漏出防止具、サクソフォーン及び管楽器

申请号 JP2012529471 申请日 2010-08-20 公开(公告)号 JPWO2012023212A1 公开(公告)日 2013-10-28
申请人 株式会社Backs Verse; 株式会社Backs Verse; 发明人 良成 竹上; 良成 竹上;
摘要 ベル(11)と連通した略U字状の一番管(13)と、一番管(13)と連通した二番管(15)と、マウスピース(21)と、ネック(17)とを備えたサクソフォーンであって、マウスピース(21)と一番管(13)との間に、吹き込まれた息中の 水 分を二番管(15)内の所定の 位置 を通して流下させるように案内する水案内手段(40)を備えている。
权利要求
  • ベルと連通した略U字状の一番管と、該一番管と連通し、マウスピースへ吹き込まれた息がネックを介して流入する二番管と、を備えたサクソフォーンにおいて、
    上記マウスピースと上記一番管との間に上記息中の水分を上記一番管側へ案内する水案内手段が備えられ、該水案内手段は上記二番管内部で上記トーンホールの開口とは異なる位置を通して上記水分を流下させることを特徴とする、サクソフォーン。
  • 前記水案内手段は、前記二番管の正面側内壁面に該二番管の長手方向に延びるように設けられた溝又は筋状突部を有する、請求項1に記載のサクソフォーン。
  • 前記二番管の正面側内壁面に該二番管の中心軸に沿って延びる正面領域が設けられ、該正面領域を挟んで一方側にhighE♭及びDのトーンホールが配置され、他方側にB,G及びG♯のトーンホールが配置され、前記溝又は筋状突部が上記正面領域に設けられている、請求項2に記載のサクソフォーン。
  • 前記正面領域の一方側にhighF、highE♭及びhighDのトーンホールが設けられ、前記溝又は筋状突部が上記highFの中心より上方の上記正面領域から少なくとも上記Bのトーンホールの中心の側方より下方まで設けられている、請求項3に記載のサクソフォーン。
  • 前記筋状突部は前記二番管の内壁面上に固定された長尺部材からなる、請求項2乃至4の何れかに記載のサクソフォーン。
  • 前記ネックの前記二番管との接合部位に、該ネックの内壁面に付着した水分を前記溝又は筋状突部に対応する流下位置まで案内するように、周方向に傾斜した段差及び流下端部を備えた、請求項2乃至5の何れかに記載のサクソフォーン。
  • 前記段差及び流下端部は前記接合部位の切り欠き形状により形成されている、請求項6に記載のサクソフォーン。
  • 前記水案内手段は、前記二番管の各前記トーンホールの周囲を囲むように、上記内壁面から内側に突出して設けられた突出壁を有する、請求項1乃至7の何れかに記載のサクソフォーン。
  • 前記水案内手段は、頂部側が上部となるように傾斜して設けられたトーンホール周壁を有する、請求項1乃至8の何れかに記載のサクソフォーン。
  • トーンホールを有すると共に、縦に配置された状態で上側から息が流入する管体を備えた管楽器において、
    上記管体に上記息中の水分を該管体の下側へ案内する水案内手段が備えられ、該水案内手段は上記管体内部で上記トーンホールの開口とは異なる位置を通して上記水分を流下させることを特徴とする、管楽器。
  • ベルと連通した略U字状の一番管と該一番管と連通し、マウスピースへ吹き込まれた息がネックを介して流入する二番管とを備えたサクソフォーンに対して装着される水漏出防止具であり、
    上記マウスピースと上記一番管との間に装着されて上記息中の水分を上記一番管側へ案内する水案内手段が備えられ、該水案内手段は上記二番管内部で上記トーンホールの開口とは異なる位置を通して上記水分を流下させる、サクソフォーン用水漏出防止具。
  • 前記水案内手段は、前記二番管の内部に配置されて長手方向に延びる長尺部材を有する、請求項11に記載のサクソフォーン用水漏出防止具。
  • 前記長尺部材は前記二番管の正面側内壁面上に配置されている、請求項12に記載のサクソフォーン用水漏出防止具。
  • 前記長尺部材は、前記ネックと前記二番管との接続部位又はその近傍から該二番管内に吊り下げられている、請求項12に記載のサクソフォーン用水漏出防止具。
  • 請求項12乃至14の何れかに記載のサクソフォーン用水漏出防止具が装着されているサクソフォーン。
  • トーンホールを有すると共に、縦に配置された状態で上側から息が流入する管体を備えた管楽器に対して装着可能な管楽器用水漏出防止具であり、
    上記管体に装着されて上記息中の水分を該管体の下側へ案内する水案内手段が備えられ、該水案内手段は上記管体内部で上記トーンホールの開口とは異なる位置を通して上記水分を流下させる、管楽器用水漏出防止具。
  • 说明书全文

    本発明は、ベルと連通した略U字状の一番管を備えたサクソフォーン、その他の管楽器と、これらに装着可能な漏出防止具とに関する。

    カーブドソプラノサクソフォーン、アルトサクソフォーン、テナーサクソフォーンなどのサクソフォーンは、ベルと連通した略U字状の一番管と、一番管と連通し、マウスピースへ吹き込まれた息がネックを介して流入する二番管とを備えている。

    サクソフォーンでは、マウスピースへ息を吹き込みつつ多数の指貝やレバーを操作することで、二番管や一番管に多数設けられているトーンホールを開閉して所望の楽曲が演奏される。 このようなサクソフォーンでは、マウスピースが演奏者側に配置されると共にベルが前方側に配置され、二番管が鉛直方向よりネック側が若干前方に傾斜して配置された状態で、長時間演奏されることが多い。

