Radar system

申请号 JP32878796 申请日 1996-12-09 公开(公告)号 JP3723650B2 公开(公告)日 2005-12-07
申请人 レイセオン・カンパニーRaytheon Company; 发明人 ウォルター・エス・ジャスティス; デーヴィッド・エイ・マーキス; ロナルド・エイ・ワグナー;
摘要
权利要求
  • シーケンシャルに増加する搬送周波数を有する一連の無線周波数(RF)パルスを送信する送信機と、
    前記送信されたRFパルスを反射する点からのエネルギを受信するように構成された受信機とから構成されるレーダ・システムであって、
    レンジ・トラッキング・エラー信号と速度トラッキング・エラー信号とに応答して散乱点のそれぞれに対して一連のパルス信号を生じるヘテロダイン部であって、前記パルス信号のそれぞれは、そのパルス化された信号を生じる散乱点までのレンジに関係するレートで、シーケンシャルに位相が変化する、ヘテロダイン部と、
    前記ヘテロダイン部が生じる前記一連のパルス信号のそれぞれに応答し、その周波数スペクトルから、前記レンジ・トラッキング・エラー信号と前記速度トラッキング・エラー信号とを決定するプロセッサと、
    から構成されるレーダ・システム。
  • 前記ヘテロダイン部は、
    前記一連の受信されたパルスと、トラッキングされている物体の領域までのレンジR ESTの最初の評価とレンジ・トラッキング・エラー信号ε Rとの和に関係した量だけ時間が遅延した前記一連の送信されたパルスに対応する一連のパルスとを与えられ、前記物体の速度と前記散乱点までのレンジとの両方に関係した周波数を有する一連のパルス信号を生じる第1のヘテロダイン部と、
    前記第1のヘテロダイン部が生じた前記一連のパルスと、前記物体の速度の最初の評価と、前記速度トラッキング・エラー信号とを与えられ、前記物体の速度の変化に関係した中間周波数成分と前記散乱点までのレンジに関係する周波数成分とを有する一連のパルスを生じる第2のヘテロダイン部と、
    から構成される、請求項1記載のレーダ・システム。
  • 前記プロセッサは、前記第2のヘテロダイン部が生じた前記一連のパルスの周波数スペクトルに応答して、前記周波数スペクトルから、前記レンジ・トラッキング及び速度トラッキング・エラー信号を決定する、請求項2記載のレーダ・システム。
  • 前記第2のヘテロダイン部は、所定の通過帯域内の周波数成分を通過させるが前記通過帯域の外部の周波数成分は除去するバンドパス・フィルタ部を含み、前記通過帯域は、前記物体の速度と前記物体の散乱点までのレンジとの両方の変化に関係する周波数成分を通過させるように選択される、請求項3記載のレーダ・システム。
  • 前記プロセッサは、前記バンドパス・フィルタ部が通過した信号の周波数スペクトルに応答して、前記通過した信号の前記周波数スペクトルから、前記レンジ及び速度トラッキング・エラー信号を決定する、請求項4記載のレーダ・システム。
  • 前記第2のヘテロダイン部は、前記レンジ・トラッキング・エラー信号を与えられるレンジ・ゲーティング部を含み、前記バンドパス・フィルタ部に、前記物体までのレンジの所定のウィンドウの中の前記物体の散乱点からの反射に関連する中間周波数信号を通過させる、請求項5記載のレーダ・システム。
  • 前記レンジ・ゲーティング部は、トラッキングされている物体の領域までの評価されたレンジとトラッキングされている物体のそれぞれの散乱点までの測定されたレンジとの差と、トラッキングされている物体の点までのレンジが前記物体の領域までの評価されたレンジの前にあるのか後にあるのかに関連する極性と、に関係する値を有するバイポーラ・レンジ・エラー信号の組を生じるレンジ・トラッキング装置を含む、請求項6記載のレーダ・システム。
  • 前記プロセッサは、前記バイポーラ・レンジ・エラー信号における周波数成分を決定し、前記決定された周波数成分から、前記レンジ・トラッキング及び速度トラッキング・エラー信号を決定する、請求項7記載のレーダ・システム。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、広くはレーダ・システムに関し、更に詳しくは、物体(目標)の異なる散乱点によって反射されるエネルギを追跡(トラッキング)するように構成されたレーダ・システムに関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    この技術分野で知られているように、レーダ・システムは、レーダ・エネルギを物体の方向に向けて送信する送信機とアンテナとを含む。 物体は、送信されたエネルギの一部を反射する。 反射されたエネルギの一部が、アンテナによって受信され、レーダ・システムの受信機に与えられる。 受信されたエネルギに応答して、受信機は、信号を生じてこのレーダ・システムが物体をトラッキングできるようにする。 トラッキング信号は、一般に、目標の反射エネルギの中心(セントロイド)をトラッキングする。 従って、例えば、レーダ・システムがミサイルに搭載されており向かってくる目標を迎撃する場合には、トラッキング信号は、アンテナとミサイルの誘導システムとの両方に与えられ、ミサイルを、目標の反射エネルギのセントロイドの方向に向ける。
    【0003】
    【発明が解決しようとする課題】
    用例によっては、しかし、目標上の多数の異なる散乱する点からのエネルギをトラッキングする必要がある。
    【0004】
    【課題を解決するための手段】
