能動騒音制御装置

申请号 JP2012534465 申请日 2012-03-29 公开(公告)号 JP5991487B2 公开(公告)日 2016-09-14
申请人 パナソニックIPマネジメント株式会社; 发明人 水野 耕;
摘要
权利要求

所望の制音対象領域内の制音対象音を相殺する能動騒音制御装置であって、 波面制御信号に基づいて、制御音を出する複数の制御音出力部と、 前記複数の制御音出力部の夫々に対し、前記波面制御信号を出力する波面制御部とを備え、 前記波面制御部は、前記複数の制御音出力部の夫々に対応するフィルタ係数を用いてデジタルフィルタ処理を実行する複数の制御フィルタを備え、前記複数の制御音出力部の夫々から出力される前記制御音の合成音が、前記制音対象音の騒音源の位置と略同一となる位置であって、前記制御音出力部の前方に予め設定された位置の仮想音源から前記制音対象領域に向けて出力されるように、且つ、前記制音対象領域で前記制音対象音が相殺されるように前記複数の制御フィルタによるデジタルフィルタ処理を実行し、前記波面制御信号を生成する 能動騒音制御装置。騒音源から出力される前記制音対象音の出力方向に、前記制音対象音を聴くことが可能な非制音対象領域が設定され、前記騒音源から出力される前記制音対象音の出力方向とは別の方向に、前記制音対象領域が設定されている場合に、 前記波面制御部は、前記仮想音源から出力される前記合成音が、前記騒音源から出力される前記制音対象音の出力方向とは別の方向にむけて出力されるように、前記波面制御信号を生成する 請求項1に記載の能動騒音制御装置。前記波面制御部は、前記制音対象領域において、前記合成音の位相が前記制音対象音の位相と逆位相となり、前記合成音の振幅が、前記制音対象音の振幅と同じになるように、前記波面制御信号を設定する 請求項1または2に記載の能動騒音制御装置。前記波面制御部は、 前記制御音の生成に用いる入力信号の位相を反転させた反転信号を生成する反転部と、 前記反転信号を、所定の遅延量で遅延させて反転遅延信号を生成する遅延補正部とを有し、 前記複数の制御フィルタは、前記反転遅延信号に対しデジタルフィルタ処理を実行して、前記波面制御信号を生成する 請求項1〜3の何れか1項に記載の能動騒音制御装置。前記波面制御部は、 前記制音対象音が出力されている状態で、前記制御音の出力を停止し、音を検出する検出装置を用いて前記制音対象音を検出し、検出結果に基づいて騒音伝達関数を算出する騒音伝達関数算出処理と、前記制音対象音が出力されていない状態で、前記複数の制御音出力部から測定用の制御音を出力し、前記検出装置を用いて前記測定用の制御音の測定用の合成音を検出し、検出結果に基づいて合成音伝達関数を算出する合成音伝達関数算出処理と、を実行する波面算出部と、 前記波面算出部で算出された前記騒音伝達関数および前記合成音伝達関数に基づいて、前記遅延量を設定する遅延量制御部とを有する 請求項4に記載の能動騒音制御装置。前記波面制御部は、さらに、 ゲイン補正値に基づいて前記反転遅延信号のゲインを調整するゲイン補正部と、 前記波面算出部で算出された前記騒音伝達関数および前記合成音伝達関数に基づいて、前記合成音の波面と前記制音対象音の波面の一致度が大きくなるように、ゲイン補正値を求めるゲイン制御部とを有する 請求項5に記載の能動騒音制御装置。前記検出装置は、少なくとも2個以上のマイクからなり、前記制御音の合成音の同位相部によって形成される円弧に沿って等間隔に配置される 請求項5に記載の能動騒音制御装置。

说明书全文

本発明は、制音対象領域の騒音を相殺する能動騒音制御装置に関する。

従来の能動騒音制御装置としては、例えば、騒音源の近傍に多数設置したスピーカから、騒音(制音対象音)とは逆位相の制御音を出することにより、騒音源から生じる騒音を、広い範囲で低減する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。

ここで、図1Aは、特許文献1に記載された従来の能動騒音制御装置を備える空気調和室内機1の鉛直方向の断面を示す断面図であり、図1Bは、空気調和室内機1を、図1Aの図面下側からみた平面図(下面視図)である。

図1Aおよび図1Bに示すように、空気調和室内機1は、騒音を発生するターボファン2、熱交換器3、空気調和室内機1の下方端面に設けられた吸い込みグリル4、ターボファン2から発生する騒音の伝播方向(図の下方向)と同じ方向に、騒音とは逆位相の制御音を放射する発音手段5を備えている。

図1Bに示すように、発音手段5は、5つのスピーカ5a〜スピーカ5eで構成されており、空気の流路部6を囲むように、アレイ状に取り付けられている。スピーカ5a〜スピーカ5e同士の設置間隔dは、ターボファン2から発生する騒音の最高周波数の音の波長の1/2より短く設定されている。また、スピーカ5aとターボファン2との間の設置間隔hは、スピーカ5a〜スピーカ5e同士の設置間隔dと同様に、上記騒音の最高周波数の音の波長の1/2より短く設定されている。このように、ターボファン2とスピーカ5a、及び、スピーカ5a〜スピーカ5e同士を、設置間隔hおよび設置間隔dが騒音の最高周波数の音の波長に比べて短くなるように、近接に配置することにより、騒音の伝搬波面とスピーカ5a〜スピーカ5eからの逆位相音の伝搬波面をほぼ一致させることが出来る。その結果、3次元空間の広い範囲で騒音を低減することが出来る。

