FMCWレーダ装置

申请号 JP2016085105 申请日 2016-04-21 公开(公告)号 JP2017194369A 公开(公告)日 2017-10-26
申请人 三菱電機株式会社; 发明人 合田 雄一;
摘要 【課題】ペアリング誤りを低減することが可能なFMCWレーダ装置を得る。 【解決手段】第1のチャープ期間における第1のピーク周 波数 変化量と、第2のチャープ期間における第2のピーク周波数変化量とを用いて、第1のチャープ期間における第1の仮距離と第2のチャープ期間における第2の仮距離とを算出し、第1の仮距離と第2の仮距離との差が設定閾値以下の場合、今回処理周期での第1のピーク周波数と第2のピーク周波数とをペアリングするように構成されている。 【選択図】図4
权利要求

第1のチャープ期間および第2のチャープ期間が設けられた送信信号を生成する送信信号生成器と、 前記送信信号を空間に放射する送信器と、 ターゲットから反射された前記送信信号を受信することで受信信号を取得する受信器と、 前記受信信号と前記送信信号とを混合することでビート信号を生成するビート信号生成器と、 信号処理器と、 を備え、 前記信号処理器は、 前記第1のチャープ期間における前記ビート信号を周波数分析することで第1のビート周波数分布を生成し、前記第2のチャープ期間における前記ビート信号を周波数分析することで第2のビート周波数分布を生成するビート周波数分布生成部と、 前記第1のビート周波数分布から第1のピーク周波数を検出し、前記第2のビート周波数分布から第2のピーク周波数を検出するピーク検出部と、 今回処理周期での前記第1のピーク周波数と、前記今回処理周期よりも前の前回処理周期での前記第1のピーク周波数とから、第1のピーク周波数変化量を算出し、前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数と、前記前回処理周期での前記第2のピーク周波数とから第2のピーク周波数変化量を算出するピーク周波数変化量算出部と、 前記第1のピーク周波数変化量と前記第2のピーク周波数変化量とから、距離変化量と相対速度変化量とを算出し、前記距離変化量と前記相対速度変化量とから、前記今回処理周期での相対速度推定値を算出し、前記相対速度推定値と前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数とから、第1の仮距離を算出し、前記相対速度推定値と前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数とから、第2の仮距離を算出し、前記第1の仮距離と前記第2の仮距離との差が設定閾値以下の場合、前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数と前記第2のピーク周波数とをペアリングするペアリング部と、 を有するFMCWレーダ装置。前記第1のチャープ期間は、アップチャープ期間であり、 前記第2のチャープ期間は、ダウンチャープ期間である 請求項1に記載のFMCWレーダ装置。前記第2のチャープ期間は、前記第1のチャープ期間と距離分解能または相対速度分解能が異なる 請求項1に記載のFMCWレーダ装置。前記ピーク検出部は、 前記第1のビート周波数分布および前記第2のビート周波数分布のそれぞれの周波数に周波数ビン番号が割り当てられているとき、前記第1のビート周波数分布から第1のピーク周波数ビン番号を前記第1のピーク周波数として検出し、前記第2のビート周波数分布から第2のピーク周波数ビン番号を前記第2のピーク周波数として検出する 請求項1から3のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置。前記ピーク検出部は、 前記第1のビート周波数分布および前記第2のビート周波数分布のそれぞれの周波数に周波数ビン番号が割り当てられているとき、前記第1のビート周波数分布から仮の第1のピーク周波数ビン番号を検出し、前記仮の第1のピーク周波数ビン番号から、周波数分解能よりも小さい単位で真の第1のピーク周波数ビン番号を推定し、前記真の第1のピーク周波数ビン番号を前記第1のピーク周波数として検出し、前記第2のビート周波数分布から仮の第2のピーク周波数ビン番号を検出し、前記仮の第2のピーク周波数ビン番号から、周波数分解能よりも小さい単位で真の第2のピーク周波数ビン番号を推定し、前記真の第2のピーク周波数ビン番号を前記第2のピーク周波数として検出する 請求項1から3のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置。前記ピーク周波数変化量算出部は、 前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数と、前記前回処理周期での前記第1のピーク周波数との差を前記第1のピーク周波数変化量として算出し、前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数と、前記前回処理周期での前記第2のピーク周波数との差を前記第2のピーク周波数変化量として算出する 請求項1から5のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置。前記ピーク周波数変化量算出部は、 前記前回処理周期での前記第1のピーク周波数および前記第2のピーク周波数のそれぞれと、前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数および前記第2のピーク周波数のそれぞれとに対して時系列的な処理を施すことで、前記第1のピーク周波数変化量および前記第2のピーク周波数変化量を算出する 請求項1から5のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置。前記ピーク周波数変化量算出部は、前記時系列的な処理として、毎回の処理周期において、 前記前回処理周期での平滑後の第1のピーク周波数および平滑後の第1のピーク周波数変化量から、前記今回処理周期での第1の予測ピーク周波数を予測し、前記前回処理周期での平滑後の第2のピーク周波数および平滑後の第2のピーク周波数変化量から、前記今回処理周期での第2の予測ピーク周波数を予測し、 前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数と、前記第1の予測ピーク周波数との間で相関を取り、前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数と、前記第2の予測ピーク周波数との間で相関を取り、 相関が取れた前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数と、前記第1の予測ピーク周波数とに対して、追尾フィルタ処理を施すことで、前記平滑後の第1のピーク周波数および前記平滑後の第1のピーク周波数変化量を算出し、相関が取れた前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数と、前記第2の予測ピーク周波数とに対して、前記追尾フィルタ処理を施すことで、前記平滑後の第2のピーク周波数および前記平滑後の第2のピーク周波数変化量を算出し、 前記平滑後の第1のピーク周波数を前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数とし、前記平滑後の第2のピーク周波数を前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数とする 請求項7に記載のFMCWレーダ装置。

