【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は音波トランスデューサに関する。 本発明は特に、共鳴的に用いられるトランスデューサに用途を有するものであるが、しかしこれに限定されるものではない。 【0002】 【従来の技術】自動車用の近接センサのように、音波(典型的には超音波)トランスデューサのパターンが伸長しているものを備えることが望ましい用途が数多く存在している。 自動車の場合、パターンの水平方向の範囲はその垂直方向の範囲よりも大きいことが望ましい。 実際的な事柄として、この目的に関してなされた提案の殆どのものは結局、例えば自動車のバンパーに沿って配列された複数のトランスデューサを用いている。 つまり、 各々のトランスデューサは比較的細いパターンを有するのに十分なだけ大きく、従って路面を「ピックアップ」 することはないが、トランスデューサの伸長された配列は集合的に、水平方向に広いパターンを生ずるものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】明らかに、もしも各々のトランスデューサ自体が伸長パターンを生ずるならば、必要とされるトランスデューサの数は少なくなる。 しかしながらこのことは、これまでは好ましいアプローチではなかった。 なぜなら必然的に細長くなるトランスデューサは、不規則なビームパターンを生成する傾向があるからである。 このような目的のためのトランスデューサは通常、共鳴付近で作動するが、細長い形状を有する結果、得られる音波が不均一な整相を有する結果となりがちである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は、トランスデューサが本発明に従って設けられるならば、共鳴的に駆動される伸長トランスデューサにおいてビームの均一性を達成することが可能であることを見い出した。 トランスデューサが、ベース上に設けられた細長いダイヤフラムからなるものであるならば、端縁部すなわち長さ方向寸法の端部にある縁部は、側縁部すなわち幅方向寸法の端部にある縁部よりも、ベースに対してより強固に固定されねばならない。 【0005】この強固さの相違は、幾つものやり方で達成することができる。 一つは側縁部において単純支持を多く用い、また端縁部においてクランプ支持を多く用いることである。 もう一つは、トランスデューサ要素を一緒に保持する接着材料又は異なるクランプ部材について、従動性の多い又は少ない材料を用いることである。 何れの場合でも、固定部材の強固さの相違は、長さ方向の剛性が結果的に幅方向の剛性に近くなるようなものでなければならない。 このことの結果は、二つのモードにおける動きが共鳴付近の周波数において、ほぼ整相により近くなるということである。 【0006】 【実施例】本発明のこれらの及びさらなる特徴及び利点について、以下に添付図面を参照して説明する。 【0007】図1、2及び3は、この場合には超音波の伝送及び受信の両方のために用いられているトランスデューサ10を示している。 可聴範囲における音波の伝送及び/又は受信を含めて、本発明の教示を他のタイプの音波トランスデューサについても用いることができることは明らかであろう。 トランスデューサ10は、アルミニウム及びベリリウムの合金から作られた円錐形状のダイヤフラム12を含んでいる。 それはベース14上に設けられており、このベースに対しては(この場合には一体的な)クランプ部材16により固定されている。 【0008】ダイヤフラム12は圧電的にバイアスされたドライバ要素18により駆動されており、このドライバ要素はこの場合金属ディスク20と圧電ディスク22 とを含み、圧電ディスクは印加される電圧に応じて半径方向に膨張及び収縮し、それにより金属ディスクの座屈及びダイヤフラム12の振動を生ずる。 ドライバ/レシーバ回路24は必要な駆動信号をドライバ要素18の両端に印加し、それが超音波を伝送するようにさせる。 ドライバ/レシーバ回路はその電気信号を、ダイヤフラム12の共鳴周波数付近の周波数において発生する。 近接センサとして用いるについては、ドライバ/レシーバ回路は次いで、受信したエコーに応じてトランスデューサ10が発生する電気信号を待つ。 