特許第3072174号公報

しかしながら、上述した従来の能動騒音制御装置では、例えば、騒音の最高周波数が500[Hz]の場合、ターボファン2とスピーカ5aの設置間隔h、及びスピーカ5a〜スピーカ5e同士の設置間隔dを500[Hz]の波長の1/2である34[cm]以下になるよう配置する必要がある。従って、従来の能動騒音制御装置は、騒音源近傍に発音手段5を配置出来るスペースが無い機器には適用出来ないという問題がある。

尚、一般的に、騒音源と発音手段との距離が離れるほど、騒音を低減できる範囲が狭くなる。このため、配置スペースが限られる機器において、騒音源から離れた位置に能動騒音制御装置を設置した場合には、騒音を低減できる範囲が狭くなり、騒音を低減したい領域(制音対象領域)全体で騒音を低減できなくなる可能性がある。

本発明は、設置位置を騒音源近傍に限る必要がなく、且つ、広い範囲で騒音を低減できる能動騒音制御装置を提供することを目的とする。

上記の課題を解決するために、本発明に係る能動騒音制御装置は、所望の制音対象領域内の制音対象音を相殺する能動騒音制御装置であって、波面制御信号に基づいて、制御音を出力する複数の制御音出力部と、前記複数の制御音出力部の夫々に対し、前記波面制御信号を出力する波面制御部とを備え、前記波面制御部は、前記複数の制御音出力部の夫々から出力される前記制御音の合成音が、予め設定された位置の仮想音源から前記制音対象領域に向けて出力されるように、且つ、前記制音対象領域で前記制音対象音が相殺されるように、前記波面制御信号を生成する。

本発明の能動騒音制御装置によれば、配置スペースが限られる機器であっても、広い範囲で騒音を低減可能になる。

図1Aは、従来の能動騒音制御装置を備える空気調和室内機の一構成例を示す概略断面図である。

図1Bは、従来の能動騒音制御装置を備える空気調和室内機の一構成例を示す概略平面図(下面視図)である。

図2Aは、本発明の実施の形態1における能動騒音制御装置の設置例を示す概略図である。

図2Bは、本発明の実施の形態1における能動騒音制御装置と騒音源との配置関係を示す概略ブロック図である。

図3は、本発明の実施の形態1における能動騒音制御装置の一構成例を示す概略ブロック図である。

図4は、波面合成理論に基づくフィルタ係数の計算で用いるパラメータを説明する模式図である。

図5は、本発明の実施の形態1における能動騒音制御装置と騒音源との配置関係を示す概略平面図(上面視図)である。

図6は、騒音源から出力される制音対象音の騒音波面の一例を示す波面図である。

図7は、本発明の実施の形態1における能動騒音制御装置のうち、騒音伝達関数の算出にかかる部分を示す概略部分ブロック図である。

図8は、点音源の仮想音源を生成した場合における合成音の合成音波面の一例を示す波面図である。

図9は、本発明の実施の形態1における能動騒音制御装置のうち、合成音伝達関数の算出にかかる部分を示す概略部分ブロック図である。

図10Aは、騒音伝達関数のインパルス応答を示す波形図である。

図10Bは、合成音伝達関数のインパルス応答を示す波形図である。

図11は、本発明の実施の形態1における能動騒音制御装置による騒音低減結果の一例を示す波面図である。

図12は、本発明の実施の形態3における能動騒音制御装置のうち、ゲイン補正を行う追加構成を示す概略部分ブロック図である。

図13は、本発明の実施の形態4における能動騒音制御装置の一構成例を示す概略ブロック図である。

図14は、波面合成理論に基づくフィルタ係数の計算で用いるパラメータを説明する模式図である。

(本発明に係る能動騒音制御装置の概要) 本発明に係る能動騒音制御装置は、所望の制音対象領域内の制音対象音を相殺する能動騒音制御装置であって、波面制御信号に基づいて、制御音を出力する複数の制御音出力部と、前記複数の制御音出力部の夫々に対し、前記波面制御信号を出力する波面制御部とを備え、前記波面制御部は、前記複数の制御音出力部の夫々から出力される前記制御音の合成音が、予め設定された位置の仮想音源から前記制音対象領域に向けて出力されるように、且つ、前記制音対象領域で前記制音対象音が相殺されるように、前記波面制御信号を生成する。

このように構成することによって、音響出力部の設置位置を、騒音源近傍に限る必要がなくなり、且つ、騒音源と音響出力部の相対位置関係に関わらず広い領域で騒音を低減することが可能になる。

尚、制音対象音の相殺とは、制音対象音を完全に消すことだけでなく、低減することを含む。望ましくは、人の気にならない程度に低減することである。

さらに望ましくは、本発明に係る能動騒音制御装置の一態様は、騒音源から出力される前記制音対象音の出力方向に、前記制音対象音を聴くことが可能な非制音対象領域が設定され、前記騒音源から出力される前記制音対象音の出力方向とは別の方向に、前記制音対象領域が設定されている場合に、前記波面制御部は、前記仮想音源から出力される前記合成音が、前記騒音源から出力される前記制音対象音の出力方向とは別の方向にむけて出力されるように、前記波面制御信号を生成する。

