被検体情報取得装置およびその制御方法ならびに音響信号取得装置およびその制御方法

申请号 JP2013127528 申请日 2013-06-18 公开(公告)号 JP2015000288A 公开(公告)日 2015-01-05
申请人 キヤノン株式会社; Canon Inc; 发明人 IMAI TORU; ASAO YASUSHI; NAKAJIMA TAKAO;
摘要 【課題】素子群ごとに順次 信号 取得する方式の音響信号取得装置において、良好な画像を取得する。【解決手段】被検体から伝搬する音響波に基づく音響信号を受信する複数の受信素子が二次元面に配置された受信手段であって、複数の受信素子は、それぞれ少なくとも1つの受信素子を含む複数の受信素子群に分けられている受信手段と、受信手段による受信信号を補正する補正手段と、補正手段が補正した信号を用いて被検体内の特性情報を取得する処理手段と、を有し、受信手段は、複数の受信素子群ごとに時間差をもって音響信号を受信して受信信号を取得し、補正手段は、それぞれの受信素子群が音響信号を受信したタイミングに基づいて、受信素子群ごとに取得された受信信号の時間的なずれを補正する被検体情報取得装置を用いる。【選択図】図1
权利要求
  • 被検体から伝搬する音響波に基づく音響信号を受信する複数の受信素子が二次元面に配置された受信手段であって、前記複数の受信素子は、それぞれ少なくとも1つの受信素子を含む複数の受信素子群に分けられている受信手段と、
    前記受信手段による受信信号を補正する補正手段と、
    前記補正手段が補正した信号を用いて前記被検体内の特性情報を取得する処理手段と、を有し、
    前記受信手段は、前記複数の受信素子群ごとに時間差をもって前記音響信号を受信して受信信号を取得し、
    前記補正手段は、それぞれの前記受信素子群が前記音響信号を受信したタイミングに基づいて、前記受信素子群ごとに取得された前記受信信号の間の時間的なずれを補正することを特徴とする被検体情報取得装置。
  • 前記受信手段に含まれる前記複数の受信素子群は、所定の順番でフレームを構成し、前記フレーム単位で前記音響信号を繰り返し受信するフレーム撮像を行うものであり、
    前記受信手段は、前記受信素子群のそれぞれが各フレームにおいて受信した前記音響信号に基づいて、前記受信素子群ごとに受信波形を取得することを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
  • 前記補正手段が、前記複数の受信素子群が受信した前記音響信号を受け取って前記フレームごとに書き込むための記憶手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
  • 前記補正手段は、前記複数の受信素子群のそれぞれが前記音響信号を受信したタイミングに基づいて、前記記憶手段への書き込みのときに、前記補正を行うことを特徴とする請求項3に記載の被検体情報取得装置。
  • 前記補正手段は、前記複数の受信素子群から受け取った前記音響信号をそのまま前記記憶手段に書き込んだのち、
    前記記憶手段から前記音響信号を読み出して前記処理手段に受け渡すときに、前記複数の受信素子群のそれぞれが前記音響信号を受信したタイミングに基づいて、前記補正を行うことを特徴とする請求項3に記載の被検体情報取得装置。
  • 前記補正手段は、前記受信素子群が受信した前記音響信号の強度に基づいて、前記受信素子群が前記音響信号を受信していない時刻における信号の強度を補完することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  • 前記受信手段に含まれる前記複数の受信素子は、前記二次元面において水平および垂直方向にアレイ状に配置されており、前記受信素子群は、前記アレイの水平ラインごとに構成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  • 前記受信手段は、ファブリーペロー型干渉計を含み、
    前記複数の受信素子は、前記ファブリーペロー型干渉計に入射したのち反射した測定光を検出するアレイ型光センサの撮像素子であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  • 前記アレイ型光センサは、CMOSセンサであることを特徴とする請求項8に記載の被検体情報取得装置。
  • 前記複数の受信素子は、圧電材料を用いて音響波を検出する素子、または、容量の変化を用いて音響波を検出する素子からなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  • 前記被検体から伝搬する音響波とは、励起光を照射された前記被検体から発生する光音響波であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  • 前記被検体から伝搬する音響波とは、前記被検体に送信されたのち反射した音響波であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  • 前記処理手段が取得した前記特性情報を表示する表示手段をさらに有することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  • 音響信号を受信する複数の受信素子が二次元面に配置された受信手段であって、前記複数の受信素子は、それぞれ少なくとも1つの受信素子を含む複数の受信素子群に分けられている受信手段と、
    前記受信手段による受信信号を補正する補正手段と、
    前記補正手段が補正した信号を解析する処理手段と、を有し、
    前記受信手段は、前記複数の受信素子群ごとに時間差をもって前記音響信号を受信して受信信号を取得し、
    前記補正手段は、それぞれの前記受信素子群が前記音響信号を受信したタイミングに基づいて、前記受信素子群ごとに取得された前記受信信号の間の時間的なずれを補正することを特徴とする音響信号取得装置。
  • 複数の受信素子が二次元面に配置された受信手段であって、前記複数の受信素子は、それぞれ少なくとも1つの受信素子を含む複数の受信素子群に分けられている受信手段と、補正手段と、処理手段と、を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
    前記受信手段が、被検体から伝搬する音響波に基づく音響信号を、前記複数の受信素子群ごとに時間差をもって受信して、受信信号を取得するステップと、
    前記補正手段が、それぞれの前記受信素子群が前記音響信号を受信したタイミングに基づいて、前記受信素子群ごとに取得された前記受信信号の間の時間的なずれを補正するステップと、
    前記処理手段が、前記補正手段が補正した信号を用いて前記被検体内の特性情報を取得するステップと、
    を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法。
  • 複数の受信素子が二次元面に配置された受信手段であって、前記複数の受信素子は、それぞれ少なくとも1つの受信素子を含む複数の受信素子群に分けられている受信手段と、補正手段と、処理手段と、を有する音響信号取得装置の制御方法であって、
    前記受信手段が、音響信号を、前記複数の受信素子群ごとに時間差をもって受信して、受信信号を取得するステップと、
    前記補正手段が、それぞれの前記受信素子群が前記音響信号を受信したタイミングに基づいて、前記受信素子群ごとに取得された前記受信信号の間の時間的なずれを補正するステップと、
    前記処理手段が、前記補正手段が補正した信号を解析するステップと、
    を有することを特徴とする音響信号取得装置の制御方法。
  • 说明书全文

