超音波トランスデューサー素子チップおよびプローブ並びに電子機器および超音波診断装置

申请号 JP2012078673 申请日 2012-03-30 公开(公告)号 JP5900107B2 公开(公告)日 2016-04-06
申请人 セイコーエプソン株式会社; 发明人 中村 友亮; 鶴野 次郎; 清瀬 摂内;
摘要
权利要求

開口がアレイ状に配置された基板と、 前記基板の第1面に設けられ、前記基板の厚み方向から見た平面視において前記開口と重なる位置に設けられた超音波トランスデューサー素子と、 前記基板の前記第1面とは反対側の前記基板の第2面に設けられた補強部材と、を備え、 前記補強部材は、前記基板の前記第2面と接する面において当該面の面内の第1の方向に並べて配置され、前記開口を含む前記基板の内部空間および前記基板の外部空間を連通する直線状溝部を有し、 前記直線状溝部の間隔が前記第1の方向に沿った前記開口の開口幅よりも小さいことを特徴とする超音波トランスデューサー素子チップ。請求項1に記載の超音波トランスデューサー素子チップにおいて、前記補強部材は、アレイ状に配置された前記開口の間の前記基板の仕切り壁部に少なくとも1カ所の接合域で接合されることを特徴とする超音波トランスデューサー素子チップ。請求項1または2に記載の超音波トランスデューサー素子チップにおいて、前記基板の厚み方向からの平面視で、1本の前記直線状溝部ごとに、1列の前記開口を順番に横切って次々に開口同士を連通し、列端の前記開口から前記基板の輪郭の外側の空間に連通することを特徴とする超音波トランスデューサー素子チップ。請求項1または2に記載の超音波トランスデューサー素子チップにおいて、前記基板の厚み方向からの平面視で、複数本の前記直線状溝部の組み合わせで、1列の前記開口を順番に横切って次々に開口同士を連通し、列端の前記開口から前記基板の輪郭の外側の空間に連通することを特徴とする超音波トランスデューサー素子チップ。請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサー素子チップにおいて、前記直線状溝部の前記第1方向に並ぶ間隔は前記開口の前記第1の方向の開口幅の3分の1以上であって2分の1よりも小さいことを特徴とする超音波トランスデューサー素子チップ。請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサー素子チップにおいて、前記基板の厚み方向からの平面視で、前記開口の輪郭は矩形に形成され、前記直線状溝部は前記矩形の短辺方向に前記開口を横切ることを特徴とする超音波トランスデューサー素子チップ。請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサー素子チップにおいて、前記基板の厚み方向からの平面視で、前記開口の輪郭は矩形に形成され、前記直線状溝部は前記矩形の長辺方向に前記開口を横切ることを特徴とする超音波トランスデューサー素子チップ。請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサー素子チップにおいて、前記基板の厚み方向からの平面視で、前記開口は一定のピッチで前記第1の方向に配列され、前記直線状溝部は前記第1の方向に等ピッチで並べられることを特徴とする超音波トランスデューサー素子チップ。請求項1〜8のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサー素子チップと、前記超音波トランスデューサー素子チップを支持する筐体とを備えることを特徴とするプローブ。請求項9に記載のプローブと、前記プローブに接続されて、前記超音波トランスデューサー素子の出を処理する処理回路とを備えることを特徴とする電子機器。請求項9に記載のプローブと、前記プローブに接続されて、前記超音波トランスデューサー素子の出力を処理し、画像を生成する処理回路と、前記画像を表示する表示装置とを備えることを特徴とする超音波診断装置。請求項1〜8のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサー素子チップと、 前記超音波トランスデューサー素子チップを支持する筐体とを備え、 前記筐体がプローブ本体に着脱可能であることを特徴とするプローブヘッド。基板上にアレイ状に配置された開口の第1の方向の開口幅よりも小さい間隔で並べられた直線状溝部を備えた表面を有する補強部材を保持する工程と、 個々の前記開口に超音波トランスデューサー素子が設けられる前記基板の第1面と反対側の前記基板の第2面および前記補強部材の前記表面を重ね合わせる工程と を含むことを特徴とする超音波トランスデューサー素子チップの製造方法。第1面に振動膜を有し、前記第1面とは反対側の第2面に開口がアレイ状に設けられた基板と、 前記振動膜に設けられ、前記基板の厚み方向から見た平面視において前記開口と重なる超音波トランスデューサー素子と、 前記第2面に設けられ、前記平面視において前記開口を覆う補強部材と、を備え、 前記補強部材は、前記第2面と接する面において第1の方向に並べて配置され、前記開口を含む前記基板の内部空間および前記基板の外部空間を連通する直線状溝部を有し、 前記直線状溝部の間隔が前記第1の方向に沿った前記開口の開口幅よりも小さいことを特徴とする超音波トランスデューサー素子チップ。

说明书全文

本発明は、超音波トランスデューサー素子チップ、および、それを利用したプローブ、並びに、そういったプローブを利用した電子機器および超音波診断装置等に関する。

例えば特許文献1に開示されるように、超音波トランスデューサー素子チップは基板を備える。基板には複数の開口が形成される。個々の開口に超音波トランスデューサー素子が設けられる。超音波トランスデューサー素子は振動膜を備える。振動膜は基板の表面から開口を塞ぐ。

特開2011−82624号公報

特開2011−77918号公報

基板に開口が形成されると、基板の強度は低下する。基板の厚み方向のに対して強度が不足する。超音波トランスデューサー素子チップが被検体に押し付けられると、超音波トランスデューサー素子が破損することがあった。

