Positioning using local wave-propagation model

申请号 JP2013040695 申请日 2013-03-01 公开(公告)号 JP2013181988A 公开(公告)日 2013-09-12
申请人 U-Blox Ag; ユー‐ブロックス、アクチエンゲゼルシャフトU−Blox A.G.; 发明人 CHRISTOPHER MARSHALL;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method and apparatus for assisting in calculation of a position when satellite reception is weak or unavailable.SOLUTION: The method comprises: comparing the time of arrival of a first portion of a signal at a reference position Xwith the time of arrival of a second portion of the signal at the receiver at an unknown position Y; obtaining a local wave propagation model of the signal, the model comprising an estimate of the direction of propagation of the signal in the neighborhood of the reference position and the unknown position; and using the direction of propagation and the result of the comparison to assist in calculation of the unknown position relative to the reference position.
权利要求
  • 既知の構造を有する送信信号を観測することにより、受信機器(1210)の位置の計算を支援する方法であって、
    基準位置(X )にある前記受信機への、前記信号の第1の部分の到着時刻を、未知の位置(Y )にある前記受信機への、前記信号の第2の部分の到着時刻と比較するステップ(S220)と、
    前記基準位置および前記未知の位置の近傍における前記信号の伝搬方向の推定値を含む、前記信号の局所的電波伝搬モデルを獲得するステップ(S230)と、
    前記伝搬方向および前記比較の結果を使用して、前記基準位置に対する前記未知の位置の前記計算を支援するステップ(S240)と、を含む方法。
  • 前記伝搬方向は、前記信号が発せられた前記送信機の位置を参照せずに決定される、請求項1に記載の方法。
  • 前記伝搬方向は、前記信号が前記近傍へ向けて発せられた前記送信機からの直線方向とは異なる、請求項1または請求項2に記載の方法。
  • 前記信号の前記伝搬方向を獲得する前記ステップは、
    第1の位置(X )への、前記信号の第3の部分の到着時刻と、第2の異なる位置(X )への、前記信号の第4の部分の到着時刻との間の、第2の比較のステップ(S520)であって、これら2つの位置間の変位ベクトルが既知である、ステップと、
    前記変位ベクトルおよび前記第2の比較の結果に基づいて、前記信号の到来方向を推定するステップ(S530)と、を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  • 第3の位置(X )への、前記信号の第5の部分の到着時刻と、前記第1の位置または前記第2の位置(X 、X )への、各前記第3の部分または前記第4の部分の到着時刻との間の、第3の比較のステップであって、前記第3の位置と、前記第1および前記第2の位置のそれぞれ1つとの間の変位ベクトルが既知であるステップと、
    前記第2の比較および前記第3の比較の結果と、前記第1の位置、前記第2の位置、および前記第3の位置の間の相対変位とに基づいて、
    (i)前記局所的電波伝搬モデルの曲率パラメータを推定するステップ、
    (ii)前記到来方向に関する複数の仮説のうちのどれが真実であるかを解決するステップ、ならびに (iii)前記到来方向に関する1つの仮説を洗練させるステップのうちの少なくとも1つのステップと、をさらに含む、請求項4に記載の方法。
  • 前記信号の前記伝搬方向を獲得する前記ステップは、
    前記基準位置および前記未知の位置の前記近傍にある位置の推定値を獲得するステップ(S900)と、
    複数の位置を記述するデータベースにアクセスするステップ(S910)であって、前記データベースは、これら複数の位置のそれぞれについて前記信号の伝搬方向を記述する、ステップと、
    前記近傍にある前記位置についての前記信号の伝搬方向を、前記データベースから検索するステップ(S920)と、を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記信号の前記伝搬方向を獲得する前記ステップは、
    前記信号の前記送信機(720)の場所(V)の推定値を獲得するステップ(S800)と、
    前記基準位置および前記未知の位置の前記近傍にある位置(X )の推定値を獲得するステップ(S810)と、
    推定された前記送信機の場所(V)を前記近傍にある前記位置(X )と比較するステップ(S820)と、
    前記比較の結果に基づいて前記信号の前記伝搬方向を推定するステップ(S830)と、を含む、請求項1に記載の方法。
  • 前記未知の位置の前記計算を支援する前記ステップは、前記第1の比較の前記結果に基づき、位置の軌跡であって、当該位置の軌跡内に前記基準位置(X )に対する前記未知の位置(Y )がある、位置の軌跡を決定するステップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記決定された位置の軌跡を追加データと組み合わせるステップをさらに含み、
    前記追加データは、
    地球航法衛星信号の測定から導出される位置情報、
    既知の構造を有する別の送信信号の測定から導出される位置情報、および、
    慣性測位システムからの情報のうちの1つまたは複数を含む、請求項8に記載の方法。
  • 前記局所的電波伝搬が直線(120)によってモデル化される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記局所的電波伝搬が曲線(320)によってモデル化され、
    曲率が前記未知の位置の前記計算を支援する前記ステップにおいて使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記基準位置(X )が既知である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  • 前記基準位置(X )が衛星測位システムを使用して決定される、請求項12に記載の方法。
  • 前記信号が地上送信機から送信される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  • 1つまたは複数のさらに別の位置への、前記信号のさらに別の部分の1つまたは複数の到着時刻を測定、および/または、比較するステップと、
    前記測定または比較の結果を、
    (i)測定を平均することにより、正確さまたはロバスト性を高めること、
    (ii)前記信号の前記伝搬方向の曖昧さを解消すること、
    (iii)前記電波伝搬モデルのための曲率パラメータを推定すること、および (iv)前記信号の前記送信機のタイミングのドリフトを推定すること のうちの1つまたは複数のために使用するステップと、をさらに含む請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  • コンピュータ上で実行されるときに、請求項1〜15のいずれか一項に記載のすべてのステップを実行するように構成されたコンピュータ・プログラム・コード手段を含むコンピュータプログラム。
  • コンピュータ可読媒体上に実装された請求項16に記載のコンピュータプログラム。
  • 既知の構造を有する送信信号を観測することにより、その位置に関する情報を推定するように動作する携帯電子機器(1200)であって、
    受信機(1210)であって、
    基準位置(X )で前記信号の第1の部分を受信し(S200)、
    未知の位置(Y )で前記信号の第2の部分を受信する(S210)
    ように動作する受信機(1210)と、
    プロセッサ(1220)であって、
    前記2つの受信イベントのタイミングを比較し(S220)、
    前記基準位置および前記未知の位置の近傍における前記信号の伝搬方向の推定値を含む、前記信号の局所的電波伝搬モデルを獲得し(S230)、
    前記伝搬方向および前記比較の結果を使用して(S240)、前記基準位置に対する前記未知の位置の計算を支援するように構成されたプロセッサ(1220)と、を備える携帯用電子機器。
  • 衛星測位受信機(1230)をさらに備え、
    前記衛星測位受信機は、衛星受信が強いときに前記基準位置を決定するように構成されており、
    前記プロセッサ(1220)は、衛星受信が弱いときに、前記伝搬方向および前記比較の結果を使用して前記未知の位置の前記計算を支援するように構成されている、請求項18に記載の携帯電子機器。
  • 说明书全文

    本発明は、局所的環境において利用可能な信号を観測することにより、受信側機器の位置を決定する(または決定するのを支援する)ための方法および装置に関する。 これらの信号は必ずしも測位機能を提供するためのものではない。 そのような信号を当分野では「SoOp」(Signal of Opportunity:機会の信号)と呼ぶことがある。 本発明は、詳細には、衛星受信が弱く、または利用できないときに衛星測位受信機がその位置を決定するのを支援することに関する。

    測位のためのSoOpの使用は公知である。 しかし、既存のシステムでは、送信機の場所が事前に正確に知られているか、または方法の一部として正確に推定されなければならないかのどちらかである。 その場合、受信側機器の位置の推定の正確さは、既知の、または推定される送信機の場所の正確さに影響されやすい。 また、多くの場合、測位システムの有用性は、厳密な送信機の場所のデータベースを獲得すること(および維持すること)に依存する。

    そのような方法の一例が、国際公開第2011/042726号パンフレットに開示されている。 移動受信機が第1の既知の位置にあるときに、あるローカルタイムにおいて、符号語の第1のインスタンスがある既知の位置に位置決めされた地上無線信号送信機から受信され、このローカルタイムと一緒にその既知の位置をログ記録することにより、仮想基準が規定される。 移動受信機が第2の未知の位置にあるときに、このローカルクロックを使用して、仮想測位基準が符号語の第2のインスタンスを受信すると予測されるときと、移動受信機が符号語の当該インスタンスを実際に受信するときとの時間差が求められる。 これにより、受信機は、未知の位置における送信機からの距離を計算できる。 第1の既知の位置を仮想基準として使用することにより、i)送信機と、ある任意のタイミング基準(例えばUTCなど)との間の、または、ii)受信機と、同じ基準との間のオフセットを規定する必要がなくなる。 代わりに、送信機−受信機タイミング関係が、既知の距離における、送信機と受信機との間の基準測定により直接規定される。

    国際公開第2011/042726号パンフレット

    本発明の一態様によれば、既知の構造を有する送信信号を観測することにより、受信側機器の位置の計算を支援する方法が提供される。 本方法は、
    基準位置への、信号の第1の部分の到着時刻を、未知の位置にある受信機への、信号の第2の部分の到着時刻と比較するステップと、
    基準位置および未知の位置の近傍における信号の伝搬方向の推定値を含む、信号の局所的電波伝搬モデルを獲得するステップと、
    伝搬方向、および 比較の結果を使用して、基準位置に対する未知の位置の計算を支援するステップと、を含む。

    本発明の発明者らは、送信機の場所の知識への依存は、測位のためのSoOpの使用を阻む大きな障害であると認識している。 第1に、この依存は、測位に使用することのできる信号数を制限する(というのは、信号は、特定され、既知の送信機の場所と関連付けられる場合にしか、使用できないからである)。 これは、送信機および各送信機の場所の大規模なデータベースを必要とするかもしれない。 信号が特定可能であり、明示的な送信機の場所が利用できるときでさえも、その場所の誤差は未知の位置の計算の誤差を引き起こすことになる。 さらに、送信機の既知の実際の場所を基準として受信機の位置が計算されるときには、送信機から受信側機器までの距離を信号が伝搬する際の、信号の反射または信号の速度および伝搬方向における他のひずみが、系統誤差を引き起こすことになる。 これは、計算が送信機と受信機との間の直接の(直線の)経路を仮定しているのに対し、実際に伝わる経路は反射のためにより長くなり得るからである。 同様に、信号のひずみまたは減速も、飛行時間(time of flight)を予測不能なほど変更することがある。 例えば、信号は、信号が伝わる媒体の特性によって異なる速度で伝搬し得る。 よって、上の伝搬は、陸上の伝搬とは異なる速度となり得る。

