取付け構造

申请号 JP2016061811 申请日 2016-03-25 公开(公告)号 JP2017173709A 公开(公告)日 2017-09-28
申请人 ヤマハ株式会社; 发明人 市来 俊介;
摘要 【課題】部品同士の意図しない分離を防ぐことの可能な取付け構造を提供する。 【解決手段】取付け構造20は、可撓部及び可撓部の一端に設けられた掛かり部22を有する取付け部を含む第1部材20aと、上方から見た場合に、掛かり部が通過可能な大きさの第1開口領域及び掛かり部が通過不能な大きさの第2開口領域を有する開口部を含む第2部材20bと、を備える。開口部の内壁面として、取付け部を開口部に挿入する際に掛かり部22を前記第2領域から遠ざける方向に働く傾斜面を有する。 【選択図】図5
权利要求

可撓部及び前記可撓部の一端に設けられた掛かり部を有する取付け部を含む第1部材と、 上方から見た場合に、前記掛かり部が通過可能な大きさの第1開口領域及び前記掛かり部が通過不能な大きさの第2開口領域を有する開口部を含む第2部材と、 を備え、 前記開口部の内壁面として、前記取付け部を前記開口部に挿入する際に前記掛かり部を前記第2開口領域から遠ざける方向に働く傾斜面を有する、取付け構造。可撓部及び前記可撓部の一端に設けられた掛かり部を有する取付け部を含む第1部材と、 内壁面として傾斜面を有する開口部を含む第2部材と、 を備え、 前記傾斜面は、側方から前記開口部の断面を見た場合に、上方に向かうにしたがって前記開口部の幅が狭くなるように設けられている、取付け構造。前記傾斜面は、二カ所に設けられ、それぞれ前記掛かり部を互いに異なる方向に移動させるように働く、請求項1又は2に記載の取付け構造。前記第2部材に対し前記第1部材を装着した状態において、前記傾斜面は、前記掛かり部の下面の下方に位置する第1傾斜面及び前記掛かり部の後方に位置する第2傾斜面を含む、請求項3に記載の取付け構造。前記第1傾斜面によって前記掛かり部が移動する方向と、前記第2傾斜面によって前記掛かり部が移動する方向とは直交する、請求項4に記載の取付け構造。前記第2部材に対し前記第1部材を装着した状態において、前記傾斜面は、前記掛かり部の下面の下方に位置する、請求項1又は2に記載の取付け構造。前記第2部材に対し前記第1部材を装着した状態において、前記傾斜面は、前記取付け部の後方に位置する、請求項1又は2に記載の取付け構造。前記傾斜面は、前記第2部材に対し前記第1部材を装着する際に、前記掛かり部が前記傾斜面を摺動する位置に設けられる、請求項1又は2に記載の取付け構造。前記可撓部は、一方向の可撓性に比べて、前記一方向と直交する方向の可撓性が低い、請求項1又は2に記載の取付け構造。側方から見た場合に、前記掛かり部の下面と前記可撓部の表面とのなすが鈍角である、請求項1又は2に記載の取付け構造。

说明书全文

本発明は、材料の弾性を利用して部品同士を結合する取付け構造に関する。特に、鍵盤装置の鍵の取付け構造に関する。

従来、部品同士を結合する方式として、材料の弾性を利用した簡易な取付け構造が知られている。このような取付け構造は、一般的にはスナップフィットと呼ばれ、プラスチック等の成形部品を組み合わせて結合する際に利用される。

上述の取付け構造は、部品同士の結合が容易性であるともに、いったん結合した後は、簡単に外れないように固定されるという性能が要求される。このような性能を考慮した取付け構造として、例えば特許文献1に記載された技術が開示されている。

実開平1−176987号公報

しかしながら、特許文献1に記載された技術は、部品寸法のばらつきを考慮していないため、部品寸法のばらつきに起因して、部品同士が意図せず分離してしまったり、部品同士の取付けが困難になってしまったりする場合がある。

また、部品寸法のばらつきを考慮した設計として、スナップフィットの爪部分にある程度のマージンを設け、部品寸法のばらつきを吸収することも考えられる。しかしながら、マージンを設けることによって部品のガタつきが発生してしまうため、部品同士が意図せず分離してしまうおそれがある。

本発明の課題の一つは、部品同士の意図しない分離を防ぐことの可能な取付け構造を提供することにある。

本発明の一実施形態における取付け構造は、可撓部及び前記可撓部の一端に設けられた掛かり部を有する取付け部を含む第1部材と、上方から見た場合に、前記掛かり部が通過可能な大きさの第1開口領域及び前記掛かり部が通過不能な大きさの第2開口領域を有する開口部を含む第2部材と、を備え、前記開口部の内壁面として、前記取付け部を前記開口部に挿入する際に前記掛かり部を前記第2領域から遠ざける方向に働く傾斜面を有する。

本発明の一実施形態における取付け構造は、可撓部及び前記可撓部の一端に設けられた掛かり部を有する取付け部を含む第1部材と、内壁面として傾斜面を有する開口部を含む第2部材と、を備え、前記傾斜面は、側方から前記開口部の断面を見た場合に、上方に向かうにしたがって前記開口部の幅が狭くなるように設けられている。

前記傾斜面は、二カ所に設けられ、それぞれ前記掛かり部を互いに異なる方向に移動させるように働くようにしてもよい。具体的には、前記傾斜面は、前記掛かり部の下面の下方に設けられた第1傾斜面及び前記取付け部の後方に設けられた第2傾斜面を含んでいてもよい。その際、前記第1傾斜面によって前記掛かり部が移動する方向と、前記第2傾斜面によって前記掛かり部が移動する方向とは直交してもよい。