    演奏時には、リードからマウスピースへ吹き込まれた息はネックを経由して二番管に流入する。 息には水蒸気が含まれているため、吹き込まれた息はサクソフォーン内で凝縮して水が生成される。 凝縮した水分や唾液(以下、これらを纏めて、適宜、水又は水分と称する。)は、一番管に徐々に溜まるため、演奏途中や演奏後に、例えば楽器を傾けてベルから排出する。

    しかしながら、マウスピースやネック、或いは二番管の上部で凝縮した水分は、水滴となって二番管の内壁面に付着して重により流下する。 この水が二番管のトーンホールの開口に到達すると、トーンホールの開口が開放或いは半開放された際、二番管の外側に漏出する。

    例えばトーンホールの開口やその付近に水滴が存在したり、滞留した状態で、トーンホールが開放或いは半解放することで、トーンホールから噴出される気流と共に水が外部に噴出する。 特に、二番管のネック側における前方側に設けられたhigh F、highE♭、highDのトーンホールでは、例えば吹き込まれた息により水滴が前方側へ移動し易いこともあって水が漏出し易い。

    凝縮した水分がサクソフォーンの外側に流出すると、例えば、指貝やレバー等が濡れて、サクソフォーンを支持する手や指が滑り易くなったり、演奏者の衣服を濡らしたりするなど、演奏環境を悪化させる。

    凝縮した水分がトーンホールを開閉するタンポに付着することで、タンポが劣化したり、タンポがトーンホールに粘着することがある。 タンポがトーンホールに粘着すると、開く方向に付勢されていて指貝やレバーの操作時に付勢力により開口されるタンポでは、指貝やレバーを操作してもタンポが付着したままでトーンホールが開かないというような、演奏の障害が生じる。 しかもサクソフォーンの外表面側では水分による汚れが生じたり、メッキの劣化が生じたり、錆を生じたりする。

    そのためメンテナンスの回数が増加したり、タンポや楽器自体の寿命が短くなるなど、サクソフォーンの耐久性が低下する。 なによりも凝縮した水分がサクソフォーンの外側に流出することにより、演奏者に対する精神的なストレスが非常に大きい。
    このような水分の漏出の問題はサクソフォーンに限らず、他の管楽器でも同様に生じることがある。

    そこで、本発明は、使用中にマウスピース、ネック及び管体の上部などから流下する水分がトーンホールから外側に漏出することを抑制できる水漏出防止具、サクソフォーン、その他の管楽器を提供することを目的とする。

    上記目的を達成するサクソフォーンは、ベルと連通した略U字状の一番管と、一番管と連通し、マウスピースへ吹き込まれた息がネックを介して流入する二番管とを備えることに加え、息の水分を一番管側へ案内する水案内手段をマウスピースと一番管との間に備え、水案内手段は二番管内部でトーンホールの開口とは異なる位置を通して水分を流下させることを特徴としている。

    上記目的を達成する管楽器は、トーンホールを有すると共に、縦に配置された状態で上側から息が流入する管体を備えることに加え、管体に水分を管体下側へ案内する水案内手段を備え、水案内手段は管体内部でトーンホールの開口とは異なる位置を通して水分を流下させることを特徴としている。

    上記目的を達成するサクソフォーン用水漏出防止具は、ベルと連通した略U字状の一番管と、一番管と連通し、マウスピースへ吹き込まれた息がネックを介して流入する二番管とを備えたサクソフォーンに対して装着されるものであり、マウスピースと一番管との間に装着されて息中の水分を一番管側へ案内する水案内手段を備え、水案内手段は二番管の内部でトーンホールの開口とは異なる位置を通して水分を流下させることを特徴としている。

    上記目的を達成する管楽器用水漏出防止具は、トーンホールを有すると共に、縦に配置された状態で上側から息が流入する管体を備えた管楽器に対して装着可能に構成され、管体に装着されて息の水分を管体下側へ案内する水案内手段を備え、水案内手段は管体の内部でトーンホールの開口とは異なる位置を通して水分を流下させることを特徴としている。

    本発明のサクソフォーン又は管楽器によれば、吹き込まれた息中の水分を案内する水案内手段を備えている。 そのため使用中にマウスピースに吹き込まれた息の水蒸気が凝縮した水分を、水案内手段によりトーンホールの開口とは異なる位置を通して流下させることができ、トーンホールの開口に到達する水分を抑制することができる。 従って使用中にトーンホールの開口を通して外側に水分が漏出することを抑制又は防止可能である。

    本発明の水漏出防止具によれば、サクソフォーン又は他の管楽器に装着することで、息中の水分を案内する水案内手段が管内部に配置される。 そのため、使用中にマウスピースに吹き込まれた息中の水蒸気が凝縮した水分を、水案内手段によりトーンホールの開口とは異なる位置を通して流下させることができ、トーンホールの開口に到達する水を抑制することができる。 従って使用中にトーンホールの開口を通して管内部から外側に水分が漏出することを抑制又は防止可能である。

    本発明の実施形態に係るサクソフォーンの概略側面図である。

    実施形態に係るサクソフォーンの概略正面図である。

    実施形態のサクソフォーンに係る二番管の部分縦断面図である。

    (a)は第1実施形態に係る水漏出防止具の装着前を示す正面図、(b)はその水漏出防止具の斜視図、(c)はその水漏出防止具を装着したサクソフォーンを展開した状態を示す図である。