第1のチャープ期間および第2のチャープ期間が設けられた送信信号を生成する送信信号生成器と、 前記送信信号を空間に放射する送信器と、 ターゲットから反射された前記送信信号を受信することで受信信号を取得する受信器と、 前記受信信号と前記送信信号とを混合することでビート信号を生成するビート信号生成器と、 信号処理器と、 を備え、 前記信号処理器は、 前記第1のチャープ期間における前記ビート信号を周波数分析することで第1のビート周波数分布を生成し、前記第2のチャープ期間における前記ビート信号を周波数分析することで第2のビート周波数分布を生成するビート周波数分布生成部と、 前記第1のビート周波数分布から第1のピーク周波数を検出し、前記第2のビート周波数分布から第2のピーク周波数を検出するピーク検出部と、 今回処理周期での前記第1のピーク周波数と、前記今回処理周期よりも前の前回処理周期での前記第1のピーク周波数とから、第1のピーク周波数変化量を算出し、前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数と、前記前回処理周期での前記第2のピーク周波数とから第2のピーク周波数変化量を算出するピーク周波数変化量算出部と、 前記第1のピーク周波数変化量と前記第2のピーク周波数変化量の両方を使って、距離変化量と相対速度変化量とを算出し、前記距離変化量と前記相対速度変化量とから、前記今回処理周期での相対速度推定値を算出し、前記相対速度推定値と前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数とから、第1の仮距離を算出し、前記相対速度推定値と前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数とから、第2の仮距離を算出し、前記第1の仮距離と前記第2の仮距離との差が設定閾値以下の場合、前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数と前記第2のピーク周波数とをペアリングするペアリング部と、 を有するFMCWレーダ装置。前記第1のチャープ期間は、アップチャープ期間であり、 前記第2のチャープ期間は、ダウンチャープ期間である 請求項1に記載のFMCWレーダ装置。前記第2のチャープ期間は、前記第1のチャープ期間と距離分解能または相対速度分解能が異なる 請求項1に記載のFMCWレーダ装置。前記ピーク検出部は、 前記第1のビート周波数分布および前記第2のビート周波数分布のそれぞれの周波数に周波数ビン番号が割り当てられているとき、前記第1のビート周波数分布から第1のピーク周波数ビン番号を前記第1のピーク周波数として検出し、前記第2のビート周波数分布から第2のピーク周波数ビン番号を前記第2のピーク周波数として検出する 請求項1から3のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置。前記ピーク検出部は、 前記第1のビート周波数分布および前記第2のビート周波数分布のそれぞれの周波数に周波数ビン番号が割り当てられているとき、前記第1のビート周波数分布から仮の第1のピーク周波数ビン番号を検出し、前記仮の第1のピーク周波数ビン番号から、周波数分解能よりも小さい単位で真の第1のピーク周波数ビン番号を推定し、前記真の第1のピーク周波数ビン番号を前記第1のピーク周波数として検出し、前記第2のビート周波数分布から仮の第2のピーク周波数ビン番号を検出し、前記仮の第2のピーク周波数ビン番号から、周波数分解能よりも小さい単位で真の第2のピーク周波数ビン番号を推定し、前記真の第2のピーク周波数ビン番号を前記第2のピーク周波数として検出する 請求項1から3のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置。前記ピーク周波数変化量算出部は、 前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数と、前記前回処理周期での前記第1のピーク周波数との差を前記第1のピーク周波数変化量として算出し、前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数と、前記前回処理周期での前記第2のピーク周波数との差を前記第2のピーク周波数変化量として算出する 請求項1から5のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置。前記ピーク周波数変化量算出部は、 前記前回処理周期での前記第1のピーク周波数および前記第2のピーク周波数のそれぞれと、前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数および前記第2のピーク周波数のそれぞれとに対して時系列的な処理を施すことで、前記第1のピーク周波数変化量および前記第2のピーク周波数変化量を算出する 請求項1から5のいずれか1項に記載のFMCWレーダ装置。前記ピーク周波数変化量算出部は、前記時系列的な処理として、毎回の処理周期において、 前記前回処理周期での平滑後の第1のピーク周波数および平滑後の第1のピーク周波数変化量から、前記今回処理周期での第1の予測ピーク周波数を予測し、前記前回処理周期での平滑後の第2のピーク周波数および平滑後の第2のピーク周波数変化量から、前記今回処理周期での第2の予測ピーク周波数を予測し、 前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数と、前記第1の予測ピーク周波数との間で相関を取り、前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数と、前記第2の予測ピーク周波数との間で相関を取り、 相関が取れた前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数と、前記第1の予測ピーク周波数とに対して、追尾フィルタ処理を施すことで、前記平滑後の第1のピーク周波数および前記平滑後の第1のピーク周波数変化量を算出し、相関が取れた前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数と、前記第2の予測ピーク周波数とに対して、前記追尾フィルタ処理を施すことで、前記平滑後の第2のピーク周波数および前記平滑後の第2のピーク周波数変化量を算出し、 前記平滑後の第1のピーク周波数を前記今回処理周期での前記第1のピーク周波数とし、前記平滑後の第2のピーク周波数を前記今回処理周期での前記第2のピーク周波数とする 請求項7に記載のFMCWレーダ装置。

说明书全文

本発明は、対象となる物体(以下、ターゲットと呼ぶ)の距離、相対速度、度などを測定するFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダ装置に関するものである。

従来から、FMCWレーダ装置は、車載用レーダ装置として活用されており、例えば、FMCWレーダ装置によって測定されるターゲットの距離、相対速度、角度などの測定結果は、自車両が前方の障害物に衝突した際の被害を軽減する衝突被害軽減ブレーキシステム(CMB:Collision Mitigation Brake)、前方の車両に追従するアダプティブクルーズコントロールシステム(ACC:Adaptive Cruise Control)などで使用されている。

従来のFMCWレーダ装置では、時間経過につれて送信信号の周波数が高くなるアップチャープ期間と時間経過につれて送信信号の周波数が低くなるダウンチャープ期間を設け、アップチャープ期間とダウンチャープ期間で検出されたピークをペアリングすることによって、ターゲットの距離、相対速度などを計算する方法が知られている。

しかしながら、特に車載環境においては、ガードレール、車両、人、壁などの多数の反射物体が道路上に存在しており、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間に、反射物体の数の分だけの反射が得られる。したがって、ペアリングの際に誤ったピークとペアを取る可能性があり、その結果として、本来存在しないはずのターゲットを誤検出したり、本来存在するはずのターゲットを検出できなかったりする可能性がある。

ここで、FMCWレーダにおけるペアリング誤りを低減する方法としては、受信信号の周波数スペクトルに表れるピークの強度がほぼ同一である組み合わせを同一物標によるものとしてペアリングする方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。

また、ビート周波数の追尾処理を行い、ビート周波数時系列データからターゲットの距離および距離変化量を算出することで、ペアリング誤りを低減する方法が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。

特開平4−343084号公報

特開2010−19824号公報

特開2012−068035号公報

しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。 特許文献1に記載の従来技術では、ピークの強度を用いてペアリングを行うので、ピークの強度が似通った反射が複数ある場合には正しいペアが得られない可能性がある。

また、特許文献2に記載の従来技術では、ビート周波数の追尾処理により、ペアリング前にターゲットの距離および距離変化率を計算したうえで、ペアリングを行うことで、ペアリング精度の向上を図っている。しかしながら、等速直線運動を仮定しているので、自車両およびターゲットが加減速して、ビート周波数の追尾処理によって計算された距離および相対速度に誤差を生じた場合、アップチャープ期間における距離および相対速度と、ダウンチャープ期間における距離および相対速度との差が大きくなる。その結果、正しくペアリングを行うことができないという問題がある。

本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ペアリング誤りを低減することが可能なFMCWレーダ装置を得ることを目的とする。

