音響波診断装置およびその制御方法

申请号 JP2015043588 申请日 2015-03-05 公开(公告)号 JP2016159089A 公开(公告)日 2016-09-05
申请人 富士フイルム株式会社; 发明人 大嶋 雄二; 宮地 幸哉;
摘要 【課題】被検体内部の移動体の速度を示す情報を表示する場合に,パルス幅制御のパルスに起因するノイズが速度を示す情報に影響を与えない音響波診断装置およびその制御方法を提供する。 【解決手段】移動体の速度を示す情報を 液晶 パネルに表示する場合に設定される速度スケールの境界値がしきい値Th未満の場合には,パルス幅制御のパルスに起因するノイズが液晶パネルに表示されないようにパルス幅制御のパルスの周 波数 が20kHzに設定される。速度スケールの境界値がしきい値Th以上の場合には,パルス幅制御のパルスに起因するノイズが速度を示す情報と離れた 位置 となるようにパルス幅制御のパルスの周波数が200Hzに設定される。 【選択図】図4
权利要求

被検体に音響波を送信し,被検体からの音響波エコーを表す音響波信号を出する音響波プローブ, 速度スケールを設定する速度スケール設定手段, 上記音響波プローブから出力される音響波エコー信号を用いて,上記被検体内部の移動体の速度を算出する速度算出手段, 上記速度算出手段により算出された速度を示す情報を,上記速度スケール設定手段によって設定された速度スケールに応じて表示装置に表示させる表示制御手段, 上記表示装置の明るさを制御する明るさ制御手段,および しきい値未満である第1の境界値を含む速度スケールが上記速度スケール設定手段によって設定された場合に,上記明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数を第1の周波数に設定し,かつ上記しきい値以上の第2の境界値を含む速度スケールが設定された場合に,上記明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数を,上記第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定する周波数設定手段, を備えた音響波診断装置。被検体に音響波を送信し,被検体からの音響波エコーを表す音響波信号を出力する音響波プローブ, 速度スケールを設定する速度スケール設定手段, 上記音響波プローブから出力される音響波エコー信号を用いて,上記被検体内部の移動体の速度を算出する速度算出手段, 上記速度算出手段により算出された速度を示す情報を,上記速度スケール設定手段によって設定された速度スケールに応じて表示装置に表示させる表示制御手段, 上記速度算出手段および上記表示制御手段の少なくとも1つを冷却する冷却ファン, 上記冷却ファンの回転を制御するファン・モータ,ならびに しきい値未満である第1の境界値を含む速度スケールが上記速度スケール設定手段により設定された場合に,上記ファン・モータに用いられるパルスの周波数を第1の周波数に設定し,かつ上記しきい値以上の第2の境界値を含む速度スケールが上記速度スケール設定手段によって設定された場合に,上記ファン・モータに用いられるパルスの周波数を,上記第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定する周波数設定手段, を備えた音響波診断装置。上記第2の周波数以上のカットオフ周波数をもち,かつ上記音響波プローブから出力される音響波エコー信号の低周波数成分を除去するハイ・パス・フィルタ手段, をさらに備えた請求項1または2に記載の音響波診断装置。上記第1の周波数でのパルスのデューティ比と,上記第2の周波数でのパルスのデューティ比とが同一である, 請求項1から3のうち,いずれか一項に記載の音響波診断装置。上記音響波プローブからは音響波の連続波を送信し, 上記表示制御手段は, 上記被検体の移動体の速度を示す波形を上記表示装置に表示させる, 請求項1から4のうち,いずれか一項に記載の音響波診断装置。上記第1の境界値を含む速度スケールが上記速度スケール設定手段によって設定された場合に,上記音響波プローブから出力される音響波エコー信号を,上記第1の境界値の速度に対応する周波数以上のカットオフ周波数で高域周波数成分を除去するロウ・パス・フィルタ手段, をさらに備えた請求項5に記載の音響波診断装置。上記音響波プローブからはパルス状の音響波を一定の時間間隔で送信し, 上記表示制御手段は, 上記被検体内部の移動体の速度を示す波形を上記表示装置に表示させる, 請求項1から4のうち,いずれか一項に記載の音響波診断装置。上記音響波プローブからはパルス状の音響波を一定の間隔で送信し, 上記表示制御手段は, 上記被検体の移動体の速度を色の相違で表す情報を,上記表示装置に表示させるカラー・ドプラ表示制御手段である, 請求項1から4のうち,いずれか一項に記載の音響波診断装置。音響波プローブが,被検体に音響波を送信し,被検体からの音響波エコーを表す音響波信号を出力し, 速度スケール設定手段が,速度スケールを設定し, 速度算出手段が,上記音響波プローブから出力される音響波エコー信号を用いて,上記被検体内部の移動体の速度を算出し, 表示制御手段が,上記速度算出手段により算出された速度を示す情報を,上記速度スケール設定手段によって設定された速度スケールに応じて表示装置に表示させ, 明るさ制御手段が,上記表示装置の明るさを制御し, 周波数設定手段が,しきい値未満である第1の境界値を含む速度スケールが上記速度スケール設定手段によって設定された場合に,上記明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数を第1の周波数に設定し,かつ上記しきい値以上の第2の境界値を含む速度スケールが設定された場合に,上記明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数を,上記第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定する, 音響波診断装置の制御方法。音響波プローブが,被検体に音響波を送信し,被検体からの音響波エコーを表す音響波信号を出力し, 速度スケール設定手段が,速度スケールを設定し, 速度算出手段が,上記音響波プローブから出力される音響波エコー信号を用いて,上記被検体内部の移動体の速度を算出し, 表示制御手段が,上記速度算出手段により算出された速度を示す情報を,上記速度スケール設定手段によって設定された速度スケールに応じて表示装置に表示させ, 冷却ファンが,上記速度算出手段および上記表示制御手段の少なくとも1つを冷却し, ファン・モータが,上記冷却ファンの回転を制御し, 周波数設定手段が,しきい値未満である第1の境界値を含む速度スケールが上記速度スケール設定手段により設定された場合に,上記ファン・モータに用いられるパルスの周波数を第1の周波数に設定し,かつ上記しきい値以上の第2の境界値を含む速度スケールが上記速度スケール設定手段によって設定された場合に,上記ファン・モータに用いられるパルスの周波数を,上記第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定する, 音響波診断装置の制御方法。

