損失性媒体上での誘導表面波モードを使用した表面下のセンシング

申请号 JP2017514536 申请日 2015-09-10 公开(公告)号 JP2017535748A 公开(公告)日 2017-11-30
申请人 シーピージー テクノロジーズ、 エルエルシー; シーピージー テクノロジーズ、 エルエルシー; 发明人 ジェームス エフ. コルム、; ジェームス エフ. コルム、; ケネス エル. コルム、; ケネス エル. コルム、;
摘要 損失性媒体上での誘導表面波モードを使用した遠隔表面センシングのための様々なシステムおよび方法が開示されている。一システムは、他のものの内で、損失性導電性媒体の表面に沿って誘導表面波を発するように構成された誘導表面導波路プローブと、遠隔配置された表面下の対象が誘導表面波による照射を受けて反射した後方散乱を受信するように構成された受信機と、を備えている。一方法は、他のものの内で、誘導表面導波路プローブの帯電 端子 を励起することにより、損失性導電性媒体の表面に沿って誘導表面波を発することと、遠隔配置された表面下の対象が誘導表面波の照射を受けて反射した後方散乱を受信することと、を含んでいる。
权利要求

損失性導電性媒体の表面に沿って誘導表面波を発するように構成された誘導表面導波路プローブと、 遠隔配置された表面下の対象が前記誘導表面波の照射を受けて反射した後方散乱を受信するように構成された受信機と、を備えたシステム。前記誘導表面導波路プローブが、前記損失性導電性媒体に複素ブルースター(θi、B)で入射する入射波面を合成する、少なくとも1つの結果として得られる場を生じるように構成された、損失性導電性媒体上で位置を上げて配置されら帯電端子を備えている、請求項1に記載のシステム。前記帯電端子が、複数の帯電端子の内の1つの帯電端子である、請求項1または請求項2に記載のシステム。前記誘導表面導波路プローブが、帯電端子に電気的に結合した給電ネットワークを備え、前記給電ネットワークが、前記誘導表面導波路プローブの近傍の前記損失性導電性媒体における複素ブルースター角(θi、B)での入射に対応するウェーブチルトの角度(Ψ)に整合する位相遅れ(Φ)を提供する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のシステム。前記帯電端子が、複数の帯電端子の内の1つの帯電端子である、請求項4に記載のシステム。前記給電ネットワークが、複数の電圧の大きさと複数の位相を前記複数の帯電端子に印加して、前記損失性導電性媒体の誘導表面導波モードに実質的に整合する複数の場を合成し、それにより、前記誘導表面波を発するように構成された、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のシステム。前記誘導表面導波路プローブが、所定の繰返し数における所定のパルス幅を有する一連の誘導表面波を発するように構成された、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のシステム。前記誘導表面波が、周波数変調連続波である、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のシステム。前記遠隔配置された対象が、前記損失性導電性媒体に埋設されたアイテムである、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のシステム。前記遠隔配置された対象が、前記損失性導電性媒体の地質学的特徴である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のシステム。前記受信機が前記誘導表面導波路プローブである、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のシステム。前記損失性導電性媒体の前記表面に沿って誘導表面波を発するように構成された複数の誘導表面導波路プローブを備えた、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のシステム。前記遠隔配置された対象が前記誘導表面波の照射を受けて反射した後方散乱を受信するように構成された複数の受信機を備えた、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載のシステム。前記損失性導電性媒体が、陸上媒体である、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載のシステム。前記受信機を含む移動車両を備えた、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載のシステム。誘導表面導波路プローブの帯電端子を励起することにより、損失性導電性媒体の表面に沿って誘導表面波を発することと、 遠隔配置された表面下の対象が前記誘導表面波の照射を受けて反射した後方散乱を受信することと、を含む、方法。前記帯電端子の励起により、前記損失性導電性媒体に対し複素ブルースター角(θi、B)で入射する入射波面を合成することにより得られる場を生じる、請求項16に記載の方法。前記誘導表面導波路プローブが、前記帯電端子に電気的に結合した給電ネットワークを備え、前記給電ネットワークが、前記誘導表面導波路プローブの近傍の前記損失性導電性媒体における複素ブルースター角(θi、B)での入射に対応するウェーブチルトの角度(Ψ)に整合した位相遅れ(Φ)を提供する、請求項16または請求項17に記載の方法。前記誘導表面導波路プローブが、所定の繰返し数における所定のパルス幅を有する一連の誘導表面波を発するように構成された、請求項16〜請求項18のいずれか一項に記載の方法。前記遠隔配置された表面下の対象の特性を、少なくとも部分的に前記後方散乱に基づいて特定することを含む、請求項16〜請求項19のいずれか一項に記載の方法。

说明书全文

[関連出願の相互参照] 本出願は、2014年9月11日に出願された、「SUBSURFACE SENSING USING GUIDED SURFACE WAVE MODES ON LOSSY MEDIA」と題された、同時係属中の米国仮特許出願第62/049,237号、および、2015年9月9日に出願された、14/848,892のシリアル番号を有する、「SUBSURFACE SENSING USING GUIDED SURFACE WAVE MODES ON LOSSY MEDIA」と題された、同時係属中の米国非仮出願の利益および優先権を主張する。これら文献の両方は、本明細書により、その全体が、参照することにより組み込まれる。

本出願は、2013年3月7日に出願され、出願番号第13/789,538号が付され、米国特許出願公開第2014/0252886号として2014年9月11日に公開された、「Excitation and Use of Guided Surface Wave Modes on Lossy Media」と題された同時係属中の米国非仮特許出願に関する。この文献は、その全体を、参照により本明細書に組み込む。本出願は、2013年3月7日に出願され、出願番号第13/789,525号が付され、米国特許出願公開第2014/0252865号として2014年9月11日に公開された、「Excitation and Use of Guided Surface Wave Modes on Lossy Media」と題された同時係属中の米国非仮特許出願にも関する。この文献は、その全体を、参照により本明細書に組み込む。本出願はさらに、2014年9月10日に出願され、出願番号第14/483,089号が付された、「Excitation and Use of Guided Surface Wave Modes on Lossy Media」と題された同時係属中の米国非仮特許出願に関する。この文献は、その全体を、参照により本明細書に組み込む。本出願はさらに、2015年6月2日に出願され、出願番号第14/728,507号が付された、「Excitation and Use of Guided Surface Waves」と題された同時係属中の米国非仮特許出願に関する。この文献は、その全体を、参照により本明細書に組み込む。本出願はさらに、2015年6月2日に出願され、出願番号第14/728,492号が付された、「Excitation and Use of Guided Surface Waves」と題された同時係属中の米国非仮特許出願に関する。この文献は、その全体を、参照により本明細書に組み込む。

一世紀以上にわたり、電波によって伝達される信号は、従来のアンテナ構造を使用して発せられる放射場を含んでいた。無線科学とは対照的に、前世紀における電分配システムは、導電体に沿って誘導されるエネルギーの伝達を含んでいた。無線周波数(RF)と電力伝達との間の区別についてのこの知識が、1900年代初頭から存在していた。

本開示の各実施形態は、損失性媒体上で誘導表面導波モードを使用した遠隔表面センシングに関する。

一実施形態では、他のものの内で、システムが、損失性導電性媒体の表面に沿って誘導表面波を発するように構成された誘導表面導波路プローブと、誘導表面波によって照射された、遠隔配置された表面下の対象によって反射された後方散乱を受信するように構成された受信機と、を備えている。誘導表面導波路プローブは、損失性導電性媒体に対し複素ブルースターi、B)で入射する入射波面を合成する、少なくとも1つの結果として得られる場を生じるように構成された、損失性導電性媒体上に上昇した帯電端子を備え得る。帯電端子は、複数の帯電端子の内の1つとすることができる。

これら実施形態の1つまたは複数の態様では、誘導表面導波路プローブは、帯電端子に電気的に結合した給電ネットワークを備えてもよく、この給電ネットワークは、誘導表面導波路プローブの近傍の損失性導電性媒体における複素ブルースター角(θi、B)での入射に対応するウェーブチルトの角度(Ψ)に整合する位相遅れ(Φ)を提供する。帯電端子は、複数の帯電端子の内の1つとすることができる。給電ネットワークは、複数の大きさの電圧と複数の位相を複数の帯電端子に印加して、損失性導電性媒体の誘導表面導波モードに実質的に整合する複数の場を合成し、それにより、誘導表面波を発するように構成され得る。

これら実施形態の1つまたは複数の態様では、誘導表面導波路プローブは、所定の繰返し数の所定のパルス幅を有する一連の誘導表面波を発するように構成され得る。誘導表面波は、周波数変調連続波とすることができる。遠隔配置された対象は、損失性導電性媒体に埋設されているアイテム、および/または、損失性導電性媒体の地質学的特徴とすることができる。損失性導電性媒体は、陸上媒体とすることができる。

これら実施形態の1つまたは複数の態様では、受信機は、誘導表面導波路プローブとすることができる。複数の誘導表面導波路プローブは、損失性導電性媒体の表面に沿って誘導表面波を発するように構成され得る。複数の受信機は、誘導表面波によって照射された、遠隔配置された対象によって反射された後方散乱を受信するように構成され得る。移動乗り物は、受信機を含むことができる。

別の実施形態では、方法が、誘導表面導波路プローブの帯電端子を励起することにより、損失性導電性媒体の表面に沿って誘導表面波を発することと、誘導表面波によって照射された、遠隔配置された表面下の対象によって反射された後方散乱を受信することと、を含んでいる。帯電端子の励起により、損失性導電性媒体の入射の複素ブルースター角(θi、B)の入射波面を合成する結果として得られる場を生じることができる。遠隔配置された対象の特徴は、少なくとも部分的に後方散乱に基づいて特定され得る。

これら実施形態の1つまたは複数の態様では、誘導表面導波路プローブは、帯電端子に電気的に結合した給電ネットワークを備えてもよく、この給電ネットワークは、誘導表面導波路プローブの近傍の損失性導電性媒体と関連付けられた入射の複素ブルースター角(θi、B)と関連するウェーブチルトの角度(Ψ)に整合する位相遅れ(Φ)を提供する。誘導表面導波路プローブは、所定の繰返し数における所定のパルス幅を有する一連の誘導表面波を発するように構成され得る。

本開示の他のシステム、方法、特徴、および利点が、以下の図面および詳細な説明の試験により、当業者に明らかになることになるか、明らかになる。そのような追加のシステム、方法、特徴、および利点のすべてが、本記載の範囲内に含まれ、本開示の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。

さらに、記載された実施形態におけるすべての任意選択的および好ましい特徴および変形例は、本明細書に教示された開示のすべての態様に使用できる。さらに、従属請求項の個別の特徴、ならびに、記載された実施形態におけるすべての任意選択的および好ましい特徴および変形例は、相互に組み合わせることが可能であるか、取り換えることが可能である。

誘導電磁場および放射電磁場に関する、距離の関数としての場の強度を示すチャートである。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面波の伝達のために採用された2つの領域を有する伝播界面を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、図2の伝播界面に関して配置された誘導表面導波路プローブを示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、一次ハンケル関数の近傍漸近線および遠方漸近線の大きさの例のプロットを示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面導波路プローブによって合成された電場の複素入射角を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面導波路プローブによって合成された電場の複素入射角を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、図5Aの電場がブルースター角で損失性導電性媒体と交差する位置に対する帯電端子の高さの影響を線図で示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る誘導表面導波路プローブの例を線図で示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、図3および図7の誘導表面導波路プローブの、等価の像平面モデルの例を線図で示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、図3および図7の誘導表面導波路プローブの、等価の像平面モデルの例を線図で示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、図3および図7の誘導表面導波路プローブの、等価の像平面モデルの例を線図で示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、図8Bの誘導表面導波路プローブの、等価の像平面モデルの、単一ワイヤの伝達線および基本的な伝達線のモデルの例を線図で示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、図8Cの誘導表面導波路プローブの、等価の像平面モデルの、単一ワイヤの伝達線および基本的な伝達線のモデルの例を線図で示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、損失性導電性媒体の表面に沿って誘導表面波を発するための、図3および7の誘導表面導波路プローブの調整の例を示すフローチャートである。

本開示の様々な実施形態に係る、図3および7の誘導表面導波路プローブの、ウェーブチルトの角度と位相遅れとの間の関係の例を示すプロットである。

本開示の様々な実施形態に係る誘導表面導波路プローブの例を示す図である。

本開示の様々な実施形態において、誘導表面導波モードを整合させるために、合成された電場が、ハンケル交差距離において複素ブルースター角で入射する様子を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、図12の誘導表面導波路プローブの例を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る誘導表面導波路プローブの、帯電端子T

1の位相遅れ(Φ

U)の虚数部分と実数部分との例のプロットを含む図である。

本開示の様々な実施形態に係る、図14の誘導表面導波路プローブの概略図である。

本開示の様々な実施形態に係る誘導表面導波路プローブの例を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、図16の誘導表面導波路プローブの例を線図で示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面導波路プローブによって発せられた誘導表面波の形式で伝達されたエネルギーを受信するために採用され得る受信構造の例を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面導波路プローブによって発せられた誘導表面波の形式で伝達されたエネルギーを受信するために採用され得る受信構造の例を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面導波路プローブによって発せられた誘導表面波の形式で伝達されたエネルギーを受信するために採用され得る受信構造の例を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、受信構造の調整の例を示すフローチャートである。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面導波路プローブによって発せられた誘導表面波の形式で伝達されたエネルギーを受信するために採用され得る追加の受信構造の例を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面波プローブと受信構造の議論に使用される様々な概略的シンボルの例を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面波プローブと受信構造の議論に使用される様々な概略的シンボルの例を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面波プローブと受信構造の議論に使用される様々な概略的シンボルの例を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面波プローブと受信構造の議論に使用される様々な概略的シンボルの例を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、誘導表面波プローブと受信構造の議論に使用される様々な概略的シンボルの例を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、ガイドされた電磁場および放射された電磁場に関する、距離の関数としての場の強度を示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、1つまたは複数の誘導表面導波路プローブ(複数の場合もある)を含む探知システムの例を線図で示す図である。

本開示の様々な実施形態に係る、1つまたは複数の誘導表面導波路プローブ(複数の場合もある)を含む探知システムの例を線図で示す図である。

初めに、以下に続く概念の説明を明確にするために、いくつかの用語を定義する。第1に、本明細書で意図するように、放射(radiated)電磁場と誘導(guided)電磁場とを明確に区別する。

本明細書で意図するように、放射電磁場には、導波路に束縛されていない波の形式で発生源構造から発せられた電磁エネルギーが含まれている。たとえば、放射電磁場は概して、アンテナなどの電気的構造を離れ、大気または他の媒体を通って伝播し、いずれの導波路構造にも束縛されない場である。放射電磁波がアンテナなどの電気的構造を離れると、電磁波は、発生源が動作し続けているかに関わらず、その発生源とは独立して、電磁波が消散するまで伝播媒体(空気など)内を伝播し続ける。電磁波は、一旦放射されると遮断されない限り復元不可能であり、放射電磁波に固有のエネルギーは遮断されない場合に永遠に失われる。アンテナなどの電気的構造は、構造損失抵抗に対する放射抵抗の比を最大化することにより、電磁場を放射するように設計されている。放射エネルギーは空間に広がり、受信機が存在するかに関わらず、失われる。放射場のエネルギー密度は、幾何学的広がりに起因する距離の関数である。したがって、本明細書において使用されるすべての形式の「放射(radiate)」との用語は、この形式の電磁気伝播に関する。

誘導電磁場は、異なる電磁的特性を有する媒体間の境界内または境界付近でそのエネルギーが凝縮された伝播電磁波である。この意味で、誘導電磁場は、導波路に束縛された電磁場であり、導波路を流れる電流によって搬送されるものとして特徴付けられてもよい。誘導電磁波において搬送されたエネルギーを受信および/または消散する負荷がない場合、誘導媒体の導電性により消散されたエネルギーを除き、エネルギーは失われない。別の言い方をすると、誘導電磁波に対して負荷がない場合、エネルギーは消費されない。したがって、誘導電磁場を生成する生成器または他の発生源は、負荷抵抗が存在しない限り、実際の力を送ることはない。このため、そのような生成器または他の発生源は基本的に、負荷が与えられるまでアイドリング状態で動作する。このことは、電気的負荷が存在しない電力線にわたって伝達される60ヘルツの電磁波を発生する生成器を動作させることと同質である。誘導電磁場または誘導電磁波は、「伝達線モード」と呼ばれるものに等しいことに留意されたい。このことは、放射波を発生させるために実際の電力がすべての時点で供給される放射電磁波と相違する。放射電磁波とは異なり、誘導電磁エネルギーは、エネルギー源を停止した後に、有限の長さの導波路に沿って伝播し続けることはない。したがって、本明細書において使用されるすべての形式の「誘導(guide)」との用語は、この形式の電磁気伝播に関する。

ここで図1を参照すると、放射電磁場と誘導電磁場との間の差異をさらに示すために、ボルト/メートルでの任意の基準を超えるデシベル(dB)での場の強度が、対数−dBのプロット上のキロメートル単位での距離の関数としてグラフ100に示されている。図1のグラフ100は、誘導電磁場の場の強度を距離の関数として示す、誘導場の強度曲線103を示している。この誘導場の強度曲線103は基本的に、伝達線モードと同じである。図1のグラフ100は、放射電磁場の場の強度を距離の関数として示す、放射場の強度曲線106も示している。