本発明の少なくとも1つの態様によれば、薄型で、かつ、基板の厚み方向の押圧に耐える強度を有する超音波トランスデューサー素子チップは提供されることができる。

(1)本発明の一態様は、開口がアレイ状に配置された基板と、前記基板の第1面において個々の前記開口に設けられる超音波トランスデューサー素子と、前記基板の前記第1面とは反対側の前記基板の第2面に固定されて前記基板を補強する補強部材と、を備え、前記補強部材は、前記基板の前記第2面に固定される面において、当該面の面内の第1の方向に、前記基板の前記第2面における前記開口の前記第1の方向の開口幅よりも小さい間隔で並べて配置され、前記開口の内部空間および前記基板の外部空間を相互に連通する直線状溝部を有する超音波トランスデューサー素子チップに関する。

こうした超音波トランスデューサー素子チップでは超音波トランスデューサー素子は薄型に形成されることができる。超音波トランスデューサー素子は薄型の基板に形成されることができる。補強部材が基板に固定されても、超音波トランスデューサー素子チップは薄型に形成されることができる。加えて、基板の第2面には補強部材が固定されることから、基板の厚み方向に基板の強度は補強されることができる。開口の内部空間は基板、超音波トランスデューサー素子および補強部材で囲まれる。直線状溝部は開口の内部空間と基板の外部空間とを相互に接続する。こうして個々の開口の内部空間と内部空間の外側との間で通気は確保されることができる。第1の方向の開口幅よりも小さい間隔で直線状溝部が並べて配置されれば、基板と補強部材との間で相対的に位置ずれが生じても、少なくとも1本の直線状溝部は開口に接続されることができる。個々の開口は必ず開口の外側との間で通気を確保することができる。開口の内部空間は密閉されない。開口の内部空間は周囲の圧力変動に容易に追従することができる。こうして超音波トランスデューサー素子の破損は確実に回避されることができる。仮に開口の内部空間が気密に密閉されてしまうと、圧力変動に起因して超音波トランスデューサー素子の破損が懸念されてしまう。

(2)前記補強部材は、アレイ状に配置された前記開口の間の前記基板の仕切り壁部に少なくとも1カ所の接合域で接合されることができる。仕切り壁部が補強部材に接合されると、仕切り壁部の動きは補強部材で拘束される。したがって、仕切り壁部の振動は防止されることができる。その結果、超音波トランスデューサー素子同士のクロストークは防止されることができる。しかも、こうして仕切り壁部の動きが拘束されると、超音波トランスデューサー素子の超音波振動に対して仕切り壁部の振動の作用は回避されることができる。超音波トランスデューサー素子ではクリアな振動モードの超音波振動が得られる。こうして仕切り壁部の振動が回避されると、超音波振動の振幅の低下も抑制されることができる。

(3)超音波トランスデューサー素子チップは、前記基板の厚み方向からの平面視で、1本の前記直線状溝部ごとに、1列の前記開口を順番に横切って次々に開口同士を連通し、列端の前記開口から前記基板の輪郭の外側の空間に連通することができる。こうして1列の開口で全て通気は確保されることができる。

(4)超音波トランスデューサー素子チップは、1本の前記直線状溝部に代えて、前記基板の厚み方向からの平面視で、複数本の前記直線状溝部の組み合わせで、1列の前記開口を順番に横切って次々に開口同士を連通し、列端の前記開口から前記基板の輪郭の外側の空間に連通することができる。こうして1列の開口で全て通気は確保されることができる。

(5)前記直線状溝部の前記第1の方向に並ぶ間隔は前記開口の前記第1の方向の開口幅の3分の1以上であって2分の1よりも小さくてもよい。こうした間隔で直線状溝部が並べられれば、2本の直線状溝部が開口の輪郭線を横切ることができる。したがって、開口では、たとえ一方の直線状溝部で目詰まりが生じても、他方の直線状溝部で開口の外側との間で通気が確保されることができる。

(6)前記基板の厚み方向からの平面視で、前記開口の輪郭は矩形に形成され、前記直線状溝部は前記矩形の短辺方向に前記開口を横切ることができる。こうして矩形の長辺方向に直線状溝部同士の間隔が設定されると、矩形の短辺方向に直線状溝部同士の間隔が設定される場合に比べて平行線同士で大きな間隔が確保されることができる。したがって、少ない本数で直線状溝部は形成されれば済む。加工の効率化は達成されることができる。

(7)前記基板の厚み方向からの平面視で、前記開口の輪郭は矩形に形成され、前記直線状溝部は前記矩形の長辺方向に前記開口を横切ることができる。矩形の短辺ではアスペクト比に起因して開口の輪郭の壁は変形しづらい。直線状溝部の形成に基づき重ね合わせの範囲が狭められても、壁は比較的に高い剛性を維持することができる。したがって、壁の振動は抑制されることができる。

(8)前記基板の厚み方向からの平面視で、前記開口は一定のピッチで前記第1の方向に配列され、前記直線状溝部は前記第1の方向に等ピッチで並べられることができる。直線状溝部の形成にあたって、等ピッチさえ確保されれば、直線状溝部と補強部材との相対的位置は自由に設定されることができる。補強部材の加工にあたって補強部材の位置決め精度は緩められることができる。補強部材の加工は簡易化されることができる。