前記第2部材に対し前記第1部材を装着した状態において、前記傾斜面は、前記掛かり部の下面の下方に位置してもよい。

前記第2部材に対し前記第1部材を装着した状態において、前記傾斜面は、前記取付け部の後方に位置してもよい。

前記傾斜面は、前記第2部材に対し前記第1部材を装着する際に、前記掛かり部が前記傾斜面を摺動する位置に設けられることが好ましい。

前記可撓部は、一方向の可撓性に比べて、前記一方向と直交する方向の可撓性が低くてもよい。

前記掛かり部の下面と前記可撓部の表面とのなすが鈍角であってもよい。

本発明の実施形態によれば、部品同士の意図しない分離を防ぐことができる。

第1実施形態の鍵盤装置の構成を示す図である。

第1実施形態の音源装置の構成を示すブロック図である。

第1実施形態の筐体内部の構成を側面から見た場合の一例を示す図である。

第1実施形態の棒状可撓部を含む構造体の構成を側方から見た場合の一例を示す図である。

第1実施形態の取付け構造の構成を斜め上方から見た場合の一例を示す図である。

第1実施形態の第1部材の構成を斜め上方から見た場合の一例を示す図である。

第1実施形態の第1部材の構成を側方から見た場合の一例を示す図である。

第1実施形態の掛かり部の構成を側方から見た場合の一例を示す図である。

第1実施形態の掛かり部の作用について説明するための図である。

第1実施形態の第2部材の構成を斜め上方から見た場合の一例を示す図である。

第1実施形態の第2部材の構成を上方から見た場合の一例を示す図である。

第1実施形態の第2部材を図10に示すA−A’で切断した構成を見た場合の一例を示す図である。

第1実施形態の第2部材を図10に示すB−B’で切断した構成を見た場合の一例を示す図である。

第1実施形態の第2部材の構成を背面から見た場合の一例を示す図である。

第1実施形態の第2部材が有する第1開口部の上端について説明するための図である。

第1実施形態の第2部材が有する第1開口部と第1部材が有する掛かり部との位置関係を示す図である。

第1実施形態の第1傾斜面の作用を説明するための断面図である。

第1実施形態の第1傾斜面の作用を説明するための上面図である。

第1実施形態の第2傾斜面の作用を説明するための断面図である。

第1実施形態の第2傾斜面の作用を説明するための上面図である。

第1実施形態の掛かり部の変形例を示す図である。

第1実施形態の本体部の変形例を示す図である。

第2実施形態の第2部材をX軸に沿って切断した構成を見た場合の一例を示す図である。

第2実施形態の第2部材をY軸に沿って切断した構成を見た場合の一例を示す図である。

第2実施形態の傾斜面の作用を説明するための断面図である。

第2実施形態の傾斜面の作用を説明するための上面図である。

第3実施形態の傾斜面の作用を説明するための断面図である。

第3実施形態の傾斜面の作用を説明するための上面図である。

第4実施形態の第1部材の構成を斜め上方から見た場合の一例を示す図である。

以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。

<第1実施形態> [鍵盤装置の構成] 図1は、第1実施形態における鍵盤装置の構成を示す図である。鍵盤装置1は、この例では、電子ピアノなどユーザ(演奏者)の押鍵に応じて発音する電子鍵盤楽器である。なお、鍵盤装置1は、外部の音源装置を制御するための制御データ(例えば、MIDI)を、押鍵に応じて出する鍵盤型のコントローラであってもよい。この場合には、鍵盤装置1は、音源装置を有していなくてもよい。

鍵盤装置1は、鍵盤アセンブリ10を備える。鍵盤アセンブリ10は、白鍵100wおよび黒鍵100bを含む。複数の白鍵100wと黒鍵100bとが並んで配列されている。鍵100の数は、N個であり、この例では88個である。この配列された方向をスケール方向という。白鍵100wおよび黒鍵100bを特に区別せずに説明できる場合には、鍵100という場合がある。以下の説明においても、符号の最後に「w」を付した場合には、白鍵に対応する構成であることを意味している。また、符号の最後に「b」を付した場合には、黒鍵に対応する構成であることを意味している。

鍵盤アセンブリ10の一部は、筐体90の内部に存在している。鍵盤装置1を上方から見た場合において、鍵盤アセンブリ10のうち筐体90に覆われている部分を非外観部NVといい、筐体90から露出してユーザから視認できる部分を外観部PVという。すなわち、外観部PVは、鍵100の一部であって、ユーザによって演奏操作が可能な領域を示す。以下、鍵100のうち外観部PVによって露出されている部分を鍵本体部という場合がある。

筐体90内部には、音源装置70およびスピーカ80が配置されている。音源装置70は、鍵100の押下に伴って音波形信号を生成する。スピーカ80は、音源装置70において生成された音波形信号を外部の空間に出力する。なお、鍵盤装置1は、音量をコントロールするためのスライダ、音色を切り替えるためのスイッチ、様々な情報を表示するディスプレイなどが備えられていてもよい。

なお、図1〜図3の説明において、上、下、左、右、手前および奥などの方向は、演奏するときの演奏者から鍵盤装置1を見た場合の方向を示している。そのため、例えば、非外観部NVは、外観部PVよりも奥側に位置している、と表現することができる。また、鍵前端側、鍵後端側のように、鍵100を基準として方向を示す場合もある。この場合、鍵前端側は鍵100に対して演奏者から見た手前側を示す。鍵後端側は鍵100に対して演奏者から見た奥側を示す。この定義によれば、黒鍵100bのうち、黒鍵100bの鍵本体部の前端から後端までが、白鍵100wよりも上方に突出した部分である、と表現することができる。

図2は、第1実施形態における音源装置の構成を示すブロック図である。音源装置70は、信号変換部710、音源部730および出力部750を備える。センサ300は、各鍵100に対応して設けられ、鍵の操作を検出し、検出した内容に応じた信号を出力する。この例では、センサ300は、3段階の押鍵量に応じて信号を出力する。この信号の間隔に応じて押鍵速度が検出可能である。

信号変換部710は、センサ300(88の鍵100に対応したセンサ300−1、300−2、・・・、300−88)の出力信号を取得し、各鍵100における操作状態に応じた操作信号を生成して出力する。この例では、操作信号はMIDI形式の信号である。そのため、押鍵操作に応じて、信号変換部710はノートオンを出力する。このとき、88個の鍵100のいずれが操作されたかを示すキーナンバ、および押鍵速度に対応するベロシティについてもノートオンに対応付けて出力される。一方、離鍵操作に応じて、信号変換部710はキーナンバとノートオフとを対応付けて出力する。信号変換部710には、ペダル等の他の操作に応じた信号が入力され、操作信号に反映されてもよい。

音源部730は、信号変換部710から出力された操作信号に基づいて、音波形信号を生成する。出力部750は、音源部730によって生成された音波形信号を出力する。この音波形信号は、例えば、スピーカ80または音波形信号出力端子などに出力される。