誘導波と放射の伝播にそれぞれ対応する曲線103と106との形状が重要である。放射場の強度曲線106は、幾何学的に減少しており(1/d、ここで、dは距離である)、このことは、対数−対数スケール上に直線で示されている。一方、誘導場の強度曲線103は、e−αd/√dの特徴的な指数関数的減衰を有し、対数−対数スケール上で特有の屈曲部109を示している。誘導場の強度曲線103と放射場の強度曲線106とは、点112で交差している。この交差は、交差距離において生じる。交差点112における交差距離より短い距離においては、誘導電磁場の場の強度がほとんどの位置において放射電磁場の場の強度よりも著しく大きい。交差距離よりも長い距離においては、これとは反対になる。したがって、誘導場の強度曲線103と放射場の強度曲線106とはさらに、誘導電磁場と放射電磁場との間の根本的な伝播の差異を示している。誘導電磁場と放射電磁場との間の差異の簡単な説明については、Milligan,T.,Modern Antenna Design,McGraw−Hill,1st Edition,1985,pp.8−9を参照し、その全体を参照により本明細書に組み込む。

上述の、放射電磁波と誘導電磁波との間の差異は、容易に定式化して厳密な議論に基づかせることが可能である。同一の線形偏微分方程式、即ち、波動方程式から、2つの一般解が問題に課される境界条件から解析的に導かれる。波動方程式に関するグリーン関数は、それ自体が、放射波の性質と誘導波の性質との間の差異を含んでいる。

空の空間において、波動方程式は、その固有関数が、複素波数平面上で固有値の連続スペクトルを有する、微分演算子である。この横電磁場(TEM場)は、放射場と呼ばれ、その伝播場は「ヘルツ波」と呼ばれる。しかし、導電性の境界が存在する場合、波動方程式と境界条件とを合わせると、数学的に、連続スペクトルと離散スペクトルとが合わさって構成された波数のスペクトル表現に繋がる。このため、Sommerfeld,A.,「Uber die Ausbreitung der Wellen in der Drahtlosen Telegraphie」,Annalen der Physik,Vol.28,1909,pp.665−736を参照する。Partial Differential Equations in Physics − Lectures on Theoretical Physics、Volume VI,Academic Press,1949,pp.236−289,295−296のChapter 6に発表されたSommerfeld,A.「Problems of Radio」、Collin,R.E.,「Hertzian Dipole Radiating Over a Lossy Earth or Sea:Some Early and Late 20th Century Controversies」,IEEE Antennas and Propagation Magazine,Vol.46,No.2,April 2004,pp.64−79、ならびに、Reich,H.J.,Ordnung,P.F,Krauss,H.L.,およびSkalnik,J.G.,Microwave Theory and Techniques, Van Nostrand,1953,pp.291−293をも参照されたい。これら参考文献の各々は、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。

「地上波」との用語と、「表面波」との用語とは、2つの明確に異なる物理的伝播現象を示す。表面波は、平面波スペクトルの離散成分を生じる特定の極から解析的に生じる。たとえば、Cullen,A.L.による「The Excitation of Plane Surface Waves」(Proceedings of the IEE (British),Vol.101,Part IV,August 1954,pp.225−235)を参照されたい。この文脈では、表面波は誘導表面波であると考えられている。表面波(Zenneck−Sommerfeldの誘導波の意味)は、物理的かつ数学的に、(無線放送においてよく知られる)地上波(Weyl−Norton−FCCの意味)と同じものではない。これら2つの伝播メカニズムは、複素平面上における固有値スペクトルの異なるタイプ(連続または離散)の励起から生じる。誘導表面波の場の強度は、図1の曲線103によって示すように、距離とともに指数関数的に減衰する(これは、損失性導波路内の伝播に類似している)。また、球状に伝播し、固有値の連続値を有し、図1の曲線106によって示すように幾何学的に減少し、分枝切断積分に起因する、地上波の古典的なヘルツ放射とは対照的に、径方向の伝達線の伝播を示している。「The Surface Wave in Radio Propagation over Plane Earth」(Proceedings of the IRE,Vol.25,No.2,February,1937,pp.219−229)および「The Surface Wave in Radio Transmission」 (Bell Laboratories Record,Vol.15,June 1937,pp.321−324)においてC.R.Burrowsにより試験的に示されたように、垂直アンテナは、地上波を放射するが、誘導表面波は発しない。

上述のことをまとめると、第1に、分枝切断積分に対応する、波数固有値スペクトルの連続部分は、放射場を生成し、第2に、離散スペクトル、および、これに対応する積分路によって囲まれた極から生じる留数の和が、伝播方向と横断する方向において指数関数的に減衰する、非TEMの進行表面波を生成する。そのような表面波は、誘導伝達線モードである。さらなる説明のために、Friedman,B.,Principles and Techniques of Applied Mathematics,Wiley,1956,pp.pp.214,283−286,290,298−300を参照する。

自由空間では、アンテナは、放射場である、波動方程式の連続固有値を励起し、ここでは、EzおよびHφが同相で外側に伝播するRFエネルギーは、永遠に失われる。一方、導波路プローブは、離散固有値を励起し、伝達線伝播を生じる。Collin,R.E.,FieldTheory of Guided Waves,McGraw−Hill,1960,pp.453,474−477を参照されたい。そのような理論上の分析により、損失性均質媒体の平面または球面にわたって、開表面誘導波を発生する可能性を示す仮説が提供されてきたが、一世紀を超える間、これを実際に達成するための構造は工学の分野において知られていない。不幸にも、1900年代前半にこのことが明らかになってからは、上に説明した理論分析は、基本的に理論の範囲に留まり、損失性一様媒体の平面または球面にわたって開表面誘導波を生成することを実際に達成するための構造は知られていない。

本開示の様々な実施形態によれば、損失性導電性媒体の表面に沿って誘導表面導波モードに結合した電場を励起するように構成された様々な誘導表面導波路プローブが記載されている。そのような誘導電磁場は、大きさおよび位相が損失性導電性媒体の表面上の誘導表面波モードに、実質的にモード整合している。そのような誘導表面波モードは、Zenneck導波モードとも呼ばれる。本明細書に記載の誘導表面導波路プローブによって励起された結果として得られる場が、損失性導電性媒体の表面上の誘導表面導波モードに、実質的にモード整合しているという事実により、誘導表面波の形態の誘導電磁場は、損失性導電性媒体の表面に沿って発せられる。一実施形態によれば、損失性導電性媒体は、地球などの陸上媒体を含んでいる。

図2を参照すると、Jonathan Zenneckの文献のZenneck,J.,「On the Propagation of Plane Electromagnetic Waves Along a Flat Conducting Surface and their Relation to Wireless Telegraphy」,Annalen der Physik,Serial 4,Vol.23,September 20,1907,pp.846−866に説明されているように、1907年にJonathan Zenneckにより示されたマクスウェル方程式に対する境界値解を検討する際の伝播界面が示されている。図2は、領域1として特定された損失性導電性媒体と、領域2として特定された絶縁体との間の界面に沿って径方向に伝播する波のための円筒座標を示している。領域1は、たとえば、任意の損失性導電性媒体を含み得る。一実施例では、そのような損失性導電性媒体は、地球または他の媒体などの陸上媒体を含み得る。領域2は、領域1と境界面を共有し、領域1とは異なる構成パラメータを有する第2の媒体である。領域2は、たとえば、大気または他の媒体などの任意の絶縁体を含み得る。そのような境界面の反射係数は、たとえば、複素ブルースター角における入射に関してのみゼロになる。Stratton,J.A.,Electromagnetic Theory,McGraw−Hill,1941,p.516を参照されたい。

様々な実施形態によれば、本開示は、領域1を含む損失性導電性媒体の表面上の誘導表面導波モードに実質的にモード整合した電磁場を生成する様々な誘導表面導波路プローブを示す。様々な実施形態によれば、そのような電磁場は、反射がゼロになり得る、損失性導電性媒体の複素ブルースター角における波面入射を実質的に合成する。

さらなる説明のために、ejωtの場の変動を推定し、ρ≠0かつz≧0(zは、領域1の表面に対して直角な垂直座標、ρは、円筒座標における径方向の寸法である)である領域2では、界面に沿う境界条件を満たすマクスウェル方程式の、Zenneckによる閉形式の厳密な解が、以下の電場要素と磁界要素によって表される。

(1)

(2)

(3)

ejωtの場の変動を推定し、ρ≠0かつz≧0である領域1では、界面に沿う境界条件を満たすマクスウェル方程式の、Zenneckによる閉じた形式の厳密な解が、以下の電場要素と磁界要素によって表される。

(4)

(5)

(6)

これらの数式表現において、zは、領域1の表面に対して直角な垂直座標であり、ρは径方向座標であり、Hn(2)(−jγρ)は、第2種および次数nの複素引数のハンケル関数であり、u1は、領域1における正の垂直(z)方向の伝播定数であり、u2は、領域2における垂直(z)方向の伝播定数であり、σ1は領域1の導電性であり、ωは2πfに等しく、ここで、fは励起周波数であり、ε0は自由空間の誘電率であり、ε1は領域1の誘電率であり、Aは、供給源によって課される供給源定数であり、γは表面波の径方向伝播定数である。

±z方向の伝播定数は、領域1と領域2との間の界面の上と下とで、波動方程式を分離し、境界条件を課すことによって特定される。これを行うと、領域2において

(7) が与えられ、領域1において

(8) が与えられる。 径方向の伝播定数γは、

(9) によって与えられる。この式は、nが、以下の式で与えられる複素屈折率である、複素数表現である。

(10) 上述の方程式すべてにおいて、

(11) かつ

(12) である。ここで、εrは、領域1の相対誘電率を含んでおり、σ1は領域1の導電性であり、ε0は自由空間の誘電率であり、μ0は自由空間の透磁性を含んでいる。したがって、発生した表面波は、界面に平行に伝播し、界面に垂直に、指数関数的に減衰する。このことは、消散として知られている。

したがって、方程式(1)〜(3)は、円筒状に対称であり、径方向に伝播する導波モードであると見なすことができる。Barlow,H.M.,およびBrown,J.,Radio Surface Waves,Oxford University Press,1962,pp.10−12,29−33を参照されたい。本開示は、この「開境界」導波モードを励起する構造を詳述する。具体的には、様々な実施形態によれば、誘導表面導波路プローブには、電圧および/または電流が供給され、領域2と領域1との間の境界面に関して配置された、適切なサイズの帯電端子が設けられている。このことは、図3を参照することにより、よりよく理解されるであろう。図3は、損失性導電性媒体203によって与えられた平面に対して直角である垂直軸zに沿って、損失性導電性媒体203(たとえば、地球)上に位置を上げて配置された帯電端子T1を含む誘導表面導波路プローブ200aの例を示している。損失性導電性媒体203は領域1を形成しており、第2の媒体206は領域2を形成し、境界面を損失性導電性媒体203と共有している。

一実施形態によれば、損失性導電性媒体203は、惑星である地球などの陸上媒体を含み得る。このために、そのような陸上媒体は、自然のものであるか人工のものであるかに関わらず、その上に含まれるすべての構造または構成を含んでいる。たとえば、そのような陸上媒体は、我々の惑星を形成する、岩、土、砂、海水、木、植物などの自然の要素、および他のすべての自然の要素を含み得る。さらに、そのような陸上媒体は、コンクリート、アスファルト、建築材料、および他の人工の材料などの人工の要素を含み得る。他の実施形態では、損失性導電性媒体203は、自然に発生するか人工であるかに関わらず、地球とは別のいくつかの媒体を含み得る。他の実施形態では、損失性導電性媒体203は、自動車、航空機、人工材料(合板、プラスチックシート、もしくは他の材料など)、または他の媒体などの、人工の表面および構造などの他の媒体を含み得る。

損失性導電性媒体203が陸上媒体または地球を含んでいる場合では、第2の媒体206は、地上の大気を含み得る。そのように、大気は、地球の大気を形成する空気および他の要素を含む「大気媒体」と呼ばれ得る。さらに、第2の媒体206は、損失性導電性媒体203に関係する他の媒体を含み得ることが可能である。

誘導表面導波路プローブ200aは、励起源212を帯電端子T1に、たとえば垂直供給線導体を介して結合する給電ネットワーク209を含んでいる。様々な実施形態によれば、電荷Q1が帯電端子T1に印加されて、特定の瞬間に端子T1に印加された電圧に基づき、電場を合成する。電場(E)の入射角(θi)に応じて、電場を、領域1を含む損失性導電性媒体203の表面上の誘導表面導波モードに実質的にモード整合させることが可能である。

方程式(1)〜(6)の、Zenneckの閉じた形態の解を考慮することにより、領域1と領域2との間のLeontovichインピーダンスの境界条件を以下のように示すことができる。

(13) 方程式(13)は、方程式(1)〜(3)に特定された電場および磁界が、境界面に沿っての径方向表面電流密度になる場合があることを示している。ここで、径方向表面電流密度は、以下の式によって特定することができる。

(14) ここで、Aは定数である。 さらに、誘導表面導波路プローブ200(ρ<<λに関する)の近傍では、上の方程式(14)が以下のような振る舞いを示すことに留意されたい。

(15) マイナス記号は、電源電流(I0)が、図3に示すように、垂直方向に上方に流れる場合、「近傍の(close−in)」接地電流が径方向内側に流れることを意味している。Hφの「近傍」に整合する場により、以下を導出することができる。

(16) ここで、方程式(1)〜(6)および(14)において、q1=C1V1である。したがって、方程式(14)の径方向表面電流密度は、以下のように言い換えることができる。

(17) 方程式(1)〜(6)および(17)によって表される場は、地上波の伝播に関連付けられた放射場ではなく、損失性界面に束縛された伝達線モードの性質を有している。Barlow,H.M.,およびBrown,J.,Radio Surface Waves,Oxford University Press,1962,pp.1−5を参照されたい。

ここで、方程式(1)〜(6)および(17)に使用されたハンケル関数の性質の再検討をこれら波動方程式の解について行う。第1種および第2種、ならびに次数nのハンケル関数が、第1種および第2種の標準ベッセル関数の複素数結合として規定されることが分かる。

(18) および

(19) これら関数は、径方向内側に伝播する円筒状の波(Hn(1))と、径方向外側に伝播する円筒状の波(Hn(2))とをそれぞれ示している。この規定は、e±jx=cosx±jsinxの関係に相似している。たとえば、Harrington,R.F.,Time−Harmonic Fields,McGraw−Hill,1961,pp.460−463を参照されたい。

Hn(2)(kρρ)が外に向かう波であることは、その独立変数を大きくした場合にJn(x)およびNn(x)の級数定義から直接得られる漸近挙動から確認できる。誘導表面導波路プローブの遠方において、

(20a) となり、この式は、ejωtで乗算すると、空間的変位を1/√ρとしたej(ωt−kρ)の形式の、外側に伝播する円筒状の波である。一次解(n=1)は、方程式(20a)から導びかれ、以下の式を得る。

(20b) 誘導表面導波路プローブ(ρ<<λに関する)の近傍では、第2種の1次ハンケル関数が以下のように振る舞う。

(21) これら漸近的表現は複素数であることに留意されたい。xが実数である場合、方程式(20b)および(21)は、位相が、45度、または等価的にはλ/8の、余分な位相進行または「位相の増大(phase boost)」に対応する√jだけ異なる。第2種の一次ハンケル関数の近傍または遠方漸近線は、距離ρ=Rxにおいて大きさが等しくなるハンケル「交差点」または遷移点を有している。

したがって、ハンケル交差点を超えると、ハンケル関数の「遠方」表現が「近傍」表現を圧倒している。ハンケル交差点までの距離(すなわち、ハンケル交差距離)は、方程式(20b)および(21)を、−jγρにおいて等式で結び、これをRxについて解くことにより得ることができる。x=σ/ωε0では、遠方および近傍のハンケル関数漸近線が周波数に依存しており、ハンケル交差点が、周波数が低下するに従い、外側に移動することを見て取ることができる。ハンケル関数の漸近線は、損失性導電性媒体の導電性(σ)が変化するのに応じても変化する場合があることにも留意されたい。たとえば、土の導電性は、天候条件の変化に応じて変化し得る。

図4を参照すると、動作周波数1850kHzにおける、導電性σ=0.010mhos/m、相対誘電率εr=15の領域1に関する、方程式(20b)および(21)の一次ハンケル関数の大きさのプロットの例が示されている。曲線115は、方程式(20b)の遠方の漸近線の大きさであり、曲線118は、方程式(21)の近傍の漸近線の大きさである。ハンケル交差点121は、Rx=54フィートの距離で生じている。大きさが等しい一方、ハンケル交差点121において、2つの漸近線間に位相のオフセットが存在している。ハンケル交差距離が、動作周波数の波長よりかなり小さいことも見て取ることができる。

領域2におけるZenneckの閉形式の解の、方程式(2)および(3)によって与えられた電場成分を考慮すると、EzとEρとの比は漸近的に、以下のようになることを見て取ることができる。

(22) ここで、nは方程式(10)の複素屈折率であり、θiは電場の入射角である。さらに、方程式(3)のモード整合電場の垂直成分は、漸近的に以下のようになる。

(23) この式は、端子の電圧における、上昇した帯電端子の静電容量の絶縁された要素の自由電荷に線形的に比例している。すなわち、qfree=Cfree×VTである。

たとえば、図3の位置を上げて配置した帯電端子T1の高さH1は、帯電端子T1の自由電荷の量に影響する。帯電端子T1が領域1の地面に近い場合、端子上の電荷Q1の多くは、「拘束」されている。帯電端子T1が位置を上げて配置されているため、拘束された電荷は、帯電端子T1が、絶縁された電荷のほぼすべてが自由になる高さに達するまで低減される。