さらに望ましくは、本発明に係る能動騒音制御装置の一態様は、前記波面制御部は、前記制音対象領域において、前記合成音の位相が前記制音対象音の位相と逆位相となり、前記合成音の振幅が、前記制音対象音の振幅と同じになるように、前記波面制御信号を設定する。

さらに望ましくは、本発明に係る能動騒音制御装置の一態様は、前記波面制御部は、前記制御音の生成に用いる入力信号の位相を反転させた反転信号を生成する反転部と、前記反転信号を、所定の遅延量で遅延させて反転遅延信号を生成する遅延補正部と、前記反転遅延信号に対しデジタルフィルタ処理を実行して、前記波面制御信号を生成するデジタルフィルタ処理部と、を有する。

さらに望ましくは、本発明に係る能動騒音制御装置の一態様は、前記波面制御部は、前記制音対象音が出力されている状態で、前記制御音の出力を停止し、音を検出する検出装置を用いて前記制音対象音を検出し、検出結果に基づいて騒音伝達関数を算出する騒音伝達関数算出処理と、前記制音対象音が出力されていない状態で、前記複数の制御音出力部から測定用の制御音を出力し、前記検出装置を用いて前記測定用の制御音の測定用の合成音を検出し、検出結果に基づいて合成音伝達関数を算出する合成音伝達関数算出処理と、を実行する波面算出部と、前記波面算出部で算出された前記騒音伝達関数および前記合成音伝達関数に基づいて、前記遅延量を設定する遅延量制御部とを有する。

さらに望ましくは、本発明に係る能動騒音制御装置の一態様は、前記波面制御部は、さらに、ゲイン補正値に基づいて前記反転遅延信号のゲインを調整するゲイン補正部と、前記波面算出部で算出された前記騒音伝達関数および前記合成音伝達関数に基づいて、前記合成音の波面と前記制音対象音の波面の一致度が大きくなるように、ゲイン補正値を求めるゲイン制御部とを有する。

さらに望ましくは、本発明に係る能動騒音制御装置の一態様は、前記検出装置は、少なくとも2個以上のマイクからなり、前記制御音の合成音の同位相部によって形成される円弧に沿って等間隔に配置される。

以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の望ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、処理、処理の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より望ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。

(実施の形態1) 本発明の実施の形態1に係る能動騒音制御装置について、図2A〜図11を基に説明する。

本発明の実施の形態1に係る能動騒音制御装置は、複数の制御スピーカ(制御音出力部に相当)と、制御スピーカを駆動制御する波面制御部を備え、当該複数の制御スピーカが出力する制御音の合成音により、所望の制音対象領域内の制音対象音を相殺するものである。

ここで、図2Aは、本実施の形態1における能動騒音制御装置の設置例を表した概略ブロック図である。図2Bは、本実施の形態1における能動騒音制御装置と騒音源との配置関係を表した概略ブロック図であり、図2Aの住居空間を上から見た上面視図に相当する。

図2Aおよび図2Bに示すように、本実施の形態1では、能動騒音制御装置10が、一般の居室101に適用される場合を想定して説明する。図2Bに示すように、当該居室101は、図面下側に設定されたTV視聴エリア103(非制音対象領域)に向けて音声を出力するように、TV102が設置されている。本実施の形態1では、TV102の再生スピーカ102a、102bを騒音源7とし、TV102の再生スピーカ102a、102bから出力される音声を制音対象音として説明する。

また、能動騒音制御装置10は、図2Aおよび図2Bに示すように、図面左側の壁面に埋め込んだ状態で固定的に設定されている。即ち、本実施の形態1の能動騒音制御装置10は、制音対象音を発生する騒音源7から離れた位置に設置されている。能動騒音制御装置10は、TV102の位置に設定された仮想音源11から、図面右側の空間に設定された制音対象領域104に向けて合成音を出力し、制音対象音を相殺するように構成されている。

尚、本実施の形態1では、能動騒音制御装置10が、一般の住居に適用される場合を想定しているが、これに限るものではなく、オフィス等、他の空間であっても良い。また、騒音対象音は、TV102の再生スピーカ102a、102bが出力する音声に限られるものではなく、オーディオ機器等の他の映像機器等が出力する音声であっても良い。この場合、騒音源7は、当該音声を出力する機器となる。また、制音対象領域104および非制音対象領域は、居室の利用形態や騒音源7によって適切に設定する。

(実施の形態1における能動騒音制御装置の構成) 本実施の形態1における能動騒音制御装置の構成について、図3を基に説明する。ここで、図3は、実施の形態1における能動騒音制御装置10の概略構成例を示す概略ブロック図である。

図3に示すように、能動騒音制御装置10は、反転部12、遅延補正部13、波面算出部14、遅延量制御部15、複数の制御フィルタ161、162、・・・、16n(nは2以上の整数)を有するデジタルフィルタ処理部16、および、測定信号発生部18を有する波面制御部9と、複数の制御スピーカ171、172、・・・、17n(制御音出力部に相当)を有する音響出力部17と、制御音を生成するための入力信号を受け付けるための入力信号用端子(図示せず)と、音を検出する検出装置8から出力される検出信号を受け付けるための検出信号用端子(図示せず)とを備えている。尚、本実施の形態1では、入力信号および検出信号を取得するための構成として、入力信号用端子および検出信号用端子を例示したが、入力信号および検出信号の取得方法は、これに限るものではない。また、検出装置8は、本発明の必須構成ではない。