说明书全文

この発明は,音響波診断装置およびその制御方法に関する。

超音波診断装置では,被検体に超音波を送信し,被検体からの超音波エコーを表す超音波エコー信号を用いて被検体の断層画像が得られる。共振型のスイッチング電源を用いたパルス・ドプラ超音波診断装置では,スイッチング周波数と共振周波数とにより,画面上に表示される血流速度パターンにノイズが混入して誤診の危険性がある。このために,電源のスイッチング周波数と共振周波数の整数倍が,ドプラ偏移周波数の偏移領域外となるように制御するものがある(先行文献1)。また,超音波診断装置においては,バックライトにパルス幅制御を利用するものもある(先行文献2)。

特開2007−29198号公報

特開2008−191393号公報

図16および図17は,血流などの速度を測定する超音波診断装置の表示画面の一例である。図16および図17のいずれも速度スケールがドプラ偏移周波数によって表されている。速度とドプラ偏移周波数とは一定の関係があるので,速度スケールが周波数によって表される場合もあれば,速度によって表される場合もある。図16は,設定される速度スケール120Aの境界値が2.3kHzに設定されており,かつパルス幅制御で表示装置のバックライトが制御される場合に,パルス幅制御に用いられるパルス周波数が200Hzの場合に表示画面60に生じるノイズ120を示している。横方向に伸びている6本の波形がノイズである。このように,パルス周波数として利用されている200Hzの整数倍の周波数のノイズ120が発生してしまう。図17は,設定される速度スケール121Aの境界値が41.7kHzに設定されており,かつパルス幅制御に用いられるパルス周波数が20kHzの場合に表示画面60に生じるノイズ121を示している。このように,パルス幅制御を利用して表示装置のバックライト制御が行われると,表示画面60にノイズ120または121が表れてしまい,誤診を引き起こしかねない。診断に用いるドプラ偏移周波数は一般的に100Hzから50kHz程度であるのに対し,バックライト制御に利用されるパルスの周波数は200kHzから20kHz程度であり,両周波数が重なってしまっていることから,このようなノイズが表示画面に表れてしまう。とくに,弱いパワーの逆流を検出するのに用いられる連続波ドプラ法の超音波診断装置では,高い感度が必要なために,よりノイズが目立ってしまう。先行文献1および2のいずれも,このようにパルス幅制御により生じるノイズの影響を排除することについては全く考えられていない。

この発明は,パルス幅制御による生じるノイズによる影響を排除することを目的とする。

第1の発明による音響波診断装置は,被検体に音響波(超音波だけでなく,可聴領域の音波も含む)を送信し,被検体からの音響波エコーを表す音響波信号を出する音響波プローブ,速度スケールを設定する速度スケール設定手段,音響波プローブから出力される音響波エコー信号を用いて,被検体内部の移動体(血液などの流体だけでなく,心臓の壁など動く対象物も含む)速度を算出する速度算出手段,速度算出手段により算出された速度を示す情報を,速度スケール設定手段によって設定された速度スケールに応じて表示装置に表示させる表示制御手段,(パルス幅にもとづいて)表示装置の明るさを制御する明るさ制御手段,およびしきい値未満である第1の境界値を含む速度スケールが速度スケール設定手段によって設定(第1の境界値の設定)された場合に,明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数を第1の周波数(第1の周波数は,たとえば,第1の境界値に対応する周波数以上の周波数である)に設定し,かつしきい値以上の第2の境界値を含む速度スケールが設定(第2の境界値の設定)された場合に,明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数を,第1の周波数よりも低い第2の周波数(第2の周波数は,たとえば,第1の境界値に対応する周波数未満の周波数である)に設定する周波数設定手段を備えていることを特徴とする。

第1の発明は,音響波診断装置の制御方法も提供している。すなわち,この方法は, 音響波プローブが,被検体に音響波を送信し,被検体からの音響波エコーを表す音響波信号を出力し,速度スケール設定手段が,速度スケールを設定し,速度算出手段が,音響波プローブから出力される音響波エコー信号を用いて,被検体内部の移動体)の速度を算出し,表示制御手段が,速度算出手段により算出された速度を示す情報を,速度スケール設定手段によって設定された速度スケールに応じて表示装置に表示させ,明るさ制御手段が,(パルス幅にもとづいて)表示装置の明るさを制御し,周波数設定手段が,しきい値未満である第1の境界値を含む速度スケールが速度スケール設定手段によって設定された場合に,明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数を第1の周波数に設定し,かつしきい値以上の第2の境界値を含む速度スケールが設定された場合に,明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数を,第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定することを特徴とする。

