【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、二つの対象間の距離を判定するための電子装置及びそのような距離判定装置等を備える電子セキュリティ装置に関する。 【0002】 【従来の技術】電子距離判定装置は、例えば、伝播遅延測定装置の形で知られている。 これは、本発明の場合では照会信号(interrogation signal)と呼ばれる、ある対象から送信された信号をもう一つの対象から反射させて、信号送信対象への反射応答信号として戻す装置である。 送信された照会信号と、反射して戻された応答信号とを使用して評価装置が伝播遅延測定値から二つの対象間の距離を推測するものである。 【0003】応答信号が受動的に反射された信号から成るこの形式の装置は、独国特許第4240491C2号公報及び独国特許出願公開第4407369A1号公報に記載されている。 【0004】独国特許出願公開第4436983A1号公報では、上記で述べられているこの形式の装置について開示している。 これは、ある車輌ともう一つの対象、 例えばもう一つの車輌との間の距離を判定するために、 拡張により一時的短照会パルスから生成された時間遅延照会パルスがある対象から発して、もう一つの対象により受ける。 ここで圧縮により、一時的短照会パルスに戻される。 【0005】後者のパルスから時間遅延照会パルスを生成して、第一の対象に送り返し、このパルスは、ここで圧縮により短い応答パルスに変換される。 【0006】前記応答パルスと発信された短い照会パルスとの間の時間間隔は、二つの対象間の距離の測定値として用いられる。 短時相照会パルスと応答パルスとの持続時間は、例えば数ナノ秒というごく短時間に選択して、考察される典型的な距離の二つのパルス間の時間間隔を判定することから、この形式の伝播遅延を可能にする。 【0007】特に乗用車等の現代の自動車向けに、ロック装置及び/又は電子固定装置の形式で、電子セキュリティ装置がますます使用されるようになっている。 これら装置は、車輌を基準として、この関連する車輌に対して有効な認証要素が存在する範囲内又は距離内で、許可された一の車輌ユーザ又は複数のユーザにより起動することができる。 いわゆるキーレス・ゴー装置の場合においては、もはやユーザが積極的に認証要素を起動させる必要はなく、ユーザは、例えばスマートカードを備える認証要素を携帯するだけでよい。 対応する識別センサー装置が認証許可装置を検出することにより、異るセキュリティ動作を実行することができる。 優先日以前に公開されたものではないが、本出願より以前の独国特許出願公開第第19839355号公報に、この形式の車輌ロック装置が記載されている。 【0008】係るロック装置及び/又は車輌用電子固定装置及び同様の電子対象セキュリティ装置の場合においては、特定のセキュリティ動作を、認証要素と守られる対象との間の距離により起動するよう想定している。 認証要素と守られる対象との間の距離を、考えられうる最も簡単な方法で判定する必要がある。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明が基づく技術的な問題は、比較的少ない費用で、比較的短い1mまでの距離や、それより短い距離を判定可能な、イントロダクションで述べた形式の電子距離判定装置を提供するという技術的な問題と、それを備える電子セキュリティ装置や、特に自動車用のロック装置及び/又は電子固定装置のキーレス・ゴー装置として設計できる電子セキュリティ装置を提供するという技術的な問題である。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記問題を解決するための、本発明に従う第1の態様としての特徴を有する電子距離判定装置は、各送信装置と各受信装置とが、両方の対象内に備えられており、二つの対象のうちの第一の対象から送信された照会信号を、第二の対象の受信装置を通して、第二の対象により受信する。 その後第二の対象が、自身の送信装置を通して第一の対象に応答信号を戻す。 第一の対象には適切な評価装置が備えられており、 送信した照会信号に応答して受信した応答信号との間の位相差を判定する。 