反転部12は、入力信号の位相を反転させて反転信号を生成し、遅延補正部13に出力する。ここで、入力信号は、TV102の再生スピーカ102a、102bから音声を出力させるための信号、即ち、放送信号である場合を想定している。尚、騒音源7として、オーディオ機器等を想定している場合には、当該オーディオ機器から、音声を出力するための信号を、入力信号として受け付けるように構成する。

遅延補正部13は、反転部12から出力された反転信号を、遅延量制御部15で設定された遅延量で遅延させて反転遅延信号を生成し、デジタルフィルタ処理部16に出力する。

波面算出部14は、検出装置8から出力された検出信号に基づいて、制音対象音の騒音波面の分布を示す騒音伝達関数と、測定用の制御音で構成される測定用の合成音の合成音波面の分布を示す合成音伝達関数を計算し、波面情報として遅延量制御部15に出力する。

遅延量制御部15は、波面算出部14から出力された波面情報に基づいて、騒音波面7wと合成音波面11wが逆位相の関係になるように、反転信号の遅延量を設定する。より詳細には、遅延量制御部15は、本実施の形態1では、制音対象音の騒音伝達関数から求められるインパルス応答の時間遅れと、測定用の合成音の合成音伝達関数から求められるインパルス応答の時間遅れとの差Δτを算出する遅延量算出部15bと、Δτに基づいて、反転信号の遅延量を決定する遅延量決定部15aとを有する。

デジタルフィルタ処理部16は、制御フィルタ16i(i=1〜n)が、遅延補正部13から出力された反転遅延信号に対し、後述するフィルタ係数を用いてデジタルフィルタ処理を実行して、制御スピーカ17iを駆動する。デジタルフィルタ処理部16は、複数の制御音の合成音に対応する仮想音源11が、予め設定された位置に形成され、仮想音源11の出力方向が制音対象領域104に向かう方向となるように、且つ、複数の制御音の合成音の同位相部が円弧を形成する領域が、制音対象領域104と重なるように、波面制御信号を生成し、制御スピーカ17iに出力する。

より詳細には、制御フィルタ16iは、仮想音源11として点音源を仮定した場合に、入力される信号に対し、公知の波面合成理論に基づくフィルタ係数を用いてデジタルフィルタ処理を行い、制御スピーカ17iを駆動する(駆動処理)。尚、波面合成理論は、直線上に配置された複数の制御スピーカから出力される制御音の合成音の合成音波面が、所望の波面となるように、制御スピーカ夫々について、制御音を設定する理論である。合成音理論の詳細は、例えば、Edwin Verheijen著「Sound reproduction by wave field synthesis」Delft University of Technology(1997)(非特許文献)に開示されている。

制御フィルタ16iにおけるデジタルフィルタ処理で用いるフィルタ係数について、図4を基に説明する。ここで、図4は、波面合成理論に基づくフィルタ係数計算式のパラメータを説明する模式図である。図4では、xy直交座標系を用いており、複数の制御スピーカ171〜17nの配置方向が、y軸方向となっている。

制御フィルタ16iのフィルタ係数は、周波数ωの関数として表される。フィルタ係数Qi(ω)は、仮想音源11を制御スピーカ171〜17nの制御音の出力方向に形成する場合、制御スピーカ17iと仮想音源11を結ぶ線分の長さri、および、x軸と上記線分とが成す度φiを用いて、以下の式(1)で求められる。

ただし、式(1)において、kは周波数[Hz]/音速[m/s]を表す。また、αはフィルタゲインを決定するパラメータであり、合成音波面11wのレベルが騒音波面7wのレベルに等しくなるように調整する。

尚、長さriおよび角度φiは、制御スピーカ17iに対する仮想音源11の位置で決まるが、本実施の形態1では、仮想音源11の位置は、騒音源7(TV102の再生スピーカ102b)の位置と一致するように設定している。本実施の形態1では、騒音源7が、音響出力部17の前方2[m]の位置(ri×cosφi=2となる位置)に設置されている場合について説明する。

尚、本実施の形態1では、制御スピーカ171〜17nおよび仮想音源11が固定されている場合を想定しているので、フィルタ係数Q1(ω)〜Qn(ω)は、予め固定的に設定しておく場合を想定している。

音響出力部17は、波面制御信号に基づいて制御音を出力する。音響出力部17は、本実施の形態1では、12[cm]間隔で設置された32個(n=32)の制御スピーカ171〜1732で構成される場合を想定して説明する。

(実施の形態1における能動騒音制御装置の動作) 次に、本実施の形態1における能動騒音制御装置10の動作について図5を基に説明する。ここで、図5は、騒音を発生する騒音源7と、騒音の同位相部を示す騒音波面7wと、音を検出する検出装置8と、能動騒音制御装置10と、能動騒音制御装置10が発する制御音の合成音に対応する仮想音源11と、合成音の同位相部を示す合成音波面11wとの位置関係を模式的に示す概略ブロック図である。図5に示すように、本実施の形態1では、仮想音源11の位置が、騒音源7(TV102の再生スピーカ102a、102b)の位置と一致するように設定されている。また、検出装置8は、複数のマイクで構成される場合を想定している。