    本発明は、被検体情報取得装置およびその制御方法ならびに音響信号取得装置およびその制御方法に関する。

    近年では一般に、エックス線、超音波、MRI(核磁気共鳴法)を用いたイメージング装置が医療分野で多く使われている。 一方で、レーザーなどの光源から照射した光を生体などの被検体内に伝播させ、その伝播光等を検知することで、生体内の情報を得る光イメージング装置の研究も医療分野で積極的に進められている。 このような光イメージング技術の一つとして、Photoacoustic Tomography(PAT:光音響トモグラフィー)が提案されている。

    PATにおいては、光源から発生したパルス光を被検体に照射し、被検体内で伝播・拡散した光のエネルギーを吸収した生体組織から発生した音響波(以降光音響波と呼ぶ)を複数の個所で検出して二次元の音圧分布を取得する。 そして、それらの信号を解析処理し、被検体内部の光学特性値に関連した情報を可視化する。 これにより、被検体内の光学特性値分布、特に光エネルギー吸収密度分布を取得できる。

    光音響波の検出器としては、従来、圧電現象を用いたトランスデューサーや容量の変化を用いたトランスデューサーが挙げられる。 さらに近年、光の共振を用いた検出器が開発されている。 この検出器は、光音響波の音圧変化にともなって変化する光干渉膜の反射光量を、二次元アレイ化された光センサを用いて検知することで、光音響波を検出する。

    一方、医療用の音響信号取得装置に求められることは、コストを抑えることに加え、短時間で二次元音圧分布の時間変化を取得することと、より速い周期でデータ取得を行うことである。 被検体が生体である場合、特に医療現場などでは短時間で音響信号を取得し、イメージングすることは被検者の負担軽減につながる。 さらに、速い周期でデータ取得を行うことで、より高い周波数の音響波まで検出することができる。 このことは、被検体内を高解像度にイメージングする上で重要である。

    短時間で二次元音圧データを取得するために、二次元面にアレイ化された複数の検出器を用いてデータを取得する検出方法が考案されている。 例えば光の共振を用いた検出器においては、音響波の二次元音圧分布を一括で取得するために、光電変換素子の二次元アレイ型センサとしてCCDカメラを用いて光干渉膜の反射光量変化を検知する、という報告例がある(非特許文献1)。 また、トランスデューサーを二次元面に配列してデータ取得を行う方法なども考案されている。

    二次元アレイ化されたセンサのデータ取得方法に関しては、大きく二つに分けられる。 一つは、二次元センサ面を一括でデータを取得する方法であり、もうひとつはアレイ化された一部の素子群ごとに順番にデータ取得を行う方法である。 光の共振を用いた検出器に関して言えば、光センサとして全素子同時にデータ取得を行うCCDセンサを用いるのが前者であり、一部の素子群ごとに時間差でデータ取得を行うCMOSセンサを用いるのが後者である。

    前者の一括方式はグローバルシャッター方式と呼ばれ、後者の時間差方式はローリングシャッター方式と呼ばれる。 一般的にローリングシャッター方式のCMOSセンサは、撮像素子制御の自由度が高いことからデータ取得周期の高速化が容易であり、より高周波での音響波の取得が期待できる。 また、一般にローリングシャッター方式のCMOSセンサはCCDセンサよりも消費電が小さく、かつ量産が容易なので安価であるという特長がある。

    圧電素子やcMUTなどを使用する二次元アレイ化されたトランスデューサーに関しても、素子群ごとに順次データ取得を行う方法を採用できる。 このようなデータ取得方法とすることで、増幅器やA/D変換器などの数の低減によるコスト抑制を見込むことができる。

    一方で、アレイ化された一部の素子群ごとに順番にデータ取得を行うローリングシャッター方式では、素子群ごとにデータ取得時刻がずれることに伴い、最終的に受信される信号も素子群ごとにずれてしまうという課題がある。 特にビデオカメラなどに用いるローリングシャッター方式のCMOSセンサにおいては、この課題はローリングシャッター歪みとして知られている。 これは手ぶれなどによって本来の二次元画像とは異なる歪んだ画像を取得してしまう現象である。 特許文献1では、手ぶれ量の検知センサの情報をもとにローリングシャッター歪みを補正する方法が提示されている。

    特開2004−266322号公報

    非特許文献1に記載されている音響信号取得装置ではCCDセンサを用いているため、高周波数の音響波を取得するためにデータ取得周期の高速化を行うことがCMOSセンサに比べて困難であり、広帯域の音響信号を受信するのは難しい。

    また、特許文献1に記載されているローリングシャッター歪みの解決手段では、手ぶれなどの影響による空間的な画像の歪みを解決することは可能だが、CMOSセンサを音響波検出用センサとして用いる場合の課題は解決できない。 すなわち、音響波を検出する場合、素子群ごとの反射光量波形の時間的なずれを補正する必要があるが、特許文献1の手法はこれに対応していない。

    本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、素子群ごとに順次信号取得する方式の音響信号取得装置において、良好な画像を取得することにある。

    本発明は、以下の構成を採用する。 すなわち、
    被検体から伝搬する音響波に基づく音響信号を受信する複数の受信素子が二次元面に配置された受信手段であって、前記複数の受信素子は、それぞれ少なくとも1つの受信素子を含む複数の受信素子群に分けられている受信手段と、
    前記受信手段による受信信号を補正する補正手段と、
    前記補正手段が補正した信号を用いて前記被検体内の特性情報を取得する処理手段と、を有し、
    前記受信手段は、前記複数の受信素子群ごとに時間差をもって前記音響信号を受信して受信信号を取得し、
    前記補正手段は、それぞれの前記受信素子群が前記音響信号を受信したタイミングに基づいて、前記受信素子群ごとに取得された前記受信信号の間の時間的なずれを補正することを特徴とする被検体情報取得装置である。