    第2実施形態に係るサクソフォーンの部分縦断面図である。

    第3実施形態に係るサクソフォーンの部分縦断面図である。

    (a)乃至(d)は第3実施形態に係るサクソフォーンの変形例を示す部分縦断面図である。

    (a)は第4実施形態に係るサクソフォーンの部分縦断面図、(b)は第4実施形態の筒状体の変形例を示す図である。

    (a)は第5実施形態に係るサクソフォーンの部分縦断面図、(b)は第5実施形態のサクソフォーンにおいて二番管の一部を展開した状態を示す図である。

    (a)は第6実施形態に係るサクソフォーンの部分縦断面図、(b)は第6実施形態に係るサクソフォーンの二番管の一部を展開した状態を示す図である。

    第6実施形態に係るサクソフォーンの横断面図である。

    第6実施形態に係るサクソフォーンの線状部材の取り付け状態を示す部分断面図である。

    第6実施形態に係るサクソフォーンの変形例を示す横断面図である。

    (a)は第6実施形態に係るサクソフォーンの他の変形例を示す部分縦断面図、(b)は(a)の二番管の一部を展開した状態を示す図である。

    (a)は第6実施形態に係るサクソフォーンのさらに他の変形例を示す部分縦断面図、(b)は(a)の二番管の一部を展開した状態を示す図である。

    以下、図1乃至図15を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。

    [第1実施形態]
    サクソフォーン10は、図1及び図2に示すように、ベル11と、ベル11の下端に接続されてベル11と連通した略U字状の一番管13と、一番管13のベル11とは他端側に接続されて一番管13と連通した略直線テーパ形状の二番管15と、二番管15の上端に接続されて略へ字形状に湾曲したネック17と、ネック17に接続されてリード19が装着されたマウスピース21とを備える。

    一番管13及び二番管15の側面には、ソルダードタイプ又はドローンタイプの多数のトーンホール23が図3に示すように開口して設けられている。 各トーンホール23の周壁は一番管13又は二番管15の外表面から外側に突出して形成されている。 各トーンホール23は、一番管13及び二番管15の周方向における一定向きに設けられているのではなく、操作上及び外観意匠上などの理由で、それぞれ異なる向きに設けられている。
    各トーンホール23のそれぞれに対応する位置には、レバー25や指貝27等により操作可能なタンポ29が装着されており、各トーンホール23を開放、半開放及び閉塞可能となっている。

    図4(a)〜(c)は、この実施形態のサクソフォーン用水露出防止具30を示す。 この実施形態に係るサクソフォーン用水露出防止具30は、ネック17と二番管15との接続部位に固定可能な固定部47と、固定部47に連結されて、二番管15内に吊下可能な水案内手段としての吊下部材49とを有する。

    固定部47は、サクソフォーン10の内壁面に弾性力により係止可能な樹脂、金属等の弾性板材からなり、例えば縦方向の長さが短く、横幅がネック17の内周長より長い帯状に形成されている。 この固定部47は円筒状の形状に弾性変形した状態でネック17の内壁面に配置されている。
    吊下部材49は、例えば引張バネのように、螺旋状に巻回された線状部材51が3方向にY字状に分岐した形状に形成されている。 分岐したうちの2方向の線状部材51は固定部47の内表面に接するように配置され、例えば各端部及び交点において固定部47に固定されている。 分岐したうちの1方向の線状部材51の下端部には、線状部材51を重力により適度に引き延ばして配置するための錘53が固定されている。 錘53としては、例えばゴムなどからなるものであれば、サクソフォーン10の内表面の傷を防止できて好適である。

    錘53が固定されていない2本の線状部材51は、固定部47の上縁側において互いに離間した2カ所から下方側ほど幅が狭くなるように固定されている。 分岐部分より上方の2本の線状部材51が、下側ほど幅が狭くなるように固定されることで、線状部材51間の固定部に付着した水分が流下する際、分岐部分に水分を集合させ易くしている。

    錘53が固定されている線状部材51の下端は、少なくともBのトーンホール23eより下側、好ましくはGのトーンホール23fより下側、より好ましくはG♯のトーンホール23gより下側となるのが好ましい。 Bのトーンホール23e、Gのトーンホール23f、G♯のトーンホール23gは何れも演奏中に水分の漏出が起こり易いトーンホール23であり、これらのトーンホール23より下まで水を案内できれば、水分の漏出を低減又は防止できる。

    2方向の線状部材51の分岐部分は、好ましくは正面中心線Lf上または、その近傍に配置されることが好適である。
    ここで、正面中心線Lfとは、二番管15にベル11及び一番管13やネック17を接続した状態で、演奏時に正面側となる二番管15の内表面上の仮想の線である。 この正面中心線Lfは、ネック17のマウスピース21側における直線からなる中心軸の延長が、二番管15の前方側の内表面又はその仮想延長面に到達する点を通り、二番管15の中心軸に沿って略平行となるように二番管15の長手方向に延びる線である。 この正面中心線Lfは、演奏者のサクソフォーン10の支持状態に応じて多少の差はあるものの、少なくともhighDのトーンホール23dとBのトーンホール23eとの間に長手方向に配置されるため、略同一と見なすことができる。

    このサクソフォーン用水露出防止具30をサクソフォーン10に装着するには、まず、ネック17を二番管15から離脱させた状態とする。 固定部47をネック17の下端側の内径又は二番管15の上端側の内径より小さい径に縮小し、ネック17又は二番管15の内部に挿入する。 このとき線状部材51の分岐部分が正面中心線Lf上又はその近傍に配置されるようにする。
    その後、固定部47を解放すると、弾性力により外径が拡大し、外表面がネック17の内壁面又は二番管15の内表面に弾性力で圧接して固定される。 また錘53及び錘53が固定された線状部材51を二番管15内に挿入し、二番管15にネック17を接続することで装着を完了する。

    サクソフォーン用水露出防止具30が装着された状態を図4(b),(c)に示す。 図4(b)では、二番管15を省略して示しており、図4(c)では、二番管15を展開した状態を示している。 図中、二番管15の左右両縁は実際には連続している。