    本発明によると、パルスからパルスにシーケンシャルに増加する搬送周波数を有する一連の無線周波数(RF)パルスを送信する送信機を有するレーダ・システムが提供される。 受信機は、送信されたRFパルスを反射する物体の複数の散乱点からエネルギを受信する。 散乱点のそれぞれから受信されたエネルギは、その散乱点までの往復のレンジ(距離)に比例した量だけ送信されたパルスから時間τが遅延し、その散乱点の速度に比例した量だけ搬送周波数から周波数がシフトしている、送信されたパルスに対応する一連の無線周波数(RF)パルスを含む。 受信機は、ヘテロダイン部を含み、このヘテロダイン部は、レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rと速度トラッキング・エラー信号Δ VELとに応答して、それぞれの散乱点に対して、一連のパルス信号を生じる。 パルス信号のそれぞれは、位相φが、そのパルス信号を生じる散乱点までのレンジに関係するレートΔφ/ΔTで、シーケンシャルに変化する。 プロセッサは、ヘテロダイン部が生じる一連のパルス信号のそれぞれに応答して、その周波数スペクトルから、レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rと、速度トラッキング・エラー信号Δ VELとを決定する。
    【0005】
    本発明の1つの特徴によると、ヘテロダイン部は、第1及び第2のヘテロダイン部を含む。 第1のヘテロダイン部は、一連の受信されたパルスと、トラッキングされている物体の領域までのレンジの最初の評価(予測)R ESTとレンジ・トラッキング・エラー信号ε Rとの和に関係した量だけ時間が遅延した一連の送信されたパルスに対応する一連の内部基準パルスとを与えられ、物体の速度と散乱点までのレンジとの両方に関係した周波数を有する一連のパルス信号を生じる。 第2のヘテロダイン部は、第1のヘテロダイン部が生じた一連のパルスと、物体の速度の最初の評価V ESTと、速度トラッキング・エラー信号Δ VELとを与えられ、物体のドップラ速度と、(V EST ±Δ VEL )と(R EST ±ε R )のそれぞれに対する散乱点までのレンジとの差に関係する中間周波数成分を有する一連のパルスを生じる。 プロセッサは、第2のヘテロダイン部が生じた一連のパルスの周波数スペクトルに応答して、この周波数スペクトルから、レンジ・トラッキング及び速度トラッキング・エラー信号ε R 、Δ VELをそれぞれ決定する。
    【0006】
    本発明の別の特徴によると、第2のヘテロダイン部は、所定の通過帯域内の周波数成分を通過させるが、通過帯域の外部の周波数成分は除去するバンドパス・フィルタ部を含む。 このバンドパス・フィルタ部は、物体の速度と物体の散乱点までのレンジとの両方の変化に関係する周波数成分を通過させるように選択される通過帯域を有する。 プロセッサは、バンドパス・フィルタ部が通過させた信号の周波数スペクトルに応答して、通過した信号の周波数スペクトルから、その周波数成分を決定し、その周波数成分から、レンジ及び速度トラッキング・エラー信号ε R 、Δ VELとをそれぞれ決定する。
    【0007】
    本発明の更に別の特徴によると、第2のヘテロダイン部は、レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rを与えられるレンジ・ゲーティング部を含み、バンドパス・フィルタ部に、レンジの所定のウィンドウΔ Rの中の物体の散乱からの反射に関連する中間周波数信号を通過させる。 レンジ・ゲーティング部は、トラッキングされている物体の領域までの更新され評価されたレンジR' EST =R EST ±ε Rとトラッキングされている物体の散乱点までの測定されたレンジの組との差と、トラッキングされている物体の散乱点までのレンジが物体の領域までの評価されたレンジの前にあるのか後にあるのかに関連する極性と、に関係する大きさを有するバイポーラ・レンジ・エラー信号SGの組を生じるレンジ・トラッキング装置を含む。 プロセッサは、それぞれが散乱点の異なるものに対応するバイポーラ・レンジ・エラー信号SGにおける周波数成分を決定し、決定された周波数成分から、レンジ・トラッキング及び速度トラッキング・エラー信号ε R 、Δ VELをそれぞれ決定する。
    【0008】
    【発明の実施の形態】
    図1及び図2を参照すると、示されているレーダ・システム10は、パルスからパルスでシーケンシャルに増加する搬送周波数を有する一連の無線周波数(RF)パルスを送信する送信機12と、この送信されたRFパルスを反射する物体16の散乱点S 1 −S mからのエネルギを受信するように構成された受信機14と、を有する。 散乱点S 1 −S mのそれぞれから受信されたエネルギは、その散乱点までの往復のレンジ(距離)に比例する量であるτだけ時間が遅延し、その散乱点のドップラ速度に比例する量だけ周波数が搬送周波数からシフトした、送信されたパルスに対応する一連の無線周波数(RF)パルスから構成される。
    【0009】
    受信機14は、レンジ・トラッキング・エラー(誤差)信号ε Rをライン20から、ドップラ速度トラッキング・エラー信号Δ VELをライン22から、物体16までのレンジの最初の評価(予測)R ESTをライン21から、物体16のドップラ速度の最初の評価をライン23から、与えられるヘテロダイン部18を含む。 (レンジ及び速度のこれらの最初の評価は、図示されてはいないが、従来型のパルス・ドップラ・レーダ・システムなどの、従来型の任意のレーダ・システムによって得られる。)この信号に応答して、ヘテロダイン部18は、出19において、散乱点S 1 −S mのそれぞれによる反射エネルギから生じるパルス列から、一連のパルス信号を生じる。 与えられた散乱点によって出力19で生じるこの一連のパルス信号のそれぞれは、位相φが、この特定のパルス信号を生じる散乱点S nまでのレンジに関係するΔφ/ΔT=2πf Snのレートでシーケンシャルに変化する。 更に、出力19は、散乱点S 1 −S mそれぞれまでのレンジR 1 −R mに対応する周波数成分f S1 −f Smを有することに加えて、物体16のラジアル・レンジ(半径距離)の変化率ΔR/ΔT(すなわち、ドップラ速度)に関係する周波数寄与分Δf d (ドップラ・シフト)を有する。 レーダ・システム10は、ヘテロダイン部18が出力19で生じる一連のパルス信号のそれぞれに応答して、その周波数スペクトル(すなわち、周波数(f S1 ±Δf d )+(f S2 ±Δf d )+(f S3 ±Δf d )+・・・+(f Sm ±Δf d ))から、レンジ・トラッキング・エラー信号と速度トラッキング・エラー信号とを決定するプロセッサ24を含む。