[鍵盤アセンブリの構成] 図3は、第1実施形態における筐体内部の構成を側面から見た場合の説明図である。図3に示すように、筐体90の内部において、鍵盤アセンブリ10およびスピーカ80が配置されている。スピーカ80は、鍵盤アセンブリ10の奥側に配置されている。このスピーカ80は、押鍵に応じた音を筐体90の上方および下方に向けて出力するように配置されている。下方に出力される音は、筐体90の下面側から外部に進む。一方、上方に出力される音は筐体90の内部から鍵盤アセンブリ10の内部の空間を通過して、外観部PVにおける鍵100の隣接間の隙間または鍵100と筐体90との隙間から外部に進む。

鍵盤アセンブリ10の構成について、図3を用いて説明する。鍵盤アセンブリ10は、上述した鍵100の他にも、接続部180、ハンマアセンブリ200およびフレーム500を含む。鍵盤アセンブリ10は、ほとんどの構成が射出成形などによって製造された樹脂製の構造体である。フレーム500は、筐体90に固定されている。

接続部180は、フレーム500に対して回動可能に鍵100を接続する。接続部180は、板状可撓部181、鍵側支持部183および棒状可撓部185aを備える。板状可撓部181は、鍵100の後端から延在している。鍵側支持部183は、板状可撓部181の後端から延在している。棒状可撓部185aは、鍵側支持部183およびフレーム500のフレーム側支持部585を連結している。すなわち、鍵100とフレーム500との間に、棒状可撓部185aが配置されている。棒状可撓部185aが曲がることによって、鍵100がフレーム500に対して回動することができる。

棒状可撓部185aは、後述する取付け構造(いわゆるスナップフィット)を用いて鍵側支持部183とフレーム側支持部585とに結合されている。なお、本実施形態では、スナップフィットの爪部分が引っ掛かる方向と鍵100の長手方向とが一致するように取付け構造を設計している。スナップフィットの爪部分は、なるべく大きく撓ませたいという事情があるため、鍵100が高密度に配置されるスケール方向に比べて長手方向の方がスペース確保の観点から有利であると言える。

図4は、第1実施形態の棒状可撓部185aを含む構造体185の構成を側面から見た場合を示す図である。図4に示すように、構造体185は、棒状可撓部185aの両端に後述する第1部材20aを取り付けた構造となっている。図3では、棒状可撓部185aの両端に、互いに逆さ向きとなるように第1部材20aを設け、各第1部材20aを鍵側支持部183及びフレーム側支持部585のそれぞれに対して装着することにより、鍵側支持部183及びフレーム側支持部585と棒状可撓部185aとを結合している。なお、第1部材20aを含む取付け構造の詳細については後述する。

鍵100は、前端鍵ガイド151および側面鍵ガイド153を備える。前端鍵ガイド151は、フレーム500の前端フレームガイド511を覆った状態で摺動可能に接触している。前端鍵ガイド151は、その上部と下部のスケール方向の両側において、前端フレームガイド511と接触している。側面鍵ガイド153は、スケール方向の両側において側面フレームガイド513と摺動可能に接触している。この例では、側面鍵ガイド153は、鍵100の側面のうち非外観部NVに対応する領域に配置され、接続部180(板状可撓部181)よりも鍵前端側に存在するが、外観部PVに対応する領域に配置されてもよい。

ハンマアセンブリ200は、フレーム500に対して回動可能に取り付けられている。このときハンマアセンブリ200の軸支持部220とフレーム500の回動軸520とは少なくとも3点で摺動可能に接触する。ハンマアセンブリ200の前端部210は、ハンマ支持部120の内部空間において概ね前後方向に摺動可能に接触する。この摺動部分、すなわち前端部210とハンマ支持部120とが接触する部分は、外観部PV(鍵本体部の後端よりも前方)における鍵100の下方に位置する。

ハンマアセンブリ200は、回動軸よりも奥側において、金属製の錘部230が配置されている。通常時(押鍵していないとき)には、錘部230が下側ストッパ410に載置された状態であり、ハンマアセンブリ200の前端部210が、鍵100を押し戻している。押鍵されると、錘部230が上方に移動し、上側ストッパ430に衝突する。ハンマアセンブリ200は、この錘部230によって、押鍵に対して加重を与える。下側ストッパ410および上側ストッパ430は、緩衝材等(不織布、弾性体等)で形成されている。

ハンマ支持部120および前端部210の下方には、フレーム500にセンサ300が取り付けられている。押鍵により前端部210の下面側でセンサ300が押しつぶされると、センサ300は検出信号を出力する。センサ300は、上述したように、各鍵100に対応して設けられている。

[取付け構造の構成] 以下、本実施形態における取付け構造20について説明する。本実施形態の取付け構造20は、いわゆるスナップフィットであり、材料の弾性を利用して部品同士を結合する構造である。本実施形態の取付け構造20の概略構成について図5を用いて説明する。

図5は、第1実施形態の取付け構造20の構成を斜めから見た場合を示す図である。具体的には、図5は、取付け構造20を構成する第1部材20aと第2部材20bとを結合した状態を示している。なお、図5では、取付け構造20の部分のみに着目して説明するが、前述のとおり第1部材20aは、図3に示したように棒状可撓部185aの両端に設けられる部材である。また、第2部材20bは、第1部材20aと対になって取付け構造20を構成する部材であり、図3に示す鍵側支持部183及びフレーム側支持部585に対応する部材である。

また、説明の便宜上、取付け構造20に関する説明においては、図5に示したX軸、Y軸及びZ軸を基準として第1部材20a及び第2部材20bを構成する各部位の相対的な位置関係を説明する。具体的には、X軸の矢印の向かう方向を「前方」、その逆の方向を「後方」とし、Y軸の矢印の向かう方向を「右方」、その逆の方向を「左方」とし、Z軸の矢印の向かう方向を「上方」、その逆の方向を「下方」とする。

図5に示すように、本実施形態における取付け構造20は、第1部材20aと第2部材20bとを組み合わせて用いる。上述した定義によれば、取付け構造20は、第2部材20bの下方から第1部材20aを装着することにより構成される。ここでは、第1部材20aを装着側、第2部材20bを受け側として説明するため、第2部材20bに対し第1部材20aを装着した状態とは、図5に示すように、第1部材20aと第2部材20bとを結合した状態をいう。

また、本実施形態では、取付け構造20の前後方向(X軸に沿った方向)が図1及び図3に示した鍵100の長手方向と一致する。後述するように、第1部材20aは可撓部21が撓むことにより第2部材20bに対して強く結合する構成となっているが、この撓みは出来るだけ大きい方が好ましい。

