車両制御装置、車両制御方法

申请号 JP2015203113 申请日 2015-10-14 公开(公告)号 JP6432482B2 公开(公告)日 2018-12-05
申请人 株式会社デンソー; 发明人 峯村 明憲;
摘要
权利要求

自車と、自車の進行方向前方に存在する物標とが衝突する危険性が高まったとき、自車と物標との衝突の回避又は衝突被害を軽減する装置を安全装置(31,32)として作動させる車両制御装置(10)であって、 前記自車と前記物標とが衝突するまでの時間である衝突予測時間を算出する衝突時間算出部(12)と、 前記進行方向前方に、前記自車の進路に直交する方向である横方向に所定の幅を有する領域である作動領域を設定する作動領域設定部(13)と、 前記衝突予測時間と比較することにより前記安全装置を作動させるか否かを判定する作動タイミングを設定するタイミング設定部(14)と、 前記進行方向前方であって且つ前記自車の斜め前方に、前記横方向に向けて分割された複数の判定領域を設定する判定領域設定部(17)と、 前記作動領域の幅を変更する処理及び前記作動タイミングを変更する処理の少なくとも一方の処理である補正処理を、前記物標の前記判定領域間での移動履歴に基づいて行う補正部(15)と、 前記物標の位置が前記作動領域内であり、且つ、前記衝突予測時間が前記作動タイミングを下回った場合に、前記安全装置を作動させる作動判定部(16)と、を備え、 前記補正部は、前記移動履歴が前記自車へ接近する方向へと移動するものでない場合、前記補正処理により、前記移動履歴が前記自車へ接近する方向へと移動するものである場合よりも、前記作動領域の幅及び前記作動タイミングの少なくとも一方が小さくなるようにし、 前記物標が前記判定領域のいずれかに連続して滞在する時間である滞在時間を計時する計時部(18)をさらに備え、 前記補正部は、前記判定領域間での接近する方向への移動が複数回行われ、且つ、その移動の間の前記滞在時間が所定値よりも小さければ、前記自車へと接近する方向への移動と判定する、車両制御装置。自車と、自車の進行方向前方に存在する物標とが衝突する危険性が高まったとき、自車と物標との衝突の回避又は衝突被害を軽減する装置を安全装置(31,32)として作動させる車両制御装置(10)であって、 前記自車と前記物標とが衝突するまでの時間である衝突予測時間を算出する衝突時間算出部(12)と、 前記進行方向前方に、前記自車の進路に直交する方向である横方向に所定の幅を有する領域である作動領域を設定する作動領域設定部(13)と、 前記衝突予測時間と比較することにより前記安全装置を作動させるか否かを判定する作動タイミングを設定するタイミング設定部(14)と、 前記進行方向前方であって且つ前記自車の斜め前方に、前記横方向に向けて分割された複数の判定領域を設定する判定領域設定部(17)と、 前記作動領域の幅を変更する処理及び前記作動タイミングを変更する処理の少なくとも一方の処理である補正処理を、前記物標の前記判定領域間での移動履歴に基づいて行う補正部(15)と、 前記物標の位置が前記作動領域内であり、且つ、前記衝突予測時間が前記作動タイミングを下回った場合に、前記安全装置を作動させる作動判定部(16)と、を備え、 前記補正部は、前記移動履歴が前記自車へ接近する方向へと移動するものでない場合、前記補正処理により、前記移動履歴が前記自車へ接近する方向へと移動するものである場合よりも、前記作動領域の幅及び前記作動タイミングの少なくとも一方が小さくなるようにし、 前記物標が前記判定領域のいずれかに連続して滞在する時間である滞在時間を計時する計時部(18)をさらに備え、 前記補正部は、前記滞在時間が所定値よりも大きければ、前記自車の接近方向への移動でないと判定する、車両制御装置。前記作動領域設定部は、前記作動領域の幅を予め定められた基準値に基づいて設定し、 前記タイミング設定部は、前記作動タイミングを予め定められた基準値に基づいて設定し、 前記補正部は、前記移動履歴が前記自車へ接近する方向へと移動するものでない場合、前記作動領域の幅及び前記作動タイミングの少なくとも一方を前記基準値よりも小さくする、請求項1又は2に記載の車両制御装置。前記補正部は、前記移動履歴が前記自車から離間する方向へと移動するものである場合、前記補正処理により、前記移動履歴が前記自車から離間する方向へと移動するものでない場合よりも前記作動領域の幅及び前記作動タイミングの少なくとも一方が小さくなるようにする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両制御装置。前記複数の判定領域は、前記自車の進行方向に平行に設定される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両制御装置。前記補正部は、前記自車が直進していない場合、前記判定領域における前記物標の移動履歴に関わらず、前記補正処理を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両制御装置。前記補正部は、前記自車の運転者が前記衝突を回避する操作を行ったか否かを判定し、該操作が行われた場合、前記判定領域における前記物標の移動履歴に関わらず、前記補正処理を行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両制御装置。前記判定領域設定部は、前記物標が二輪車である場合に前記判定領域を設定し、 前記補正部は、前記物標が二輪車である場合に前記補正処理を行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両制御装置。自車と、自車の進行方向前方に存在する物標とが衝突する危険性が高まったとき、自車と物標との衝突の回避又は衝突被害を軽減する装置を安全装置(31,32)として作動させる車両制御装置(10)が実行する車両制御方法であって、 前記自車と前記物標とが衝突するまでの時間である衝突予測時間を算出する衝突時間算出ステップと、 前記進行方向前方に、前記自車の進路に直交する方向である横方向に所定の幅を有する領域である作動領域を設定する作動領域設定ステップと、 前記衝突予測時間と比較することにより前記安全装置を作動させるか否かを判定する作動タイミングを設定するタイミング設定ステップと、 前記進行方向前方であって且つ前記自車の斜め前方に、前記横方向に向けて分割された複数の判定領域を設定する判定領域設定ステップと、 前記作動領域の幅を変更する処理及び前記作動タイミングを変更する処理の少なくとも一方の処理である補正処理を、前記物標の前記判定領域間での移動履歴に基づいて行う補正ステップと、 前記物標の位置が前記作動領域内であり、且つ、前記衝突予測時間が前記作動タイミングを下回った場合に、前記安全装置を作動させる作動判定ステップと、を実行し、 前記補正ステップでは、前記移動履歴が前記自車へ接近する方向へと移動するものでない場合、前記補正処理により、前記移動履歴が前記自車へ接近する方向へと移動するものである場合よりも、前記作動領域の幅及び前記作動タイミングの少なくとも一方が小さくなるようにし、 前記物標が前記判定領域のいずれかに連続して滞在する時間である滞在時間を計時する計時ステップをさらに実行し、 前記補正ステップでは、前記判定領域間での接近する方向への移動が複数回行われ、且つ、その移動の間の前記滞在時間が所定値よりも小さければ、前記自車へと接近する方向への移動と判定する、車両制御方法。自車と、自車の進行方向前方に存在する物標とが衝突する危険性が高まったとき、自車と物標との衝突の回避又は衝突被害を軽減する装置を安全装置(31,32)として作動させる車両制御装置(10)が実行する車両制御方法であって、 前記自車と前記物標とが衝突するまでの時間である衝突予測時間を算出する衝突時間算出ステップと、 前記進行方向前方に、前記自車の進路に直交する方向である横方向に所定の幅を有する領域である作動領域を設定する作動領域設定ステップと、 前記衝突予測時間と比較することにより前記安全装置を作動させるか否かを判定する作動タイミングを設定するタイミング設定ステップと、 前記進行方向前方であって且つ前記自車の斜め前方に、前記横方向に向けて分割された複数の判定領域を設定する判定領域設定ステップと、 前記作動領域の幅を変更する処理及び前記作動タイミングを変更する処理の少なくとも一方の処理である補正処理を、前記物標の前記判定領域間での移動履歴に基づいて行う補正ステップと、 前記物標の位置が前記作動領域内であり、且つ、前記衝突予測時間が前記作動タイミングを下回った場合に、前記安全装置を作動させる作動判定ステップと、を実行し、 前記補正ステップでは、前記移動履歴が前記自車へ接近する方向へと移動するものでない場合、前記補正処理により、前記移動履歴が前記自車へ接近する方向へと移動するものである場合よりも、前記作動領域の幅及び前記作動タイミングの少なくとも一方が小さくなるようにし、 前記物標が前記判定領域のいずれかに連続して滞在する時間である滞在時間を計時する計時ステップをさらに実行し、 前記補正ステップでは、前記滞在時間が所定値よりも大きければ、前記自車の接近方向への移動でないと判定する、車両制御方法。