    また、本発明の発明者らは、既知の送信機の場所への依存は、電波伝搬の局所的モデルの使用によって回避することができるとも認識している。 このモデルは、関心対象である局所的近傍において信号がどのように伝わるかだけを記述する。 したがって、本発明の方法により、送信機の場所を正確に知ることも、正確に推定することも必要とせずに、SoOpを使用できる。 位置計算においては局所的基準位置さえ使用されればよい。 したがって、不正確に報告された送信機の場所は、誤差の原因となり得ない。 さらに、反射信号の伝搬が関心対象の近傍全体にわたって一貫性があるという条件で、測位法において、反射信号をうまく使用することができる。

    送信機の位置は未知であってよい。 さらに、未知の位置は、好ましくは、(送信機の位置が明示的に利用できるときでさえも)送信機の位置を参照せずに計算される。

    基準位置を基準とする未知の位置の計算を支援するステップは、電波伝搬方向に沿った、基準位置と、未知の位置がある位置の輪郭(contour)または軌跡(locus)との間の距離を計算するステップを含み得ることに留意されたい。 例えば、信号がその伝搬方向によって特徴付けられる平面波(planar wave)としてモデル化される場合には、未知の位置の計算を支援するステップは、当該の伝搬方向と平行な変位を計算するステップを含んでいてよい。

    局所的電波伝搬モデルは、基準位置と未知の位置との近傍において信号がどのように伝搬するかを特徴付ける。 一般に、伝搬の局所的方向(および速度)は、(例えば、障害物または信号が伝わる媒体(例えば地面や水面)の変化によって生じる反射また回折のために)送信機までの直接の見通し線によってモデル化されるものと同じであることもあるし、同じでないこともある。

    伝搬方向は、信号が発せられる送信機の位置を参照せずに決定されてよい。

    言い換えると、電波伝搬モデルで使用される伝搬方向は、必ずしも、送信機からの直線方向と同じではない。 これは、現実の世界では、任意の所与の位置における伝搬方向が、送信機と当該位置との間の直線方向と異なり得るからである。 現実の世界では、信号は送信機からの直接の見通し線に沿って常に伝搬するとは限らない。 例えば、伝搬方向は、障害物によって生じる回折または反射によって変更され得る。

    本方法の実施形態は、伝搬方向が送信機からの直線伝搬のモデルに基づくものではないため、そのような障害物の影響に強いものとすることができる。 代わりに、好ましくは、伝搬方向は、信号の局所的観測、すなわち、基準位置の近傍における測定に基づき、厳密な送信機の場所の知識と無関係に決定される。

    したがって、ある実施形態では、方法で使用される伝搬方向は、信号が発せられる送信機と、(基準位置および未知の位置の)局所的近傍との間の直線方向とは異なる。 この場合、「異なる」とは、2つの方向の間に、好ましくは、5°超の、より好ましくは15°超の度差があることを意味する。

    一般に、第1および第2の信号部分は、信号の同じ部分であっても、異なる部分であってもよい。 第1および第2の信号部分が信号の同じ部分である場合、信号は、基準位置および未知の位置において異なる物理ハードウェアの部分によって、受信され得る。 第1および第2の信号部分が信号の異なる部分である場合、信号は、異なる機器によって、または、ある位置から別の位置へ移動した1台の受信機によって受信され得る。

    局所的電波伝搬モデルは、局所的近傍において、信号の波頭がどのように振る舞い、または展開するかを記述する。 このモデルは、信号を構成する電波が(1つまたは複数の)基準位置の領域においてどのように伝搬するかを特徴付ける。 この場合、「波頭」とは、信号の(各部分)が同時に到着する位置の軌跡をいう。 2次元測位では、この軌跡は、(真直ぐな、または湾曲した)線になる。 3次元では、軌跡は、(同様に、平面または凸面の)表面またはシェルになる。

    「局所的な」波頭、すなわち、(1つまたは複数の)基準位置として使用される(1つまたは複数の)位置の近傍における波頭さえモデル化されればよい。 これにより、この近傍における位置決定に十分な正確さが提供される。 局所的伝搬モデルは、近傍内の一意の位置において規定または定義され得ることに留意されたい。 しかし、一般には、この位置が未知の位置の推定において使用される基準位置と同一であることは必須ではない。 また、局所的電波伝搬モデルは、一意の点においてだけではなく、有限な局所領域上、すなわち、その内部での位置を推定することが求められる近傍全体にわたって、信号の展開を特徴付けるべきことも意図される。

    信号の異なる部分の相対的送信時刻を求めることが可能であるべきであるという意味において、方法で使用される信号の構造は既知であるべきである。 決定は、信号の個々の部分が受信される前に行うことも、受信された後に行うこともできるはずである。 例えば、信号が、既知の反復周期を有する規則的な反復構造を含む場合には、決定(予測)が事前に行われてよい。 実際には、多くの種類の信号の構造は技術標準から分かる。 しかし、反復構造は、十分に長い間隔にわたる信号の観測によって受信機に知られることもあり得るはずであり、その場合受信機は、信号の構造(例えば、信号または信号の内容における識別可能な周期性または反復)を知る。 場合によっては、決定は受信後に行われてもよい。 例えば、あるSoOpは、信号の対応する部分が送信された(送信機において決定された)時刻を示す、明示的なタイムスタンプを組み込んでいる場合がある。 この場合、信号の異なる部分の相対的送信時刻を、それらの部分のタイムスタンプを復号して比較することにより、求めることができる。 あらゆる場合において、送信機のクロックは、関与する時間尺度にわたって十分に正確または安定しているものと想定される。 送信機のクロックの誤差は、(この誤差自体を確実に特徴付けることができない限り)位置計算の正確さに影響を及ぼし得る。

    ある実施形態では、到着時刻を比較するステップは、到着時刻間の第1の時間差を測定するステップを含む。

    信号の各部分の絶対的なタイミングを求めること、すなわち、何らかのクロックに従ったその到着時刻のタイムスタンプ(例えばUTCタイムスタンプなど)を記録することは、不要となり得る。 ある場合には、第1の時間差は、(クロックによって測定される)信号の第1の部分の到着時刻を記録し、(同じまたは別の同期されたクロックによって測定される)第2の部分の到着時刻を記録し、他方のタイムスタンプから一方のタイムスタンプを差し引くことによって測定され得る。 しかし、これは必須ではない。 別の場合には、第1の時間差は、第1の部分が到着するときにタイマを始動し、第2の部分が到着するときにタイマを停止することによって測定することもできるはずである。 これは、例えば、経過クロックサイクル数を数えることを含んでいてもよい。 一般に、時間差を測定するための手段は正確または安定していることが望ましい。 差分測定の誤差は、その後の位置計算の誤差を引き起こし得る。

    別の実施形態では、到着時刻間の比較を暗黙的なものとすることができる。 例えば、比較は、到着時刻を変数とする1つまたは複数の方程式の系を解くことを含んでいてもよい。

    様々な実施形態において、比較は、任意の好都合なタイミング手段および基準系によって決定される到着時刻間で行われ得る。 例えば、比較は、受信側機器上のクロックによって測定されるものとしてもよいし、UTCに固定されたGNSS衛星から受信される信号の衛星タイミングによって指示されるものとしてもよい。

    前述の方法の目標は基準位置に対する未知の位置を推定することであるが、その場合に実際に報告される位置座標は、異なる基準系を使用することもあるはずであることに留意されたい。 すなわち、基準位置に対して推定される位置は、他の何らかのデータに対する位置を計算するための中間変数とすることができる。 この追加のステップは、前述の基準位置とこの別のデータとの関係が分かっていることに依存するものである。

    本発明の関連する態様によれば、既知の構造を有する送信信号を観測することにより、受信側機器の位置の計算を支援する方法が提供される。 本方法は、
    基準位置への、信号の第1の部分の第1の到着時刻を測定するステップと、
    未知の位置にある受信機への、信号の第2の部分の第2の到着時刻を測定するステップと、
    基準位置および未知の位置の近傍における信号の伝搬方向の推定値を含む、信号の局所的電波伝搬モデルを獲得するステップと、
    伝搬方向、測定された第1の到着時刻、および、測定された第2の到着時刻を使用して、基準位置に対する未知の位置の計算を支援するステップと、を含む。

    未知の位置の計算を支援するステップは、任意選択的に、第1の到着時刻と第2の到着時刻とを比較する(より詳細には、その間の差を計算する)ステップを含む。 あるいは、もしくは、これに加えて、このステップは、第1および第2の到着時刻を既知の変数とする1つまたは複数の方程式を解くステップを含んでいてもよい。 このステップは、第1の到着時刻と第2の到着時刻との暗黙的比較を含み得る。

    信号の伝搬方向を獲得するステップは、任意選択的に、第1の位置への、信号の第3の部分のにおける到着時刻と、第2の異なる位置への、信号の第4の部分の到着時刻との間の第2の比較のステップであって、これら2つの位置間の変位ベクトルが既知である、ステップと、変位ベクトルおよび第2の比較の結果に基づいて、信号の到来方向を推定するステップと、を含む。

    第3の部分と第4の部分の到着時刻を比較するステップは、これらのイベント間の第2の時間差を測定するステップを含んでいてよい。 あるいは、このステップは暗黙的比較を伴っていてもよく、この暗黙的比較において、これらの到着時刻を変数として含む1つまたは複数の方程式が解かれる。

    これにより、追加の設備または追加の外部から提供される情報なしで、近傍における信号の伝搬方向を測定する1つの有利なやり方が提供される。

    好ましくは、第1の位置および第2の位置は既知である。 これにより、信号の到来方向を絶対項として推定できる。 しかし、第1および第2の位置が外部の基準系において知られていない場合でさえも、信号の到来方向はなお、これらの位置間の変位ベクトルに対して推定することができる。 これは、未知の位置が、外部の座標系においてではなく、第1および第2の位置に対して決定されさえすればよい用途において、有益となり得る。