    本発明はまた、以下の構成を採用する。 すなわち、
    音響信号を受信する複数の受信素子が二次元面に配置された受信手段であって、前記複数の受信素子は、それぞれ少なくとも1つの受信素子を含む複数の受信素子群に分けられている受信手段と、
    前記受信手段による受信信号を補正する補正手段と、
    前記補正手段が補正した信号を解析する処理手段と、を有し、
    前記受信手段は、前記複数の受信素子群ごとに時間差をもって前記音響信号を受信して受信信号を取得し、
    前記補正手段は、それぞれの前記受信素子群が前記音響信号を受信したタイミングに基づいて、前記受信素子群ごとに取得された前記受信信号の間の時間的なずれを補正することを特徴とする音響信号取得装置である。

    本発明はまた、以下の構成を採用する。 すなわち、
    複数の受信素子が二次元面に配置された受信手段であって、前記複数の受信素子は、それぞれ少なくとも1つの受信素子を含む複数の受信素子群に分けられている受信手段と、補正手段と、処理手段と、を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
    前記受信手段が、被検体から伝搬する音響波に基づく音響信号を、前記複数の受信素子群ごとに時間差をもって受信して、受信信号を取得するステップと、
    前記補正手段が、それぞれの前記受信素子群が前記音響信号を受信したタイミングに基づいて、前記受信素子群ごとに取得された前記受信信号の間の時間的なずれを補正するステップと、
    前記処理手段が、前記補正手段が補正した信号を用いて前記被検体内の特性情報を取得するステップと、
    を有することを特徴とする被検体情報取得装置の制御方法である。

    本発明はまた、以下の構成を採用する。 すなわち、
    複数の受信素子が二次元面に配置された受信手段であって、前記複数の受信素子は、それぞれ少なくとも1つの受信素子を含む複数の受信素子群に分けられている受信手段と、補正手段と、処理手段と、を有する音響信号取得装置の制御方法であって、
    前記受信手段が、音響信号を、前記複数の受信素子群ごとに時間差をもって受信して、受信信号を取得するステップと、
    前記補正手段が、それぞれの前記受信素子群が前記音響信号を受信したタイミングに基づいて、前記受信素子群ごとに取得された前記受信信号の間の時間的なずれを補正するステップと、
    前記処理手段が、前記補正手段が補正した信号を解析するステップと、
    を有することを特徴とする音響信号取得装置の制御方法である。

    本発明によれば、素子群ごとに順次信号取得する方式の音響信号取得装置において、良好な画像を取得できる。

    実施形態1のイメージング装置の構成を示す図。

    ファブリーペロー型干渉計の構成を示す図。

    ファブリーペロー型探触子の構造を示す図。

    ローリングシャッター方式の光センサの構造を示す図。

    光センサのデータ取得タイミング、および、メモリ内の時刻を示す図。

    光センサのメモリに蓄積される受信波形を示す図。

    撮像素子の各ラインのデータ取得時間のずれを示すグラフ。

    光センサの信号ずれ補正プロセスを示すフロー図。

    光センサのデータ取得タイミングを示す図。

    光センサの信号ずれを補正する方法を示す図。

    光センサの信号のデータ補完方法を示す図。

    実施形態2のイメージング装置の構成を示す図。

    実施形態3のイメージング装置の構成を示す図。

    受信信号を一度に出力するアレイ型トランスデューサーの構成を示す図。

    スイッチを切り替えるアレイ型トランスデューサーの構成を示す図。

    実施形態4のイメージング装置の構成を示す図。

    以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。 ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。

    本発明の被検体情報取得装置には、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体情報として特性情報を画像データとして取得する光音響効果を利用した装置を含む。 この場合、取得される特性情報とは、光照射によって生じた音響波の発生源分布、被検体内の初期音圧分布、あるいは初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度分布を示す。 物質の濃度分布とは、例えば、酸素飽和度分布や酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などである。

    本発明はまた、被検体に弾性波を送信し、被検体内部で反射したエコー波を受信して、被検体情報を画像データとして取得する超音波エコー技術を利用した装置にも適用できる。 この場合の特性情報とは、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違いを反映した情報である。

    ただし本発明はこれらに限られず、後述するような音響信号取得装置を用いて音響波を取得する装置であれば、適用可能である。 以下の説明では、音響信号取得装置を用いた被検体情報取得装置の代表的な例として、光音響トモグラフィーを用いたイメージング装置、または、送信された弾性波の反射波に基づいて特性情報を取得するイメージング装置について記載する。

    本発明でいう音響波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。 光音響トモグラフィーにおける光音響効果により発生した音響波のことを、光音響波または光超音波と呼ぶ。

    なお、本発明における、二次元面に配置された音響信号受信素子群とは、実施形態1および2においてはアレイ型光センサのことであり、実施形態3および4においてはアレイ型トランスデューサーのことである。

    <実施形態1>
    (構成の説明)
    初めに、図1を用いて本実施形態におけるイメージング装置の構成の概要を説明する。 本実施形態のイメージング装置は、励起光103を出射する励起光源104を備える。 励起光103は、被検体101に照射される。 被検体101が生体である場合には、腫瘍、血管など被検体101の内部の光吸収体や、被検体101の表面の光吸収体を画像化できる。 これらの光吸収体が励起光103のエネルギーの一部を吸収すると、光音響波102が発生し、被検体内を伝搬する。 被検体101は、で満たされた水槽118中に設置される。

    イメージング装置は、測定光用光源107によって測定光106を生成し、ファブリーペロー型探触子105に照射することによって、光音響波102の音圧を検出する。 具体的には、測定光106がファブリーペロー型探触子105に入射したのち反射したときの反射光量を、アレイ型光センサ108が電気信号に変換する。

    励起光源104の励起光の発生タイミングとアレイ型光センサ108のデータ取得タイミングは、制御部114によって制御される。 本実施形態ではアレイ型光センサ108の代表的な例として、ローリングシャッター方式のCMOSセンサを用いる。 以上の各ブロックにより音響信号取得装置が構成される。

