Capsule for scientific instruments

申请号 JP2013543763 申请日 2011-12-14 公开(公告)号 JP2014501920A 公开(公告)日 2014-01-23
申请人 ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド; 发明人 ウィンクラー,イブ; フェリ,イヴァン; ルボー,ニコラ;
摘要 本発明は、共通の閉じた表面(4)によって接合されるように互いに固定された2つの殻(2)を含むカプセル(1)であって、2つの殻は、前記表面の両側で、前記殻によって区切られた閉鎖空間(3)を画定する、カプセル(1)に関する。 2つの殻(2)の少なくとも一方は、物理的な大きさの影響により変形することができる柔軟性のある膜である。 少なくとも1枚の膜は、カプセルの寸法を最適化するために、少なくとも部分的に非晶質の金属 合金 でできている。
【選択図】図2
权利要求
  • 2つの殻(2)を含むカプセル(1)であって、前記2つの殻(2)は、共通の閉じた表面(4)によって接合されるように互いに固定され、かつ、前記表面の両側で、該殻によって区切られた閉鎖空間(3)を画定し、かつ、前記殻(2)は物理的な大きさの影響により変形することができる柔軟性のある膜であり、前記膜の少なくとも1枚は、該カプセルの寸法を最適化するために、少なくとも部分的に非晶質の金属合金でできていることを特徴とする、カプセル。
  • 前記金属合金は、0.01より大きい弾性限度対ヤング率比を有することを特徴とする、請求項1に記載のカプセル。
  • 前記金属合金は、50GPaより大きいヤング率を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のカプセル。
  • 前記2枚の柔軟性のある変形可能な膜は、少なくとも部分的に非晶質の金属合金でできていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のカプセル。
  • 前記カプセル(1)は一体成形されており、前記2つの殻である膜(2)が1つの部品になっていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のカプセル。
  • 前記金属合金は、完全に非晶質であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のカプセル。
  • 前記金属合金は、金、白金、パラジウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、銀、イリジウム、およびオスミウムを含む群より選択される少なくとも1種類の貴金属元素を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のカプセル。
  • 前記金属合金は、いかなるアレルゲンも含まないことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のカプセル。
  • 各前記膜は、実質的に円盤状であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のカプセル(1)。
  • 各前記膜は、その変形表面を広げる目的で非直線区画を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のカプセル。
  • 前記膜の前記非直線区画は少なくとも1つの正弦曲線部を含むことを特徴とする、請求項10に記載のカプセル。
  • 圧力センサー(16)を含む理化学機器(10)であって、前記センサーは伝達装置(20)と連動したカプセル(1)を含み、前記伝達装置(20)は前記カプセルの変形から圧力を表す値を提供し、前記カプセルは請求項1から11のいずれか1項に記載のカプセルであることを特徴とする、理化学機器。
  • 前記圧力を表す値を深度の値に変換する手段をさらに含み、前記時計が深度計機能を果たすことを可能にすることを特徴とする、請求項12に記載の理化学機器。
  • 前記圧力を表す値を高度の値に変換する手段をさらに含み、前記時計が高度計機能を果たすことを可能にすることを特徴とする、請求項12に記載の理化学機器。
  • 前記2つの殻すなわち膜の間の前記空間(3)は、10 -3 〜10 -7 mbarの真空になっていることを特徴とする、請求項12から14のいずれか1項に記載の理化学機器。
  • 前記理化学機器(10)は、携帯式時計であることを特徴とする、請求項12から15のいずれか1項に記載の理化学機器。
  • 主ぜんまい(107)で動くムーブメントを有する時計(100)であって、前記主ぜんまいは巻き上げ系で巻き上げられ、前記巻き上げ系は、請求項1から11のいずれか1項に記載のカプセル(1)により作動し、前記カプセルは少なくとも1つの物理的大きさが変化した場合に、温度または圧力の関数として収縮または伸展することを特徴とする、時計。
  • 前記2つの殻すなわち膜(2)の間の前記空間(3)は、温度の変化に反応する液体で満たされていることを特徴とする、請求項17に記載の時計。
  • 说明书全文

    本発明は、共通の閉じた表面によって接合されるように互いに固定された2つの殻すなわち膜を含むカプセルであって、2つの殻すなわち膜は前記表面の両側で、前記殻すなわち膜によって区切られた閉鎖空間を画定する、カプセルに関する。 2つの殻すなわち膜の少なくとも一方は、物理的な大きさの影響により変形することができる柔軟性のある膜である。