位相差は、二つの対象間の距離を表示し、位相差から求められる距離を判定できる。 【0011】応答信号が関連する対象から受動的に反射されるだけの信号である装置とは異り、応答信号を能動的に生成し、かつ送信することにより、本装置は対象の反射特性に左右されることがない。 さらに、電磁波に基づく信号を用いれば、照会信号及び応答信号間の位相差を評価することにより、比較的短い1mまでの距離や、 それより短い距離も判定でき、これは、例えば圧縮により、照会信号と応答信号とを非常に短時間にしておく必要がない。 【0012】本発明に従う第2の態様としての特徴を有する電子距離判定装置は、第一の対象に遅延装置が備えられており、戻された応答信号との位相比較に先立ち、 第二の対象内での信号処理時間に対応する時間で、遅延装置により照会信号が内部的に遅延される。 これは、照会信号の受信開始と応答信号の送信開始との間の時間差であるといえる。 これにより、距離判定プロセスの開始から、照会信号と応答信号とを正確な時間で比較することが可能になり、これにより、信号処理遅延に起因する、照会信号と応答信号との間の位相差を回避することができる。 【0013】本発明に従う第3の態様としての特徴を有する電子距離判定装置は、第二の対象には、受信照会信号によりトリガされる、同期位相ロックループ(PL L)回路を有する信号生成装置が備えられており、応答信号生成の目的で、照会信号を受信する。 このことは、 照会信号と応答信号との間の連続的同期を確実にするという、特に好適な点を有し、照会信号に対して応答信号を生成する信号生成装置の周波数の変動による位相差を回避する。 【0014】本発明に従う第4の態様としての特徴を有する電子距離判定装置は、評価装置が排他的論理和ゲートを備えており、各入力を介して照会信号及び応答信号を供給する。 排他的論理和ゲートは、同一の信号レベルを有する時間周期を、照会信号及び応答信号の異る信号レベルを有する時間周期と識別して、二つの信号間の位相差を表し、かつ適切な方法でさらに処理が行える出力信号を生成する。 この更なる処理には、例えば、排他的論理和ゲートの出力信号の実効値を形成することを備えることもできる。 その後、形成された実効値が二つの対象間の測定値を表す。 【0015】この形式の実効値形成を、本発明に従う第5の態様としての特徴を有する電子距離判定装置内の閾値比較装置と組み合わせる。 閾値比較装置は、排他的論理和ゲートの出力信号から形成された実効値を、固定的な、もしくは好ましくは可変的な、所定の閾値と比較する。 【0016】閾値の仕様により、装置の各種構成要素の信号処理許容差による、照会信号と応答信号との間のわずかな位相差を抑制することができるし、もしくは、実際に判定された距離が前記距離閾値を越えるか場合か否かを識別する目的で、距離閾値に一致する閾値を設定することができる。 従って、例えば、二つの対象が所定の最長距離を越えて離れているかどうかを確認することが可能である。 【0017】本発明に従う第6の態様としての特徴を有する電子距離判定装置は、排他的論理和ゲートを有し、 排他的論理和ゲートの出力信号をチャージするために備えられたコンデンサに、排他的論理和ゲートの出力信号をチャージする。 充電処理中の上昇するコンデンサの電圧を、下流に接続された閾値比較装置内の所定の閾値電圧と、固定的に又は好適には可変的に比較する。 閾値電圧までコンデンサを充電するために要した時間は、二つの対象間の距離の対応する閾値を表す。 このようにして、例示により、最長距離を再び規定することができ、 二つの対象間の実際の距離が、最長距離を越えているかをどうか確認することができる。 【0018】本発明に従う第7の態様としての特徴を有する電子距離判定装置は、比較的長い距離を判定することができる。 これらの距離は、通常使用される、これらの信号の単一のパルス幅を越える、照会信号と応答信号との間の位相差に一致する。 従って、周期性のために、 一定した連続的な個別パルスを備える信号の位相差評価からは、位相差はもはや明白には判定できない。 その目的のために、照会信号送信対象は、距離コード語生成装置を備えており、距離コード語生成装置は、この場合では比較的長い距離を判定するためのデジタルデータ語として、所定の距離コード語を生成する。 