帯電端子T1のための静電容量の高さが増大することの利点は、位置を上げて配置した帯電端子T1の電荷が地面からさらに除去され、自由電荷qfreeの量が増大して、エネルギーを誘導表面導波モードに結合することになることである。帯電端子T1が地面から離れるように移動するにつれて、電荷の分布は、端子の表面の周りにより一様に分布されるようになる。自由電荷の量は、帯電端子T1の自己容量に関連する。

たとえば、球状端子の静電容量は、地面上の物理的高さの関数として表すことができる。完全な地面の上の物理的高さhにおける球の静電容量は、以下により与えられる。

(24) ここで、球の直径は2aであり、また、M=a/2hであり、hは球状端子の高さである。端子の高さhの増大により、帯電端子の静電容量Cが低減されることを見て取ることができる。直径の約4倍(4D=8a)以上の高さに帯電端子T1を配置することにより、球状端子の周りで電荷の分布はほぼ一様となり、これにより、誘導表面導波モードへの結合が向上され得ることが示され得る。

十分に絶縁された端子の場合では、導電性の球の自己容量は、C=4πε0aによって近似することができる。ここで、aはメートル単位での球の半径である。ディスクの自己容量は、C=8ε0aによって近似することができる。ここで、aは、メートル単位でのディスクの半径である。帯電端子T1は、球、ディスク、円筒、円錐、トーラス、フード、1つまたは複数のリング、または、任意の他の無作為に選ばれた形状または形状の組合せなどの任意の形状を含むことができる。帯電端子T1の位置決めのために同等の球の直径を特定して、これを使用することができる。

このことは、図3の例を参照してさらに理解することができる。ここで、帯電端子T1は、損失性導電性媒体203上のhp=H1の物理的高さに配置されている。「拘束された」電荷の影響を低減するために、帯電端子T1は、帯電端子T1の球の直径(または同等の球の直径)の少なくとも4倍の物理的高さに配置されて、拘束された電荷の影響を低減することができる。

次に図5Aを参照すると、図3の帯電端子T1上の高められた電荷Q1によって生成された電場の光線光学的解釈が示されている。光学系のように、入射電場の反射を最小化することにより、損失性導電性媒体203の誘導表面導波モードに結合したエネルギーを増大および/または最大化することができる。

(25) ここで、θiは、表面法線に対して測定された通常の入射角である。

入射角が以下の場合に、方程式(25)の分子がゼロになることを見て取ることができる。

(26) ここで、x=σ/ωε0である。この複素入射角(θi、B)は、ブルースター角と呼ばれる。再び方程式(22)を参照すると、同じ複素ブルースター角(θi、B)の関係が、方程式(22)と方程式(26)との両方に存在することを見て取ることができる。

図5Aに示されているように、電場ベクトルEは、入射面に対して平行に偏光された、非一様入射平面波として示すことができる。電場ベクトルEは、以下のように、個別の水平成分と垂直成分とから構成することができる。

(27) 幾何学的に、図5Aに示すものは、電場ベクトルEは以下によって与えられ得ることを示唆している。

(28a) および

(28b) このことは、場の比が以下であることを意味している。

(29)

「ウェーブチルト」と呼ばれる、一般化されたパラメータWは、本明細書において、以下によって与えられる、垂直電場成分に対する、水平電場成分の比として示されている。

(30a) または

(30b) これらは、複素数であり、大きさと位相との両方を有している。領域2の電磁波に関して、ウェーブチルトの角度(Ψ)は、領域1との境界面における波面の法線と、境界面の接線との間の角度に等しい。このことは、径方向の円筒状の誘導表面波に関する電磁波の等位相表面およびその法線を示す、図5Bからより容易に見て取ることができる。完全導体との境界面(z=0)においては、波面の法線は、境界面の接線に平行であり、W=0となる。しかし、損失性誘電体の場合、波面の法線がz=0における境界面の接線と平行ではないためにウェーブチルトWが存在する。

方程式(30b)を誘導表面波に適用すると、以下の式が与えられる。

(31) 複素ブルースター角(θi、B)に等しい入射角では、方程式(25)のフレネルの反射係数は、以下に示すようにゼロになる。

(32) 方程式(22)の複素数の場の比を調整することにより、反射が低減されるか除去される複素角で入射するように入射場を合成することができる。この比をn=√(εr−jx)として確立することにより、合成された電場が複素ブルースター角で入射する結果となり、反射はゼロになる。

電気的に有効な高さの概念が、誘導表面導波路プローブ200により複素入射角を有する電場を合成することに関してさらなる洞察を与えることができる。電気的に有効な高さ(heff)は、hpの物理的高さ(または長さ)の単極に関して、以下のように規定されている。

(33) この表現が、構造に沿う発生源の分布の大きさおよび位相に基づくため、有効高さ(または長さ)は、通常は複素数である。構造の分布電流I(z)の積分が、構造の物理的高さ(hp)にわたって実施され、構造の基底(または入力)を通って上方に流れる接地電流(I0)に正規化される。構造に沿った分布電流は、以下によって示すことができる。

(34) ここで、β0は、構造上を伝播する電流の伝播因子である。図3の例では、ICは、誘導表面導波路プローブ200aの垂直構造に沿った分布電流である。

たとえば、構造の底部の低損失コイル(たとえば螺旋コイル)、および、コイルと帯電端子T1との間に接続された垂直供給線導体を含む給電ネットワーク209を考慮する。コイル(または螺旋遅れ線)に起因する位相遅れは、θcplcであり、lCは物理的長さであり、以下は伝播因子である。

(35) ここで、Vfは構造上の速度因子であり、λ0は供給周波数における波長であり、λpは、速度因子Vfの結果としての伝播波長である。位相遅れは、接地(杭)電流I0に対して測定される。

さらに、垂直供給線導体の長さlwに沿う空間的な位相遅れは、θywlwによって与えられ得る。ここで、βwは、垂直供給線導体に関する伝播位相定数である。いくつかの実施態様では、空間的位相遅れは、θywhpによって近似してもよい。この理由は、誘導表面導波路プローブ200aの物理的高さhpと、垂直供給線導体の長さlwとの間の差が、供給周波数(λ0)において、波長よりもかなり小さいためである。結果として、コイルと垂直供給線導体とを通しての総位相遅れはΦ=θcyであり、物理的構造の底部からコイルの頂部へと供給される電流は以下のようになる。

(36) ここで、総位相遅れΦは、接地(杭)電流I0に対して測定される。結果として、誘導表面導波路プローブ200の電気的に有効な高さは、以下によって近似され得る。

(37) これは、物理的高さがhp<<λ0の場合に関する。Φの角度(または位相シフト)における単極の複素有効高さheff=hpは、供給される場を誘導表面導波モードに整合させるとともに、誘導表面波が損失性導電性媒体203上で発せられるように、調整することができる。

図5Aの例では、光線光学が、ハンケル交差距離(Rx)121において複素ブルースター角(θi、B)で入射する入射電場(E)の複素角度三角法を示すために使用されている。方程式(26)から想起されるのは、損失性導電性媒体に関して、ブルースター角が複素数であり、以下によって特定されることである。

(38) 電気的に、幾何学的パラメータは、以下により、帯電端子T1の電気的に有効な高さ(heff)によって関連付けられる。

(39) ここで、ψi、B=(π/2)−θi、Bは、損失性導電性媒体の表面から測定されたブルースター角である。誘導表面導波モードに結合するために、ハンケル交差距離における電場のウェーブチルトは、電気的に有効な高さとハンケル交差距離との比として表され得る。

(40) 物理的高さ(hp)とハンケル交差距離(Rx)との両方が実量であるため、ハンケル交差距離(Rx)における所望の誘導表面ウェーブチルトの角度(Ψ)は、複素有効高さ(heff)の位相(Φ)に等しい。このことは、コイルの供給点における位相、そしてひいては、方程式(37)の位相シフトを変化させることにより、複素有効高さの位相Φが、ハンケル交差点121における誘導表面導波モードのウェーブチルトの角度Ψに整合する(Φ=Ψ)ように操作され得ることを示している。

図5Aでは、直角三角形が、損失性導電性媒体表面に沿う長さRxの隣接する辺、および、Rxにおけるハンケル交差点121と帯電端子T1の中心との間に延びる光線124と、ハンケル交差点121と帯電端子T1との間の損失性導電性媒体表面127と、の間で測定された複素ブルースター角ψi、Bを有して示されている。物理的高さhpに位置し、適切な位相遅れΦを有する電荷で励起された帯電端子T1により、結果として得られる電場は、ハンケル交差距離Rxおよびブルースター角で損失性導電性媒体境界面に入射する。これら条件下で、誘導表面導波モードは、反射なしで、または実質的に無視できる反射で励起され得る。

帯電端子T1の物理的高さを、有効高さ(heff)の位相シフトΦを変化させることなく低減した場合、誘導表面導波路プローブ200からの距離が減少された位置において、ブルースター角で損失性導電性媒体203と交差する電場が結果として得られる。図6は、帯電端子T1の物理的高さを低減することが、電場がブルースター角において入射する距離に与える影響を図示している。高さがh3からh2を通してh1へと低減されるにつれて、電場がブルースター角で損失性導電性媒体(たとえば、地球)と交差する点は、帯電端子の位置に近付くように移動する。しかし、方程式(39)が示すように、帯電端子T1の高さH1(図3)は、ハンケル関数の遠方成分を励起するために、物理的高さ(hp)以上であるものとする。帯電端子T1が有効高さ(heff)またはそれより高い位置に配置されている場合、損失性導電性媒体203は、図5Aに示すように、ハンケル交差距離(Rx)121において、またはこの距離を超えて、入射ブルースター角(ψi、B=(π/w)−θi、B)において照射され得る。帯電端子T1上に拘束された電荷を低減するか最小化するために、高さは、上述のように、帯電端子T1の球の直径(または同等の球の直径)の少なくとも4倍であるものとする。

誘導表面導波路プローブ200は、損失性導電性媒体203の表面に複素ブルースター角で照射する波に対応するウェーブチルトを有する電場を確立するように構成することができ、それにより、Rxのハンケル交差点121における(またはそれを越える)誘導表面波モードに実質的にモード整合させることにより、径方向表面電流を励起する。

図7を参照すると、帯電端子T1を含む誘導表面導波路プローブ200bが図示されている。AC源212は、誘導表面導波路プローブ200bに、たとえば螺旋コイルなどのコイル215を備えた給電ネットワーク209(図3)を通して結合した、帯電端子T1のための励起源として作用する。他の実施態様では、AC源212は、一次コイルを通してコイル215に誘導的に結合され得る。いくつかの実施形態では、AC源212のコイル215への結合を向上および/または最大化するためにインピーダンス整合ネットワークを含めてもよい。

図7に示すように、誘導表面導波路プローブ200bは、損失性導電性媒体203によって与えられた面に対してほぼ直角である垂直軸zに沿って配置された上方の帯電端子T1(たとえば、高さhpの球)を含み得る。第2の媒体206は、損失性導電性媒体203の上に位置している。帯電端子T1は、自己容量CTを有している。動作時には、電荷Q1が、所定の時間に端子T1に印加された電圧に基づき、端子T1に印加される。

図7の例では、コイル215は、第1の端部で接地杭218に結合し、垂直供給線導体221を介して帯電端子T1に結合している。いくつかの実施態様では、図7に示すように、帯電端子T1へのコイルの接続は、コイル215のタップ224を使用して調整され得る。コイル215は、コイル215の下方部分において、タップ227を通してAC源212によって動作周波数で通電され得る。他の実施態様では、AC源212は、一次コイルを通してコイル215に誘導的に結合され得る。

誘導表面導波路プローブ200の構成および調整は、伝達周波数、損失性導電性媒体(たとえば、土の導電性σおよび相対誘電率εr)の条件、ならびに、帯電端子T1のサイズなどの様々な作動条件に基づいている。屈折率は、方程式(10)および(11)から、以下のように計算することができる。

(41) ここで、x=σ/ωε0であり、ω=2πfである。導電性σおよび相対誘電率εrは、損失性導電性媒体203の試験測定を通して特定され得る。直角表面から測定される複素ブルースター角(θi、B)も、方程式(26)から以下のように特定され得る。

(42) または、図5Aに示すように、その表面から、以下のように測定される。

(43) ハンケル交差距離におけるウェーブチルト(WRx)も、方程式(40)を使用して見出され得る。

ハンケル交差距離も、図4によって示されるように、方程式(20b)および(21)の大きさを−jγρに関して等しくし、Rxに関して解くことによって見出され得る。このため、電気的に有効な高さは、ハンケル交差距離および複素ブルースター角を使用して、方程式(39)から以下のように特定され得る。

(44) 方程式(44)から見て取ることができるように、複素有効高さ(heff)は、帯電端子T1の物理的高さ(hp)に関連付けられた大きさと、ハンケル交差距離(Rx)におけるウェーブチルトの角度(Ψ)に関連付けられることになる位相遅れ(Φ)とを含んでいる。これら変数および選択された帯電端子T1の構成により、誘導表面導波路プローブ200の構成を決定することが可能である。

帯電端子T1が物理的高さ(hp)またはそれより上に位置していると、給電ネットワーク209(図3)および/または、給電ネットワークを帯電端子T1に接続する垂直供給線は、帯電端子T1の電荷Q1の位相(Φ)を、ウェーブチルト(W)の角度(Ψ)に整合するように調整され得る。帯電端子T1のサイズは、端子に印加される電荷Q1のための十分に大きい表面を提供するように選択してよい。通常は、帯電端子T1を実施できる程度に大きく形成することが望ましい。帯電端子T1のサイズは、周囲の空気のイオン化を避けるために十分に大きいものとする。周囲の空気のイオン化は、帯電端子の周囲での放電またはスパーキングに繋がり得る。

螺旋状に巻かれたコイルの位相遅れθcは、Corum,K.L.およびJ.F.Corum,「RF Coils,Helical Resonators and Voltage Magnification by Coherent Spatial Modes」,Microwave Review,Vol.7,No.2,September 2001,pp.36−45に論じられたように、マクスウェル方程式から特定され得る。この文献は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。H/D>1の螺旋コイルに関して、コイルの長手軸に沿う波の伝播速度(ν)の、光速(c)に対する比、すなわち「速度因子」は、以下によって与えられる。

(45) ここで、Hは螺旋構造の軸方向の長さ、Dはコイルの直径、Nはコイルの巻き数、s=H/Nは、コイルの隣接する巻回の間隔(または螺旋ピッチ)、λ0は自由空間の波長である。この関係に基づき、螺旋コイルの電気的長さ、または位相遅れは、以下によって与えられる。

(46) 螺旋が渦巻き状に巻かれているか、短く太い場合、原理は同じであるが、Vfおよびθcは、試験的測定によって得ることが容易である。螺旋状の伝達線の特性(波)インピーダンスの表示も、以下のように得られる。

(47)

構造の空間的位相遅れθyは、垂直供給線導体221(図7)の進行波の位相遅れを使用して特定することができる。理想地面上の円筒状の垂直導電体の静電容量は、以下のように表すことができる。

(単位:ファラド)(48) ここで、hwは、導電体の垂直長さ(または高さ)、aは半径(mks単位)である。螺旋コイルのように、垂直供給線導体の進行波位相遅れは、以下によって与えられ得る。

(49) ここで、βwは垂直供給線導体に関する伝播位相定数であり、hwは垂直供給線導体の垂直長さ(または高さ)であり、Vwはワイヤ上の速度因子であり、λ0は供給周波数における波長であり、λwは、速度因子Vwの結果としての伝播波長である。一様な円筒状の導電体に関して、速度因子はVwは約0.94で一定であるか、約0.93〜約0.98の範囲にある。支柱が一様な伝達線であると見なされる場合、その平均的特性インピーダンスは、以下によって近似される。

(50) ここで、一様な円筒状の導電体ではVwが約0.94であり、aは導電体の半径である。単一ワイヤの供給線の特性インピーダンスに関する、アマチュア無線の記述で採用されてきた代替的表示は、以下によって与えられ得る。

(51) 方程式(51)は、単一ワイヤフィーダに関するZwは周波数とともに変化することを暗示している。位相遅れは、静電容量および特性インピーダンスに基づいて特定され得る。

図3に示すように、帯電端子T1が損失性導電性媒体203上に位置していると、給電ネットワーク209は、ハンケル交差距離におけるウェーブチルトの角度(Ψ)に等しい複素有効高さ(heff)の位相シフト(Φ)、すなわちΦ=Ψで、帯電端子T1を励起するように調整され得る。この条件が満たされると、帯電端子T1上で振動する電荷Q1によって生じる電場は、損失性導電性媒体203の表面に沿って進行する誘導表面導波モードに結合される。たとえば、ブルースター角(θi、B)、垂直供給線導体221(図7)に関連付けられた位相遅れ(θy)、およびコイル215(図7)の構成が知られている場合、タップ224(図7)の位置は、帯電端子T1に位相Φ=Ψで振動する電荷Q1を印加するように決定および調整され得る。タップ224の位置は、伝わっている表面波の誘導表面導波モードへの結合を最大化するように調整してもよい。タップ224の位置を越える余分なコイルの長さは、静電容量の影響を低減するために除去してもよい。螺旋コイルの垂直ワイヤ長さおよび/または幾何学的パラメータも、様々な値を取るよう変化させてよい。

誘導表面導波モードへの損失性導電性媒体203の表面上での結合は、帯電端子T1上の電荷Q1に関連付けられた複素像平面に関する定常波共振のために、誘導表面導波路プローブ200を同調させることにより、向上および/または最適化され得る。こうすることにより、誘導表面導波路プローブ200の性能は、帯電端子T1上の増大したおよび/または最大の電圧(そしてひいては電荷Q1)のために調整され得る。再び図3を参照すると、領域1における損失性導電性媒体203の影響が、鏡像論理分析を使用して試験され得る。