鍵100は、スケール方向(長手方向と直交する方向)に高い密度で配置されるため、第1部材20aを大きく撓ませるだけの空間を確保する余裕が少ない。そのため、取付け構造20の前後方向を鍵100の長手方向に一致させることにより、第1部材20aの撓み量を出来るだけ大きくしつつ、省スペース化を図ることができる。

次に、第1部材20a及び第2部材20bについて、個別に説明する。

まず、第1部材20aについて図6及び図7を用いて説明する。図6は、第1実施形態の取付け構造20における第1部材20aの構成を斜め上方から見た場合の一例を示す図である。図7は、第1実施形態の取付け構造20における第1部材20aの構成を側方から見た場合の一例を示す図である。

図6及び図7に示す第1部材20aは、本実施形態の取付け構造20における爪側の部材に対応する。第1部材20aは、可撓部21、可撓部21の一端に設けられた掛かり部22、可撓部21と連結された位置決め部25、及び可撓部21と位置決め部25とを連結する連結部27を含む。ここで、説明の便宜上、以下の説明において、可撓部21と掛かり部22とを合わせて取付け部23と呼ぶ。

可撓部21は、可撓性材料で構成される棒状又は板状の部位である。可撓性材料としては、例えばプラスチック材料を用いることができるが、これに限るものではない。本実施形態の可撓部21は、X軸に沿った方向が厚み方向、Y軸に沿った方向が幅方向となる板状の部位で構成されている。そのため、可撓部21の可撓性は、X軸に沿った方向(すなわち、前後方向)が大きく撓み、Y軸に沿った方向(すなわち、左右方向)は、X軸に沿った方向よりも小さく撓むようになっている。すなわち、可撓部21は、X軸に沿った方向の可撓性に比べて、Y軸に沿った方向の可撓性が低い形状となっている。

図5に示したように、第2部材20bに対し第1部材20aを装着した場合、第1部材20aの掛かり部22が第2部材20bの一部に引っ掛かることにより脱落が防止され、両者は結合されることとなる。そのため、可撓部21は、X軸に沿った方向の可撓性を大きくすることにより、掛かり部22が第2部材20bへより深く重畳する(すなわち、掛かり量が大きくなる)ように構成されている。

掛かり部22は、取付け構造20において第2部材20bに対して引っ掛かる爪として機能する部位であり、可撓部21の一端に設けられ、可撓部21より前方に向かって突出した部位となっている。なお、本実施形態では、前方のみに突出させる形状を例示したが、突出させる方向に特に制限はなく、第2部材20bの構成(特に、掛かり部22が引っ掛かる面の位置)に応じて、適宜必要な方向へ突出させればよい。

なお、本実施形態では、説明の便宜上、図7に示した一点鎖線24から下の部分を可撓部21と呼び、そこから上の部分を掛かり部22と呼んでいる。なお、本実施形態では、可撓部21と掛かり部22とが一体形成されているが、それぞれ別の部材で構成することも可能である。

本実施形態の掛かり部22において、突出部分の下面(下方側に位置する面)22aは、第2部材20bに対し第1部材20aを装着した際に、掛かり部22が引っ掛かる部分として機能する部位である。すなわち、掛かり部22における突出部分の下面22aは、スナップフィットにおける爪に対応する部分である。本実施形態では、掛かり部22の下面22aが可撓部21に加わるZ軸方向の力を受けることにより、第1部材20aが第2部材20bから脱落しないようにすることができる。

ここで、図8Aは、第1実施形態の取付け構造20における掛かり部22の構成を側方から見た場合の一例を示す図である。図8Bは、第1実施形態の取付け構造20における掛かり部22の作用について説明するための図である。

図8Aに示すように、本実施形態では、掛かり部22を側方から見た場合に、掛かり部22の下面22aと可撓部21の表面21a(具体的には、可撓部21の表面全体のうち、下面22aが存在する側に面した表面)とのなす角αが鈍角となっている。換言すれば、側方から見た場合に、掛かり部22の下面22aは、図7に示したX軸に対し、Z軸の正方向(矢印の向かう方向)に傾斜する面とも言える。ここで、図7に示したX軸は、掛かり部22を第2部材20bに重畳させる際に可撓部21が撓む方向(可撓方向)と概ね一致する。そのため、掛かり部22の下面22aは、可撓部21の可撓方向に対し、上方側に傾斜する面とも言える。これにより、第2部材20bに対し第1部材20aを装着したとき、掛かり部22は、その下面22aが第2部材20bの上面(後述する第2部材20bにおける本体部31の上面31a)に接した状態で、第2部材20bに重畳する。

図8Bは、第2部材20bの上面31aから掛かり部22が外れかかっている状態を点線で示している。この状態において、掛かり部22に対しては、可撓部21の弾性力によって矢印の方向に向かって力が加わっている。そのため、掛かり部22が、上面31aの隅部(具体的には、後述する第1開口部33の縁)に下面22aを接触させた状態で矢印の方向に摺動し、実線で示した位置に移動する。

以上のように、例えば掛かり部22の変形等により第2部材20bから掛かり部22が外れかかったとしても、可撓部21の前方に向かおうとする弾性力が、掛かり部22の下面22aによって上方への力に変換される。その結果、掛かり部22の下面22aが、掛かり部22の第2部材20bへの掛かり量(掛かり部22が第2部材20bに重畳している長さ)を増加させる方向に働く。つまり、掛かり部22の下面22aとその掛かり部22の下面22aに連続する可撓部21の表面21aとのなす角αを鈍角とすることにより、取付け部23に掛かり量の自己回復作用(掛かり部の引き込み作用)を加えることができる。

また、掛かり部22の位置が多少変動しても、常に下面22aが第2部材20bに接するため、上下方向へのガタつきを防止することができる。

位置決め部25は、取付け部23(特に、掛かり部22)の第2部材20bに対する相対的な位置を決めるための部位であり、連結部27によって可撓部21と連結されている。後述するように、位置決め部25が第2部材20bの第2開口部35に挿入されることにより、第1部材20aと第2部材20bとの相対的な位置関係が固定される。その結果、第2部材20bに対する掛かり部22の相対的な位置が一定となるため、安定した掛かり量を確保することができる。

次に、第2部材20bについて図9〜図13を用いて説明する。図9は、第1実施形態の取付け構造20における第2部材20bの構成を斜め上方から見た場合の一例を示す図である。図10は、第1実施形態の取付け構造20における第2部材20bの構成を上方から見た場合の一例を示す図である。図11は、第1実施形態の取付け構造20における第2部材20bを図9に示すA−A’で切断した構成を見た場合の一例を示す図である。図12は、第1実施形態の取付け構造20における第2部材20bを図9に示すB−B’で切断した構成を見た場合の一例を示す図である。図13は、第1実施形態の取付け構造20における第2部材20bの構成を後方(背面側)から見た場合の一例を示す図である。