本発明におけるFMCWレーダ装置は、第1のチャープ期間および第2のチャープ期間が設けられた送信信号を生成する送信信号生成器と、送信信号を空間に放射する送信器と、ターゲットから反射された送信信号を受信することで受信信号を取得する受信器と、受信信号と送信信号とを混合することでビート信号を生成するビート信号生成器と、信号処理器と、を備え、信号処理器は、第1のチャープ期間におけるビート信号を周波数分析することで第1のビート周波数分布を生成し、第2のチャープ期間におけるビート信号を周波数分析することで第2のビート周波数分布を生成するビート周波数分布生成部と、第1のビート周波数分布から第1のピーク周波数を検出し、第2のビート周波数分布から第2のピーク周波数を検出するピーク検出部と、今回処理周期での第1のピーク周波数と、今回処理周期よりも前の前回処理周期での第1のピーク周波数とから、第1のピーク周波数変化量を算出し、今回処理周期での第2のピーク周波数と、前回処理周期での第2のピーク周波数とから第2のピーク周波数変化量を算出するピーク周波数変化量算出部と、第1のピーク周波数変化量と第2のピーク周波数変化量とから、距離変化量と相対速度変化量とを算出し、距離変化量と相対速度変化量とから、今回処理周期での相対速度推定値を算出し、相対速度推定値と今回処理周期での第1のピーク周波数とから、第1の仮距離を算出し、相対速度推定値と今回処理周期での第2のピーク周波数とから、第2の仮距離を算出し、第1の仮距離と第2の仮距離との差が設定閾値以下の場合、今回処理周期での第1のピーク周波数と第2のピーク周波数とをペアリングするペアリング部と、を有するものである。

本発明によれば、ペアリング誤りを低減することが可能なFMCWレーダ装置を得ることができる。

本発明の実施の形態1におけるFMCWレーダ装置の構成を示すブロック図である。

本発明の実施の形態1における送信信号生成器によって生成される送信信号の変調パターンの一例を示す説明図である。

本発明の実施の形態1における送信信号生成器によって生成される送信信号の波形を示す説明図である。

本発明の実施の形態1における信号処理器の構成を示すブロック図である

以下、本発明によるFMCWレーダ装置を、好適な実施の形態にしたがって図面を用いて説明する。なお、図面の説明においては、同一部分または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、実施の形態では、FMCWレーダ装置が自車両に搭載される場合を例示する。

実施の形態1. 図1は、本発明の実施の形態1におけるFMCWレーダ装置1の構成を示すブロック図である。なお、図1では、FWCWレーダ装置1が搭載されている自車両の走行速度を観測する走行速度センサ2と、その自車両のヨーレートを観測するヨーレートセンサ3と、その自車両を制御する車両制御装置4も併せて図示されている。

図1におけるFMCWレーダ装置1は、制御器11、送信信号生成器12、送信器13、受信器14、ビート信号生成器15、A/D変換器16および信号処理器17を備える。なお、本実施の形態1では、FMCWレーダ装置1は、アンテナ構成および測角処理に依存するものではないが、1つのアンテナTx1と、2つのアンテナRx1,Rx2とを備えた位相モノパルス方式のFMCWレーダ装置としてFMCWレーダ装置1を構成する場合を例示する。

制御器11は、後述するVCO制御信号、送信制御信号、A/D制御信号および信号処理制御信号を出することで、FMCWレーダ装置1の各構成要素の動作タイミングなどを制御する。制御器11は、例えば、専用のロジック回路、汎用のCPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)の少なくとも1つを用いて構成されている。また、制御器11は、データ記憶回路、すなわちメモリに記憶されたプログラムを実行するように構成されている。

送信信号生成器12は、VCO(Voltage Controlled Oscillator)121および送信制御アンプ122を有する。VCO121は、制御器11から入力されたVCO制御信号、すなわち、VCO121の制御電圧に応じて、時間的に周波数が変化するように変調された送信信号を生成する。また、VCO121は、生成した送信信号を送信制御アンプ122に出力する。

ここで、送信信号の変調パターンの一例について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施の形態1における送信信号生成器12によって生成される送信信号の変調パターンの一例を示す説明図である。なお、図2において、横軸は、時間であり、縦軸は、周波数である。

図2に示すように、送信信号には、予め設定された一定の観測期間内で、第1のチャープ期間としてのアップチャープ期間と、第2のチャープ期間としてのダウンチャープ期間とが設けられている。アップチャープ期間では、時間経過につれて送信信号の周波数が高くなり、その周波数は、予め設定された変調時間および変調周波数幅で変調される。ダウンチャープ期間では、時間経過につれて送信信号の周波数が低くなり、その周波数は、予め設定された変調時間および変調周波数幅で変調される。

なお、本実施の形態1では、図2に示すように、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間が送信信号に設けられる場合を主に説明する。しかしながら、送信信号において、必ずしもアップチャープ期間およびダウンチャープ期間の両方を設ける必要があるわけではなく、後述するように、少なくとも距離分解能または相対速度分解能の異なるチャープの組み合わせを設ければよい。

ここで、距離分解能または相対速度分解能は、後述するように変調時間または変調周波数幅によって決定される。そこで、送信信号において、例えば、変調時間および変調周波数幅の異なる複数のアップチャープ期間を設けてもよいし、変調時間および変調周波数幅の異なる複数のダウンチャープ期間を設けてもよい。

図1の説明に戻り、送信制御アンプ122は、制御器11から入力された送信制御信号に応じて、VCO121から入力された送信信号を既定の大きさに増幅し、増幅後の送信信号を送信器13およびビート信号生成器15に出力する。

このように、送信信号生成器12は、第1のチャープ期間としてのアップチャープ期間と、第2のチャープ期間としてのダウンチャープ期間とが設けられた送信信号を生成し、その送信信号を送信器13およびビート信号生成器15に出力する。

送信器13は、アンテナTx1を有する。受信器14は、アンテナRx1およびアンテナRx2を有する。

アンテナTx1は、送信制御アンプ122から入力された増幅後の送信信号を空間へ送信する。空間へ送信された送信信号としての電磁波は、ターゲット(図示せず)に照射され、ターゲットから反射された電磁波は、各アンテナRx1,Rx2によって受信される。

各アンテナRx1,Rx2は、受信した電磁波を受信信号としてビート信号生成器15に出力する。

このように、送信器13は、送信信号を空間に放射し、受信器14は、ターゲットから反射された送信信号を受信することで受信信号を取得する。

ビート信号生成器15は、ミキサ151、ミキサ152、分配回路153およびフィルタリング回路154を有する。

ミキサ151は、アンテナRx1から入力された受信信号と、送信制御アンプ122から分配回路153を介して入力された送信信号とから、ビート信号を生成し、そのビート信号をフィルタリング回路154に出力する。同様に、ミキサ152は、アンテナRx2から入力された受信信号と、送信制御アンプ122から分配回路153を介して入力された送信信号とから、ビート信号を生成し、そのビート信号をフィルタリング回路154に出力する。

フィルタリング回路154は、帯域通過フィルタ(BPF:Band−Pass Filter)およびアンプによって構成される。フィルタリング回路154は、各ミキサ151,152から入力されたビート信号に対してフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理後のビート信号をA/D変換器16に出力する。フィルタリング処理が行われることで、ビート信号は、BPFによってレーダの検知に不要な低い周波数成分と、高い周波数成分とが抑圧され、アンプによって規定の大きさに増幅される。