第2の発明による音響波診断装置は,被検体に音響波を送信し,被検体からの音響波エコーを表す音響波信号を出力する音響波プローブ,速度スケールを設定する速度スケール設定手段,音響波プローブから出力される音響波エコー信号を用いて,被検体内部の移動体(血液などの流体だけでなく,心臓の壁など動く対象物も含む)の速度を算出する速度算出手段,速度算出手段により算出された速度を示す情報を,速度スケール設定手段によって設定された速度スケールに応じて表示装置に表示させる表示制御手段,速度算出手段および表示制御手段の少なくとも1つを冷却する冷却ファン,(パルス幅にもとづいて)冷却ファンの回転を制御するファン・モータ,ならびにしきい値未満である第1の境界値を含む速度スケールが速度スケール設定手段により設定された場合に,ファン・モータに用いられるパルスの周波数を第1の周波数(第1の周波数は,たとえば,第1の境界値に対応する周波数以上の周波数である)に設定し,かつしきい値以上の第2の境界値を含む速度スケールが速度スケール設定手段によって設定された場合に,ファン・モータに用いられるパルスの周波数を,第1の周波数よりも低い第2の周波数(第2の周波数は,たとえば,第1の境界値に対応する周波数未満の周波数である)に設定する周波数設定手段を備えていることを特徴とする。

第2の発明は,音響波診断装置の制御方法も提供している。すなわち,この方法は,音響波プローブが,被検体に音響波を送信し,被検体からの音響波エコーを表す音響波信号を出力し,速度スケール設定手段が,速度スケールを設定し,速度算出手段が,音響波プローブから出力される音響波エコー信号を用いて,被検体内部の移動体の速度を算出し,表示制御手段が,速度算出手段により算出された速度を示す情報を,速度スケール設定手段によって設定された速度スケールに応じて表示装置に表示させ,冷却ファンが,速度算出手段および表示制御手段の少なくとも1つを制御し,ファン・モータが,(パルス幅にもとづいて)冷却ファンの回転を制御し,周波数設定手段が,しきい値未満である第1の境界値を含む速度スケールが速度スケール設定手段により設定された場合に,ファン・モータに用いられるパルスの周波数を第1の周波数に設定し,かつしきい値以上の第2の境界値を含む速度スケールが速度スケール設定手段によって設定された場合に,ファン・モータに用いられるパルスの周波数を,第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定するものである。

第2の周波数以上のカットオフ周波数をもち,かつ音響波プローブから出力される音響波エコー信号の低周波数成分を除去するハイ・パス・フィルタ手段をさらに備えてもよい。

第1の周波数でのパルスのデューティ比と,第2の周波数でのパルスのデューティ比とが同一であることが好ましい。

音響波診断装置は,たとえば,音響波プローブからは音響波の連続波を送信し,表示制御手段は,被検体の移動体の速度を示す波形を表示装置に表示させるものである。

第1の境界値を含む速度スケールが上記速度スケール設定手段によって設定された場合に,音響波プローブから出力される音響波エコー信号を,第1の境界値の速度に対応する周波数以上のカットオフ周波数で高域周波数成分を除去するロウ・パス・フィルタ手段 をさらに備えてもよい。

音響波診断装置は,たとえば,音響波プローブからはパルス状の音響波を一定の時間間隔で送信し,表示制御手段は,被検体内部の移動体の速度を示す波形を表示装置に表示させるものでもよい。

音響波診断装置は,たとえば,音響波プローブからはパルス状の音響波を一定の間隔で送信し,表示制御手段は,被検体の移動体の速度を色の相違で表す情報を,表示装置に表示させるカラー・ドプラ表示制御手段でもよい。

第1の発明によると,しきい値未満である第1の境界値を含む速度スケールが設定された場合には明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数が第1の周波数に設定され,しきい値以上である第2の境界値を含む速度スケールが設定された場合には明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数が第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定される。しきい値未満である第1の境界値に対応する周波数は比較的低いので,比較的高い第1の周波数が,明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数に設定される。第1の周波数をもつパルス(のパルス幅制御)に起因するノイズは,比較的高い周波数なので,第1の境界値を含む速度スケールの範囲外となる確率が高くなり,表示画面に表示されなくなる。これに対して,しきい値以上である第2の境界値に対応する周波数は比較的高いので,比較的低い第2の周波数が,明るさ制御手段に用いられるパルスの周波数に設定される。第2の周波数をもつパルス(のパルス幅制御)に起因するノイズは,比較的低い周波数なので,第2の境界値を含む速度スケールの下部に現れるにすぎず,目立たない。パルス(幅)制御に起因するノイズによる超音波診断への影響を排除できる。

第2の発明においても,しきい値未満である第1の境界値を含む速度スケールが設定された場合にはファン・モータに用いられるパルスの周波数が第1の周波数に設定され,しきい値以上である第2の境界値を含む速度スケールが設定された場合にはファン・モータに用いられるパルスの周波数が第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定される。しきい値未満である第1の境界値に対応する周波数は比較的低いので,比較的高い第1の周波数が,ファン・モータに用いられるパルスの周波数に設定される。第1の周波数をもつパルス(のパルス幅制御)に起因するノイズは,比較的高い周波数なので,第1の境界値を含む速度スケールの範囲外となる確率が高くなり,表示画面に表示されなくなる。これに対して,しきい値以上である第2の境界値に対応する周波数は比較的高いので,比較的低い第2の周波数が,ファン・モータに用いられるパルスの周波数に設定される。第2の周波数をもつパルス(のパルス幅制御)に起因するノイズは,比較的低い周波数なので,第2の境界値を含む速度スケールの下部に現れるにすぎず,目立たない。パルス(幅)制御に起因するノイズによる超音波診断への影響を排除できる。