    ダイバーズウォッチや高度計など、圧センサーを備えたケースを含む理化学機器または携帯品は、先行技術で既知である。 圧力センサーは、膜および伝達装置を含む。 膜は、伝達装置に作用する外部圧の影響を受けて機械的に変形させることができる。 したがって、伝達装置は、この変形という動き(圧力を表す)を伝達し、例えば、センサーによって検出した圧力値を表示するために、この動きを増幅させる。

    このようなカプセルを時計用エネルギー源として使用することも知られている。 こうしたカプセルは、塩化エチルなどの液体を含有している。 液体は温度変化に反応し、温度が上がったときには気化してカプセル内圧を上昇させる。 カプセルは巻きばねと協働し、巻きばねは殻によって保持され、殻はプーリーによって鎖に連結されている。 プーリーは、ラチェットおよび中間車のクリック系を介した一連の前後運動で香箱ばねを巻き上げる。

    温度が上がるとカプセルは巻きばねを巻き上げ、その結果、鎖は緩んでプーリーを解放する。 温度が下がると、カプセルは収縮し、巻きばねが鎖を引っ張って香箱を巻き上げることを可能にする。

    一般に、こうしたカプセルは、2つの殻または膜をその周縁部または縁で組み合わせることにより作製されており、そうすることで2枚の膜の間に空間ができる。 カプセルを形成する膜は、結晶質材料、例えば銅およびベリリウム(Cu−Be)を含有する合金でできている。

    各材料は、材料ごとのヤング率Eすなわち弾性率(一般にGPaで表される)という特徴を有するが、これはその材料の変形抵抗性を表す。 各材料は、さらに、材料ごとの弾性限度σ e (一般にGPaで表される)という特徴も有しており、これはその材料が塑性変形しない限界の応力を表す。 したがって、各材料の弾性限度対ヤング率の比σ e /Eを規定することにより、所与の厚さの材料を比較することが可能である。 なぜなら、この比は各材料の弾性変形を表すためである。 したがって、この比が高いほど、その材料の弾性変形も大きくなる。 しかしながら、先行技術で使用されている結晶質材料、例えばCu−Be合金は、ヤング率Eが130GPaであり、弾性限度σ eの標準値が1GPaであるので、0.007程度の低いσ e /E比にしかならない。 その結果、こうした結晶質合金カプセルの弾性変形は限られたものとなっている。 このことは、高度計や香箱巻き上げ用エネルギー源に適用する場合、それぞれ測定可能範囲が狭かったり巻き上げ力が小さかったりすることを意味する。

    さらに、この弾性限界が低いことで、カプセルが変形するとき、低レベルの応力でも塑性変形限界に近づいてしまい、初期形状に戻れなくなる危険性を伴う。 この種の変形を防ぐため、カプセルの変形に制限を設ける、すなわちカプセルの動きの大きさを意図的に制限する。 そうすると、高度計に適用する場合、伝達される動きを増幅しなければならないことが明らかである。 これにより雑音が発生するが、雑音は高度計にとって、ついでに言えば測定値を表示するのに、有害である。

    そのうえ、殻である膜の間の空間は、真空になっているか、液体で満たされている。 そのため、カプセルは漏れがないよう密閉しなければならない。 そうするために、一般にはんだを用いて2枚の膜を固定して、漏れがないようこのカプセルを密閉する。

    カプセルをこのように組み立てて密閉する方法は、使用可能な材料の種類を制限する。 実際、当業者は、機械的特性がより優れた材料、例えば金属ガラスまたは非晶質金属を使うことを考えるかもしれない。 しかしながら、上記の一般に用いられる製造方法では、そのような材料の使用は却下されるだろう。 この選択がなされるのは、通常の技法を用いてカプセルの特徴を変更することなくカプセルを作ることはできないという先入観が、当業者にあるからである。 実際、当業者は、はんだ付けを用いてカプセルを組み立ておよび密閉するとカプセルを形成する非晶質材料の性質が変化するだろうという先入観を持っている。 なぜならはんだ付け操作には高温が必要だからである。 そして温度が、非晶質金属の結晶化温度とガラス転移温度の間の温度に達すれば、この温度上昇により非晶質金属が結晶化する可能性がある。

    カプセルのこのような部分結晶化は、カプセルの特長を変化させ、その結果、挙動の変化をもたらす。 それゆえ、当業者は、カプセルの製造に非晶質金属を使いたいとは思わないのである。

    本発明は、最大応力に関して安全域を有し、かつ、変形可能な大きさに恵まれているというより信頼できるカプセルを提案することで先行技術の上記欠点を克服するカプセルに関する。 あるいは、本発明は、寸法は小さくなっても変形度合いは同等なカプセルを提案する。

