少なくとも1つまたは複数の情報ビットを伝達する。デジタルデータは、伝導メディア上で伝搬される、または伝搬メディアを通じて電磁波として送信される、振幅偏移変調、位相偏移変調、および/または周波数偏移変調信号などの搬送波を変調するためにも使用されうる。したがって、デジタルデータは、「有線」通信チャネルを通じて無変調ベースバンドデータとして送信され、および/または搬送波を変調することによって、ベースバンドと異なる所定の周波数帯域内で送信されうる。コンピュータシステム1201は、ネットワーク1215および1216、ネットワークリンク1214、および通信インターフェース1213を通じて、プログラムコードを含む、データを送受信することができる。さらに、ネットワークリンク1214は、LAN 1215を通じて、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、または携帯電話などのモバイルデバイス1217への接続を提供することができる。

すでに図1に記載されている例示的なエネルギースペクトルも、このコンピュータ実装システムにおいて使用することができる。

本発明の方法およびシステムに有用な試薬および化学薬品をキットにパッケージングして、本発明の応用をしやすくすることができる。例示的な一実施形態では、キットは、所定の細胞変化を引き起こすことができる少なくとも1つの活性化可能作用物質、エネルギーを供給されたときに少なくとも1つの活性化可能作用物質を活性化することができる少なくとも1つのエネルギー変調作用物質、活性化されたときに媒質中に変化を引き起こす少なくとも1つの活性化可能作用物質を増強開始エネルギーが活性化するように印加開始エネルギーを増強することができる少なくとも1つのプラズモニクス作用物質、安定した形態で作用物質を保管するのに適している容器を備え、また少なくとも1つの活性化可能作用物質および少なくとも1つのエネルギー変調作用物質を媒質に投与し、開始エネルギー源から開始エネルギーを印加して活性化可能作用物質を活性化するための取扱説明書をさらに備える。これらの取扱説明書は、限定はしないが、キット挿入物に印刷された形態、1つまたは複数の容器に印刷された形態、さらにはコンピュータ可読ストレージメディアなどの、電子ストレージメディアに収められている電子的に格納されている取扱説明書の形態など任意の望ましい形態とすることが可能である。また、ユーザが情報を統合し、制御投薬量を計算して照射源の強度を算出し制御することを可能にするコンピュータ可読ストレージメディア上のソフトウェアパッケージが適宜含まれる。

システム実装 本発明の一実施形態では、人工容器中に配設された媒質に変化を生じさせるための第1のシステムが構成される。第1のシステムは、プラズモニクス作用物質と活性化可能作用物質のうちの少なくとも一方を媒質中に供給するように構成される機構を備える。プラズモニクス作用物質は、それ自体の付近でエネルギーを増強または修正する。一例において、プラズモニクス作用物質は、増強された開始エネルギーが媒質中の変化を直接的にまたは間接的に引き起こすように印加開始エネルギーを増強または修正する。このシステムは、人工容器を通じて開始エネルギーを媒質に印加し媒質中の少なくとも1つの活性化可能作用物質を活性化するように構成された印加開始エネルギー源を備える。

一実施形態では、エネルギー変調作用物質は、印加開始エネルギーを変換し、印加開始エネルギーと異なるエネルギーの光を発生する。プラズモニクス作用物質は、少なくとも1つのエネルギー変調作用物質からの光を増強することができる。一実施形態では、印加開始エネルギー源は、外部開始エネルギー源である。一実施形態では、印加開始エネルギー源は、媒質を保持している容器中に少なくとも部分的に入っているエネルギー源である。

一実施形態における媒質は、開始エネルギーに対して実質的に透過的である。例えば、媒質が実質的量の懸濁固形物を有するオレンジジュースなどの液体もしくは流体食品である場合、例えば上で説明されているような紫外線、さらには可視光すら、オレンジジュース媒質によって実質的に吸収され、および/または散乱される。さらに、マイクロ波エネルギーも、同様に、この媒質によって吸収される。しかし、X線源などの開始エネルギー源の放射線は、本質的に、例えばオレンジジュース媒質全体を透過する。その結果、媒質は、今や、外部開始エネルギー源によって隅々まで照らされうる。

特定の波長に調節された、他のエネルギー源も、開始エネルギー源として使用することができる。これらのエネルギー源は、例えば光の特定の波長が吸収されない媒質中で「光学窓」を利用する。水は、可視光のいくつかの波長を選択的に散乱し吸収する。光スペクトルの長い波長−赤色、黄色、およびオレンジ色−は、約15、30、および50メートル(49、98、および164フィート)までそれぞれ侵入することができるが、光スペクトルの短い波長−紫色、青色、および緑色−は、それ以上に侵入できる。したがって、多くの水性システムでは非高エネルギーX線源は、必要でない場合がある。このような状況では、エネルギー変調作用物質およびプラズモニクス作用物質が加えられ、入射光とのその相互作用により、例えば、水媒体中の触媒の光活性化が生じる。エネルギー変調作用物から発生する光も、媒質中のプラズモニクス作用物質によって増強されうる。

したがって、媒質およびエネルギー変調作用物質および活性化可能作用物質に応じて、開始エネルギー源は、X線源、ガンマ線源、電子ビーム源、紫外線源、可視光および赤外線源、マイクロ波源、または電波源のうちの少なくとも1つを含むことができる。次いで、開始エネルギー源は、電磁エネルギー、音響エネルギー、または熱エネルギーのうちの1つを放出するエネルギー源とすることができる。次いで、開始エネルギー源は、媒質全体に侵入する侵入深さを持つ波長の放射線を放出するエネルギー源とすることができる。一実施形態における開始エネルギーは、媒質中に散乱されるか、または吸収されうるが、プラズモニクス作用物質を使用すると、残りの光を利用することができる。作用を受ける媒質は、発酵、殺菌、または低温殺菌される媒質としてよい。作用を受ける媒質としては、細菌、ウイルス、酵母菌、および真菌が挙げられる。

活性化可能作用物質は、フォトケージ(別のところで説明されている)などの光活性化可能作用物質とすることができ、開始エネルギー源に暴露された後、フォトケージは解離して活性のある作用物質を利用可能にする。活性化可能作用物質としては、ソラレン、ピレンオレイン酸コレステリル、アクリジン、ポルフィリン、フルオレセイン、ローダミン、16−ジアゾルコルチゾン、エチジウム、ブレオマイシンの遷移金属錯体、デクリコブレオマイシンの遷移金属錯体、有機白金錯体、アロキサジン、ビタミンK、ビタミンL、ビタミン代謝産物、ビタミン前駆体、ナフトキノン、ナフタレン、ナフトール、および平面分子配座を有するその誘導体、ポルホリンポルフィリン、色素、およびフェノチアジン誘導体、クマリン、キノロン、キノン、およびアントロキノンなどの作用物質が挙げられる。活性化可能作用物質としては、TiO2、ZnO、CdS、CdSe、SnO2、SrTiO3、WO3、Fe2O3、およびTa2O5粒子などの光触媒を挙げることができる。