超音波診断装置の電気的構成を示すブロック図である。

信号処理プロセッサと受信回路の電気的構成を示すブロック図である。

パルス幅制御に利用されるパルス周波数の切り替え制御手順を示すフローチャートである。

速度スケールの境界値とパルス幅との関係を示している。

超音波診断装置の表示画面の一例である。

超音波診断装置の表示画面の一例である。

超音波診断装置の表示画面の一例である。

超音波診断装置の表示画面の一例である。

パルス幅制御に利用される第1の周波数のパルスと第2の周波数のパルスとを示している。

信号処理プロセッサと受信回路の電気的構成を示すブロック図である。

超音波診断装置の表示画面の一例である。

超音波診断装置の表示画面の一例である。

信号処理プロセッサと受信回路の電気的構成を示すブロック図である。

超音波診断装置の表示画面の一例である。

超音波診断装置の電気的構成を示すブロック図である。

従来の超音波診断装置の表示画面の一例である。

従来の超音波診断装置の表示画面の一例である。

図1は,超音波診断装置(音響波診断装置)の電気的構成を示すブロック図である。

この実施例においては,音響波として超音波が用いられるが,超音波に限定されるものではなく,被検体(被検対象),診断条件などに応じて適切な周波数が選択されれば,可聴周波数の音響波を用いるようにしてもよい。また,被検体として人間の病気の診断に利用するだけでなく,音響波画像(超音波画像)が生成されることにより,配管などを流れるなどの移動体を検査する場合にも利用できる。

超音波診断装置の全体の動作は,制御装置10によって統括される。

超音波診断装置には,ディスプレイ装置18が含まれている。このディスプレイ装置18には,液晶パネル20が含まれており,液晶パネル20の表示画面上に移動体(被検体の血液などの流体,心臓の壁などの移動物)の速度を示す情報(速度を示すグラフ,色など)が表示される。液晶パネル20の明るさはバックライト20によって調整される。

超音波診断装置のユーザ(医師,看護師,技師など)は,操作装置12(速度スケールを設定する速度スケール設定手段)を用いてディスプレイ装置18(バックライト22)の明るさおよびドプラ速度スケールを設定する。ドプラ速度スケールは,液晶パネル20に表示される移動体の速度を示す情報の表示範囲を示すものである。設定された明るさおよびドプラ速度スケールを示す信号は,制御装置10に与えられる。本明細書における実施形態では,制御装置10は,パルス幅制御部11(パルス幅制御機能)及び後述する表示制御手段(表示制御機能)を持つが,これに限らず,制御機能とパルス幅制御部11が別体であっても良い。パルス幅制御機能(パルス幅にもとづいて表示装置の明るさを制御する明るさ制御手段)により,設定された明るさに対応するデューティ比をもつ周波数のパルスが生成され,ドライバ21に与えられる。ドライバ21によってバックライト22が駆動され,液晶パネル20がバックライト22から光が照射される。詳しくは,後述するように,この実施例においては,設定されたドプラスケールに応じてパルス幅制御に利用されるパルスの周波数が変えられる。パルスの周波数が変えられることにより,液晶パネル20にパルス幅制御に利用されるパルスの周波数に起因するノイズが表れるのが未然に防止されたり,目立たなくされたりする。

制御装置10からは,被検体に超音波を送信するための制御信号が出力され信号処理プロセッサ13を介して送信回路14に与えられる。送信回路14から出力される制御信号は,マルチ・プレクサ15を介して超音波プローブ16に与えられる。超音波プローブ16に含まれている超音波振動子から超音波が送信(送波)され,被検体内を伝搬する。被検体内からの超音波エコーは,超音波プローブ16内の超音波振動子において受信(受波)され,超音波振動子において超音波エコー信号に変換される。変換された超音波エコー信号が超音波プローブ16から出力され,マルチ・プレクサ15を介して受信回路17に入力する。

図2は,受信回路17および信号処理プロセッサ13の一部の電気的構成を示すブロック図である。図2に示すブロック図は,図1に示す超音波診断装置が,超音波プローブ16から超音波の連続波を送信し,移動体の速度を示す波形を液晶パネル(表示装置)20に表示させるものである(いわゆる連続波ドプラ法超音波診断装置)。

受信回路に入力した超音波エコー信号は,増幅回路31において増幅され,ミキサ32で検波が行われることによりベースバンド信号に変換される。ミキサ32の出力信号は整相加算回路33において,超音波プローブ16に含まれる異なる超音波振動子から出力される超音波エコー信号の整相加算が行われる。整相加算回路33の出力信号は,LPF(ロウ・パス・フィルタ)34に入力する。ロウ・パス・フィルタ34は,アナログ・ディジタル変換前のアンチ・エイリアシング・フィルタである。ロウ・パス・フィルタ34の出力信号が,AD(アナログ・ディジタル)変換回路34においてディジタルの超音波エコー・データに変換されて受信回路17から出力する。