能動騒音制御装置10は、通常の制音動作と、制音動作で用いる遅延量を設定するための遅延量設定動作を実行するように構成されている。

ここで、本実施の形態1では、制音動作は、騒音源7から騒音が出力されているときは常時実行する場合を想定しているが、操作入力などにより、制音動作を実行するか否かを設定可能に構成しても良い。また、遅延量設定動作は、本実施の形態1では、能動騒音制御装置10の設置後、制音動作の最初の実行前に、1回のみ実行する場合を想定しているが、制音動作の前に毎回実行するように構成しても良い。

(制音動作) 通常の制音動作では、能動騒音制御装置10は、反転部12が、入力信号(放送信号)の位相を反転させて、反転信号を生成する(反転信号生成処理)。

遅延補正部13は、反転部12から反転信号が出力されると、遅延量設定動作において遅延量制御部15が決定した遅延量で反転信号を遅延させ、反転遅延信号として出力する(遅延補正処理)。

さらに、制御フィルタ16i(i=1〜n)が、反転遅延信号に対しデジタルフィルタ処理を実行して、制御スピーカ17iを駆動して制御音を出力させる(駆動処理)。これにより、制音対象音を相殺することができる。

(遅延量設定動作) 遅延量設定動作では、能動騒音制御装置10は、検出装置8が出力する検出信号に基づき、騒音波面7wと合成音波面11wが逆位相の関係になるように、制御音の出力タイミングを調整するための遅延量を算出する。

より詳細には、先ず、波面算出部14が、騒音源7から制音対象音が出力され、且つ、制御スピーカ171〜17nから制御音が出力されていない状態で、入力信号と検出信号に基づいて、検出装置8の設置位置での騒音伝達関数を計算する(騒音伝達関数算出処理)。即ち、TV102の再生スピーカ102a、102bから音声が出力され、制御音が出力されていない状態で、放送信号と検出信号に基づいて、検出装置8の設置位置での騒音伝達関数を計算する。

ここで、図6は、騒音源7を点音源とみなした場合において、騒音源7から出力される音、ここでは、1.5[kHz]成分の瞬時音圧の分布、すなわち、騒音波面7wを示す波面図である。

また、図7は、騒音波面7wを算出する場合において、検出装置8と、能動騒音制御装置10のうち、騒音波面7wの算出に関わる部分の構成を示す概略ブロック図である。図7において、検出装置8は、複数のマイク8a〜マイク8eで構成されている。マイク8a〜マイク8eは、騒音源7を中心とする同心円状に等角度間隔で配置されている。尚、本実施の形態1では、検出装置8が、5個のマイク8a〜マイク8eで構成される場合を想定して説明するが、これに限るものではない。

次に、波面算出部14が、合成音波面11wの合成音伝達関数を算出する(合成音伝達関数算出処理)。

先ず、測定信号発生部18が、測定用の入力信号を生成し、制御フィルタ161〜16nおよび波面算出部14に入力する。尚、本実施の形態1では、能動騒音制御装置10内に測定信号発生部18を構成し、測定信号発生部18が測定用の入力信号を生成する場合を想定して説明するが、これに限るものではない。測定信号発生部18は、本発明の必須要素ではないため、例えば、測定信号発生部18を外部に設けても良い。また、測定用の入力信号として、通常動作における入力信号と同じ信号を用いても良い。

制御フィルタ161〜16nは、入力された測定用の入力信号に対し、上述したデジタルフィルタ処理を実行して、制御スピーカ171〜17nを駆動し、測定用の制御音を出力させる。これにより、マイク8a〜マイク8eにおいて、測定用の制御音の合成音が検出され、検出信号として波面算出部14に出力される。

波面算出部14は、騒音源7から騒音が放射されていない状態で、マイク8a〜マイク8eから出力される検出信号と、測定信号発生部18が生成した測定用の入力信号とに基づいて、マイク8a〜8eの設置位置での測定用の制御音の合成音の合成音伝達関数を計算する。

ここで、図8は、音響出力部17の前方1[m]の位置(ri×cosφi=1)に点音源の仮想音源11を生成した場合において、合成音のうち、1.5[kHz]成分の瞬時音圧の分布、すなわち、合成音波面11wを示す波面図である。

また、図9は、合成音波面11wを算出する場合において、仮想音源11と、検出装置8と、能動騒音制御装置10のうち、合成音波面11wの算出に関わる部分の構成を示す概略ブロック図である。尚、図9に示す検出装置8の構成は、図7と同じである。

引き続き、遅延量制御部15は、波面算出部14が算出した騒音伝達関数と合成音伝達関数に基づいて、合成音波面11wが騒音波面7wと同じタイミングで伝搬するように、反転信号の遅延量を決定する(遅延制御処理)。

ここで、図10Aは、騒音伝達関数のインパルス応答の一例を示す波形図であり、図10Bは、制御音伝達関数のインパルス応答の一例を示す波形図である。図10Aに示すように、マイク8a〜マイク8eの検出信号に対応する騒音伝達関数のインパルス応答の時間遅れを各々τH1〜τH5とし、図10Bに示すように、マイク8a〜マイク8eの検出信号に対応する合成音伝達関数のインパルス応答の時間遅れを各々τC1〜τC5とする。騒音源7は、通常、所定の大きさを有するため、理想的な点音源では無く、騒音波面7wは非等方的である。そのためτH1〜τH5は一定では無い。一方、合成音波面11wについても、制御スピーカ171〜17nの設置間隔、制御スピーカ171〜17nの放射指向特性等の影響により非等方的であり、τC1〜τC5は一定では無い。そこで、遅延量制御部15の遅延量算出部15bは、以下の式(2)を用い、時間遅れの差の平均値Δτを算出する。