    【0010】
    更に詳しくは、このモノパルス・レーダ・システム10は、送信機部12と受信機部14とが、従来型のモノパルス・アンテナ26、モノパルス算術(演算)ユニット28、計算機30、送信/受信(T/R)スイッチ32、中間周波発振器34、安定局部発振器(STALO)36、及びダイレクト・デジタル・シンセサイザ(DDS)38を共有するモノパルス・レーダ・システムである。 図2に示されているように、送信機部12は、一連のコヒーレント・パルス・インターバル(CPI)のそれぞれに対して、図3Aに示すように、シーケンシャルに増加する搬送周波数f Tを有する一連の無線周波数(RF)パルスを送信するように構成された電力増幅器40を含む。 ここで、f Tは、f 0 +f IF1 +f 1から、f 0 +f IF1 +[f 1 +(n−1)δ]まで増加する。 従って、図4Aを参照すると、それぞれのCPIに対して、送信されたパルス(XMT)が、時刻t 1 、t 2 、t 3 、・・・、t nにおいて、生じる。 ここで、t 2 =t 1 +Δt、t 3 =t 1 +2Δt、t 4 =t 1 +3Δt、・・・、t n =t 1 +(n−1)ΔTであり、ΔTは、パルス繰り返し間隔(PRI)である。 パルスは、それぞれが、継続時間を、すなわち、パルス幅Wを有する。 時刻t 1からt nで生じるパルスの搬送周波数f Tは、図3Aに示されるように、f 0 +f IF1 +f 1から、f 0 +f IF1 +[f 1 +(n−1)δ]までである。
    【0011】
    更に詳しくは、図1及び図2を参照すると、発振器12と受信機14とに共有されている安定局部発振器(STALO)36は、周波数f 0を有する無線周波数信号を生じる。 やはり発振器12と受信機14とに共有されているダイレクト・デジタル・シンセサイザ(DDS)38は、それぞれのCPIに対して、ライン39上に、f 1から[f 1 +(n−1)δ]までの周波数を有するパルス列を生じる。 ここで、全体でn個のパルスに対して、n番目のパルスは、[f 1 +(n−1)δ]の周波数を有し、第1のパルスは、f 1の周波数を有する。 STALO36が生じた信号とDDS38が生じた一連のパルスとは、ミキサ42で混合され、バンドパス・フィルタ44において濾波されて、それぞれのCPIに対して、f 0 +f 1から、f 0 +[f 1 +(n−1)δ]までシーケンシャルに増加するビート周波数を有する一連のパルスを生じる。 生じたビート周波数信号は、周波数f IF1を有するIF発振器34が生じる第1の中間周波信号と、ミキサ46において混合されて、増幅器40での増幅の後では、図3Aに示されるように、f T =(f 0 +f IF1 )+f 1から(f 0 +f IF1 )+[f 1 +(n−1)δ]までの搬送周波数を有する一連の送信パルス(XMT)を生じる。
    【0012】
    受信機14は、この送信されたRFパルスを反射する物体16の散乱点S 1 −S mからエネルギを受信するように構成されている。 この散乱点の中の1つ、例えばS iから受信したエネルギは、一連の送信パルスからその散乱点S iまでのレンジR iに比例する長さの時間τ iだけ遅延した送信パルスに対応する一連の無線周波数(RF)パルス(RCVD)から構成される。 よって、散乱点の1つの例であるレンジR 1を有するS 1に対しては、一連の受信パルスが、図3B及び図4Bに示されている。 散乱点S 2 −S mからの反射は、パルス幅Wの内部の時間で生じることに注意すべきである。 更に、散乱点S 1 −S mのそれぞれからの反射のそれぞれは、周波数が、搬送周波数f Tから、この散乱点のドップラ速度に比例するドップラ周波数シフトと称される量f dだけ、シフトしている。 ここでは、すべての散乱点S 1 −S mは同じ物体上にあるので、ドップラ周波数f dは、散乱点S 1 −S mのそれぞれに対して同一であることを注意すべきである。
    【0013】
    更に詳しくは、それぞれの散乱点に対するパルスの列は、f T ±f d =(f 0 +f IF1 ±f d +f 1 )から(f 0 +f IF1 ±f d )+[f 1 +(n−1)δ]の周波数を有する。 しかし、それぞれの散乱点S 1 −S mからのパルス列は、パルスの送信された列よりも時間の長さτだけ遅延している。 この長さτは、アンテナ26から受信パルスの列を生じる散乱点S 1 −S mの中の1つまでの往復のレンジの関数である。 従って、図3A及び図3Bを参照すると、散乱点S 1に対しては、散乱点S 1が生じるパルスの受信された列は、時間τ 1だけ遅延している。 よって、周波数f 0 +f IF1 +f 1を有し時刻t 1において送信されたパルスに対しては、この送信パルスに応答して散乱点S 1から生じた反射された受信パルスにおいては、位相シフトφ 11 =2πf 1 τ 1が存在する。 周波数f 0 +f IF1 +(f 1 +δ)を有し時刻t 1 +ΔTにおいて送信されたパルスに対しては、位相シフトφ 21 =2π(f 1 +δ)τ 1が存在する。 同様にして、周波数f 0 +f IF1 +[f 1 +(n−1)δ]を有し時刻t nにおいて送信されたパルスに対しては、図3Cに示すように、この送信パルスに応答して散乱点S 1から生じた反射された受信パルスにおいては、位相シフトφ n1 =2π[f 1 +(n−1)δ]τ 1が存在する。 従って、散乱点S 1に対しては、位相の時間変化率は、Δφ/ΔT=(φ 21 −φ 11 )/2ΔT=勾配S1 =2πf S1である。 対応して増加するレンジR 1 、R 2 、R 3 、・・・、R mでの散乱点S 1 −S mのそれぞれに対しては、図3Dに示すように、周波数f S1 、f S2 、f S3 、・・・、f Smに対応する、比例的に増加する変化率が存在する。