    上記音響信号取得装置に、さらにメモリ109と補正手段110からなる信号補正部111、信号処理部112、表示部113を備えることによって、イメージング装置が構成される。 信号補正部111は、アレイ型光センサ108で取得された電気信号を適切に補正し、信号処理部112に受け渡す。 信号処理部112は補正された信号を解析し、光学特性値分布情報を算出する。 表示部113は、算出された光学特性値分布情報を表示する。 ここでメモリ109は信号補正部111のみに所属する必要はなく、アレイ型光センサ108のメモリまたは信号処理部のメモリと共通であってもよい。

    測定光106はレンズ115で拡大されて、ハーフミラー117、ミラー116を経て、ファブリーペロー型探触子105において反射する。 その後、ミラー116、ハーフミラー117を再度通過した反射光119がアレイ型光センサ108に入射することで、ファブリーペロー型探触子105上での反射光の強度分布を取得できる。
    測定光を導くための光学系は、ファブリーペロー型探触子105における反射光量を測定できるような構成であればよい。 例えば、ハーフミラー117の代わりに偏光ミラーと波長板を用いてもよい。

    (光の共振を用いた音響波検出のメカニズム)
    次に、本実施形態に用いられる光の共振を用いた音響波検出のメカニズムと使用するデバイスの構造について詳説する。
    図2は光の共振を用いた音響波検出器の略図である。 このような、平行な反射板の間で光を共振させる構造をファブリーペロー型干渉計という。 このファブリーペロー型干渉計を利用した音響波検出器を、ファブリーペロー型探触子と呼ぶ。

    ファブリーペロー型探触子は、高分子膜204が第1のミラー201と第2のミラー202で挟まれた構造をとる。 高分子膜204の厚みはdであり、ミラー間距離に相当する。 入射光205は、第1のミラー201の側から干渉計に照射される。 このとき、反射光206の光量Irは次の式(1)のようになる。

    ここで、Iiは入射光205の入射光量、Rは第1のミラー201と第2のミラー202の反射率、λ は入射光205および反射光206の波長、dはミラー間距離、nは高分子膜204の屈折率である。 φは二枚のミラー間を往復する際の位相差に相当し、式(2)で示される。

    ファブリーペロー型探触子に音響波207が入射すると、ミラー間距離dが変化する。 これによってφが変化した結果、反射率Ir/Iiが変化する。 反射光量Irの変化をフォトダイオード等の光センサで測定することにより、入射した音響波207を検出できる。 検出した反射光量変化が大きいほど、入射した音響波207の強度は大きい。
    また、ファブリーペロー型探触子は入射光205が当たっている位置のみの反射光量変化を測定するため、入射光205のスポット領域が受信感度のある領域となる。

    本実施形態では、ファブリーペロー型探触子の受信感度のある領域の二次元音圧分布を短時間で取得するため、アレイ型光センサ108を用いる。
    さらに、ファブリーペロー型探触子はPZTを用いた探触子と比較して、音響波の受信周波数帯域が広い。 そのため、分解能の高い、高精細な画像が得られる。

    図3は、ファブリーペロー型探触子の断面構造を説明する図である。 第1のミラー301と第2のミラー302の材料としては誘電多層膜や金属膜を利用できる。 ミラーの間にはスペーサー膜304が存在する。 スペーサー膜304としては、弾性波がファブリーペロー型探触子に入射した際に変形する膜が好適である。 例えば、パリレン、SU8、またはポリエチレンなどの有機高分子膜は、弾性波受信時のひずみが大きい点で好ましい。 また、音波への変形特性があれば、無機膜など他の材料でも構わない。

    ファブリーペロー型探触子全体は保護膜303で保護されている。 保護膜303としては、パリレンなどの有機高分子膜やSiO などの無機膜を薄膜形成した物が用いられる。 第2のミラー302が成膜される基板305としては、ガラスやアクリルを使用できる。 基板305内での光の干渉による影響を減らすために、基板305は楔形であることが好ましい。 さらに、基板305表面における光の反射を避けるために、ARコート処理306を施すことが好ましい。

    (ローリングシャッター方式の光センサの課題)
    次に、アレイ型光センサ108として、ローリングシャッター方式のCMOSセンサを用いることによって発生する課題を述べる。 なお、CMOSセンサ以外の場合でも、ローリングシャッター方式の光センサであれば、同様の説明が可能である。

    図4にCMOSセンサの概観図を示す。 CMOSセンサには、フォトダイオードなどの固体撮像素子401が、水平および垂直方向にアレイ状に配置されている。 撮像素子は、指定された撮像素子群ごとに時間差で順番にデータ取得を行う。 図4の場合、水平方向のラインごとに撮像素子群が構成される。 撮影時には、第一行目の撮像素子の水平ライン402が最初にデータ取得を行い、次にある所定の時間差をもって第二行目のライン403がデータ取得を行う。 そのようにして、図中の矢印405の順番で撮像領域の最終ライン404までデータ取得が行われて、1フレームの撮像が完了する。 このような撮像方式をローリングシャッター方式と呼ぶ。

    上記のような1つのフレームの撮像により、CMOSセンサ全域の情報が取得できる。 さらに、1フレームの撮像完了後、再度、第一行目の水平ライン402がデータを取得することで、次のフレームの撮像を開始できる。 このように、撮像素子群がフレーム単位で所定の順番で繰り返し撮像を行うことにより、ことでデータ取得回数が増えるため、SN比の向上や、被検体の長期観測などが可能になる。 これをフレーム撮像とも言う。 また、検出器の面積が撮像領域よりも狭い場合、検出器を被検体上で移動させながらフレーム撮像を繰り返す必要がある。 本実施形態であればファブリーペロー型探触子が移動され、後述する圧電現象などを利用する実施形態であれば、アレイ型トランスデューサーが移動される。 なお、図4では、個々の撮像素子が本発明の受信素子に相当し、各ラインが受信素子群を構成する。 また、この場合における本発明の音響信号は、光音響波の強度から変換された反射光の光量の強度に該当する。