说明书全文

本発明は、物標との衝突を回避すべく安全装置を作動させる車両制御装置及び車両制御方法に関する。

従来、自車と、自車の進行方向前方に位置する他車両、歩行者、又は道路構造物等の障害物(物標)との衝突被害を軽減または防止する、プリクラッシュセーフティ(PCS)が実現されている。PCSでは、自車と障害物との相対距離と、相対速度又は相対加速度とに基づいて、自車と障害物との衝突までの時間である衝突予測時間(TTC:Time to Collision)を求め、衝突予測時間に基づいて、自車の運転者に対して警報装置により接近を報知したり、自車の制動装置を作動させたりしている。

PCSに関するものとして、特許文献1に記載の車両制御装置がある。特許文献1に記載の車両制御装置では、自車の進路の側方に領域を設け、その領域に物標が存在する場合、自車の最高速度を制限する制御を行っている。

特開2010−208583号公報

自車の進路の側部に存在する物標は、自車と並走する挙動をとることもあれば、自車の進路を横切る挙動をとることもある。すなわち、物標の挙動に応じて、自車と衝突する可能性は変化する。特許文献1に記載の車両制御装置では、自車の進路の側方に設けた領域に物標が存在するか否かを判定することはできるものの、物標の挙動に応じて自車の制御を行うことはできない。

この点、自車の進行方向前方を横切る物標との衝突を回避すべく、安全装置を作動させるのならば、その二輪車が自車の進行方向の斜め前方に存在する時点で、安全装置を作動させる必要がある。ところが、二輪車は、自車の進行方向斜め前方を自車と同方向へと走行する場合もあり、二輪車は左右方向にふらつきながら走行することがある。このとき、ふらつきに伴う自車方向への接近を自車の前方を横切る動作であると判定すれば、自車の安全装置の不要作動が生ずることがある。

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、自車の進行方向前方を横切る可能性の低い物標に対する安全装置の不要作動を抑制することが可能な車両制御装置を提供することにある。

本発明は、自車と、自車の進行方向前方に存在する物標とが衝突する危険性が高まったとき、自車と物標との衝突の回避又は衝突被害を軽減する装置を安全装置(31,32)として作動させる車両制御装置であって、自車と物標とが衝突するまでの時間である衝突予測時間を算出する衝突時間算出部と、進行方向前方に、自車の進路に直交する方向である横方向に所定の幅を有する領域である作動領域を設定する作動領域設定部と、衝突予測時間と比較することにより安全装置を作動させるか否かを判定する作動タイミングを設定するタイミング設定部と、進行方向前方であって且つ自車の斜め前方に、横方向に向けて分割された複数の判定領域を設定する判定領域設定部と、物標の判定領域間での移動履歴に基づいて、作動領域の幅を変更する処理及び作動タイミングを変更する処理の少なくとも一方の処理である補正処理を行う補正部と、物標の位置が作動領域内であり、且つ、衝突予測時間が作動タイミングを下回った場合に、安全装置を作動させる作動判定部と、を備える。

自車の進行方向の斜め前方において、横方向に分割された複数の判定領域を設ければ、その領域間での移動履歴により、物標の移動方向の傾向を求めることができ、その傾向により、物標が自車の進路に接近しているものであるのか否かを判定することができる上記構成では、判定領域及び物標の位置から得られた移動履歴に基づいて補正処理を行うものとしているため、物標が自車の進路に接近しているものであるか否かに応じて作動領域の幅及び作動タイミングの少なくとも一方を変更することができ、安全装置の不作動及び不要作動を抑制することができる。