図9〜図13に示す第2部材20bは、本実施形態の取付け構造20において第1部材20aに対する受け側の部材に対応する。第2部材20bは、本体部31、並びに本体部31に設けられた第1開口部33、第2開口部35、切欠き部37、及び突起部39を含む。前述のとおり、本実施形態の本体部31は、第2部材20bの本体部分であり、図3に示した鍵側支持部183及びフレーム側支持部585に対応する。

第1開口部33は、本体部31を貫通して設けられた孔に相当する部分である。第2部材20bに対し第1部材20aを装着する際、第1部材20aの取付け部23が、第1開口部33に対し本体部31の下方から挿入される。そして、第1開口部33を抜けた後、第1部材20aの掛かり部22が、本体部31の上面31aに重畳することにより、第1部材20aと第2部材20bとが結合される。このように、第1開口部33は、第1部材20aにおける取付け部23(可撓部21及び掛かり部22)を挿入するために形成された、本体部31を壁面とする内部空間とも言える。

本実施形態の第2部材20bは、図11及び図12に示すように、第1開口部33の内壁面として二つの傾斜した面、すなわち第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bを有している。第1傾斜面34aは、図11に示すように、X軸を含む断面を左方側から見た場合に前方側の壁面の一部を構成する傾斜面であり、第2傾斜面34bは、図12に示すように、Y軸を含む断面を前方側から見た場合に右方側(Y軸の矢印の方向)の壁面の一部を構成する傾斜面である。いずれの傾斜面も、側方から第1開口部33の断面を見た場合に、上方に向かうにしたがって第1開口部33の幅が狭くなるように設けられている。

これら第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bは、取付け部23を第1開口部33に挿入する際に、取付け部23の先端部に対応する掛かり部22が接する位置に配置される。そのため、取付け部23を第1開口部33に挿入する際、掛かり部22がそれぞれの傾斜面を摺動することにより、掛かり部22の位置(位置決め部25を基準とした場合における位置)が前後方向または左右方向に移動する。なお、掛かり部22が第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bを摺動する際、厳密には、掛かり部22の上面が各傾斜面に接する。ここで「掛かり部の上面」とは、掛かり部22を上方から見た場合に視認される面全体を指す。つまり、本実施形態のように、掛かり部22が四角錐台の場合、上方から見た範囲に含まれる頂点や稜線も上面に含まれる。

第2開口部35は、第1開口部33と同様に、本体部31を貫通して設けられた孔に相当する部分である。第2部材20bに対し第1部材20aを装着する際、第1部材20aの位置決め部25が、第2開口部35に対し本体部31の下方から挿入される。そして、位置決め部25が、第2開口部35の内部に締まり嵌めにより固定されることにより、第2部材20bに対する取付け部23の相対的な位置関係が決まる。このように、第2開口部35は、第1部材20aにおける位置決め部25を挿入するために形成された、本体部31を壁面とする内部空間とも言える。

図13に示す切欠き部37は、本体部31の背面31bに設けられたスリット状の部位である。本実施形態では、例えば位置決め部25に対して板状部材を接続して取付け構造全体の強度を補強するような場合や、板状部材を連結することにより鍵側支持部183やフレーム側支持部585の長さを延長するような場合に、それら板状部材を配置可能とするために設けられている。

突起部39は、切欠き部37の端部に設けられた部位であり、切欠き部37の広がりを規制する目的で設けられている。具体的には、第2部材20bに対し第1部材20aを装着した状態において、これら二つの突起部39が第1部材20aの一部で挟み込まれることにより、切欠き部37の広がりが規制される。

次に、第2部材20bの第1開口部33の上端(上面31aに形成される開口領域)の形状に基づく効果について説明する。図14は、第1実施形態の取付け構造20における第2部材20bが有する第1開口部33の上端について説明するための図である。図15は、第1実施形態の取付け構造20における第2部材20bが有する第1開口部33と第1部材20aが有する掛かり部22との位置関係を示す図である。

図14に示すように、本実施形態における第1開口部33は、上方から見た場合に、第1開口領域33a及び第2開口領域33bを含む。なお、「開口領域」とは、上面から開口部を見た場合における開口部の縁で構成される輪郭で囲まれた領域を意味する。つまり、第1開口部33の縁で構成される輪郭を、点線33cを境界として二つに分けると、第1開口領域33a及び第2開口領域33bとして把握できるという意味である。

このとき、第1開口領域33aは、第1部材20aの掛かり部22が通過可能な大きさを有し、第2開口領域33bは、第1部材20aの掛かり部22が通過不能な大きさを有する。また、本実施形態では、予め可撓部21の中心軸が、位置決め部25の中心軸に対して右側(Y軸の矢印が向かう方向)にずれている。すなわち、可撓部21の中心軸と位置決め部25の中心軸とが平行になっていない。したがって、第1開口部33の下方から挿入された掛かり部22は、図15において点線で示す位置で第1開口領域33aを通過した後、可撓部21の弾性力により図15において実線で示す所定の位置に収まるまで移動する。

図15に示すように、所定の位置に収まった掛かり部22は、第1開口領域33aと第2開口領域33bとに共通の第1辺32aを越えて第2部材20bに重畳する。つまり、本実施形態の場合、掛かり部22の下面22aが第2部材20bに重畳し、第1辺32aに接した状態となる。ここで、掛かり部22が第2部材20bに重畳する長さをLとしたとき、この長さLが「掛かり量」に相当する。

また、第2開口領域33bは、第1開口領域33aと共通する第1辺32aに対して斜めに設けられた第2辺32bを有する。図14に示すように、第2辺32bは、第1辺32aに対して斜めに向かい合って設けられている。第1辺32aと第2辺32bとがなす角度に特に制限はないが、後述する取付け部23の第2開口領域33bへの引き込みやすさを考慮して、5°以上30°以下(好ましくは、10°以上20°以下)とすることが好ましい。

図15に示すように、第2部材20bに対し第1部材20aを装着した状態において、取付け部23は、第2部材20bにおける第1辺32a及び第2辺32bに接した状態となる。具体的には、第1辺32a及び第2辺32bが、取付け部23を挟むように取付け部23に接した状態となる。