    本発明は、共通の閉じた表面によって接合されるように互いに固定された2つの殻すなわち膜を含むカプセルであって、前記表面の両側で、前記殻によって区切られた閉鎖空間を画定するカプセルに関し、2つの殻は、物理的な大きさの影響により変形可能な柔軟性のある膜であり、2枚の膜の少なくとも1枚は、このカプセルの寸法を最適化する目的で、少なくとも部分的に非晶質の金属合金でできていていることを特徴とする。

    第一の有利な実施形態において、膜の金属合金は、0.01より大きい弾性限度対ヤング率比を有する。

    第二の有利な実施形態において、膜の金属合金は、50GPaより大きいヤング率を有する。

    第三の有利な実施形態において、2つの殻は柔軟性のある変形可能な膜である。

    第四の有利な実施形態において、2枚の柔軟性のある変形可能な膜は、少なくとも部分的に非晶質の金属合金でできている。

    別の有利な実施形態において、カプセルは一体成形されており、2つの殻が1つの部品になっている。

    別の有利な実施形態において、金属合金は、全体が非晶質である。

    別の有利な実施形態において、金属合金は、金、白金、パラジウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、銀、イリジウム、およびオスミウムを含む群より選択される少なくとも1種類の貴金属元素を含む。

    別の有利な実施形態において、金属合金は、いかなるアレルゲンも含まない。

    別の有利な実施形態において、各膜は、実質的に円板状である。

    別の有利な実施形態において、各膜は、その変形表面を広げるように非直線区画を有する。

    別の有利な実施形態において、膜の非直線区画は少なくとも1つの正弦曲線部を含む。

    本発明のカプセルの第一の利点は、それがより有利な弾性特性を有することである。 実際、非晶質材料の場合、弾性限度σ eが上がるとσ e /E比も上がる。 したがって、材料がその最初の形状に戻れる限界の応力も上がる。 このように、σ e /E比が改善されることでより大きな変形がもたらされる。 これにより、測定範囲またはカプセル変形度合いを広げたいのか、それとも測定範囲または変形度合いを保ったままカプセルの大きさを小さくしたいのかに従って、カプセルの寸法を最適化できるようになる。

    このような非晶質材料の別の利点は、それらが、複雑な形状の部品をより高い精度で開発するための新たな成形の可能性をもたらすことである。 実際、非晶質金属は、各合金に固有の所与の温度範囲内[Tg〜Tx](Txは結晶化温度であり、Tgはガラス転移温度である)において、非晶質のまま軟化するという特有の性質を有する。 したがって、このような金属を、低温で、比較的弱い応力で成形することが可能である。 このことは、精密な表面形状を非常に正確に再現できることを意味する。 なぜなら、合金の粘度が大きく低下することで合金が型の細かい部分も全て採り入れることができるからである。

    この精度は、液体金属を型に注入することによっても達成される。 次いで液体金属を急速に冷却することで結晶化させずに非晶質にする。 この方法が有利であるのは、非晶質金属は固化するときに結晶構造を取らないため、凝固収縮をほとんど起こさないからである。 したがって、結晶質材料の場合、凝固収縮は5〜6%に達する可能性があり、このことは、カプセルが固化するときにその寸法が5〜6%縮むことを意味するが、非晶質金属の場合は、凝固収縮は0.5%程度である。

    さらに、本発明は、理化学機器にも関し、この理化学機器は、本発明によるカプセルを用いた圧力センサーを含むことを特徴とする。

    別の有利な実施形態において、理化学機器は、圧力を表す値を深度の値に変換する手段をさらに含み、時計が深度計機能を果たすことを可能にする。

    別の有利な実施形態において、理化学機器は、圧力を表す値を高度の値に変換する手段をさらに含み、時計が高度計機能を果たすことを可能にする。

    理化学機器の別の有利な実施形態において、2つの殻、すなわち膜の間の空間は、10 -3 〜10 -7 mbarの真空になっている。

    別の有利な実施形態において、理化学機器は、携帯式時計である。

    さらに、本発明は時計にも関し、この時計は、時計に動力を供給する香箱を巻くために本発明のカプセルを含むことを特徴とする。

    この時計の有利な実施形態は、従属請求項の主題を形成する。

    本発明によるカプセルの目的、利点、および特長は、本発明の少なくとも1つの実施形態についての以下の詳細な説明においてより明らかになるだろう。 実施形態は、非限定的な例としてのみ提供されるものであり、添付の図面により図示される。