車両制御装置の概略構成図である。

作動領域及び作動タイミングを説明する図である。

判定領域の設定方法を説明する図である。

物標の動作を横切り動作と判定する例を示す図である。

物標の動作を並走動作と判定する例を示す図である。

補正処理を行う場合の作動領域及び作動タイミングを示す図である。

補正処理を行った場合の作動領域及び作動タイミングを説明する図である。

物標の動作を横切り動作と判定する別の例を示す図である。

物標の動作を横切り動作と判定した後に並走動作と判定する例を示す図である。

物標の動作を並走動作と判定した後に横切り動作と判定する例を示す図である。

車両制御装置が実行する一連の処理を示すフローチャートである。

判定領域を用いた判定処理のサブルーチンである。

車両が旋回している場合における判定領域の設定方法を説明する図である。

第2実施形態に係る補正処理を行う場合の作動領域及び作動タイミングを示す図である。

第2実施形態における判定処理のサブルーチンである。

第3実施形態における判定処理のサブルーチンである。

第4実施形態における判定処理のサブルーチンである。

以下、各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。

<第1実施形態> 本実施形態に係る車両制御装置は、車両(自車)に搭載され、自車の進行方向前方等の周囲に存在する物標を検知し、その物標との衝突を回避すべく、若しくは衝突被害を軽減すべく制御を行うPCSシステムとして機能する。

図1において、車両制御装置10は、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えたコンピュータである。この車両制御装置10は、CPUが、ROMにインストールされているプログラムを実行することでこれら各機能を実現する。

車両制御装置10には、各種の検知情報を入するセンサ装置として、レーダ装置21、及び撮像装置22が接続されている。

レーダ装置21は、例えば、ミリ波帯の高周波信号を送信波とする公知のミリ波レーダであり、自車の前端部に設けられ、所定の検知に入る領域を物標を検知可能な検知範囲とし、検知範囲内の物標の位置を検出する。具体的には、所定周期で探査波を送信し、複数のアンテナにより反射波を受信する。この探査波の送信時刻と反射波の受信時刻とにより、物標との距離を算出する。また、物標に反射された反射波の、ドップラー効果により変化した周波数により、相対速度を算出する。加えて、複数のアンテナが受信した反射波の位相差により、物標の方位を算出する。なお、物標の位置及び方位が算出できれば、その物標の、自車に対する相対位置を特定することができる。なお、レーダ装置21は、所定周期毎に、探査波の送信、反射波の受信、反射位置及び相対速度の算出を行い、算出した反射位置と相対速度とを第1検知情報として車両制御装置10に送信する。

撮像装置22は、例えばCCDカメラ、CMOSイメージセンサ、近赤外線カメラ等の単眼撮像装置である。撮像装置22は、車両の車幅方向中央の所定高さに取り付けられており、車両前方へ向けて所定角度範囲で広がる領域を俯瞰視点から撮像する。撮像装置22は、撮像した画像における、物標の存在を示す特徴点を抽出する。具体的には、撮像した画像の輝度情報に基づきエッジ点を抽出し、抽出したエッジ点に対してハフ変換を行う。ハフ変換では、例えば、エッジ点が複数個連続して並ぶ直線上の点や、直線どうしが直交する点が特徴点として抽出される。なお、撮像装置22は、レーダ装置21と同じ若しくは異なる制御周期毎に、撮像及び特徴点の抽出を行い、特徴点の抽出結果を第2検知情報として車両制御装置10へ送信する。

自車は、車両制御装置10からの制御指令により駆動する安全装置として、警報装置31及びブレーキ装置32を備えている。

警報装置31は、自車の車室内に設置されたスピーカやディスプレイである。車両制御装置10が、障害物に衝突する可能性が高まったと判定した場合には、その車両制御装置10からの制御指令により、警報音や警報メッセージ等を出力して運転者に衝突の危険を報知する。

ブレーキ装置32は、自車を制動する制動装置である。車両制御装置10が、障害物に衝突する可能性が高まったと判定した場合には、その車両制御装置10からの制御指令により作動する。具体的には、運転者によるブレーキ操作に対する制動力をより強くしたり(ブレーキアシスト機能)、運転者によりブレーキ操作が行われてなければの自動制動を行ったりする(自動ブレーキ機能)。

認識部11は、レーダ装置21から第1検知情報を取得し、撮像装置22から第2検知情報を取得する。そして、第1検知情報から得られる位置である第1位置と、第2検知情報から得られる特徴点である第2位置とについて、近傍に位置するものを、同じ物標に基づくものであるとして対応付ける。第1位置の近傍に、第2位置が存在する場合、その第1位置に実際に物標が存在する可能性が高い。この、レーダ装置21及び撮像装置22により物標の位置が精度よく所得できている状態を、フュージョン状態と称する。フュージョン状態であると判定された物標については、検知履歴を参照し、その物標が継続してフュージョン状態であるか否かの判定がなされる。そして、継続してフュージョン状態であると判定されたならば、その位置に物標が存在していると決定される。また、フュージョン状態である物標について、未検知状態となれば、検知履歴を参照し、所定期間はその過去位置にその物標が存在するものとして扱う。

このフュージョン状態であると判定された物標について、第2検知情報に対して、予め用意されたパターンを用いるパターンマッチングを行う。そして、物標に対して種別を対応付ける。このとき、物標の種別としては、自動車、自動二輪車、自転車、歩行者、及び、各種の道路構造物が挙げられる。なお、自動二輪車と自転車とを纏めて二輪車としてもよい。

続いて、認識部11は、物標ごとに、自車に対する相対位置、及び、相対速度を対応付ける。この相対位置としては、自車の進行方向に直交する方向の相対距離を示す横位置と、自車の進行方向についての相対位置である縦位置が得られる。そして、その相対位置と相対速度とに基づいて、自車の進行方向に直交する方向についての相対速度である横速度と、自車の進行方向についての相対速度である縦速度とを算出する。

加えて、認識部11は、物標の種別、横速度、及び縦速度を用いて、その種別を細分化する。例えば、物標が車両であれば、自車速と縦速度とを用いることにより、自車の進行方向前方を自車と同方向に向かって走行する先行車両と、自車の進行方向前方の対向車線を走行する対向車両と、自車の進行方向前方で停止している静止車両とに区別することができる。

また、物標が自転車であれば、自車速と横速度と縦速度とを用いることにより、自車の進行方向前方を自車と同方向に向かって走行する先行自転車と、自車の進行方向前方を自車と反対方向に向かって走行する対向自転車と、自車の進行方向前方で立ち止まっている静止自転車と、自車の進行方向前方を横断する横断自転車とに区別することができる。