第1のシステムは、活性化可能作用物質の活性化のために開始エネルギーを活性化エネルギーに変換する少なくとも1つのエネルギー変調作用物質を媒質中に供給するように構成された機構を備えることができる。エネルギー変調作用物質は、リン光発光化合物、化学発光化合物、および生物発光化合物などの光放出体とすることができる。エネルギー変調作用物質は、アップコンバージョンまたはダウンコンバージョン作用物質としてよい。エネルギー変調作用物質は、前記開始エネルギーに暴露された後に光を放出するルミネッセンス発光粒子とすることができる。エネルギー変調作用物質は、ナノチューブ、ナノ粒子、化学発光粒子、および生物発光粒子、ならびにこれらの混合物としてよい。ルミネッセンス発光粒子は、半導体または金属材料のナノ粒子とすることができる。ルミネッセンス発光粒子は、マイクロ波に暴露された後に化学発光の増強を示す化学発光粒子とすることができる。

第1のシステムは、例えば、ナノスフェア、ナノロッド、ナノキューブ、ナノピラミッド、ナノシェル、多層ナノシェル、およびこれらの組合せなどの金属ナノ構造を含むプラズモニクス作用物質を媒質中に供給するように構成された機構を備えることができる。これらのプラズモニクス作用物質の形態および構造は、上で詳述されているプローブ構造を含むことができる。

開始エネルギー源によっては、システムは、印加開始エネルギーに対して透過性を有する媒質用の容器をも含むことができる。例えば、X線源の場合、容器はアルミニウム製、石英製、ガラス製、またはプラスチック製とすることができる。マイクロ波源の場合、容器は、石英製、ガラス製、またはプラスチック製とすることができる。さらに、容器は、開始エネルギーを受けると、開始エネルギーを流体製品に伝達して、流体製品を低温殺菌する容器であるか、または開始エネルギーを受け取ると、開始エネルギーを流体製品に伝達して、流体製品中の汚染物の対策をする容器とすることができる。

本発明の他の実施形態では、放射線硬化可能媒質を硬化させるための第2のシステムが構成される。第2のシステムは、少なくとも1つのプラズモニクス作用物質および活性化されたときに放射線硬化可能媒質中に変化を引き起こす少なくとも1つの活性化可能作用物質を含む未硬化の放射線硬化可能媒質を供給するように構成された機構を備え、また未硬化の放射線硬化可能媒質、プラズモニクス作用物質、およびエネルギー変調作用物質を含む組成物に開始エネルギーを印加するように構成された印加開始エネルギー源をさらに備える。上で説明されているようなエネルギー変調作用物質は、開始エネルギーを吸収し、その開始エネルギーを未硬化媒質を硬化させることができる活性化エネルギーに変換する(つまり、未硬化媒質中のポリマーの重合を促進する)。プラズモニクス作用物質は、増強された開始エネルギーが媒質中ポリマーの重合によって媒質を直接的にまたは間接的に硬化させるように、印加された開始エネルギーを増強する。例えば、プラズモニクス作用物質は、増強された光が媒質中の少なくとも1つの光活性化可能作用物質を活性化してポリマーを重合するように活性化エネルギー光を増強することができる。他の例では、エネルギー変調作用物質の活性化が行われると、少なくとも1つの光活性化可能作用物質を活性化して媒質中のポリマーを重合させる光を発生する。

第2のシステムは、上で説明されている第1のシステムに類似の属性を有しており、これにより、少なくとも1つの活性化可能作用物質は、ベンゾイン、置換ベンゾイン、アルキルエステル置換ベンゾイン、ミチラーのケトン、ジアルコキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、置換ベンゾフェノン、アセトフェノン、置換アセトフェノン、キサントン、置換キサントン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシキサントン、クロロ−チオ−キサントン、アゾ−ビスイソブチロニトリル、N−メチルジエタノールアミンベンゾフェノン、カンファーキノン、ペルオキシ酸エステル開始剤、非フルオレンカルボン酸ペルオキシ酸エステル、およびこれらの混合物のうちの1つなどの光開始剤を含むようにすることができる。

第2のシステムも、例えば、ナノスフェア、ナノロッド、ナノキューブ、ナノピラミッド、ナノシェル、多層ナノシェル、およびこれらの組合せなどの金属ナノ構造を含むプラズモニクス作用物質を媒質中に供給するように構成された機構を備えることができる。これらのプラズモニクス作用物質の形態および構造は、上で詳述されているプローブ構造を含むことができる。

第2のシステムは、印加開始エネルギーに対して透過性を有する未硬化の放射線硬化可能媒質用の容器を備えることができる。容器は、未硬化の放射線硬化可能媒質を収納するか、または未硬化の放射線硬化可能媒質の金型を保持するように構成することができる。容器は、前のように、印加開始エネルギーに応じて、アルミニウム製容器、石英製容器、ガラス製容器、またはプラスチック製容器とすることができる。

一実施形態では、エネルギー源(例えば、外部エネルギー源)は、台所用品の一領域を台所用品の他方の領域に接着するジョイント領域(または複数の領域)内の未硬化の放射線硬化可能媒質を照射するように構成される。他の実施形態では、エネルギー源は、ジョイント領域を照射し、それにより、ジョイント領域の内側で内部紫外線を発生させることでジョイント領域の殺菌を誘発するように構成される。他の実施形態では、エネルギー源は、表面コーティングを照射するように構成される。他の実施形態では、エネルギー源は、放射線硬化可能媒質の金型を照射するように構成される。

表面コーティング内の、または金型内の、または他の媒質中の放射線硬化可能媒質は、色を最終硬化製品に付けるためにカラー顔色を含むことができる。表面コーティング内の、または金型内の、または他の媒質中の放射線硬化可能媒質は、強度を高め、内部発生光の分配を増強するためにフュームドシリカを含むことができる。表面コーティング内の、または金型内の、または他の媒質中の放射線硬化可能媒質は、硬化を補助するために水分硬化促進剤を含むことができる。