    第1、第2、第3および第4の信号部分はすべて同じ部分であっても、異なる部分であってもよく、同じまたは異なるハードウェアを使用して受信されてもよいことに留意されたい。 任意選択的に、第1または第2の部分を、基準位置とすることもできる。

    ある実施形態では、到来方向を推定するステップは、観測される到着時刻と整合性を有する2つ以上の仮説(可能性がある到来方向)を推定するステップを含んでいてよい。

    この方法は、第3の位置への、信号の第5の部分の到着時刻と、第1または第2の位置への、各第3または第4の部分の到着時刻との間の、第3の比較のステップであって、第3の位置と、第1の位置および第2の位置のそれぞれ1つとの間の変位ベクトルが既知であるステップと、第2および第3の比較結果と、第1、第2、および第3の位置の間の相対変位とに基づいて、(i)局所的電波伝搬モデルの曲率パラメータを推定するステップ、(ii)到来方向に関する複数の仮説のうちのどれが真実であるかを解決するステップ、ならびに(iii)到来方向に関する1つの仮説を洗練させるステップのうちの少なくとも1つのステップとをさらに含んでいてよい。

    3つの異なる場所における信号の3つの部分の到着時刻を比較することにより、追加情報を獲得することができる。 ある実施形態では、これは、電波の伝搬方向のみならず、波頭の曲率パラメータも推定することを含み得る。 この情報により電波伝搬のより正確なモデルを構築することができるようになり、より正確な測位計算が可能になる。 第1、第2、および第3の位置は異なっているべきである。 好ましくは、これらの位置は同一直線上になく、そのため、非ゼロ領域の三角形を形成する。 別の実施形態では、さらに別の1つまたは複数の測定を使用して曖昧さを解消することができる。 例えば、電波の伝搬方向が第1および第2の位置だけでの観測を使用して推定され、他の情報が利用できない場合には、正しい方向は、第1の位置と第2の位置とをつなぐ線について対称な2つの方向のうちのどちらかとすることができるはずである。 第3の位置での測定により、(第3の位置が第1および第2の位置と同一直線上にないという条件で)この曖昧さを解消できる。 別の実施形態では、例えば平均法や曲線当てはめ法など、さらに別の測定を考慮に入れることによって、方向推定値の正確さは改善され得る。

    上記の第1および第2の比較と同様に、第3の比較も、時間差を測定または計算することにより明示的に行われても、変数が出現する1つまたは複数の方程式を解くことにより暗黙的に行われてもよい。

    信号の伝搬方向を獲得するステップは、代替として、信号の送信機の場所の推定値を獲得するステップと、基準位置および未知の位置の近傍にある位置の推定値を獲得するステップと、推定された送信機の場所を推定された近傍の位置と比較するステップと、比較の結果に基づいて信号の伝搬方向を推定するステップと、を含んでいてもよい。

    この場合、送信機の場所から関心対象の近傍へ至るベクトルは、近傍における信号の伝搬方向を記述するものと想定される。 この想定は、反射なしの、自由空間における遮られない送信については有効である。

    この手法では、送信機の場所を規定するのに、既知の送信機の場所のデータベースを使用し得る。 しかし、これは、受信機の局所的近傍における信号の伝搬方向を導出するために使用されるにすぎないことに留意されたい。 未知の位置の計算は、送信機の場所とはほとんど無関係なままである。 特に、この計算は、送信機と、未知の場所および/または基準の場所との間の距離とは無関係である。 これは、測位の正確さが、伝搬ベクトルに沿った送信機の場所の誤差による影響を受けず、直交方向の誤差にごくわずかに影響されるにすぎないことを意味する。 測位の正確さは、送信機から受信機の局所的近傍までの実際の伝搬速度および飛行時間とは無関係である。 というのは、送信機は基準位置として使用されないからである。 位置情報のための基準点は、信号のタイミングがそこから決定された(近くの)位置のままである。

    別の選択肢として、信号の伝搬方向を獲得するステップは、基準位置および未知の位置の近傍にある位置の推定値を獲得するステップと、複数の位置のそれぞれについての信号の伝搬方向を記述する、各位置を記述するデータベースにアクセスするステップと、推定される近傍位置についての信号の伝搬方向を、データベースから検索するステップとを含んでいてもよい。

    この手法では、送信機の場所の知識を活用するのではなく、ある範囲の場所にわたる当該送信機からの信号の伝搬方向を記述するデータベースが使用される。 任意の所与の場所において実際に観測される伝搬方向は、放射線伝搬の単純な線形モデルから逸脱し得るため、この手法はより正確となり得る。 この逸脱が起こり得るのは、障害、反射、屈折、回折または他の任意の伝搬効果のためである。 到来方向のデータベースは、送信機の場所のデータベースと異なり、これらの実際に観測される変動に対応することができる。

    未知の位置の計算を支援するステップは、好ましくは、第1の時間差に基づき、位置の軌跡であって、当該位置の軌跡内に基準位置に対する未知の位置がある、位置の軌跡を決定するステップを含む。

    位置の軌跡はある線を記述し、未知の位置が当該線に沿ってある(電波伝搬モデルの仮定に応じて、真直ぐまたは湾曲した)。 この線は、あらゆる点において信号の伝搬方向に対して垂直とすることができる。 すなわち、位置の軌跡は、信号の局所的波頭と平行に存在し得る。 よってこの線は、信号が同時に到着する位置の軌跡である。

    方法は、決定された位置の軌跡を追加データと組み合わせるステップをさらに含んでいてもよく、追加データには、地球航法衛星信号の測定から導出される位置情報、既知の構造を有する別の送信信号の測定から導出される位置情報、および、慣性測位システムからの情報のうちの1つまたは複数を含み得る。

    一般に、1つのSoOpからの測定だけでは、一意の位置が計算されることを可能にするのに不十分になる。 しかし、測定は、一意の位置(当分野では「ポジションフィックス(position fix、位置決定)」ともいう)を計算するために、他の利用可能な位置情報源と組み合わされてもよい。

    1つの可能な方法は、GNSS信号を使用することである。 未知の位置では完全なポジションフィックスを計算するには少なすぎる衛星信号しか利用できない可能性もあるが、正常に受信される衛星信号は、SoOpから導出される位置情報を補足するのに使用され得る(またはSoOpから導出される位置情報によって補足され得る)。

    別の可能な方法は、同じ目的で少なくとも1つの別のSoOpを使用することである。 別の信号は、好ましくは、既知の構造の第1の送信信号の方向とは異なる方向から受信される。 2つの信号のこの独立性により、2次元(2D)平面において、位置を計算できるはずである。

    さらに別の可能な方法は、慣性測位システムである。 そのようなシステムは、例えば、加速度に起因するを測定することにより、相対変位の表示を提供することができる。 最も好ましくは、慣性測位システムは、可能なときには、(例えばGNSS受信機からの)信頼性の高い位置推定値によって較正されるはずである。

    SoOpの観測と組み合わせることのできる追加の測位情報源を提供するために、これらの例のうちの任意の2つ(またはそれ以上)を組み合わせて使用してもよい。

    組み合わせるステップは、例えば、利用可能なすべての情報からの補間などによって行われ得る。 例えば、本発明がGNSS受信機と共に使用されるときには、通常、衛星受信の喪失の前に、利用可能なポジションフィックスの履歴が生じることになる。 単純な一例では、機器の、最新の既知の位置および進行方向を、この履歴から導出することができるはずである。 次いで、このベクトルと、SoOpの測定によって規定される位置の軌跡との交点により、機器の位置を推定することができるはずである。 より高度な実施形態では、組み合わされるべき情報をカルマンフィルタへの入力として提供することにより、外挿が行われてもよい。 カルマンフィルタは、観測を組み合わせる手段として当業者には周知であろう。

    一般に、(i)GNSS信号(ii)1つまたは複数のSoOp(iii)慣性測位システムまたは(iv)他の任意の信号源からの情報は、軌道履歴の一部として、または、外挿された新しい位置を当該履歴に基づいて決定するのに使用される観測として、外挿へ組み込まれ得る。

    局所的電波伝搬は、直線によってモデル化されてもよい。

    2次元では、波頭は直線として近似することができる。 これは、狭い局所的領域の運用のための、送信機から比較的大きな距離のところでは、あるいは、近似位置推定値が十分である場合には、特に適し得る。

    線形モデルでは、パラメータは、基準位置と関連付けられる方向(到着の角度)、およびタイミングを含む。 タイミングは、前述の第1の比較、すなわち、基準位置における信号のタイミングと、未知の位置における信号のタイミングとの明示的または暗黙的な差によって、十分に指定され得る。 また、モデルは、ある程度の曖昧さを含み得ること、例えば、信号についての2つ以上の可能性ある伝搬方向が生じ得ることにも留意されたい。 任意選択で、そのような曖昧さは、(すでに前述した)別の基準の場所における信号の追加測定によって、または、送信機の場所の推定値(必ずしも厳密ではない)によって解消することもできる。

    あるいは、局所的電波伝搬は曲線によってモデル化されてもよく、モデルは曲率パラメータを含んでいてよく、曲率パラメータは、未知の位置の計算を支援するステップで使用される。

    位置解の波頭または軌跡は、例えば、円弧(または放物線もしくは他の曲線モデルの一部分)としてモデル化することができる。 これは、送信機がある範囲の角度にわたって放射する点源と見なされる場合に、特に送信機のより近くで、より正確となり得る。 一般に、湾曲した波頭についてのパラメータを推定するには、既知の相対変位の2つを超える位置における測定が必要になる。

    基準位置は、好ましくは既知であり、より好ましくは、衛星測位システムを使用して決定されている。

    基準位置が、ある外部または絶対座標系(経度および緯度など)として知られている場合には、未知の位置も当該の基準系として決定することができる。

    全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)といった地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)は、正確な空間基準位置を提供することができる。 またGNSSは正確なタイミング基準も提供でき、異なる場所における信号の部分の到着間の時間差を測定するのに役立つ。 また、衛星測位を使用した基準位置の提供は、本位置計算法を補完することもできる。 というのは、衛星受信が利用できないときに、衛星測位によって以前に規定された基準位置を、本発明による方法において絶対位置を決定するのに使用することができるからである。