加えて、第1検知情報のみによって検出された物標については、自車速と縦速度とを用いることにより、自車の進行方向前方を自車と同方向に向かって移動する先行物標と、自車の進行方向前方を自車と反対方向に移動する対向物標と、自車の進行方向前方で停止している静止物標とに区別することができる。

衝突時間算出部12は、自車と物標との相対距離を示す物標の縦位置がゼロとなるまでの時間である衝突予測時間を算出する。具体的には、物標の縦位置を、自車と物標との相対速度である縦速度で除算し、得られた時間を衝突予測時間とする。このとき、縦速度がゼロである場合や、縦速度が負の値をとる場合(自車と物標とが遠ざかる場合)には、縦位置は縮らないため衝突予測時間は算出されない。なお、この衝突予測時間を算出するうえで相対距離及び相対速度に加えて相対加速度をも用いて、物標が自車に対して等加速度運動を行うものとして衝突予測時間を算出してもよい。この場合には、自車と物標との相対速度が負の値である場合(算出時点では自車と物標とが遠ざかる場合)でも、相対加速度が正の値である場合(相対速度が正の値側へと変化する場合)には、衝突予測時間が算出されることとなる。

作動領域設定部13は、自車の進行方向に直交する横方向について、所定の幅を有する作動領域を設定する。この作動領域は、物標の横位置が安全装置を作動させるべき位置であるか否かを判定する領域である。すなわち、物標の横位置が作動領域内であれば、安全装置を作動させる一つの条件を満たしたと判定する。なお、作動領域の幅は、安全装置の各機能について異なるものとしてもよいし、同じものとしてもよい。例えば、警報装置31の作動領域の幅を最も大きく設定する。これは、警報装置31により運転者が衝突の危険性に気づき衝突を回避する操作を行えば、車両制御装置10がブレーキ装置32へ制御指令を行うことなく衝突を回避できるためである。

作動タイミング設定部14は、安全装置の作動タイミングを設定する。この作動タイミングは、上述した衝突予測時間と比較される。そして、物標の位置が作動領域内であり、且つ、衝突予測時間が作動タイミング以下となった場合に、その安全装置が作動する。すなわち、作動タイミングが大きく設定されているほど、衝突予測時間が大きい場合でも安全装置が作動し、安全装置を早期に作動させる設定であるといえる。

この作動タイミングは、安全装置の機能ごとに異なる値が設定されている。具体的には、警報装置31の作動タイミングは、最も大きい値として設定されている。これは、警報装置31により運転者が衝突の危険性に気づき、ブレーキペダルを踏み込めば、車両制御装置10がブレーキ装置32へ制御指令を行うことなく衝突を回避できるためである。なお、ブレーキ装置32についての作動タイミングは、ブレーキアシスト機能と自動ブレーキ機能とについて、別に設けられている。これらの作動タイミングについては、同じ値であってもよく、異なるものであってもよい。

これら作動領域及び作動タイミングについて、図2を用いて説明する。図2では、自車の進行方向を縦軸(y軸)とし、その縦軸に直交する方向を横軸(x軸)としている。作動領域はx軸方向に所定の幅を有し、作動領域の左右方向の幅をそれぞれ示す右方幅XR及び左方幅XLは、物標の種類ごとに予め定められている値である。作動タイミングであるTは、y軸方向に定められるものであり、作動タイミングに自車と物標との相対速度(縦速度)を乗算した値は、位置を示すこととなるため、作動領域の奥行きは、作動タイミングの値に準ずるものとなる。作動タイミングについても、物標の種類ごとに予め設定されている。なお、この作動領域は、自車が走行する道路の形状に沿って設けられる。すなわち、自車が道路の曲線区間を走行する場合には、作動領域の両端が道路形状に平行となるように設定される。

作動領域設定部13により設定された作動領域、及び、作動タイミング設定部14により設定された作動タイミングは、補正部15により補正された後、作動判定部16に入力される。作動判定部16は、物標の横位置が作動領域内であるか否かを判定し、物標の横位置が作動領域内であれば、安全装置を作動させる一つの条件を満たしたと判定する。同様に、衝突予測時間が作動タイミング以下であるかを判定し、衝突予測時間が作動タイミング以下であれば、安全装置を作動させる一つの条件を満たしたと判定する。そして、作動判定部16が安全装置を作動させる条件をいずれも満たしていると判定すれば、安全装置にたいして作動指令を送信し、安全装置の対応する機能を実行させる。

このように安全装置を作動させるうえで、物標が例えば自転車であり、その自転車が自車の前方を横切る動きをするならば、物標が自車幅内に進入してから安全装置を作動させるのでは遅いため、作動領域の幅を自車幅に数メートルを加算した幅に設定する必要がある。ところが、作動領域を自車幅からさらに数メートル遠方にまで設けた場合、自車の斜め前方等を自車と同方向又は逆方向に走行しているような、自車との衝突の可能性が低い自転車についても安全装置を作動させる可能性がある。このとき、安全装置を作用させる必要がないため、安全装置の不要作動であるといえる。そのため、自車と自転車との相対速度を用いて、自車の斜め前方に位置し、自車と同方向又は逆方向に走行する自転車については、安全装置の不要作動を抑制する処理を行う。具体的には、補正部15により、作動領域の幅を縮小し(縮小処理)、作動タイミングを遅らせる処理(遅延処理)を行う。

ところで、自転車は走行中に横方向にふら付く挙動をとる場合があり、この場合には横方向への速度が検出される。このとき、その自転車が自車と同方向へ走行しているものであるのか、自車の進路を横切ろうとしているのかの判別ができず、安全装置の不作動、又は不要作動が生ずるおそれがある。

そこで、本実施形態では、自車と同方向又は逆方向に移動している物標と、自車の進行方向前方を横切ろうとしている物標とを区別すべく、判定領域設定部17が自車の進行方向の斜め前方に判定領域を設定する。この判定領域について、図3を用いて説明する。なお、図3において、自車の右方向をx軸の正方向としている。