(9)超音波トランスデューサー素子チップはプローブに組み込まれて利用されることができる。プローブは、超音波トランスデューサー素子チップと、前記超音波トランスデューサー素子チップを支持する筐体とを備えることができる。

(10)プローブは電子機器に組み込まれて利用されることができる。電子機器は、プローブと、前記プローブに接続されて、前記超音波トランスデューサー素子の出力を処理する処理回路とを備えることができる。

(11)同様にプローブは超音波診断装置に組み込まれて利用されることができる。超音波診断装置は、プローブと、前記プローブに接続されて、前記超音波トランスデューサー素子の出力を処理し、画像を生成する処理回路と、前記画像を表示する表示装置とを備えることができる。

(12)超音波トランスデューサー素子チップはプローブヘッドに組み込まれて利用されることができる。プローブヘッドは、超音波トランスデューサー素子チップと、前記超音波トランスデューサー素子チップを支持する筐体とを備えることができる。

(13)超音波トランスデューサー素子チップの製造にあたって特定の製造方法は提供されることができる。ここでは、超音波トランスデューサー素子チップの製造方法は、基板上にアレイ状に配置された開口の第1の方向の開口幅よりも小さい間隔で並べられた直線状溝部を備えた表面を有する補強部材を保持する工程と、個々の前記開口に超音波トランスデューサー素子が設けられる前記基板の第1面と反対側の前記基板の第2面および前記補強部材の前記表面を重ね合わせる工程とを含むことができる。

こうして直線状溝部の間隔が設定されると、基板と補強部材との間で相対的に位置ずれが生じても、少なくとも1本の直線状溝部は開口に連通することができる。加えて、基板および補強部材が大気中またはその他の気体雰囲気下で相互に重ね合わせられる場合でも、比較的に簡単に重ね合わせは実現されることができる。その一方で、基板の第2面が均一な平面に重ね合わせられると、個々の開口内に補強部材の平面で気体が押し詰められる。大気圧では開口内の空間の体積よりも大きい体積の気体が開口内に留まろうとする。開口の封鎖と同時に、基板および補強部材の隙間から余分な気体が逃げないと、基板および補強部材の張り合わせは実現されることができない。

一実施形態に係る電子機器の一具体例すなわち超音波診断装置を概略的に示す外観図である。

超音波プローブの拡大正面図である。

超音波トランスデューサー素子チップの拡大平面図である。

図3の4−4線に沿った断面図である。

溝を示す補強板の平面図である。

図5の拡大部分平面図である。

超音波診断装置の回路構成を概略的に示すブロック図である。

シリコンウエハー上に形成された可撓膜および下部電極を概略的に示す部分拡大垂直断面図である。

下部電極上に形成された圧電体膜および上部電極を概略的に示す部分拡大垂直断面図である。

シリコンウエハーを覆う導電膜を概略的に示す部分拡大垂直断面図である。

シリコンウエハーに形成された開口および補強板用のウエハーを概略的に示す部分拡大垂直断面図である。

シリコンウエハーと補強板用のウエハーとの重ね合わせにあたって開口と溝との位置関係を概略的に示す部分拡大平面図である。

他の実施形態に係る超音波トランスデューサー素子チップを概略的に示す部分拡大平面図である。

さらに他の実施形態に係る超音波トランスデューサー素子チップを概略的に示す部分拡大平面図である。

以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。

(1)超音波診断装置の全体構成 図1は本発明の一実施形態に係る電子機器の一具体例すなわち超音波診断装置11の構成を概略的に示す。超音波診断装置11は装置端末12と超音波プローブ(プローブ)13とを備える。装置端末12と超音波プローブ13とはケーブル14で相互に接続される。装置端末12と超音波プローブ13とはケーブル14を通じて電気信号をやりとりする。装置端末12にはディスプレイパネル(表示装置)15が組み込まれる。ディスプレイパネル15の画面は装置端末12の表面で露出する。装置端末12では、後述されるように、超音波プローブ13で検出された超音波に基づき画像が生成される。画像化された検出結果がディスプレイパネル15の画面に表示される。

図2に示されるように、超音波プローブ13は筐体16を有する。筐体16内には超音波トランスデューサー素子チップ(以下「素子チップ」という)17が収容される。素子チップ17の表面は筐体16の表面で露出することができる。素子チップ17は表面から超音波を出力するとともに超音波の反射波を受信する。その他、超音波プローブ13は、プローブ本体13aに着脱自在に連結されるプローブヘッド13bを備えることができる。このとき、素子チップ17はプローブヘッド13bの筐体16内に組み込まれることができる。

図3は素子チップ17の平面図を概略的に示す。素子チップ17は基板21を備える。基板21には素子アレイ22が形成される。素子アレイ22は超音波トランスデューサー素子(以下「素子」という)23の配列で構成される。配列は複数行複数列のマトリクスで形成される。個々の素子23は圧電素子部を備える。圧電素子部は下部電極24、上部電極25および圧電体膜26で構成される。個々の素子23ごとに下部電極24および上部電極25の間に圧電体膜26が挟み込まれる。

下部電極24は複数本の第1導電体24aを有する。第1導電体24aは配列の行方向に相互に平行に延びる。1行の素子23ごとに1本の第1導電体24aが割り当てられる。1本の第1導電体24aは配列の行方向に並ぶ素子23の圧電体膜26に共通に配置される。第1導電体24aの両端は1対の引き出し配線27にそれぞれ接続される。引き出し配線27は配列の列方向に相互に平行に延びる。したがって、全ての第1導電体24aは同一長さを有する。こうしてマトリクス全体の素子23に共通に下部電極24は接続される。