    なお、図4では、同時にデータ取得する撮像素子群は、同じライン上に配置された複数の素子により構成されていた。 しかし、撮像素子群の構成は、必ずしもこれに限られない。 各撮像素子群が少なくとも1つ、通常は複数の撮像素子群を含むように構成すれば良い。 また、ラインごとにデータ取得する場合であっても、データ取得する順番を、矢印405に示したように一方向とするのではなく、任意の順番としても良い。 また、1フレームの撮像において、必ずしもすべての撮像素子がデータ取得する必要はない。 高速撮像を実現するために、ラインを適宜飛ばしながらデータ取得することも可能である。 したがって、以下の記載におけるラインごとの処理は、適宜、撮像素子群ごとの処理に読み替えて実施できる。

    図5に、CMOSセンサ面に入射する反射光量の変化波形501、各ラインのデータ取得タイミング502、受信信号の出力タイミング505、を示す。 上で説明したように、CMOSセンサ面に入射する反射光量は、ファブリーペロー型探触子105のセンサ面における音響波102の強度に換算される量である。 したがって、この反射光量を検出することで、音響波102の二次元音圧分布を取得できる。

    符号501は、CMOSセンサ面に入射する反射光量の時間変化を示すグラフである。 横軸は時間、縦軸は反射光量を示す。 ここでは、説明を簡単にするため、すべての撮像素子のラインに入射する反射光量の時間変化は同一であるとしている。 ただし、ラインごとに反射光量の時間変化が異なる場合も、以下の説明と同様であるためここでは省略する。

    符号502は、各ラインのデータ取得タイミング(露光タイミング)とデータ取得時間を表すタイミングチャートである。 ライン数をn本とすると、図中、LINE(1)は1番目のラインのデータ取得タイミング、LINE(i)はi番目のラインのデータ取得タイミング、LINE(n)はn番目のライン(最終ライン)のデータ取得タイミングを示す。

    タイミングチャート502が示すように、各ラインのデータ取得タイミング(露光タイミング)は少しずつずれている。 例えば、1番目のラインは時刻503にデータ取得し、それからΔTi経過後の時刻504に、i番目のラインがデータ取得する。 このように、
    それぞれのラインの撮像素子は、1フレーム内の異なる時刻における反射光の光量を検出する。 従って、1フレーム撮像時間(1〜nライン目までのデータ取得が完了するのに要する時間)は、図中のLINE(n)上に符号509で示した期間となる。

    符号505は、各ラインで受信した信号が書き込まれるメモリ109内の時刻を示すタイミングチャートである。 CMOSセンサなどで取得したデータは通常、1フレームごとのデータとして外部に出力されるため、ここで示したように1フレームの撮像後にすべてのラインの受信信号が同時刻のデータとしてメモリに蓄積される。 矢印507、矢印508はそれぞれ、1番目のラインとi番目のラインのデータ取得時刻と実際にメモリ109に書き込まれる時刻の差を示している。

    図6を用いて、更に詳細に検討する。 符号602は、図5のような撮像を複数フレームに渡って行い、メモリ109に蓄積された各ラインの受信信号の時間変化を表すグラフである。 グラフ601および602において、横軸は時間、縦軸は反射光量を示している。

    グラフ602中、1ライン目の受信波形はW(1)、iライン目の受信波形はW(i)のように表す。 実際には、蓄積される受信波形は各データ取得時刻における信号のプロットの集合であるが、ここでは説明の便宜上連続線で表している。 例えばW(1)は、1ライン目の撮像素子が各フレームで取得した反射光量を、取得時刻から矢印507の期間だけ遅れたタイミングでメモリに蓄積し、その蓄積時点に取得された反射光量とみなして座標上にプロットしたものである。

    符号601は、CMOSセンサ面に入射する実際の反射光量の時間変化を示すグラフであり、図5の符号501に対応する。 グラフ602に示すように、各ラインの受信信号は、実際のデータ取得タイミングとメモリ109内への蓄積タイミングとの差に応じてずれることが分かる。 例えばW(1)は、CMOSセンサ面に入射する実際の反射光量波形から、時間差507の分だけ遅れる。 またW(i)は、実際の反射光量波形から、時間差508の分だけ遅れる。

    なお、図5の符号505の説明において、各ラインで受信した信号が1フレームの撮像後にメモリ109に書き込まれるとした。 しかし、1フレームの撮像の途中で複数回の書き込みが行われる場合でも、上記の説明と同様に処理できる。

    さらに図7には、検出する音響波(正弦波の場合)の周波数とCMOSセンサのフレーム周波数の比によって、1フレーム内の撮像素子のラインの受信波形がどの程度相対的にずれるかを示した。 図7(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、音響波周波数のフレーム周波数における割合(A/F)が1%、5%、10%、25%の場合の、1ライン目と最終ラインの受信波形のシミュレーション結果を示している。 図の横軸は信号の位相(単位:ラジアン)を表し、縦軸は信号の最大強度で規格化された値を表している。

    図7から、音響波周波数のフレーム周波数における割合(A/F)が増加するのにともなって、受信波形が連続的でなくなるのと同時に、1ライン目と最終ラインが受信する波形の時間的なずれが顕著になることが分かる。 シミュレーションの結果、この割合が1%以上、25%以下の範囲で、受信信号として有効な連続性を保った状態において、信号の時間的なずれが顕著になることが分かった。

    このような時間的なずれを生じた受信波形をそのまま信号処理に用いると、本来の位置からずれた画像を表示するなどの不具合を生じる。 そのため、本実施形態では信号補正部111において、メモリ109に書き込まれるCMOSセンサからの信号を以下に示す方法によって適切に補正する。

    (信号補正方法)
    図8に、上記の課題を解決するための信号ずれ補正のプロセスを示す。 信号ずれの補正には二種類の方法がある。 一つ目は図8(a)のように、CMOSセンサから出力されたデータをメモリ109に書き込む際に、各ラインのデータ取得タイミングに一致するように、データの出力時刻をずらしてメモリへの書き込みを行うプロセスである(ステップS8101)。 信号処理の際には、そのデータを読み出すことで、ずれが補正された信号が得られる(ステップS8102)。