判定領域は、自車の進行方向直交する方向である横方向に分割された複数の領域からなる。各領域は、自車の進行方向に平行な分割線により区画されており、それにより各領域は自車の進行方向に平行に設けられている。自車の進行方向に右側には、自車の進行方向に近いものから順に、右方第1領域R1、右方第2領域R2、右方第3領域R3が設けられる。同様に、自車の進行方向に左側には、自車の進行方向に近いものから順に、左方第1領域L1、左方第2領域L2、左方第3領域L3が設けられる。

右方第1領域R1の自車の進行方向側の端部、及び、左方第1領域L1の自車の進行方向側の端部は、共に、自車の進行方向から自車幅の半分の距離を示すWだけ離間して設けられる。これは、自車の進行方向前方において、自車幅の範囲には判定領域が設けられないことを意味する。各領域R1,R2,R3,L1,L2,L3の横方向の幅はいずれもΔWである。この横方向の幅であるΔWは、例えば1〜2m程度に設定されるが、物標の位置の検出周期と、物標の想定される速度に基づいて設定されていればよい。また、図2で示した作動領域の右側端部は、右方第3領域R3の右側端部よりも左側に設けられており、作動領域の左側端部は、左方第3領域L3の左側端部よりも右側に設けられている。

計時部18は、物標の横位置を用いて、各領域のいずれに存在するかを求め、物標が同じ領域に連続して滞在する時間を滞在時間として計時する。すなわち、いずれかの領域に物標が滞在すると判定すれば計時を開始し、その領域から他の領域へと物標が移動すれば、計時を終了する。この計時処理は、直近の物標の領域間の移動から現在までの滞在時間と、直近の移動と前回の移動との間に計時した滞在時間とを保持する。

判定部19は、物標による各領域間での移動履歴及び滞在時間により、物標が自車に並走しているのか、自車の進路を横切る可能性のある動作(横切り動作)を行っているのかを判定する。このとき、物標が自車に接近する方向への領域間の移動が連続して生じた場合、横切り動作を行っていると判定する第1条件を満たすものとする。加えて、滞在時間が所定時間よりも小さければ、横切り動作を行っていると判定する第2条件を満たすものとする。そして、第1条件及び第2条件をいずれも満たす場合、物標が横切り動作を行っているとし、作動領域の縮小処理及び作動タイミングの遅延処理を行わないものとする。一方で、第1条件及び第2条件の少なくとも一方を満たさない場合、物標は横切り動作を行う可能性は低く、自車と並走している可能性が高い。そのため、作動領域の縮小処理及び作動タイミングの遅延処理を行い、安全装置の不要作動を抑制するものとする。

図4は、物標が横切り動作を行う際の、物標の横位置の時間変化を示す図である。図中、横軸を物標の横位置としており、縦軸を時刻としている。また、縦軸において示した時刻の間隔は、それぞれ1制御周期としており、物標が同一の領域に連続して3制御周期以上存在する場合、補正処理を行う第2条件を満たすものとし、滞在時間が3制御周期未満であれば、補正処理を行う第2条件を満たさないものとする。

図4において、物標は、時刻t1には第3領域L3に存在しており、時刻t2には第2領域L2に存在しており、時刻t3には第1領域L1に存在している。このとき、物標の移動履歴は、時刻t1と時刻t2との間に接近方向への移動を行い、時刻t2と時刻t3との間にさらに接近方向への移動を行ったことを示している。そのため、物標が自車の進路へ進入する可能性が高く、補正処理を行わないものとする。

図5は、物標が自車に並走する際の、物標の横位置の時間変化を示す図である。物標は、時刻t1には第2領域L2に存在しており、時刻t2から時刻t3にかけて第3領域L3に存在しており、時刻t4から時刻t5にかけて第2領域L2に存在している。時刻t4及び時刻t5では、物標の直近の移動は接近方向であると判定される。ところが、物標の前回の移動は離間方向であるため、物標は接近方向への連続した移動を行っていない。したがって、物標は自車に並走している可能性が高く、自車の進路へ進入する可能性は低いため、補正処理を行うものとする。なお、図5で示した例では、物標は第2領域L2と第3領域L3との間の近傍を走行しているといえる。

補正部15が行う補正処理により、作動領域の幅及び作動タイミングについて、図6を用いて説明する。図6では、縦軸を作動領域の幅であるX(右方幅XR、左方幅XL)及び作動タイミングであるTとしている。また、横軸は自車と物標との相対速度としているが、他のパラメータであってもよい。

図中、補正処理が行われない場合の作動領域の幅及び作動タイミングを実線で示しており、それぞれ上限値であるXmax、Tmaxである。これらは予め定められた値であり、基準値ということもできる。また、補正処理が行われた場合の作動領域の幅及び作動タイミングを破線で示している。補正処理が行われることにより、作動領域の幅及び作動タイミングは、それぞれ、上限値であるXmax、Tmaxよりも小さい値に設定される。なお、このとき、補正処理では上限値から所定値を減算する処理を行ってもよいし、予め定められた値に変更する処理を行ってもよい。

このようにして補正部15により補正された作動領域及び作動タイミングについて図7に示す。補正部15が行う補正処理により、作動領域の幅(右方幅XR、左方幅XL)は基準値(右方上限値XRmax、左方上限値XLmax)よりも小さい値に設定され、作動タイミングは、上限値であるTmaxよりも小さい値となる。すなわち、物標の位置は作動領域内に位置しづらくなり、また、衝突予測時間がより小さな値となった場合に安全装置を作動させることとなる。

図8は、物標が横切り動作を行う際の、物標の横位置の時間変化を示す別の例である。物標は、時刻t1及び時刻t2には第3領域L3に存在しており、時刻t3及び時刻t4には第2領域L2に存在しており、時刻t5には第3領域L3に存在している。このとき、第3領域L3及び第2領域L2の滞在時間は所定値(3制御周期)よりも小さく、補正処理を行わない第2条件を満たしている。加えて、時刻t1と時刻t2との間に接近方向への移動を行い、時刻t2と時刻t3との間にさらに接近方向への移動を行ったことを意味する。そのため、物標の横速度は図4で示したものよりも遅いものの、物標が自車の進路へ進入する可能性が高く、補正処理を行わないものとする。