    本発明の方法は、有利には、さらに別の位置への、信号のさらに別の部分の1つまたは複数の到着時刻を測定、および/または、比較するステップと、これらの測定または比較の結果を、(i)測定を平均することにより正確さまたはロバスト性を高めること、(ii)信号の伝搬方向の曖昧さを解消すること、(iii)電波伝搬モデルのための曲率パラメータを推定すること、および(iv)信号の送信機のタイミングのドリフト(タイミングドリフト/クロックドリフト)を推定することのうちの1つまたは複数のために使用するステップとをさらに含んでいてよい。

    追加の測定は、使用される電波伝搬モデル、他の情報源から利用可能な情報、信号および信号の送信機に関する仮定に応じて、様々なやり方で使用されてよい。 一般に、問題は、ある未知の変数を他の既知の変数に基づいて計算することである。 これらの変数は、波頭の伝搬方向および曲率、すでに論じた時間差のそれぞれ、および送信機のタイミングドリフトを含む。 一般に、未知数より多くの観測(測定)がある場合には、連立方程式系を解くことができる。 しかし、方程式の過剰決定系を作成し、それによって方法のロバスト性および正確さを高めるために、この最小要件を超えるさらに多くの「冗長な」測定が行われることも望ましい。

    この一例は、第4の位置への、信号の第6の部分の到着時刻と、第5の位置への、信号の第7の部分の到着時刻との間の第4の比較を行うステップであって、信号の伝搬方向に対するこれら2つの位置間の変位ベクトルが既知である、ステップと、第4の比較の結果に基づいて送信機のタイミングドリフトを推定するステップとをさらに含んでいてよい。

    特に、この例は、第4の位置への、信号の第6の部分の到着と、第5の位置への、信号の第7の部分の到着との第4の時間差を測定するステップと、信号の既知の構造および変位ベクトルに基づいて、2つの到着間の予期される時間差を計算するステップと、予期される時間差を測定された第4の時間差と比較するステップと、比較の結果に基づいて送信機のタイミングドリフトを推定するステップとをさらに含んでいてよい。

    このようにして、1つまたは複数の追加の測定が送信機のタイミングドリフトを決定するのに使用される。 地上送信機の中には、UTCといった信頼できる基準に正確に同期されているものもある。 しかし、送信機には正確に同期されていないものもある。 特に、送信機のクロックは、速く走っていることも遅く走っていることもある。 これは、受信機の位置を決定するために利用されている信号構造が、送信機によって、予期されるよりも速く、または遅く送信され得ることを意味する。 これにより、補正されない場合には、計算される幾何学的配置へ誤差が導入される。 したがって、信号の異なる部分の予期される到着時刻をこれらの信号の実際の到着時刻と比較することにより、送信機のタイミングドリフトを推定することが有益となり得る。 2つの測定を使用して、送信機におけるクロック速度を推定することができる(この送信機は、信号が受信機において、予期されるタイミングからずれる率を決定する)。 さらに別の測定を使用して、より高次の誤差、例えば、送信機クロックが加速しているか、それとも減速しているか、どんな割合でか、などが推定されてもよい。 理論上は、送信機のクロック速度のモデル化がより適切であるほど、結果として得られる位置推定値もより正確になり得る。

    第4の位置および第5の位置は同じとすることもできるはずであること、すなわち、2つの測定は、異なる時刻に同じ場所で行われてもよいことに留意されたい。 この場合には、信号の第6の部分と第7の部分との予期される時間差は信号構造だけに依存するため、これを予測することは非常に簡単である。 第4の位置と第5の位置とが異なる場合、これらの間の位置の差(変位ベクトル)は、予想される到着時刻を変更することになる。

    また、第4の位置および第5の位置のうちの少なくとも1つを基準位置とし得るはずであることにも留意されたい。 同様に、第4の位置および第5の位置のうちの1つを、(信号の伝搬方向を計算するのに使用される)第1もしくは第2の位置と、または(信号波頭の曲率を計算するのに使用される)第3の位置と同じとすることもできるはずである。 しかし、到来方向とタイミングドリフトの両方を計算することができるように、第4の位置および第5の位置のうちの少なくとも1つは、第1の位置および第2の位置と異なっていなければならない。 方向、曲率、およびタイミングドリフトを一緒に計算することが求められる場合には、(少なくとも)4つの異なる位置における測定が必要である。

    好ましくは、方法は、連立方程式を解くことにより、信号のタイミングドリフトと到来方向とを一緒に決定することを含む。

    一般に、本発明の方法で使用されるSoOpは、好ましくは、安定したタイミングであるか、少なくとも予測可能に変動するタイミングを有するべきである。 より詳細には、信号は、測定が行われる時間尺度にわたって予測可能なタイミングを呈すべきである。 送信機タイミングの予測不能な変動は、位置計算の誤差につながる。

    信号の適切な例には(それだけに限らないが)、地上ディジタルビデオ放送(DVB−T:Terrestrial Digital Video Broadcasting)信号、および符号分割多元接続(CDMA:Code−Division Multiple Access)に基づく第2世代または第3(またはより新しい)世代のセルラ通信基地局の信号が含まれる。 これらのサービスのための送信機は、一貫して正確なタイミングを呈する。 本発明の方法で使用される信号の送信機は、好ましくは、地上用である。 送信機は固定された場所を有するか、または、少なくともその場所は、測定および位置計算が行われる間隔については静止状態とし得る。

    好ましくは、信号の各部分の到着は、少なくとも、2つの既知の位置において検出される。 これにより、線形モデルを使用して、電波の伝搬方向を推定できる(が、2つの方向のどちらが観測されたかに関する曖昧さが残存し得る)。 より好ましくは、少なくとも3つの場所における信号の部分の到着が検出される。 これは、(1)前述の曖昧さが解消されること、(2)電波伝搬の湾曲モデルのパラメータが推定されること、または(3)伝搬の線形モデルを使用して、送信機の伝搬方向およびタイミングドリフトが推定されることを可能にし得る。 さらに好ましくは、測定は、少なくとも4つの場所において行われる。 これにより、湾曲電波伝搬モデルのパラメータを、送信機のタイミングドリフトと一緒に推定できる。

    本発明の一態様によれば、コンピュータ上で実行されるときに、上記請求項のいずれか一項に記載のすべてのステップを実行するように構成されたコンピュータ・プログラム・コード手段を含むコンピュータプログラムも提供される。 コンピュータプログラムは、実行されるときに、本発明のステップを実行するように1台または複数の受信側機器を制御するように構成され得る。 また、コンピュータ可読媒体上に実装されたそのようなコンピュータプログラムも提供される。

    本発明の別の態様によれば、既知の構造を有する送信信号を観測することにより、その位置に関する情報を推定するように動作する携帯電子機器が提供される。 本携帯電子機器は、
    基準位置で信号の第1の部分を受信し、
    未知の位置で信号の第2の部分を受信するように動作する受信機と、
    2つの受信イベントのタイミングを比較し、
    基準位置および未知の位置の近傍における信号の伝搬方向の推定値を含む、信号の局所的電波伝搬モデルを獲得し、
    伝搬方向および比較の結果を使用して、基準位置に対する未知の位置の計算を支援するように構成されたプロセッサと、を備える。

    携帯電子機器は、好ましくは、衛星測位受信機をさらに備え、衛星測位受信機は、衛星受信が強いときに基準位置を決定するように構成されており、プロセッサは、衛星受信が弱いときに、伝搬方向および比較の結果を使用して、未知の位置の計算を支援するように構成されている。

    次に本発明を、例として添付の図面を参照して説明する。

    本発明の第1の実施形態による、電波伝搬の線形モデルを使用して位置推定を強化する方法を示す図である。

    第1の実施形態の方法を示す流れ図である。

    第2の実施形態による、湾曲波頭モデルを使用して位置推定を強化する方法を示す図である。

    本発明の実施形態による、線形モデルおよび2つだけの測定点を使用して生じる曖昧さを示す多様な場所におけるタイミング測定を使用して、信号の伝搬方向を獲得する第1の方法を示す図である。

    図4の方法を示す流れ図である。

    波頭の湾曲モデルを使用して局所的電波伝搬モデルを獲得する第2の方法を示す図である。

    送信機の場所の推定値を使用して伝搬方向を獲得する第3の方法を示す図である。

    第3の方法を示す流れ図である。

    方向のデータベースを使用して伝搬方向を獲得する第4の方法を示す流れ図である。

    障害物によって反射されている信号を示す図である。

    一実施形態による、信号の送信機のタイミングドリフトを推定する方法を示す図である。

    本発明の一実施形態によるナビゲーション機器を示すブロック図である。

    次に、図1および図2を参照して、本発明の第1の例示的実施形態による方法を説明する。 図1は、測位法の幾何学的配置の概略図である。 この図面は、ある地理的領域の平面図である。 この領域は平坦であると想定されており、そのため、すべての有効な場所が水平面において同一平面上にある。 すなわち、この単純な例では、高度は考慮に入れられない。 図2は方法の流れ図である。

    基準位置X に対する未知の位置Y を計算することが求められる。 図1の概略図には、遠方の送信機(不図示)によって送信されるSoOpの波頭120が示されている。 波頭120は、送信機からの距離が大きいために、(2次元の)直線としてモデル化されている。 波頭は、信号が同時に到着する位置の軌跡を表す。 伝搬方向は矢印150によって表されている。 線形モデルの下では、電波は波頭に対して垂直な方向に伝搬する。 信号は規則的な反復構造を有し、信号の識別可能な部分(同期シンボルや符号語など)が一定の周期で送信される。 信号の反復同期部分の観測を使用して、受信機の位置に関する情報を推測することができる。 この例では、受信側機器140は、GPS受信機と、地上SoOp用の別個の受信機とを備えるナビゲーション機器である。 受信機140aはX のところに示されており、その破線の輪郭140bがY のところに示されている。