    【0014】
    受信機14は、2つの直列に結合されたヘテロダイン部48、50を含む。 よって、受信モードの間には、方位チャンネル信号(ΔAZ)、仰角チャンネル信号(ΔEL)及び総和チャンネル信号(Σ)が、モノパルス演算ユニット28によって従来型の態様で生じて、図に示されているように、ミキサ52、54、56に与えられる。 DDS38はまた、ライン39上に生じるのと同じ増加する周波数を有するが物体16によって反射されたエネルギの中心(セントロイド)までの往復の距離による時間遅延であるτ Cだけ遅延した信号をライン41上に生じる。 すなわち、τ Cは、当初は、レンジR ESTに対応し、τ C =2R EST /cであり、ここで、cは、光速である。 DDS38がライン41上に生じる信号は、DDS38がライン39上に生じるパルスの列と同じであるが、時間τ Cだけ遅延している。 以下で説明するように、DDS38には、セントロイドまでのレンジすなわちR ESTの最初の評価とトラッキング・エラー信号ε Rとの和を表すライン87上の信号が、与えられる。 時間τ Cは、関心対象である散乱点すなわち物体16上の点までのレンジ、ここでは、散乱点S 1 −S mが受け取ったエネルギの全体のセントロイドまで、すなわち、レンジR Cの関心対象である物体16までのレンジ、に対応する。 従って、τ Cは、散乱点までの、ここでは、レンジR Cの関心対象である物体16上の点までの、往復のレンジに対応する。 ライン41上の信号もまた、f 1から[f 1 +(n−1)δ]までシーケンシャルに変化する周波数を有することに注意すべきである。 ライン41上の信号は、STALO36が生じた信号と共に、ミキサ58に与えられる。
    【0015】
    散乱点S 1 −S mの中のそれぞれの点に対して、STALO36の信号(周波数f 0を有する)とτ Cの時間遅延を有するDDS38が生じた信号とを混合した結果として生じるビート周波数信号は、フィルタ60を通過して、第1のヘテロダイン部48に対し、ライン62(図4D)上の第1の局部発振器信号を生じる。 各CPI(図4A)に対して、ライン62(図4D)上の第1の局部発振器信号は、図4Cに示されるように、シーケンシャルにf 0 +f 1からf 0 +[f 1 +(n−1)δ]までシーケンシャルに増加する周波数を有する一連のパルスである。 ミキサ58とフィルタ60とによって生じるパルス列の発生時刻は、図4Cに示すように、散乱点S Cから受信されるパルス列と同じである。 更に詳しくは、散乱点S Cのセントロイドまでのレンジの最初の評価R ESTは、ライン21上を、加算器66(図2)に与えられ、DDS38が、セントロイドの散乱点S Cまでの往復レンジに対応する最初の時間遅延τ Cを設定することを可能にする。
    【0016】
    ミキサ52、54、56によって生じたビート周波数信号(すなわち、仰角チャンネルΔEL、方位角チャンネルΔAZ、及び総和チャンネルΣのそれぞれにおいて生じた信号)は、それぞれが、増幅器/フィルタ68、70、72を通過して増幅されるが、増幅器/フィルタ72の出力において生じる信号は、図4Dにおいて示されている。 散乱点S 1 −S mの中の1つの点に対して、シーケンシャルに増加するビート周波数は、(f IF1 ±f d )と直流位相シフト成分である[φ n −φ n-1m /ΔTとの和である(図3C)。 例えば、図3Aから図3Dとの関係で論じた散乱点S 1に対しては、シーケンシャルに増加するビート周波数は、(f IF1 ±f d )プラスφ 1を表す直流成分から、(f IF1 ±f d )プラスφ nを表す直流成分までである(図3C)。 よって、時間すなわちCPIに亘って、ミキサ52、54、56の出力において生じる信号の周波数スペクトルは、図3Dに示されるように、それぞれがf id ±f dだけシフトした周波数成分f S1からf Smである。
    【0017】
    従って、まとめると、第1のヘテロダイン部48には、一連の受信パルスとトラッキングされている物体の領域までのレンジの最初の評価とレンジ・トラッキング・エラー信号ε Rとの和に関係する長さだけ時間が遅延した一連の送信パルスに対応する一連のパルスとが、与えられる。 これらの信号に応答して、第1のヘテロダイン部は、物体の速度と散乱点までのレンジとの両方に関係する周波数を有する一連のパルス信号を生じる。
    【0018】