    図1は、本発明によるカプセルの断面概略図である。

    図2は、本発明によるカプセルの一変形例の断面概略図である。

    図3は、本発明によるカプセルの一変形例の斜視概略図である。

    図4は、結晶質材料および非晶質材料の変形曲線を示す図である。

    図5は、本発明によるカプセルの一体成形型変形例の断面概略図である。

    図6は、本発明によるカプセルを用いた圧力センサーを有する時計の縦方向断面図である。

    図7は、本発明によるカプセルの縦方向断面図である。

    図8は、香箱を巻くために本発明によるカプセルを用いた時計の縦方向断面図である。

    図1〜図2は、本発明によるカプセル1の断面図を示す。 このカプセル1は、2つの殻すなわち膜2で形成される。 これら2つの殻2は、共通の閉じた表面4によって接合され、この共通の表面の両側で、前記殻2によって区切られた閉鎖空間3を画定する。

    有利なことに、2つの殻2は、互いに固定されているので、2つの殻2の間の空間3は、外部空間から完全に遮断される。

    関係する用途によって、2つの殻2のうち少なくとも1つは、変形可能な膜として構成される。 この膜2は、温度や圧力などの物理的な大きさの影響を受けると、その物理的大きさに連動した変形度合いで変形できるようになっている。 好ましくは、殻2は両方とも変形可能な膜の形態で構成される。

    有利なことに、本発明によれば、カプセル1の膜2のうち少なくとも1枚は、非晶質材料、すなわち、部分非晶質または完全非晶質の材料を含む。 この部分または完全非晶質材料は、この材料の構成要素を溶融および混合し、次いで急速冷却することでこの材料が結晶化するのを少なくとも部分的にまたは完全に防ぐことにより、得られる。 具体的には、金属ガラス、すなわち非晶質金属合金が用いられる。 好ましくは、カプセル1は、非晶質金属または合金でできた2枚の膜2を含む。 以下の記載で用いられるのは、この変形例である。 したがって、カプセル1の膜2のうち少なくとも1枚が非晶質または部分非晶質材料を含むカプセル1は、「非晶質材料製カプセル」と称するものとする。

    実際、こうした非晶質金属合金の利点は、製造中に、非晶質材料を形成する原子が、結晶質材料の場合と同じように、特定の構造に自ら整列することはないという事実による。 したがって、結晶質材料と非晶質材料は、たとえヤング率Eが近くても、弾性限度σ eは異なっている。 よって、非晶質材料は、図4に示すとおり、非晶質材料の弾性限度σ eaが比率として結晶質金属の弾性限度と実質的に同等から2倍まである点で異なっている。 この図は、非晶質材料(点線)および結晶質材料についての、変形度合いεに応じた応力σの曲線を示す。 この図は、非晶質材料の方が弾性限度σ eに達するまでにより大きく変形できることを意味する。

    まず第一に、少なくとも1つの非晶質材料製の殻2を有するこのカプセル1は、結晶質材料製カプセル1と比較すると、カプセルを擁する機構の信頼性を向上させる。 実際、弾性限度σ eaは高くなり、このことは、塑性領域がさらに遠のき、その結果、受けた応力の影響によってカプセル1が塑性変形する危険性が減ることを意味する。

    第二に、少なくとも1つの非晶質材料製の殻2を有するカプセル1は、中心に加えられた応力が同じならば移動距離が同じになるように、すなわち殻2の接合面からの距離に対して移動距離が同じになるように、殻の寸法を最適化することに留意すべきである。 カプセル1は、その寸法により変形度合いが異なると考えられる。 直径が長くなれば、カプセル1の理論移動距離も長くなり、また、厚さが増加した場合は、カプセル1の理論移動距離は短くなることが知られているからである。 有利なことに、弾性限度が上昇すると、カプセル1をまったく塑性変形させることなく加えることが可能な応力も大きくなる。 したがって、カプセルの直径および厚さを減少させても、動きの大きさを維持することが可能になる。 その結果、カプセル1はより小型になる。

    材料自身に関しては、まず第一に、σ e /E比が高くなるほど、カプセル1はより効率的になると考えられる。 有利なことに、σ e /E比が0.01より高い材料は、カプセル1を作るのに最適な材料である。 カプセルが許容できる体積に収まるように、σ e /E比の他に、Eの値も一定限度より高くなるように選択することができることも、明記しておかなければならない。 好ましくは、この限度は50GPaに設定される。

    次に、他の特長を考慮することができる。 つまり、耐食性および非磁性という性質が、潜時計にとって特に有利となると考えられる。 「非磁性」は、軟質の磁性材料、好ましくは50〜200程度の相対透磁率、および500A/m超という特に高い飽和磁場値を有するものを意味する。 以下に、使用可能な非晶質材料を示す:Zr 41 Ti 14 Cu 12 Ni 10 Be 23 (この材料のヤング率Eの値は105GPa、弾性限度σ eは1.9GPa)は、σ e /E比が0.018であり、Pt 57.5 Cu 14.7 Ni 5.322.3 (この材料のヤング率Eの値は98GPa、弾性限度σ eは1.4GPa)は、σ e /E比が0.014である。