    上記サクソフォーン用水露出防止具30が装着されたサクソフォーン10を用いて演奏するには、装着しない状態と何ら異なることなく使用すればよい。 演奏時にはリードからマウスピース21へ息が吹き込まれ、マウスピース21やネック17の内部で、息に含まれる水蒸気が凝縮して水滴が生じる。 この水分は固定部47の表面で重力により流下する。 すると分岐された線状部材51により案内されて分岐部分に集まる。 この水分が一番管13側へ吊下されている線状部材51に付着することで、その線状部材51を伝わって流下することができる。 そのため、水分が二番管15の上部側のhighF♯、highF、highE♭、highDのトーンホール23a,23b,23c,23dに到達せず、更には二番管15の左手トーンホール23に到達せずに、一番管13側へ流下できる。
    なお、二番管15の内部を流下した水分は一番管13に徐々に溜まり、演奏途中や演奏後に排出される。

    以上のようなサクソフォーン10によれば、水漏出防止具30が内部に装着されることで、二番管15のトーンホール23の開口以外の位置に配置された水露出防止具30に息中の水分を付着して流下できる。 そのためマウスピース21へ吹き込まれた水蒸気が凝縮した水分が、大きな水滴となって二番管15のトーンホール23の開口に到達するのを抑え又は無くすことができる。
    従って、使用中にサクソフォーン10の内部からトーンホール23の開口を通して外側に水分が漏出するのを抑制又は防止することが可能である。 特に、二番管15の上端側に設けられているトーンホール23を開いた際、トーンホール23から噴出される気流により大きな水滴が一気に流れ出ることを防止できる。
    しかも、このように装着していても、サクソフォーン10の音に対する悪影響はなく、問題なく演奏することが可能である。

    上記実施形態は、本発明の範囲内において適宜変更可能である。 例えば、上記では水案内手段が二番管15内に吊下された吊下部材49のみからなっているが、他の実施形態に係る水案内手段40と共に用いることも可能である。
    上記では、固定部47に設けられた水集合部を吊下部材49の2方向の線状部材51により形成したが、例えば固定部47に樹脂等により、下側ほど離間幅が狭くなるように内側に突出させて設けた筋状突起により形成することも可能である。
    上記では、線状部材51を、引張バネのように螺旋状に巻回されたものを用いたが、特に限定されるものではなく、巻回されていない線状部材、棒状体、板状体等の長尺部材であっても使用可能である。 変形可能であって水分を付着させることが可能な長尺部材であれば、上記と同様に二番管15内に吊り下げてサクソフォーン用水露出防止具として使用できる。

    さらに、上記では水集合部となる線状部材51の分岐部分を二番管15のトーンホール23より上側に設けたが、分岐部分を二番管15に設けられた上方のトーンホール23より下側に設けてもよい。 その場合、分岐部分までの線状部材51をそれぞれトーンホール23に対して異なる側に配置することも可能である。 また、1本の線状部材51の一端側を固定部47に固定し、他端側に錘53を固定して構成することも可能である。 さらに4方向以上に分岐した線状部材51を用い、3方向以上の線状部材51により水集合部を形成することも可能である。

    [第2実施形態]
    第2実施形態は、水案内手段が設けられたサクソフォーン10の例を示す。
    このサクソフォーン10では二番管15の一部又は全てのトーンホール23がソルダードタイプで形成されている。 水案内手段40は二番管15の一部又は全てのトーンホール23にそれぞれ設けられている。 例えば、highF、highE♭、highDのトーンホール23b,23c,23dに設けられていてもよい。

    具体的には、図5に示すように、トーンホール23の各トーンホール周壁55が二番管15の内壁面から内側に突出して設けられることで、トーンホール23の開口周囲を囲む突出壁57が形成されている。 この突出壁57により水案内手段40が構成されている。 突出壁57を除く二番管15の内壁面の一部又は全体が、例えば親水性処理面とされることで、突出壁57より親水性に形成されていてもよい。

    このようなサクソフォーン10では、使用時にマウスピース21、ネック17、二番管15の上方側で凝縮した水分が二番管15の内壁を伝って流下する。 この水が突出壁57に到達すると、突出壁57の外周囲を伝って案内されることで一番管13側に流下する。 そのため、流下した水滴が各トーンホール23の開口内に流入することを防止でき、各トーンホール23から外部に漏出する水を抑制し得る。

    上記実施形態でも、水案内手段として突出壁57のみを設けた例について説明したが、他の実施形態に係る水案内手段40と共に用いることが可能である。
    突出壁57としてトーンホール周壁55が内側に突出した例について説明したが、内側に突出しないトーンホール周壁55を有する場合、別部材からなるリング形状の突出壁を二番管15の内壁面にトーンホール23の開口を囲むように接合してもよい。 その場合、板状に肉厚を薄くすることで僅かな高さの突出壁としてもよく、そのような構成であっても、流下される水分を十分に案内可能である。

    [第3実施形態]
    この第3実施形態のサクソフォーン10は、二番管15の一部又は全てのトーンホール23に水案内手段40が設けられている。 例えば、highF、highE♭、highDのトーンホール23b,23c,23dに水案内手段40を設けてもよい。

    水案内手段40は、図6に示すように、トーンホール23のトーンホール周壁55が二番管15の軸線Lsに対して傾斜して設けられており、各トーンホール23の頂部側が上部に向くように傾斜している。 ここでは、トーンホール23の頂部周縁は二番管15の軸線Lsと平行な平面上に形成されており、頂部の開口が楕円形状となっている。