    第1のヘテロダイン部48の出力は、第2のヘテロダイン部50に与えられる。 従って、図に示されているように、増幅器/フィルタ68、70、72の出力は、それぞれが、ミキサ74、76、78に与えられる。 更に、ミキサ74、76、78には、電圧制御発振器(VCO)82によってライン80上に生じる第2の局部発振器周波数が与えられる。 更に詳しくは、加算器83は、物体16のドップラ速度の最初の評価であるライン23上のV EST信号と、ライン22上の速度エラー・トラッキング信号Δ VELとを加算する。 結果として生じる信号は、デジタル・アナログ変換器(D/A)85によって対応するアナログ信号に変換され、公称の周波数f IF1 +f IF2 +f d0を有する第2の局部発振器周波数を生じる。 ここで、f d0は、物体14のドップラ周波数の最初の評価である。 物体14のドップラ速度の最初の評価であるV ESTは、ライン23に与えられる。 この公称の周波数f IF1 +f IF2 +f d0は、以下で説明する態様で、物体16のドップラ速度の変化をトラッキングするために、量±Δf dだけ変化し得る。 よって、VCO82によって生じる周波数f VCO =f IF1 +f IF2 +f d0 ±Δf dである。
    【0019】
    ミキサ/フィルタ74、76、78の出力における散乱点S 1 −S mによって生じたビート周波数信号(すなわち、仰角チャンネルΔEL、方位角チャンネルΔAZ及び総和チャンネルΣそれぞれにおいて生じた信号)は、周波数成分(f s1 +f if2 ±Δf d )、(f s2 +f if1 ±Δf d )、・・・、(f sM +f if2 ±Δf d )を有する。 これらのビート周波数信号は、レンジ・ゲーティング部84に与えられる。 レンジ・ゲーティング部84には、レンジ・ゲート発生器85によって、レンジ・トラッキング・エラー信号ε RとR ESTとが加算器66で加算されたものがライン87上から与えられる。 ライン87上のレンジ・ゲーティング信号は、ライン64上の散乱点S Cまでのレンジの最初の評価R ESTとプロセッサ24が生じたレンジ・トラッキング・エラー信号ε Rとの代数的な和に対応する。 結果的に生じる信号は、レンジ・ゲート発生器85に与えられ、ライン89上にレンジ・ゲート・ウィンドウ信号を生じる。 ライン89上のレンジ・ゲート信号は、レンジR Cが中心になるようにされ(centered)、予め選択された所望のレンジ幅(ΔRW)を有する。 従って、ライン89上の信号は、往復レンジR C ±(ΔRW)/2に対応する時刻で開始し終了する継続時間のゲーティング・パルスであり、すなわち、反射されたセントロイド帰還上に中心がある。 このように、レンジ・ゲーティング部84は、図4Eに示すように、物体16のレンジR Cからレンジ・セントロイドまでの所定の組すなわちウィンドウΔRW/2の中の物体16の散乱点S 1 −S mからの反射に関連する、与えられた中間周波数信号を通過させる。 従って、ここでは、レンジ・ゲーティング部84のレンジ・ゲート86、88、90は、セントロイド散乱点S CのレンジR C =R ESTに対応するレンジに当初は中心がある。 レンジ・ゲート90、すなわち、総和チャンネルΣが与えられたレンジ・ゲートの出力は、図に示されるように、2:1の電力スプリッタ92に与えられる。 2:1の電力スプリッタ92の出力において生じる信号は、通常はスプリット・レンジ・ゲート・トラッカと称される、狭帯域フィルタ104と二位相(バイフェーズ)(0度/180度)の変調器96に与えられる。
    【0020】
    レンジ・ゲート86、88、90が通過させた信号は、バンドパス・フィルタ部98に与えられる。 バンドパス・フィルタ部98は、ここではf IF2 ±Δfである所定の通過帯域内にある周波数成分を通過させる。 ここで、2Δfは、f S1からf SMの周波数を含み、予測されるドップラ周波数変化Δf dを含み、この通過帯域f IF2 ±Δfの外側の周波数成分を排除する周波数の帯域である。 更に詳しくは、フィルタ部98は、レンジ・ゲート86、88、90が通過する信号を与えられるバンドパス・フィルタ100、102、104と、二位相(0度/180度)の変調器スイッチ96が与えられるバンドパス・フィルタ106とを、図示されるように、含む。 バンドパス・フィルタ100、102、104、106は、f IF2の中央周波数と、当初の速度不確定性によって決定されるΔfの通過帯域(すなわち、予測されるΔfと、所望のレンジ・スワス(swath)、又はウィンドウ、サイズ)と、を有する。 更に詳しくは、予測されるΔfは、[2(δ/ΔT)(ΔRW)/c]+当初のドップラ周波数の不確実性であり、ここで、δ/ΔTは周波数のステップ率であり、ΔRWは所望のレンジ・ウィンドウ・サイズであり、cは光速である。 従って、フィルタ100、102、104、106は、f IF2 ±f S1 ±Δf dからf IF2 ±f Sm ±Δf dの周波数を通過させるように選択された通過帯域を有する。 バンドパス・フィルタ100、102、104、106は、パルスを積分して、連続波(cw)出力、すなわち、パルス・スペクトルの中央周波数又はスペクトル・ライン領域を生じる。 バンドパス・フィルタの中の1つであるバンドパス・フィルタ106の出力が、図4Fに示されている。
    【0021】
    バンドパス・フィルタ100、102、104、106の出力は、時間マルチプレクサ110において時間多重化される。 フィルタ102、104、106、108のそれぞれから1つずつである4つの積分されたcw出力が、直交(直角:quadrature)ミキサ112に与えられ、同相(I)及び直交(Q)チャンネル信号を生じる。 直交ミキサ112に与えられるのは、周波数f IF2を有する第2の局部発振器114が生じる第2の中間周波信号である。 従って、直交ミキサ112が出力19上に生じるビート周波数信号は、±Δf=[±f d ±f S1 ]から[±f d ±f Sm ]までの周波数スペクトルを有する。 よって、静止している物体16(すなわち、f d =0)に対しては、また、正確な当初の評価がセントロイドまでのレンジ評価に与えられている場合には(すなわち、R EST =R C )、セントロイドの周波数成分f SCは、直流(周波数がゼロ)に集まっており、セントロイド上での前向き及び後ろ向きの周波数成分は、領域(a)では、図7に示すように、正の周波数及び負の周波数である。 ビート周波数信号が、図4Gに示すようにサンプリング・パルスも与えられるアナログ・デジタル(A/D)変換器部116に与えられる。