    もちろん、この他にも有利であると思われる特長(合金のアレルゲンとしての側面など)がある。 実際、材料は、それが結晶質であっても非晶質であっても、アレルゲンを含む合金を使用していることが多いことは、よく知られているのではないだろうか。 例えば、この種の合金は、コバルトまたはニッケルを含んでいる。 したがって、本発明によるカプセルの変形例を、こうしたアレルゲンを含有しない合金を用いて作製することができる。 アレルゲンを含有するがアレルギー反応は引き起こさないものを提供することも可能である。 そうするためには、こうしたアレルゲンを含有するが腐食作用を受けてもそれらを放出しないカプセル1を提供すればよい。

    本発明の別の変形例によれば、カプセル1を貴金属材料で作ることが可能である。 実際は、結晶質状態では、金または白金などの貴金属材料製の合金は柔らかすぎて、柔軟性のある頑丈なカプセル1を作れない。 しかしながら、こうした貴金属合金は、金属ガラス状、すなわち非晶質状態を取るとすぐに、高級感のある魅力的な外観を与える目的と同時に、カプセル1の製造にそれらが使用可能になるという特長を持つようになる。 白金850(Pt850)および金750(Au750)が、このカプセルを作るのに用いられる貴金属合金として好ましい。 もちろん、他の貴金属(パラジウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、銀、イリジウム、およびオスミウムなど)も使用可能である。 こうした非晶質の貴金属合金をカプセルに用いることは、貴金属の機械特性が低いという先入観に反するものである。

    非晶質の金属または金属合金の優れた利点の1つは、それらの優れた成形性にある。 実際、非晶質金属は、各合金に固有の所与の温度範囲[Tx〜Tg]内において(例えば、Zr 41.24 Ti 13.75 Cu 12.5 Ni 10 Be 22.5合金ならTg=350℃およびTx=460℃)、非晶質のまま軟化するという特有の特徴を有する。 したがって、こうした金属を、比較的低いストレス(1MPa)および低温、すなわち600℃未満の温度下で、成形することが可能である。

    成形方法は、非晶質プリフォームを熱間加工することからなる。 プリフォームは、非晶質合金を形成する金属成分を炉で溶融させることにより得られる。 溶融は、合金への酸素混入の可能性が最小限になるように、制御された雰囲気下で行われる。

    例えば、カプセル1の殻である膜2のうちの1つを作るため、溶融した成分を、半完成品(例えば、膜2の寸法に近い寸法の円盤)の型に流し込み、次いで急速に冷却して非晶質状態を保持する。 プリフォームができ上がったら、熱間加工を行って、部品を仕上げる。 この熱間加工は、完全または部分非晶質構造を保持するために、Tg〜Txの温度範囲内で、所定の時間、プレスすることにより行われる。 この熱間加工法の場合、プレスに続いて冷却を行う。 プレスおよび冷却は、膜2を形成する材料のどのような結晶化も防げるほど十分に急速でなければならない。 実際、所与の材料について、そのガラス転移温度Tgと結晶化温度Txの間にある所与の温度において、その材料が結晶化しないある限界時間長が存在する。 この時間長は、温度がその結晶化温度Txに近づくと短くなり、ガラス転移温度Tgに近づくと長くなる。 したがって、非晶質材料は、Tg〜Txの範囲内にある温度での経過時間が、各合金と温度の組み合わせごとに固有の特定値を超えると結晶化する。 一般的に、Zr 41.2 Ti 13.8 Cu 12.5 Ni 10 Be 22.5合金について温度が440℃の場合、プレスする時間は、約120秒という値を超えてはならない。 こうすることで、プリフォームの少なくとも部分的に非晶質の初期状態は維持される。

    この方法は、非晶質金属の特徴的な弾性を維持する目的で行われる。 したがって、カプセル1の最終成形工程は、以下のとおりである:
    a)膜2の凹型のダイスを設定温度に加熱する。
    b)非晶質金属の円板を熱ダイス間に挿入する。
    c)ダイスを閉じるように力を加え、ダイスの表面形状を非晶質金属の円板に転写する。
    d)選択した最長時間の間、待つ。
    e)ダイスを開く。
    f)膜を急速に冷却して温度をTgより低くする。
    g)最後に膜2をダイスから取り出す。