    二つ目の方法では、図8(b)に示すように、CMOSセンサから出力された各ラインのデータを、そのままメモリ109に書き込む(ステップS8201)。 その後、メモリからデータを読み出す際に補正を行う。 この場合は、データ読み出しの際に各ラインのデータ取得タイミングに一致するように、メモリ内の時刻をずらす(ステップS8202)。

    データの書き込みまたは読み込みの際にデータの時刻をずらすための具体的な方法を説明する。
    図9にCMOSセンサによる各ラインのデータ取得タイミングを示す。 ライン1、ラインi、ラインnのデータ取得時刻はそれぞれ、T1、Ti、Tnとする。

    図10(a)に、一つ目の方法、すなわちメモリ109への書き込みの際にデータの補正を行う方法を示す。 まず、補正部は符号1001に示す時刻Trで出力された各ラインのデータを受け取る。 このデータをメモリに書き込む際に、符号1002で示すように、メモリへの書き込み開始時刻を各ラインでずらす。 ここで書き込み開始時刻1002は、メモリに書き込んだ際に、符号1003のように、各ラインのデータ取得タイミングが図9で示した本来のタイミングを再現するようにずらす。 このようにすることで、各ラインのデータは図9に示した正しいデータ取得タイミングでメモリに書き込まれる。

    図10(b)に、二つ目の方法、すなわちメモリ109からデータを読み出す際に補正を行う方法を示す。 この場合は、補正部は符号1004に示す出力時刻で各ラインのデータを受け取った後、出力データをそのままメモリ109へ書き込む。 そのためメモリ内の各ラインのデータ取得タイミングは、符号1005に示すように、符号1004と同時刻となる。 その後メモリから読み出す際に、読み出し開始時刻を、符号1006に示すように各ラインでずらす。 この時、読み出し開始時刻1006は、各ラインのデータ取得タイミングが、読み出し後に、符号1007のように、図9に示した正しいタイミングになるようにずらす。 このようにして、各ラインのデータは図9に示した正しいデータ取得タイミングでメモリから読み出される。

    なお符号1001、1004で、各ラインのCMOSセンサからの出力時刻は同一としたが、それぞれが異なっていても同様の補正を行うことができる。
    また、図10(a)にようにメモリへの書き込み開始時刻をずらすのではなく、図9に示したデータ取得タイミングと一致するように、信号遅延装置などを用いて符号1001の各ラインの出力データの時刻をずらした後、メモリへの書き込みを行っても良い。 さらに、図10(b)のようにメモリ読み出し開始時刻をずらすのではなく、図9に示したデータ取得タイミングと一致するように、信号遅延装置などを用いて各ラインのタイミングをずらしてメモリからの読み出しを行っても良い。

    (データ補完方法)
    上で説明したように、メモリ109に蓄積される信号のずれ、または、メモリから読み出される信号のずれは、補正部111がCMOSセンサの各ラインのデータ取得タイミングに基づいて補正することで解消される。 しかしながら各ラインのデータ取得は同時刻に行われない。 そのため補正部111では、各ラインで同時刻のデータを得るため、図8に示した信号ずれ補正の他に以下に示すデータ補完を行うことが好ましい。 なお以下の補正は図8に示した信号ずれ補正プロセスの前後どちらに行っても良い。

    図11にデータ取得を行っていない時刻でのデータの補完方法を示す。 符号1101は、CMOSセンサのセンサ面に入射する反射光量の時間変化を示すグラフである。 横軸は時間、縦軸は反射光量を示す。 符号1102は、i番目のラインとj番目のラインのデータの取得タイミング(図中ではそれぞれ、LINE(i)、LINE(j)と記載)を示すタイミングチャートである。 Ti1、Ti2はi番目のラインのデータ取得時刻であり、Tj1、Tj2はj番目のラインのデータ取得時刻を示す。 また、Sj1およびSj2はそれぞれ時刻Tj1、時刻Tj2におけるj番目のラインの反射光量である。 ここでは、任意の撮像素子で同じ時刻において同一の強度の信号が受信されているものとする。 しかしながらセンサ面において強度分布がある場合も同様に補完が可能である。

    本実施形態ではj番目のラインがデータ取得を行っていない時刻Ti2でのデータ補完をする場合、Sj1とSj2のデータを用い補完を行う。 すなわち、図中の線分L上の、時刻Ti2のデータIj12を補完データとして用いる。 同様の方法で、各ラインのデータ補完を行う。 このようにして、すべてのラインで同一時刻のデータが得られる。
    なおここでは、両隣のデータの線形近似による補完によってデータの補完を行うとしたが、複数のデータを用いて補完することも可能である。 さらに、線形近似ではなく曲線による近似でも良い。

    (装置の構成要素)
    次に、上記に説明した本実施形態における音響信号取得装置およびイメージング装置の好ましい構成について追記する。

    測定光106を出射する測定光用光源107には、波長可変レーザーを好適に使用できる。 測定光106は第1のミラー301と第2のミラー302に対して、反射率が90%以上であることが好ましい。 また、測定光106の波長はファブリーペロー型探触子の感度が最大になる最適波長を用いることが好ましい。
    被検体101へ照射する励起光103は、被検体101を構成する成分のうち特定の成分に吸収される特性の波長の光を用いる。 励起光103としては、パルス光が好適である。 パルス光は数ピコから数百ナノ秒オーダーのものであり、被検体が生体の場合には数ナノから数十ナノ秒のパルス光がより好ましい。

    励起光103を発生する励起光源104としてはレーザーが好ましいが、レーザーの代わりに発光ダイオードやフラッシュランプなども使用できる。 レーザーとしては、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なレーザーを使用できる。 発振する波長の変換可能な色素やOPO(Optical Parametric Oscillators)を用いれば、光学特性値分布の波長による違いを測定することも可能になる。
    使用する光源の波長に関しては、生体内において吸収が少ない700nmから1100nmの領域が好ましい。 しかし上記の波長領域よりも範囲の広い、例えば400nmから1600nmの波長領域、さらにはテラヘルツ波、マイクロ波、ラジオ波領域の使用も可能である。