第2のシステムは、新規性のある放射線硬化品の生産のための1つの機構を備え、これは媒質全体にわたって分配される放射線硬化媒質、少なくとも1つのプラズモニクス作用物質、および少なくとも1つのエネルギー変調作用物質を備える。エネルギー変調作用物質は印加エネルギーを光に変換することができる物質であり、放射線硬化媒質に対する硬化を引き起こすことができる。プラズモニクス作用物質は、増強開始エネルギーがエネルギー変調作用物質を活性化するように印加開始エネルギーを増強する。エネルギー変調作用物から発生する光も、媒質中のプラズモニクス作用物質によって増強されうる。物品は、例えばナノチューブ、ナノ粒子、化学発光粒子、および生物発光粒子、ならびにこれらの混合物などのルミネッセンス発光粒子を含むことができる。物品は、半導体または金属材料のナノ粒子を含むことができる。物品は、化学発光粒子を含むことができる。物品は、着色顔料またはフュームドシリカを含むことができる。物品は、例えば、ナノスフェア、ナノロッド、ナノキューブ、ナノピラミッド、ナノシェル、多層ナノシェル、およびこれらの組合せなどの金属ナノ構造を含むプラズモニクス作用物質を含むことができる。これらのプラズモニクス作用物質の形態および構造は、上で詳述されているプローブ構造を含むことができる。

本発明の他の実施形態では、人工容器中に配設された媒質に変化を生じさせるための第3のシステムが構成される。第3のシステムは、1)活性化可能作用物質および2)プラズモニクス作用物質とエネルギー変調作用物質のうちの少なくとも一方を媒質に供給するように構成される機構を備える。エネルギー変調作用物質は、開始エネルギーを活性化エネルギーに変換し、次いで、少なくとも1つの活性化可能作用物質を活性化する。第3のシステムは、人工容器を通じて開始エネルギーを印加し媒質中の少なくとも1つの活性化可能作用物質を活性化するように構成された印加開始エネルギー源をさらに備える。プラズモニクス作用物質は、それ自体の付近でエネルギーを増強または修正する。一例において、プラズモニクス作用物質は、増強された開始エネルギーが媒質中の変化を直接的にまたは間接的に引き起こすように印加開始エネルギーを増強または修正する。

第3のシステムは、上述の第1および第2のシステムに似た属性を有し、エネルギー変調作用物質およびプラズモニクス作用物質のうちの少なくとも一方を含むカプセル封入構造をさらに備える。カプセル封入構造は、保護層とともにカプセル封入されているエネルギー変調作用物質のナノ粒子を含むことができるか、またはエネルギー変調作用物質を中に入れた封止石英またはガラス管を備えることができる。カプセル封入構造は、封止管の外側にプラズモニクス作用物質が配設されている(媒質に直接暴露される場合もされない場合もある)封止管を備えることができる。

本発明の他の実施形態では、人工容器中に配設された媒質に光刺激変化を生じさせるための第4のシステムが構成される。第4のシステムは、プラズモニクス作用物質とエネルギー変調作用物質のうちの少なくとも一方を媒質中に供給するように構成される機構を備える。エネルギー変調作用物質は、開始エネルギーを活性化エネルギーに変換し、次いで、光刺激変化を発生する。第4のシステムは、開始エネルギーを媒質に印加し媒質中の少なくとも1つのエネルギー変調作用物質を活性化するように構成された印加開始エネルギー源をさらに備える。プラズモニクス作用物質は、それ自体の付近でエネルギーを増強または修正する。一例において、プラズモニクス作用物質は、増強された開始エネルギーが媒質中の変化を直接的にまたは間接的に引き起こすように印加開始エネルギーを増強または修正する。システムは、エネルギー変調作用物質を中に入れたカプセル封入構造を備えることができる。カプセル封入構造は、保護層とともにカプセル封入されたエネルギー変調作用物質のナノ粒子を含むことができる。カプセル封入構造は、封止管の外側にプラズモニクス作用物質が配設されている(媒質に直接暴露される場合もされない場合もある)封止管を備えることができる。

第4のシステムは、開始エネルギーを受け取って、媒質内の生成物に開始エネルギーを伝える容器を備えることができる。生成物は、プラスチックを含むことができ、活性化エネルギーはプラスチックの表面構造を改変する。生成物は、ポリ乳酸(PLA)プラスチックおよびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)プラスチックを含むものとしてよい。この実施形態では、活性化エネルギーは、分子種をプラスチックの表面上に光グラフト重合化することができる。

殺菌方法およびシステムコンポーネント 光学技術は殺菌手順において使用されることが多く、紫外線(特に、UV−Cのスペクトル領域、200から280nm帯域)を使用して不要なまたは有害な水媒介性微生物を繁殖できなくした。UV−Cにおける紫外線は、殺菌効果のある消毒剤として最も致死範囲の広いものとして考えられている(生きている微生物のDNAを変化させ、微生物の繁殖を妨げることができる)。264ナノメートルがピーク殺菌波長であるUV−Cは、殺菌力のあるスペクトルとして知られている。UV−C法は、単純で効果的であるけれども、紫外線を通さない容器上に封じ込められている試料(ガス、液体、微粒子)では特に有効というわけではない。本発明は、殺菌用にX線などの外部印加放射線を使用できる技術およびシステムを実現する。X線照射に関して以下で示されているが、上で説明されているように、殺菌される容器および媒質が、媒質を完全に照射できるほど十分に透明であった場合には他の好適なエネルギー形態を使用することも可能である。ルミネッセンス発光をより高いエネルギーにアップコンバートするための代替放射源および材料の例は、すでに上で説明されている。

図27〜44は、X線励起により使用することができる殺菌システムおよびプローブのさまざまな実施形態を示している。これらのシステムは、上述の多数の用途、さらには他の殺菌分野においても応用可能である。したがって、これらのシステムは、上の節で説明されている廃水解毒、血液殺菌、低温殺菌、および光不活性化の商業用途において使用することが可能である。これらのシステム(図3B〜3Dのような)は、処理すべき媒質が配設されている人工容器を使用することを明らかにしている。

図27は、容器とX線エネルギーコンバータが含まれる材料を備える、本発明の殺菌システムの一実施形態を示す。容器は、殺菌される試料(例えば、液体、ガス、または微粒子)を保持する。容器壁を貫通できるX線の放射により、発光するように構成されている、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起される。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、殺菌に使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される(例えば、紫外線スペクトル域)。