そのため、図15に示す状態において、可撓部21に対して下方に向かう力(取付け部23を下方に引っ張る力)が加わったとしても、第2辺32bを含む第1開口部33の内壁面が掛かり部22の後方側への移動を防ぐ役割を果たす。このように、本実施形態の取付け構造20は、簡易な構造により第2部材20bからの第1部材20aの脱落を防止することができ、部品同士の意図しない分離を防ぐことができる。

また、掛かり部22の位置が多少変動しても、常に取付け部23の一部が第2部材20bに接するため、前後方向及び左右方向へのガタつきを防止することができる。

なお、取付け部23のどの部分が第1辺32a及び第2辺32bに接するかは特に問題ではない。つまり、第2辺32bに関して言えば、前述の掛かり量に応じて、可撓部21が接する場合もあるし、掛かり部22が接する場合もある。いずれにしても、取付け部23が第1辺32a及び第2辺32bで挟まれた状態となることが重要である。

また、このとき、図15に示すように、取付け部23は、取付け部23の後方側の隅部(ここでは、右方側の隅部)において第2辺32bに対して接触している。前述のように、第1開口部33に取付け部23を挿入した場合、可撓部21及び掛かり部22の全体には、常に右方側に力が働いている。そのため、取付け部23の後方側の隅部が第2辺32b(厳密には、第2辺32bを含む第1開口部33の内壁面)に接触することにより、取付け部23の全体には、前方側(X軸の矢印の向かう方向)に移動する力が働き、結果として、掛かり部22の第2部材20bへの掛かり量が増加する。

さらに、本実施形態の取付け構造20では、図8A及び図8Bを用いて説明したように、側方から見た場合に、掛かり部22の下面22aとその掛かり部22の下面22aに連続する可撓部21の表面21aとのなす角αが鈍角となっている。そのため、取付け部23には、さらに前方側に移動する力が働くため、掛かり部22の第2部材20bへの掛かり量がより増加する構成となっている。

次に、第2部材20bの第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bに基づく効果について説明する。図16Aは、第1実施形態の取付け構造20における第1傾斜面34aの作用を説明するための断面図である。図16Bは、第1実施形態の取付け構造20における第1傾斜面34aの作用を説明するための上面図である。図17Aは、第1実施形態の取付け構造20における第2傾斜面34bの作用を説明するための断面図である。図17Bは、第1実施形態の取付け構造20における第2傾斜面34bの作用を説明するための上面図である。ここでは、取付け部23の一部である掛かり部22の移動に着目して説明する。

図16Aに示すように、本実施形態では、第1傾斜面34aが第1開口部33の壁面として略中央付近から下端にかけて設けられている。勿論、これに限らず、上下方向に関して第1傾斜面34aを設ける位置は任意であり、下端から上端にかけて設けてもよいし、上端近傍に設けてもよい。いずれにしても、第1傾斜面34aは、可撓部21に対し前後方向(X軸に沿った方向)にある程度の撓みを与えるものであればよい。例えば、傾斜面を設ける範囲が狭いほど傾斜角度を大きくすることにより、短い距離であっても可撓部21を大きく撓ませることが可能である。

なお、本実施形態では、掛かり部22の前方側の上面22bがZ軸に対して斜面になっている。前述のように、掛かり部22の第1開口部33への挿入位置は、位置決め部25との位置関係で相対的に決まる。このとき、上面22bの一部が第1開口部33の縁に当たってしまうような位置関係であると、掛かり部22が第1開口部33の中へ挿入できないという問題が生じ得る。

しかしながら、本実施形態の掛かり部22は、上面22bが斜面となっているため、部品寸法のばらつきにより掛かり部22の位置が前方側にずれたとしても、第1開口部33の縁が上面22bに当たる限りは、掛かり部22を第1開口部33の中へ引き込むことが可能である。

また、前述したように、本実施形態では、予め可撓部21の中心軸が、位置決め部25の中心軸に対して右側(Y軸の矢印が向かう方向)にずれている。そのため、第1開口部33の下方側から挿入された掛かり部22は、図16Bに示すように、その右側端部が第1開口部33の右方側壁面に近い位置で上方向への移動を開始する。

第1開口部33の下方側から挿入された掛かり部22は、上方へ移動する過程において、その上面が第1傾斜面34aに接する。この状態でさらに上方へ移動すると、掛かり部22は、第1傾斜面34a上を摺動することにより、点線で示す位置から実線で示す位置へ移動する。この様子を上方から見た場合、図16Bに示すように、掛かり部22は、点線で示す位置から実線で示す位置へと後方に向かって移動する。

図16Aに示すように、この時点では、まだ掛かり部22は第2傾斜面34bには到達していない。そのため、図16Bに示すように、掛かり部22の右側後方部分は、枠線45で囲む領域において第2傾斜面34bの下方に位置する。他方、掛かり部22の前方側端部は、図16Bに示すように、第1開口部33の上端の前方側にある辺(図14に示した第1辺32a)とほぼ一致する位置にある。

図16A及び図16Bに示す状態から、さらに掛かり部22が上方へ移動すると、掛かり部22の上面22cが第2傾斜面34bに接する。第2傾斜面34bは、第1開口部33の右方に位置する内壁面の一部であり、図14において、第2辺32bに連続する第3辺32cに対応する位置に配置される。

そして、図17Aに示すように、掛かり部22は、第2傾斜面34b上を摺動することにより、点線で示す位置から実線で示す位置へ斜め上方に移動する。なお、本実施形態では、掛かり部22の右方側の上面22cがZ軸に対して斜面となっているため、第2傾斜面34bとは面で接触する。勿論、これに限らず、掛かり部22の形状を矩形状とすることにより、掛かり部22の一部が第2傾斜面34bに対して線で接触するようにしてもよい。

図17Aに示す掛かり部22の移動を上方から見た場合、図17Bに示すように、掛かり部22は、点線で示す位置から実線で示す位置へと左方に向かって移動する。

図17A及び図17Bに示すように、この時点において、掛かり部22は第1開口部33を通過する。その後、図15を用いて既に説明したように、掛かり部22は、可撓部21の弾性力により上方から見て右斜め前方に移動し、第2開口領域33bに固定される。