    図1では被検体に対して、ファブリーペロー型探触子105の影にならない方向から励起光103を照射している。 しかし、励起光103としてファブリーペロー型探触子105のミラーを透過する波長を用いることにより、ファブリーペロー型探触子105側から励起光103を照射することも可能である。

    被検体101から生じる光音響波102を効率的にファブリーペロー型探触子105で検出するために、被検体101とファブリーペロー型探触子105との間には音響結合媒体を使うことが望ましい。 図1では音響結合媒体の例として水を用いており、水を充填した水槽118中に被検体101を配置している。 別の例として、被検体101とファブリーペロー型探触子105との間に、音響インピーダンスマッチングジェルを塗る構成にしてもよい。

    アレイ型光センサ108における電気信号の分布は、ファブリーペロー型探触子105において測定光106が照射されている領域上に届く光音響波102の強度分布、すなわち、光音響波102の圧力分布を表す。 得られた電気信号の分布から光学特性値分布(特性情報)を得るための再構成アルゴリズムとしては、ユニバーサルバックプロジェクションや整相加算など、既知の手法を採用できる。 なお素子に異物が存在するなどで膜厚が著しく異常を示す領域は、あらかじめデータとして利用できないことを考慮した上で、画像再構成処理の際にデータ欠損部を補正して画像化するとよい。

    なお、信号処理部112は光音響波102の強度を表す電気信号の時間変化の分布を記憶し、それを演算手段により、光学特性値分布(特性情報)に変換できるものであればどのようなものを用いてもよい。 例えば記憶手段に格納されたプログラムに従って動作するPC等の情報処理装置を利用できる。 また、信号処理により得られた画像情報を表示する表示部113を備えることが望ましい。
    また、励起光103として複数の波長の光を用いた場合は、それぞれの波長に関して、生体内の光学係数を算出し、それらの値と生体組織を構成する物質(グルコース、コラーゲン、酸化・還元ヘモグロビンなど)固有の波長依存性とを比較する。 これによって、生体を構成する物質の濃度分布を画像化できる。

    上記のイメージング装置を用いることで、アレイ型光センサとしてローリングシャッター方式の光センサを用いても、撮像素子群のデータ取得タイミングずれに伴う表示画像の不具合を発生させないで被検体内部の光学特性値分布を取得できる。
    なお、医療用途に用いる際は、図1のように水槽は使用せず、被検体つまり患部に音響インピーダンスマッチングジェル等の音響整合剤を塗り、その上にファブリーペロー型探触子105を接するように配置してイメージングを行う。

    <実施形態2>
    図12に、本実施形態におけるイメージング装置の構成例を説明する図を示す。 本実施形態のイメージング装置は、被検体内の音響インピーダンス分布を画像化する。 上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。

    本実施形態のイメージング装置は、励起光の発生装置に代えて、被検体1201に向けて弾性波1202を発生するトランスデューサー1204と、トランスデューサー1204に弾性波を発生させるパルサー1205を備える。

    装置はまた、被検体内1201における腫瘍等の、音響インピーダンスの異なる組織の界面において反射し、被検体内を伝搬した弾性波を検出するための、ファブリーペロー型探触子1206を備える。 なお、ローリングシャッター方式のアレイ型光センサ1208(ここではCMOSセンサ)、測定光1213を照射する測定光用光源1212、反射光をCMOSセンサに導く光学系の構成や機能については、上記実施形態と同様である。 制御部1207ではパルサー1205の弾性波発生タイミングやアレイ型光センサ1208の撮像タイミングを制御する。 以上により音響信号取得装置が構成される。

    上記音響信号取得装置に、さらに信号補正部1209、信号処理部1210、表示部1211を備えることによって、イメージング装置は構成される。 信号補正部1209は、アレイ型光センサ1208で取得された電気信号を適切に補正し、信号処理部1210に受け渡す。 信号処理部1210は補正された信号を解析し、音響インピーダンス分布情報(特性情報)を算出する。 表示部1211は、算出された音響インピーダンス分布情報を表示する。 信号補正部1209における信号の補正方法は上記実施形態と同様である。

    ファブリーペロー型探触子1206は、被検体1201に弾性波1202を照射した際に、被検体内または表面において音響インピーダンスの異なる界面において反射する弾性波1203を、反射光量変化として検出する。 弾性波1203を検出する方法は、上記実施形態における光音響波102の検出方法と同様である。
    得られた電気信号の分布から音響インピーダンス分布を得るための信号処理としては、整相加算などが考えられる。 異物等による膜厚異常の補正は上記実施形態と同様に行えば良い。 また、信号処理部1210としても、上記実施形態と同様の演算手段を使用できる。 また、図12のような水槽中の水ではなく、マッチングジェル等により音響整合を取ってもよい。

    本実施形態のイメージング装置を用いればアレイ型光センサとしてローリングシャッター方式の光センサを用いても、撮像素子のデータ取得タイミングずれに伴う表示画像の不具合を発生させずに被検体内部の音響インピーダンス分布画像を取得できる。

    <実施形態3>
    本実施形態のイメージング装置は、実施形態1と同様に、光の照射によって被検体から発生した光音響波を検出し、生体内の光学特性値分布情報を画像化する装置である。

    図13に、本実施形態におけるメージング装置の構成例を示す。 本実施形態の実施形態1との主な相違点は、光音響波102を検出する手段として、ファブリーペロー型探触子105やアレイ型光センサ108ではなく、圧電現象や容量の変化を用いたアレイ型トランスデューサー1301を備えることである。 そのため本実施形態では、測定光用光源や、測定光および反射光を導くための光学系は存在しない。

    また本実施形態の制御部1306は、トランスデューサー1301の信号取得および出力と、励起光源1305の発光タイミングを制御する。 さらに、アレイ型トランスデューサー1301からの信号を適切に補正する補正部1304を備える。 補正部1304はメモリ1303と補正手段1302から成る。 処理部1310、表示部1311の機能は実施形態1と同様である。 他の構成については実施形態1と同様であるため説明を省略する。