図28は、プラズモニクスを利用し、また容器、X線エネルギーコンバータが含まれる材料、誘電体層(例えば、シリカ)、および金属ナノ構造(例えば、Au、Ag)を備える、本発明の他の殺菌システムの一実施形態を示す。容器は、殺菌される試料(例えば、液体、ガス、または微粒子)を保持する。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、殺菌に使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される(例えば、紫外線スペクトル域)。金属ナノ構造は、上述のプラズモニクス増強効果によりルミネッセンス発光を増幅するように設計されている。誘電体層は、ルミネッセンス発光の可能な消光を最小限に抑えるか、または防止するために、金属ナノ構造からX線エネルギーコンバータの材料を分離するように設計されている。誘電体層の最適な厚さは、誘電体層がプラズモニクス効果を著しく変えないように約1から5nmである。

図29は、容器、X線エネルギーコンバータが含まれる材料、および光活性(PA)材料を備える、本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起され、次いで、ルミネッセンス発光を生じる。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、光活性(PA)材料をさらに励起するために使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される。光活性材料は、EECルミネッセンス発光による励起の後に、殺菌目的の発光(例えば、ルミネッセンス発光)に使用することができる。あるいは、PA材料は、殺菌目的の適切な波長の放射線(例えば、細菌を殺すための紫外線)を発生するためにEEC発光のエネルギーアップコンバージョン/ダウンコンバージョンの特性を有する材料で置き換えられるか、またはそのような材料である。

図30は、容器、X線エネルギーコンバータが含まれる材料、誘電体層(例えば、シリカ)、金属ナノ構造(例えば、Au、Ag)、および光活性(PA)材料を備える、本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、光活性(PA)材料をさらに励起するために使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される。光活性材料は、EECルミネッセンス発光による励起の後に、殺菌目的の発光(例えば、ルミネッセンス発光)に使用することができる。あるいは、PA材料は、殺菌目的の適切な波長の放射線(例えば、細菌を殺すための紫外線)を発生するためにEEC発光のエネルギーアップコンバージョン/ダウンコンバージョンの特性を有する材料で置き換えられるか、またはそのような材料である。この実施形態における金属ナノ構造は、プラズモニクス増強効果によりルミネッセンス発光を増幅するように設計されている。誘電体層は、ルミネッセンス発光の可能な消光を防止するか、または最小限に抑えるために、X線エネルギーコンバータが含まれる材料と金属ナノ構造とを分離するように設計されている。

図31は、容器および埋め込み金属ナノ粒子が容器の壁の一部として含まれるX線エネルギーコンバータが含まれる材料を備える、本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す。容器は、殺菌される試料を保持し、試料は液体、ガス、または微粒子とすることができる。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、殺菌に使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される(例えば、紫外線スペクトル域)。この実施形態では、EEC材料は、金属ナノ粒子(直径1〜100nm)も有するマトリックス内に含まれる。金属ナノ粒子は、EEC発光を増強するように設計されているプラズモニクス活性システムとして働く。

図32は、容器および埋め込み金属ナノ粒子が容器の壁の一部として含まれ、またリエントラント構造上に含まれるX線エネルギーコンバータが含まれる材料を備える、本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す。この実施形態は、試料流と殺菌システムの壁(リエントラント構造を含む)と接触が最大になるように設計されている。容器内を貫流する試料は、液体、ガス、または微粒子であるものとしてよい。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、殺菌に使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される(例えば、紫外線スペクトル域)。この実施形態では、EEC材料は、金属ナノ粒子(直径1〜100nm)も有するマトリックス内に含まれる。金属ナノ粒子は、EEC発光を増強するように設計されているプラズモニクス活性システムとして働く。

図33は、容器、X線エネルギーコンバータが含まれる材料、および光活性材料を備える、本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す。容器は、殺菌される試料を保持し、試料は液体、ガス、または微粒子とすることができる。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、光活性(PA)材料をさらに励起するために使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される。光活性材料は、EECルミネッセンス発光による励起の後に、殺菌目的の発光(例えば、ルミネッセンス発光)に使用することができる。あるいは、PA材料は、殺菌目的の適切な波長の放射線(例えば、細菌を殺すための紫外線)を発生するためにEEC発光のエネルギーアップコンバージョン/ダウンコンバージョンの特性を有する材料で置き換えられるか、またはそのような材料である。この実施形態では、PA材料(またはエネルギーアップコンバージョン/ダウンコンバージョン材料)は、金属ナノ粒子(直径1〜100nm)も有するマトリックス内に含まれる。金属ナノ粒子は、発光を増強するように設計されているプラズモニクス活性システムとして働く。

図34は、容器、埋め込み金属ナノ粒子が容器の壁の内側層上に含まれ、またリエントラント構造上に含まれるX線エネルギーコンバータが含まれる材料、および光活性材料を備える、本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す。容器は、殺菌される試料を保持し、試料は液体、ガス、または微粒子とすることができる。この実施形態は、試料流と殺菌システムの壁と接触が頻繁に生じるように設計されている。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、光活性(PA)材料をさらに励起するために使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される。光活性材料は、EECルミネッセンス発光による励起の後に、殺菌目的の発光(例えば、ルミネッセンス発光)に使用することができる。あるいは、PA材料は、殺菌目的の適切な波長の放射線(例えば、細菌を殺すための紫外線)を発生するためにEEC発光のエネルギーアップコンバージョン/ダウンコンバージョンの特性を有する材料で置き換えられるか、またはそのような材料である。この実施形態では、PA材料(またはエネルギーアップコンバージョン/ダウンコンバージョン材料)は、金属ナノ粒子(直径1〜100nm)も有するマトリックス内に含まれる。金属ナノ粒子は、発光を増強するように設計されているプラズモニクス活性システムとして働く。

図35は、容器、X線エネルギーコンバータが含まれる材料、および標的を捕捉するために使用される化学レセプターまたはバイオレセプターを備える、本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す。容器は、殺菌される試料を保持し、試料は液体、ガス、または微粒子とすることができる。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、殺菌に使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される(例えば、紫外線スペクトル域)。化学レセプター(例えば、化学基に特異的なリガンド)またはバイオレセプター(例えば、抗体、表面細胞受容体)の層を使用して、注目している生化学的標的を捕捉する。この実施形態では、特異的標的化合物は、表面に選択的に結合され、発光によりより効果的に照射される。

図36は、容器、X線エネルギーコンバータが含まれる材料、誘電体層(例えば、シリカ)、金属ナノ構造(例えば、Au、Ag)、および標的を捕捉するために使用される化学レセプターまたはバイオレセプターを備える、本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す。容器内の試料は、液体、ガス、または微粒子であるものとしてよい。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、殺菌に使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される(例えば、紫外線スペクトル域)。金属ナノ構造は、プラズモニクス増強効果によりルミネッセンス発光(または放射光)を増幅するように設計されている。誘電体層は、ルミネッセンス発光の可能な消光を防止するか、または最小限に抑えるために、X線エネルギーコンバータが含まれる材料と金属ナノ構造とを分離するように設計されている。誘電体層の最適な厚さは、誘電体層がプラズモニクス効果に著しい影響を及ぼさないように約1から5nmである。化学レセプター(例えば、化学基に特異的なリガンド)またはバイオレセプター(例えば、抗体、表面細胞受容体)の層を使用して、注目している生化学的標的を捕捉する。この実施形態では、特異的標的化合物は、表面に選択的に結合され、発光によりより効果的に照射される。