以上のように、本実施形態では、第1開口部33に対して取付け部23を挿入するに当たり、掛かり部22の位置を第2開口領域33bからいったん遠ざけ、可撓部21の弾性力により最終的に第2開口領域33bへと嵌め込む構成となっている。つまり、第1開口部33の内壁に設けられた第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bは、取付け部23の挿入時において、掛かり部22を第2開口領域33bから遠ざける方向に働く。具体的には、第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bは、掛かり部22を互いに直交する二方向(後方及び左方)に移動させるように働く。

このような働きを第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bに与えるため、本実施形態では、第1傾斜面34aを第1開口部33の前方側の内壁面として設け、第2傾斜面34bを第1開口部33の右方側(Y軸の矢印が向かう方向)の内壁面として設けている。つまり、第2部材20bに対し第1部材20aを装着した状態において、第1傾斜面34aは、掛かり部22の下面22aの下方に位置し、第2傾斜面34bは、掛かり部22の後方に位置することとなる。

なお、本実施形態では、互いに直交する二方向に移動させるように二つの傾斜面を配置したが、これに限らず、第2開口領域33bから遠ざける方向にさえ働けば、必ずしも直交しなくてもよい。さらに、二つの傾斜面が必ず必要というわけではなく、例えば第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bのいずれか一方のみであってもよい。傾斜面が一つであっても、第2開口領域33bから遠ざける方向に働けば、最終的に可撓部21の弾性力により第2開口領域33bに嵌め込むという目的は達成することができる。

(変形例1) 第1実施形態の変形例について説明する。図18Aは、第1実施形態の変形例1の取付け構造20における掛かり部41の構成を示す図である。

図18Aに示すように、変形例1の掛かり部41は、側方から見た場合に、掛かり部41の下面41aと可撓部21の表面21a(具体的には、可撓部21の表面全体のうち、下面22aが存在する側に面した表面)とのなす角βが鋭角となっている。換言すれば、側方から見た場合に、掛かり部22の下面22aは、図7に示したX軸に対し、Z軸の負方向(矢印の向かう方向とは逆の方向)に傾斜する面とも言える。つまり、掛かり部22の下面22aは、前述した可撓部21の可撓方向に対し、下方側に傾斜する面とも言える。これにより、第2部材20bに対し第1部材20aを装着したとき、掛かり部22は、その先端部41bが第2部材20bの上面に接した状態で、第2部材20bに重畳する。

図18Aに示す構成の掛かり部41を用いた場合、可撓部21及び掛かり部41に対して下方への強い力が加わっても、掛かり部41は容易に変形することがない。すなわち、変形例1の構成を採用した場合、下方へ引っ張る力に対して強度の高い取付け構造を実現することができる。

(変形例2) 第1実施形態の他の変形例について説明する。図18Bは、第1実施形態の変形例2の取付け構造20における本体部42の構成を示す図である。

図18Bに示すように、変形例2の本体部42は、第1開口部33の縁の近傍に傾斜面42aを有している。つまり、本変形例では、図8Aに示したように掛かり部側に傾斜面(下面22a)を設けるのではなく、本体部42側に設ける例を示している。

図18Bでは、傾斜面42aを有する第2部材20bに対し、図18Aに示した変形例1による掛かり部41を組み合わせた例を示している。この場合、掛かり部41の先端部41bと傾斜面42aとが接し、可撓部21の撓みによる前方への力により、傾斜面42bの斜面上を先端部41bが摺動する構成となっている。これにより、下方へ引っ張る力に対して強度の高い取付け構造を実現しつつ、さらに傾斜面42aにより掛かり部41を前方側に移動させる力が働くため、掛かり部41の第2部材20bへの掛かり量がより増加する構成となっている。

なお、ここでは変形例1による掛かり部41を組み合わせる例を示したが、これに限らず、掛かり部の先端部が傾斜面42a上を摺動し得る構成であればどのような形状の掛かり部を用いてもよい。

<第2実施形態> 第2実施形態では、第1実施形態の取付け構造20から第2傾斜面34bを省略した取付け構造について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態の取付け構造20との構成上の差異に注目して説明を行い、同じ構成については同じ符号を付して説明を省略することがある。

図19は、本発明の第2実施形態の第2部材20b−1をX軸に沿って切断した構成を見た場合の一例を示す図である。具体的には、第2部材20b−1を図10に示した線分A−A’で切断した断面図に対応する。また、図20は、本発明の第2実施形態の第2部材20b−1をY軸に沿って切断した構成を見た場合の一例を示す図である。具体的には、第2部材20b−1を図10に示した線分B−B’で切断した断面図に対応する。

図19において、第1実施形態の第2部材20bと異なる点は、第2実施形態の第2部材20b−1は、第1開口部53の内部の構造が異なる点である。具体的には、本実施形態の第1開口部53は、内壁面として第1傾斜面34aを有し、第2傾斜面34bが省略されている点で第1実施形態とは異なっている。つまり、本実施形態の第1開口部53は、取付け部23の挿入時に掛かり部22を移動させるための傾斜面が一つだけ設けられている。

また、図19及び図20に示すように、本実施形態の第2部材20b−1は、第1開口部53の右方側(Y軸の矢印の向かう方向)に掛かり部22の右方向への移動を規制する移動規制部53aが配置されている。移動規制部53aは、図14に示す図面において、第1開口領域33aの右方側の第3辺32cの下方に位置する壁面である。つまり、第1実施形態では、第3辺32cに対応する位置に第2傾斜面34bが設けられていたが、本実施形態では同じ位置に下端までほぼ垂直な内壁面が配置されている。

ここで、図19に示すように、第1開口部53の断面を側方から見た場合における、第1傾斜面34aを含む前方側の壁面と移動規制部53aにおける前方側の壁面との間の幅を「a」とする。また、第1開口部53に対して第1部材20aの取付け部23を挿入する際における、掛かり部22を上方から見た場合の最大幅を「b」とする。このとき、「a」及び「b」の間には、常にb>aの関係が成り立つ。

上述したb>aの関係について図21Aに示す。図21Aは、第2実施形態の第1傾斜面34aの作用を説明するための断面図である。また、図21Bは、第2実施形態の第1傾斜面34aの作用を説明するための上面図である。

図21Aに示すように、第1開口部53の下方側から挿入された掛かり部22は、上方へ移動する過程において、その上面が第1傾斜面34aに接し、第1傾斜面34a上を摺動することにより、点線で示す位置から実線で示す位置へ移動する。この作用は、第1実施形態で述べたとおりである。