照会信号データ語を基準として、考えられうる距離記述時間オフセットに対して、もう一つの対象に対する同一データ語の応答として生成される応答信号を、評価装置によりチェックする。 1ビットを越えるデータ語のデジタル照会信号と応答信号との間の距離記述シフトを、この手順により確認できる。 【0019】本発明に従う第8の態様としての特徴を有するセキュリティシステムは、上記いずれかの態様の距離判定装置を備えていることを特徴としている。 これにより、自分が許可されているセキュリティシステムに対して、認証要素を携帯するユーザを証明する認証要素と、セキュリティシステムの一以上のセキュリティ装置により守られる対象との間の距離を判定することができる。 【0020】特に、セキュリティ装置を、キーレス・ゴー装置として設計する自動車用のロック装置及び/又は電子固定装置にすることができる。 例えば、認証要素とこの認証要素を携帯する装置のユーザが守られる対象の所定の範囲内に存在する場合のみに、セキュリティ用の特定の制御コマンドを許可する目的で、認証要素と保証される対象との間の距離の判定を利用することができる。 必要の場合には、セキュリティ装置に異るセキュリティ動作をさせる別の距離範囲を定めることもできる。 【0021】 【発明の実施の形態】本発明の好適な実施の形態について、図面に基づいて以下に説明する。 【0022】図1は、キーレス・ゴー(keyless-go)システムとして設計された車輌ロック装置における典型的な認証プロセスを概略的に図示している。 【0023】この例では、車輌ロック装置は、装置ユーザ2が携帯する認証要素3が関連する車輌1に対し有効である場合にのみ、装置ユーザ2により乗車することができる車輌1へのアクセスを確実にする。 これは、認証プロセスによりチェックされる。 【0024】この場合、車輌ロック装置は電子距離判定装置を備え、この電子距離判定装置により、対応する無線リンクを介して車輌内のロック装置部と通信している認証要素3との距離Dが判定される。 これにより、認証要素3の判定された距離Dに基づいて、車輌扉及び後尾扉に配置された施錠・解錠可能なロックユニットに対してロック装置が実行する各種ロック動作のうちの少なくともいくつかを開始させる。 【0025】例として、認証要素3が車輌1から所定の最長距離を越えていない場合にのみ、ロック装置によりロック動作を開始させる用意がなされる。 この最長距離を、例えば数メートルの範囲とすることができる。 この手段により、有効な認証要素を携帯する許可された装置ユーザが、車輌1から未だ比較的離れた場所にいて、一方許可されていない人が許可された装置ユーザより先に車を開けられるというような場合に、ロックユニットを既に解錠されている状態とならないようにできる。 【0026】認証要素3は、スマートカード、トランスポンダーあるいは、この目的で知られている別の装置により実現することができる。 キーレス・ゴー形式の代わりに、車輌ロック装置についても、特に、車輌ユーザにより起動させる、いわゆる電子キーにより認証要素を構成するといった、別の形式にすることができる。 【0027】この形式のロック装置や、例えば、電子固定装置といった、自動車用の他のセキュリティ装置にも備えることができるロック装置、あるいはセキュリティ対象の他の移動体又は静止体用のロック装置にも備えることができる、一般的な任意の二つの対象間の距離を判定する目的の電子距離判定装置を実現するための様々な好適な可能性について、図2乃至図7を参照しながら以下に詳細に説明する。 【0028】これらの距離判定装置は全て、好ましくは図1のロック装置の場合における車輌1といった、ある対象内に照会及び評価部を備え、図1の場合の各認証要素3といった、もう一つの対象内に応答部を備えるという特徴を共有する。 【0029】照会及び評価部は、照会信号を生成して送信し、一方、応答部はこの送信された照会信号を受け取り、その応答として、対応する応答信号を生成して返送する。 照会及び評価部は次に、照会信号と応答信号との間の位相差を判定する。 その位相差は、前記照会及び評価部と応答部との間の距離を表し、その結果として照会及び評価部と応答部とが備えられている二つの対象間の距離が判定できる。 