    この成形法は、精密な表面形状を非常に正確に再現することが可能である。 なぜなら、合金の粘度を大幅に減少させるので、合金が型の細かい部分まで全て採り入れるからである。 例えば、白金系材料の場合、成形は、温度Tgで粘度10 12 Pa・sで行うかわりに、約300℃で1MPaの応力を加えて、粘度が上限10 3 Pa・sの中で行われる。 この方法の利点は、凝固収縮がないことであり、これによりダイスの輪郭から細部まで完全に再現した部品が得られる。

    もちろん、鋳造または注入による成形など他の種類の成形も可能である。 この方法では、金属成分を炉で溶融して得られた合金を、例えば棒などの任意の部品(結晶質状態でも非晶質状態でもよい)の型に入れて成形する。 次いで、この任意の形状の合金部品を再び溶融して、最終部品の形状を有する型に流し込むか圧力注入する。 型は、合金を充填されると、Tgより低い温度まで急速に冷却されて、合金が結晶化することを防ぎ、こうして非晶質または半非晶質の金属膜が得られる。 この方法は、非晶質金属が固化するときに結晶構造を取らないので、その非晶質金属はほとんど凝固収縮しないことから有利である。 すなわち、結晶質材料の場合、この凝固収縮は5〜6%に達する可能性があり、このことは、カプセル1が固化するときにその寸法が5〜6%縮むことを意味するが、非晶質金属の場合は、この凝固収縮は0.5%程度である。 さらに、流し込みまたは注入は、古くからの方法であり、したがって簡便かつ安価である。

    2枚の膜2が形成されたら、共通の閉じた表面または縁4で互いに組み合わされ、カプセル1を形成する。 2枚の膜2の接合は、溶接、はんだ付け、または接着などの様々な方法で行うことができる。

    別の方法は、非晶質金属の性質を利用するものである。 これを行うために、2枚の膜2の一方を他方の上に置く。 そうして、膜の周縁部をTg〜Txの温度まで加熱する。 次いで、周縁部をクランプで挟む。 これらのクランプは、櫛形に並んだスタッドを有しており、クランプで挟んだときにクランプのスタッドが2枚の膜2の間に機械的相互作用をもたらして膜が互いを固定するようになっている。

    好ましくは、この固定操作を行うことで、カプセル1は密閉され、2枚の膜2の間の空間3は、完全に外界から遮断される。

    固化に続いて、真空化または充填工程が行われる。 カプセル1内の真空度は、真空になればなるほど性能が良くなることを考慮に入れて、10 -3 〜10 -7 mbar程度である。 真空化または充填操作は、一般に、図3に示すとおり、膜2のうち1枚に作られたオリフィス5を介して行われる。 このオリフィス5は、その後、金属栓をすることで塞がれる。 オリフィス5は、膜2のうち1枚の中心に位置することが好ましい。 なぜなら、オリフィスを2枚の膜2の間の、それらが互いに接合する結合部に置くのと違って、この場所ならほとんど応力を受けないからである。

    用いられる方法の別の変形例において、非晶質金属の成形性は、有利なことに、カプセル1を図5に示すとおり一体成形できることを意味する。 実際、熱成形法または鋳造法により、カプセル1の正確なパターンを形成するダイスまたは型を作ることが可能である。 こうした方法は、上記の説明どおり非晶質金属をダイスまたは型に充填するのに用いられる。 ダイスまたは型を分解する工程が追加される。

    実際、カプセル1を作るためには、ダイスまたは型は、膜の間の、d真空にされるか液体で満たされる空間を作り出す挿入物を含まなければならない。 カプセル1を作るときは、非晶質金属をこの挿入物の周囲に堆積させて、挿入物を非晶質金属で包み込む。 続いて、薬品浴中で型またはダイスを分解して、カプセル1を型から取り出す。 使用する薬品は、型またはダイスを形成する材料に従って選択される。 こうして形成されたカプセル1は、ただ1つのオリフィス5を有し、このオリフィス5はカプセルを密閉するために塞がなければならない。

    次の工程は、用途に応じてカプセル1を液体で満たすか、真空にし、それからカプセル1を確実に密閉するためにオリフィス5を塞ぐことである。 この充填または真空化は、熱間加工または鋳造で作り出されたオリフィス5を介して行われる。

    この変形例は、複数の利点を有する。 まず第一に、この変形例は、製造がより簡単なカプセル1を提供する。 なぜなら、2枚の膜2を接合する操作がなく、したがって工程が1つ減るからである。 接合操作は、非晶質金属を結晶化させることなく、耐久性のある接合および適切な密閉化を行わなければならないため、複雑である。 一体成形カプセル1を作ることにより、接合させる膜2は存在せず、その結果、接合に伴う密閉の問題も生じない。 このように、一体成形カプセル1は、解決すべき複雑な問題が生じるのを防ぐ。 カプセル1を密閉するのはさらに簡単である。 なぜなら、カプセル1の全周縁部を密閉しなければならないのと違って、塞がなければならないのが、カプセルを充填するか真空にするためのオリフィス5だけだからである。