信号処理プロセッサ13では,受信回路17から受け取った超音波エコー・データを計算して,被検体内の移動体の速度を算出する機能を持つ。受信回路17から出力した超音波エコー・データは,信号処理プロセッサ13のロウ・パス・フィルタ41に入力する。ロウ・パス・フィルタ41は,操作装置12によって設定されたドプラ速度スケールの境界値(後述する第1の境界値)に対応するドプラ偏移周波数程度のカット・オフ周波数をもつものである。このロウ・パス・フィルタ41により,後述のように,液晶パネル20に発生する折り返しノイズが除去される。ロウ・パス・フィルタ41からの出力信号は,サンプリング回路42に入力し,サンプリング回路42において,ドプラ偏移周波数の境界値の2倍程度のサンプリング周波数でサンプリングが行われる。サンプリング回路42から出力した信号は,HPF(ハイ・パス・フィルタ)43において,ドプラ偏移周波数の境界値(後述する第1の境界値)の1/10程度から1/20程度の低周波数成分が除去される(第2の周波数以上のカットオフ周波数をもち,かつ超音波プローブ16から出力される音響波エコー信号の低周波数成分を除去するハイ・パス・フィルタ手段)。ハイ・パス・フィルタ43のカットオフ周波数は第2の境界値の周波数(41.7kHz)の1/9以下程度でもよい。ハイ・パス・フィルタ43から出力された信号は,FFT(高速フーリエ変換)回路44においてフーリエ変換が高速に行われる。高速フーリエ変換回路44から出力した信号は,速度変換回路45(超音波プローブ16から得られる超音波エコー信号を用いて被検体内部の移動体の速度を算出する速度算出手段)において速度に変換される。測定する移動体の速度をv,被検体内の音速をc(約1530m/s),fdをドプラ偏移周波数,fsを検波周波数(約1MHzから10MHz)とすると,移動体の速度v=(c/2)×(fd/fs)で得られる。速度変換回路45から出力された信号は,画像変換回路46に入力し,移動体のパワーに応じた輝度に変換される。画像変換回路46からの出力信号か信号処理プロセッサ13からの出力信号となり,制御装置10に入力する。

制御装置(表示制御手段)10によってディスプレイ装置18のドライバ19が制御され,液晶パネル(表示装置)20に,速度スケールに応じて被検体内の移動体の速度を示す波形が表示されるようになる(図5から図8など)。

この実施例による超音波診断装置においては,しきい値未満である第1の境界値を含む速度スケールが操作装置12(速度スケール設定手段)により設定された場合に,制御装置10(パルス幅制御部11)により,バックライト22の明るさを制御するパルス幅制御のパルスに用いられるパルスの周波数が第1の周波数(好ましくは,第1の境界値に対応する周波数よりも高い周波数)に設定され,しきい値以上の第2の境界値を含む速度スケールが操作装置12により設定された場合に,制御装置10(パルス幅制御部11)により,バックライト22の明るさを制御するパルス幅制御のパルスに用いられるパルスの周波数が第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定される。具体的には,たとえば,しきい値は18kHzであり,第1の境界値は2.3kHzであり,第1の周波数は20kHzであり,第2の境界値は41.7kHzであり,第2の周波数は200Hzである。その他の値であってもよいのはいうまでもない。また,第1の周波数は,第1の境界値の周波数以上の周波数であってもよいし,第1の境界値の周波数の0.9倍から1.1倍の周波数でもよい。

図3は,パルス幅に用いられるパルスの周波数設定処理手順を示すフローチャートであり,図4は,設定される速度スケールの境界値と,境界値に応じて設定されるパルスの周波数との関係を示している。

図3を参照して,ユーザによって操作装置12を用いて速度スケールが設定されると(ステップ51),設定された速度スケールが,しきい値未満の第1の境界値を含む速度スケールかどうかが制御装置10によって確認される(ステップ52)。設定された速度スケールが,しきい値未満の第1の境界値を含む速度スケールであると(ステップ52でYES),パルス周波数は第1の周波数に設定される(ステップ53)。図4を参照して,上述したように,しきい値が18kHzに規定されている。このしきい値未満の第1の境界値を含む速度スケールが設定されると,パルス幅制御に用いられるパルスの周波数は第1の周波数である20kHzに設定される。

設定された速度スケールが,しきい値以上の第2の境界値を含む速度スケールであると(ステップ52でNO,ステップ54でYES),パルス周波数は第2の周波数に設定される(ステップ55)。図4に示すように,しきい値以上の第2の境界値を含む速度スケールが設定されると,パルス幅制御に用いられるパルスの周波数は第2の周波数である200Hzに設定される。

図5から図8は,液晶パネル20に表示される波形(被検体の測定対象である移動体の速度の波形)の一例である。

図5は,境界値が第1の境界値である2.3kHzに設定された場合の表示画面60の一例である。

図5に示す表示画面60において左側に縦方向に表示されているスケールが速度スケール61Aである。速度スケール61Aはドプラ偏移周波数により表されているがドプラ偏移周波数と速度とは上述した式から分かるように一義的に定まる。このため速度スケール61Aは,ドプラ偏移周波数ではなく,速度が表されるものでもよい。他の表示画面に表示される速度スケールについても同様である。速度スケール61Aに応じて移動体の速度を表す波形61が表示されている。

この実施例の超音波診断装置では,ユーザによって境界値が設定されると,その設定された境界値の半分の値が上限および下限の速度スケールが,表示画面に表示される。たとえば,図5では,境界値が2.3kHzに設定されたものであるから,その境界値2.3kHzの半分である1.15kHzが速度スケール61Aの上限となり,かつ−1.15kHzが速度スケール61Aの下限となる速度スケール61Aが表示されている。この実施例では,速度スケール61Aを上下に移動させることができ,その移動により,速度スケール61Aの移動前の表示画面60には表示されていない速度スケールまで表示画面に表示させることができるからである。たとえば,図5に示すように速度スケール61Aの基準である0kHzが上下のほぼ中央に位置決めされて速度スケール61Aが表示されている状態で,操作装置12から与えられる指令により速度スケール61Aが下方向に移動させられると,表示画面60は,図6に示すものとなる。図6の表示画面60の左側には速度スケール63Aが表示されている。この速度スケール63Aの上限はユーザによって設定された境界値である2.3kHzとなっている。このように,速度スケールの移動が可能であるために,図5に示すように,速度スケール61Aの基準となる0kHzが表示画面60の中央に位置決めされて表示される場合には,ユーザによって設定された境界値の半分が上限および下限となるような速度スケールが表示画面60に表示されるようになる。速度スケール61Aが上方向に移動させられた場合も同様である。