遅延量制御部15の遅延量決定部15aは、Δτを遅延量として設定し、当該遅延量を示す情報を遅延補正部13に出力する。以上の遅延量設定動作により、合成音波面11wが騒音波面7wと同じタイミングで伝搬するように、制御スピーカ171〜17nから出力される制御音の出力タイミングを調整することが出来る。

尚、本実施の形態1では、能動騒音制御装置10は、騒音源7とほぼ同位置に仮想音源11が形成されるように制御音を出力するので、図8および図6から確認されるように、仮想音源11より遠ざかる方向(図面上の右方向)の広い領域で、図5に示す合成音波面11wが騒音波面7wとほぼ同じ波面となると考えられる。当該領域が、制音対象領域104全体を覆うように設定することにより、制音対象領域104全体で、制音対象音を相殺することが可能になる。

図11は、能動騒音制御装置10による騒音低減結果の一例を示す波面図である。図11に示す波面図では、図6と同様に、騒音源7を、点音源として表し、制音対象音である1.5kHz成分の音の低減量の分布を表した。騒音波面7wと合成音波面11wが一致する広い領域(騒音源7の図面右側領域105)で、6dB以上の騒音低減量が得られることが確認された。また、騒音源7の図面下側領域107では、制音対象音は低減されていない。

以上より、図11および図2Bより、本実施の形態1の能動騒音制御装置10は、TV102の再生スピーカ102a、102bの出力方向に設定されたTV視聴エリア103は、制音対象音が低減されていない領域107と重なるため、TV102の再生スピーカ102a、102bから出力される音声の通常の視聴が可能である。さらに、本実施の形態1の能動騒音制御装置10は、TV102の再生スピーカ102a、102bの図面右側に設定された制音対象領域104は、騒音波面7wと合成音波面11wが一致する領域105と重なるため、TV102の再生スピーカ102a、102bの音声は聞こえない。例えば、リビングおよびダイニングが同一の居室101内にある場合に、リビングにTV視聴エリア103を設定し、ダイニングに制音対象領域104を設定すれば、TV視聴エリア103(リビング)にいる人については、TV102の通常の視聴を可能にし、且つ、制音対象領域104(ダイニング)にいる人については、通常の会話が可能な程度にTV102の音声を相殺する。

以上説明したように、本実施の形態1の能動騒音制御装置10によれば、騒音源7の位置に騒音波面と逆位相の合成音波面を形成する仮想音源11を生成するので、制御スピーカ171〜17nを騒音源7の近傍に配置する必要が無く、様々な騒音環境への適用と広い領域の騒音低減を両立することが出来る。

なお、本実施の形態1では、式(2)では、配置されたマイク8a〜8e全ての出力に基づいて処理遅延量Δτを決定しているが、τH1〜τH5、τH1〜τH5のうち所定時間を超える時間遅れは式(2)の計算から除外しても良い。

(実施の形態2) 本発明の実施の形態2に係る能動騒音制御装置について図面を基に説明する。

本実施の形態2では、制音対象音として、例えば、住居やオフィスなどで使用される機器から発生する周期性のある騒音を想定している。また、制音対象領域が、当該機器を使用する空間(部屋)である場合を想定している。

本実施の形態2に係る能動騒音制御装置10は、図3に示す実施の形態1における能動騒音制御装置10の各構成(反転部12、遅延補正部13、波面算出部14、遅延量制御部15、デジタルフィルタ処理部16および測定信号発生部18を有する波面制御部9と、音響出力部17と、入力信号用端子と、検出信号用端子)に加え、制音対象音を検出する検出部(図示せず)を備えている。

(実施の形態2における能動騒音制御装置の動作) 次に、本実施の形態2における能動騒音制御装置10の動作について説明する。能動騒音制御装置10は、実施の形態1と同様に、通常の制音動作と、制音動作で用いる遅延量を設定するための遅延量設定動作を実行する。

(制音動作) 通常の制音動作について説明する。上述したように、本実施の形態1では、制音対象音として、周期性のある騒音を想定しているため、騒音源7の位置において制音対象音を検出した信号を、入力信号として用いる場合について説明する。

能動騒音制御装置10は、先ず、騒音源7から制音対象音が出力され、制御音を出力していない状態で、入力信号を受け付ける。反転部12は、制御音が出力されていないときの入力信号の位相を反転させて、反転信号を生成する(反転信号生成処理)。本実施の形態1では、入力信号として、周期性を備える信号を想定していることから、1周期分の単位反転信号を生成した後、遅延補正部13に対し、単位反転信号を繰り返し出力する。反転部12は、入力信号の波形を解析して、繰り返しパターンを検出し、単位反転信号を生成する。尚、制音動作中、入力信号を監視し、合成音のみが検出された時点で、単位反転信号の出力を停止するように構成しても良い。

遅延補正部13は、実施の形態1と同様に、反転部12から反転信号が出力されると、遅延量設定動作において遅延量制御部15が決定した遅延量で反転信号を遅延させ、反転遅延信号として出力する(遅延補正処理)。