【0030】距離を5mと仮定し、さらに、照会信号及び応答信号とが光の速度で電磁波の形式で伝播すると仮定する場合、その結果は、順方向の照会信号と戻り方向の応答信号の直進伝播遅延は、ほぼ33ナノ秒となる。 このことは、数ナノ秒から開始する実効値のオーダーの伝播遅延差に一致する照会信号と応答信号との間の位相差を確実に識別するように、照会信号と応答信号と、これら信号を評価する評価部とを設計しなければならない。 【0031】この場合においては、照会及び応答信号の各々が、ただ一つのパルスの伝播遅延差だけを測定する必要があるというよりもむしろ、パルス列相互の位相差を判定するパルス列から構成されるように、距離判定装置を設計する。 【0032】この目的に好適な照会及び評価部に関する第一の実施形態が、図2に示される。 この照会及び評価部の中心的な構成要素は、マイクロプロセッサ4である。 このマイクロプロセッサ4は、照会信号として、図3の上から二番目に表される方形波パルス信号FSを生成し、送信装置(後に説明する図4に例示される。)を介して従来の方法で送信する。 【0033】求められる距離だけ照会及び評価部から離れた位置にある応答部が、マイクロプロセッサ4から送信された照会信号FSを対応する受信装置を介して受信した後、図3の最上列に示された同一の応答信号ASを生成し、対応する送信装置を介して送信する。 【0034】照会及び評価部は、受信装置(後に説明する図4に例示される。)を介して応答信号ASを受信して、受信装置が応答信号ライン5を介して応答信号AS を排他的論理和ゲート6の第1の入力に送る。 【0035】これと並行して、マイクロプロセッサ4 は、照会信号FSを生成して遅延ライン7を介して遅延装置8に出力する。 遅延装置8は、照会信号FSの受信開始から応答信号ASの送信開始までの信号処理をするために前記応答部が必要とする信号処理時間分だけ、正確に照会信号FSを遅延するように設計されている。 【0036】このように遅延された照会信号FSは、遅延装置8により、排他的論理和ゲート6の第2の入力へと出力される。 従って、照会信号FS及び応答信号AS は、応答部の信号処理時間による位相差の要素がいずれも補償される形で、排他的論理和ゲート6の二つの入力に存在する。 【0037】その結果、照会信号FSと応答信号ASとの間の同期を前提として、位相差Δtを、時間的に同期する図3のそれぞれの信号の例から考えられるように、 一方が照会及び評価部であり、他方が応答部であるその間の距離のみに基づくものとすることができる。 【0038】求められる距離が、照会信号FS及び応答信号ASの周期性長さよりも小さい信号伝播遅延差である限り、生じる位相差Δtは、前記距離の明白な測定値となる。 【0039】図3の上の二つの列に示されているように、供給された応答信号ASと適切に遅延された照会信号FSとの対応する論理の組み合わせから、図3の下から二番目の列に示されるように、排他的論理和ゲート6 が出力信号OSを生成する。 排他的論理和の選択機能に従い、照会信号FSと応答信号ASのうち一方が高レベルで、もう一方が低レベルである時に前記出力信号は正確に高レベルとなる。 換言すると、排他的論理和ゲート6の出力信号OSは、距離を示す位相差Δtに一致するパルス幅を有する方形パルスから成っている。 このように、出力信号OSは、信号自体に位相差情報を有している。 【0040】排他的論理和ゲート6の出力信号OSは、 下流のANDゲート9の一の入力に送られ、ANDゲート9のもう一方の入力には制御ライン10を介してマイクロプロセッサ4の対応する制御信号が供給される。 【0041】ANDゲート9は、排他的論理和ゲート6 の出力信号をさらに処理することにより距離評価が実行されることを意図する、時間間隔を制御するためだけのものである。 これは、精密には、マイクロプロセッサ4 が高い信号レベルをANDゲート9の対応する入力に加える時間であって、その結果、ANDゲート9が排他的論理和ゲート6の出力信号OSを通過させ、そしてマイクロプロセッサ4が低い信号レベルをANDゲート9の対応する入力に出している間は、この前進信号の出力は抑止されたままである。 【0042】図3の最下列に示されるように、ANDゲート9の後段に実効値形成装置11を有し、排他的論理和ゲート6の方形波パルス出力信号OSをDC電圧信号GSに変換する。 