    このようなサクソフォーン10では、使用時に水滴が二番管15の内壁を伝って流下して、各トーンホール23の開口まで到達する。 すると各トーンホール周壁55が傾斜しているため、水滴がトーンホール23内を頂部側に向けて流動することなく、確実に一番管13側へ案内されて流下することができる。
    そのため、流下した水滴が各トーンホール23の開口内に流入することを防止でき、各トーンホール23から外部に漏出する水の抑制が可能である。 しかも、サクソフォーン10の音に対する悪影響も防止できる。

    なお、上記実施形態でも、水案内手段として傾斜したトーンホール周壁55のみを設けた例について説明したが、他の実施形態に係る水案内手段40と共に用いてもよい。 例えば、図7(a)ではトーンホール23をソルダードタイプとし、トーンホール23の頂部側が上部となるように傾斜してトーンホール周壁55を設けている。 ここでは、第2実施形態のように、トーンホール周壁55を二番管15の内壁面から内側に突出して設けることで、開口周囲を囲む突出壁57を形成してもよい。 このトーンホール23では、頂部の周縁が二番管15の軸線Lsに平行な平面に形成されており、突出部57の内側端部が尖った形状とならないように周縁が軸線Lsに対して傾斜するように形成されている。

    図7(b)に示すように、ソルダードタイプで形成されたトーンホール周壁55において、二番管15の内壁面から内側に突出して設けられた突出壁57の内側端の周縁を二番管15の軸線Lsに平行な平面に形成してもよい。 この例では、頂部及び内側端の開口が楕円形状となっている。
    図7(c)に示すように、ソルダードタイプで形成されたトーンホール周壁55の端部を二番管15の壁面より内側に突出させることなく、二番管15の軸線Lsに対して傾斜して設け、頂部側を上部に傾斜させてもよい。

    図7(d)に示すように、ソルダードタイプで形成されたトーンホール周壁55の頂部周縁を、二番管15の軸線Lsと平行な平面上に形成するのではなく、トーンホール周壁55と直交する仮想面上に形成してもよい。 その場合、レバー27により支持されたタンポ29を、トーンホール23の頂部の向きに一致するように傾斜して設け、トーンホール23の開口をタンポ29により開閉することもできる。
    このようにすれば、トーンホール23の頂部の開口が楕円形ではなく、略円形に形成できるため、開閉時の違和感などを抑えることができる。
    また、この図7(d)に示すソルダードタイプで形成されたトーンホール周壁55において、図7(c)に示すトーンホールと同様に、端部を二番管15の壁面より内側に突出させることなく設けてもよい。
    図7(e)に示すように、トーンホール23の頂部側が下部となるように傾斜してトーンホール周壁55を設けてもよい。

    [第4実施形態]
    図8は第4実施形態を示しており、水案内手段が設けられたサクソフォーン10の例である。 この実施形態のサクソフォーン10は、二番管15に軸線Lsに対して直交方向に突出して形成されているソルダードタイプ又はドローンタイプのトーンホール23に対し、水案内手段としての筒状体71を装着した例である。

    図8(a)に示す筒状体71は、タンポ29が配置されている外側からトーンホール周壁55内に挿入されて、内表面に略密着した状態で装着されている。 外側端部はトーンホール周壁55の頂部側周縁と嵌合できる形状を呈しており、トーンホール23の内部に入り込まないようになっている。 この筒状体71の頂部はタンポ29が当接することで、トーンホール23を確実に閉塞できるように形成されている。

    一方、筒状体71の長さはトーンホール周壁55の突出長さより長く形成されており、筒状体71の端部が二番管15の内部に突出して配置されている。 二番管15の内側に配置される端部は軸方向に対して斜めに形成されており、二番管15内に下勾配に傾斜するように装着される。

    このような筒状体71は、二番管15の全てのトーンホール23に装着されていてもよく、例えばhighF♯、highF、highE♭及びhighDのトーンホール23a,23b,23c,23dのように水の漏出が起こり易いトーンホール23に装着されていてもよい。

    筒状体71の材質は特に限定されるものではなく、例えば金属製であってもよいが、装着し易くトーンホール23の内表面に密着させ易いなどの理由で、樹脂製であってもよい。

    このような筒状体71を装着したサクスフォーン10であっても、筒状体71が装着された二番管15の各トーンホール23から漏出する水の量を抑制することが可能である。 また、サクソフォーン10の音に対する悪影響も防止できる。

    なお、筒状体71の形状は特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。 例えば図8(b)に示すように、両端縁が何れも軸方向に対して直交するように形成されていてもよい。 また、トーンホール周壁55の頂部に配置される端部をトーンホール23の外径と略同一に形成して見栄えを向上してもよい。

    上記の第2乃至4実施形態などでは、正面中心線Lfに近接するトーンホール23を、二番管15の軸線Ls周りの周方向に、正面中心線Lfから離間するように位置をずらすことも好ましい。

    [第5実施形態]
    この第5実施形態は、水案内手段が設けられたサクソフォーン10の例である。 ネック17と二番管15との接合部位及び二番管15の内壁面に溝を設けることで水案内手段40が構成されている。
    図9(a)はネック17と二番管15との接合部位を示し、図9(b)は二番管15の内部を展開した状態を示している。

    このサクソフォーン10では、ネック17の二番管15との接合部位において、マウスピース21とは反対側の正面側の約半周部分に、図9(a)に示すような段差凹部59が形成されると共に、二番管15の正面側の内壁面には段差凹部59と連続する位置に溝61が形成されている。

    ネック17の段差凹部59は、略逆三形状を呈し、正面中心線Lfの部位では下端側が解放した溝状に形成されている。 段差凹部59の上端側は、ネック本体17aと接続端部17bとの間に周方向に形成されている溝状の接合部17cの下側に広く設けられている。
    段差凹部59の深さは特に限定されないが、少なくともネック17と二番管15とを接続した状態で十分な使用強度が確保できる深さであるのが好ましい。 また使用時のサクソフォーンの配置状態で、マウスピース21及びネック17の上部側で生じた水分が流入した際、段差凹部59の下部側の段差により水分が案内されて、下端側の溝状の部位に案内可能な程度の深さであるのが好ましい。