【0009】図4に示すように、ベース14は内側の楕円形リップ26を提供し、その上にダイヤフラム12の周辺が載置される。 本発明によれば、クランプ部材16 はダイヤフラム周辺をリップ26に対して、以下に図5 及び6に関して説明する特に有利な仕方で固定する。 図5は、図1の端部領域28におけるクランプとダイヤフラム及びベースの間の接合面の詳細を示している。 この図面が示しているように、ベース14のリップ26は全体に傾斜した形状を形成しており、これはダイヤフラム周辺の下側表面に大体一致している。 クランプ部材16 には相補的な表面30が形成されていて、比較的強固なクランプ接合を形成するようになっている。 円錐形ダイヤフラム12のベース14に関する如何なる実質的な並進運動をも防止することに加えて、これはまたクランプ領域において図面の平面に垂直な何らかの軸の周囲での回転運動に対して比較的抵抗性である。 【0010】対照的に、リップ26は図6に示されている如き図1の領域32においてはより尖った輪郭を有している。 より尖った輪郭形状はまた、クランプ部材16 上にある相補性表面30によっても示されている。 その結果、これらの表面は依然としてダイヤフラム12を領域32においてクランプするのではあるが、そのクランプは強固という程ではない。 それはダイヤフラム12の並進運動を防止するについては同じ位に有効であるが、 リップ26の表面とこれと相補性の表面30との間で図面の平面内へと延びる軸の周囲での回転には殆ど抵抗を示さない。 このことを別の言い方で表せば、ダイヤフラム12は領域32においては単純支持を近似したようなものによって固定されており、一方でダイヤフラムは領域28においてはクランプ支持によりベースに固定されているということになる。 【0011】ダイヤフラムが固定されている強固さが領域の異なりによりこのように相違する結果として、異なる方向におけるダイヤフラムの剛性はより殆ど等しくなる。 即ち、仮に長さ方向のストリップをダイヤフラム1 2から切り取ったとすると、撓みに対するこのストリップの抵抗は、同様に切り取られた幅方向のストリップの撓みに対する抵抗に対して、二つの領域のクランプが同じである場合のそれよりもより近く等しくなる。 【0012】クランプの強固さの相違に対してさらに寄与するものは、ダイヤフラム、ベース及びクランプ部材が相互に接合される仕方である。 図1、5及び6が示しているように、クランプ部材16は複数の充填孔34を形成しているが、これらはその中へと接着物質を導入することができるように設けられている。 充填孔34はベース14とクランプ部材16によって形成され、その中へとダイヤフラム12が延伸する。 図1−6に示すようにして部材が組み立てられた後に、適当な接着物質がこれらの充填孔を介して導入される。 しかしこの目的のために端部領域28で用いられる物質は比較的強固な、例えば繊維含浸熱硬化性エポキシ樹脂である。 対照的に、 領域32において使用される接着物質はより従動性の、 例えばRTV又はその他の合成エラストマーである。 即ち図示の実施例において、強固さの相違はダイヤフラムに係合する表面形状と、接着物質の剛性の両者によって達成されるものである。 勿論明らかに、何れかの手法を単独で用いることもでき、端部及び側部領域が固定される強固さの相違を達成する他の方途も用いることができる。 【0013】本発明は、色々な形状のダイヤフラムについて用いることができる。 しかしながら本発明者は、長さが幅の少なくとも1.2倍あるダイヤフラムにおいて最も価値が見い出されるものと考える。 さらにまた、強固さの相違を達成するために用いることのできる手法の組み合わせは多く存在し、正確な組み合わせは多くの場合、経験的に決定される必要があろう。 しかしながら本発明者は、どのような手法が用いられようとも、共鳴的に動作するトランスデューサについては、結果的に得られるダイヤフラムの長さ方向の剛性がその幅方向の剛性の50パーセント以内にあることが望ましいと考える。 【0014】本発明の別の有利な側面は、ダイヤフラム12それ自体の仕立てにある。 先に記したように、ダイヤフラムはベリリウムとアルミニウムの合金からなる。 本発明者は、この材料がある所与の重量において、共鳴モードの密度を減ずることを見い出した。 