【0043】特に、排他的論理和ゲート6の出力信号O Sの実効電圧値Vrmsまでの、DC電圧信号GSの初期上昇について示している。 この実効電圧値Vrmsは、明白に出力信号OSのパルス幅に基づくので、出力信号の方形波パルス幅と同じ方法で、これは二つの対象間の求められる距離の判定値となる。 従って、求められる対象距離を、得られる実効値Vrmsから判定できる。 【0044】さらに、閾値比較装置を、図2の電圧照会及び評価部に備える。 閾値比較装置により、実効値形成装置11で判定される実効電圧値Vrmsを、種々の所定の閾値と比較できる。 【0045】この目的のために、閾値比較装置は、比較器12を備える。 比較器12の非反転入力に対して、実効値形成装置11の出力信号GSが供給される。 一方、 D/Aコンバータ13と閾値ライン14とを介してマイクロプロセッサ4から閾値電圧が前記比較器12に供給され、この閾値電圧は比較器12の反転入力に印加される。 【0046】所望の電圧閾値を、マイクロプロセッサ4 により各種の方法で調整できる。 実効値形成装置11により判定される、排他的論理和ゲート6の出力信号OS の実効電圧値Vrmsが、設定された電圧閾値を越えるか、もしくは下回るかにより、比較器12は、評価ライン15を通して異る出力信号をマイクロプロセッサ4に出力する。 【0047】実際の装置には照会信号FSと応答信号A Sとの間の位相差を補償することができる対応の電圧閾値が設定され、この位相差は製造許容誤差又は操作許容誤差により生じ、照会及び評価部と応答部との間の照会信号及び応答信号の有限信号伝播遅延に起因するものでない位相差であるという事実によって、閾値比較装置は、各種の装置構成要素の特に、遅延装置8の許容誤差と応答部の信号処理時間とを補償することができる。 【0048】さらに、許容誤差を検知するこの手段に追加又は代替として、閾値比較装置を使用して、対応する電圧閾値を設定することにより、距離閾値を求めることもできる。 【0049】種々の信号についての上述の説明から明らかなように、この場合では電圧閾値が上昇すると、対応する距離閾値も上昇させる。 これに基づく更なる各種制御手段を実行するため、次にマイクロプロセッサ4が比較器出力信号を使用して、実際に今判定された距離が所定の距離閾値を越えているか否かを識別する。 【0050】従って、図1の車輌ロック装置の場合においては、認証要素3と車輌1との間のある最長距離を定めて、認証要素3が、車輌1からの所定の最長距離を超えない位置にある場合のみ、ロック装置のロック動作を開始するようにさせることができる。 【0051】図4は、図2の実施例に関して説明した照会信号FSを送信し、応答部から送出される応答信号を受信する機能を有する距離判定装置における実現例を示す図である。 【0052】図4において、照会及び評価部100は図2に示す構成に一致する。 照会及び評価部100のマイクロプロセッサ4から出力される照会信号FSは、送信部200の変調器31に変調信号として入力される。 発振器30から出力される搬送信号が変調器31に入力され、先の変調信号として入力される照会信号FSにより変調される。 【0053】変調器31からの変調搬送信号は電力増幅器32に入力され送信フィルタ36を通してアンテナ4 00から送出される。 さらに、送信部200において、 電力増幅器32の出力の一部は分岐され、検波器33に入力し、直流信号に変換される。 【0054】検波器33から出力される直流信号は比較器34の非反転入力に入力される。 一方、比較器34の反転入力には、基準電圧VRefが入力される。 したがって、比較器34は、電力増幅器32の出力と基準電圧V Refの差分に対応する制御信号を出力する。 【0055】比較器34の制御信号出力は、電流制御回路35により電力増幅器32のバイアス電流信号を制御する様に帰還される。 これにより、電力増幅器32の利得が一定に制御される。 これにより、安定した照会信号が対象装置の応答部に送られる。 【0056】一方、応答部から送られる信号は、アンテナ400で受信され、受信部300の受信フィルタ37 を通り復調器38に入力する。 復調器38は、受信搬送信号から応答信号ASを復調し照会及び評価部100に送る。 