図37は、容器、X線エネルギーコンバータが含まれる材料、光活性(PA)材料、および標的を捕捉するために使用される化学レセプターまたはバイオレセプターを備える、本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起され、次いで、ルミネッセンス発光を生じる。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、光活性(PA)材料をさらに励起するために使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される。光活性材料は、EECルミネッセンス発光による励起の後に、殺菌目的の発光(例えば、ルミネッセンス発光)に使用することができる。化学レセプター(例えば、化学基に特異的なリガンド)またはバイオレセプター(例えば、抗体、表面細胞受容体)の層を使用して、注目している生化学的標的を捕捉する。この実施形態では、特異的標的化合物は、表面に選択的に結合され、発光によりより効果的に照射される。あるいは、PA材料は、殺菌目的の適切な波長の放射線(例えば、細菌を殺すための紫外線)を発生するためにEEC発光のエネルギーアップコンバージョン/ダウンコンバージョンの特性を有する材料で置き換えられるか、またはそのような材料である。

図38は、容器、X線エネルギーコンバータが含まれる材料、光活性(PA)材料、金属ナノ構造(例えば、Au、Ag)、誘電体層(例えば、シリカ)、および標的を捕捉するために使用される化学レセプターまたはバイオレセプターを備える、本発明の殺菌システムの他の実施形態を示す。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料が励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、光活性(PA)材料をさらに励起するために使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される。光活性材料は、EECルミネッセンス発光による励起の後に、殺菌目的の発光(例えば、ルミネッセンス発光)に使用することができる。あるいは、PA材料は、殺菌目的の適切な波長の放射線(例えば、細菌を殺すための紫外線)を発生するためにEEC発光のエネルギーアップコンバージョン/ダウンコンバージョンの特性を有する材料で置き換えられるか、またはそのような材料である。金属ナノ構造は、プラズモニクス増強効果によりルミネッセンス発光を増幅するように設計されている。誘電体層は、ルミネッセンス発光の可能な消光を防止するか、または最小限に抑えるために、X線エネルギーコンバータが含まれる材料と金属ナノ構造とを分離するように設計されている。化学レセプター(例えば、化学基に特異的なリガンド)またはバイオレセプター(例えば、抗体、表面細胞受容体)の層を使用して、注目している生化学的標的を捕捉する。この実施形態では、特異的標的化合物は、表面に選択的に結合され、発光によりより効果的に照射される。

本発明では、ここに示されている他のシステム内で殺菌される媒質と接触している内壁上でこれらの化学レセプターおよびバイオレセプターを使用することができる。

図39は、殺菌される媒質を保持することができる容器とX線エネルギーコンバータが含まれる材料で作られたプローブを備える、本発明の殺菌プローブシステムの一実施形態を示す。容器内の試料は、液体、ガス、または微粒子であるものとしてよい。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料を有するプローブが励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、殺菌に使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される(例えば、紫外線スペクトル域)。プローブを取り出して、容器内に再挿入し、再利用することができる。

図40は、殺菌される媒質を保持することができる容器、X線エネルギーコンバータが含まれる材料で作られたプローブ、誘電体層(例えば、シリカ)、および金属ナノ構造(例えば、Au、Ag)を備える、本発明の殺菌プローブシステムの一実施形態を示す。容器内の試料は、液体、ガス、または微粒子であるものとしてよい。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料を有するプローブが励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、殺菌に使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される(例えば、紫外線スペクトル域)。金属ナノ構造は、プラズモニクス増強効果によりルミネッセンス発光を増幅するように設計されている。誘電体層は、ルミネッセンス発光の可能な消光を防止するか、または最小限に抑えるために、X線エネルギーコンバータが含まれる材料と金属ナノ構造とを分離するように設計されている。誘電体層の最適な厚さは、誘電体層がプラズモニクス効果を著しく変えないように約1から5nmである。プローブを取り出して、容器内に再挿入し、再利用することができる。

図41は、殺菌される媒質を保持することができる容器、X線エネルギーコンバータが含まれる材料で作られたプローブ、および標的を捕捉するために使用される化学レセプターまたはバイオレセプターを備える、本発明の殺菌プローブシステムの一実施形態を示す。容器内の試料は、液体、ガス、または微粒子であるものとしてよい。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料を有するプローブが励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、殺菌に使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される(例えば、紫外線スペクトル域)。化学レセプター(例えば、化学基に特異的なリガンド)またはバイオレセプター(例えば、抗体、表面細胞受容体)の層を使用して、注目している生化学的標的を捕捉する。この実施形態では、特異的標的化合物は、プローブの表面に選択的に結合され、発光によりより効果的に照射される。プローブを取り出して、容器内に再挿入し、再利用することができる。

図42は、殺菌される媒質を保持することができる容器、X線エネルギーコンバータが含まれる材料で作られたプローブ、誘電体層(例えば、シリカ)、および金属ナノ構造(例えば、Au、Ag)を備える、本発明の殺菌プローブシステムの一実施形態を示す。容器内の試料は、液体、ガス、または微粒子であるものとしてよい。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)を含む材料を有するプローブが励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、殺菌に使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される(例えば、紫外線スペクトル域)。金属ナノ構造は、プラズモニクス増強効果によりルミネッセンス発光を増幅するように設計されている。誘電体層は、ルミネッセンス発光の可能な消光を防止するために、X線エネルギーコンバータが含まれる材料と金属ナノ構造とを分離するように設計されている。誘電体層の最適な厚さは、誘電体層がプラズモニクス効果に著しい影響を及ぼさないように約1から5nmである。化学レセプター(例えば、化学基に特異的なリガンド)またはバイオレセプター(例えば、抗体、表面細胞受容体)の層を使用して、注目している生化学的標的を捕捉する。この実施形態では、特異的標的化合物は、プローブの表面に選択的に結合され、発光によりより効果的に照射される。プローブを取り出して、容器内に再挿入し、再利用することができる。