上部電極25は複数本の第2導電体25aを有する。第2導電体25aは配列の列方向に相互に平行に延びる。1列の素子23ごとに1本の第2導電体25aが割り当てられる。1本の第2導電体25aは配列の列方向に並ぶ素子23の圧電体膜26に共通に配置される。列ごとに素子23の通電は切り替えられる。こうした通電の切り替えに応じてラインスキャンやセクタースキャンは実現される。1列の素子23は同時に超音波を出力することから、1列の個数すなわち配列の行数は超音波の出力レベルに応じて決定されることができる。行数は例えば10〜15行程度に設定されればよい。図中では省略されて5行が描かれる。配列の列数はスキャンの範囲の広がりに応じて決定されることができる。列数は例えば128列や256列に設定されればよい。図中では省略されて8列が描かれる。その他、配列では千鳥配置が確立されてもよい。千鳥配置では偶数列の素子23群は奇数列の素子23群に対して行ピッチの2分の1でずらされればよい。奇数列および偶数列の一方の素子数は他方の素子数に比べて1つ少なくてもよい。さらにまた、下部電極24および上部電極25の役割は入れ替えられてもよい。すなわち、マトリクス全体の素子23に共通に上部電極が接続される一方で、配列の列ごとに共通に素子23に下部電極が接続されてもよい。

基板21の輪郭は、相互に平行な1対の直線29で仕切られて対向する第1辺21aおよび第2辺21bを有する。素子アレイ22の輪郭と基板21の外縁との間に広がる周縁領域31には、第1辺21aと素子アレイ22の輪郭との間に1ラインの第1端子アレイ32aが配置され、第2辺21bと素子アレイ22の輪郭との間に1ラインの第2端子アレイ32bが配置される。第1端子アレイ32aは第1辺21aに平行に1ラインを形成することができる。第2端子アレイ32bは第2辺21bに平行に1ラインを形成することができる。第1端子アレイ32aは1対の下部電極端子33および複数の上部電極端子34で構成される。同様に、第2端子アレイ32bは1対の下部電極端子35および複数の上部電極端子36で構成される。1本の引き出し配線27の両端にそれぞれ下部電極端子33、35は接続される。引き出し配線27および下部電極端子33、35は素子アレイ22を二等分する垂直面で面対称に形成されればよい。1本の第2導電体25aの両端にそれぞれ上部電極端子34、36は接続される。第2導電体25aおよび上部電極端子34、36は素子アレイ22を二等分する垂直面で面対称に形成されればよい。ここでは、基板21の輪郭は矩形に形成される。基板21の輪郭は正方形であってもよく台形であってもよい。

基板21には第1フレキシブルプリント基板(以下「第1フレキ」という)37が連結される。第1フレキ37は第1端子アレイ32aに覆い被さる。第1フレキ37の一端には下部電極端子33および上部電極端子34に個別に対応して導電線すなわち第1信号線38が形成される。第1信号線38は下部電極端子33および上部電極端子34に個別に向き合わせられ個別に接合される。同様に、基板21には第2フレキシブルプリント基板(以下「第2フレキ」という)41が覆い被さる。第2フレキ41は第2端子アレイ32bに覆い被さる。第2フレキ41の第1端41aには下部電極端子35および上部電極端子36に個別に対応して導電線すなわち第2信号線42が形成される。第2信号線42は下部電極端子35および上部電極端子36に個別に向き合わせられ個別に接合される。

図4に示されるように、個々の素子23は振動膜43を有する。振動膜43の構築にあたって基板21の基体44には個々の素子23ごとに開口45が形成される。開口45は基体44に対してアレイ状に配置される。基体44の表面には可撓膜46が一面に形成される。可撓膜46は、基体44の表面に積層される酸化シリコン(SiO2)層47と、酸化シリコン層47の表面に積層される酸化ジルコニウム(ZrO2)層48とで構成される。可撓膜46は開口45に接する。こうして開口45の輪郭に対応して可撓膜46の一部が振動膜43として機能する。酸化シリコン層47の膜厚は共振周波数に基づき決定されることができる。

振動膜43の表面に下部電極24、圧電体膜26および上部電極25が順番に積層される。下部電極24には例えばチタン(Ti)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)およびチタン(Ti)の積層膜が用いられることができる。圧電体膜26は例えばジルコン酸チタン酸鉛(PZT)で形成されることができる。上部電極25は例えばイリジウム(Ir)で形成されることができる。下部電極24および上部電極25にはその他の導電材が利用されてもよく、圧電体膜26にはその他の圧電材料が用いられてもよい。ここでは、上部電極25の下で圧電体膜26は完全に下部電極24を覆う。圧電体膜26の働きで上部電極25と下部電極24との間で短絡は回避されることができる。

基板21の表面には保護膜49が積層される。保護膜49は例えば全面にわたって基板21の表面に覆い被さる。その結果、素子アレイ22や第1および第2端子アレイ32a、32b、第1および第2フレキ37、41は保護膜49で覆われる。保護膜49には例えばシリコーン樹脂膜が用いられることができる。保護膜49は、素子アレイ22の構造や、第1端子アレイ32aおよび第1フレキ37の接合、第2端子アレイ32bおよび第2フレキ41の接合を保護する。