したがって、応答信号ASは、照会及び評価部1 00の排他的論理和ゲート6に入力され、先に説明したように距離が測定される。 なお、かかる、送信部200 と受信部300の構成は、以下に説明する更なる実施例においても同様に適用可能である。 【0057】図5及び図6は、図2の実施例装置と類似の距離判定装置の照会及び評価部について、さらに二つの考えられ得る実施例の構成について図示したものである。 この場合、機能的に同一の構成要素には同じ参照番号または記号を用いてあり、かかる同一の構成要素にに関しては、上述の図2の実施例に関する説明を参照できる。 【0058】閾値比較装置がマイクロプロセッサ4に完全に組み込まれている点と、図2のアナログ比較器12 及びD/Aコンバータ13が省略されている点を除いて、図5の照会及び評価部は、図2の照会及び評価部と一致する。 【0059】この装置設計においてマイクロプロセッサ4が、実効値形成装置11の出力信号GSが供給される一体型のA/Dコンバーター4aを含むように設計することもできる。 このA/Dコンバーター4aは、実効値形成装置11の出力信号GSのアナログの実効電圧値を対応するデジタル信号に変換する。 このデジタル信号を、マイクロプロセッサ4自体により、デジタルによる所定の電圧閾値と比較することができる。 【0060】ちなみに、図2の閾値比較装置12に関する上述の説明は、図5のマイクロプロセッサ4に組み込まれた閾値比較装置に対しても同様に当てはまる。 【0061】図6の変形の場合は、排他的論理和ゲート6の出力信号OSを、コンデンサCの充電時間を判定することにより評価する。 このため、前記出力信号OS を、ダイオード16と抵抗器R1とを介して、アースに接続されている対向する端子である、コンデンサCの端子へ通過させる。 【0062】スイッチングトランジスタT1には、コンデンサCが並列に備えられており、マイクロプロセッサ4から制御ライン17を通してトランジスタT1のベースに供給させる制御信号により、マイクロプロセッサ4 により、スイッチングトランジスタT1を任意にオン・ オフ切換えることができる。 【0063】特にコンデンサCを再び完全に放電するため、スイッチングトランジスタT1がオン状態となるようにスイッチングトランジスタT1を制御する目的で、 一旦評価プロセスが終了すると、評価部を開始状態にリセットすることになる。 【0064】距離判定プロセスを実行するために、切換トランジスターT1がオフ状態であるようにスイッチングトランジスタT1を制御する。 次に、照会信号FSと応答信号ASとの間の位相差に基づいて、排他的論理和ゲート6の出力信号OSの連続方形波パルスにより、コンデンサーCをある程度早く充電する。 指定のコンデンサ電圧値に達するまでの時間経過は、従って求められる対象までの距離の、照会信号FSと応答信号ASとの間の位相差を表す。 【0065】図6の実施例においては、コンデンサCの両端の電圧が可変的な所定電圧閾値を越える場合の要因を確認するという意味で、閾値比較装置により、さらに評価される。 【0066】この場合、閾値比較装置は、比較器12a を備える。 比較器12aの非反転入力に対してコンデンサー電圧を印加し、閾値電圧はその反転入力に与える。 二つの抵抗器R2及びR3により形成される分圧器により、閾値電圧を所望の値に設定できる。 評価ライン15 aを介してマイクロプロセッサ4に供給された比較器出力信号は、コンデンサー電圧が閾値電圧を越える瞬間に変化する。 【0067】マイクロプロセッサ4では、比較器出力信号を内部カウンター4bのスタート/ストップ端子へ入力させる。 マイクロプロセッサ4内のこのカウンタ4b は、距離判定プロセスが開始される時に始動する。 コンデンサー電圧が閾値電圧を越えるやいなや、次の比較器変更出力信号が、カウンタ4bを停止させて、対応する対象の距離を導出する、コンデンサ変更時間を読み取ることができる。 【0068】この場合では、排他的論理和ゲート6の出力信号OSの方形波が対象の距離が減少するに従って幅が狭くなり、コンデンサー充電時間が増大する。 【0069】マイクロプロセッサ4がスイッチングトランジスタT1のオン/オフを切り換えるのと同じ制御信号により、カウンタ4bをリセットする。 