図43は、殺菌される媒質を保持することができる容器、1)常磁性コアを有するナノ粒子、および2)X線エネルギーコンバータが含まれる材料を有するシェルを備える、本発明の殺菌プローブシステムの一実施形態を示す。容器内の試料は、液体、ガス、または微粒子であるものとしてよい。外部印加磁場を使用して、X線エネルギーコンバータが含まれる材料のナノシェルで被覆されている常磁性コアを有するナノ粒子を容器内に送達することができる。容器壁を貫通できるX線の放射により、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)材料を含むナノ粒子シェルが励起され、次いで、発光する。EEC材料は、放射光またはルネサンス発光が、殺菌に使用されうるスペクトル領域内で生じるように選択される(例えば、紫外線スペクトル域)。殺菌が完了した後、外部印加磁場を使用してナノ粒子を容器から取り出すことができる。磁場ユニットは、磁性ナノ粒子の導入および捕集を行う機構として働く。ナノ粒子を容器内に再挿入し、再利用することができる。他の実施形態では、ナノ粒子は、化学レセプター(例えば、化学基に特異的なリガンド)またはバイオレセプター(例えば、抗体、表面細胞受容体)の層で被覆することもできる。その層は、注目する生化学的標的を捕捉するために使用される。この実施形態では、特異的標的化合物は、プローブの表面に選択的に結合され、発光によりより効果的に照射される。

図44は、常磁性コアを持つプラズモニクスプローブの例を示している。図44Aでは、磁気コアは、金属層によって囲まれており、さらに誘電体層で囲まれる。図44Bでは、磁気コアは、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)材料によって囲まれており、さらに誘電体層で囲まれる。金属ナノ粒子は、誘電体に付着している。図44Cでは、磁気コアは、金属層によって囲まれており、さらに誘電体層で囲まれる。X線励起エネルギーコンバータ(EEC)材料は、誘電体層上に部分的キャップとして形成される。図44Dでは、磁気コアは、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)材料によって囲まれており、さらに誘電体層で囲まれる。金属層は、誘電体層上に部分的キャップとして形成される。図44Eでは、磁気コアは、金属層によって囲まれ、次いで、誘電体層によって囲まれ、次いで、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)材料によって囲まれる。図44Fでは、磁気コアは、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)材料によって囲まれ、次いで、誘電体層によって囲まれ、次いで、金属層によって囲まれる。図44Gでは、磁気コアは、X線励起エネルギーコンバータ(EEC)材料によって囲まれ、次いで、誘電体層によって囲まれ、次いで、金属層によって囲まれ、次いで、化学レセプター層によって囲まれる。

プラズモニクス活性材料および表面の設計ならびに加工 上述の実施形態におけるプラズモニクス活性表面およびプローブは、以下の手順のうちの1つを使用してプラズモニクス特性を呈示する金属のナノ構造または金属薄層を形成することによって調製されうる。

金属電極システム上に形成されるナノ構造については、SERS研究用に銀の電極および他の金属の電極を使用する電気化学電池を使用して、電極の表面上にナノ構造形態を形成した(Pettinger B.、U. Wenneng、およびH. Wetzel、「Surface−plasmon enhanced Raman−scattering frequency and ... Ag and Cu electrodes」、1980年、Surf. Sci.、101、409、Fleishman M.、P. R. Graves、およびJ. Robinson、「The Raman−Spectroscopy of the ... hydride and platinum−electrodes」、1985年、J. Electroanal. Chem.、182、87)。これらの文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。一方の電極の銀は、サイクルの最初の半分において反応Ag − − − > Ag+ + e−によって酸化される。この還元の半分のサイクルで、粗面化銀表面が、反応Ag+ + e− − − − > Agによって再生される。この酸化還元手順は、一般的に、電極表面上に25から500nmのサイズ範囲の表面突起部を形成する。次いで、一般的に、作用電極を、レーザー励起がその表面上に集束され、ラマン散乱光が適切な光学系によって効率よく集光されうるような位置に配置する。強いSERSシグナルが、一般的に、「活性化サイクル」と称されることの多い、電気化学的酸化還元サイクルが金属電極上で実行された後にのみ出現する。各電極についてこれらの文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

白金などの他の金属の電極(Loo B H.、「Surface−enhanced Raman−spectroscopy of platinum」、1983年、J. Phys. Chem.、87、3003)も、プラズモニクス基材として調査された。ピリジンおよびベンゾトリアゾールのSERSシグナルに関する酸化/還元処理において銅電極のレーザー照射の影響などの実験的要因が調査された(Thierry D.およびC. Leygraf、「The influence of photoalteration on surface−enhanced Raman scattering from copper electrodes」、1985年、Surface Sci.、149、592)。Beer、K. D.、Tanner、W.、Garrell、R L. in J. Electroanal. Chem. 1989年、258、313〜325頁では、ex−situ対in−situについて金電極表面と銀電極表面上のSERSの電極粗面化手順を調べている。各電極についてこれらの文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

化学的、電気化学的にエッチングされた金属および他の粗面化表面については、化学エッチング手順も使用して、プラズモニクス活性金属表面を生成することができる(Miller S. K.、A. Baiker、M. Meier、およびA. Wokaun、「Surface−enhanced Raman scattering and the preparation of copper substrates, for catalytic studies」、1984年、J. Chem. Soc. Farad. Trans. I、80、1305)。手順の1つでは、室温で2モル/dm−3硝酸溶液中で40分間、銅箔をエッチングする。他の手順は、圧力を4バールとしてAl2O3で銅箔をサンドブラスティングし、その後、2分間エッチングする。金属表面のSEM画像は、両方のエッチング手順が10から100nmスケールの表面粗さを形成することができることを示している。化学神経作用物質模倣薬の蒸気を検出するために電気化学的に粗面化された酸化銀基材が開発されている(Taranenko N.、J.P. Alarie、D.L. Stokes、およびT. Vo Dinh、「Surface−Enhanced Raman Detection of Nerve Agent Simulant (DMMP and DIMP) Vapor on Electrochemically Prepared Silver Oxide Substrates」、1996年、J. Raman Spectr.、27、379〜384頁)。これらの手順は、一貫しており、電気めっき法に類似している。これらの文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

固体基材上の金属ナノ構造については、金属ナノ構造で固体基材をコーティングするさまざまな手順がすでに説明されている[Vo−Dinh、「Surface−Enhanced Raman Spectroscopy Using Metallic Nanostructures」、1998年、Trends in Analytical Chemistry、17,557頁(1998年)]。これらの手順は、プラズモニクス活性表面および実施形態を形成するために使用することができる。この文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