さらに、制御フィルタ16i(i=1〜n)が、実施の形態1と同様に、反転遅延信号に対しデジタルフィルタ処理を実行して、制御スピーカ17iを駆動して制御音を出力させる(駆動処理)。これにより、制音対象領域内の制音対象音を相殺することができる。

(遅延量設定動作) 遅延量設定動作では、能動騒音制御装置10は、先ず、波面算出部14が、騒音源7から制音対象音が出力され、且つ、制御スピーカ171〜17nから制御音が出力されていない状態で、入力信号と検出信号に基づいて、検出装置8の設置位置での騒音伝達関数を計算する(騒音伝達関数算出処理)。

次に、波面算出部14が、合成音波面11wの合成音伝達関数を算出する(合成音伝達関数算出処理)。尚、本実施の形態2の合成音伝達関数の算出方法は、実施の形態1と同じである。

引き続き、遅延量制御部15は、波面算出部14が算出した騒音伝達関数と合成音伝達関数に基づいて、合成音波面11wが騒音波面7wと同じタイミングで伝搬するように、反転信号の遅延量を決定する(遅延制御処理)。尚、本実施の形態2では、遅延量は、実施の形態1と同様に、インパルス応答の時間遅れの差の平均値Δτを求めて決定する。

(実施の形態3) 本発明の実施の形態3に係る能動騒音制御装置について、図12を基に説明する。

本実施の形態3に係る能動騒音制御装置10が、実施の形態1および実施の形態2の能動騒音制御装置と異なる点は、反転遅延信号のゲインを補正可能な点である。

なお、図5に示す騒音波面7wと合成音波面11wの伝搬タイミング(遅延量)に加え、ゲインを調整可能に構成すれば、騒音波面7wと合成音波面11wの一致度合いをさらに高めることができる。

(実施の形態3における能動騒音制御装置の構成) 本実施の形態3における能動騒音制御装置の構成について、図12を基に説明する。ここで、図12は、能動騒音制御装置の構成の一部、ゲイン補正にかかる部分を示している。図12に示すように、本実施の形態3の能動騒音制御装置は、実施の形態1および実施の形態2の能動騒音制御装置の各構成(反転部12、遅延補正部13、波面算出部14、遅延量制御部15、デジタルフィルタ処理部16、音響出力部17、および、測定信号発生部18)に加え、ゲイン補正部22とゲイン制御部23とを備えている。

尚、反転部12、遅延補正部13、波面算出部14、遅延量制御部15、デジタルフィルタ処理部16、音響出力部17、および、測定信号発生部18の構成は、実施の形態1または実施の形態2の能動騒音制御装置と同じである。

ゲイン補正部22は、遅延補正部13から出力される反転遅延信号のゲインを、ゲイン制御部23で決定されたゲイン補正値で調整する。

ゲイン制御部23は、波面算出部14で計算されたマイク8a〜8eの各々に対応する騒音伝達関数のゲインgH1〜gH5と、合成音伝達関数のゲインgC1〜gC5を求めるゲイン算出部24と、ゲイン算出部24が求めたゲインに基づいてゲイン補正値を決定するゲイン決定部25とを有している。

ゲイン決定部25は、騒音伝達関数のゲインgH1〜gH5と合成音伝達関数のゲインgC1〜gC5を用いて、以下の式(3)で求められる。

本実施の形態3によれば、反転遅延信号のゲインを調整して波面制御信号を生成するので、合成音波面11wと騒音波面7wの一致度をさらに向上させ、制音対象音の相殺量を増加させ、制音対象領域をさらに拡大することが可能になると考えられる。

(実施の形態4) 本発明の実施の形態4に係る能動騒音制御装置について、図13および図14を基に説明する。

本実施の形態4に係る能動騒音制御装置10が、実施の形態1〜実施の形態3の能動騒音制御装置10と異なる点は、ユーザーが、能動騒音制御装置10の制御スピーカ171〜17nの位置および仮想音源11の位置を変更可能な点である。

即ち、本実施の形態4に係る能動騒音制御装置10は、制御スピーカの位置および仮想音源11の位置の設定変更時に、制音動作および遅延量設定動作の実行前に、デジタルフィルタ処理部16で用いるフィルタ係数Q1(ω)〜Qn(ω)を設定するフィルタ係数設定動作を実行する。

ここで、図13は、本実施の形態4に係る能動騒音制御装置10の概略構成例を示す概略ブロック図である。

図13に示すように、本実施の形態4に係る能動騒音制御装置10は、実施の形態1と同様に、波面制御部9と、音響出力部17と、入力信号用端子(図示せず)と、検出信号用端子(図示せず)とを備えている。波面制御部9は、本実施の形態4では、反転部12、遅延補正部13、波面算出部14、遅延量制御部15、デジタルフィルタ処理部16、測定信号発生部18、音源位置入力部26およびフィルタ係数設計部27を備えている。尚、反転部12、遅延補正部13、波面算出部14、遅延量制御部15、デジタルフィルタ処理部16および測定信号発生部18の構成は、実施の形態1と同じである。

音源位置入力部26は、フィルタ係数設定動作において、ユーザーの操作により、制御スピーカ171〜17nの位置および騒音源7の位置を示す位置情報を受け付ける。ここで、図14は、波面合成理論に基づくフィルタ係数計算で用いるパラメータを説明する模式図である。図14では、図4と同様に、xy直交座標系を用いており、複数の制御スピーカ171〜17nの配置方向が、y軸方向となっている。