    さらに、この変形例は、カプセル1の表面をより有効に活用できるようにする。 実際、2枚の膜2を接合してカプセル1を作る場合、膜2は、一つながりの閉じた表面または接合範囲4がカプセル1の性能に悪影響を及ぼさないように設計されなければならない。 これを達成するため、膜2は、その周縁部が接合専用範囲であってカプセル1の作動中の活動範囲ではないように設計される。 したがって、この特別接合範囲は、カプセルの作動には有用ではない。 本変形例の方法を用いると、接合部がなく、したがって、この接合部に提供する無用な範囲を持つ必要ももはやなくなる。 したがって、カプセル1は、小型化され、設計もより簡単になる。

    この変形例の代替例は、ブロー成形法を利用するものである。 これを達成するため、非晶質材料のプリフォーム4を作る。 このプリフォームは、所望の合金を形成する溶融成分を鋳造して半完成品(例えば、ボール、管、または底の付いた管など)を成形し、次いで急速に冷却して非晶質状態を保持することで作られる。

    次いで、プリフォームを、作ろうとするカプセルのパターンと同一のパターンを有する型に入れる。

    次いで、プリフォームをTg〜Txの間の温度まで加熱し、これにより非晶質金属を粘性にして容易に鍛造できるようにする。

    次に、ブローノズルをプリフォームに挿入し、ブロー工程を開始できるようにする。 このブロー工程は、プリフォームに圧縮空気またはガスを注入するものである。 プリフォームを形成する金属が粘性であるため、この圧力の影響でプリフォームは伸展する。 非晶質金属は、伸展により、型のパターン穴の壁に接着する。 次いで、非晶質金属を、結晶化しないように急速に冷却する。

    最終工程は、型を2つに開くことで、冷えたカプセルを型から取り出すものである。

    この代替例の利点は、互いに組み合わさる2つの部品で型ができるので、型がそれほど複雑にならないところである。 さらに、上記の一体型部品と比べて、膜2の間の閉鎖空間を形成するのに用いられる挿入物が存在しないため、結果として従来の再利用可能な型を使用できることも、この代替例をより簡潔にしている。

    さらに、非晶質金属の成形性とは、膜2またはカプセル1を所望の形状で作ることができることを意味する。 例えば、膜2またはカプセル1の厚さや直径だけでなく、部分形状を変えることで、膜2またはカプセル1の性質を変更することが可能である。 例えば、図2、図3、および図5に示すとおり、正弦曲線部6を有する膜2を得ることが可能である。 この種の形状は、膜の表面積を増加させるだけでなくその剛性も増加させることができる。 したがって、膜は変形しにくくなる。 この正弦曲線部の配置は、有利なことに、材料の弾性変形が圧力に応じた線形変形となり得ることを意味する。 すなわち、この線形化により、膜11の変形を圧力値に変換する手段が簡潔なものになる。

    このカプセル1は、図6に示す潜水時計10などの理化学機器に利用することができる。 潜水時計10は、中間部分12を含むケース11を有し、中間部分12に時計10のガラス14をはめるベゼル13が固定されている。 ガラス14の下には、表示装置15が配置されており、これも中間部分12に固定されている。 この種の用途では、カプセル1の内部空間は真空になっている。

    時計10は、裏蓋17で閉じられており、裏蓋17は、密閉式に中間体部分18に固定されている。 中間体部分18はさらに、密閉式に中間部分12に固定されており、こうしてケースを形成している。 この時計は、圧力センサー16も含んでおり、圧力センサー16は好ましくはケース211内に位置する。

    圧力センサー16は、伝達装置20およびカプセル1を含む。 カプセルは、時計10のケース11内に位置していて、支持体22に固定されている。 これにより、カプセルは確実に上手く変形する。 この実施例では、支持体22は、中間体部分18に固定されている。 支持体22および中間体部分18は、このカプセル1の外面が外部圧と接触し、外部圧によって変形可能であるように、配置されている。 カプセル1を外部環境と接触させるために、ケース21の裏蓋17に複数のオリフィスまたは穴23を空ける。 これらのオリフィスまたは穴23により、カプセル1の膜2は、外部圧とカプセル1内の圧力が異なる場合に変形できる。