このように、ビート信号生成器15は、受信信号と送信信号とを混合することでビート信号を生成する。

A/D変換器16は、制御器11から入力されたA/D制御信号に従って、フィルタリング回路154から入力された各ビート信号の電圧値をA/D変換し、A/D変換後の信号を信号処理器17に出力する。具体的には、A/D変換器16は、アンテナRx1に対応するビート信号の電圧値と、アンテナRx2に対応するビート信号の電圧値とを、既定のサンプリング周波数およびサンプリング点数でA/D変換する。

A/D変換器16から信号処理器17へ入力される信号は、A/D変換後のデジタルデータであり、具体的には、アップチャープ期間におけるビート信号のデジタルデータD_U_Rx1,D_U_Rx2と、ダウンチャープ期間におけるビート信号のデジタルデータD_D_Rx1,D_D_Rx2である。デジタルデータD_U_Rx1,D_D_Rx1は、アンテナRx1に対応し、デジタルデータD_U_Rx2,D_D_Rx2は、アンテナRx2に対応する。

制御器11は、A/D変換器16によるA/D変換が完了した後、信号処理制御信号を信号処理器17に出力する。信号処理器17は、制御器11から入力された信号処理制御信号に従って、A/D変換器16によって入力されたA/D変換後のデジタルデータに対してレーダ信号処理を行うことで、ターゲットの距離、相対速度、角度などの情報をターゲット情報として算出する。また、信号処理器17は、算出したターゲット情報を車両制御装置4に出力する。なお、信号処理器17は、走行速度センサ2、ヨーレートセンサ3などによって観測された車両情報を使用して、ターゲット情報を算出するように構成されていてもよい。

予め設定された処理周期T[s]でFMCWレーダ装置1の各構成要素を制御器11が動作させることで、ターゲット情報が周期的に出力される。なお、処理周期Tとしては、例えば、100[ms]とすればよい。

上記のように制御器11を構成する場合、処理周期Tごとの送信信号の波形は、図3に示すとおりとなる。図3は、本発明の実施の形態1における送信信号生成器12によって生成される送信信号の波形を示す説明図である。図3に示すように、処理周期Tで、アップチャープ期間とダウンチャープ期間が繰り返される。

車両制御装置4は、信号処理器17から入力されたターゲット情報を基に、CMB、ACCなどといった各種制御用アプリケーションを動作させる。

次に、信号処理器17について、図4を参照しながらさらに説明する。図4は、本発明の実施の形態1における信号処理器17の構成を示すブロック図である。図4における信号処理器17は、ビート周波数分布生成部171、ピーク検出部172、ピーク周波数変化量算出部173、ペアリング部174、追尾処理部175および制御対象選択部176を有する。

ビート周波数分布生成部171は、A/D変換器16から入力されたA/D変換後の各デジタルデータに対して、窓関数乗算、FFT(Fast Fourier Transform)などの周波数分析処理を行うことで、そのA/D変換後の各デジタルデータに対応する各ビート周波数分布を生成する。また、ビート周波数分布生成部171は、生成した各ビート周波数分布をピーク検出部172に出力する。

具体的には、ビート周波数分布生成部171は、A/D変換器16から入力されたデジタルデータD_U_Rx1に対して、周波数分析処理を行うことで、アップチャープ期間におけるビート信号のビート周波数分布FD_U_Rx1を生成する。同様に、ビート周波数分布生成部171は、デジタルデータD_U_Rx2に対して、周波数分析処理を行うことで、アップチャープ期間におけるビート信号のビート周波数分布FD_U_Rx2を生成する。

また、ビート周波数分布生成部171は、デジタルデータD_D_Rx1に対して、周波数分析処理を行うことで、ダウンチャープ期間におけるビート信号のビート周波数分布FD_D_Rx1を生成する。同様に、ビート周波数分布生成部171は、デジタルデータD_D_Rx2に対して、周波数分析処理を行うことで、ダウンチャープ期間におけるビート信号のビート周波数分布FD_D_Rx2を生成する。

ここで、ビート周波数分布生成部171によって生成される各ビート周波数分布は、FFT処理後の信号の分布であるので、離散的な周波数分布となる。以降では、FFT処理後の信号の各サンプルを周波数ビンと呼ぶ。各周波数ビンには、周波数ビン番号が割り当てられている。

なお、FFT処理を行う際の周波数分解能が高いほど、後述するピーク周波数変化量算出部173は、ピーク周波数変化量をより精度良く算出することができる。その結果、後述するペアリング部174によるベアリングの精度をより向上させることができる。

このように、ビート周波数分布生成部171は、第1のチャープ期間としてのアップチャープ期間におけるビート信号を周波数分析することで、第1のビート周波数分布を生成する。また、ビート周波数分布生成部171は、第2のチャープ期間としてのダウンチャープ期間におけるビート信号を分析することで、第2のビート周波数分布を生成する。

ピーク検出部172は、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間の各期間においてターゲットからの反射波を検出するために、ビート周波数分布生成部171から入力された各ビート周波数分布から、ピークとなる周波数ビン(以下、ピーク周波数ビンと呼ぶ)を検出する。具体的には、ピーク検出部172は、例えば、各ビート周波数分布において、パワーが極大で、かつ予め設定された閾値よりも大きな周波数ビンを抽出するなどして、その周波数ビンをピーク周波数ビンとして検出する。

以降では、ピーク周波数ビンの周波数ビン番号をピーク周波数ビン番号と呼ぶ。ピーク周波数ビン番号は、反射点が複数ある場合には、複数得られる。

上記のように構成することで、アンテナRx1,Rx2ごとにアップチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号が得られるとともに、アンテナRx1,Rx2ごとにダウンチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号が得られる。

なお、ピーク検出部172は、ターゲットからの反射波に相当するピーク周波数ビンを得ることが可能な構成であれば、上記の構成に限定されず、どのような構成でもあってもよい。例えば、ピーク検出部172の構成の別例として、以下の例が挙げられる。

第1の例として、ピーク検出部172は、ビート周波数分布FD_U_Rx1から各周波数成分の振幅を計算し、ビート周波数分布FD_U_Rx2から各周波数成分の振幅を計算し、それらを加算することで、アップチャープ期間における加算後のビート周波数分布を計算する。続いて、ピーク検出部172は、加算後のビート周波数分布から、パワーが極大で、かつ予め設定された閾値よりも大きな周波数ビンを抽出するなどして、その周波数ビンをピーク周波数ビンとして検出する。

第2の構成例として、2以上の複数のアンテナを配置し、公知のDBF(Digital Beam Forming)を適用することで、ピーク検出部172は、アップチャープ期間におけるDBF後のビート周波数分布を計算する。続いて、ピーク検出部172は、DBF後のビート周波数分布から、パワーが極大で、かつ予め設定された閾値よりも大きな周波数ビンを抽出するなどして、その周波数ビンをピーク周波数ビンとして検出する。