隣接する開口45同士の間には仕切り壁51が区画される。開口45同士は仕切り壁51で仕切られる。仕切り壁51の壁厚みtは開口45の空間同士の間隔に相当する。仕切り壁51は相互に平行に広がる平面内に2つの壁面を規定する。壁厚みtは壁面同士の距離に相当する。すなわち、壁厚みtは壁面に直交して壁面同士の間に挟まれる垂線の長さで規定されることができる。仕切り壁51の壁高さHは開口45の深さに相当する。開口45の深さは基体44の厚みに相当する。したがって、仕切り壁51の壁高さHは基体44の厚み方向に規定される壁面の長さで規定されることができる。基体44は均一な厚みを有することから、仕切り壁51は全長にわたって一定の壁高さHを有することができる。仕切り壁51の壁厚みtが縮小されれば、振動膜43の配置密度は高められる。素子チップ17の小型化に寄与することができる。壁厚みtに比べて仕切り壁51の壁高さHが大きければ、素子チップ17の曲げ剛性は高められることができる。こうして開口45同士の間隔は開口45の深さよりも小さく設定される。

基体44の裏面には補強板(補強部材)52が固定される。補強板52の表面に基体44の裏面が重ねられる。補強板52は素子チップ17の裏面で開口45を閉じる。補強板52はリジッドな基材を備えることができる。補強板52は例えばシリコン基板から形成されることができる。基体44の板厚は例えば100μm程度に設定され、補強板52の板厚は例えば100〜150μm程度に設定される。ここでは、仕切り壁51は補強板52に結合される。補強板52は個々の仕切り壁51に少なくとも1カ所の接合域で接合される。接合にあたって接着剤は用いられることができる。

補強板52の表面には直線状の溝(直線状溝部)53が形成される。溝53は補強板52の表面を複数の平面54に分割する。複数の平面54は1つの仮想平面HP内で広がる。その仮想平面HP内で基体44の裏面は広がる。仕切り壁51は平面54に接合される。溝53は仮想平面HPから窪む。溝53の断面形状は四形であってもよく三角形であってもよく半円形その他の形状であってもよい。

図5に示されるように、開口45は第1方向D1に列を形成する。開口45の輪郭形状の図心45cは第1方向D1の1直線56上で等ピッチに配置される。開口45の輪郭45aは1つの形状の複写で象られることから、同一形状の開口45が一定のピッチで繰り返し配置される。開口45の輪郭45aは例えば四角形に規定される。具体的には矩形に形成される。矩形の長辺は第1方向D1に合わせ込まれる。こうして開口45は矩形の輪郭45aを有することから、仕切り壁51は全長にわたって一定の壁厚みtを有することができる。このとき、仕切り壁51の接合域は長辺の中央位置を含む領域であればよい。特に、仕切り壁51の接合域は長辺の全長を含む領域であればよい。仕切り壁51は長辺の全長にわたって開口45同士の間の全面で補強板52に面接合されることができる。さらに、仕切り壁51の接合域は四角形の各辺に少なくとも1カ所ずつ配置されることができる。仕切り壁51の接合域は四角形を途切れなく囲むことができる。仕切り壁51は四角形の全周にわたって開口45同士の間の全面で補強板52に面接合されることができる。

溝53は一定の間隔Lで相互に平行に第1方向D1に並べられる。溝53は第1方向D1に交差する第2方向D2に延びる。溝53の両端は補強板52の端面57a、57bで開口する。1本の溝53は1列(ここでは1行)の開口45の輪郭45aを順番に横切る。個々の開口45には少なくとも1本の溝53が接続される。ここでは、第2方向D2は第1方向D1に直交する。したがって、溝53は矩形の短辺方向に開口45の輪郭45aを横切る。

図6に示されるように、平面54同士の間で溝53は基体44と補強板52との間に通路58a、58bを形成する。こうして溝53内の空間は開口45の内部空間に連通する。通路58a、58bは開口45の内部空間と基板21の外部空間との間で通気を確保する。基板21の表面に直交する方向すなわち基板21の厚み方向から見た平面視で、1本の溝53は1列(ここでは1行)の開口45の輪郭45aを順番に横切ることから、次々に開口45同士は通路58aで接続される。溝53の両端は補強板52の端面57a、57bで開口する。こうして列端の開口45から基板21の輪郭の外側に通路58bは開放される。

溝53の間隔Lは開口45の開口幅Sよりも小さく設定される。開口幅Sは、溝53の並び方向すなわち第1方向D1に開口45を横切る線分のうち最大の長さのもので規定される。言い換えると、開口幅Sは、開口45の輪郭45aに外接する平行線59同士の間隔に相当する。開口45ごとに開口45の輪郭45aに外接する平行線59は特定される。平行線59は第2方向D2に延びる。仮に開口45ごとに開口幅Sが相互に相違する場合には、開口幅Sの最小値よりも小さい間隔Lで溝53は並べられればよい。ここでは、溝53の間隔Lは、開口45の開口幅Sの3分の1以上であって2分の1よりも小さく設定される。

(2)超音波診断装置の回路構成 図7に示されるように、集積回路はマルチプレクサー61および送受信回路62を備える。マルチプレクサー61は素子チップ17側のポート群61aと送受信回路62側のポート群61bとを備える。素子チップ17側のポート群61aには第1配線54経由で第1信号線38および第2信号線42が接続される。こうしてポート群61aは素子アレイ22に繋がる。ここでは、送受信回路62側のポート群61bには集積回路チップ55内の規定数の信号線63が接続される。規定数はスキャンにあたって同時に出力される素子23の列数に相当する。マルチプレクサー61はケーブル14側のポートと素子チップ17側のポートとの間で相互接続を管理する。