    さらに、ケース21の裏蓋17に着脱式キャップ21をはめるようにしてもよく、着脱式キャップ21は、圧力測定が必要ないときにオリフィスまたは穴23を塞ぐようにスナップ式ではめることができる。 こうすることで、圧力センサー16が保護される。

    圧力センサー16を作動させるために、伝達装置10はこのカプセルと連動して用いられる。 すなわち、空間3と外部環境との圧力差の影響により、カプセルは、大きく変形したり少しだけ変形したりする。 実際、外部圧がカプセル1内の圧力よりも高くなると、カプセル1は変形してカプセル1の空間3の体積を縮小させる。 反対に、高所では、外部圧はカプセル1内の圧力よりも低くなり、カプセルはカプセル1の空間3の体積を増加させるように変形する。

    カプセルのこの変形は、伝達装置20に作用する。 伝達装置20は、カプセルの位置をその初期位置と比較して検出するものである。 初期位置は、好ましくはカプセルの内外両方の圧が等しい位置である。 いったん検出が行われると、伝達装置20はこのカプセルの変形を、例えば機械的な動きを介して伝達する。

    伝達装置20により伝達された圧力を表す動きは、増幅された後、表示装置15によって利用することができる。 表示装置は、変形、つまりは圧力を表す動きを深度または高度の値に変換する手段を利用する。 次に、表示装置15が、この圧力センサー16で測定された深度を表示する。 もちろん、圧力検知を任意の他の手段(圧電変換装置など)で行うこともできる。 さらに、圧力を利用する他の機能(高度計または気象に関する機能など)も構想することができる。

    センサー16の素子は、かくしてカプセル移動距離の必要な測定範囲を定義する所定の技術仕様に従って較正される。 必要な測定範囲は、例えば、深度100メートルなどの、検出および表示する必要がある最大または最小圧力値を表す。 カプセルの移動距離は、各殻2の弛緩状態に対する変形を合計することで得られ、そのカプセルが取り得る最大変形量を定義する。 つまり、カプセルの特長は、この2つの値から定義される。 カプセルはその寸法(1つの例では、カプセルは直径40mmおよび厚さ3mmである)およびカプセルを形成する材料によって特性評価される。

    本発明によるカプセル1の別の用途は、図7および図8に示すとおりの時計100における香箱107の巻き上げ要素としての使用である。 これを達成するため、これらのカプセル1は、例えば、塩化エチルなどの液体で満たされる。 液体は温度変化に反応し、温度が上がれば気化してカプセル内圧を上昇させる。 するとカプセルの体積が増加し、巻きばね101と協働する。 巻きばねは、殻103によって保持されており、殻103は、プーリー104によって鎖102と連結している。 温度また圧力が変化すると、カプセル1は鎖102を動かし、その結果プーリー104が回転する。 プーリーは、ラチェット105および中間輪106のクリック系と協働して、主ぜんまい107を巻き上げる。

    結晶質材料製カプセルと比較した場合の本発明によるカプセルの利点は、非晶質材料製のカプセル1の方が移動距離が大きくなることである。 このことはすなわち、香箱107の巻き上げがより大きくなることを意味する。 なぜなら、鎖102の動きがより大きくなるからである。 その結果、プーリー104の回転もより大きくなり、したがって香箱107は、より速くより効率的に巻き上げられる。 非晶質金属カプセル1の方が結晶質金属カプセル1よりも移動距離が大きいならば、カプセル1を小さくしても同等の移動距離を得ることが可能であり、したがってより小さな時計を作ることが可能である。

    さらに、香箱巻き上げ用のカプセルは有利なことに、ベローズ6を有する。 ベローズ6は、複数のひだで形成されていて、カプセル1の周縁部に配置されており、このカプセルが収縮しているときにカプセル1の液体を収容するために使用される。 したがって、カプセルの中心部が収縮して吐き出された液体は、ベローズ6の各ひだに収容される。 ベローズは液体から応力を受け、この応力の影響で変形する。 非晶質金属を使用することで、ベローズ6の大きさを小さくすることが可能である。 これが可能であるのは、非晶質金属の方が塑性変形する応力の限界が高く、したがってベローズ6の各ひだが、液体をより多く含有できるからである。

    当業者に明白な様々な改変および/または改善および/または組み合わせを、付属する請求の範囲により定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記の本発明の様々な実施形態に行い得ることが、明らかだろう。 例えば、カプセル、または膜は、異なる形状を有してもよい。 本発明によるカプセルを、様々な用途(解体、掘削、採掘など)のため、トリガー装置、遅延装置、および物理的規模変化装置(トリガーシステムなど)に使用できることも明らかである。

    QQ群二维码
    意见反馈