なお、特許文献3に記載されている従来技術、すなわち、FFTのサンプル間を補間してより高精度にピーク周波数を計算する方法を適用してピーク周波数ビンを検出するようにピーク検出部172を構成してもよい。すなわち、ピーク検出部172は、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間のそれぞれにおけるビート周波数分布が離散的な周波数ビン番号ごとの振幅として得られているときに、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間のそれぞれのビート周波数分布の中において、振幅が予め設定された閾値を上回っており、かつ、前後の周波数ビン番号と比較して少なくとも極大値であることを条件として、その条件を満たした周波数ビン番号を仮のピーク周波数として検出する。続いて、ピーク検出部172は、検出された仮のピーク周波数の前後のビン番号の振幅から、周波数分解能より小さい単位で、真の周波数ピークを推定し、推定された真のピーク周波数をピーク周波数ビンとして検出する。

このように、ピーク検出部172は、第1のビート周波数分布および第2のビート周波数分布のそれぞれの周波数に周波数ビン番号が割り当てられているとき、第1のビート周波数分布から仮の第1のピーク周波数ビン番号を検出し、仮の第1のピーク周波数ビン番号から、周波数分解能よりも小さい単位で真の第1のピーク周波数ビン番号を推定し、真の第1のピーク周波数ビン番号を前記第1のピーク周波数として検出する。また、ピーク検出部172は、第2のビート周波数分布から仮の第2のピーク周波数ビン番号を検出し、仮の第2のピーク周波数ビン番号から、周波数分解能よりも小さい単位で真の第2のピーク周波数ビン番号を推定し、真の第2のピーク周波数ビン番号を第2のピーク周波数として検出する。

上記のようにピーク検出部173を構成することで、後述するピーク周波数変化量算出部173は、ピーク周波数変化量をより精度良く算出することができる。その結果、後述するペアリング部174によるベアリングの精度をより向上させることができる。

以上の構成例のように、ピーク検出部172は、第1のビート周波数分布から第1のピーク周波数を検出し、第2のビート周波数分布から第2のピーク周波数を検出する。

なお、本実施の形態1では、第1のビート周波数分布および第2のビート周波数分布のそれぞれの周波数に周波数ビン番号が割り当てられているケースを例示している。このケースの場合、ピーク検出部172は、第1のビート周波数分布から第1のピーク周波数ビン番号を第1のピーク周波数として検出し、第2のビート周波数分布から第2のピーク周波数ビン番号を第2のピーク周波数として検出する。

ピーク周波数変化量算出部173は、前回処理周期と今回処理周期との間において、アップチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号の相関を取るとともに、ダウンチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号の相関を取る。続いて、ピーク周波数変化量算出部173は、それらの相関結果から、前回処理周期と今回処理周期で同一のターゲットからの反射波に相当すると考えられるピーク周波数ビン番号の差であるピーク周波数ビン番号変化量を、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間のそれぞれで算出する。

ここで、今回処理周期とは、ターゲットからの反射波がFMCWレーダ装置1によって観測された最新の処理周期のことを指し、前回処理周期とは、今回処理周期より以前の処理周期のことを指す。

例えば、2つのターゲットA,Bが存在する場合において、前回処理周期に相当するn番目の処理周期で、ターゲットA,Bに対応するピーク周波数ビン番号A(n),B(n)が得られ、今回処理周期に相当するn+1番目の処理周期で、ターゲットA,Bに対応するピーク周波数ビン番号A(n+1),B(n+1)が得られているケースを考える。

上記のケースの場合、ピーク周波数変化量算出部173は、ピーク周波数ビン番号A(n),B(n)と、ピーク周波数ビン番号A(n+1),B(n+1)との相関を取る。なお、相関を取る方法としては、例えば、ピーク周波数ビン番号A(n),B(n)と、ピーク周波数ビン番号A(n+1),B(n+1)との間で、ピーク周波数ビン番号の差が予め設定された閾値よりも小さいなどの条件が成立する場合には相関が取れると判断し、その条件が成立しない場合には相関が取れないと判断する方法が挙げられる。

例えば、ピーク周波数ビン番号A(n)とピーク周波数ビン番号A(n+1)との間で相関が取れ、ピーク周波数ビン番号B(n)とピーク周波数ビン番号B(n+1)との間で相関が取れる場合、ピーク周波数変化量算出部173は、以下のように、相関が取れるピーク周波数ビン番号ごとに、ピーク周波数ビン番号変化量を算出する。

ピーク周波数ビン番号変化量A(n+1) =ピーク周波数ビン番号A(n+1)−ピーク周波数ビン番号A(n) ピーク周波数ビン番号変化量B(n+1) =ピーク周波数ビン番号B(n+1)−ピーク周波数ビン番号B(n)

ピーク周波数変化量算出部173は、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間のそれぞれにおいて上記のように計算することで、アップチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号変化量と、ダウンチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号変化量とを、前回処理周期と今回処理周期との間で相関が取れるピーク周波数ビン番号の数だけ計算する。また、ピーク周波数変化量算出部173は、その計算結果をペアリング部174に出力する。

このように、ピーク周波数変化量算出部173は、今回処理周期での第1のピーク周波数と、前回処理周期での第1のピーク周波数とから、第1のピーク周波数変化量を算出する。また、ピーク周波数変化量算出部173は、今回処理周期での第2のピーク周波数と、前回処理周期での第2のピーク周波数とから第2のピーク周波数変化量を算出する。

具体的には、ピーク周波数変化量算出部173は、今回処理周期での第1のピーク周波数と、前回処理周期での第1のピーク周波数との差を第1のピーク周波数変化量として算出する。また、ピーク周波数変化量算出部173は、今回処理周期での第2のピーク周波数と、前回処理周期での第2のピーク周波数との差を第2のピーク周波数変化量として算出する。

ペアリング部174は、ピーク周波数変化量算出部173から入力されたアップチャープ期間およびダウンチャープ期間のそれぞれにおけるピーク周波数ビン番号変化量を用いて、ペアリングを行う。また、ペアリング部174は、そのペアリング結果から、ターゲット情報を算出する。以下、数式を用いながら、ペアリング部174の動作について具体的に説明する。

ここで、FMCWレーダ装置1において、光速をC[m/s]、変調周波数幅をB[Hz]、送信波の波長をλ[m]、周波数分解能をΔf[Hz]とする。この場合、1周波数ビンあたりの距離分解能ΔR[m/ビン]、および1周波数ビンあたりの相対速度分解能ΔV[m/s/ビン]は、以下の式(1)、(2)のように表される。

ΔR=C/(2×B) ・・・(1) ΔV=Δf×λ/2 ・・・(2)

また、FMCWレーダの原理から、n番目の処理周期において、距離R(n)[m]、相対速度V(n)[m/s]のターゲットからの反射波が観測された場合、相対速度の単位について、接近方向をマイナス、離反方向をプラスとすると、ターゲットが接近するときにドップラ効果によってビート周波数が高くなる。したがって、アップチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号U(n)[ビン]、およびダウンチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号D(n)[ビン]は、以下の式(3)、(4)のように表される。