    さらに、段差凹部59の下部側における周方向の勾配は、特に限定されないが、使用時のサクソフォーンの配置状態で、マウスピース21及びネック17の上部側で生じた水分が段差凹部59内に流入した際、下部側の勾配に沿って流下可能な傾斜とする。

    一方、二番管15の正面側内壁面には、一部のトーンホール23の配設位置を調整することにより、二番管15の軸Lsに沿って長手方向に延びる正面領域65が設けられている。 この正面領域65は演奏時に二番管15の正面側に配置される内壁面に区画できる仮想的な領域であり、両側縁は二番管15の軸Lsに沿う直線となっていてもよい。
    多くのサクソフォーン10では、highF、highE♭及びhighDのトーンホール23b,23c,23dやB,G及びG♯のトーンホール23e,23f,23gの縁部が互いに上下方向に重なるように配置されている。 このようなサクソフォーン10では、本実施形態のような正面領域は存在しない。 ところが一部、例えばhighF及びhighE♭のトーンホール23b,23cの一方又は双方を二番管15の周方向にずらして配置することで、音質に悪影響を与えることを防止し、このような仮想領域65を形成することが可能である。
    この実施形態では、highF、highE♭及びhighDのトーンホール23b,23c,23dとB,G及びG♯のトーンホール23e,23f,23gとの間に何れのトーンホール23とも接触しないように正面領域65が設けられている。 この正面領域65内には正面中心線Lfも配置されている。

    二番管15の内部の溝61は、この正面領域65に設けられている。 この溝61は、段差凹部59の下端の幅と略同一の幅を有し、正面中心線Lfに沿って一番管13側へ向けて延びている。 溝61のネック17の段差凹部59との隣接位置が略逆三角形状に形成されることで、段差凹部59から流下する水分を確実に受けられるようにしている。 例えば、ネック17と二番管15との周方向の相対向きが使用者による個人差があったとしても、段差凹部59を溝61の略逆三角形状の範囲内に配置することが可能である。
    この溝61の深さは、特に限定されないが、少なくともネック17と二番管15の十分な使用強度が確保できると共に、使用時のサクソフォーンの配置状態で、マウスピース21及びネック17の上部側で生成された水が流入した際、水が案内されて流下し易い深さであるのが好ましい。

    溝61の位置は、二番管15のhighF♯、highF、highE♭及びhighD及び他の左手で開閉操作されるトーンホール23の全てと離間する位置であることが必要である。 溝61の長さは、少なくともBのトーンホール23eより下側、好ましくはGのトーンホール23fより下側、より好ましくはG♯のトーンホール23gより下側となるようにする。 更に、二番管15の全長にわたり溝61を設けてもよい。
    この実施形態では、溝61を二番管15の軸線Lsに沿って直線的に形成するため、溝61に近接したり重なるトーンホール23を溝61から離間するように周方向にずらして設けている。 ここでは、highF♯のトーンホール23a及びhighFのトーンホール23bの一方又は双方を溝61から離間するように周方向に移動させている。 これにより少なくとも溝61が正面領域65内に配置され、溝61の幅が正面領域65の幅以下となっている。 なお、ネック17側で正面領域65より拡幅している。

    このような段差凹部59及び溝61の内表面は親水性処理面であってもよい。 その場合、段差凹部59の表面の親水性はネック17の内壁面より高くしたり、溝61の内表面は親水性処理面の親水性は二番管15の内壁面より高くしたりすることができる。

    このようなサクソフォーン10によれば、マウスピース21及びネック17内で唾液や息が凝縮してネック17内を流下した水分は、使用時の配置状態によりネック17の前方側に流下する。 すると段差凹部59に流入し、段差凹部59内で案内されて溝61内に流入して、溝61内で一番管13側に案内されて流下する。 また、二番管15の上部側などで生じて溝61内に流入した水分も溝61内で一番管13側に案内されて流下する。

    そのため、これらの水分が二番管15のネック17側のhighF♯、highF、highE♭及びhighDのトーンホール23a,23b,23c,23d、更には二番管15の左手により開閉操作される他のトーンホール23に到達し難くなる。 それ故各トーンホール23から漏出する水分の量を抑制することが可能である。 しかも、サクソフォーン10の音に対する悪影響も防止できる。

    上記実施形態では、溝61として直線形状のものについて説明したが、特に限定されるものではなく、水分を案内可能な範囲で溝61を曲線形状に形成してもよい。
    また、上記実施形態では、水案内手段が段差凹部59及び溝61からなる例について説明したが、他の実施形態に係る水案内手段40と共に用いることも可能であり、直線又は曲線形状の突起を用いてもよい。 その場合、ネック17や二番管15の内側に向けて突出する突起を複数本並べて設けることで、複数の突起間の間を段差凹部又は溝として使用することもできる。
    上記実施形態では、一部又は全部のトーンホール23の配置位置を調整することで、溝61や正面領域65を設けた例について説明したが、トーンホール23の配設位置を調整しなくてもよい。 正面中心線Lf近傍のトーンホール23が正面領域65や溝61と重なる位置に配置される場合、例えば実施形態3乃至5のような各トーンホール23の周壁55を設けることができる。 これにより正面領域65や溝61と重なる位置のトーンホール23であっても、各トーンホール23から漏出する水分の量を抑制することができる。

    [第6実施形態]
    この第6実施形態のサクソフォーン10は、マウスピース21と一番管13との間に、マウスピース21から吹き込まれた水分が、管内部でトーンホール23の開口とは異なる位置を流下するように案内する水案内手段40を備えている。