物理的に、完全導電性面上で位置を上げて配置した電荷Q1は、完全導電性面上の自由電荷を集め、次いで、位置を上げて配置した電荷Q1の下の領域で「蓄積」される。結果として得られる、完全導電性面上の「拘束された」電気の分布は、ベル形状の曲線に類似している。位置を上げて配置した電荷Q1の電位と、電荷Q1の下の「蓄積」された電荷が印加された電位の重ね合わせにより、完全導電性面に関してゼロ等電位面が強要される。完全導電性面の上の領域の場を示す境界値の問題の解は、鏡像電荷の古典的概念を使用して得ることができ、ここで、位置を上げて配置した電荷からの場は、完全導電性面の下の対応する「鏡像」電荷からの場と重ね合わせられる。

この分析は、誘導表面導波路プローブ200の下に有効な鏡像電荷Q1’が存在すると仮定することにより、損失性導電性媒体203に関して使用することもできる。有効な鏡像電荷Q1’は、図3に示すように、導電像平面130の周りの帯電端子T1上の電荷Q1と同時に生じる。しかし、完全導体の場合のように、鏡像電荷Q1’は単に、いくつかの実際の深さで、帯電端子T1上の一次供給源の電荷Q1に対して180度位相がずれて位置しているわけではない。むしろ、損失性導電性媒体203(たとえば、陸上媒体)は、位相がシフトした像を与えている。すなわち、鏡像電荷Q1’は、損失性導電性媒体203の表面(または物理的境界)の下の複素深さにある。複素像深さの議論に関し、Wait,J.R.,「Complex Image Theory−Revisited」,IEEE Antennas and Propagation Magazine,Vol.33,No.4,August 1991,pp.27−29を参照する。この文献は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。

電荷Q1の物理的高さ(H1)に等しい深さにある鏡像電荷Q1’の代わりに、導電性の像基底面130(完全導体を示している)が、z=−d/2の複素深さに位置しており、鏡像電荷Q1’は、複素深さに表れ(すなわち、「深さ」は大きさと位相との両方を有している)、−D1=−(d/2+d/2+H1)≠H1によって与えられる。地球上で垂直に偏光された供給源は、以下のようになる。

(52) ここで、方程式(12)に示すように、

(53) および

(54) である。鏡像電荷の複素変位により、外部の場が、界面が誘電体か完全導体のいずれかである場合には直面しなかった追加の位相シフトを経ることになることを示している。損失性導電性媒体では、波面の法線が、領域1と領域2との間の境界面においてではなく、z=−d/2において導電性の像基底面130の接線に平行である。

損失性導電性媒体203が、物理的境界136を有する、有限導電性の地球133である図8Aに示すケースを考慮する。有限導電性の地球133は、物理的境界136の下の複素深さz1に位置する、図8Bに示す完全導電性の像基底面139によって置き換えてもよい。この等価表現は、物理的境界136において界面内を見下ろす場合に、同じインピーダンスを示している。図8Bの等価表現は、図8Cに示すように、等価伝達線としてモデル化することができる。等価構造の断面は、(z方向の)端部に負荷のある伝達線として示されており、完全導電性の像平面のインピーダンスは短絡している(zS=0)。深さz1は、地球において見下ろすTEM波のインピーダンスを、図8Cの伝達線を見る像基底面インピーダンスzinと等しくすることにより特定することができる。

図8Aの場合、上方領域(空気)142の伝播定数および波固有のインピーダンスは以下のようになる。

(55) および

(56) 損失性の地球133では、伝播定数および波固有のインピーダンスは以下のようになる。

(57) および

(58) 直角方向の入射に関して、図8Bの等価表現は、特性インピーダンスが空気の特性インピーダンス(z0)であり、伝播定数がγ0であり、長さがz1である、TEM伝達線と同等である。そのように、図8Cの短絡した伝達線に関する界面に見られる像基底面のインピーダンスZinは、以下によって与えられる。

(59) 図8Cの同等のモデルに関連付けられた像基底面のインピーダンスZinを、図8Aの直角の入射波のインピーダンスに等しくし、z1について解くことにより、短絡(完全導電性の像基底面139)への距離が以下のように与えられる。

(60) ここで、逆双曲線正接に関する級数展開の第1項のみが、この近似に関して考慮される。空気の領域142において、伝播定数がγ0=jβ0であるため、Zin=jZ0tanβ0z1となる(これは、z1が実数である場合に、純虚数量である)が、σ≠0である場合、zeは複素数値であることに留意されたい。したがって、z1が複素距離である場合のみ、Zin=Zeである。

図8Bの等価表現が完全導電性の像基底面139を含み、地球の表面(物理的境界136)にある電荷または電流に関する像の深さが、像基底面139の他方側において距離z1に等しく、または、地球の表面下では、d=2×z1である(z=0の位置にある)。したがって、完全導電性の像基底面139への距離は、以下によって近似され得る。

(61) さらに、「鏡像電荷」は、実際の電荷と「等しくかつ反対」であり、このため、深さz1=−d/2における完全導電性の像基底面139の電位はゼロになる。

図3に示すように、地球の表面から距離H1だけ上に電荷Q1の位置を上げた場合、鏡像電荷Q1’は、表面下のD1=d+H1の複素距離にあるか、像基底面130の下の複素距離d/2+H1にある。図7の誘導表面導波路プローブ200bは、図8Bの完全導電性の像基底面139に基づく等価の単一ワイヤ伝達線像平面モデルとしてモデル化することができる。図9Aは、等価の単一ワイヤ伝達線像平面モデルの例を示している。図9Bは、図8Cの短絡した伝達線を含む、等価の古典的な伝達線モデルの例を示している。

図9Aおよび9Bに示された等価の像平面モデルでは、Φ=θycは、地球133(または損失性導電性媒体203)を規準とした誘導表面導波路プローブ200の、進行波の位相遅れである。θcpHは、角度で表される、物理長さHの、(図7の)コイル215の電気的長さである。θywhwは、角度で表される、物理長さhwの、(図7の)垂直供給線導体221の電気的長さである。θd0d/2は、像基底面139と、地球(133または損失性導電性媒体203)の物理的境界136との間の位相シフトである。図9Aおよび9Bの例では、Zwは、オームで表される位置を上げて配置した垂直供給線導体221の特性インピーダンスであり、Zcは、オームで表されるコイル215の特性インピーダンスであり、z0は、自由空間の特性インピーダンスである。

(62) ここで、CTは、帯電端子T1の自己容量であり、垂直供給線導体221(図7)を「見上げている」ように見られるインピーダンスは、以下によって与えられる。

(63) コイル215(図7)を「見上げている」ように見られるインピーダンスは、以下によって与えられる。

(64)

(65) ここで、Zs=0である。

したがって、誘導表面導波路プローブ200内を「見上げる」物理的境界136におけるインピーダンスは、損失性導電性媒体203内を「見下ろす」物理的境界136におけるインピーダンスの共役である。進行波の位相遅れΦを媒体のウェーブチルトの角度Ψに等しくなるように維持し、それによりΦ=Ψとしつつ、帯電端子T1の負荷インピーダンスZLを調整する。このことが、損失性導電性媒体203(たとえば地球)の表面に沿う、プローブの電場の、誘導表面導波モードへの結合を向上および/または最大化することにより、図9Aおよび9Bの等価の像平面モデルが、像基底面139に関して共振するように同調され得る。この方式で、等価の複素像平面のモデルのインピーダンスは純粋に抵抗性であり、これにより、電圧および、端子T1上で位置を上げて配置した電荷を最大化するプローブ構造上の重ね合わせられた定常波が維持される。また、方程式(1)〜(3)および(16)により、伝播する表面波が最大化される。

ハンケル解から、誘導表面導波路プローブ200によって励起された誘導表面波は、外側に伝播する進行波であることが導かれる。帯電端子T1と、誘導表面導波路プローブ200の接地杭218(図3および7)との間の給電ネットワーク209に沿う供給源の分布は、実際に、構造上の進行波と定常波の重ね合わせで構成されている。帯電端子T1が物理的高さhpまたはその上に位置していると、給電ネットワーク209を通って移動する進行波の位相遅れは、損失性導電性媒体203に関連付けられたウェーブチルトの角度に整合している。このモード整合により、進行波が損失性導電性媒体203に沿って発せられることを可能にしている。位相遅れが進行波に関して確立されると、帯電端子T1の負荷インピーダンスZLが、プローブ構造を、−d/2の複素深さにある像基底面(図3の130または図8の139)に対して定常波共振するように調整される。その場合、像基底面から見られるインピーダンスは、リアクタンスがゼロであり、帯電端子T1の電荷が最大化される。

進行波現象と定常波現象との間の差異は、(1)長さdの伝達線(「遅れ線」と呼ばれる場合がある)の部分の進行波の位相遅れ(θ=βd)が、伝播時間の遅れに起因していることと、一方、(2)定常波(前方または後方に伝播する波で構成されている)の位置に応じた位相が、線の長さの伝播時間の遅れと、異なる特性インピーダンスの線部分間の界面におけるインピーダンスの遷移との両方に基づくことと、である。正弦波の定常状態で動作する伝達線の部分の物理的長さに起因して生じる位相遅れに加え、zoa/zobの比に起因する、インピーダンスの不連続性における追加の反射係数の位相が存在する。ここで、zoaおよびzobは、たとえば特性インピーダンスzoa=zcの螺旋コイル部分(図9B)と、特性インピーダンスzob=zwの垂直供給線導体の直線部分(図9B)などの、伝達線の2つの部分の特性インピーダンスである。

この現象の結果として、大きく異なる特性インピーダンスを有する比較的短い2つの伝達線部分が、かなり大きい位相シフトを提供するために使用され得る。たとえば、1つが低インピーダンスで、1つが高インピーダンスであり、あわせて、いわゆる0.05λの物理的長さになる、伝達線の2つの部分で構成されたプローブ構造が、0.25λの共振と等価である90度の位相シフトを提供するように形成され得る。このことは、特性インピーダンスの大きい飛躍に起因する。この方法で、物理的に短いプローブ構造は、合わせられた2つの物理的長さより電気的に長くなり得る。このことは、図9Aおよび9Bに示されており、インピーダンスの比の不連続性により、位相の大きい飛躍が与えられている。インピーダンスの不連続性により、各部分が結合している場所において実質的な位相シフトが提供される。

図10を参照すると、誘導表面導波路プローブ200(図3および7)を調整して、損失性導電性媒体203(図3)の面に沿う誘導表面進行波を発する、損失性導電性媒体の表面上の誘導表面導波モードに実質的にモード整合させる例を示すフローチャート150が示されている。最初に、153において、誘導表面導波路プローブ200の帯電端子T1が損失性導電性媒体203上の規定の高さに配置される。損失性導電性媒体203の特性と、誘導表面導波路プローブ200の動作周波数を利用して、ハンケル交差距離も、図4に示すように、方程式(20b)および(21)の大きさを−jγρに関して等しくし、Rxに関して解くことによって見出され得る。複素屈折率(n)は、方程式(41)を使用して特定することができ、また、複素ブルースター角(θi、B)は次いで、方程式(42)から特定することができる。帯電端子T1の物理的高さ(hp)は次いで、方程式(44)から特定され得る。帯電端子T1は、ハンケル関数の遠方の要素を励起するために、物理的高さ(hp)以上にあるものとする。この高さの関係は、表面波を発する際に最初に考慮される。帯電端子T1上の拘束された電荷を低減するか最小化するために、高さは、帯電端子T1の球の直径(または同等の球の直径)の少なくとも4倍の物理的高さであるものとする。

156では、帯電端子T1上の位置を上げて配置した電荷Q1の電気的位相遅れΦが複素ウェーブチルトの角度Ψに整合される。螺旋コイルの位相遅れ(θC)および/または垂直供給線導体の位相遅れ(θy)は、Φを、ウェーブチルト(W)の角度(Ψ)と等しくするように調整され得る。方程式(31)に基づき、ウェーブチルトの角度(Ψ)は、以下から特定され得る。

(66) 電気的位相Φは、次いで、ウェーブチルトの角度に整合され得る。この角度(または位相)の関係は次に、表面波を発する際に考慮される。たとえば、電気的位相遅れΦ=θcyは、コイル215の幾何学的パラメータ(図7)および/または垂直供給線導体221(図7)の長さ(または高さ)を変化させることにより調整することができる。Φ=Ψに整合させることにより、電場が、表面の導波モードを励起するとともに損失性導電性媒体203に沿って進行波を発するために、境界面における複素ブルースター角でハンケル交差距離(Rx)またはそれを越える位置で確立され得る。

次に159において、帯電端子T1の負荷インピーダンスが、誘導表面導波路プローブ200の等価の像平面モデルを共振させるように同調する。図9Aおよび9Bの導電性の像基底面139(または図3の130)の深さ(d/2)は、方程式(52)、(53)、および(54)、ならびに、測定され得る損失性導電性媒体203(たとえば地球)の値を使用して特定され得る。その深さを使用して、像基底面139と、損失性導電性媒体203の物理的境界136との間の位相シフト(θd)は、θd0d/2を使用して特定され得る。損失性導電性媒体203を「見下ろす」ように見られるインピーダンス(Zin)は、次いで、方程式(65)を使用して特定され得る。この共振関係は、発せられた表面波を最大化するように考慮され得る。

コイル215の調整されたパラメータおよび垂直供給線導体221の長さに基づき、速度因子、位相遅れ、ならびに、コイル215のインピーダンスおよび垂直供給線導体221が、方程式(45)〜(51)を使用して特定され得る。さらに、帯電端子T1の自己容量(CT)は、たとえば、方程式(24)を使用して特定され得る。コイル215の伝播因子(βp)は、方程式(35)を使用して特定され得、垂直供給線導体221のための伝播位相定数(βw)は、方程式(49)を使用して特定され得る。コイル215および垂直供給線導体221の自己容量および特定された値を使用して、コイル215を「見上げる」ように見られる誘導表面導波路プローブ200のインピーダンス(Zbase)は、方程式(62)、(63)、および(64)を使用して特定され得る。

誘導表面導波路プローブ200の等価の像平面モデルは、Zbaseの共振要素Xbaseが、Zinの共振要素Xinをキャンセルする、すなわち、Xbase+Xinであるように、負荷インピーダンスZLを調整することにより、共振するように同調し得る。したがって、誘導表面導波路プローブ200内を「見上げる」物理的境界136におけるインピーダンスは、損失性導電性媒体203内を「見下ろす」物理的境界136におけるインピーダンスの共役である。負荷インピーダンスZLは、帯電端子T1の電気的位相遅れΦ=θCyを変化させることなく、帯電端子T1の静電容量(CT)を変化させることにより、調整され得る。導電性の像基底面139(または130)に対する等価の像平面モデルの共振のために、負荷インピーダンスZLを同調させるために反復法を用いてもよい。この方式で、電場の、損失性導電性媒体203(たとえば、地球)の表面に沿っての誘導表面導波モードへの結合が向上されるか最大化され得る。

このことは、複数の例の場合を説明することによってよりよく理解されるであろう。帯電端子T1が頂部にある、物理的高さhpの、頂部に負荷された垂直スタッドを備えた誘導表面導波路プローブ200を考慮する。ここで、帯電端子T1は、螺旋コイルおよび垂直供給線導体を通して、1.85MHzの動作周波数(f0)で励起される。16フィートの高さ(H1)、ならびに、εr=15の相対誘電率およびσ1=0.010mhos/mの導電性を有する損失性導電性媒体203(たとえば、地球)により、いくつかの表面波伝播パラメータが、f0=1.85MHzに関して計算され得る。これら条件下で、ハンケル交差距離が、物理的高さhp=5.5フィートにおいてRx=54.5フィートであることが分かる。このことは、帯電端子T1の実際の高さより十分に下にある。H1=5.5フィートの帯電端子の高さが使用されてきたが、より高いプローブ構造が拘束静電容量を低減し、帯電端子T1の自由電荷のより高いパーセンテージを許容し、より高い場の強度および、進行波の励起を提供してきた。

波長は以下のように特定され得る。

(67) ここで、cは光速である。複素屈折率は、方程式(41)から、以下のようになる。

(68) ここで、x=σ1/ωε0は、ω=2πf0である。また、複素ブルースター角は、方程式(42)から、以下のようになる。

(69) 方程式(66)を使用すると、ウェーブチルトの値は、以下のように特定され得る。

(70) したがって、螺旋コイルは、Φ=Ψ=40.614°に整合するように調整され得る。

垂直供給線導体の速度因子(直径0.27インチの一様な円筒状の導電体として近似される)は、Vw=約0.93として与えられる。hp<<λ0であるため、垂直供給線導体に関する伝播位相定数は、以下のように近似され得る。

(71) 方程式(49)から、垂直供給線導体の位相遅れは、以下のようになる。

(72) 螺旋コイルの位相遅れをθc=28.974°=40.614°−11.640°となるように調整することにより、ΦはΨと等しくなって、誘導表面導波モードに整合する。ΦとΨとの間の関係を説明するために、図11は、周波数領域上のΦとΨとの両方のプロットを示している。ΦとΨとの両方が周波数依存であるため、ΦとΨとのそれぞれの曲線が、約1.85MHzにおいて相互に交差していることを見て取ることができる。