U(n)=−R(n)/ΔR−V(n)/ΔV ・・・(3) D(n)= R(n)/ΔR−V(n)/ΔV ・・・(4)

また、n+1番目の処理周期において、距離R(n+1)[m]、相対速度V(n+1)[m/s]のターゲットからの反射波が観測された場合、上記と同様に考えると、アップチャープのピーク周波数ビン番号U(n+1)[ビン]、およびダウンチャープのピーク周波数ビン番号D(n+1)[ビン]は、以下の式(5)、(6)のように表される。

U(n+1)=−R(n+1)/ΔR−V(n+1)/ΔV ・・・(5) D(n+1)= R(n+1)/ΔR−V(n+1)/ΔV ・・・(6)

続いて、アップチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号変化量dU(=U(n+1)−U(n))と、ダウンチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号変化量dD(=D(n+1)−D(n))とを用いると、式(3)〜(6)から、以下の式(7)、(8)が得られる。 dU=−(R(n+1)−R(n))/ΔR−(V(n+1)−V(n))/ΔV ・・・(7) dD= (R(n+1)−R(n))/ΔR−(V(n+1)−V(n))/ΔV ・・・(8)

また、式(7)、(8)において、R(n+1)−R(n)を処理周期あたりの距離変化量dR[m/周期]、V(n+1)−V(n)を処理周期当たりの相対速度変化量dV[m/s/周期]とおくと、以下の式(9)、(10)が得られる。

dU=−dR/ΔR+dV/ΔV ・・・(9) dD= dR/ΔR+dV/ΔV ・・・(10)

式(9)、(10)において、dUおよびdDは、観測可能な値であり、ΔRおよびΔVは、式(1)、(2)によって決まる固定値である。したがって、式(9)、(10)の連立方程式を解くことで、距離変化量dRおよび相対速度変化量dVを計算することができる。

続いて、処理周期をT[s]とおき、処理周期当たりの相対速度変化量dVが十分小さい場合には、処理周期当たりの距離変化量dRと、相対速度V(n+1)との間において、以下の式(11)に示す関係を満たす。つまり、相対速度V(n+1)は、以下の式(11)に従って、距離変化量dRから計算され、相対速度推定値として推定される。

V(n+1)=dR/T ・・・(11)

ただし、処理周期当たりの相対速度変化量dVが十分小さいといえない場合には、n番目の処理周期〜n+1番目の処理周期Tまでの加速度、すなわち、相対速度変化量dVが一定であると仮定して、距離変化量dRおよび相対速度変化量dVから、相対速度V(n+1)を計算するようにしてもよい。

このように、ペアリング部174は、第1のピーク周波数変化量と第2のピーク周波数変化量とから、距離変化量と相対速度変化量とを算出し、距離変化量と相対速度変化量とから、今回処理周期での相対速度推定値を算出する。

続いて、式(11)を式(5)に代入すると、アップチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号U(n+1)は、以下の式(12)のように表される。

U(n+1)=−R(n+1)/ΔR−(dR/T)/ΔV ・・・(12)

また、式(12)を変形することで、以下の式(13)が得られる。

ΔR×U(n+1)=−R(n+1)−ΔR×(dR/T)/ΔV R(n+1)=−ΔR×U(n+1)−ΔR×(dR/T)/ΔV ・・・(13)

式(13)から分かるように、n+1番目の処理周期の距離R(n+1)は、アップチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号U(n+1)から計算される。この距離R(n+1)をアップチャープ期間における仮距離と呼ぶ。アップチャープ期間における仮距離は、式(13)に従って計算される。

このように、ペアリング部174は、相対速度推定値と今回処理周期での第1のピーク周波数とから、アップチャープ期間における第1の仮距離を算出する。

上記と同様に、式(11)を式(6)に代入すると、ダウンチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号D(n+1)は、以下の式(14)のように表される。

D(n+1)=R(n+1)/ΔR−(dR/T)/ΔV ・・・(14)

また、式(14)を変形することで、以下の式(15)が得られる。

ΔR×D(n+1)=R(n+1)−ΔR×(dR/T)/ΔV R(n+1)=ΔR×D(n+1)+ΔR×(dR/T)/ΔV ・・・(15)

式(15)から分かるように、n+1番目の処理周期の距離R(n+1)は、ダウンチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号D(n+1)から計算される。この距離R(n+1)をダウンチャープ期間における仮距離と呼ぶ。ダウンチャープ期間における仮距離は、式(15)に従って計算される。

このように、ペアリング部174は、相対速度推定値と今回処理周期での第2のピーク周波数とから、ダウンチャープ期間における第2の仮距離を算出する。

ここで、実際には、観測による誤差等の影響で、アップチャープ期間における仮距離と、ダウンチャープ期間における仮距離との間には、差があると考えられる。

そこで、ペアリング部174は、アップチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号と、ダウンチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号のペアリングを行う際に、そのアップチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号を用いてアップチャープ期間における仮距離を計算し、ダウンチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号を用いてダウンチャープ期間における仮距離を計算する。続いて、ペアリング部174は、アップチャープ期間における仮距離とダウンチャープ期間における仮距離との差を計算し、その差が設定閾値以下となる場合に、それらの仮距離に対応するアップチャープ期間およびダウンチャープ期間のそれぞれにおけるピーク周波数ビン番号同士をペアリングする。このように構成することで、誤ペアリングの発生を抑制することが可能となる。

このように、ペアリング部174は、第1の仮距離と第2の仮距離との差が設定閾値以下の場合、今回処理周期での第1のピーク周波数と第2のピーク周波数とをペアリングする。

ペアリング部174は、ペアリングが成立したピーク周波数ビン番号U(n+1)およびピーク周波数ビン番号D(n+1)とから、公知のFMCWレーダ方式のレーダと同様の方法で、以下の式(16)、(17)に従って、距離R(n+1)および相対速度V(n+1)を算出する。

R(n+1)=(−U(n+1)+D(n+1))×ΔR÷2 ・・・(16) V(n+1)=(−U(n+1)−D(n+1))×ΔV÷2 ・・・(17)

なお、ペアリング部174によるペアリングの際には、さらにほかの条件を併用してもよい。条件の例としては、ピーク周波数ビン番号に対応するピークの振幅、電力、角度などが挙げられる。

ここで、上記の角度について、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間のそれぞれにおいて、アンテナRx1の位相と、アンテナRx2の位相とから、位相モノパルス方式によって、角度を算出すればよい。また、他の測角方式、例えば、MUSIC方式(MUltiple Signal Classification)、ESPRIT方式(Estimation of Signal Parameters via Rotetional Invariance Techniques)などを適用可能なハードウェア構成およびソフトウェア構成を採用することで、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間のそれぞれにおいて、角度を算出してもよい。