このことは、 トランスデューサの効率に寄与する。 事実、図示したような形状について、本発明者は所与の位置における電力に対する音波出力レベルの点からみて、本発明者が知る限りの対比可能な如何なる音波トランスデューサのそれよりも少なくとも20%大きな効率を観測した。 図示の実施例においては、本発明者は60%ベリリウムと40 %アルミニウムの合金を用いたが、特定の用途に用いられる特定の合金は、その特定の合金の成形性及び所望とされる形状などを含む幾つもの実際的な要因によって決定されるものである。 しかしながら好ましくは、合金は40%から90%の間のベリリウムと、10%から60 %の間のアルミニウムと、そして5%より少ない他の元素を含有すべきである。 【0015】ダイヤフラムが作成される材料に加えて、 剛性に寄与する別の要因はその形状である。 図1−6に示されている実施例では、円錐形のダイヤフラムが用いられており、本発明の広範な教示を用いるについてはこのような形状が絶対的に必要という訳ではないけれども、これは非常に好ましいものである。 それは単純なディスク形状と比較して、この形状がより大きな剛性を提供するからである。 【0016】さらに、より更なる剛性を加えるためには、図7−10に示されている代替的な実施例の一つを採用することができる。 図7−10は、表面に形成された長手方向のリブ36を含む代替的なダイヤフラム1 2′を示している。 円錐形状それ自体でもかなりの剛性がもたらされるものではあるが、これらのリブは所望の音波出力パターンを検知可能なほど損なうことなく、剛性をさらに増大させる。 【0017】或いはまた、これらのリブは図9及び10 に示されているように環状に作成することもできる。 これらの図面には、環状リブ38を有するさらに別の代替的なダイヤフラム12″が示されている。両方の場合とも図面は、ダイヤフラムの底部表面のくぼみにより設けられたリッジを示している。しかしながら明らかに、逆の形状、即ち後方へと延びるボスによっても同じ結果を得ることができる。これはまた、これら二つのタイプのリブを組み合わせることによっても達成可能である。 【0018】 【発明の効果】以上の記述を検討すれば、本発明は伸長された音波パターンが望まれる種類の用途について必要とされるトランスデューサの数について、かなりの減少を行うことを可能なものとすることが明らかとなろう。 加えて、本発明はかなりの効率的な利点を提供するものであり、多種多様な範囲の実施形態において用いることができる。 従って本発明は、本技術分野において重要な進歩をもたらすものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の教示を用いた超音波トランスデューサの平面図である。 【図2】図1の2−2線に沿って取った図1のトランスデューサの断面図である。 【図3】図1の3−3線に沿って取った図1のトランスデューサの断面図である。 【図4】図1のトランスデューサに用いられているベースの平面図である。 【図5】図2に示されているクランプ接合の詳細図である。 【図6】図3に示されているクランプ接合の詳細断面図である。 【図7】本発明の教示を用いたトランスデューサに使用するための代替的なダイヤフラムの平面図である。 【図8】図7の8−8線に沿って取った断面図である。 【図9】さらに別の代替的ダイヤフラムの平面図である。 【図10】図9の10−10線に沿って取った断面図である。 【符号の説明】 10 トランスデューサ 12,12′,12″ ダイヤフラム 14 ベース 16 クランプ部材 18 ドライバ要素 20 金属ディスク 22 圧電ディスク 24 ドライバ/レシーバ回路 26 リップ 28,32 領域 30 表面 34 充填孔 36,38 リブ ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】 【提出日】平成5年7月8日 【手続補正1】 【補正対象書類名】図面 【補正対象項目名】全図 【補正方法】変更 【補正内容】 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図8】 【図9】 【図10】 【図6】 【図7】 |