    ステップS200で、受信機は、基準位置X に位置するときに、信号の同期部分の第1のインスタンスの到着を検出する。 この場合、機器は、GPSを使用してその位置および現在の時刻を計算し、よって、既知の基準位置X を提供することができる。 受信機は、GPSによって提供されるタイムスタンプを使用して、信号部分の到着時刻を記録する。 また受信機は内部クロックも有する。 このクロックは、十分に正確であるものと想定される。 クロックは、GPSフィックスが利用できるときには、GPS衛星時間に合わせて較正される。 GPSフィックスが利用できないときには、クロックは、GPS時間に対して緩やかにドリフトするかもしれない。 しかし、このドリフトの大きさは、関心対象の間隔にわたって、例えば数分間については無視できるものと想定することができる。 好ましくは、内部クロックの時刻、クロック速度、ドリフト率(速度の変化)は、例えば従来の技法などによって、GPS時間に照らして較正される。 これは、例えば、温度変化や他の要因の補正などを含み得る。 この較正は、SoOpのどんな測定からも完全に独立したものとすることができることに留意されたい。

    におけるこの記録される到着時刻はt と表示される。 次いで機器は、未知の位置Y へ移動し、そこで衛星測位に失敗する。 Y は、密集した都市環境、生い茂った草木の下、または建物の内部かもしれない。 同様に、衛星測位は、GPS衛星信号の偶発的な、または悪意のある妨害のために失敗した可能性もある。 受信機は、依然として、地上SoOpを検出することができる。 ステップS210で、受信機は、Y における信号の同期部分の第2のインスタンスの到着時刻のさらに別の測定を行い、これをt として記録する。 この時刻は、GPSフィックスが利用できないため、内部クロックを使用して規定されるにすぎない。 しかし、(前述のように)GPS時間に対する最新の較正からのクロックのタイミングドリフトは、無視できるほどである(またはある程度まで予測可能であり、したがって、補正することができる)、と想定される。 基準位置X における測定に対して、信号伝搬方向150と平行に伝わった距離が次式で与えられる。

    Δd=c. [(t −t )−(s −s )−(z −z )] (1)
    式中、cは光速(信号を構成する電波の伝搬速度)であり、s は、Y で受信機により検出された信号の同期部分を、送信機が送信した時刻である。 同様に、s は、X で検出された信号部分の送信時刻である。 送信時刻s およびs は、送信機のクロックによって決定された時刻である。 受信機のクロックに対するこのクロックのタイミングオフセットは、値zで与えられる。

    およびf を、それぞれ、X およびY で受信される同期部分のフレーム番号とし、フレーム周期(連続する同期部分間の間隔)をhとすれば、距離方程式(1)を以下のように書き換えることができる。
    Δd=c. [(t −t )−(1+u). h. (f −f )] (2)
    式中、uは、受信機におけるクロックに対する、単位時間当たりの送信機のタイミングドリフトであり、無次元量である。 これは、線形ドリフト:Z −Z =u. h. (f −f )を想定している。 タイミングドリフトuは既知またはゼロであると想定される。 また、信号構造パラメータh、f 、f も既知であり、フレーム間隔hは、この例では一定であると想定される。 フレーム番号は、各同期部分において明示的に指示されてもよい。 あるいは、受信機は、基準位置X における観測と、未知の位置Y における観測との間に観測されるフレームの数をカウントしてもよい。 これにより、信号の同期部分の個々のインスタンスの到着時刻間の時間差t −t を計算し(ステップS220)、光速cで乗算し、送信時刻の差を補正することによって、電波伝搬方向150と平行に伝わった距離Δdを計算できる。 したがって、未知の場所Y は、(波頭と平行、かつ、伝搬方向150と垂直に横たわる)破線160に沿ったどこかにあるのでなければならない。 伝搬方向は、ステップS230で獲得される。 この方向を獲得する適切な例示的方法は、後で詳細に説明する。

    未知の位置Y がこの線上にあるという知識を、位置の計算を支援するのに使用することができる(ステップS240)。 例えば、少なくとも1つのGPS衛星信号が、擬似距離を測定できるほど十分な強さで受信され得る場合には、この情報を使用して、Y が線160上のどこに位置するか判定することができる。 あるいは、前述のプロセスを、別のSoOpについて実行することもできるはずである。 すなわち、受信機が位置X および位置Y にあるときに、第2のSoOpの対応する測定を行うことができるはずである。 これにより線160のような別の線形の軌跡が生じることになる。 2本の線の交点はY の位置を与える。 別のSoOp(または衛星信号)は、150とは異なる方向に伝搬している必要があり、そうでなければ、位置Y は不確定のままになることに留意されたい。 利用できる場合には、さらに追加の信号を測定することが望ましいはずである。 一意の位置について解くために絶対に必要ではないが、追加の信号により、例えば、平均位置の決定が可能となり、ロバスト性および正確さを高められる。 この手法は、絶対最小数を超える数の衛星信号が使用される衛星測位において、公知の技法と類似の技法と見なされ得る。

    前述の単純な例では、受信機は既知の基準X から未知の位置Y へ移動された。 この基本方法のいくつかの変形が可能である。 基準位置X が(例えば、GPS位置決定などによって)絶対地理座標として既知であることは必須ではない。 位置X が未知である場合でも、やはりこの方法を使用して、X に対する位置Y を推測することができる。 相対測位は、多くの用途、例えば多くの調査作業において、有用または十分となり得る。

    また、1台の受信機がX およびY においてタイミング観測を行うことも必須ではない。 代替として、これらの観測は、観測を共有する異なる受信機によって行うこともできるはずである。 これを有効とするためには、異なる受信機は、共通のタイミング基準を共有する必要がある。 それぞれがGPS受信機を備える2台のナビゲーション機器の場合には、これは、2台のGPS受信機がGPS衛星時間に対して測定を行う限り、可能である。 観測を行うのに2台の異なる機器が使用される場合、2台の機器によって観測される信号の同期部分は、一般には、同期部分の同じインスタンスであっても、異なるインスタンスであってもよいことに留意されたい。

    図1で例示した電波伝搬の線形モデルは、送信機からの距離が大きいところにある位置を計算するときには適切である。 この場合の大きさは、その上の位置を計算することが求められる領域を参照することによって、解釈することができる。 それゆえに、線形モデルは、送信機からのX およびY の距離と比べて、X とY との間の距離が小さいときにより正確となる。 特に、誤差は、波頭120に沿った(すなわち、平行な)距離に依存し得る。 一般に、線形モデルは、送信機から任意の距離のところで使用することができる。 しかし、このモデルの簡略化された想定によって導入される誤差は、波頭と平行な変位が送信機からの半径方向の距離と同等であるときにはより顕著になる。

    図3は、本発明の第2の実施形態による、湾曲波頭モデルを使用するときの位置計算の幾何学的配置の概略図である。 この場合もやはり、受信側機器340aはX のところに示されており、その破線の輪郭340bがY のところに示されている。 この場合、送信機からの信号は、2次元平面におけるホイヘンスの原理に従って伝搬しているものとしてモデル化される。 図3に示す特殊な事例では、信号は、膨張する円として伝搬する。 波頭320の曲率は、曲率の半径で特徴付けられる。 伝搬方向350a〜cは、波頭に沿った異なる位置ごとに異なっている。 したがって、基準位置X の近傍における電波伝搬モデルは、当該位置における伝搬方向350bと、曲率の半径とを備える。 曲率の半径を推定するための適切な方法は、後でより詳細に説明する。

    このモデルについての方法ステップおよび計算は、第1の実施形態について前述したものと同様である。 しかし、第1の実施形態とは異なり、位置の軌跡であって、未知の位置Y が当該位置の軌跡に沿って配置される位置の軌跡は、波頭320と平行な曲線360である。 この曲線は、波頭320の曲率の半径よりも距離Δdだけ大きい曲率の半径を有する。 一般に、軌跡360は、波頭に沿った点ごとに、波頭320に対する垂直ベクトルを計算し、すべての点について、それぞれの方向に、同じ距離Δdだけ波頭を伝搬させることによって見出される。 湾曲した波頭320が円の円弧である特殊な事例では、この方法は、より大きい円の円弧である軌跡360を生じることになる。

    この方法の一変形では、湾曲した波頭を、簡略化した想定に従って伝搬させることができる。 特に、波頭320の伝搬は、方向350bにΔdによる同じ形の平行移動(translation)によりモデル化され得る。 すなわち、波頭は膨張せず、単に空間的にシフトする(平行移動する)ものと想定される。 この簡略化された手法は、偶然にも位置Y が方向350bに沿ってX と一直線に位置している限り、正確さを保つ。 しかし、Y がこの中央位置から大きく逸脱するほど、導入される誤差は大きくなる。 とはいえ、この簡略化された想定は、多くの実際的用途において許容できる結果を生じ得る。

    図4に、本発明の実施形態についての電波伝搬の方向を決定する第1の例示的方法を示す。 図4は、ナビゲーション機器440によって行われる2セットの測定の幾何学的配置を示す概略図である。 この場合もやはり、機器440aはX のところに示されており、その破線の輪郭440bがY のところに示されている。 図5は、方法を記述する流れ図である。 ステップS500において、受信機は既知の位置X のところにあり、受信機は、SoOpの同期部分の第1のインスタンスの到着時刻t を測定する。 次いで受信機は、第2の既知の位置X へ移動し、ステップS510で、受信機は信号の同期部分の第2のインスタンスの到着時刻t を測定する。 位置X および位置X は、GPSを使用して決定される。 同様に、時刻t および時刻t も、GPS衛星時間に従って測定される。 したがって、時刻t および事項t は正確な基準である。 2つの到着時刻間の差が、ステップS520で計算される。 上記式(2)を使用し、この時間差に基づいて、X とX との間の伝搬方向に沿った相対距離Δdを求めることができる。 また、X とX との間の距離Dも(これら2つの位置が既知であるため)既知である。 したがって、ステップS530において、変位ベクトルX (図4の破線)と、波頭421または422との間の角度θを、式θ=arcsinΔd/Dによって計算することが可能である。 これにより波頭の向きが提供され、X およびX における電波の到来方向451または452はこの向きに対して垂直である。

    図4に示すように、この計算は一意の伝搬方向を提供しない。 図4では、電波は、X よりも、X において相対的に早く到着すると想定されている。 すなわち、X は送信機により近い。 しかし、角度θが分かっているため、送信機が基準位置X およびX の南側または北側のどちらに位置するか、すなわち、送信機が破線のどちら側に位置するかに応じて、伝搬方向は451または452のどちらかとすることができるはずである。 その位置がX と同一直線上にないという条件において、既知の場所における同期部分の第3のインスタンスの到着時刻の第3の測定によって、この曖昧さを解消することができる。 あるいは、送信機の場所は、送信機が破線のどちら側に位置するかが明らかであるといったように、おおよそ知られていてもよい。