    【0022】
    A/D変換器部116の出力は、プロセッサ24に与えられる。 プロセッサ24は、出力19における信号の周波数スペクトルを決定し、その周波数スペクトルから、ライン20、22のそれぞれに対し、レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rと、ドップラ速度トラッキング・エラー信号Δ VELとを決定する。
    【0023】
    更に詳しくは、プロセッサ24は、ここではハミング重み付け(Hamming weighting)フィルタであるデジタル・フィルタ部117を含み、時間領域において、同相(I)及び直交(Q)チャンネル信号を重み付けすることによって、高速フーリエ変換(FFT)118によって処理された後では、サイドローブから生じたFFT周波数は減少される(すなわち、レンジR 1 −R mを決定するのに用いられるFFT成分の間の干渉が削減される)。 プロセッサ24はまた、ランダム・アクセス・メモリ120を含む。 FFTプロセッサ118は、それぞれのCPI(図4A及び図4H)のそれぞれに対して、方位角信号ΔAZ、仰角信号ΔEL、総和信号Σ、及びスプリット・ゲート・チャンネルSGに対して、周波数スペクトルを生じる。 (方位角及び仰角チャンネルの信号ΔAZ、ΔELは、示されていないが、従来型の各度トラッキング・システムによって用いられる。)FFT118によって総和チャンネルΣのために決定された周波数スペクトルが、図5に示されている。 従って、直流に対応する中央FFTビン(bin)では、複素すなわちベクトル値(複素数、a+jB)が、W 0として示されている。 周波数ビン+1から+kは、増加する正の周波数に対応し、それぞれ示されているように、複素値W +1からW +kを有するが、他方で、周波数ビン−1から−kは、増加する負の周波数に対応し、それぞれ示されているように、複素値W -1からW -kを有する。 スプリット・ゲート・チャンネルSGの周波数スペクトルは、総和チャンネルの対応する周波数ビンにおいて複素値W -1からW -kによって正規化された後のものが、図6に示されている。 従って、周波数ビン−kから+kにおける複素値は、それぞれ示されているように、A -kからA +kである。 物体16が静止しており(すなわち、f d =0)、レンジの評価R ESTが正確であれば、周波数ビン−kから+kは、図7の領域(a)に示されるように、それぞれが、散乱点S 1 −S mのレンジR 1 −R mに対応する。 ただし、散乱点S 1は、この場合には、物体16の先頭であり、散乱点S mは、物体16の最後部である。 更に、物体16が静止しており、レーダ・システム10が物体16が反射したエネルギのセントロイドをトラッキングしており、更に、このセントロイドはレンジ・ウィンドウの中央のレンジにある、すなわち、ΔR=0である場合には、複素値A 0は、ゼロである。
    【0024】
    更に詳しくは、図6を参照すると、乗算器130の組がプロセッサ24において与えられて、複素値A -kからA +kに、この場合はΣチャンネルの大きさである|W -k |から|W +k |である重み付けファクタを、それぞれ示されているように、乗算する。 また、M131による除算も、適切な正規化のために、プロセッサ24によって実行される。 ここで、Mは、所定のスレショルド・レベルよりも大きい、Σチャンネルの大きさである|W -k |から|W +k |の数の重み付け平均である。 このスレショルド・レベルは、任意の従来型のコンスタント・フォールス・アラーム・レート(CFAR)法を用いて、決定できる。
    【0025】
    理解を容易にするために、大きさ|W -k |から|W +k |は等しい(すなわち、物体16は、送信されたエネルギを、そのボディに沿った散乱点S 1 −S mすべてから等しく反射する)と仮定する。 (静止している目標に対しては)複素値A -kからA +kは負の極性を有し、他方で、複素値A +1からA +kは正の極性を有するから、プロセッサ24の加算ネットワーク132の出力ε Rは、A 0 =0である。 従って、物体16が静止していれば、加算ネットワーク132の出力ε Rは、物体までの評価レンジ(すなわち、DDS38とレンジ・ゲート84とが、ライン87(図1及び図2)上の信号を介して集められるレンジ)と物体16が反射するエネルギのセントロイドまでの実際の距離との差を示す。 よって、出力ε Rは、任意の静止してはいない目標に対する、エネルギ・セントロイド・レンジ・エラーの一般的な測度である。 従って、この信号ε Rをライン20(図1及び図2)を介してレンジ・ゲート84とDDS38とに与えることによって、レンジ・ゲート84とDDS38との中央レンジが、物体16が反射するエネルギのセントロイドのレンジR Cにシフトし、これによって、A 0 =0として、図7の領域(a)に示されるように、レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rをゼロにする。 レンジ・ゲート84とDDS38とが反射されたエネルギのセントロイドまでのレンジに集められるときのSG/Σの周波数スペクトルが、図8に示されている。
    【0026】