    水案内手段40は、図10(a)(b)に示すように、二番管15の正面側内壁面に二番管15の長手方向に延びるように設けられた筋状突部67を有している。 この実施形態では、水案内手段40としてネック17の二番管15への接続部位、具体的には二番管15の端部に嵌合する部位に案内用段差75及び流下端部77からなる案内形状をさらに有している。

    まず筋状突部67は、図10及び図11に示すように、二番管15の内壁面から内側に突出して長手方向に延びる突部である。 この筋状突部67は長手方向に曲線形状であってもよいが、水分を案内し易くするために直線形状に設けられているのが好ましい。 筋状突部67の突出量は特に限定されるものではなく、二番管15の内壁面から内側への最大突出量が音質等への悪影響を生じず、内壁面上で周方向に流れる水分をせき止め得る高さに設定することができる。

    筋状突部67は、図13に示すように二番管15の管壁を変形させるなどにより管壁を内側に突出させていてもよいが、加工が容易であるため、図11に示すように管壁とは別部材からなる長尺部材を二番管15の内壁面上に固定するのが好適である。
    この長尺部材としては、二番管15の内壁に固定可能なものであれば使用可能である。 長尺部材は、例えば樹脂、金属、セラミック等からなる線状部材、棒状体、板状体などであってもよい。 この実施形態では磁着可能な金属の棒状体を用いている。

    この筋状突部67は、図10及び図11に示すように、二番管15の正面側内壁面において二番管15の軸線Lsに沿って延びる正面領域65に設けられている。 正面領域65は上述の通り、正面中心線Lfを含む領域である。
    この実施形態では、一部又は全てのトーンホール23の位置を調整することで、正面領域65の一方側にhighF、highE♭及びhighDのトーンホール23b,23c,23dが配置され、他方側にB,G及びG♯のトーンホール23e,23f,23gが配置されている。 そのため筋状突部67はこれらのトーンホール23の間に、これらのトーンホール23と接触することなく配置されている。

    このようにトーンホール23の位置を調整する場合、例えばhighFのトーンホール23b又はhighE♭のトーンホール23cと、highDのトーンホール23dとの上下に重なる量を多くすることで、比較的容易に正面領域65の幅を確保することができる。 その場合、指貝27を操作するレバーを湾曲或いは屈曲させることで開閉操作の操作性を悪化させることなく、容易に配置を調整することができる。

    筋状突部67の上下方向の配置位置は、上端が少なくともBのトーンホール23eより上側、好ましくはhighE♭のトーンホール23cより上側、より好ましくはhighFのトーンホール23bより上側のネック17近傍とする。 一方、筋状突部67の下端は、少なくともBのトーンホール23eより下側、好ましくはGのトーンホール23fより下側、より好ましくはG♯のトーンホール23gより下側とする。
    このような位置であれば、後述するように筋状突部67よりhighDのトーンホール23d側にネック17から流下した水を、Bのトーンホール23e側に移動させずに確実に流下させることができる。 特に、演奏中にサクソフォーン10を揺らした場合であっても、流下される水の周方向への移動を、筋状突部67によりせき止めることが可能である。

    筋状突部67として線状部材又は棒状体を用いる場合、線状部材又は棒状体の二番管15への固定方法は、接着、溶着、ろう付け、溶接、磁着、ネジ止め、カシメ止め等、用いる部材に応じて適宜選択できる。
    この実施形態では、筋状突部67として磁着可能な金属の棒状体を用いているため、図12に示すように、二番管15に設けられた磁石68と、ネジ止め又はカシメ止め用のビス69とにより固定されている。 棒状体の下端側は、折り曲げ又は湾曲させた状態で二番管15内部の下部側に配置され、端部を二番管15の外側に貫通させた状態でビス69により管壁にネジ止め又はカシメ止めしている。 このように下端側が折り曲げ又は湾曲されていると、二番管15内部を布等で払拭する際、布等が引掛かり難くて好適である。 一方、棒状体の上端側は二番管15内部の上部側に配置され、二番管15の外側に配置された磁石68により管壁に磁着されている。

    次に、ネック17の二番管15の端部に嵌合する部位に設けられた案内用段差75及び流下端部77は、ネック17の内面で生じた水滴が重力により流下する際、それらの形状の端部に伝わって流下し得る形状となっている。
    この実施形態では、図10に示すように、ネック17の下端に湾曲形状の切り欠き79を設けることで形成されている。 ここでは、ネック17の二番管15に嵌合される端部が切り欠かれることで、嵌合される二番管15の内周面とネック17の下端側の内周面との間に径方向に段差形状が形成されている。 この案内用段差75により、ネック17の内壁面を流下して案内用段差75に到達した水滴が案内用段差75の縁を伝って流下することができるように、周方向に傾斜を有している。
    なお、切り欠き79の湾曲形状は、使用時に二番管15の上端側が前方側にやや傾斜した状態で配置された際、湾曲形状により水分が案内可能な形状であってネック17の接続部分の剛性や気密性を確保できる範囲で形成すればよい。 この実施形態では、例えばネック17の環状の接合部分の1/5以上の範囲、好ましくは1/3以上の範囲に切り欠き79を設ける。

    流下端部77はこの案内用段差75の最下端部からなり、二番管15の軸線Lsに対して直交する方向に配置されるネック17の環状の下端と切り欠き79との境界部分により構成されている。
    この実施形態の場合、切り欠き79により案内用段差75に2つの端部が設けられているが、使用時に前方側となる端部が流下端部77となっている。 この流下端部77の位置は、筋状突部67よりhighDのトーンホール23d側の側部であって筋状突部67の近接位置とするのが好適である。 特に正面領域67内又は正面領域65近接位置としてもよい。 ネック17からこの位置に水が流下すれば、筋状突部67に水が付着して流下することで、highF、highE♭及びhighDのトーンホール23b,23c,23d及びB,G及びG♯のトーンホール23e,23f,23gに水分を接触させずに流下させることができる。