図9は、補正処理を行わない条件を満たす場合から補正処理を行う条件を満たす場合へと遷移する際の、物標の挙動を示す例である。物標は、時刻t1には第3領域L3に存在しており、時刻t2には第2領域L2に存在しており、時刻t3から時刻t5にかけて第1領域L1に存在している。このとき、物標は自車の進路に接近する方向へと連続して移動しているため、滞在時間が所定値以下である時刻t4までは、補正処理を行わないものとする。ところが、時刻t5において、第3領域L3での滞在時間が所定値(3制御周期)以上の値となる。そこで、時刻t5において、補正処理を開始する。

図10は、補正処理を行う条件を満たす場合から補正処理を行わない条件を満たす場合へと遷移する際の、物標の挙動を示す例である。物標は、時刻t1には第2領域L2に存在しており、時刻t2及び時刻t3には第3領域L3に存在しており、時刻t4には第2領域L2に存在している。時刻t1から時刻t2にかけて、物標が自車から遠ざかる移動を行ったことを意味するため補正処理を行う。また、時刻t3においても、直近の移動が自車から遠ざかるものであるため、補正処理を継続する。加えて、時刻t4において、物標が自車の進路に接近する方向への移動を行ったことを示すものの、前回の物標の移動が自車から遠ざかる方向へのものであるため、補正処理を継続する。時刻t5では、物標の直近の移動は接近方向であり且つ前回の移動も接近方向である。また、滞在時間は所定値よりも小さい。そのため、補正処理を行わない条件を満たすものとする。

本実施形態に係る車両制御装置10が実行する一連の処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。図11で示すフローチャートは、所定の制御周期ごとに繰り返し実行される。

まず、レーダ装置21及び撮像装置22から検知情報を取得し、物標の認識処理を行い(S101)、各物標の位置を算出する(S102)。そして、その位置、及び物標の自車に対する相対速度に基づいて、衝突予測時間を算出する(S103)。続いて、道路形状の認識を行い(S104)、その道路形状に基づく作動領域の算出(S105)、及び作動タイミングの算出を行う(S106)。これら作動領域及び作動タイミングが算出されれば、算出した作動領域及び作動タイミングを補正すべきか否かを判定すべく、図3〜5で示した判定領域を用いた判定処理を行う(S107)。

判定処理の後、物標の位置が作動領域内であるか否かを判定する(S108)。物標の位置が作動領域内である場合(S108:YES)、安全装置を作動させるひとつの条件を満たしているため、続いて衝突予測時間が作動タイミング以下となったか否かを判定する(S109)。衝突予測時間が作動タイミング以下であれば(S109:YES)、安全装置を作動させる条件をいずれも満たしているため、安全装置を作動させて(S110)、一連の処理を終了する。一方、物標の位置が作動領域内でない場合(S108:NO)、又は、衝突予測時間が作動タイミング以下でない場合(S109:NO)、安全装置を作動させる条件の少なくともひとつを満たしていないため、安全装置を作動させることなく一連の処理を終了する。

図12は、S107の判定処理のサブルーチンである。まず、判定領域を設定し(S201)、物標の判定領域における滞在時間を計時する(S202)。続いて、物標の直近の移動が自車の進路へ接近する方向であるか否かを判定する(S203)。物標の直近の移動が接近方向である場合(S203:YES)、物標の前回の移動が接近方向であるか否かを判定する(S204)。物標の前回の移動が接近方向である場合(S204:YES)、物標は連続して接近方向への移動を行ったことを意味するため、滞在時間が所定値以下であるか否かを判定する(S205)。S205の処理では、直近の移動が行われてから現時点までの滞在時間、及び、前回の移動から直近の移動までの滞在時間が、いずれも所定値以下であるか否かを判定する。滞在時間が所定値以下であれば(S205:YES)、物標は自車の進路を横切るように移動している可能性が高いため、作動領域及び作動タイミングの補正処理を行わず、そのままサブルーチンを終了する。

一方、物標の直近の移動が接近方向でない場合(S203:NO)、物標が進路を横切る可能性が低いため、作動領域の縮小処理及び作動タイミングの遅延処理を含む補正処理を行い(S206)、サブルーチンを終了する。物標の直近の移動が接近方向であるものの、前回の移動が接近方向でない場合(S203:YES、S204:NO)、自車の進行方向斜め前方において、物標が自車と同方向又は逆方向に移動している可能性が高いため、補正処理を行い(S206)、サブルーチンを終了する。同様に、物標が連続して接近方向に移動したものの、滞在時間が所定値よりも大きい場合(S203:YES、S204:YES、S205:NO)についても、自車の進行方向斜め前方において、物標が自車と同方向又は逆方向に移動している可能性が高いため、補正処理を行い(S206)、サブルーチンを終了する。

なお、判定領域は、上述した通り自車の進行方向に平行に設けられる。そのため、自車が道路の曲線区間を走行している場合には、図13に示すように、曲線区間の曲率に応じた曲線状の領域として設定される。

上記構成により、本実施形態に係る車両制御装置10は、以下の効果を奏する。

・自車の進行方向前方を横切るように移動する物標に対して安全装置を作動させる場合、その物標が自車幅内に進入してから安全装置を作動させていれば、安全装置の作動遅れが生ずることがある。そのため、作動領域の幅は、自車幅よりも広く設定する必要がある。一方で、物標が自車と並走する自転車等の二輪車である場合、その自転車は横方向にふら付きながら走行することがあり、ふら付きの挙動を自車の進行方向前方を横切る挙動であると判定すれば、安全装置の不要作動が生ずる場合がある。本実施形態では、判定領域を用いて物標が自車に並走すると判定した場合には、作動領域の幅及び作動タイミングを基準値よりも小さい値としているため、安全装置の不要作動を抑制することができる。

自車の進行方向の斜め前方において、横方向に分割された複数の判定領域を設ければ、その領域間での移動履歴により、物標の移動方向の傾向を求めることができる。さらに、その傾向に対して各領域における物標の滞在時間を加えれば、物標の移動方向を判定することができる。本実施形態では、判定領域及び物標の位置から得られた移動履歴及び滞在時間を用いて補正処理を行うものとしているため、物標の移動方向に応じて作動領域の幅及び作動タイミングを変更することができ、安全装置の不作動及び不要作動を抑制することができる。