なお、ペアリング後の角度も、位相モノパルス方式、MUSIC方式、ESPRIT方式などの公知の測角方式を適用すれば、算出可能である。前述のように、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間それぞれで角度が算出されている場合、各チャープ期間の角度を平均化した値をペアリング後の角度としてもよいし、いずれか一方の角度を代表値として選択し、その代表値をペアリング後の角度としてもよい。ただし、上記の測角方式は一例であり、本発明は、測角方式に依存することなく成立する。

なお、本実施の形態1では、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間のそれぞれにおけるピーク周波数ビン番号同士をペアリングする構成する場合を例示している。しかしながら、式(13)、(15)から推測できるように、必ずしもアップチャープ期間およびダウンチャープ期間のそれぞれにおけるピーク周波数ビン番号同士でペアリングするように構成する必要はなく、以下のように構成してもよい。

すなわち、例えば、第1のチャープ期間および第2のチャープ期間のそれぞれにおけるピーク周波数ビン番号同士でペアリングするように構成してもよい。なお、この場合、第1のチャープ期間では、距離分解能がΔR1[m/ビン]、相対速度分解能がΔV1[m/s/ビン]となり、第2のチャープ期間では、距離分解能がΔR2[m/ビン]、相対速度分解能がΔV2[m/s/ビン]となる。また、第2のチャープ期間では、少なくとも距離分解能または相対速度分解能が第1のチャープ期間と異なる。以下、このような構成について、具体的に説明する。

第1のチャープ期間における1周波数ビンあたりの距離分解能をΔR1[m/ビン]、第1のチャープ期間における1周波数ビンあたりの相対速度分解能をΔV1[m/s/ビン]、第2のチャープ期間における1周波数ビンあたりの距離分解能をΔR2[m/ビン]、第2のチャープ期間における1周波数ビンあたりの相対速度分解能をΔV2[m/s/ビン]、n番目の処理周期でのターゲットの距離をR(n)[m]、相対速度をV(n)[m/s]、n+1番目の処理周期でのターゲットの距離をR(n+1)[m]、相対速度をV(n+1)[m/s]とおく。

上記の場合、n番目の処理周期での第1のチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号C1(n)、n番目の処理周期での第2のチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号C2(n)、n+1番目の処理周期での第1のチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号C1(n+1)、n+1番目の処理周期での第2のチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号C2(n+1)は、以下の式(18)〜(21)のように表される。

C1(n)=R(n)/ΔR1+V(n)/ΔV1 ・・・(18) C2(n)=R(n)/ΔR2+V(n)/ΔV2 ・・・(19) C1(n+1)=R(n+1)/ΔR1+V(n+1)/ΔV1 ・・・(20) C2(n+1)=R(n+1)/ΔR2+V(n+1)/ΔV2 ・・・(21)

なお、式(3)〜(6)では、各項に適宜マイナスの係数を乗算していたが、ここでは式を一般化するため、マイナスの係数は必要に応じてΔR1、ΔV1、ΔR2、ΔV2に含まれるものとする。例えば、式(3)、(4)を式(18)、(19)のように表す場合、C1(n)=U(n)、C2(n)=D(n)とすると、ΔR1、ΔV1、ΔR2、ΔV2は、以下の式(22)〜(25)のように表される。

ΔR1=−ΔR ・・・(22) ΔR2= ΔR ・・・(23) ΔV1=−ΔV ・・・(24) ΔV2=−ΔV ・・・(25)

続いて、第1のチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号変化量dC1(=C1(n+1)−C1(n))と、第2のチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号変化量dC2(=C2(n+1)−C2(n))とを用いると、式(18)〜(21)から、以下の式(26)、(27)が得られる。

dC1=dR/ΔR1+dV/ΔV1 ・・・(26) dC2=dR/ΔR2+dV/ΔV2 ・・・(27)

式(26)、(27)において、dC1およびdC2は、観測可能な値であり、ΔR1、ΔR2、ΔV1およびΔV2は、固定値である。したがって、式(26)、(27)の連立方程式を解くことで、距離変化量dRおよび相対速度変化量dVを計算することができる。

以降、式(13)、(15)の導出過程と同様に計算すれば、第1のチャープ期間における仮距離および第2のチャープ期間における仮距離を計算するための式として、式(13)、(15)と同様の式が得られる。このように得られた式に従って、第1のチャープ期間における仮距離は、ピーク周波数ビン番号C1(n+1)から計算され、第2のチャープ期間における仮距離は、ピーク周波数ビン番号C2(n+1)から計算される。

ここまで説明したペアリング部174による処理を実現するためには、ピーク周波数変化量算出部173は、前回処理周期と今回処理周期との間において、同一のターゲットからの反射と考えられるピーク周波数ビン番号の相関を適切に取る必要がある。

ここで、相関を取る方法としては、最もピーク周波数ビン番号の差の小さい前回処理周期でのピーク周波数ビン番号と今回処理周期でのピーク周波数ビン番号は、同一のターゲットからの反射に由来するものであるとして、そのピーク周波数ビン番号の差を計算する方法がある。この方法は、比較的簡単な処理であるので、処理負荷が小さく、メモリ量も抑えることができるというメリットがある。

また、前回処理周期と今回処理周期で総当たり的にピーク周波数ビン番号の差を計算し、ペアリングに利用する方法も挙げられる。この場合、必ずしも同一のターゲットからの反射に由来するとは限らないピーク周波数ビン番号を用いて、ピーク周波数ビン番号の差を計算してしまう。しかしながら、単純にアップチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号と、ダウンチャープ期間におけるピーク周波数ビン番号のすべてを総当たり的にペアリングする構成と比較して、本実施の形態1の構成では、アップチャープ期間における仮距離とダウンチャープ期間における仮距離との差が設定閾値よりも大きい場合、それらの仮距離に対応するアップチャープ期間およびダウンチャープ期間のそれぞれにおけるピーク周波数ビン番号同士をペアリングすることはない。したがって、本実施の形態1の構成では、誤ペアリングの発生を抑制することが可能となる。

なお、特許文献2に記載の周波数軸上で追尾処理を行うような方法を用いて、ピーク周波数ビン番号変化量を算出するように構成してもよい。

すなわち、ピーク周波数変化量算出部173は、毎回の処理周期において、前回処理周期での平滑後のピーク周波数ビン番号および平滑後のピーク周波数ビン番号変化量から、今回処理周期でのピーク周波数ビン番号を予測し、その予測値を予測ピーク周波数ビン番号として算出する。このように、ピーク周波数変化量算出部173は、前回処理周期での平滑後の第1のピーク周波数および平滑後の第1のピーク周波数変化量から、今回処理周期での第1の予測ピーク周波数を予測する。また、ピーク周波数変化量算出部173は、前回処理周期での平滑後の第2のピーク周波数および平滑後の第2のピーク周波数変化量から、今回処理周期での第2の予測ピーク周波数を予測する。

続いて、ピーク周波数変化量算出部173は、今回処理周期でのピーク周波数ビン番号と予測ピーク周波数ビン番号との間で相関を取る。このように、ピーク周波数変化量算出部173は、今回処理周期での第1のピーク周波数と、第1の予測ピーク周波数との間で相関を取る。また、ピーク周波数変化量算出部173は、今回処理周期での第2のピーク周波数と、第2の予測ピーク周波数との間で相関を取る。