本発明のさまざまな実施形態において、内壁も、殺菌に使用される発光に対し光学的透過性を有する適切な保護コーティングを施すことができる。

金属ナノ粒子島状膜については、銀などの金属の薄層(例えば、10nm未満の厚さ)を固体基部担体上に直接蒸着することによって最も単純な金属ナノ構造を形成することができる。これらの条件の下で、銀層は、孤立金属島の形態の担体上にナノ粒子を形成する。堆積された銀の厚さが増大すると、粒子は凝集し始めて、連続薄膜を形成する。金属ナノ粒子のサイズおよび形状は、堆積される金属の厚さを変化させることによって影響を受ける(蒸発源に垂直な水晶振動子モニターによって測定される)。銀ナノ粒子島状膜を使用したSERS測定結果を、他のナノ構造材料で得られた結果と比較した。銀およびインジウム島状膜から得られる銅および亜鉛フタロシアニン錯体からのSERSが報告されている(Jennings C.、R. Aroca、A. M. Hor、およびR. O. Loutfy、「Surface−enhanced Raman scattering from copper and zinc phthalocyanine complexes by silver and indium island films」、1984年、Anal. Chem.、56、203頁)。銀およびインジウム膜を、酸化スズガラススライド上に真空蒸着し(p<10−6Torr)、次いで、5×10−7Torrの底面圧力の下で真空システム内で銅および亜鉛フタロシアニン錯体をコーティングした。金属ナノ粒子島を形成するために、基材上の金属厚さを約7.5nmとした。他の代替方法では、プラズモニクス基材として金属のスパッタリング蒸着薄膜を使用する(Ni F.、R. Sheng、およびT. M. Cotton、「Flow−injection analysis and real−time ... bases by surface−enhanced Raman−spectroscopy」、1990、Anal. Chem.、62頁、1958年)。これらの文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

金属コーティングナノスフェア基材では、分析用途向けのSERS技術の開発の初期の問題点の1つは、容易に制御されうる突起部サイズ(粗さ)と再現可能な構造を有する表面または媒質の作製であった。アプローチの1つは、所望の粗さを生み出して、制御するために、固体表面(例えば、容器壁)上に塗布されたナノスフェアの使用を伴っていた。ナノ構造担体は、その後、表面プラズモン機構に必要な伝導電子を供与する銀の層で被覆される。固体基材に基づく技術のうち、テフロン(登録商標)またはラテックスナノスフェアなどの、単純なナノ材料を使用する方法は、調製するのが最も単純であるように見える。テフロン(登録商標)およびラテックス球は、広範なサイズのものが市販されている。これらの材料の形状は、非常に規則正しい形状であり、そのサイズは、快適な増強となるように選択されうる。球サイズおよび金属層厚さの効果から、球サイズ毎に、最大のSERSシグナルが観察される最適な銀層厚さがあることがわかった(Moody R. L.、T. Vo Dinh、およびW. H. Fletcher、「Investigation of Experimental Parameters for Surface−Enhanced Raman Spectroscopy」、1987年、Appl. Spectr.、41、966頁)。銀コーティングされたナノスフェアは、増強係数が電気化学的に粗面化された表面について見られる増強係数に匹敵するか、またはそれより大きい、調査された最も強く増強する基材のうちの1つであることが判明した。この文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

金属コーティングされたアルミナナノ粒子については、SERSの研究結果から、不規則な形状を有するナノ粒子も、固体基材をスピンコートするために使用されうる(規則的形状のナノスフェアの代わりに)ことがわかった。例えば、アルミナは、プラズモニクス活性基材の生産に関して最も効率的な材料のうちの1つであるように見える。基材の調製は、フュームドシリカの場合と類似している(Bello J. M.、D. L. Stokes、およびT. Vo Dinh、「Silver−Coated Aluminum as a New Medium for Surface−Enhanced Raman Scattering Analysis」、1989年、Appl. Spectrosc.、43. 1325)。アルミナがテフロン(登録商標)またはラテックスナノスフェアに勝る重要な利点の1つは、コストが非常に低いことである。アルミナ表面は、10から100nmまでの範囲内でランダム分布した表面凝集塊および突起部からなる。これらの構造は、入射光子エネルギーが局在する表面プラズモンと共鳴している場合に表面上に大きな電磁場を発生する。アルミナベースの基材は、調製するのに効率がよく、低コストで、簡単であるため、広範に実用化されている。さらに、アルミナベースのSERS基材の再現性は、優秀であり、相対標準偏差は、5%未満であることがわかった(Sutherland、「A Portable Surface−Enhanced Raman Spectrometer, Instrumentation Science & Technology」、第22巻、第3号、1994年8月、231〜239頁)。これらの文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

銀コーティング二酸化チタンナノ粒子については、二酸化チタンは、表面上にコーティングする際にナノ構造粗面化を引き起こすために使用されうる代替材料である。これらの基材を調製する手順は、ナノスフェアおよびアルミナ粒子に使用されるのと類似の手順である。最初に、二酸化チタン材料がガラスおよびセルロース基材上に蒸着され、次いで、すでに説明されているように熱蒸発によって銀の50から100nmの層をコーティングされる。蒸着の前に、二酸化チタンは懸濁水溶液として調製される(濃度は10重量%)。この方法によって得られる銀コーティングされた二酸化チタン表面は、効率的なプラズモニクス活性基材を形成する(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、米国特許第7,267,948号を参照のこと)。二酸化チタンを使用すると、プラズモニクス効果に必要なナノサイズの粗面が得られる。さまざまな化合物の検出限界は、10億分の1(ppb)レベルであり、この基材が微量成分分析にとって有用であることを示している。

銀コーティングされたシリカナノ粒子では、極めてプラズモニクス活性が高く、調製しやすい別の種類の基材は、フュームドシリカベースの基材である(Alak A.およびT. Vo Dinh、「Silver−Coated Fumed Silica as New Substrate Materials for Surface−Enhanced Raman Scattering」、1989年、Anal. Chem.、61、656)。フュームドシリカは、コーティングおよび化粧品を含む、各種の工業プロセスにおいて増粘剤として使用されてきた。プラズモニクスを調製する際に、適切な種類のフュームドシリカを選択することが重要である。フュームドシリカは、異なるグレードのものが製造されており、表面積、粒子径、および圧縮度に関して異なる。フュームドシリカ粒子は、10%水溶液で懸濁され、ガラス板または濾紙上にコーティングされる。次いで、基材は、熱蒸発によって銀の50から100nm層をコーティングされる。この種類の基材では、フュームドシリカ材料は、ナノサイズの構造を有しており、プラズモニクスプロセスに対し粗面化効果を与える。この文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