    図7を更に詳細に参照すると、この図7は、レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rと速度トラッキング・エラー信号Δ VELとの関係を、4つの異なる条件に関して図解している。 すなわち、(1)領域(a)に示され上述した、物体16が静止している、すなわち、レンジ又は速度トラッキング・エラーが存在せずε R =0、Δ VEL =0の場合、(2)物体16が、領域(b)に示されるように、レンジ・トラッキング・エラーは有しないが、速度トラッキング・エラーΔ VELは有する場合、(3)物体16が、領域(c)に示すように、レンジ変化、すなわち、レンジ・エラーε Rを有するが、速度変化は有しない場合、(4)物体16が、領域(d)に示すように、レンジ・トラッキング・エラーε Rと、速度トラッキング・エラーΔ VELとの両方を有する場合、である。
    【0027】
    最初に、物体16が領域(a)にある条件を考察すると、正規化された周波数スペクトルSG/Σが、図8に示されている。 レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rがゼロであり、このレンジ・トラッキング・エラー信号がゼロである周波数成分すなわちFFTビンは、ゼロ周波数にあることが最初にわかる。 よって、レンジにも速度にもエラーは存在しない。 従って、レンジ・ゲート84とDDS38へのライン20上のレンジ・トラッキング・エラー信号ε Rは、ゼロであり、VCO82へのライン22上の速度トラッキング・エラー信号Δ VELは、ゼロである。 すなわち、理想的には、セントロイド散乱点がレンジ・ゲート84の中央にあれば、レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rは、ゼロを示す、すなわち、ε R =0であるはずであり、周波数ビンすなわちセルは、セントロイドまでのレンジR Cの前でも後でも、図9の下側部分に示されるように、それぞれのレンジ・トラッキング・エラーε Rを示すはずであり、セントロイドの前後で徐々に線形のレンジ変位がある。 任意の与えられたドップラ・エラーに対しても、スプリット・ゲートの比率SG/Σは、変化するのではなく、単に、図8の上部から図9に示されているFFT周波数ビンの表示において、すべての散乱点に周波数シフトを等しく生じさせる。 レンジ・トラッキング・エラーε Rとドップラ速度トラッキング・エラーΔ VELとは、従って、効果的にデカップルすることができるが、その理由は、すべてのスプリット・ゲート比率SG/Σの重み付け平均は、常に、どのようなドップラ速度トラッキング・エラーとも無関係に、セントロイドの真のレンジ・トラッキング・エラーを表すはずだからである。
    【0028】
    図7では、レンジ・トラッキング・エラーと速度トラッキング・エラーとの表示が、先頭部S 1と最後部S mとを有する目標すなわち物体16に対して示されている。 目標が領域(a)においてレンジと速度とに関して完全にトラッキングされている場合には、目標のレンジ・セントロイド周波数セルは、ゼロすなわち中央周波数ビンにあり、レンジ・トラッキング・エラーε Rがゼロであることを示している。 先頭部及び最後部の散乱点S 1 、S mのそれぞれは、セントロイドS Cの前方及び後方の異なるFFT周波数セルを占め、セントロイドからの線形レンジ変位に対応する個々のレンジ・トラッキング・エラー成分を示す。
    【0029】
    純粋な速度すなわちドップラ周波数エラーが導入されると、表示全体は、領域(b)にシフトし、それぞれの散乱点は領域(a)の場合と同じレンジ・トラッキング・エラー値を維持する。 セントロイドの計算されたレンジ・トラッキング・エラー信号ε R (すなわち、SG/Σチャンネル信号の大きさA 0 )は、ゼロであり、セントロイドの周波数オフセット又はビンは、真の速度トラッキング・エラー信号Δ VELとして識別される。 すなわち、図9を参照すると、SG/Σは、周波数セル、又は、直流以外のビン、又はゼロにおいて、ゼロである。 更に詳しくは、この例では、SG/Σは、周波数ビン+3において零点を有する(すなわち、ε R =0)。 よって、この場合には、示されているように、速度トラッキング・エラー信号Δ VEL =3Δである。 速度トラッキング・エラー信号Δ VEL =3Δは、訂正として、VCO82(図2)に与えられ、VCO82の作用の結果として、図7の領域(b)に表示されている物体16は、領域(a)にシフトしている。
    【0030】
    また、純粋なレンジ・トラッキング・エラーε Rが導入されると、図7の領域(a)に表示された物体16は、対角線(波形レンジ/速度カップリングを表す)に沿って、領域(c)にシフトする。 よって、図10を参照すると、SG/Σ信号におけるゼロの複素値は、もはや、直流又はゼロの周波数ビンにはないことを最初に注意しておく。 更に、速度トラッキング・エラー信号Δ VELはVCO82が生じた信号の周波数を変更しない間は、レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rは、非ゼロであり、周波数ビンのより高い組にシフトされる。 スプリット・ゲート値の平均値は、ε R =+A 3に等しく、セントロイドのレンジ・シフトを示す。 レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rは、ライン22を介して与えられ加算器66の出力を変更する+A 3に等しく、よって、ライン87上のレンジ・ゲート信号とDDS38に対する値τとを変更する。 従って、レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rは、加算器66(図2)にレンジ訂正として印加される際には、目標物体を、図7の領域(c)から領域(a)に再び配置し、セントロイドは、再び、周波数ビンを占め、ゼロの速度トラッキング・エラーを示す。
    【0031】