続いて、ピーク周波数変化量算出部173は、相関が取れた今回処理周期でのピーク周波数ビン番号と予測ピーク周波数ビン番号とを、追尾フィルタ処理によって平滑することで、平滑後のピーク周波数ビン番号および平滑後のピーク周波数ビン番号変化量を算出する。このように、ピーク周波数変化量算出部173は、相関が取れた今回処理周期での第1のピーク周波数と、第1の予測ピーク周波数とに対して、追尾フィルタ処理を施すことで、平滑後の第1のピーク周波数および平滑後の第1のピーク周波数変化量を算出する。また、ピーク周波数変化量算出部173は、相関が取れた今回処理周期での第2のピーク周波数と、第2の予測ピーク周波数とに対して、追尾フィルタ処理を施すことで、平滑後の第2のピーク周波数および平滑後の第2のピーク周波数変化量を算出する。

続いて、ピーク周波数変化量算出部173は、その平滑後のピーク周波数ビン番号変化量を、今回処理周期でのピーク周波数ビン番号変化量とする。このように、ピーク周波数変化量算出部173は、平滑後の第1のピーク周波数を今回処理周期での第1のピーク周波数とし、平滑後の第2のピーク周波数を今回処理周期での第2のピーク周波数とする。

なお、追尾フィルタ処理は、センサから得られる観測誤差を含んだ、距離、相対速度、角度などの観測値真値を推定するための処理であり、具体的には、αβフィルタ、カルマンフィルタなどが知られている。

このように、ピーク周波数変化量算出部173は、前回処理周期での第1のピーク周波数および第2のピーク周波数のそれぞれと、今回処理周期での第1のピーク周波数および第2のピーク周波数のそれぞれとに対して時系列的な処理を施すことで、第1のピーク周波数変化量および第2のピーク周波数変化量を算出する。

なお、以下に示す方法を用いて、ピーク周波数ビン番号変化量を算出するようにピーク周波数変化量算出部173を構成してもよい。

すなわち、ピーク周波数変化量算出部173は、前回処理周期でペアリングが成立した場合に得られる、その前回処理周期での距離および相対速度をもとに、今回処理周期での距離および相対速度を予測する。続いて、ピーク周波数変化量算出部173は、その予測された距離および相対速度から、式(3)、(4)などに示すFMCWレーダ方式の原理に基づいて、今回処理周期でのピーク周波数ビン番号を予測する。

続いて、ピーク周波数変化量算出部173は、今回処理周期において、その予測されたピーク周波数ビン番号付近にピーク周波数ビン番号が観測されている場合、その観測されたピーク周波数ビン番号は、前回処理周期においてペアリングが成立していたターゲットに由来するものであると仮定して相関を取ることで、1処理周期当たりのピーク周波数ビン番号変化量を算出する。その算出されたピーク周波数ビン番号変化量は、ペアリング部174によるペアリングの際に利用される。

追尾処理部175は、ペアリング後に得られたターゲット情報の観測値について、時系列で相関を取るために公知の追尾処理を行うことで、追尾フィルタによる各観測値の平滑化を行ったり、ターゲットを一時的に検出できなかった場合、補間、外挿などを行ったりする。なお、本実施の形態1では、ターゲット情報を例に挙げたが、必要に応じて極座標から直交座標に座標変換するように構成してもよい。

制御対象選択部176は、車両制御および各種警報を行うために、車両制御装置4における各種アプリケーションにて必要となるターゲットを選択ターゲットとして抽出する。例えば、ACC、CMBなどのような前方用のアプリケーションが車両制御装置4に組み込まれている場合、制御対象選択部176は、走行速度センサ2またはヨーレートセンサ3の検出値によって、自車両の進行方向を推定し、自車両線内に存在するターゲットのうち、最も自車両に近いターゲットを選択ターゲットとして選択する。

なお、本実施の形態1では、走行速度センサ2およびヨーレートセンサ3のみを、注目ターゲット抽出のためのセンサとして記載したが、アプリケーションの仕様に合わせて、注目ターゲットを抽出するために必要なセンサ類は、適宜追加される。

なお、以上のとおり説明した実施の形態1の構成およびその構成の動作に限定されることはなく、本発明の範囲内において、実施の形態1を適宜、変形したり省略したりすることが可能である。

例えば、前述のように、送信器13および受信器14のそれぞれのアンテナの本数は、適宜、増やしたり減らしたりしても、各アンテナの本数に応じて、送信信号生成器12、ビート信号生成器15およびA/D変換器16のそれぞれを構成すれば、本発明は成立する。また、信号処理器17の構成要素の一部または全部を車両制御装置4の中に組み込むといったように、FMCWレーダ装置1の構成要素の一部を分離独立しても、本発明は成立する。

また、本実施の形態1では、処理周期Tが一定時間であるものとして説明したが、必ずしも、処理周期Tが一定である必要はない。処理周期Tが一定でない場合、例えば式(7)、(8)などに従って、処理周期当たりの距離変化量、相対速度変化量およびピーク周波数ビン番号変化量を用いて処理を行っていたものを、単位時間当たりの変化量と置き換えて、処理を構成すればよい。

以上、本実施の形態1によれば、第1のチャープ期間における第1のピーク周波数変化量と、第2のチャープ期間における第2のピーク周波数変化量とを用いて、第1のチャープ期間における第1の仮距離と第2のチャープ期間における第2の仮距離とを算出し、第1の仮距離と第2の仮距離との差が設定閾値以下の場合、今回処理周期での第1のピーク周波数と第2のピーク周波数とをペアリングするように構成されている。これにより、仮距離が大きく離れたピーク周波数同士ではペアが成立しない。したがって、FMCWレーダ装置において、すべての第1のピーク周波数とすべての第2のピーク周波数でペアを取る場合と比較して、ペアリングの誤りの発生頻度を低減することができる。

また、上記の構成において、特許文献1に記載の従来技術のようにピークの強度などの条件と組み合わせて使用してもよい。この場合、特許文献1に記載の従来技術のように、ピークの強度がほぼ同じであったとしても、第1の仮距離と第2の仮距離との差が設定閾値よりも大きければ、誤ペアとして排除することができる。さらに、上記の構成において、等速直線運動を前提とした処理ではないため、自車両およびターゲットが加減速する場合であっても有効である。

1 FMCWレーダ装置、2 走行速度センサ、3 ヨーレートセンサ、4 車両制御装置、11 制御器、12 送信信号生成器、13 送信器、14 受信器、15 ビート信号生成器、16 A/D変換器、17 信号処理器、121 VCO、122 送信制御アンプ、151 ミキサ、152 ミキサ、153 分配回路、154 フィルタリング回路、171 ビート周波数分布生成部、172 ピーク検出部、173 ピーク周波数変化量算出部、174 ペアリング部、175 追尾処理部、176 制御対象選択部。

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