上述した理由から,ユーザによって境界値として2.3kHzが設定されると,図5に示すように,境界値の半分を上限および下限とする速度スケール61Aが表示画面60に表示される。設定された境界値2.3kHzはしきい値(18kHz)未満であるから,バックライト22のパルス幅制御に用いられるパルス周波数は,上述のように20kHzに設定される。表示画面60には,−1.15kHzから1.15kHzまでのドプラ偏移周波数に対応する波形しか表示されないから,20kHzのパルス周波数から生じるノイズは表示画面60に表示されない。表示画面60には,被検体の移動体の速度を表す波形61が表示され,パルス幅制御に利用されるパルスのノイズは表示されないから,ノイズによる誤診が未然に防止される。

また,図6に示すように速度スケール63Aが下方向に移動した場合であっても(上方向でも同様である)20kHzのパルス周波数から生じるノイズは表示画面60に表示されないので,移動体の速度を表す波形63のみが表示画面60に表示される。この場合もノイズによる誤診が未然に防止される。

さらに,信号処理プロセッサ13に含まれるロウ・パス・フィルタ41により,境界値(第1の境界値)の周波数をカットオフ周波数(第1の境界値の周波数の10%程度の周波数でもよい)にもつロウ・パス・フィルタ41により音響波エコー信号の高周波数成分が除去されている。ノイズ成分が表示画面60に表示されないほど高周波数成分を有していたとしても折り返しノイズが表示画面60に現れてしまうことがある。この実施例では,そのような折り返しノイズについてもロウ・パス・フィルタ41により除去されるので,折り返しノイズが表示画面60に表示されてしまうことも未然に防止される。

図7は,境界値が第2の境界値である41.7kHzに設定された場合の表示画面60の一例である。

図7に示す表示画面60において左側に縦方向に表示されているスケールが速度スケール62Aである。上述したように,設定された境界値41.7kHzの半分である20.85kHzが速度スケール62Aの上限となり,かつ−20.85kHzが速度スケール62Aの下限となる。上述したのと同様に速度スケール62Aを下方向に移動させると図8に示すように,設定された境界値41.7kHzが上限となる速度スケール64Aが表示画面60に表示される。

ユーザによって設定された境界値41.7kHzは,しきい値以上であるから,バックライト22のパルス幅制御に用いられるパルス周波数は,上述のように200Hzに設定される。表示画面60に設定されている速度スケールは,−20.85kHzから20.85kHzまでの間であり,幅広い周波数の波形が表示できるように設定されている。200Hzのパルス周波数から生じるノイズは,ほとんど0と見做されるので,そのノイズが波形62に影響を与えない(表示画面60に現れても目立たない)。

また,図8に示すように,速度スケール62Aが下方向に移動し,0kHzから41.7kHzまでの速度スケール64Aが表示された場合でも,200 Hzのパルス周波数から生じるノイズは,ほとんど0と見做されるので,そのノイズが波形に影響を与えない(表示画面60に現れても目立たない)。

さらに,信号処理プロセッサ13に含まれるハイ・パス・フィルタ43(図2参照)により低周波数成分が除去されるから,200Hzのパルス周波数から生じるノイズも除去されることとなる。

図9は,パルス幅制御に用いられるパルスの一例であり,第1の周波数のパルスと第2の周波数のパルスとを示している。

上述したように,第1の周波数は20kHzであり,第2の周波数は200Hzである。

この実施例では,第1の周波数をもつパルスのデューティ比と第2の周波数をもつパルスのデューティ比とは実質的に同一とされている。±5%程度の差は実質的に同一とされる。この実施例では,第1の周波数をもつパルスのデューティ比と第2の周波数をもつパルスのデューティ比とは実質的に同一なので,パルス幅制御に用いられるパルスの周波数が切り替えられた場合であっても,バックライト22の明るさが変化しない。

図10から図12は,他の実施例を示している。

図10は,超音波診断装置に用いられる信号処理プロセッサ13Aの一部,送信回路14および受信回路17Aの電気的構成を示すブロック図であり,パルス状の超音波を一定間隔で送信する超音波診断装置(いわゆるパルス・ドプラ法の超音波診断装置)に利用されるものである。図1に示す超音波診断装置において,信号処理プロセッサ13の代わりに,図10に示す信号プロセッサ13Aが利用され,同様に受信回路17の代わりに,図10に示す受信回路17Aが利用される。

操作装置12を用いて設定されたドプラ速度スケールを示すデータは,信号処理プロセッサ13Aから送信回路14に与えられる。送信回路14からは,設定されたドプラ速度スケールの境界値の周波数の2倍の繰り返し周波数で超音波パルスが送信されるように超音波プローブ16が制御される。パルス・ドプラ法の超音波診断装置では,速度スケールが下方向に移動した場合でも(上方向でも同様である),折り返しでベース・ライン(0kHzの基準ライン)よりも下部に表示されていた波形が上部に表示されるだけなので,ユーザによって設定された境界値の周波数が,そのまま速度スケールとして現れる。