0.0881インチの導電体直径、30インチのコイルの直径(D)、および、4インチの巻回間の間隔(s)の螺旋コイルに関して、コイルに関する速度因子は、方程式(45)を使用して以下のように特定され得る。

(73) 伝播因子は、方程式(35)から、以下のようになる。

(74) θc=28.974°とすると、螺旋形状(H)の軸方向の長さは、方程式(46)を使用して、以下のように特定され得る。

(75) この高さにより、垂直供給線導体が接続された螺旋コイル上の位置が特定され、結果として8.818巻(N=H/s)のコイルを得る。

コイルおよび垂直供給線導体の進行波位相遅れが、ウェーブチルトの角度に整合するように調整されていることで(Φ=θcy=Ψ)、帯電端子T1の負荷インピーダンス(ZL)は、誘導表面波プローブ200の等価の像平面モデルの定常波共振に関して調整され得る。測定された地球の誘電率、導電性、および透磁性から、径方向伝播定数が、方程式(57)を使用して特定され得る。

(76) また、導電性の像基底面の複素深さは、方程式(52)から以下のように近似され得る。

(77) 導電性の像基底面と地球の物理的境界との間の対応する位相シフトは、以下によって与えられる。

(78) 方程式(65)を使用して、損失性導電性媒体203(すなわち、地球)を「見下ろす」ように見られるインピーダンスは、以下のように特定され得る。

(79)

損失性導電性媒体203を「見下ろす」ように見られる無効分(Xin)を、誘導表面波プローブ200を「見上げる」ように見られる無効分(Xbase)と整合させることにより、誘導表面導波モードへの結合を最大化することができる。このことは、コイルおよび垂直供給線導体の進行波位相遅れを変化させることなく、帯電端子T1の静電容量を調整することにより、達成され得る。たとえば、帯電端子静電容量(CT)を61.8126pFに調整することにより、方程式(62)からの負荷インピーダンスは以下のようになる。

(80) また、境界における無効分は整合される。

方程式(51)を使用して、垂直供給線導体(0.27インチの直径(2a)を有する)のインピーダンスは、以下のように与えられる。

(81) また、垂直供給線導体を「見上げている」ように見られるインピーダンスは、方程式(63)によって以下のように与えられる。

(82) 方程式(47)を使用して、螺旋コイルの特性インピーダンスは、以下のように与えられる。

(83) また、コイル基からそれを「見上げている」ように見られるインピーダンスは、方程式(64)によって以下のように与えられる。

(84) 方程式(79)の解と比べると、無効分が、逆であるとともにほぼ等しく、したがって、相互に共役であることを見て取ることができる。したがって、完全導電性の像基底面からの、図9Aおよび9Bの等価の像平面モデルを「見上げる」ように見られるインピーダンス(Zip)は、もっぱら抵抗性であるか、Zip=R+j0である。

誘導表面導波路プローブ200(図3)によって提供される電場が、給電ネットワークの進行波位相遅れをウェーブチルトの角度に整合させることによって確立され、また、プローブ構造が複素深さz=−d/2において完全導電性の像基底面に対して共振された場合、場は、損失性導電性媒体の表面上の誘導表面導波モードに、実質的にモード整合しており、誘導表面進行波は、損失性導電性媒体の表面に沿って発せられる。図1に示すように、誘導電磁場の誘導場の強度曲線103は、e−αd/√dの特徴的指数関数的減衰を有し、対数−対数スケール上に特有の屈曲部109を示している

まとめると、解析的かつ試験的に、誘導表面導波路プローブ200の構造上の進行波成分が、その上方の端子において、表面進行波のウェーブチルトの角度(Ψ)に整合する位相遅れ(Φ)を有している(Φ=Ψ)。この条件下では、表面導波路は、「モード整合した」と見なすことができる。さらに、誘導表面導波路プローブ200の構造上の共振定常波の要素は、帯電端子T1におけるVMAXと、下の像平面139(図8B)におけるVMINを有している。ここで、損失性導電性媒体203(図8B)の物理的境界136における接続部においてではなく、z=−d/2の複素深さにおいて、Zip=Rip+j0である。最後に、帯電端子T1は、複素ブルースター角における損失性導電性媒体203上への電磁波の入射が、ある距離においてそれほど離れていない(≧Rx)ように、図3の十分な高さH1(h≧Rxtanψi、B)を有している。ここでは、1/√rの項が優勢である。受信回路は、無線伝達および/または電力搬送システムを促進するために、1つまたは複数の誘導表面導波路プローブとともに利用され得る。

再び図3を参照すると、誘導表面導波路プローブ200の動作が、誘導表面導波路プローブ200と関連付けられた動作条件の変化に関して調整するように制御することができる。たとえば、適合されたプローブ制御システム230は、誘導表面導波路プローブ200の動作を制御するために、給電ネットワーク209および/または帯電端子T1を制御するように使用され得る。動作条件には、限定しないが、損失性導電性媒体203の特性(たとえば、導電性σおよび相対誘電率εr)の変化、場の強度の変化、および/または誘導表面導波路プローブ200の負荷の変化が含まれ得る。方程式(31)、(41)、および(42)から見られるように、屈折率(n)、複素ブルースター角(θi、B)、およびウェーブチルト(|W|e)は、たとえば天気の条件からの、土の導電性および誘電率の変化によって影響され得る。

たとえば導電性測定プローブ、誘電率センサ、グラウンド・パラメータ・メータ、フィールドメータ、電流モニタ、および/または負荷受信機などの設備が、動作条件の変化について監視し、現在の動作条件に関する情報を、適応したプローブ制御システム230に提供するために使用され得る。プローブ制御システム230はこのため、誘導表面導波路プローブ200に関する特定の動作条件を維持するために、1つまたは複数の調整を誘導表面導波路プローブ200に対して行うことができる。たとえば、湿度および温度が変化するにつれて、土の導電性も変化する。導電性測定プローブおよび/または誘電率センサは、誘導表面導波路プローブ200周りの複数の位置に配置されてもよい。概して、動作周波数に関するハンケル交差距離Rx、またはその上の導電性および/または誘電率を監視することが望ましい。導電性測定プローブおよび/または誘電率センサは、誘導表面導波路プローブ200周りの複数の位置(たとえば、各象限)に配置されてもよい。

導電性測定プローブおよび/または誘電率センサは、特定の周期で導電性および/または誘電率を評価し、プローブ制御システム230に情報を通信するように構成され得る。情報は、プローブ制御システム230に、限定しないが、LAN、WLAN、セルラネットワーク、または他の適切な有線もしくは無線通信ネットワークなどのネットワークを通して通信することができる。監視された導電性および/または誘電率に基づき、プローブ制御システム230は、屈折率(n)、複素ブルースター角(θi、B)、および/またはウェーブチルト(|W|e)の変化を評価するとともに、ウェーブチルトの角度(Ψ)に等しい給電ネットワーク209の位相遅れ(Φ)を維持し、かつ/または、誘導表面導波路プローブ200の等価の像平面モデルの共振を維持するために、誘導表面導波路プローブ200を調整してもよい。このことは、たとえば、θy、θc、および/またはCTを調整することによって達成され得る。たとえば、プローブ制御システム230は、誘導表面波の電気的な発信効率を最大またはその近傍に維持するために、帯電端子T1の自己容量、および/または帯電端子T1に印加される位相遅れ(θy、θc)を調整することができる。たとえば、帯電端子T1の自己容量は、端子のサイズを変化させることによって変化し得る。電荷の分布も、帯電端子T1のサイズを増大させることによって向上され得る。このことは、帯電端子T1からの放電の可能性を低減し得る。他の実施形態では、帯電端子T1は、負荷インピーダンスZLを変化させるように調整され得る可変インダクタンスを含み得る。帯電端子T1に印加される位相は、発信効率を最大化するために、コイル215上のタップの位置(図7)を変化させること、および/または、コイル215に沿う予め規定された複数のタップを含み、予め規定された様々なタップ位置間で切り換えることにより、調整され得る。

場または場の強度(FS)メータも、誘導表面波に関連付けられた場の、場の強度を測定するために、誘導表面導波路プローブ200周りに配置することができる。場またはFSメータは、場の強度および/または場強度の変化(たとえば、電場の強度)を探知し、その情報をプローブ制御システム230に通信するように構成され得る。情報は、プローブ制御システム230に、限定しないが、LAN、WLAN、セルラネットワーク、または他の適切な通信ネットワークなどのネットワークを通して通信することができる。動作中に負荷および/または環境条件が変わるか変化するにつれて、誘導表面導波路プローブ200は、受信機への適切な電力伝達および受信機によって供給される負荷を確実にするために、FSメータの位置における特定の場の強度(s)を維持するように調整することができる。

たとえば、帯電端子T1に印加される位相遅れ(Φ=θyc)は、ウェーブチルトの角度(Ψ)に整合するように調整され得る。一方または両方の位相遅れを調整することにより、誘導表面導波路プローブ200は、複素ブルースター角に対応するウェーブチルトを確実にするように調整され得る。このことは、帯電端子T1に供給される位相遅れを変化させるために、コイル215上のタップ位置(図7)を調整することによって達成され得る。帯電端子T1に供給される電圧レベルも、電場強度を調整するために増減され得る。このことは、励起源212の出力電圧を調整すること、または、給電ネットワーク209を調整もしくは再構成することにより、達成することができる。たとえば、AC源212のためのタップ227の位置(図7)は、帯電端子T1に見られる電圧を増大させるように調整され得る。場の強度レベルを予め規定された範囲内に維持することにより、受信機による結合が向上し、接地電流の損失を低減し、また、他の誘導表面導波路プローブ200からの伝達との干渉を避けることができる。

プローブ制御システム230は、ハードウェア、ファームウェア、ハードウェアによって実行されるソフトウェア、またはそれらの組合せによって実施され得る。たとえば、プローブ制御システム230は、プロセッサおよびメモリを含む処理回路を含み得る。プロセッサとメモリとの両方は、たとえば、当業者に理解され得るように、付随する制御/アドレスバスを伴うデータバスなどのローカルインターフェースに結合することができる。プローブの制御アプリケーションは、監視されている条件に基づいて誘導表面導波路プローブ200の動作を調整するために、プロセッサによって実行することができる。プローブ制御システム230も、様々なモニタリングデバイスと通信するための1つまたは複数のネットワークインターフェースを含み得る。通信は、限定ではないが、LAN、WLAN、セルラネットワーク、または他の適切な通信ネットワークなどのネットワークを通し得る。プローブ制御システム230は、たとえば、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、または同様の能力を有する他のシステムなどのコンピュータシステムを備えていてもよい。

再び図5Aの例を参照すると、複素角度三角法が、ハンケル交差距離(Rx)における複素ブルースター角(θi、B)の帯電端子T1の入射電場(E)の光線光学的解釈に関して示されている。損失性導電性媒体に関して、ブルースター角が複素数であり、方程式(38)によって特定されることを思い出してもらいたい。電気的に、幾何学的パラメータは、方程式(39)により、帯電端子T1の電気的に有効な高さ(heff)によって関連付けられる。物理的高さ(hp)とハンケル交差距離(Rx)との両方が実量であるため、ハンケル交差距離における所望の誘導表面のウェーブチルト(WRx)の角度は、複素有効高さ(heff)の位相(Φ)に等しい。物理的高さhpに位置し、適切な位相Φを有する電荷で励起された帯電端子T1により、結果として得られる電場は、ハンケル交差距離Rxおよびブルースター角における損失性導電性媒体境界面に入射する。これら条件下で、誘導表面導波モードは、反射なしで、または実質的に無視できる反射で励起され得る。

しかし、方程式(39)は、誘導表面導波路プローブ200の物理的高さが比較的小さくなり得ることを意味している。このことは、誘導表面導波モードを励起する一方、自由電荷がほとんどなく、拘束された電荷が過度に大きくなる結果となり得る。これに対して補償するために、帯電端子T1は、自由電荷の量を増大させるために、適切な高さに上げられてもよい。1つの例示的経験則のように、帯電端子T1は、帯電端子T1の有効直径の約4〜5倍(またはそれより大)の高さに位置され得る。図6は、図5Aに示した物理的高さ(hp)の上の、帯電端子T1を上昇させることの効果を示している。高さを上げることにより、ウェーブチルトが損失性導電性媒体に入射する距離を、ハンケル交差点121(図5A)を越えるよう移動させる。誘導表面導波モードにおける結合を向上させるため、そしてひいては、誘導表面波の発信効率をより大きくするために、下方の補償端子T2が、ハンケル交差距離におけるウェーブチルトがブルースター角となるように、帯電端子T1の総有効高さ(hTE)を調整するために使用され得る。

図12を参照すると、損失性導電性媒体203によって与えられた面に対して直角である垂直軸zに沿って位置を上げて配置した帯電端子T1および下方の補償端子T2を含む誘導表面導波路プローブ200cの例が示されている。これに関して、帯電端子T1は、補償端子T2の直上に配置されているが、2つ以上の帯電端子および/または補償端子TNのいくつかの他の構成を使用することが可能である。誘導表面導波路プローブ200cは、本開示の一実施形態に従って、損失性導電性媒体203の上に配置されている。損失性導電性媒体203は領域1を形成しており、領域2を形成する第2の媒体206が境界面を損失性導電性媒体203と共有している。

誘導表面導波路プローブ200cは、励起源212を帯電端子T1および補償端子T2に結合する給電ネットワーク209を含んでいる。様々な実施形態によれば、特定の瞬間に端子T1と端子T2とに印加される電圧に応じて、電荷Q1と電荷Q2とが、それぞれの帯電端子T1と補償端子T2とに印加され得る。I1は、端子リードを介して帯電端子T1に電荷Q1を供給する伝導電流であり、I2は、端子リードを介して補償端子T2に電荷Q2を供給する伝導電流である。

図12の実施形態によれば、帯電端子T1は、物理的高さH1において損失性導電性媒体203上に位置しており、補償端子T2は、物理的高さH2において、垂直軸zに沿ってT1の直下に位置している。ここで、H2はH1よりも小である。伝達構造の高さhは、h=H1−H2として計算することができる。帯電端子T1は、絶縁された(または自己)静電容量C1を有し、補償端子T2は、絶縁された(または自己)静電容量C2を有する。相互静電容量CMも、端子T1と端子T2との間に、その間の距離に応じて存在し得る。動作時には、電荷Q1とQ2とが、ある瞬間において帯電端子T1と補償端子T2とに印加された電圧に応じて、帯電端子T1と補償端子T2とにそれぞれ印加される。

次に図13を参照すると、図12の帯電端子T1および補償端子T2上の位置を上げて配置した電荷Q1によって与えられた効果の光線光学的解釈が示されている。線163で示されるように、ハンケル交差点121よりも大である距離において光線が損失性導電性媒体とブルースター角で交差する高さに帯電端子T1が上げられると、補償端子T2は、増大した高さを補償することにより、hTEを調整するために使用され得る。補償端子T2の効果は、ハンケル交差距離におけるウェーブチルトが、線166によって示されているようなブルースター角であるように、誘導表面導波路プローブの電気的に有効な高さを低減する(または、損失性媒体界面を効果的に上昇させる)ことである。

総有効高さは、以下のように、帯電端子T1に関連付けられた上方有効高さ(hUE)と、補償端子T2に関連付けられた下方有効高さ(hLE)との重ね合わせとして記載され得る。

(85) ここで、ΦUは、上方の帯電端子T1に印加される位相遅れ、ΦLは、下方の補償端子T2に印加される位相遅れ、β=2π/λpは、方程式(35)からの伝播因子、hpは、帯電端子T1の物理的高さ、hdは、補償端子T2の物理的高さである。追加のリード長さを考慮する場合、それら長さは、以下に示すように、帯電端子のリード長さzを帯電端子T1の物理的高さhpに加えるとともに、補償端子のリード長さyを補償端子T2の物理的高さhdに加えることで対処され得る。

(86) 下方の有効高さは、総有効高さ(hTE)を図5Aの複素有効高さ(heff)と等しくなるように調整するために使用され得る。

方程式(85)または(86)は、ハンケル交差距離における所望のウェーブチルトを得るために、下方の補償端子T2のディスクの物理的高さ、および、端子に供給する位相角度を特定するのに使用され得る。たとえば、方程式(86)は、以下を与えるように、補償端子の高さ(hd)の関数として帯電端子T1に印加される位相シフトとして書き直すことができる。

(87)

補償端子T2の位置決めを特定するために、上述の関係が利用され得る。第1に、総有効高さ(hTE)は、方程式(86)に示したように、上方の帯電端子T1の複素有効高さ(hUE)と、下方の補償端子T2の複素有効高さ(hLE)との重ね合わせである。次に、入射角の正接は、幾何学的に以下のように表され得る。

(88) このことは、ウェーブチルトWの規定に等しい。最後に、所望のハンケル交差距離Rxの場合、hTEは、ハンケル交差点121において、入射光のウェーブチルトを複素ブルースター角に整合させるように調整され得る。このことは、たとえばhp、ΦU、およびhdを調整することによって達成され得る。

これらの概念は、誘導表面導波路プローブの例をとって議論する場合に、よりよく理解されるであろう。図14を参照すると、損失性導電性媒体203によって与えられた面に対してほぼ直角である垂直軸zに沿って配置された、上方の帯電端子T1(たとえば、高さhTにおける球)と、下方の補償端子T2(たとえば、高さhdのディスク)を含む誘導表面導波路プローブ200dの例が図示されている。動作時には、電荷Q1と電荷Q2とが、特定の瞬間に端子T1と端子T2とに印加される電圧に応じて、帯電端子T1と補償端子T2とにそれぞれ印加される。