・レーダ装置21等で物標の位置を検出する場合、検出される位置は、その物標の横幅に基づいてばらける可能性がある。このため、例えば、前回の制御周期で物標の左側の端部に基づく位置を検出し、続く制御周期で物標の右側の端部に基づく位置を検出した場合、その物標が右方向へと移動していると誤判定する可能性がある。本実施形態では、横方向に幅を有する領域のいずれに物標が存在するかを判定しているため、検出される位置にばらつきが生じた場合、隣接する領域への移動の判定がなされることはあるものの、領域間の連続した移動の判定がなされることはない。ゆえに、位置の検出のばらつきに起因する物標の移動方向の誤判定を抑制することができ、ひいては、安全装置の不要作動を抑制することができる。

<第2実施形態> 物標が自車の進行方向から遠ざかるように移動する場合、物標が自車と並走する場合よりも、自車と物標とが衝突する可能性は低いといえる。そこで、本実施形態では、第1実施形態で示した判定領域を用いて、物標が自車の進行方向から遠ざかるように移動する場合、並走する場合に対して作動領域の幅をより小さくし作動タイミングをより小さい値とする。なお、物標が自車と並走する場合の補正処理を第1補正処理と称し、物標が自車から遠ざかる場合の補正処理を第2補正処理と称する。

図14において、第1実施形態と同様に補正処理が行われない場合の作動領域の幅及び作動タイミングを実線で示しており、第1補正処理の結果として得られる作動領域の幅及び作動タイミングを破線で示しており、第2補正処理の結果として得られる作動領域の幅及び作動タイミングを一点鎖線で示している。すなわち、第1補正処理の結果として、作動領域の幅及び作動タイミングが小さい値に設定され、第2補正処理の結果として、作動領域の幅及び作動タイミングがより小さい値に設定される。

本実施形態に係る車両制御装置10が実行する一連の処理は、第1実施形態の図11で示したものと同様であり、S107のサブルーチンの処理が異なっている。図15は、図11におけるS107の判定処理のサブルーチンである。

まず、判定領域を設定し(S301)、物標の判定領域における滞在時間を計時する(S302)。続いて、物標の直近の移動が自車の進路へ接近する方向であるか否かを判定する(S303)。物標の直近の移動が接近方向である場合(S303:YES)、物標の前回の移動が接近方向であるか否かを判定する(S304)。物標の前回の移動が接近方向である場合(S304:YES)、物標は連続して接近方向への移動を行ったことを意味するため、滞在時間が所定値以下であるか否かを判定する(S305)。滞在時間が所定値以下であれば(S305:YES)、物標は自車の進路を横切るように移動している可能性が高いため、作動領域及び作動タイミングの補正処理を行わず、そのままサブルーチンを終了する。

一方、物標の直近の移動が接近方向でない場合(S303:NO)、前回の移動が接近方向であるか否かを判定する(S306)。前回の移動が接近方向である場合(S306:YES)、物標の移動は、接近と離間と交互に行っていることを意味するため、並走している可能性が高い。そのため、第1補正処理を行い(S307)、一連の処理を終了する。同様に、物標の直近の移動が接近方向であるものの(S303:YES)、前回の移動が接近方向でない場合(S304:NO)、物標の移動は、接近と離間とを行っているため、並走している可能性が高い。そのため、第1補正処理を行い(S307)、一連の処理を終了する。また、滞在時間が所定値以下でない場合(305:NO)についても、第1補正処理を行い(S307)、一連の処理を終了する。

物標の直近の移動が接近方向でなく(S303:NO)、前回の移動も接近方向でない場合(S306:NO)、物標は自車の進路から遠ざかるように移動している可能性が高い。そのため、第2処理を行い(S308)、サブルーチンの処理を終了する。

なお、物標が連続して遠ざかる場合においても、物標が連続して近づく場合と同様に、滞在時間が所定値以下であれば第2補正処理を行い、滞在時間が所定値よりも大きければ、第1補正処理を行うものとしてもよい。

上記構成により、本実施形態に係る車両制御装置10は、以下の効果を奏する。

・物標が自車から遠ざかる挙動をとる場合、その物標に対して安全装置を作動させる必要性は低い。本実施形態では、判定領域を用いて物標が自車から遠ざかる挙動を取っているか否かを判定し、作動領域をより縮小し且つ作動タイミングをより遅延させる第2補正処理を行っている。これにより、自車から遠ざかる物標に対する安全装置の不要作動を、より抑制することができる。

<第3実施形態> 本実施形態に係る車両制御装置10が実行する一連の処理は、第1実施形態の図11で示したものと同様であり、S107のサブルーチンの処理が異なっている。図16は、図11におけるS107の判定処理のサブルーチンである。

まず、自車の挙動を取得し(S401)、判定領域を設定し(S402)、物標の判定領域における滞在時間を計時する(S403)。続いて、自車の挙動に基づいて、自車が直進中であるか否かを判定する(S404)。自車が直進中である場合(S404)、第1実施形態と同様に、物標の直近の移動が自車の進路へ接近する方向であるか否かを判定する(S405)。物標の直近の移動が接近方向である場合(S405:YES)、物標の前回の移動が接近方向であるか否かを判定する(S406)。物標の前回の移動が接近方向である場合(S406:YES)、物標は連続して接近方向への移動を行ったことを意味するため、滞在時間が所定値以下であるか否かを判定する(S407)。滞在時間が所定値以下であれば(S407:YES)、物標は自車の進路を横切るように移動している可能性が高いため、作動領域及び作動タイミングの補正処理を行わず、そのままサブルーチンを終了する。

一方、自車が直進中でない場合(S404:NO)、物標の横切り動作と並走動作との判別が困難であるため、不要作動を抑制すべく作動領域の縮小処理及び作動タイミングの遅延処理を含む補正処理を行い(S408)、サブルーチンを終了する。また、自車が直進中であっても(S404:YES)、第1実施形態と同様に、物標の直近の移動が接近方向でない場合(S405:NO)、物標が進路を横切る可能性が低いため、補正処理を行い(S408)、サブルーチンを終了する。