被検体からの超音波エコーにもとづいて得られる超音波エコー信号は,受信回路17Aの増幅回路71において増幅され,ロウ・パス・フィルタ72においてアナログ・ディジタル変換前のアンチエイリアシングのために高域周波数成分が除去される。ロウ・パス・フィルタ72の出力信号がアナログ・ディジタル変換回路73においてディジタルの超音波エコー・データに変換される。アナログ・ディジタル・変換回路73の出力データが受信回路17Aの出力となり,信号処理プロセッサ13Aに入力する。

受信回路17Aから出力した超音波エコー・データは,信号処理プロセッサ13Aの整相加算回路81に入力し,整相加算され,ミキサ82において検波される。さらに,ゲート・サム回路83において,超音波診断装置のサンプル・ゲート内のベースバンド信号の実部データと虚部データとがそれぞれ平均化される。ゲート・サム回路86の出力データがハイ・パス・フィルタ84において,上述したハイ・パス・フィルタ43(図2参照)と同様に,入力したデータの低周波数成分が除去され,高速フーリエ変換回路85においてドプラ偏移周波数が速度スケールに変換される。速度変換回路86の出力データが画像変換回路87に与えられ,画像変換回路87において,測定している移動体のパワーに応じた輝度に変換される。画像変換回路87の出力データが信号処理プロセッサ13Aの出力となり,制御装置10に与えられる。制御装置10によってドライバ19が制御され,液晶パネル20に移動体の速度を表す波形が表示される。また,バックライト22のドライバ21には,パルス幅制御のための制御パルスが制御装置10のパルス幅制御部11かから与えられる。バックライト22は,制御パルスのデューティ比に応じた明るさで液晶パネル20を照らすこととなる。

図11は,液晶パネル20の表示画面60に表示される波形65の一例である。

表示画面60の左側には,操作装置12を用いて設定された速度スケール65Aが表示されている。パルス状の超音波を一定の時間間隔で送信する超音波診断装置の場合,比較的遅い移動体の速度を測定することが多い。このため,図2に示す連続波の超音波を送信する超音波診断装置と異なり,比較的遅い移動体の速度を観察できるように,比較的低い値の境界値が設定される。図5に示す速度スケールの境界値(2.3kHz)よりも低い境界値である1.2kHz(第1の境界値)が,ユーザによって設定された場合の表示スケール65Aの状態が図11で示すものである。設定された境界値は,しきい値である18kHz未満なので,パルス幅制御のためのパルス周波数はパルス幅制御部11(周波数設定手段)によって20kHz(第1の周波数)に設定される。上述したように,速度スケールの境界値(1.2kHz)よりもパルス幅制御のためのパルスの周波数(20kHz)の方が高いので,表示画面60にパルス幅制御のためのパルスから生じるノイズが現れない。

図12は,液晶パネル20の表示画面60に表示される波形66の一例である。

表示画面60の左側には,操作装置12を用いて設定された速度スケール66Aが表示されている。図12においては,図11に示す速度スケールの境界値(1.2kHz)よりも高い周波数をもつ境界値である20kHz(第2の境界値)が設定されている。設定された境界値は,しきい値である18kHz以上なので,パルス幅制御のためのパルス周波数はパルス幅制御部11(周波数設定手段)によって200Hzに設定される。上述したように,速度スケールの境界値(20kHz)よりもパルス幅制御のためのパルスの周波数(200Hz)の方が極めて低いので,表示画面60にパルス幅制御のためのパルスから生じるノイズが現れても波形66と重ならず,波形66はノイズの影響を受けない。

図11および図12に示す速度スケール65Aおよび66Aを上または下に移動して図6および図8に示すように表示できる周波数の範囲を広げた場合であっても,図6および図8を用いて説明したように,パルス幅の制御に用いられるパルスにより生じるノイズが波形65または66に影響を与えないことは理解できよう。

パルス状の超音波を一定の時間間隔で送信する超音波診断装置の場合,測定対象の移動体の速度は比較的遅いから,設定される境界値の周波数も比較的低い。このために,パルス幅制御のためのパルス周波数を切り替えるしきい値を,超音波を連続的に送信する超音波診断装置に用いられるしきい値よりも低くしてもよい。

図13および図14は,さらに他の実施例を示している。

図13は,超音波プローブからパルス状の超音波を一定の間隔で送信し,移動体の速度を色の相違で表す情報を,液晶パネル(表示装置)20に表示させる超音波診断装置(いわゆるカラー・ドプラ法の超音波診断装置)についてのものである。

図1に示す超音波診断装置の信号処理プロセッサ13の代わりに図13に示す信号処理プロセッサ13Bが利用され,図1に示す受信回路17の代わりに図13に示す受信回路17Aが利用される。

操作装置12を用いて設定された境界値の2倍の繰り返し周波数でパルス状の超音波が,超音波プローブ16から送信されるように送信回路14が制御装置10によって制御される。

マルチ・プレクサ15から出力された超音波エコー信号は,受信回路17Aにおいて増幅回路71における増幅,ロウ・パス・フィルタ72における高域周波数成分の除去,およびアナログ・ディジタル変換回路77におけるアナログ・ディジタル変換処理が行われて信号処理プロセッサ13Bに入力する。