    以上の説明では、位置X および位置X が(絶対項として)既知であると仮定されていた。 これにより、波頭の到来方向(すなわち、位置X および位置X の近傍における伝搬方向)を絶対的に決定できる。 言い換えると、結果は、コンパス方位といった、伝搬の絶対方位角になる。 しかし、相対的な測位しか必要とされない場合には、X およびX の絶対位置は知られなくてもよい。 代わりに、X とX の間の相対変位ベクトルを知れば十分になる。 これにより、変位ベクトルに対する伝搬角度を計算できる。

    図4には、信号の伝搬方向をどのようにして規定し得るかが示されている。 図1および図2を参照して前述したような方法において、未知の位置Y を計算するために、この伝搬方向を使用できる。 図4の第1の位置X または第2の位置X のどちらかが、Y を計算するための基準位置として便宜的に使用されてもよい。

    図6に、波頭の湾曲モデルを使用して、局所的電波伝搬モデルを獲得する第2の方法を示す。 位置X は波頭650上にある。 また、X における波頭650に対する接線670も示されている。 この接線670と線X との間の角度θを決定することが求められる。 これは、ナビゲーション機器640のSoOp受信機によって行われる測定を使用してなされることになる。 受信側機器640aはX のところに示されており、その破線の輪郭640bがY のところに示されている。 受信機は、3つの場所X 、X およびX における3つのフレームf 、f 、f の同期部分の到着時刻t 、t 、およびt を測定する。 受信機は、GPSによって規定される場所および時間を用いた、正確なクロックを有するものと仮定する。

    基地局は、送信機クロックによって測定される時刻s 、s 、およびs において、それぞれ、フレームf 、f 、およびf を送信する。 送信機クロックは小さいドリフトuを有し、送信機クロックによる時間測定において、ナビゲーション機器におけるクロック測定に対する、それぞれのオフセットを生じる。 これらのオフセットは、z 、z 、およびz で表される。 送信信号(SoOp)は、hのフレーム時間間隔を有する。 送信機620の場所はVであり、未知である。

    信号の同期部分の異なるインスタンスの到着時刻を測定したので、次のステップは、これらの到着時刻間の差を計算することである。 このステップは、図5のステップS520と同様である。

    フレームf の測定のために、半径r (すなわち、送信機からの半径方向の距離)が次式で与えられる。
    =c. (t −(s +z ))

    したがって、最後の点X における測定に対して、
    m=r −r =c. ((t −t )−(s −s )−(z −z ))
    であり、
    n=r −r =c. ((t −t )−(s −s )−(z −z ))
    である。

    フレームiとフレームjとの送信間の時間間隔は、(前述のように、等しいフレーム期間を仮定すると)
    −s =h. (f −f
    であり、
    フレームiとフレームjとの送信間の送信機ドリフトは、
    −z =u. (s −s )=u. h. (f −f
    である。

    これにより次式が与えられる。
    m=c. [(t −t )−(1+u). h. (f −f )] (3)
    n=c. [(t −t )−(1+u). h. (f −f )] (4)

    3つの基準位置X 、X およびX の幾何学的配置は以下の通りである。 X からX までの距離はpで表され、X からX までの距離はaで表され、X からX までの距離はbで表される。 次に、角度φが規定される。 これは、線X と半径方向の線VX との間に形成される角度である。 φは次式の関係によってθに関連付けられる。
    θ=90°−φ (5)

    したがって、φを計算することによりθを計算することが可能になる。 φについて解くための未知数は、線X と線X との間の角度α、および送信機からX 、r までの半径方向の距離である。

    三角形X 、三角形VX および三角形VX から、それぞれ、
    =b +p −2. bp. cos(α) (6)
    (r −m) =r +p −2. r p. cos(φ)
    (r −n) =r +b −2. r b. cos(φ+α)
    である。

    第1の式により、αを難なく計算できる。 第2の式および第3の式を掛け合わせて展開し、操作すると、次式が与えられる。
    2. r =(p −m )/(p.cos(φ)−m)
    2. r =(b −n )/(b.cos(φ+α)−n)
    したがって、
    (p −m ). (b.cos(φ+α)−n)=(b −n ). (p.cos(φ)−m)
    である。

    これにより、φだけが未知である次式が与えられる。
    [b/(b −n )]. cos(φ+α)−[p/(p −m )]. cos(φ)=n/(b −n )−m/(p −m ) (7)

    例えば、b>n、およびp>mなど、いくつかの条件がある。 観測位置X 、X およびX は、好ましくは、十分に分散されているべきであり、特に、送信機からの共通の半径線上にあるべきではない。 観測位置が共通の半径線上にある場合、上記各式は明確に求められない。 しかし、それでもなお、簡略化された式のセットによって問題を解くことが可能になる。 とはいえ、一般には、3点が同一直線上にないようにすることが普通は望ましいであろう。 というのは、同一直線上にある点は、それらの点がたまたま送信機から発する半径線上にある特殊な事例を除いて、到来方向の曖昧さにつながり得るからである(上記図4参照)。

    簡略化のために、安定した送信側発振器を仮定すると、無視できるほどの発振器ドリフトしか生じず、u=0であり、タイミング測定の方程式(3)および(4)から、等価の距離nおよびmが判明する。 距離a、bおよびpは、既知の位置X 、X およびX に基づいて直接知られ、角度αは、式(6)から知られ、観測により形成される三角形の形を特徴付ける。 次いで式(7)がφを与える。 次に、この計算をより詳細に説明する。

    式(7)により次式が与えられる。

    次式を定義する。
    A. cos(γ)=[b/(b −n )]. cos(α)−[p/(p −m )]
    A. sin(γ)=[b/(b −n )]. sin(α) (8)
    その場合、
    ={[b/(b −n )]. cos(α)−[p/(p −m )]} +{[b/(b −n )]. sin(α)} (9)
    および A. cos(γ). cos(φ)−A. sin(γ). sin(φ)=n/(b −n )−m/(p −m
    A. cos(γ+φ)=n/(b −n )−m/(p −m ) (10)
    である。

    したがって、式(9)から判明するAと、式(8)から判明するγを用いて、式(10)を使用してφを求めることができる。 Aおよびγは単に、式を解くのを容易にするために好都合な中間変数にすぎないことに留意されたい。

    最後に、式(5)が、X における波頭の角度θを与える。 角度θは、X における、線X に対する伝搬方向を表す。 位置X および位置X は既知であるため、この例では、θを絶対方位角(例えばコンパス方位など)に変換することは容易である。

    前述の計算では、X 、X およびX が絶対的に知られている(すなわち、これらの絶対地理座標が利用できる)ものと仮定していたが、同じ計算は、これらの位置が互いに対して相対的にのみ知られているときでさえも実行することができる。 これにより、三角形X に対する、X における電波伝搬方向を記述する角度θを決定できる。 さらには、その場合、この局所的な基準フレームに対して、未知の位置を計算することができる。

    図6には、信号伝搬の湾曲モデルについてのパラメータをどのようにして推定し得るかが示されている。 その場合このモデルは、X 、X およびX の近傍における未知の位置を推定するのに使用することができる。 この推定は、図1または図3に示した方法を使用して行うことができる。 特に、たとえ電波伝搬が図6の湾曲モデルを使用して特徴付けられている場合でさえも、なお図1の線形モデルを使用して未知の位置Y1を計算することができる。 このために、図6の波頭650に対する接線670は、図1の線形モデルについての波頭150として扱われる。 波頭の角度θが推定された位置X は、図6において、図1における基準位置X として使用される。 同様に、図3のより複雑なモデルでは、図6からの位置X および角度θは、図3の基準位置X および方向350bを提供するのに使用される。 この基準位置における曲率の半径はr である。

    図7に、送信機の場所の推定値を使用して、伝搬方向を獲得する第3の方法を示す。 場所Vにおける送信機720のおおよその位置が知られているものと仮定する。 また、携帯用機器740の基準位置X も(例えばGPSなどから)知られている。 図1または図3に示す方法では、X を基準位置として使用することが意図される。 したがって、X における信号の伝搬方向を知ることが求められる。 これは、既知の位置VとX とを比較し、VからX までの方位を計算することによって容易に決定することができる。 これは、(反射が生じないと仮定した)電波伝搬方向として扱われる。 この方向は、波頭754の線形モデルを特徴付けるのに十分である。 (例えば、図3に示す方法などのために)湾曲した波頭756が必要とされる場合には、既知の位置VとX1との間の距離を使用して曲率の半径を推定することができる。

    図8は、図7と関連して使用される方法の流れ図である。 ステップS800で、送信機の場所の推定値Vが獲得される。 この例では、送信機は、受信信号の内容に基づいて識別される。 多くの種類の送信機が、これに適した識別コードを送信する。 判定される識別情報を使用して、送信機の場所が、送信機の場所のデータベースから検索される。 ステップS810で、基準位置が獲得される。 この好ましい例では、基準位置は位置X と同じである。 ここで、位置X は局所的電波伝搬モデルを使用した測位計算(図1および図3)のための基準として使用されるものである。 しかし、これは必須ではない。 また、モデルの正確さに最小限の不利益しか及ぼさずに、同じ近傍内の別の位置を使用することもできるはずである。 ステップS820で2つの位置が比較され、比較の結果に基づいて、伝搬方向が、VからX までの方位として決定される(ステップS830)。

    送信機の場所は電波伝搬パラメータの導出に使用されるが、位置計算においては、送信機の場所はそれ以上使用されないことに留意されたい。 前述のように、未知の位置Y は、既知の基準位置X に対してのみ計算される。 結果として得られる利点は、位置計算が、推定された送信機の場所の誤差に影響されにくいことである。 これとは対照的に、未知の位置Y が送信機の場所Vに対して計算されるべきであった場合には、送信機の場所の推定値の誤差が、Y の位置計算において完全に再現されることになるはずである。 電波伝搬モデルが図1および図3に示す方法で使用されるときに、位置Vの誤差は、電波の伝搬方向(および任意選択で曲率の半径)の推定にごくわずかな影響しか及ぼさない。 特に、伝搬方向は、放射線VX に対して垂直に存在する位置Vの誤差によってのみ、影響される。 (実際には通常そうであるように)X とVとが遠く離れているという条件では、推定される角度に対するそのような誤差の影響は小さくなる。 さらに、角度のわずかな誤差は、X の近傍にある位置の計算にはより一層小さい影響しか及ぼさない。 未知の位置Y がX に近いほど、誤差は小さくなる。 したがって、既知の送信機の場所に対する位置を決定する先行技術の測位法と比べて、本発明の手法は、当該の場所の誤差の影響が弱くなる。