プラズモニクス活性表面は、リソグラフィ技術を使用して制御された表面粗さを形成することで加工することができるが、これについて調査されている(Liao P. F.およびM. B. Stern、「Surface−enhanced Raman scattering on gold and aluminum particle arrays」、1982年、Opt. Lett.、7、483)。これらの表面は、形状およびサイズが一様な孤立銀ナノ粒子の一様な配列を含む。これらの表面は、107のオーダーでラマン増強を引き起こし、SERSの電磁気的モデルをテストするために使用されてきた。交差回折格子プラズモニクス基材の有効性は、CaF2粗面化薄膜、島状薄膜、およびエッチングされた石英のものと比較されている(Vo Dinh T.、M. Meier、およびA. Wokaun、1986年、「Surface Enhanced Raman Spectroscopy with Silver Particles on Stochastic Post Substrates」、Anal. Chim. Acta、181、139)。これらの文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

プラズマエッチングを行った基材も、本発明において使用することができる。リソグラフィ技術では広い面積にわたって周期構造を形成することは困難な場合が多い。エッチングされた石英支柱を使用する手順では、島状薄膜をSiO2基材上でエッチングマスクとして使用することによってこのような問題を回避する(Enlow P. D.、M. C. Buncick、R. J. Warmack、およびT. Vo Dinh、「Detection of Nitro polynuclear Aromatic Compounds by Surface Enhanced Raman Spectroscopy」、1986年、Anal. Chem.、58、1119)。SiO2扁長ナノロッドの調製は、銀島状薄膜をエッチングマスクとして使用するSiO2のプラズマエッチングを伴う多段階作業である。石英ガラスは、熱蒸着石英の場合に比べてエッチングがかなり遅いので、SiO2の500nm層が、0.1から0.2nm/sの速度で石英ガラス上に最初に熱蒸着される。その結果得られる結晶石英を、約950℃の温度で45分間アニールして石英ガラスにする。次いで、5nmの銀層を熱SiO2層上に蒸着し、基材を、500℃の温度で20秒間、急速加熱する。この加熱により、銀薄層がくっつきあって小球をなし、エッチングマスクとして働く。次いで、基材を、30から60分間、CHF3プラズマ中でエッチングして、サブミクロンの扁長SiO2支柱を形成し、次いで、これに通常の蒸発角で80nmの銀連続層をコーティングする。他の方法として、蒸発角を変化させて石英支柱の先端部に銀ナノ粒子を形成する方法もある(Vo Dinh T.、M. Meier、およびA. Wokaun、Surface Enhanced Raman Spectroscopy with Silver Particles on Stochastic Post Substrates」、1986年、「Anal. Chim. Acta、181、139)。これらの文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

金属コーティングされたセルロース基材も、本発明において使用することができる。これらの基材は、容器の(使い捨て)内側ライニングとして使用することができる。銀をコーティングした特殊な濾紙の直接金属コーティングを使用すれば、有用な基材が得られる。蒸着銀薄層をコーティングしたある種の微小孔濾紙は、効率的なプラズモニクス活性基材を形成するように見える。これらのセルロース系材料の走査電子顕微鏡写真から、これらの表面がSERS増強に必要な突起部を形成する多数の巻きひげを有する繊維性の10nmの糸からなることがわかった。

銀膜も、本発明において使用することができる。これらの膜は、容器の内側ライニングとして使用することもできる。最も単純な種類の固体基材の1つは、空気中微粒子サンプリングに使用される銀膜である(Vo Dinh T.、1989年、「Surface−Enhanced Raman Spectrometry, in Chemical Analysis of Polycyclic Aromatic Compounds」、Wiley、T. Vo−Dinh、Ed.、New York.)。濾紙は、すでに、SERSを誘導するために必要なナノ/ミクロの特徴(例えば、ナノ/ミクロ配列)を形成するナノ/微小孔および間隙を有している。これらの膜は、銀を含むので、これらの膜は、必ずしもさらに銀を加えなくてもプラズモニクス活性基材として直接的に使用することができる。この文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

金属基材上にナノ構造を形成するために使用できるさまざまなミクロ/ナノ加工技術が多数存在する。これらの技術としては、(限定はしない)、1)例えば、電子ビームリソグラフィ、フォトリソグラフィ、およびナノインプリントリソグラフィなどのリソグラフィ、2)例えば、反応性イオンエッチング(RIE)、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング、およびプラズマエッチングなどの乾式エッチング、3)薄膜蒸着および処理、4)集束イオンビーム(FIB)、5)電子ビームおよび熱蒸発、6)プラズマ化学気相成長法(PECVD)、7)スパッタリング、および8)ナノインプリンティングが挙げられる。

さらに、銀または他の金属のナノ粒子が埋め込まれているゾル−ゲルマトリックスも、本発明において使用することができる。プラズモニクス活性基材として働く光学的半透明材料が調製されている[M. Volcan、D.L. Stokes、およびT. Vo−Dinh、「A Sol−Gel Derived AgCl Photochromic Coating on Glass for SERS Chemical Sensor Application」、Sensors and Actuators B、106、660〜667頁(2005年)]。この材料は、ゾル−ゲル法によって合成され、元素銀のナノ粒子に対する前駆体として使用されるin−situ析出AgCl粒子を含むシリカマトリックスである。銀ナノ粒子へのAgClの還元は、UV照射によって達成される。プラズモニクス活性媒質を固体上に分散したが、これにより、薄く、丈夫な、光学的半透明基材を形成した。この手順は、上述の金属ナノ粒子が埋め込まれているコーティングを形成するようにさらに修正を加えることができる。この文献(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)において説明されている加工手順は、本発明に使用することができる。

本発明について一般的に説明したが、本明細書に例示目的のみのために提示され、特に断りのない限り制限することを意図されていない、いくつかの特定の例を参照するとさらに理解を高めることができる。

上記の教示に照らして、本発明の多数の修正形態および変更形態が可能である。したがって、付属の請求項の範囲内において、本明細書で特に説明されている以外の方法で本発明を実施することが可能であることは理解されるであろう。

1 開始エネルギー源 2 活性化可能作用物質 3 エネルギー変調作用物質 4 媒質 5 コンピュータシステム 6 カプセル封入エネルギー変調作用物質 7 開始エネルギー 9 容器 10 カプセル封入構造 11 供給部 20 流動床 1201 コンピュータシステム 1202 バス 1203 プロセッサ 1204 メインメモリ 1205 読み取り専用メモリ(ROM) 1206 ディスクコントローラ 1207 磁気ハードディスク 1208 リムーバブルメディアドライブ 1209 ディスプレイコントローラ 1213 通信インターフェース 1214 ネットワークリンク 1215 ローカルネットワーク 1216 通信ネットワーク

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