    この実施形態のサクソフォーン10によれば、ネック17の内壁面に付着した水分がネック19の内壁面上を流下して案内用段差75に到達すると、案内用段差75を伝って流下端部77まで案内され、流下端部77から流下する。
    すると流下端部77が所定位置となっているため、水が正面中心線LfよりhighDのトーンホール23d側において二番管15に流下する。 二番管17の正面領域67又はその近傍において、水分が二番管17の内壁面に流下して付着し、正面領域67を一番管13側へ流下する。 好ましくは二番管15に流下した水が、筋状突部67のhighDのトーンホール23d側の縁に付着し、筋状突起67に案内されて一番管13側へ流下する。
    そのため、流下される水は二番管15のネック17側のhighF及びhighE♭のトーンホール23b,23c、更には二番管15の左手トーンホール23に到達することなく一番管13まで流下できる。 しかも筋状突部67の一方の側を流下する水が他方の側に移動することを十分に阻止できる。 例えばサクソフォーン10が揺らされたり傾向きが変化するなどにより、水が二番管15の内壁面上で蛇行して流下する場合がある。 このような場合、1番管13側へ流下する水が二番管15の周方向に移動するが、筋状突部67が堰となるため、筋状突起67よりもhighF♯やBのトーンホール23a,23e側へ移動することがない。
    それ故、各トーンホール23から漏出する水の量を十分に少なく抑えたり、無くすことが可能である。 しかも、このような構造であれば、サクソフォーン10の音に対する悪影響も防止できる。

    上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。 上記実施形態では、水案内手段40が筋状突部67とネック17の流下端部77とを備えているが、他の実施形態に係る水案内手段40と共に用いることも可能である。
    上記では、二番管15に設けた筋状突部67とネック17に設けた案内用段差75及び流下端部77からなる案内形状とにより水案内手段40が構成されている。 しかし、二番管15の筋状突部67とネック17の案内形状とのうちの一方より水案内手段を構成していてもよい。 その場合であっても、他の実施形態に係る水案内手段40と組み合わせることも可能である。

    上記では案内用段差75をネック17の下端に一つの湾曲した切り欠きにより形成したが、案内用段差75及び流下端部77の形状は何ら限定されない。 例えば図14に示すように、流下端部77の両側に上記切り欠き79と同一の形状又は異なる形状の案内用段差75を一対又は複数設けてもよい。 この場合、演奏時に流下端部77がネック17の最も低い位置に配置されるため、ネック17の内壁面に付着した水分をより多く、確実に流下端部77に案内することができる。
    さらに図15に示すように、接合強度が確保できる範囲で、一つの流下端部77が最下端となるようにネック17の下端の形状全体を斜めに傾斜させて形成してもよい。

    上記実施形態では、筋状突部67の上端をネック17近傍に配置したが、図15に示すように、ネック17の下端から離間した位置、例えばhighFのトーンホール23bより下方側の位置に、筋状突部67の上端を配置してもよい。 その場合、highFのトーンホール23bに実施形態2乃至4で示すような突出壁57を設けることができる。 これにより流下する水がhighFのトーンホール23b付近へ到達しても、このトーンホール23bから流出することを防止することが可能である。

    上記実施形態では、トーンホール23の位置を調整することで、正面領域65の一方側にhighF、highE♭及びhighDのトーンホール23b,23c,23dが配置され、且つ他方側にB,G及びG♯のトーンホール23e,23f,23gが配置された例について説明した。 しかしトーンホール23の配設位置を調整しなくても、本実施形態は実現可能である。 例えば図15に示すように、正面中心線Lf近傍のトーンホール23が正面領域65や筋状突部67と重なる位置に配置される場合に、実施形態3乃至5のような各トーンホール23の周壁55や突出壁57を設けることができる。 そのため正面領域65や溝61と重なる位置のトーンホール23であっても、各トーンホール23から漏出する水分の量を抑制することができる。

    上記では筋状突部67の棒状体を磁石68及びビス69により固定したが、一個又は複数個の磁石68だけで固定してもよい。 このようにすれば、棒状体の着脱や位置調整が自在である。

    上記ではネック17の内壁面に生じた水滴を二番管15の所定位置に案内する手段として、ネック17の下端に切り欠き79を形成して案内用段差75及び流下端部77を設けているが、この手段は他の構成であってもよい。 例えばネック17の接合部17cとは別部材を下端側の内壁面に接触して配置し、その下端の形状を、周方向に傾斜させると共に一部を下方に突出させることが可能である。 またネック17の内表面に集液可能な形状で線状部材等を、第1実施形態における吊下部材49の分岐部分のように配置してもよく、第5実施形態における案内凹部59のような形状を設けてもよい。 さらに案内用段差75の縁に内側に突出する鍔を設けたり、流下端部77に下方に突出するように棒状体等の突起を装着してもよい。
    以上説明したような第1〜第7実施形態では、サクスフォーンに本発明を適用した例であるが、他の管楽器にも適用することも可能である。

    10 サクソフォーン11 ベル13 一番管15 二番管17 ネック19 リード21 マウスピース23、23a〜23g トーンホール25 レバー27 指貝29 タンポ30 水漏出防止具40 水案内手段43 突出部分47 固定部49 吊下部材51 線状部材53 錘55 トーンホール周壁57 突出壁59 段差凹部61 溝65 正面領域67 筋状突部75 案内用段差77 流下端部79 切り欠き

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