    次に、伝搬方向を獲得する第4の方法を、図9の流れ図を参照して説明する。 SoOpの送信機の識別情報は確立されている(established)ものと仮定する。 前述のように、これは、送信の内容を調べることによって行われ得る。

    ステップS900で、関心対象の近傍における既知の基準位置が獲得される。 これは測位計算(図1および図3参照)に使用される基準位置X と同じであるのが好ましいが、別の近くの位置も、ほとんど不利益を生じずに同等に使用することができるはずである。 次にステップS910で、送信機識別情報および基準位置をキーとして使用して、データベースがアクセスされる。 データベースは、複数の場所のそれぞれにおける送信機からの信号の到来方向を記憶している。 例えば、デカルト座標(0,0)に位置する送信機について、2次元グリッド内の様々な位置における信号の到来方向が、以下の表1に示すように表され得る。 角度は、0°の北から時計回りに、コンパス方位として与えられる。

    この表の方位は、送信機までの直接の見通し線に基づいて計算される。 したがって、表1のデータは、上記第3の方法、すなわち、送信機の場所と基準の場所とが比較され、方位が計算される方法と、全く同じ結果をもたらす。 しかし、データベースの使用は、一般には、より融通がきく。 特に、環境がより複雑になる場合もあり、信号が送信機から受信機まで直線として伝搬しない場合もある。 データベースは、各場所における到来角度の、予測または測定される偏差を組み込むことができる。 例えば、信号の反射バージョンが受信される領域では、反射が到来する角度をデータベースに記述することができる。

    ステップS920で、特定の送信機および特定の基準位置と関連付けられた、適切な伝搬方向が、データベースから検索される。 この伝搬方向は、図1に示す方法で使用することができる。 いくつかの他の実施形態では、データベースは、各位置における電波伝搬モデルの曲率パラメータも記憶してよい。 これは、例えば、曲率の半径を含み得る。 これは、図3を参照して前述したように、電波伝搬の湾曲モデルを用いた測位に使用することができる。

    図10に、障害物からの信号の反射によって生じる方向の変化を示す。 位置Uのところの送信機1020からの信号は、建物1000によって反射される。 一方、位置X 、X 、およびX における信号の直接受信は、他の建物1010によって遮られる。 反射の影響は、あたかも「仮想」送信機が像位置Vのところに位置決めされた場合と同じである。 本発明の態様による測位法は、未知の位置を決定するのに送信機の場所の知識を利用しないため、そのような反射に影響されない。 代わりに、本発明の測位法は、送信機(および少なくとも1つの局所的基準位置)からの信号の局所的伝搬の知識のみを利用する。

    さらに、(前述の)伝搬方向を獲得する第1、第2、および第4の方法は、そのような反射に強いものとすることができる。 方向を決定する第3の方法だけは、送信機の場所の推定値を利用し、信号の直接の見通し線伝搬を仮定しているために、本質的に反射に影響されやすい。

    図11に、本発明の一実施形態による、SoOpの送信機1120のタイミングドリフトを推定する方法を示す。 幾何学的配置は図6のものと同様である。 受信側機器1140aはX のところに示されており、その破線の輪郭1140bがY のところに示されている。 送信機タイミングのドリフトuが未知である場合には、これを推定するためにさらに別の観測も必要とされる。 位置X 、X 、X およびX におけるフレームf 、f 、f 、およびf のt 、t 、t およびt における受信機による4つの観測を用いて、図11に示すように幾何学的配置を記述することができる。

    図6と同様に、既知の観測位置X の幾何学的配置から、変数a 、p およびα を次式のように計算することができる。
    =p +p −2. p . cos(α
    =p +a −2. p . cos(α

    同様に、タイミング測定についての3つの式が以下のように得られる。
    =c. [(t −t )−(1+u). h. (f −f )]、i=1、2、3(11)

    また波頭の幾何学的配置から以下の式も得られる。
    (r −m =r +p −2. r . cos(φ)
    (r −m =r +p −2. r . cos(φ+α
    (r −m =r +a −2. r . cos(φ+α1+α2)

    これらを再構成して以下の式を得ることができる。
    2. r =(p −m )/(p .cos(φ)−m
    2. r =(p −m )/(p .cos(φ+α )−m
    2. r =(a −m )/(a .cos(φ+α +α )−m3)

    r4を消去して次式を得ることができる。
    (p −m ). (p .cos(φ+α1)−m )=(p −m ). (p .cos(φ)−m ) (12)
    (p −m ). (a .cos(φ+α +α )−m )=(a −m ). (p .cos(φ)−m

    これら2式(12)をタイミング測定(11)と併せれば、2つの未知数、すなわちφおよび送信機ドリフトuを解くのに十分である。 前述のように、φは式(5):θ=90°−φによってθと関連付けられている。 この場合、θは伝搬方向と基線X との間の角度である。 これは、特に、位置X が相互に対してのみ知られている場合には、伝搬方向を特徴付けるのに好都合な方法である。 位置X が絶対地理座標として知られている場合、角度θは、コンパス方位へ容易に変換することができる。

    前述の例では、位置Xiの座標が(少なくとも相互に対して)知られていると仮定している。 この仮定は、例えば、X がGNSSによって規定されるシナリオに対応する。 別の実施形態では、X は、慣性測位システムおよびコンパスによって規定されることもあり得る。 この場合、相対位置は、変位および角度として獲得される可能性が高い。 しかし、当該シナリオについての等価であるが異なる表現による方程式のセットを解くことも可能であることを当業者は理解するであろう。

    図12は、本発明の一実施形態による携帯用電子機器のブロック図である。 この例では、携帯用電子機器はナビゲーション機器1200である。 機器は受信機1210を備え、この受信機1210は、関連付けられたアンテナ1215に結合されたSoOpを受信するように適合される。 また機器は、測位計算を行うための処理装置1220も備える。 SoOpの異なる部分の到着時刻を測定するために、クロック1225が設けられている。 処理装置は、SoOp受信機1210に結合され、そこからデータを受け取る。 また処理装置1220は、GNSS受信機1230にも結合され、そこからデータを受け取る。 GNSS受信機1230は、アンテナ1235を介して衛星測位信号を受信し、それらの信号を処理して位置決定を計算するように適合されている。

    より詳細には、SoOp受信機1210は、基準位置X において、SoOpの同期部分の第1のインスタンスを受信する(S200)ように適合され、かつ、未知の位置Y において、同期部分の第2のインスタンスを受信する(S210)ように適合されている。 ローカルクロック1225は、これら2つの受信イベント間の第1の時間差を測定する(S220)ように動作する。 処理装置1220は信号の局所的電波伝搬モデルを獲得する(S230)ように適合されており、このモデルは、基準位置X および未知の位置Y の近傍における信号の伝搬方向の少なくとも1つの推定値を含む。 さらに処理装置1220は、伝搬方向および第1の時間差を使用して、基準位置に対する未知の位置の計算を支援する(ステップS240)ようにも適合されている。

    またナビゲーション機器は、メモリ1240と出力装置1250とも備える。 メモリは、送信機識別情報および位置のデータベースを保持することができる。 これらは、図7および図8に関して前述したように、電波伝搬パラメータを推定する方法において使用され得る。 またメモリは、上記表1の例と同様の信号到来方向のデータベースを保持していてもよい。 この情報は、ナビゲーション機器により、前述の局所的電波伝搬パラメータを推定する第4の方法において使用され得る。 またメモリ1240は、1つまたは複数の地理領域についての局所的電波伝搬モデルを記憶していてもよい。 一般に、各局所的電波伝搬モデルは、少なくとも1つの仮定される伝搬方向、および当該の方向が関連する位置または領域の表示を含む。 局所的モデルは、特定の送信機識別情報と関連付けられていてよい。 また、局所的電波伝搬モデルが湾曲している場合、メモリ1240は、関連付けられる曲率パラメータを記憶していてもよい。 さらに、モデルは、送信機と関連付けられたタイミングドリフトパラメータも含んでいてよく、このパラメータもやはりメモリに記憶される。 局所的電波伝搬モデルは、前述の方法のうちのいずれか1つを含む、任意の適切な方法によって獲得することができる。 モデルをメモリに記憶すればモデルを再利用することが可能になり、そのため、位置決定が必要とされるたびにモデルが獲得または計算される必要はない。 よって、ナビゲーション機器1200における計算負担および/または電力消費を低減できる。

    出力装置1250は、ユーザまたは別の電子機器に位置情報を報告するのに使用される。 このユーザまたは別の電子機器は、ナビゲーション機器1200から当該位置情報を要求したユーザまたは別の電子機器である。 出力装置1250は、グラフィカルディスプレイといったヒューマンインターフェースや、電気バス接続あるいは無線通信リンクといったマシンインターフェースを備えていてよい。

    前述の実施形態では、送信機は地上用(terrestrial)であって固定された場所に位置決めされていることを仮定している。 しかし、これは必須ではない。 送信機は、信号測定が使用されることになる期間について静止していれば十分である。 一般に、送信機の場所または送信機のタイミングを知る必要はない。

    受信信号の構造は、ある程度まで知られているべきである。 特に、信号の各部分が(通常はそうであるように)それぞれ異なる部分である場合には、好ましくは、それらの部分の相対的タイミングが知られており、安定している(または少なくとも任意の変動が系統的に予測可能である)べきである。 例えば、到着時刻が測定される信号の部分は、信号の周期的同期シンボルの異なる反復とすることができる。 この場合には、同期信号の周期は、好ましくは、知られているべきである。