より具体的には、音源位置入力部26は、ユーザーの操作入力により、制御スピーカ17iの座標データ(xi、yi)および仮想音源11の座標データ(x0、y0)を示す位置情報を受け付ける。尚、本実施の形態4では、説明のため、音源位置入力部26が、制御スピーカ171〜17nの位置を、個別に受け付ける場合について説明する。尚、音源位置入力部26は、基準となる制御スピーカ17iの位置と制御スピーカ17i同士の間隔を受け付け、他の制御スピーカの位置を算出するように構成しても良いし、両端の制御スピーカ171、17nの位置を受け付け、他の制御スピーカの位置を算出するように構成しても良いし、他の構成としても良い。また、本実施の形態4では、xy直交座標系を用いて、制御スピーカ17iおよび仮想音源11の位置を設定したが、これに限るものではない。さらに、位置情報は、ユーザーの操作入力ではなく、他の手段により入力するように構成しても良い。

音源位置入力部26は、入力された位置情報に基づいて、制御スピーカ17iと仮想音源11を結ぶ線分の長さriと、線分が成す角度φiを、式(4)および式(5)に基づいて算出する。

フィルタ係数設計部27は、音源位置入力部26によって算出されたri、φiを用いて、デジタルフィルタ処理部16で用いるフィルタ係数Q1(ω)〜Qn(ω)を算出し、デジタルフィルタ処理部16の制御フィルタ161〜16nに設定する。フィルタ係数Q1(ω)〜Qn(ω)は、実施の形態1で説明した式(1)を用いて算出する。フィルタ係数設計部27は、算出したフィルタ係数Q1(ω)〜Qn(ω)を、制御フィルタ161〜16nに設定する。

本実施の形態4では、ユーザーは、簡易な設定操作で、騒音源7の位置や居室101の構成に応じて、制御スピーカ171〜17nの位置や仮想音源11の位置を任意に設定することが可能になる。これにより、能動騒音制御装置10を、より様々な騒音発生環境に適用することが可能になる。

尚、本実施の形態4では、説明のため、実施の形態1の能動騒音制御装置10について、音源位置入力部26およびフィルタ係数設計部27を追加したが、実施の形態2または実施の形態3の能動騒音制御装置10に、音源位置入力部26およびフィルタ係数設計部27を追加するように構成しても良い。

(別実施形態) (1)実施の形態1〜実施の形態4における能動騒音制御装置10の波面制御部9は、典型的には、集積回路であるLSIとして実現される。波面制御部9が備える各処理部(反転部12、遅延補正部13、波面算出部14、遅延量制御部15、デジタルフィルタ処理部16、音響出力部17、測定信号発生部18、ゲイン補正部22およびゲイン制御部23)は、個別に1チップ化されても良いし、一部または全てを含むように1チップ化されても良い。例えば、メモリ以外の機能ブロック(処理部)を1チップ化し、汎用のメモリを用いるように構成しても良いし、各機能ブロックのうち、パラメータあるいはフィルタ係数等を格納する手段だけを1チップ化せずに別構成とし、他の構成を1チップ化するように構成しても良い。尚、ここでのLSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。

(2)また、本発明の波面制御部9は、集積回路ではなく、波面制御部9の各処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現しても良いし、そのコンピュータプログラムを示す情報、データまたは信号として実現しても良い。上記コンピュータは、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどで実現され得る。RAMまたはROM、ハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、波面制御部9として、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。

そして、それらコンピュータプログラム、コンピュータプログラムを示す情報、データまたは信号は、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリ、ICカード、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録したもので実現しても良い。また、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等の通信媒体を介して配信してもよい。

さらに、波面制御部9が備える各処理部(反転部12、遅延補正部13、波面算出部14、遅延量制御部15、デジタルフィルタ処理部16、音響出力部17、測定信号発生部18、ゲイン補正部22およびゲイン制御部23)は、1つのコンピュータプログラムで実現しても良いし、1または複数の処理部を1つのサブプログラムで実現し、サブプログラムを組み合わせて実現しても良い。

以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されない。上述した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。

本発明にかかる能動騒音制御装置は、所望の制音対象領域において、制音対象音を相殺するので、住宅やオフィス等の設備等として有用である。また鉄道や航空機等の客室内設備の用途にも応用できる。

1 空気調和室内機 2 ターボファン 3 熱交換器 4 吸い込みグリル 5 発音手段 5a〜5e スピーカ 6 流路部 7 騒音源 7w 騒音波面 8 検出装置 8a〜8e マイク 9 波面制御部 10 能動騒音制御装置 11 仮想音源 11w 合成音波面 12 反転部 13 遅延補正部 14 波面算出部 15 遅延量制御部 15a 遅延量決定部 15b 遅延量算出部 16 デジタルフィルタ処理部 161〜16n 制御フィルタ 17 音響出力部 171〜17n 制御スピーカ 18 測定信号発生部 22 ゲイン補正部 23 ゲイン制御部 24 ゲイン算出部 25 ゲイン決定部 26 音源位置入力部 27 フィルタ係数設計部 102 TV 102a、102b 再生スピーカ 103 TV視聴エリア 104 制音対象領域

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