送受信回路62は規定数の切り替えスイッチ64を備える。個々の切り替えスイッチ64はそれぞれ個別に対応の信号線63に接続される。送受信回路62は個々の切り替えスイッチ64ごとに送信経路65および受信経路66を備える。切り替えスイッチ64には送信経路65と受信経路66とが並列に接続される。切り替えスイッチ64はマルチプレクサー61に選択的に送信経路65または受信経路66を接続する。送信経路65にはパルサー67が組み込まれる。パルサー67は振動膜43の共振周波数に応じた周波数でパルス信号を出力する。受信経路66にはアンプ68、ローパスフィルター(LPF)69およびアナログデジタル変換器(ADC)71が組み込まれる。個々の素子23の検出信号は増幅されてデジタル信号に変換される。

送受信回路62は駆動/受信回路72を備える。送信経路65および受信経路66は駆動/受信回路72に接続される。駆動/受信回路72はスキャンの形態に応じて同時にパルサー67を制御する。駆動/受信回路72はスキャンの形態に応じて検出信号のデジタル信号を受信する。駆動/受信回路72は制御線73でマルチプレクサー61に接続される。マルチプレクサー61は駆動/受信回路72から供給される制御信号に基づき相互接続の管理を実施する。

装置端末12には処理回路74が組み込まれる。処理回路74は例えば中央演算処理装置(CPU)やメモリーを備えることができる。超音波診断装置11の全体動作は処理回路74の処理に従って制御される。ユーザーから入力される指示に応じて処理回路74は駆動/受信回路72を制御する。処理回路74は素子23の検出信号に応じて画像を生成する。画像は描画データで特定される。

装置端末12には描画回路75が組み込まれる。描画回路75は処理回路74に接続される。描画回路75にはディスプレイパネル15が接続される。描画回路75は処理回路74で生成された描画データに応じて駆動信号を生成する。駆動信号はディスプレイパネル15に送り込まれる。その結果、ディスプレイパネル15に画像が映し出される。

(3)超音波診断装置の動作 次に超音波診断装置11の動作を簡単に説明する。処理回路74は駆動/受信回路72に超音波の送信および受信を指示する。駆動/受信回路72はマルチプレクサー61に制御信号を供給するとともに個々のパルサー67に駆動信号を供給する。パルサー67は駆動信号の供給に応じてパルス信号を出力する。マルチプレクサー61は制御信号の指示に従ってポート群61bのポートにポート群61aのポートを接続する。パルス信号はポートの選択に応じて下部電極端子33、35および上部電極端子34、36を通じて列ごとに素子23に供給される。パルス信号の供給に応じて振動膜43は振動する。その結果、対象物(例えば人体の内部)に向けて所望の超音波は発せられる。

超音波の送信後、切り替えスイッチ64は切り替えられる。マルチプレクサー61はポートの接続関係を維持する。切り替えスイッチ64は送信経路65および信号線63の接続に代えて受信経路66および信号線63の接続を確立する。超音波の反射波は振動膜43を振動させる。その結果、素子23から検出信号が出力される。検出信号はデジタル信号に変換されて駆動/受信回路72に送り込まれる。

超音波の送信および受信は繰り返される。繰り返しにあたってマルチプレクサー61はポートの接続関係を変更する。その結果、ラインスキャンやセクタースキャンは実現される。スキャンが完了すると、処理回路74は検出信号のデジタル信号に基づき画像を形成する。形成された画像はディスプレイパネル15の画面に表示される。

素子チップ17では素子23は薄型に形成されることができる。素子23は薄型の基板21に形成されることができる。補強板52が基板21に固定されても、素子チップ17は薄型に形成されることができる。同時に、補強板52は基板21の強度を補強する。特に、仕切り壁51で壁厚みtが壁高さHよりも小さいことから、断面係数の関係で仕切り壁51では基板21の厚み方向に十分な剛性が確保されることができる。基板21の厚み方向の力は仕切り壁51を伝って補強板52で支持されることができる。こうして素子チップ17は基板21の厚み方向に十分な強度を有することができる。基板21の板厚が例えば100μm程度に設定されても、補強板52は基板21の破損を防止することができる。その一方で、バルク型の超音波トランスデューサー素子で素子アレイが構成される場合には、基板の板厚は数mm程度に設定される。たとえ補強板52が接合されても、素子チップ17の厚みは、バルク型の超音波トランスデューサー素子で素子アレイが構成される場合に比べて確実に縮小されることができる。加えて、振動膜43の音響インピーダンスはバルク型の超音波トランスデューサー素子に比べて人体のそれに近いことから、素子チップ17ではバルク型の超音波トランスデューサー素子に比べて音響インピーダンスの整合層が省略されることができる。こういった整合層の省略は素子チップ17の薄型化にさらに寄与することができる。

補強板52は個々の仕切り壁51に少なくとも1カ所の接合域で接合される。仕切り壁51が補強板52に接合されると、仕切り壁51の動きは補強板52で拘束される。したがって、仕切り壁51の振動は防止されることができる。その結果、素子23同士のクロストークは防止されることができる。しかも、こうして仕切り壁51の動きが拘束されると、素子23の超音波振動に対して仕切り壁51の振動の作用は回避されることができる。素子23ではクリアな振動モードの超音波振動が得られる。こうして仕切り壁51の振動が回避されると、超音波振動の振幅の低下も抑制されることができる。その一方で、仕切り壁51が動くと、振動膜43の上下振動モードよりも低い周波数の歪んだ振動モードが現れる。しかも、仕切り壁51が動く分だけ振動膜43の運動エネルギーが減少し振動の振幅が低下してしまう。