    計時のために使用される信号の観測部分は、例えば、(ロランシステムの場合のように、信号のパルスとすることのできる)信号の送信、連続信号のフレーム構造(例えばセルラシステムにおける同期語など)、あるいは信号の変調(例えば放送チャネル上で送られる報時信号「発信音」など)であってもよい。 しかし、信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ、あるいはゼロ交差を含むがそれだけに限られない、他の任意の予測可能で、確実に検出できる信号特徴を使用することもできるはずである。

    1つのSoOpの波頭モデルを知ることは、それ自体では、位置を一意に決定するのに十分ではない。 この場合には、受信機は波頭に沿ったどこにその受信機が位置決めされているか判定することができない。 可能な条件を制約するために、異なる位置にある送信機から発せられる複数の信号を測定できる。 幾何学的配置および行われる測定数によっては、各送信機からの信号波頭について複数の仮説が得られる可能性もあることに留意されたい。 場合によっては(前述のように)この曖昧さは、所与の信号について、位置を決定しようと試みる前に除去され得る。 別の場合では、曖昧さは、単に、異なる受信機からのより多数の信号の測定を行うことによって解消されることもある。 一般に、信号ごとの測定は、受信側機器についての可能な位置の特性のセット(または軌跡)を示唆することになる。 これらのセットの交点が実際の位置を決定する。

    システムが地上SoOpだけを使用する場合には、送信機の高さの範囲が制限されるため、2次元位置を計算することしかできない可能性もある。 2次元の場合で、信号の到来方向は方位(コンパス)方向である。 詳細に前述した各例は、このために、2次元平面における測位を考察している。 しかし、当業者はもうすでに、本明細書で説明した技法は、2次元平面の事例だけに限定されないことを理解するであろう。 平面からの様々な高さを有する信号源(送信機)が利用可能である範囲内で、理論上は、3次元の位置情報(可能な位置の軌跡など)を計算することが可能であろう。 これを成し遂げるためには、一般に、上記の2次元の例と比べて、さらに多くの測定および多数の信号源が必要になるであろう。

    前述のように、1つまたは複数のSoOpからの情報は、(一部の)衛星測位情報と組み合わせ、一方が他方を補強するようにすることができる。 異なる情報源を使用して一連のポジションフィックスを組み合わせて維持する1つの適切な方法が、カルマンフィルタである。 当業者は、異種の測位情報源を統合するためのそのような技法を熟知しているであろう。 これは、不完全なGPSカバレージに遭遇している領域、例えば、GPS受信機がいくつかの衛星630、1130に対してその範囲を測定することができるが、短期間にわたって利用できる衛星信号が少なすぎて一意のポジションフィックスを計算できない場合などにおいて、可能性の高いユーザの経路の追跡を維持するのに非常に有効となり得る。

    本発明では、SoOpの手法とGPSとの組み合わせは、2つのシステム間の相乗効果のために、特に有利と見なされる。 GPS受信が良好であるときには、GPS受信機は、SoOpの局所的波頭を推定するのに必要とされる既知の位置を生成する。 GPS受信が不完全であるときには、機器は、導出されたSoOp波頭モデルを使用して、GPSを補強できる。 GPS受信が完全に失われる場合には、機器は、(十分な台数の送信機が観測されており、それらの波頭がモデル化されるという条件で)SoOpだけを利用することができる。

    また、1つまたは複数のGPS衛星測定との組み合わせにより、3次元における位置(例えば、経度および緯度だけでなく高度も含む)も計算もできることに留意されたい。 この場合には、SoOpの到来方向は、方位と高度(水平線より上または下の角度)の両方として指定され得る。 3次元では、1つのSoOpでは、位置の軌跡であって、未知の位置を当該軌跡に制約できる軌跡は、2次元シェル(表面)である。 この表面は、波頭の線形モデルを使用するときには平面になり、湾曲した波頭としてモデル化するときには球面要素になる。

    本発明の実施形態による方法は、分散方式で実装することができる。 すなわち、様々な基準位置における測定が、未知の位置が決定されるべき受信側機器に対して、異なる(1台または複数の)機器によって行われ得ることに留意されたい。 信号の異なる部分の到着時刻の間で一貫した比較を行うために、各機器は共通のタイミング基準(GPSなど)を共有すべきである。 とはいえ、用途によっては単一機器実装が好ましい場合もある。 というのは、複数の機器間での通信および同期の必要が回避されるからである。

    分散測定の代替として、またこれに加えて、計算処理アクティビティの一部が異なる機器間で分担されてもよい。 例えば、サーバコンピュータが、クライアント機器がその位置を計算するのを支援してもよい。 さらに、データベースが使用される場合には、データベースが、中央で記憶されおよび/または維持されることが好ましい場合も、機器間で共有されるのが好ましい場合も、1台の受信機の前の観測を使用して個別に構築されるのが好ましい場合もある。 好ましい実装は、当業者には明らかなように、状況に依存することになる。

    前述の方法における動作の順序は、一般には、特に限定されないことに留意されたい。 例えば、既知の基準位置X には、位置を決定することが求められる未知の位置Y の前にアクセスされ(visited)てもよいし、その後にアクセスされてもよい。 同様に、電波伝搬モデルも、基準位置または未知の位置がアクセスされる前に推定または獲得されてもよいし、その後に推定または獲得されてもよい。 (何らかの順序で)必要なタイミング測定が行われ、伝搬モデルが規定された後で、その後いつでも、その情報を使用して位置計算を支援することができる。 よって、例えば、位置計算は、未知の位置Y の時刻および場所において行われなくてもよい。 位置計算は、必要な電波伝搬モデルおよび基準位置X におけるタイミング測定が利用できるという条件で、タイミング測定がY で行われた後いつでも行うことができるはずである。

    また、方法の各ステップは、多種多様なやり方で時間的に分散されてもよいことにも留意されたい。 前述の実施形態では、その暗黙的目標は、機器の位置をリアルタイムに、すなわち、位置情報を推論するのに十分な情報および信号観測/測定情報が利用可能になり次第、計算することであった。 しかし、別の実施形態では、この目標は、受信側機器が訪れた位置を遡って追跡することであってもよい。 衛星測位、ならびにリアルタイム測位の分野では、後でポジションフィックスを計算する処理のために、受信衛星信号をディジタル化し、記憶する受信機を提供することも公知である。 そのような受信機は、「記憶し、後で処理する(store and process later)」受信機、または「取り込み、処理する(capture and process)」受信機と呼ばれることがある。 一例では、衛星信号がRFフロントエンドで受信され、(0以上の)中間周波数へダウンコンバートされ、アナログ−ディジタル変換器によってディジタル化される。 各可視衛星からの変調信号は、サンプルのシーケンスとして保存される。 リアルタイム受信機で処理されるはずのやり方と同様に、サンプルはメモリから取り出され、後で処理することができる。

    また本発明を用いた類似のアプローチも可能である。 すなわち、後で処理するために、衛星信号および/またはSoOpが受信され、ディジタル化され、記憶されてもよい。 実際の処理は前述の例におけるのと同じとすることができる。 しかし、処理は、メモリ内のサンプルのシーケンスに対して行われるのであって、サンプルが受信およびディジタル化された直後に同じサンプルのシーケンスに対して行われるのではない。 そのようなシステムの利点は、GNSS取り込みおよび処理受信機の利点と同様である。 すなわち、機器の複雑さの低減、費用の低減、電力消費の低減、および/または電池寿命の延長である。 好ましくは、サンプルは、(可能なときには衛星時間に合わせて較正される)ローカルクロックによって生成されるタイムスタンプと共に記憶される。

    この場合には、電波伝搬モデルを獲得するステップは、必ずしもリアルタイムでは行われず、要求された場合にのみ、後で行うことができる。 例えば、未知の位置Y を計算することが求められるときにいつでも、局所的電波伝搬モデルのパラメータを決定するために、位置W において記録されて事前に記憶された信号サンプルが、(そのタイムスタンプと一緒に)メモリから取り出されてもよい。 本発明の方法のための基準位置X は、それについての信号サンプルが記憶された位置W のサブセットとすることができる。 一般には、W の一部についてのGPSポジションフィックスを計算することができない場合もあり、その場合には、GPSポジションフィックスを方法において使用できない可能性もある。

    本発明を、図面および以上の説明において詳細に例示し、説明したが、そのような例示および説明は、限定ではなく、説明または例示と見なされるべきであり、本発明は開示の実施形態だけに限定されるものではない。

    例えば、以上ではいくつかの例示的方法を説明したが、伝搬方向(および局所的電波伝搬モデルの他のパラメータ)を決定するために、伝搬方向が他の手段によって推定される実施形態において、本発明を運用することが可能である。 例えば、アンテナアレイおよびコンパスを使用して、信号の到来方向の推定値を獲得することも可能であろう。 当業者には、「MUSIC(Multiple Signal Classification)」法といった、無線信号の到来方向を推定するための先行技術のアルゴリズムは周知であろう。 アンテナアレイに対して到来方向が決定された後で、コンパスを使用して、この角度をコンパス方位に関係付けることができる。

    以上の説明では主要なGNSSの一例としてGPSが使用されているが、他の衛星測位システムも使用することができ、他の衛星測位システムにはGLONASSおよびGalileoを含むがそれだけに限られない。

    一般に、受信機はSoOpの送信機へいかなる情報も送る必要はない。 この意味で、本発明の方法は受動的である。 すなわち、この方法は、信号の観測を含むが、送信機との対話を含むとは限らない。 とはいえ、実施形態によっては、受信機と送信機とは、双方向にやりとりし得る。 例えば、受信機はモバイル機器とすることができ、送信機は、モバイル機器が加入するネットワークにおける基地局とすることができる。 これは、本発明の方法の最も一般的な形での方法の運用のために必須ではないことを当業者は理解するであろう。

    開示の実施形態への他の変形は、図面、開示、および添付の特許請求の範囲を検討すれば、特許請求される発明の実施に際して、当業者により理解され、実施され得る。 特許請求の範囲において、「comprising」という語は、他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除しない。 単一のプロセッサまたは他の装置が特許請求の範囲に記載される複数の項目の機能を果たしてもよい。 ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されているというだけでは、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すことにはならない。 コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に、またはその一部として供給される、光学記憶媒体や半導体媒体といった適切な媒体上で記憶され/配布されてもよいが、インターネットや、他の有線または無線の通信システムを介してなど、他の形で配布されてもよい。 特許請求の範囲中の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。

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