評価プロセスを開始するためにこのリセット制御信号が存在しなくなるやいなや、カウンター4bのカウントの実行を開始する。 【0070】照会信号と応答信号との間の位相差の周期長が整数で、且つ例えば、ほぼ100mまでの特定の最長距離までであるかぎりにおいて、上述の例示の実施例を用いて述べたように、明白な距離の判定が可能である。 【0071】長い距離を測定するために距離判定装置に次のような付加的機能を備えることもできる。 100m を越えるような長距離を測定するためには、上記実施例において、照会及び評価部のマイクロプロセッサ4が、 所定のデジタルコード語の形式で照会信号を生成する。 【0072】これに対応して、応答部においては、コード語を受信した時に、応答信号として同一のコード語を生成して返送する。 したがって、照会及び評価部の受信装置300(図4参照)で受信した応答信号コード語を、評価のために直接マイクロプロセッサ4に供給する様にする。 これと並行して、マイクロプロセッサ4は、 発信された照会信号コード語のコピーを信号遅延装置8 に供給する。 信号遅延装置8は、応答部の信号処理時間により遅延されるような方法で、マイクロプロセッサ4 にこれを再び戻す。 【0073】次に、マイクロプロセッサ4は、遅延照会信号コード語と応答信号コード語とを、二つのコード語が対応しているか、更に時間的にどれだけシフトしているかをチェックする。 【0074】コード語の各々のパルスは、周期的にではなく別々にビットごとに互いに連続しているので、このコード語比較によって、伝播遅延時間シフトを、つまり、照会信号コード語と応答信号コード語との間の1ビットを越える距離記述時間シフトを識別することもできる。 この結果、この手順により、より長い距離を確実に判定できる。 【0075】この場合、所望の距離閾値の仕様を、特に、照会信号コード語と応答信号コード語との間の所定の最長ビットシフトの形式で、同様に用意することもできる。 従って、距離閾値として、1ビットのビットシフトに一致する対象の距離を得るために備えることもできる。 つまり、二つの対象が各々距離閾値を越えるか、もしくは下回る距離にあるという事実に基づいて、異る判定法を実行するため、比較されるコード語が、1ビットを越えて、あるいは下回って時間的にシフトされているかどうかに基づくことであると言える。 【0076】ここで、照会信号を基準として応答部により戻された応答信号の同期をできる限り正確に保つようにすることにより、比較的短い距離を判定する場合には特に重要である距離判定の正確さを増すことができる。 【0077】これは、かかる同期からの偏移が、距離に対応しない照会信号と応答信号との間の位相差を導くことになるからである。 応答信号を照会信号と同期させることを確実にするためのある好適な可能性を、図7に図示される応答部の実施例により提供する。 【0078】図7に示される距離判定装置の応答部は、 応答信号を生成するための電圧制御発振器(VCO)1 8を備えている。 出力ライン19に出力される電圧制御発振器18の出力信号を、第一の電界効果スイッチングトランジスタT2を通して伝送装置(図示せず)へ送り、伝送装置がこれを応答信号として送信する。 【0079】先に実施例として示した図2乃至図6の照会及び評価部により伝送された照会信号を、受信装置(図示せず)を通して受信し、照会信号ライン20を介して排他的論理和ゲート21の一方の入力に供給する。 排他的論理和ゲート21のもう一方の入力には排他的論理和ゲート21に送られる電圧制御発振器18の出力端19に入力される。 【0080】この排他的論理和ゲート21の出力信号を、第一の抵抗器R4と第二の電界効果スイッチングトランジスタT3とを通して、電圧制御発振器18の制御入力端22に送る。 電圧制御発振器18の制御入力端2 2は、第二の抵抗器R5とコンデンサC1とを通してアースに接続されている。 【0081】図7の実施例回路から明らかに判るように、二つの抵抗器R4、R5及びコンデンサC1が、排他的論理和ゲート21の出力信号用の低域フィルタを形成する。 その結果、応答部が受信照会信号に対して位相同期された同一の応答信号を生成して、発振することにより、この低域フィルタと電圧制御発振器18とともに排他的論理和ゲート21がPLL回路を形成する。 