    図7の領域(d)のように、レンジ及びドップラ速度の両方のエラーの組合せが導入されるときには、この条件の周波数スペクトルは、図11に示されている。 従って、ここでは、スプリット・ゲート比率の平均は、周波数ビン6に対応する+A 3 (セントロイド)である。 よって、再び、レンジ・トラッキング・エラー信号ε Rは、レンジ・ゲーティング信号とDDS38の遅延τとの両方を変更する。 すなわち、セントロイドの計算されたレンジは、図7の前の領域(c)に対する場合と同じであり、同じ真のレンジ・エラー成分を想定する。 レンジ・トラッキング・エラー信号は、表示物体16を、領域(b)への対角線に沿って、領域(d)に移動させる。 残留(residual)速度すなわち速度エラー・トラッキング信号Δ VEL =bin+3は、VCO82の出力において生じる周波数を変更し、よって、物体16を領域(b)から領域(a)に再配置する。 従って、レンジ/ドップラ・エラー・カップリングは、スプリット・ゲート、レンジ・トラッキング・エラー信号の応答がドップラ又は速度トラッキング・エラー信号に対して曖昧でないという事実のために解消される。
    【0032】
    上述のように、方位角及び仰角チャンネルΔAZ、ΔELにおける信号は、示されてはいないが従来型の角度トラッキング・システムによって用いられる。 しかし、ここで、散乱点S 1 −S mの中の任意の1つの点、すなわち、物体に関連する点、例えば、反射エネルギのセントロイドを、トラッキングの対象として選択することができる。 例えば、物体の先頭部をトラッキングすることを望む場合には、S 1までのレンジに対応する周波数ビンでの方位角及び仰角チャンネルΔAZ、ΔELにおける信号が選択され、方位角トラッキング信号(ΔAZ/Σ)と仰角トラッキング信号(ΔEL/Σ)とを生じる。 同様に、最後部をトラッキングすることを望む場合には、S mまでのレンジに対応する周波数ビンでの方位角及び仰角チャンネルΔAZ、ΔELにおける信号が選択され、方位角トラッキング信号(ΔAZ/Σ)と仰角トラッキング信号(ΔEL/Σ)とを生じる。
    【0033】
    最初の較正フェーズの間は、点目標(図示せず)が、レーダ・システム10(図1)の前面に置かれる。 DDS38が付勢されて、図3Aに示されるような一連の増加する周波数が生じる。 受信機14は、点目標からの反射を処理する。 ステップ・サイズδが、次に、各ステップに対して変更され(すなわち、調整され)、Σ、ΔEL、ΔAZチャンネルのゲイン及び位相における不均衡によって生じる不所望のレンジ・サイドローブを最小にする。
    【0034】
    これ以外の実施例も、冒頭の特許請求の範囲の精神と範囲とに含まれる。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】本発明によるレーダ・システムのブロック図である。
    【図2】図1のレーダ・システムの更に詳細なブロック図である。
    【図3】AからDまであり、これらは、図1のレーダ・システムの動作を理解するのに有用である。 Aは、レーダ・システムによって送信された一連のパルスの搬送周波数の時間履歴である。 Bは、送信されたレーダ・パルスを反射する物体の散乱点からのレーダ・リターンの時間履歴である。 Cは、小さなレンジ・エラーを有する散乱点の特定の1つの送信パルスと受信パルスとの位相差の代表的な時間履歴である。 Dは、図1及び図2での、レーダ・システムから異なるレンジにある散乱点に対する送信パルスと受信パルスとの位相の変化率の間の関係を示す図である。
    【図4】AからHまであり、図1及び図2のレーダ・システムの動作を理解するのに有用な時間履歴である。
    【図5】図1及び図2のレーダ・システムの、和チャンネルΣにおけるリターンの周波数スペクトルを示す図である。
    【図6】図1及び図2のレーダ・システムで生じ、和チャンネルΣにおけるスペクトルによって正規化されたバイポーラ・レンジ・エラー信号SGにおけるリターンの周波数スペクトルを示す図であり、これと共に、図1及び図2のレーダ・システムで用いられるレンジ・トラッキング・エラー信号ε Rを決定するネットワークも示されている。
    【図7】図1及び図2のレーダ・システムを理解するのに有用な図であり、図1の散乱点を生じる物体の4つの異なる条件を示している。 この4つの条件は、以下の通りである。 (1)物体のトラッキングにおいて、レンジ及び速度トラッキング・エラーがゼロである場合であり、ここでは、物体のレンジ・トラッキング・エラーがゼロε R =0であり、速度トラッキング・エラーもゼロΔ VEL =0であるから、「静止した」物体と称される。 (2)物体が、レンジ・トラッキング・エラーと速度トラッキング・エラーとを有しない場合。 (3)目標が、レンジ・トラッキング・エラーは有するが、速度トラッキング・エラーは有しない場合。 (4)物体が、レンジ・トラッキング・エラーと速度トラッキング・エラーとを有する場合。
    【図8】物体が静止している、すなわち、ε R =0でありΔ VEL =0である条件の下での周波数スペクトルを示している。
    【図9】物体が、レンジ・トラッキング・エラーを有さず、すなわち、ε R =0であり、速度トラッキング・エラーは有する条件の下での周波数スペクトルを示している。
    【図10】物体が、レンジ・トラッキング・エラーを有し、速度トラッキング・エラーは有さない条件の下での周波数スペクトルを示している。
    【図11】物体が、レンジ・トラッキング・エラーと速度トラッキング・エラーとを有する条件の下での周波数スペクトルを示している。

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