AC源212は、誘導表面導波路プローブ200dに、たとえば螺旋コイルなどのコイル215を備えた給電ネットワーク209を通して結合した、帯電端子T1のための励起源として作用する。AC源212は、図14に示すように、コイル215の下方部分を越えてタップ227を通して接続され得るか、一次コイルによってコイル215に誘導的に結合され得る。コイル215は、第1の端部で接地杭218に結合され得、第2の端部において帯電端子T1に結合され得る。いくつかの実施態様では、帯電端子T1への接続は、コイル215の第2の端部において、タップ224を使用して調整され得る。補償端子T2は、損失性導電性媒体203(たとえば、地面または地球)上に、損失性導電性媒体203とほぼ水平に配置され、コイル215に結合したタップ233を通して給電される。コイル215と接地杭218との間に位置する電流計236は、誘導表面導波路プローブの基における電流の大きさ(I0)の表示を提供するのに使用され得る。代替的には、電流の大きさ(I0)の表示を得るために、電流固定が、接地杭218に結合した導電体周りで使用することができる。

図14の例では、コイル215は、第1の端部で接地杭218に結合し、第2の端部において垂直供給線導体221を介して帯電端子T1に結合している。いくつかの実施態様では、図14に示すように、帯電端子T1への接続は、コイル215の第2の端部において、タップ224を使用して調整され得る。コイル215は、コイル215の下方部分において、タップ227を通してAC源212によって動作周波数で通電され得る。他の実施態様では、AC源212は、一次コイルを通してコイル215に誘導的に結合され得る。補償端子T2は、コイル215に結合したタップ233を通して給電される。コイル215と接地杭218との間に位置する電流計236は、誘導表面導波路プローブ200dの基における電流の大きさの表示を提供するのに使用され得る。代替的には、電流の大きさの表示を得るために、電流固定が、接地杭218に結合した導電体周りで使用することができる。補償端子T2は、損失性導電性媒体203(たとえば、地面)上に、損失性導電性媒体203とほぼ水平に配置されている。

図14の例では、帯電端子T1との接続部は、コイル215上の、補償端子T2のためのタップ233の接続ポイントの上に位置している。そのような調整により、増大した電圧(そしてひいては、より高い電荷Q1)を上方の帯電端子T1に印加することが可能である。他の実施形態では、帯電端子T1の接続点と補償端子T2の接続点とが逆になり得る。誘導表面導波路プローブ200dの総有効高さ(hTE)を、ハンケル交差距離Rxにおいて誘導表面ウェーブチルトを有する電場を励起するように調整することが可能である。ハンケル交差距離も、方程式(20b)および(21)の大きさを−jγρに関して等しくし、図4によって示されるように、Rxに関して解くことによって見出され得る。屈折率(n)、複素ブルースター角(θi、Bおよびψi、B)、ウェーブチルト(|W|e)、ならびに複素有効高さ(heff=hpe)は、上の方程式(41)〜(44)に関して記載したように特定され得る。

選択された帯電端子T1の構成では、球の直径(または有効な球の直径)が特定され得る。たとえば、帯電端子T1が球として構成されていない場合、端子の構成は、有効な球の直径を有する球状の静電容量としてモデル化することができる。帯電端子T1のサイズは、端子に印加される電荷Q1のための十分に大きい表面を提供するように選択され得る。通常は、帯電端子T1を実施できる程度に大きく形成することが望ましい。帯電端子T1のサイズは、周囲の空気のイオン化を避けるために十分に大きいものとする。周囲の空気のイオン化は、帯電端子の周囲での放電またはスパーキングに繋がり得る。帯電端子T1上の拘束された電荷の量を低減するために、誘導表面波を発するための帯電端子T1に自由電荷を提供する所望の高さは、損失性導電性媒体(たとえば、地球)上の、有効な球の直径の少なくとも4〜5倍であるものとする。補償端子T2は、Rxにおいて誘導表面ウェーブチルトを有する電場を励起するように、誘導表面導波路プローブ200dの総有効高さ(hTE)を調整するために使用され得る。補償端子T2は、hd=hT−hpで帯電端子T1の下に配置され得る。ここで、hTは、帯電端子T1の総物理的高さである。補償端子T2の位置が固定され、位相遅れΦUが上方の帯電端子T1に印加されると、下方の補償端子T2に印加される位相遅れΦLが、以下のように、方程式(86)の関係を使用して特定され得る。

(89) 代替的実施形態では、補償端子T2は、高さhdに配置され得る。ここで、Im{ΦL}=0である。このことは、ΦUの実数部分と虚数部分とのそれぞれのプロット172とプロット175とを示す図15Aに図示されている。補償端子T2は、プロット172に図示するように、高さhdに配置されている。ここで、Im{ΦU}=0である。この固定された高さでは、コイルの位相ΦUは、プロット175に図示するように、Re{ΦU}から特定され得る。

AC源212がコイル215(たとえば、結合を最大化する50Ωのポイント)に結合していると、タップ233の位置は、動作周波数におけるコイルの少なくとも一部分との、補償端子T2の並列共振のために調整され得る。図15Bは、図14の概略的な電気接続図の概略図を示している。図中、V1は、AC源212からタップ227を通してコイル215の下方部分に印加される電圧、V2は、上方の帯電端子T1に供給される、タップ224における電圧、V3は、タップ233を通して下方の補償端子T2に印加される電圧である。抵抗Rpと抵抗Rdとは、帯電端子T1と補償端子T2とのそれぞれの帰地抵抗を示している。帯電端子T1および補償端子T2は、球、円筒、トロイド、リング、フード、または、静電容量の構造の任意の他の組合せとして構成することができる。帯電端子T1および補償端子T2のサイズは、各端子に印加される電荷Q1および電荷Q2のための十分に大きい表面を提供するように選択され得る。通常は、帯電端子T1を実施できる程度に大きく形成することが望ましい。帯電端子T1のサイズは、周囲の空気のイオン化を避けるために十分に大きいものとする。周囲の空気のイオン化は、帯電端子の周囲での放電またはスパーキングに繋がり得る。帯電端子T1と補償端子T2とのそれぞれの自己容量Cpと自己容量Cdとは、たとえば、方程式(24)を使用して特定され得る。

図15Bに見て取ることができるように、共振回路は、コイル215のインダクタンスの少なくとも一部分、補償端子T2の自己容量Cd、および補償端子T2に関連付けられた帰地抵抗Rdで形成されている。並列共振は、補償端子T2に印加される電圧V3を調整すること(たとえば、コイル215上のタップ233の位置を調整すること)、または、補償端子T2の高さおよび/もしくはサイズを調整してCdを調整することにより、達成され得る。コイルのタップ233の位置は、並列共振のために調整され得る。このことは、接地杭218を通るとともに電流計236を通る接地電流が最大点に達する結果となる。補償端子T2の並列共振が確立された後に、AC源212のためのタップ227の位置は、コイル215上の50Ωの点に調整され得る。

コイル215からの電圧V2は、帯電端子T1に印加することができ、タップ224の位置は、総有効高さ(hTE)の位相(Φ)が、ハンケル交差距離(Rx)における誘導表面のウェーブチルト(WRx)の角度にほぼ等しくなるように調整され得る。コイルのタップ224の位置は、この動作点に達するまで調整され得る。このことは、電流計236を通る接地電流が最大点に増大する結果となる。この点において、誘導表面導波路プローブ200dによって励起されて得られる場は、結果として、損失性導電性媒体203の表面上の誘導表面導波モードにほぼモード整合しており、誘導表面波を損失性導電性媒体203の表面に沿って発する。このことは、誘導表面導波路プローブ200から延びる放射線に沿って場の強度を測定することにより、証明され得る。

補償端子T2を含む回路の共振は、帯電端子T1の取付け、および/または、タップ224を通して帯電端子T1に印加される電圧の調整とともに変化する場合がある。共振のための補償端子回路の調整が、次の帯電端子の接続の調整の助けになるが、ハンケル交差距離(Rx)における誘導表面ウェーブチルト(WRx)を確立することは不要である。システムは、AC源212に関するタップ227の位置を、コイル215上の50Ωの点になるように繰返し調整することと、タップ233の位置を、電流計236を通る接地電流を最大化するように調整することとにより、結合を向上させるようにさらに調整することができる。補償端子T2を含む回路の共振は、タップ227およびタップ233の位置が調整されるにつれて、または他の要素がコイル215に取り付けられる場合に、ドリフトする場合がある。

他の実施態様では、コイル215からの電圧V2は、帯電端子T1に印加することができ、タップ233の位置は、総有効高さ(hTE)の位相(Φ)が、Rxにおける誘導表面ウェーブチルトの角度(Ψ)にほぼ等しくなるように調整され得る。コイルのタップ224の位置は、この動作点に達するまで調整され得、電流計236を通る接地電流が最大点に実質的に到達する結果となる。結果として得られる場は、損失性導電性媒体203の表面上の誘導表面導波モードにほぼモード整合しており、誘導表面波は、損失性導電性媒体203の表面に沿って発せられる。このことは、誘導表面導波路プローブ200から延びる放射線に沿って場の強度を測定することにより、証明され得る。システムは、AC源212に関するタップ227の位置を、コイル215上の50Ωの点になるように繰返し調整することと、タップ224および/またはタップ233の位置を、電流計236を通る接地電流を最大化するように調整することとにより、結合を向上させるようにさらに調整することができる。

再び図12を参照すると、誘導表面導波路プローブ200の動作を、誘導表面導波路プローブ200と関連付けられた動作条件の変化に関して調整するために制御してもよい。たとえば、プローブ制御システム230は、誘導表面導波路プローブ200の動作を制御するために、給電ネットワーク209、ならびに/または、帯電端子T1および/もしくは補償端子T2の位置決めを制御するように使用され得る。動作条件には、限定しないが、損失性導電性媒体203の特性(たとえば、導電性σおよび相対誘電率εr)の変化、場の強度の変化、および/または誘導表面導波路プローブ200の負荷の変化が含まれ得る。方程式(41)〜(44)から見て取ることができるように、屈折率(n)、複素ブルースター角(θi、Bおよびψi、B)、ウェーブチルト(|W|e)、ならびに複素有効高さ(heff=hpe)は、たとえば天気の条件からの、土の導電性および誘電率の変化によって影響され得る。

たとえば導電性測定プローブ、誘電率センサ、グラウンド・パラメータ・メータ、フィールドメータ、電流モニタ、および/または負荷受信機などの設備が、動作条件の変化について監視し、現在の動作条件に関する情報をプローブ制御システム230に提供するために使用され得る。プローブ制御システム230はこのため、誘導表面導波路プローブ200に関する特定の動作条件を維持するために、誘導表面導波路プローブ200に1つまたは複数の調整を行うことができる。たとえば、湿度および温度が変化するにつれて、土の導電性も変化する。導電性測定プローブおよび/または誘電率センサは、誘導表面導波路プローブ200周りの複数の位置に配置されてもよい。概して、動作周波数に関するハンケル交差距離Rx、またはその上の導電性および/または誘電率を監視することが望ましい。導電性測定プローブおよび/または誘電率センサは、誘導表面導波路プローブ200周りの複数の位置(たとえば、各象限)に配置されてもよい。

図16を参照すると、垂直軸zに沿って配置された、帯電端子T1および帯電端子T2を含む誘導表面導波路プローブ200eの例が示されている。誘導表面導波路プローブ200eは、領域1を形成する損失性導電性媒体203の上に配置されている。さらに、第2の媒体206は、境界面を損失性導電性媒体203と共有し、領域2を形成している。帯電端子T1および帯電端子T2は、損失性導電性媒体203上に配置されている。帯電端子T1は、物理的高さH1に位置しており、帯電端子T2は、物理的高さH2において、垂直軸zに沿ってT1の直下に配置されている。ここで、H2はH1よりも小である。誘導表面導波路プローブ200eによって与えられる伝達構造の高さhは、h=H1−H2である。誘導表面導波路プローブ200eは、励起源212を帯電端子T1および帯電端子T2に結合する給電ネットワーク209を含んでいる。

帯電端子T1および/または帯電端子T2は、電荷を保持することが可能である導電性の物質を含んでいる。この物質は、実際に可能な範囲で最大限の電荷を保持するようなサイズとすることができる。帯電端子T1は、自己容量C1を有しており、帯電端子T2は、自己容量C2を有している。これら自己容量は、たとえば方程式(24)を使用して特定され得る。帯電端子T2の直上の帯電端子T1の配置により、相互静電容量CMが帯電端子T1と帯電端子T2との間に形成される。帯電端子T1と帯電端子T2とは同一である必要はないが、各々が別々のサイズおよび形状を有していてよく、異なる導電性材料を含み得ることに留意されたい。最終的に、誘導表面導波路プローブ200eによって発せられる誘導表面波の場の強度は、端子T1の電荷の量に正比例している。電荷Q1は、このため、Q1=C1Vであることから、帯電端子T1に関連付けられた自己容量C1に比例している。ここで、Vは帯電端子T1に印加される電圧である。

予め規定された動作周波数において動作するように適切に調整されている場合、誘導表面導波路プローブ200eは、損失性導電性媒体203の表面に沿って誘導表面波を生成する。励起源212は、構造を励起するために誘導表面導波路プローブ200eに印加される、予め規定された周波数において、電気エネルギーを生じ得る。誘導表面導波路プローブ200eによって生じる電磁場が、損失性導電性媒体203とほぼモード整合している場合、電磁場は、複素ブルースター角における入射波面を実質的に合成し、反射がほとんどないか、反射しない結果となる。したがって、表面導波路プローブ200eは、放射波を生成しないが、損失性導電性媒体203の表面に沿って誘導表面進行波を発する。励起源212からのエネルギーは、Zenneckの表面電流として、誘導表面導波路プローブ200eの有効伝達範囲内に位置する1つまたは複数の受信機に伝達され得る。

損失性導電性媒体203の表面上の放射Zenneck表面電流Jρ(ρ)の漸近線を近傍のJ1(ρ)および遠方のJ2(ρ)として特定することができる。 近傍(ρ<λ/8):

(90) および 遠方(ρ>>λ/8):

(91) ここで、I1は、第1の帯電端子T1に電荷Q1を供給する伝導電流であり、I2は、第2の帯電端子T2に電荷Q2を供給する伝導電流である。上方の帯電端子T1の電荷Q1は、Q1=C1V1によって特定される。ここで、C1は帯電端子T1の絶縁静電容量である。ここで、EρQ1/Zρによって与えられる、上に説明したJ1のための第3の要素が存在することに留意されたい。これは、Leontovich境界条件からくる、第1の帯電端子Q1の位置を上げて配置した振動電荷の準静的場によってポンピングされる損失性導電性媒体203の放射電流に由来するものである。Zρ=jωμ0eの量は、損失性導電性媒体の放射インピーダンスであり、ここで、γe=(jωμ1σ1−ω2μ1ε1)1/2である。

方程式(90)と(91)とによって説明した放射電流の近傍と遠方とを示す漸近線は複素数である。様々な実施形態によれば、物理表面電流J(ρ)は、大きさおよび位相が電流の漸近線にできる限り近くに整合するように合成される。すなわち、近傍の|J(ρ)|は、|J1|の正接になり、遠方の|J(ρ)|は、|J2|の正接になる。やはり、様々な実施形態によれば、J(ρ)の位相は、遠方のJ2の位相に対する近傍のJ1の位相からの遷移であるものとする。

伝達の場面において誘導表面波モードを、誘導表面波を発するように整合させるために、遠方の|J2|の表面電流の位相は、近傍の|J2|の表面電流の位相から、e−jβ(ρ2−ρ1)と、約45度または225度の定数との和に対応する伝播位相だけ異なっているものとする。この理由は、√γに関して2つの根があり、1つはπ/4の近くであり、1つは5π/4の近くであるからである。適切に調整された合成放射表面電流は以下のようになる。

(92) この方程式は方程式(17)と一致していることに留意されたい。マクスウェル方程式により、J(ρ)などの表面電流が自動的に、以下に適合する場を自動的に形成する。

(93)

(94) および

(95) したがって、整合されることになる誘導表面波モードに関する、遠方の表面電流|J2|の位相と、近傍の表面電流|J1|との間の位相差は、方程式(1)〜(3)と一致している方程式(93)〜(95)にハンケル関数の特性に基づいている。方程式(1)〜(6)および(17)、ならびに方程式(92)〜(95)によって表される場が、地上波の伝播に関連付けられた放射場ではなく、損失性界面に束縛された伝達線モードの性質を有していることを確認することは重要である。

所与の位置における誘導表面導波路プローブ200eの所与の設計に関する適切な電圧の大きさおよび位相を得るために、反復法を使用することができる。具体的には、端子T1および端子T2への供給電流、帯電端子T1および帯電端子T2の電荷、および、それらの損失性導電性媒体203における鏡像を考慮して、誘導表面導波路プローブ200eの所与の励起および構成について分析を行い、発生した径方向表面電流密度を特定することができる。このプロセスを、所与の誘導表面導波路プローブ200eに関する最適な構成および励起が所望のパラメータに基づいて特定されるまで繰返し実施することができる。所与の誘導表面導波路プローブ200eが最適なレベルで動作しているかどうかの特定を補助するために、誘導場の強度曲線103(図1)は、誘導表面導波路プローブ200eの位置における領域1の導電性(σ1)および領域1の誘電率(ε1)に関する値に基づき、方程式(1)〜(12)を使用して生成することができる。そのような誘導場の強度曲線103は、測定された場の強度を、誘導場の強度曲線103によって示された大きさと比較することにより最適な伝達が達成されているかを判定することを可能とし、動作に関する基準を提供し得る。