【0082】この場合、電圧制御発振器18と排他的論理和ゲート21とを、集積回路モジュール内に一緒に実装することもできる。 二つのスイッチングトランジスターT2及びT3は、次の操作方法を実現することができる、応答部のマイクロプロセッサ23により制御される。 【0083】照会及び評価部から伝送された照会方形波パルス信号が応答部により受信されて、排他的論理和ゲート21の対応する入力端に入力すると、排他的論理和ゲート21は、抵抗器R4、R5及びコンデンサC1の低域フィルタより電圧制御発振器18の制御入力端22 に対応する実効電圧値を生成する。 【0084】電圧制御発振器18は、その出力端19に受信した応答信号に一致する方形波パルス信号の供給をただちに開始する。 この場合、第一の電界効果スイッチングトランジスタT2は最初は開いており、第二の電界効果スイッチングトランジスタT3は閉じたままである。 【0085】電圧制御発振器18の出力信号が、排他的論理和ゲート21で受信応答信号とその位相角度について比較されるPLL回路により、電圧制御発振器18の出力信号が、受信した応答信号に対して位相シフトをせずに位相ロック(同期)することが確実になる。 【0086】さらなる照会信号方形波パルスを受信する前に充分な時間、第二の電界スイッチングトランジスタT3を開く。 その結果、コンデンサC1が、電圧制御発振器18の制御入力22の位置で一定の電圧を保持し、 その電圧を利用して、電圧制御発振器18は、照会信号と同一で、かつ照会信号に対して位相同期の出力信号を生成し続ける。 【0087】第一の電解効果スイッチングトランジスタT2を閉じることにより、電圧制御発振器18のこの同期出力信号は、応答信号として伝送装置に送られて、伝送装置で応答信号として照会及び評価部に伝送される。 PLL回路を使用して応答信号を照会信号と同期させることにより、応答信号と照会信号とを比較する間に、照会及び評価部で発生する二つの信号の位相差が距離のみにより記述され、従って各対象の距離を表す。 【0088】図7に関して述べられる信号同期は、特に、比較的短距離に用いられる周期的な方形波パルス信号と、好ましくは比較的長い距離の場合において、代替として、あるいは周期的な方形波パルス信号に対する追加として用いることのできる上述のコード語信号との両方に適していることは言うまでもない。 【0089】 【発明の効果】本発明に基づく電子距離判定装置を上述のように実現すること及び、当業者によって可能に実現される電子距離判定装置は、乗用車用のロック装置及び電子固定装置の認証要素の距離判定のために適しているばかりでなく、対応する照会及び評価部を備えた第一の対象と、対応する応答部を備えた第二の対象との間の距離判定を目的とする他の応用のいずれにも適している。 【図面の簡単な説明】 【図1】電子距離判定装置を有するキーレス・ゴー形式の車輌ロック装置における、認証要素の距離判定に関する認証プロセスの概略図を示す図である。 【図2】車輌内にあって、図1の車輌ロック装置に使用される距離判定装置の照会及び評価部のブロック図である。 【図3】図2の照会及び評価部の操作方法を説明する信号特性を示す図である。 【図4】図2の実施例に関して説明した照会信号FSを送信し、応答部から送出される応答信号を受信する機能を有する距離判定装置における実現例を示す図である。 【図5】図2の照会及び評価部の変形例のブロック図である。 【図6】図2の照会及び評価部の別の変形例のブロック図である。 【図7】認証要素を配置した、図1の車輌ロック装置に使用される距離判定装置の応答部のブロック図である。 【符号の説明】 1 車輌 2 装置ユーザ2 3 認証要素 4 マイクロプロセッサ 5 応答信号ライン 6 排他的論理和ゲート 7 遅延ライン 8 信号遅延装置 9 ANDゲート 10 制御ライン 11 実効値形成装置 12 比較器 13 D/Aコンバータ 14 閾値ライン 15 評価ライン ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04L 9/32 H03L 7/06 A H04Q 9/00 301 H04L 9/00 675Z |