    アレイ型トランスデューサー1301には、PZTなどの圧電材料を用いる探触子、または容量性超音波探触子のcMUT(Capacitive Micro−machined Ultrasonic Transducers)などを用いる。 探触子が二次元のアレイ状に配置されたトランスデューサーによって、二次元面の音圧分布を検出して電気信号として出力できる。 本実施形態のアレイ型トランスデューサー1301では、すべての探触子からの信号を一度に出力するのではなく、いくつかの探触子群の受信信号ごとにある時間差をもって順次出力する。 この場合の受信素子はアレイにおける各探触子であり、受信素子群とはアレイの水平ラインを意味する。

    図14に、比較例として、すべての探触子からの受信信号を一度に出力する場合のアレイ型トランスデューサーの構成図を示す。 トランスデューサーは、探触子1401(受信素子)、受信信号を増幅する増幅器1402、受信信号をアナログからデジタルに変換するA/D変換器1403を有する。 各探触子からの受信信号は、一つの探触子からの信号のみを転送する信号線1404を通って外部に出力される。 この場合、各探触子につき増幅器とA/D変換器が一つずつ必要になり、広域または高密度で二次元面の音圧分布を取得する場合、必要な探触子の数が増えるとともに、コストが増大するという問題がある。

    そのため本実施形態では、図15に示すアレイ型トランスデューサーを採用する。 トランスデューサーは、探触子1501と、信号線1504にそれぞれ一つずつ備えられた増幅器1502およびA/D変換器1503を有する。 さらに信号線1504には、信号を読み出すラインを切り替えるスイッチ1505が備えられている。 各垂直ラインの信号は信号線1509で外部に出力される。

    図15のアレイ型トランスデューサーは、各水平ラインのスイッチを順番に切り替えながら信号を出力する。 すなわち、初めに水平ライン1506のスイッチのみをONにし、ライン1506の探触子群の信号を外部に出力する。 次に1507の水平ラインのみのスイッチをONにして、このラインの信号を出力する。 この操作を順次繰り返し、二次元に配列された探触子の受信信号を外部に出力する。 このような構成により、増幅器とA/D変換器は各垂直ラインに一つずつのみ配置されるため、図14の構成と比較してコストを抑制できる。 例えば、N×N個の探触子を配置する場合、図14ではNの二乗個の増幅器及びA/D変換器が必要なのに対し、本実施形態ではN個のみで済む。

    しかしながら、本実施形態では、実施形態1および2でローリングシャッター方式の光センサを用いた場合のように、ローリングシャッター方式でトランスデューサー1301の受信信号を出力するため、実施形態1で述べたのと同様の課題が発生する。 すなわち、各水平ラインから順次信号を読み出すため、実施形態1および2のようにメモリ1303への書き込み時刻を適切に補正しない場合、各ラインでずれが生じている信号を処理するため正しい画像を出力できない。 補正手段1302における各水平ラインからの信号の補正方法については実機形態1と同様のため、ここでは説明を省略する。

    上記の説明において、各水平ラインの探触子群の音響信号を同時に読み出す方法についてスイッチでの切り替えを行うとしたが、同様の読み出しが行えれば他の方法でも良い。 また、各水平ラインの探触子群の信号を同時に読み出す必要はなく、任意の探触子群であっても良く、読み出す順番についても任意の順番で良い。 また、二次元に配置されたすべての探触子群からの信号を出力する必要はなく、例えばデータ取得の高速化のために1ラインおきに信号の出力をしても良い。

    本実施形態に示されたイメージング装置を用いることで、探触子群から順次信号取得を行うアレイ型トランスデューサーを用いても、信号取得タイミングのずれに伴う表示画像の不具合を発生させないで、被検体内部の光学特性値分布を取得できる。
    また、図13のような水槽中の水ではなく、マッチングジェル等により音響整合を取ってもよいことは、上記各実施形態と同様である。

    <実施形態4>
    本実施形態のイメージング装置は、実施形態2と同様にトランスデューサーから被検体に向けて発せられた弾性波の反射波を検出することで、被検体内の音響インピーダンス分布を画像化する。

    図16に本実施形態におけるイメージング装置の構成例を示す。 本実施形態の実施形態2との主な相違点は、弾性波903を検出する手段として、ファブリーペロー型探触子906やアレイ型光センサ908ではなく、圧電現象や容量の変化を用いたアレイ型トランスデューサー1601を備えることである。 この相違にともなって本実施形態においては、実施形態2の光源912及び、測定光913をファブリーペロー型探触子906に導き、アレイ型光センサ908にその反射光を導くための光学系は存在しない。

    一方、アレイ型トランスデューサー1601と信号補正部1602、信号処理部1603、信号表示部1604については実施形態3と同様であるため説明を省略する。
    本実施形態は、トランスデューサー1601の信号取得および出力と、パルサー1605の信号発生タイミングを制御する制御部1606を備える。 パルサーからの信号に応じて、トランスデューサー1607から送信波が発生する。

    本実施形態に示されたイメージング装置を用いることで、探触子群から順次信号取得を行うアレイ型トランスデューサーを用いても、信号取得タイミングのずれに伴う表示画像の不具合を発生させないで、被検体内の音響インピーダンス分布を取得できる。
    また、図16のような水槽中の水ではなく、マッチングジェル等により音響整合を取ってもよいことは、上記各実施形態と同様である。

    以上各実施形態で述べたように、本発明によれば、アレイ型のトランスデューサー、特にローリングシャッター方式を用いるCMOSセンサを利用するファブリーペロー型探触子を用いる場合の不具合を抑制できる。 その結果、被検体が生体の場合、生体内の光学特性値分布及び、それらの情報から得られる生体組織を構成する物質の濃度分布の画像化が可能となる。 従って、腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などのための医療用画像診断機器として利用可能である。
    また被検体として非生体物質を対象とした非破壊検査などに応用することも当業者にとって容易に実現することができる。 すなわち、本発明は広く検査装置としても利用できる。

    105:ファブリーペロー型探触子,107:測定光用光源,108:アレイ型光センサ,111:信号補正部,112:信号処理部,114:制御部

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