このとき、掛かり部22は、常に移動規制部53aを押す方向(つまり、右方向)に力を加えたまま上方へと移動する。これは、第1実施形態で説明したように、可撓部21の中心軸は、予め位置決め部25の中心軸に対して右方(Y軸の矢印が向かう方向)にずらして設定されているからである。つまり、掛かり部22の右側端部は、移動規制部53aに接した状態でその表面を摺動しつつ上方へと移動する。

その際、前述のb>aを満たしている限り、常に掛かり部22の一部は移動規制部53aに引っ掛かった状態となり、第1開口部33の右側端部への移動が規制される。つまり、図21Aに示した掛かり部22の移動の様子を上方から見た場合、図21Bにおいて枠線55で示すように、掛かり部22の右側端部は、第1開口部53の上端における第3辺32cに概ね沿った位置を保持したまま後方(X軸の矢印が向かう方向とは逆の方向)へと移動する。

そして、図21Bにおいて実線で示す位置へと掛かり部22が移動した時点で、掛かり部22が完全に第1開口部53を通過するため、掛かり部22の前方側の端部が第2部材20b−1における本体部51の上面51aに重畳する。その結果、掛かり部22が右斜め前方に移動して、掛かり部22の右側端部が移動規制部53aから外れる。このような過程を経て、掛かり部22の位置は、図15に示した位置に収まる。

以上のように、本実施形態では、第1傾斜面34aのみを用いて掛かり部22の位置を移動させ、最終的に図15に示した状態で第1部材20aと第2部材20b−1とを装着する構成となっている。

<第3実施形態> 第3実施形態では、第1実施形態の取付け構造20から第1傾斜面34aを省略した取付け構造について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態の取付け構造20との構成上の差異に注目して説明を行い、同じ構成については同じ符号を付して説明を省略することがある。

本実施形態の場合、図11を用いて説明した第1傾斜面34aを省略し、下端から上端まで垂直な壁面(Z軸に略平行な壁面)とした構造となる。したがって、本実施形態では、第2傾斜面34bの作用についてのみ説明する。図22Aは、第3実施形態の第2傾斜面34bの作用を説明するための断面図である。また、図22Bは、第3実施形態の第2傾斜面34bの作用を説明するための上面図である。

図22Aに示すように、第1開口部63の下方側から挿入された掛かり部22は、上方へ移動する過程において、その前方側の先端部が内壁面63aに接する。なお、内壁面63aは、図14に示す図面において、第1開口領域33aの前方側の第1辺32aの下方に位置する壁面である。そして、掛かり部22は、内壁面63a上を摺動しつつ一点鎖線で示す位置から点線で示す位置へと上方に移動する。このとき、可撓部21は、予め後方に撓ませた状態で第1開口部33に挿入される。つまり、掛かり部22の前方側の先端部は、常に内壁面63aを押した状態で上方へ移動する。可撓部21を予め後方に撓ませるためには、可撓部21と位置決め部25との間の距離を、第1開口部63と第2開口部35との間の距離よりも長くすればよい。

次に、図22Bに示すように、掛かり部22が第2傾斜面34bに差し掛かると、掛かり部22の上面が第2傾斜面34b上を摺動し、点線で示す位置から実線で示す位置へと左斜め上方に移動する。この掛かり部22の移動については図17A及び図17Bを用いて説明したとおりである。

そして、図22Bにおいて実線で示す位置へと掛かり部22が移動した時点で、掛かり部22が完全に第1開口部63を通過するため、掛かり部22の前方側の端部が第2部材20b−2における本体部61の上面61aに重畳する。その結果、掛かり部22が右斜め前方に移動して、図15に示した位置に収まる。

以上のように、本実施形態では、第2傾斜面34bのみを用いて掛かり部22の位置を移動させ、最終的に図15に示した状態で第1部材20aと第2部材20b−2とを装着する構成となっている。

<第4実施形態> 第4実施形態では、掛かり部の構成を第1実施形態とは異なる構成とした例について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態の取付け構造20との構成上の差異に注目して説明を行い、同じ構成については同じ符号を付して説明を省略することがある。

第1実施形態では、図16A、図16B、図17A及び図17Bを用いて、第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bの作用について説明した。このとき説明した作用は、掛かり部22の形状にかかわらず奏することができる。つまり、第1実施形態のように、掛かり部22の上面が斜面になっている場合だけでなく、矩形状であっても同様の作用を奏する。

本実施形態では、図23に示すように、取付け部65を構成する掛かり部66が、平板状の形状に構成されている。このような形状であっても、第1実施形態で説明したように、第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bを掛かり部66の一部が摺動することにより、掛かり部66が上方から見て前後左右に移動し、最終的に図15に示す状態に収まる。

本実施形態のように、掛かり部22を平板状の形状とした場合、第2部材20bに対して第1部材20a−1を装着した場合に、第1開口部33の上方に突出する部分(掛かり部22に対応する部分)の高さを抑えることができるため、取付け構造のさらなる小型化を図ることが可能である。

なお、本実施形態では、掛かり部66として平板状の形状の掛かり部を例示したが、Z軸方向(厚み方向)に厚さを増して矩形状の形状の掛かり部としてもよい。また、第1実施形態で説明したような台形状に限らず、三角形状や球形状としても、第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bの作用を損なうことはない。

以上、本発明の実施形態として説明した構成を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。

また、上述した実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされると解される。

1…鍵盤装置、10…鍵盤アセンブリ、70…音源装置、80…スピーカ、90…筐体、100…鍵、100w…白鍵、100b…黒鍵、120…ハンマ支持部、151…前端鍵ガイド、153…側面鍵ガイド、180…接続部、181…板状可撓部、183…鍵側支持部、185…棒状可撓部を含む構造体、185a…棒状可撓部、200…ハンマアセンブリ、210…前端部、220…軸支持部、230…錘部、410…下側ストッパ、430…上側ストッパ、500…フレーム、511…前端フレームガイド、513…側面フレームガイド、520…回動軸、585…フレーム側支持部、710…信号変換部、730…音源部、750…出力部、185a…棒状可撓部、20…取付け構造、20a…第1部材、20b…第2部材、21…可撓部、22…掛かり部、22a…下面、23…取付け部、25…位置決め部、27…連結部、31…本体部、31a…上面、32a…第1辺、32b…第2辺、33…第1開口部、33a…第1開口領域、33b…第2開口領域、34a…第1傾斜面、34b…第2傾斜面、35…第2開口部、37…切欠き部、39…突起部、41…掛かり部、41a…下面、41b…先端部、42…本体部、42a…傾斜面、53a…移動規制部、63a…内壁面

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