最適な条件に達するために、誘導表面導波路プローブ200eに関連付けられた様々なパラメータを調整することができる。誘導表面導波路プローブ200eを調整するよう変化させることができるパラメータの1つは、損失性導電性媒体203の表面に対する、帯電端子T1および/または帯電端子T2の一方または両方の高さである。さらに、帯電端子T1と帯電端子T2との間の距離または間隔も調整することができる。そのようにする場合、帯電端子T1および帯電端子T2と、損失性導電性媒体203との間の相互静電容量CMまたは任意の拘束静電容量を、最小化する別様に変更できることが分かる。帯電端子T1および/または帯電端子T2のそれぞれのサイズも、調整され得る。帯電端子T1および/または帯電端子T2のサイズを変化させることにより、それぞれの自己容量C1および/または自己容量C2、ならびに相互静電容量CMを変更できることが分かる。

さらにまた、調整可能である別のパラメータは、誘導表面導波路プローブ200eに関連付けられた給電ネットワーク209である。このことは、給電ネットワーク209を形成する誘導的および/または静電容量のリアクタンスのサイズを調整することにより、達成することができる。たとえば、そのような誘導的リアクタンスがコイルを備えている場合、そのようなコイルの巻き数を調整することができる。最終的に、給電ネットワーク209に対する調整は、給電ネットワーク209の電気的長さを変更し、それにより、帯電端子T1およびT2の電圧の大きさおよび位相に影響するために行われ得る。

様々な調整を行うことによって行われる伝達の繰返しが、コンピュータモデルを使用することによって、または、物理的構造を調整することによって、実施可能であることに留意されたい。上述の調整を行うことにより、上に説明した方程式(90)および(91)に特定された誘導表面波モードの同じ電流J(ρ)に近似する、対応する「近傍」表面電流J1と「遠方」表面電流J2とを形成することができる。そのようにする際に、結果として得られる電磁場は、損失性導電性媒体203の表面上の誘導表面波モードに、実質的またはほぼモード整合している。

図16の例には示されていないが、誘導表面導波路プローブ200eの動作は、誘導表面導波路プローブ200と関連付けられた動作条件の変化に関して調整するために制御することができる。たとえば、図12に示すプローブ制御システム230は、誘導表面導波路プローブ200eの動作を制御するために、給電ネットワーク209ならびに/または、帯電端子T1および/もしくは帯電端子T2の位置決めおよび/もしくはサイズを制御するように使用され得る。動作条件には、限定しないが、損失性導電性媒体203の特性(たとえば、導電性σおよび相対誘電率εr)の変化、場の強度の変化、および/または誘導表面導波路プローブ200eの負荷の変化が含まれ得る。

ここで図17を参照すると、ここでは誘導表面導波路プローブ200fとして示された図16の誘導表面導波路プローブ200eの例が示されている。誘導表面導波路プローブ200fは、損失性導電性媒体203(たとえば、地球)によって与えられた面に対してほぼ直角である垂直軸zに沿って配置された帯電端子T1およびT2を含み得る。第2の媒体206は、損失性導電性媒体203の上に位置している。帯電端子T1は自己容量C1を有しており、帯電端子T2は自己容量C2を有している。動作時には、電荷Q1と電荷Q2とが、特定の瞬間において帯電端子T1と帯電端子T2とに印加される電圧に応じて、帯電端子T1と帯電端子T2とにそれぞれ印加される。相互静電容量CMは、帯電端子T1と帯電端子T2との間に、その間の距離に応じて存在するようにしてよい。さらに、拘束静電容量は、損失性導電性媒体203に対するそれぞれの帯電端子T1および帯電端子T2の高さに基づき、それぞれの帯電端子T1および帯電端子T2と、損失性導電性媒体203との間に存在するようにしてよい。

誘導表面導波路プローブ200fは、帯電端子T1と帯電端子T2とのそれぞれに結合された一対のリードを有するコイルL1aを備えている誘導インピーダンスを備えた給電ネットワーク209を含んでいる。一実施形態では、コイルL1aは、誘導表面導波路プローブ200fの動作周波数における波長の2分の1(1/2)の電気的長さを有するように特定されている。

コイルL1aの電気的長さは動作周波数における波長の約2分の1(1/2)に設定するが、コイルL1aは、他の値における電気的長さによって設定してもよいことを理解されたい。一実施形態によれば、コイルL1aが、動作周波数において波長の約2分の1の電気的長さを有するという事実により、帯電端子T1と帯電端子T2とに最大電圧差が形成されることの利点が与えられる。それにも関わらず、コイルL1aの長さまたは直径は誘導表面波モードの最適な励起を得るように、誘導表面導波路プローブ200fを調整する場合に増減してもよい。コイルの長さの調整は、コイルの一方または両方の端部に位置するタップによって提供することができる。他の実施形態では、誘導インピーダンスが、誘導表面導波路プローブ200fの動作周波数における波長の1/2より著しく小さいか大きい電気的長さを有するように設定することができる。

励起源212は、給電ネットワーク209に磁気結合によって結合され得る。具体的には、励起源212は、コイルL1aに誘導的に結合したコイルLPに結合されている。このことは、リンク結合、タップが置かれたコイル、可変リアクタンス、または他の結合の手法によって行うことができることが分かる。このため、コイルLPは、一次コイルとして作用し、コイルL1aは二次コイルとして作用することが分かる。

所望の誘導表面波の伝達のための誘導表面導波路プローブ200fを調整するために、それぞれの帯電端子T1および帯電端子T2の高さは、損失性導電性媒体203に対して、および、互いに対して変更してもよい。帯電端子T1と帯電端子T2とのサイズも変更することができる。さらに、コイルL1aのサイズは、巻き数を増やすか減らすこと、または、コイルL1aのいくつかの他の寸法を変更することによって変更することができる。コイルL1aは、図17に示すように、電気的長さを調整するための1つまたは複数のタップをも含み得る。帯電端子T1と帯電端子T2のいずれかに接続されたタップの位置も調整され得る。

次に図18A、18B、18C、および19を参照すると、無線給電システムにおいて表面で誘導波を使用するための概略化された受信回路の例が示されている。図18Aと図18B〜18Cとは、線形プローブ303と同調共振器306とをそれぞれ示している。図19は、本開示の様々な実施形態に係る磁気コイル309である。様々な実施形態によれば、線形プローブ303、同調共振器306、および磁気コイル309の各々が、様々な実施形態に係る、損失性導電性媒体203の表面上の、誘導表面波の形態で伝達された電力を受信するために採用することができる。上述のように、一実施形態では、損失性導電性媒体203は、陸上媒体(すなわち地球)を含んでいる。

特に図18Aを参照すると、線形プローブ303の出力端子312における開回路端子の電圧は、線形プローブ303の有効高さに基づいている。このため、端子点の電圧は、以下のように計算することができる。

(96) ここで、Eincは、ボルト毎メートルでの、線形プローブ303に印加された入射電場の強度であり、dlは、線形プローブ303の方向に沿う積分要素であり、heは、線形プローブ303の有効高さである。電気的負荷315は、インピーダンス整合ネットワーク318を通して出力端子312に結合されている。

線形プローブ303が上述のように誘導表面波を受ける場合、可能性のあるケースとして、共役インピーダンス整合ネットワーク318を通して電気的負荷315に印加することができる出力端子312の両側の電圧が生じる。電気的負荷315への電力の流れを促進するために、電気的負荷315は、以下に記載するように、線形プローブ303に、実質的にインピーダンスが整合するものとする。

図18Bを参照すると、誘導表面波のウェーブチルトに等しい位相シフトを保持する接地電流励起コイル306aは、損失性導電性媒体203上に位置を上げて配置した(またはつるした)帯電端子TRを含んでいる。帯電端子TRは、自己容量CRを有している。さらに、帯電端子TRと損失性導電性媒体203との間にも、損失性導電性媒体203上の帯電端子TRの高さに基づき、拘束静電容量(図示せず)が存在する場合がある。拘束静電容量は、好ましくは、実際に可能である限り最小化されるものとする。しかし、このことは、すべての場合において全体的に必要ではない場合がある。

同調共振器306aも、位相シフトΦを有するコイルLRを備えた受信機ネットワークを含んでいる。コイルLRの一方の端部は、帯電端子TRに結合しており、コイルLRの他方の端部は、損失性導電性媒体203に結合している。受信機ネットワークは、コイルLRを帯電端子TRに結合する垂直供給線導体を含み得る。このため、コイルLR(同調共振器LR−CRとも呼ばれる場合がある)は、帯電端子CRとコイルLRとが連続して配置されるように列が調整された共振器を備えている。コイルLRの位相遅れは、帯電端子TRのサイズおよび/もしくは高さを変更すること、ならびに/または、構造の位相ΦがウェーブチルトΨの角度にほぼ等しくなるように、コイルLRのサイズを調整することにより、調整され得る。垂直供給線の位相遅れも、たとえば、導電体の長さを変更することにより、調整することができる。

たとえば、自己容量CRによって与えられたリアクタンスは、1/jωCRとして計算される。構造306aの総静電容量も、帯電端子TRと損失性導電性媒体203との間の静電容量を含んでもよいことに留意されたい。ここで、構造306aの総静電容量は、自己容量CRと、任意の拘束静電容量との両方から計算できることが分かる。一実施形態によれば、帯電端子TRは、あらゆる拘束静電容量を実質的に低減するか除去するように、ある高さに上げて配置することができる。拘束静電容量の存在は、すでに論じたように、帯電端子TRと損失性導電性媒体203との間の静電容量測定から判定することができる。

別個の要素のコイルLRによって与えられる誘導リアクタンスは、jωLとして計算することができる。ここで、Lは、コイルLRの集中素子としてのインダクタンスである。コイルLRが分布素子である場合、その等価の端子点の誘導リアクタンスを、従来の手法によって特定することができる。構造306aを同調させるために、動作周波数において表面導波路にモード整合させる目的のために、位相遅れがウェーブチルトに等しくなるように調整することになる。この条件下では、受信構造は、表面導波路と「モード整合した」と見なしてよい。構造および/またはインピーダンス整合ネットワーク324周りのトランスのリンクは、電力を負荷に繋げるために、プローブと電気的負荷327との間に挿入することができる。インピーダンス整合ネットワーク324をプローブ端子321と電気的負荷327との間に挿入することは、電気的負荷327への最大電力の伝達のための共役整合した条件に影響し得る。

動作周波数における表面電流が存在する中に置かれると、電力は、表面誘導波から電気的負荷327に送られる。このために、電気的負荷327は、磁気結合、静電容量結合、または導電性(直接タップによる)結合により、構造306aに結合することができる。結合ネットワークの要素は、集中素子であるか分布素子としてよいことが分かる。

図18Bに示す実施形態では、磁気結合が採用されている。ここでは、コイルLSが、トランス一次コイルとして作用するコイルLRに対する二次コイルとして配置されている。コイルLSは、同じコア構造周りにコイルを幾何学的に巻くこと、および、結合した磁束を調整することにより、コイルLRにリンク結合することができる。さらに、受信構造306aが連続同調共振器を備えているが、並列同調共振器または、適切な位相遅れを有する分布要素共振器さえも、やはり使用することができる。

電磁場に浸されている受信構造が、場からのエネルギーと結合する場合があるが、極性が整合した構造が、結合を最大化することにより、最もよく作用することが分かる。ここでは、導波モードへのプローブ結合に関する従来のルールが見られる。たとえば、TE20(横方向電気モード)導波路プローブが、TE20モードで励起された従来の導波路からエネルギーを抽出するのに最適である場合がある。同様に、これら場合では、モード整合し、位相整合した受信構造は、表面で誘導波からの電力を結合するために最適化され得る。損失性導電性媒体203の表面上の、誘導表面導波路プローブ200によって励起された誘導表面波は、開いた導波路の導波モードと見なされ得る。導波路の損失を除き、電源のエネルギーが完全に回復され得る。有用な受信構造は、E場結合されたか、H場結合されたか、表面電流が励起される場合がある。

受信構造は、受信構造の近くでの損失性導電性媒体203の局所的特性に基づいて、誘導表面波との結合を増大するか最大化するように調整され得る。これを達成するために、受信構造の位相遅れ(Φ)は、受信構造における表面進行波のウェーブチルトの角度(Ψ)に整合するように調整され得る。適切に構成された場合、受信構造は、複素深さz=−d/2における完全導電性の像基底面と共振するよう同調させることができる。

たとえば、図18Bの同調共振器306aを備え、コイルLR、および、コイルLRと帯電端子TRとの間に接続された垂直供給線を含む受信構造を考慮する。帯電端子TRが、損失性導電性媒体203の上の規定の高さに位置していると、コイルLRおよび垂直供給線の総位相シフトΦは、同調共振器306aの位置におけるウェーブチルトの角度(Ψ)に整合し得る。方程式(22)から、ウェーブチルトが漸近的に以下となることを見て取ることができる。

(97) ここで、εrは相対誘電率を含んでおり、σ1は、受信構造の位置における損失性導電性媒体203の導電率であり、ε0は自由空間の誘電率である。また、ω=2πfであり、ここで、fは励起周波数である。したがって、ウェーブチルトの角度(Ψ)は、方程式(97)から特定され得る。

同調共振器306aの総位相シフト(Φ=θcy)は、コイルLRを通しての位相遅れ(θc)と、垂直供給線(θy)の位相遅れとの両方を含んでいる。垂直供給線の導体長さlwに沿う空間的な位相遅れは、θywlwによって与えられ得る。ここで、βwは、垂直供給線導体に関する伝播位相定数である。コイル(または螺旋遅れ線)に起因する位相遅れはθcplCであり、lCは物理的長さであり、以下は伝播因子である。

(98) ここで、Vfは構造上の速度因子であり、λ0は供給周波数における波長であり、λpは、速度因子Vfの結果としての伝播波長である。一方または両方の位相遅れ(θcy)は、位相シフトΦをウェーブチルトの角度(Ψ)に整合させるように調整され得る。たとえば、タップの位置は、総位相シフトをウェーブチルトの角度に整合させる(Φ=Ψ)ようにコイルの位相遅れ(θc)を調整するために、図18BのコイルLR上で調整することができる。たとえば、コイルの一部分は、図18Bに示すように、タップ接続によってバイパスされ得る。垂直供給線導体も、コイルLRにタップを介して接続され得る。タップのコイル上の位置は、総位相シフトをウェーブチルトの角度に整合させるように、調整することができる。

同調共振器306aの位相遅れ(Φ)が調整されると、帯電端子TRのインピーダンスは、複素深さz=−d/2における完全導電性の像基底面に関する共振に同調するように調整され得る。このことは、コイルLRおよび垂直供給線の進行波位相遅れを変化させることなく、帯電端子T1の静電容量を調整することにより、達成され得る。この調整は、図9Aおよび9Bに関して記載した調整に類似している。

複素像平面に対する、損失性導電性媒体203を「見下ろす」ように見られるインピーダンスは、以下によって与えられる。

(99) ここで、β0=ω√(μ0ε0)である。地球上の垂直に偏光された供給源に関して、複素像平面の深さは以下によって与えられ得る。

(100) ここで、μ1は損失性導電性媒体203の透磁性であり、ε1rε0である。

(101) ここで、CRは、帯電端子TRの自己容量であり、同調共振器306aの垂直供給線導体を「見上げている」ように見られるインピーダンスは、以下によって与えられる。

(102) また、同調共振器306aのコイルLRを「見上げている」ように見られるインピーダンスは、以下によって与えられる。

(103) 損失性導電性媒体203を「見下ろす」ように見られる無効分(Xin)を、同調共振器306aを「見上げる」ように見られる無効分(Xbase)に整合させることにより、誘導表面導波モードへの結合を最大化することができる。

次に図18Cを参照すると、受信構造の頂部に帯電端子TRを含まない同調共振器306bの例が示されている。この実施形態では、同調共振器306bは、コイルLRと帯電端子TRとの間に結合した垂直供給線を含んでいない。したがって、同調共振器306bの総位相シフト(Φ)は、コイルLRを通しての位相遅れ(θc)のみを含んでいる。図18Bの同調共振器306aのように、コイルの位相遅れθcは、方程式(97)から特定されたウェーブチルトの角度(Ψ)に整合するように調整され得、これにより、Φ=Ψとの結果となる。電力の抽出が表面導波モードに結合した受信構造で可能であるが、帯電端子TRによって提供された可変無効負荷なしでは、誘導表面波との結合を最大化するように受信構造を調整することは困難である。

図18Dを参照すると、受信構造を調整して、損失性導電性媒体203の表面上の誘導表面導波モードに実質的にモード整合させる例を示すフローチャート180が示されている。181で始まり、受信構造が帯電端子TRを含んでいる(たとえば、図18Bの同調共振器306aの受信構造)場合、184において、帯電端子TRが損失性導電性媒体203上の規定の高さに配置される。表面誘導波が誘導表面導波路プローブ200によって確立されているため、帯電端子TRの物理的高さ(hp)は、有効高さの物理的高さより下とすることができる。物理的高さは、帯電端子TRの拘束された電荷を低減するか最小化するように選択することができる(たとえば、帯電端子の球の直径の4倍)。受信構造が帯電端子TRを含んでいない(たとえば、図18Cの同調共振器306bの受信構造)場合、フローは187に進む。

187では、受信構造の電気的位相遅れΦが、損失性導電性媒体203の局所的特性によって規定される複素ウェーブチルトの角度Ψに整合される。螺旋コイルの位相遅れ(θc)および/または垂直供給線の位相遅れ(θy)は、Φを、ウェーブチルト(W)の角度(Ψ)と等しくするように調整され得る。ウェーブチルトの角度(Ψ)は、方程式(86)から特定され得る。電気的位相Φは、次いで、ウェーブチルトの角度に整合され得る。たとえば、電気的位相遅れΦ=θcyは、コイルLRの幾何学的パラメータおよび/または垂直供給線導体の長さ(または高さ)を変化させることにより調整することができる。