物標の直近の移動が接近方向であるものの、前回の移動が接近方向でない場合(S405:YES、S406:NO)、自車の進行方向斜め前方において、物標が自車と同方向又は逆方向に移動している可能性が高いため、補正処理を行い(S408)、サブルーチンを終了する。同様に、物標が連続して接近方向に移動したものの、滞在時間が所定値よりも大きい場合(S405:YES、S406:YES、S407:NO)についても、自車の進行方向斜め前方において、物標が自車と同方向又は逆方向に移動している可能性が高いため、補正処理を行い(S408)、サブルーチンを終了する。

上記構成により、本実施形態に係る車両制御装置10は、物標の横切り動作と並走動作との区別が困難な場合における安全装置の不要作動を抑制することができる。

<第4実施形態> 運転者が物標の存在を認知し、その物標との衝突を回避すべく操作を行う場合、その回避操作に追加して安全装置の作動を行ったり、その回避操作に反する安全装置の作動を行ったりすれば、その安全装置の作動は運転者の意に反する作動であり、不要作動である。そこで本実施形態では、補正部15が運転者による物標との衝突を回避する操作が行われたか否かを判定し、その操作が行われた場合には、作動領域の幅及び作動タイミングの補正処理を行うものとする。

本実施形態に係る車両制御装置10が実行する一連の処理は、第1実施形態の図11で示したものと同様であり、S107のサブルーチンの処理が異なっている。図17は、図11におけるS107の判定処理のサブルーチンである。

まず、判定領域を設定し(S501)、物標の判定領域における滞在時間を計時する(S502)。続いて、衝突を回避する操作が運転者によりなされたか否かを判定する(S503)。運転者による回避操作が行われていない場合(S503:NO)、第1実施形態と同様に、物標の直近の移動が自車の進路へ接近する方向であるか否かを判定する(S504)。物標の直近の移動が接近方向である場合(S504:YES)、物標の前回の移動が接近方向であるか否かを判定する(S505)。物標の前回の移動が接近方向である場合(S505:YES)、物標は連続して接近方向への移動を行ったことを意味するため、滞在時間が所定値以下であるか否かを判定する(S506)。滞在時間が所定値以下であれば(S506:YES)、物標は自車の進路を横切るように移動している可能性が高いため、作動領域及び作動タイミングの補正処理を行わず、そのままサブルーチンを終了する。

一方、運転者による回避操作が行われた場合(S503:YES)、物標の横切り動作と並走動作との判別が困難であるため、不要作動を抑制すべく作動領域の縮小処理及び作動タイミングの遅延処理を含む補正処理を行い(S408)、サブルーチンを終了する。また、自車が直進中であっても(S404:YES)、第1実施形態と同様に、物標の直近の移動が接近方向でない場合(S405:NO)、物標が進路を横切る可能性が低いため、補正処理を行い(S408)、サブルーチンを終了する。

物標の直近の移動が接近方向であるものの、前回の移動が接近方向でない場合(S405:YES、S406:NO)、自車の進行方向斜め前方において、物標が自車と同方向又は逆方向に移動している可能性が高いため、補正処理を行い(S408)、サブルーチンを終了する。同様に、物標が連続して接近方向に移動したものの、滞在時間が所定値よりも大きい場合(S405:YES、S406:YES、S407:NO)についても、自車の進行方向斜め前方において、物標が自車と同方向又は逆方向に移動している可能性が高いため、補正処理を行い(S408)、サブルーチンを終了する。

上記構成により、本実施形態に係る車両制御装置10は、運転者による衝突回避操作の意思に反した安全装置の作動を抑制することができる。

<変形例> ・各実施形態において、補正処理では作動領域及び作動タイミングを共に補正するものとしたが、作動領域及び作動タイミングの一方を補正するものとしてもよい。この場合においても、安全装置の不要作動を抑制するという効果を奏することができる。

・実施形態では、各領域の幅を等しくしたが、等しくなくてもよい。レーダ装置21による位置の検出のばらつきは、自車から遠方になるほど大きくなる。そこで、自車に対してより遠方に設けられる領域ほど、幅を広く設定する。こうすることで、遠方に設けられた領域間での移動が頻繁に検出される事態を抑制することができる。

・実施形態では、各領域を自車の進行方向に対して平行に設けたが、縦方向に遠方に向かうにつれて各領域の幅が広がるように設けてもよい。

・実施形態では、判定領域を、自車の左右方向にそれぞれ3つずつ設けるものとしたが、4つ以上設けるものとしてもよい。このように判定領域を設定する場合、物標が同方向へ3回以上移動した場合に、物標の自車方向への連続した移動が行われたものとして判定してもよい。

・物標の一つの領域における滞在時間が長くなるほど、その物標が自車と並走している可能性が高いといえる。そのため、滞在時間に応じて、補正処理における補正量を変化させてもよい。

・実施形態では、物標が横切り動作を行うものであると判定した場合において、作動領域の幅及び作動タイミングを基準値とし、物標が並走していると判定した場合に、その基準値よりも小さい値に設定するものとした。この点、物標が並走していると判定した場合に作動領域の幅及び作動タイミングを基準値とし、物標が横切り動作を行うものであると判定した場合に基準値よりも大きい値に設定するものとしてもよい。

・実施形態では、物標の移動の傾向を判定する上で滞在時間を用いているが、領域間での移動のみを用いて判定してもよい。

・自転車等の二輪車は、自車の進行方向の斜め前方を自車と同方向又は逆方向に並走する可能性が高い。一方で、四輪以上の車両や歩行者は、自車の進行方向の斜め前方を自車と同方向又は逆方向に並走する可能性が低い。そのため、判定領域設定部17は、物標が二輪車である場合に限って判定領域を設定し、補正部15は物標が二輪車である場合に補正処理を行うものとしてもよい。

・実施形態では、車両制御装置10が搭載される車両を運転者が運転するものとしたが、自動運転機能を備える車両に実施形態に係る車両制御装置10を搭載するものとしてもよい。

・実施形態では、安全装置の機能として警報機能、ブレーキアシスト機能、及び自動ブレーキ機能を挙げたが、安全装置の機能はこれらに限られない。例えば、物標との衝突を回避する方向へと操操作を行う機能等を採用してもよい。

10…車両制御装置、12…衝突時間算出部、13…作動領域設定部、14…作動タイミング設定部、15…補正部、16…作動判定部、17…判定領域設定部、19…判定部。

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