開口45内の空間は基板21、可撓膜46(振動膜43)および補強板52で囲まれる。基板21の厚み方向から見た平面視で溝53は開口45の輪郭線45aを横切る。こうして個々の開口45の内部空間は基板21の外部空間との間で通気を確保することができる。その結果、開口45の内部空間は大気空間に繋がる。開口45の内部空間では圧力上昇は回避されることができる。振動膜43の破損は防止されることができる。ここで、外部空間は、基板21、可撓膜46および補強板52で内部空間から隔てられる空間であって内部空間に比べて著しく大きな空間を意味する。

素子チップ17では溝53の間隔Lは開口45の開口幅Sよりも小さく設定される。したがって、基板21と補強板52との間で相対的に位置ずれが生じても、少なくとも1本の溝53は開口45の輪郭線45aに接続されることができる。個々の開口45は必ず開口45の外側との間で通気を確保することができる。加えて、溝53の間隔Lは開口幅Sの3分の1以上であって2分の1よりも小さく設定されることから、個々の開口45ごとに少なくとも2本の溝53が開口45の輪郭線45aに接続されることができる。したがって、個々の開口45では、たとえ一方の溝53で目詰まりが生じても、他方の溝53で開口45の外側との間で通気が確保されることができる。しかも、4本を超えて溝53が輪郭線45aを横切ることは回避されることから、仕切り壁51の接合強度の低下は抑制されることができる。ここでは、溝53の幅は仕切り壁51の壁厚みtよりも小さく設定されることが望まれる。こうすれば、第1方向D1に隣接する開口45同士の間に溝53が配置されても、仕切り壁51と補強板52との間で十分な大きさの接合面積が確保されることができる。仕切り壁51の接合強度の低下は抑制されることができる。

仕切り壁51の接合域は長辺の中央位置を含む領域であることができる。仕切り壁51のうち振動振幅の大きい部位が補強板52に接合される。その結果、仕切り壁51の振動は効果的に防止されることができる。しかも、仕切り壁51の接合域は長辺の全長を含む領域であることができる。こうして長辺の全長にわたって仕切り壁51が補強板52に接合されれば、仕切り壁51の振動は確実に防止されることができる。さらに、仕切り壁51は長辺の全長にわたって開口45同士の間の全面で面接合されることができる。こうして長辺の全長にわたって開口45同士の間で全面で仕切り壁51が補強板52に面接合されれば、仕切り壁51の振動は確実に防止されることができる。

仕切り壁51の接合域は四角形の各辺に少なくとも1カ所ずつ配置されればよい。こうして四角形の各辺で仕切り壁51が補強板52に接合されれば、仕切り壁51の振動は確実に防止されることができる。しかも、仕切り壁51の接合域は四角形を途切れなく囲むことができる。こうして四角形の全域で仕切り壁51が補強板52に接合されれば、仕切り壁51の振動は確実に防止されることができる。その上、仕切り壁51は四角形の全周にわたって開口45同士の間の全面で面接合されることができる。こうして四角形の全周にわたって開口45同士の間で全面で仕切り壁51が補強板52に面接合されれば、仕切り壁51の振動は確実に防止されることができる。

素子チップ17では、行方向に隣接する開口45同士では開口45内の空間は通路58aで相互に連通される。そして、列端の開口45から基板21の輪郭の外側に通路58bは開放される。1本の溝53で通路58a、58bは形成される。こうして1本の溝53で1列の開口45全ての通気は確保されることができる。

しかも、溝53は基板21の厚み方向からの平面視で矩形の短辺方向に開口45を横切る。こうして矩形の長辺方向に溝53同士の間隔Lが設定されると、矩形の短辺方向に溝53同士の間隔が設定される場合に比べて平行線56同士で大きな間隔が確保されることができる。したがって、少ない本数で溝53は形成されれば済む。加工の効率化は達成されることができる。

加えて、溝53は第1方向D1に等ピッチで並べられる。溝53の形成にあたって、等ピッチさえ確保されれば、溝53と補強板52との相対的位置は自由に設定されることができる。補強板52の加工にあたって補強板52の位置決め精度は緩められることができる。補強板52の加工は簡易化されることができる。

(4)超音波トランスデューサー素子チップの製造方法 図8に示されるように、シリコンウエハー(基板)78の表面で個々の素子チップ17ごとに下部電極24、引き出し配線27および下部電極端子33、35が形成される(図7以降では図示されず)。下部電極24、引き出し配線27および下部電極端子33、35の形成に先立ってシリコンウエハー78の表面には酸化シリコン膜79および酸化ジルコニウム膜81が相次いで形成される。酸化ジルコニウム膜81の表面には導電膜が形成される。導電膜はチタン、イリジウム、白金およびチタンの積層膜で構成される。フォトリソグラフィ技術に基づき導電膜から下部電極24、引き出し配線27および下部電極端子33、35は成形される。

図9に示されるように、下部電極24の表面で個々の素子23ごとに圧電体膜26および上部電極25が形成される。圧電体膜26および上部電極25の形成にあたってシリコンウエハー78の表面には圧電材料膜および導電膜が成膜される。圧電材料膜はPZT膜から構成される。導電膜はイリジウム膜から構成される。フォトリソグラフィ技術に基づき個々の素子23ごとに圧電材料膜および導電膜から圧電体膜26および上部電極25が成形される。