信号処理プロセッサ13Bに入力した超音波エコー・データ(超音波エコー信号がディジタル・データに変換されたもの)は,整相加算回路91において整相加算が行われ,ミキサ92において検波される。ミキサ92から出力されたデータがハイ・パス・フィルタ93において,ハイ・パス・フィルタ43(図2参照)と同様に低域周波数成分が除去される。ハイ・パス・フィルタ93の出力データはオート・コリレーション回路94において,自己相関処理によりパルス間の位相差が求められ,速度変換回路95において,位相差から移動体の速度が求められる。移動体の速度vは,被検体内の音速をc,位相差をΔθ,パルス繰り返し時間をT,検波周波数をfsとすると,v=(c/2)×{Δθ/(2π・T/fs)で得られる。算出された速度が画像変換回路86において色に変換される。画像変換回路86の出力データが信号処理プロセッサ13Bの出力となり,制御装置10に入力する。制御装置10によってドライバ19が制御され,移動体の速度を色で表した画像が液晶パネル20に表示される。

図14は,液晶パネル20の表示画面60に表示される画像の一例である。

表示画面60の対象領域100内に測定された移動体の速度が色で表示される。たとえば,ハッチングで示す領域101は青色であり,ハッチングされていない領域102は赤色である。青色の領域101は,移動体が超音波プローブ16に近づく方向に移動している様子を示し,赤色の領域102は,移動体が超音波プローブ16から離れる方向に移動している様子を示す。表示画面60の左上隅には速度スケール67が表示されている。ユーザによって境界値が0.6kHzに設定されている。図14に示すように,速度を色で表示する場合には,表示できる速度範囲を下方向に移動した場合でも(上方向でも同様である),移動体の速度を表す色を変えて表示されるだけなので,ユーザによって設定された境界値の周波数が,そのまま速度スケールとして現れる。

このように,移動体の速度を色で表す場合に,上述したようにパルス幅制御のパルス周波数に起因するノイズにより対象領域100の全体が青くなってしまったり,赤くなってしまったりするように色がついてしまうことがあり,対象領域100の全体が低速で移動しているように見えてしまう。この実施例では,上述したように,パルス幅制御のパルス周波数がしきい値未満の場合には,パルス周波数が高くされるので,速度スケールで表示できる色の範囲外となり,パルス幅制御のパルス周波数がしきい値以上の場合にはパルス周波数が低くされる。速度スケールで表示できる周波数が高い範囲まで設定される場合には,低い周波数のノイズは,色として現れないので,誤診断を避けることができる。

図15は,さらに他の実施例を示すもので,超音波診断装置の電気的構成を示すブロック図である。この図において,図1に示すものと同一物については同一符号を付して説明を省略する。

図15に示す超音波診断装置においては,冷却ファン112が設けられており,その冷却ファン112の回転量を制御するファン・モータ111がパルス幅制御される。制御装置10のパルス幅制御部11によりパルス幅制御のためのパルスがファン・モータ111に与えられることにより,ファン・モータ111がパルス幅制御される。この冷却ファン112は,信号処理プロセッサ13(速度算出手段),制御装置10(表示制御手段),パルス幅制御部11(周波数設定手段)の少なくとも1つを冷却する機能を持つ。好ましくは,冷却ファン112が信号処理プロセッサ13を冷やす。何故なら,信号処理プロセッサ13において,超音波エコー・データを用いて被検体内の移動体の速度を算出するには,大量の計算を必要とするからである。

バックライト22の明るさをパルス幅制御により制御する場合と同様に,ファン・モータ111をパルス幅制御により制御する場合に,上述したように操作装置12を用いて設定された境界値の大きさに応じてパルス幅制御のためのパルス周波数を変えるようにしてもよい。上述したように,操作装置12を用いて設定された境界値がしきい値である18kHz未満であれば,ファン・モータ111を制御するパルスの周波数は20KHzに設定される。操作装置12を用いて設定された境界値がしきい値である18kHz以上であれば,ファン・モータ111を 制御するパルスの周波数は200Hzに設定される。このようにすることにより,ファン・モータ111を制御するパルスに起因するノイズが,移動体の速度を表す波形,色等に影響を与えないようにできることは理解できよう。

上述した実施例では,それぞれの超音波診断装置において2種類の速度スケールが切り替えられているが,2種類ではなくさらに多くの種類(たとえば,10種類)の速度スケールが,設定された境界値に応じて切り替えられるようなものでもよい。そのような超音波診断装置においても,設定された境界値がしきい値未満かしきい値以上かに応じて,上述のようにパルス幅制御のためのパルスの周波数が切り替えられる。さらに,液晶パネル20にタッチ・パネルが設けられていてもよい。タッチ・パネルが設けられている場合には,上述したように境界値の設定に応じた速度スケールの設定は,タッチ・パネルを用いて行ってもよいし,操作装置12を用いて行ってもよい。また,タッチ・パネルを用いて速度スケールの移動を制御してもよい。さらに,操作装置12を用いて速度スケールを設定するのではなく,測定された移動体の速度に応じて,移動体の速度が速度スケールの範囲の半分以上の範囲で表示されるように速度スケールを,制御装置10を用いて自動で切り替えられるようにしてもよい。そのような場合には,速度スケールを切り替えて設定する制御装置10が速度スケール設定手段となる。

10 制御装置(表示制御手段) 11 パルス幅制御部(周波数設定手段) 12 操作装置(速度スケール設定手段) 13 信号処理プロセッサ(速度算出手段) 16 超音波プローブ(音響波プローブ) 22 バックライト 41 ロウ・パス・フィルタ 45,86,95 速度変換装置(速度算出手段) 111 ファン・モータ 112 冷却ファン

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