続いて、図10に示されるように、シリコンウエハー78の表面に導電膜82が成膜される。導電膜82は個々の素子チップ17内で列ごとに上部電極25を相互に接続する。そして、フォトリソグラフィ技術に基づき導電膜82から上部電極25、上部電極端子34、36が成形される。

その後、図11に示されるように、シリコンウエハー78の裏面からアレイ状の開口45が形成される。開口45の形成にあたってエッチング処理が施される。酸化シリコン膜79はエッチングストップ層として機能する。酸化シリコン膜79および酸化ジルコニウム膜81に振動膜43は区画される。開口45の形成後、シリコンウエハー78の裏面に補強板用のウエハー(補強部材)83の表面が重ね合わせられる。重ね合わせに先立ってウエハー83はハンドリング機構やステージ上に保持される。ウエハー83には例えばリジッドな絶縁性基板が用いられることができる。絶縁性基板にはシリコンウエハーが用いられることができる。接合にあたって例えば接着剤が用いられることができる。接合後、シリコンウエハー78から個々の素子チップ17は切り出される。

接合に先立って補強板用のウエハー83の表面には直線状の溝84が形成される。溝84は相互に平行に等間隔で延びる。溝84の少なくとも一端はウエハー83の端面で開放される。溝84は、開口45の開口幅Sよりも小さい間隔Lで並べられる。こうして溝84の間隔Lが設定されると、シリコンウエハー78と補強板用のウエハー83との間で相対的に位置ずれが生じても、少なくとも1本の溝84は開口45の輪郭線45aを横切ることができる。例えば図12に示されるように、シリコンウエハー78に対して補強板用のウエハー83が第1方向D1にずれて溝84aが開口45同士の間に位置しても、2つの開口45にはそれぞれ少なくとも1本の溝84bが配置されることができる。シリコンウエハー78から個々の素子チップ17が切り出された際に、溝84は補強板52の溝53を提供する。

こうして溝84が形成されると、シリコンウエハー78およびウエハー83が大気中またはその他の気体雰囲気下で相互に重ね合わせられる場合でも、比較的に簡単に重ね合わせは実現されることができる。その一方で、シリコンウエハー78の裏面が均一な平面に重ね合わせられると、個々の開口45内に補強板用のウエハーの平面で気体が押し詰められる。大気圧では開口45内の空間の体積よりも大きい体積の気体が開口45内に留まろうとする。開口45の封鎖と同時に、シリコンウエハー78および補強板用のウエハーの隙間から余分な気体が逃げないと、シリコンウエハー78および補強板用のウエハーの張り合わせは実現されることができない。

(5)他の実施形態に係る超音波トランスデューサー素子チップ 図13は他の実施形態に係る超音波トランスデューサー素子チップ17aを概略的に示す。この素子チップ17aでは1本1本の溝85は局所的に第2方向D2に延びる。こうした局所的な溝85がいくつかの開口45同士の間で通路58a、58bを形成する。複数本の溝85の組み合わせで、基板21の厚み方向からの平面視で1列の開口45を順番に横切って次々に開口45同士を接続する一連の通路58a、58bが形成される。こうして通路58a、58bの組み合わせで1列の開口45全ての通気は確保されることができる。溝85は溝53と同様に構成されることができる。その他の構成は素子チップ17と同様に構成されることができる。図中、素子チップ17と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。

図14はさらに他の実施形態に係る超音波トランスデューサー素子チップ17bを概略的に示す。この素子チップ17bでは溝86は第1方向D1すなわち矩形の長辺方向に延びる。したがって、基板21の厚み方向からの平面視で、溝86は矩形の短辺で開口45の輪郭線45aを横切る。矩形の短辺では断面係数に起因して開口45の輪郭45aの壁すなわち仕切り壁51は変形しづらい。溝86の形成に基づき接合の範囲が狭められても、仕切り壁51は比較的に高い剛性を維持することができる。したがって、仕切り壁51の振動(残留振動)は抑制されることができる。その他の構成は素子チップ17と同様に構成されることができる。図中、素子チップ17と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。

その他、いずれの実施形態でも、開口45の配列では千鳥配置が確立されてもよい。千鳥配置では偶数列の素子23群は奇数列の素子23群に対して行ピッチの2分の1でずらされればよい。奇数列および偶数列の一方の素子数は他方の素子数に比べて1つ少なくてもよい。その他、溝53、85、86は第1方向D1や第2方向D2に対して所定の傾斜角で傾斜してもよい。

なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えられることができる。また、超音波診断装置11や超音波プローブ13、プローブヘッド13b、素子チップ17、17a、17b、素子23等の構成および動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。

11 電子機器(超音波診断装置)、13 プローブ(超音波プローブ)、13b プローブヘッド、15 表示装置(ディスプレイパネル)、16 筐体、17 超音波トランスデューサー素子チップ、17a 超音波トランスデューサー素子チップ、17b 超音波トランスデューサー素子チップ、21 基板、23 超音波トランスデューサー素子、45 開口、45a 輪郭、52 補強部材(補強板)、53 直線状溝部(溝)、56 平行線、58a 通路、58b 通路、74 処理回路、83 補強部材(補強板用のウエハー)、84 直線状溝部(溝)、85 直線状溝部(溝)、86 直線状溝部(溝)、D1 第1の方向(第1方向)、D2 第2の方向(第2方向)、L (直線状溝部の)間隔、S 開口幅。

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