次に190において、帯電端子TRの負荷インピーダンスが、同調共振器306aの等価の像平面モデルを共振させるように同調し得る。導電性の像基底面139(図9A)の受信構造の下の深さ(d/2)は、方程式(100)、および、局所的に測定され得る、受信構造における損失性導電性媒体203(たとえば地球)の値を使用して特定され得る。その複素深さを使用して、像基底面139と、または損失性導電性媒体203の物理的境界136(図9A)との間の位相シフト(θd)は、θd0d/2を使用して特定され得る。損失性導電性媒体203を「見下ろす」ように見られるインピーダンス(Zin)は、次いで、方程式(99)を使用して特定され得る。この共振関係は、誘導表面波との結合を最大化するように考慮され得る。

コイルLRの調整されたパラメータおよび垂直供給導体の長さに基づき、コイルLRおよび垂直供給線の速度因子、位相遅れ、および、インピーダンスが特定され得る。さらに、帯電端子TRの自己容量(CR)は、たとえば方程式(24)を使用して特定され得る。コイルLRの伝播因子(βp)は、方程式(98)を使用して特定され得、垂直供給線のための伝播位相定数(βw)は、方程式(49)を使用して特定され得る。コイルLRおよび垂直供給線の自己容量および特定された値を使用して、コイルLRを「見上げる」ように見られる同調共振器306aのインピーダンス(Zbase)は、方程式(101)、(102)、および(103)を使用して特定され得る。

図9Aの等価の像平面モデルも、図18Bの同調共振器306aに適用される。同調共振器306aは、Zbaseの共振要素Xbaseが、ZinのXinの共振要素をキャンセルする、すなわち、Xbase+Xin=0であるように、帯電端子TRの負荷インピーダンスZRを調整することにより、複素像平面に関して共振するように同調され得る。したがって、同調共振器306aのコイルを「見上げる」物理的境界136(図9A)におけるインピーダンスは、損失性導電性媒体203内を「見下ろす」物理的境界136におけるインピーダンスの共役である。負荷インピーダンスZRは、帯電端子TRによって見られる電気的位相遅れΦ=θcyを変化させることなく、帯電端子TRの静電容量(CR)を変化させることにより、調整され得る。導電性の像基底面139に対する等価の像平面モデルの共振のために、負荷インピーダンスZRを同調させるため反復法を採用してもよい。この方式で、電場の、損失性導電性媒体203(たとえば、地球)の表面に沿っての誘導表面導波モードへの結合が向上されるか最大化され得る。

図19を参照すると、磁気コイル309は、インピーダンス整合ネットワーク333を通して電気的負荷336に結合された受信回路を備えている。誘導表面波からの電力の受信および/または抽出を促進するために、磁気コイル309は、誘導表面波の磁束Hψが磁気コイル309を通過し、それにより、磁気コイル309内に電流を誘導し、その出力端子330において端子点電圧を生成するように、配置してもよい。単一巻き数のコイルに結合された誘導表面波の磁束は、以下によって示されている。

(104) 磁気コイル309の断面エリアにわたって一様な入射磁界との最大の結合に適合したN巻の磁気コイル309に関して、磁気コイル309の出力端子330において表れる開回路に誘導された電圧は、以下のようになる。

(105) ここで、変数は上述のように規定される。磁気コイル309は、可能性のあるケースとして、誘導表面波の周波数に、分配共振器として、または、その出力端子330の両側のコンデンサと、同調され得、次いで、共役インピーダンス整合ネットワーク333を通して外部の電気的負荷336とインピーダンスが整合する。

磁気コイル309および電気的負荷336によって与えられる、結果として得られる回路は、適切に調整され、インピーダンス整合ネットワーク333を介して共役インピーダンスが整合されると推定すると、磁気コイル309内に誘導された電流が、電気的負荷336に最適に給電するように採用することができる。磁気コイル309によって与えられた受信回路は、物理的に接地されている必要がないという利点を有している。

図18A、18B、18C、および19を参照すると、線形プローブ303、モード整合構造306、および磁気コイル309によって与えられた各受信回路は、各々が、上述の誘導表面導波路プローブ200の実施形態のいずれか1つから伝達される電力の受信を促進する。このため、受信されたエネルギーは、電気的負荷315/327/336を、共役整合ネットワークを介して給電するために使用できることが分かる。このことは、放射電磁場の形態で伝達された、受信機で受信される場合がある信号と相反している。そのような信号は、かなり低い有効電力を有し、そのような信号の受信機は、伝達器をロードしない。

線形プローブ303、モード整合構造306、および磁気コイル309によって与えられた各受信回路が、誘導表面導波路プローブ200に適用された励起源212(たとえば、図3、12、および16)をロードし、それにより、そのような受信回路が受ける誘導表面波を生成することも、上述の誘導表面導波路プローブ200を使用して生成された本誘導表面波の特性である。このことは、上述の所与の誘導表面導波路プローブ200によって生成される誘導表面波が伝達線モードを含むという事実を反映している。比較として、放射電磁波を生成する放射アンテナを駆動させる動力源は、採用される受信機の数に関わらず、受信機によってはロードされていない。

したがって、1つもしくは複数の誘導表面導波路プローブ200および1つもしくは複数の線形プローブ303の形態の受信回路、同調されたモード整合構造306、ならびに/または、磁気コイル309は、ともに、無線分配システムを形成することができる。上に説明した誘導表面導波路プローブ200を使用した誘導表面波の伝達距離が周波数に基づく場合、無線電力分配が広いエリアにわたって、地球規模でさえ達成され得ることが可能である。

従来の無線電力伝達/分配システムは今日、放射場、および、誘導性または無効近接場に結合したセンサからの「エネルギーハーベスティング」を含み、広く研究されている。対照的に、本無線給電システムは、妨げられていなければ永遠に失われる、放射の形態の電力を浪費しない。本件に開示された無線給電システムが、従来の相互リアクタンスに結合した近接場システムのように、極めて狭い範囲に限定されることもない。本明細書に開示の無線給電システムは、新規の表面誘導伝達線モードにプローブ結合し、このことは、導波路によって電力を負荷に送ること、または、遠方の発電機に直接線で繋げられた負荷に電力を送ることと等価である。伝達場の強度を維持するのに必要な電力と、表面導波路内で消散する電力(極めて低い周波数においては、60Hzにおける従来の高電圧電力線の伝達損失に比べて重要ではないため)を考慮しないことで、発電機の電力はすべて、所望の電気的負荷のみに行く。電気的負荷の要請が切断された場合、供給源の発電機は相対的にアイドリング状態になる。

次に図20A〜20Eを参照すると、以下の議論に関連して使用される、様々な概略的シンボルの例が示されている。図20Aを特に参照すると、誘導表面導波路プローブ200a、200b、200c、200e、200d、もしくは200fのいずれか1つ、またはそれらの任意の変形形態を示すシンボルが示されている。以下の図面および議論では、このシンボルの表示は、誘導表面導波路プローブPと呼ばれる。以下の議論の単純化のために、誘導表面導波路プローブPに対するあらゆる参照は、誘導表面導波路プローブ200a、200b、200c、200e、200d、もしくは200fのいずれか1つ、またはそれらの変形形態に対する参照である。

同様に、図20Bを参照すると、線形プローブ303(図18A)、同調共振器306(図18B〜18C)、または磁気コイル309(図19)のいずれか1つを含んでよい誘導表面波受信構造を示すシンボルが記載されている。以下の図面および議論では、このシンボルの表示は、誘導表面波受信構造Rと呼ばれる。以下の議論の単純化のために、誘導表面波受信構造Rに対するあらゆる参照は、線形プローブ303、同調共振器306、もしくは磁気コイル309のいずれか1つ、またはそれらの変形形態に対する参照である。

さらに、図20Cを参照すると、線形プローブ303(図18A)を特に示すシンボルが示されている。以下の図面および議論では、このシンボルの表示は、誘導表面波受信構造RPと呼ばれる。以下の議論の単純化のために、誘導表面波受信構造RPに対するあらゆる参照は、線形プローブ303またはその変形形態に対する参照である。

さらに、図20Dを参照すると、同調共振器306(図18B〜18C)を特に示すシンボルが示されている。以下の図面および議論では、このシンボルの表示は、誘導表面波受信構造RRと呼ばれる。以下の議論の単純化のために、誘導表面波受信構造RRに対するあらゆる参照は、同調共振器306またはその変形形態に対する参照である。

さらに、図20Eを参照すると、磁気コイル309(図19)を特に示すシンボルが示されている。以下の図面および議論では、このシンボルの表示は、誘導表面波受信構造RMと呼ばれる。以下の議論の単純化のために、誘導表面波受信構造RMに対するあらゆる参照は、磁気コイル309またはその変形形態に対する参照である。

無線探知および測距またはレーダが、経路上にある任意の対象によって反射される電磁波(たとえば、無線、マイクロウェーブなど)を伝達することにより、対象を探知するのに使用され得る。伝達された波は、波が対象に接触する(または照射する)際に反射されるか分散される。伝達器または別の受信機に反射(または後方散乱)された波は、受信されるとともに処理されて、対象の性質(たとえば、姿、範囲、角度、速度など)を特定することができる。対象が受信機に向かって、または受信機から離れるように移動している場合、ドップラー効果によって生じるわずかな波の周波数の変化が存在する。

電磁波は、2つの異なる材料間(たとえば、空気中の固体の対象)、または2つの異なる密度間の境界から散乱または反射される。対象のサイズより短い波長を有する波は、鏡から反射される光と同じように反射される。波長が対象のサイズより長い場合、対象は、反射がわずかとなる場合がある。これら長い波長では、対象は、レイリー散乱を通して探知することができる。レーダは、空気中、海中、および地上交通の探知および制御、防空、航行、監視、探査、および/または他の用途に使用され得る。

誘導表面導波路プローブ200は、対象の探知に使用することができる表面誘導波を伝達するのに使用され得る。誘導表面導波モードを整合させることにより、誘導表面波は、損失性導電性媒体203(たとえば、陸上媒体)上で発せられ得る。すでに議論したように、誘導表面波の場の強度は、誘導表面導波路プローブ200の上昇した自由電荷(または、誘導表面導波路プローブ200の帯電端子(複数の場合もある)に印加される電圧)に比例している。地上波は、地面(または導電性媒体203)に平行かつ隣接する電磁波の伝播に関する。

誘導波および放射の伝播に関する場の強度の曲線に関してすでに議論したように、放射場の場の強度は幾何学的に低下し(1/d、ここで、dは距離である)、一方、誘導波磁界の場の強度は、e−αd/√dの特徴的な指数関数的減衰を有し、特有の屈曲部を示す。ガイドされた場の強度の曲線103と放射された場の強度の曲線106とが交差する交差距離(図1の交差ポイント112)より短い距離においては、ガイドされた電磁場の場の強度が多くの位置において、放射された電磁場の場の強度よりも著しく大きい。このため、遠隔配置された対象から結果として得られる後方散乱は、放射されたレーダ波からよりも、誘導表面波からの方がより強くなる。

この増大した場の強度は、表面下のレーダ探知に有用であり得る。たとえば、誘導表面波は、陸上媒体上で発することができ、また、陸上媒体の表面上および/または表面に近傍の対象、ならびに、陸上媒体の表面下に位置する場合がある対象を照射することができる。論じたように、マクスウェル方程式のZenneckの解は、以下の電場および磁界要素で表される場合がある。陸上媒体の表面または表面の上(空気中)において、ρ≠0かつz≧0であれば、場は方程式(1)〜(3)によって記載され、これらは以下に再形成される。

(106)

(107) および

(108) (zは表面に対して直角である垂直座標であり、ρは円筒座標内の径方向寸法である)陸上媒体の表面または表面の下において、ρ≠0かつz≦0であれば、場は方程式(4)〜(6)によって記載され、これらは以下に再形成される。

(109)

(110) および

(111) したがって、陸上媒体上で発せられた誘導表面波は、表面の上および下に位置する場を含んでいる。このことは、対象および/または、監視される環境の特徴の変化を遠方から探知するのに使用され得る。

図21を参照すると、単極アンテナおよび誘導表面導波路プローブ200の地面上放射場および表面下の放射場の例が示されている。両方の場合において、地面上放射はアンテナまたはプローブの周りにおいて無指向性である。伝達された放射は、損失性導電性媒体203の表面下に位置する対象によって反射および/または散乱され得る。

単極アンテナに関して、地面上放射403は、最小に戻る前に、アンテナから最大点へ正弦的に増大する。このことは、表面下において場の減衰がより顕著であることを除き、損失性導電性媒体の表面下での放射に関しても真である。対照的に、誘導表面導波路プローブ200によって発せられた表面誘導波は、損失性導電性媒体203の表面および表面下において、放射場409を生成する。これにより、地下に位置する対象を照射することができる。地面(または損失性導電性媒体203)の特性、伝達周波数、および/または生成された場の強度により、対象を探知するための有効深さが制限される場合がある。土のタイプ(たとえば、岩が多いなど)も、不均質の条件によって信号が散乱することに起因して、検出に影響し得る。

たとえば、誘導表面導波路プローブ200によって発せられる表面誘導波を使用するレーダは、たとえば、地球の表面下の、シェルタ、トンネル、または他の埋設された対象の探知のために使用され得る。本システムは、限定ではないが、地下の空隙または穴、地下のミネラルまたは液体の堆積物、断層線などの地球上の基質の変化を探知するのにも使用される場合がある。これら変化は、自然発生的であるか、人工的な、地面の不連続部であり得る。たとえば、埋設されたインフラストラクチャ(たとえば、電気水、ガス、および/もしくは電線)、埋立地、レメディエーションの現場、ならびに/または、鉱床もしくは他の埋設された規則(ordinance)が探知され得る。

図21に示すように、アンテナから放射された場は、損失性導電性媒体203の表面を貫通し得る。しかし、放射された場の減衰は、誘導表面波からの場よりも著しく弱められる。誘導表面波の場が1〜2dBだけ弱められる場合がある一方、放射された場は、同じ条件下で、約30dBだけ弱められる場合がある。電場の強度が曲線の屈曲部以外でも大のままであり、放射波と同じ方式では低下しないため、地面に沿っての探知領域は、1つまたは複数の誘導表面導波路プローブ(複数の場合もある)200を使用して誘導表面導波モードで誘導表面波を発することによって拡大することができる。

いくつかの場合では、誘導表面波は、乾燥砂内の、表面下200mまでの位置にある対象を探知するのに使用される場合がある。地面の構成、密度、成層、および/または湿気が変化するにつれて、探知深さが変化する。たとえば、対象は、湿気の含有量が大きく、栄養が豊富である他の地面の表面下30mまでの範囲に位置している場合がある。対照的に、通常の地面に突き刺すレーダは、清潔な乾燥砂では約18メートル、高密度の濡れた粘度では約6メートルに制限される。突き刺す深さは、低周波数における動作によって増大され得る。

誘導表面導波路プローブ(複数の場合もある)200は、パルス状のキャリアおよび/または周波数変調持続波(FMCW)の方法を使用する、レーダによる探知に使用され得る。パルス状のキャリアのレーダに関して、誘導表面導波路プローブ200は、所定の繰返し期間で連続した誘導表面波を発する。誘導表面波の各々は、予め規定された持続時間(またはパルス幅)に関して伝達される。伝達された信号のパルス幅は、レーダが、受信機による対象からの後方散乱の探知を可能にするために、十分なエネルギを発することを確実にするように選択される。離れた対象に送られるエネルギ量は、伝達の持続時間、および/または、誘導表面波の場の強度によって影響され得る。領域の識別も、パルス幅によって影響され得る。対象を検知する能力を向上させるために、パルスは、所定の繰返し数で発せられ得る。探知された対象からの後方散乱は、次いで、新しいパルスが伝達される毎に信号プロセッサに統合される場合があり、それにより、探知を補強している。

FMCWレーダに関して、誘導表面波は、変調信号により、決まった期間にわたって周波数が上下に変化する。対象からの後方散乱と誘導表面波との間の周波数差は、遅れ、そしてひいては距離とともに増大する。対象からの後方散乱信号は、伝達された誘導表面波信号と合わさって、うなり信号を生成する。これにより、復調の後にターゲットの距離を提供することができる。他のタイプの信号も、レーダによる対象の探知のために、誘導表面導波路プローブ200によって発せられる場合がある。たとえば、合成パルスレーダは、伝達された信号の重ね合わせがパルス形状を生じるように、様々な周波数において一連のパルス状の誘導表面波を発することにより、パルス形状を形成するのに使用される場合がある。パルス形状が、発せられた誘導表面波の重ね合わせであるため、誘導表面波は、低レベルで伝達され得、このことは、プローブのプロファイルを低減し得る。対象からの後方散乱信号を合わせるのに重ね合わせを使用すると、パルス形状に対するレスポンスが評価のために再構成され得る。

ここで図22Aを参照すると、1つまたは複数の誘導表面導波路プローブ(複数の場合もある)200を含むレーダシステム500の例が示されている。誘導表面導波路プローブ200は、前に論じたように、陸上媒体の表面に沿って誘導表面波503を発することができる。誘導表面導波路プローブ200は、1つまたは複数の帯電端子に供給する、励起源212(たとえば、図3、12、および16)としての伝達器を含み得る。伝達器は、励起信号を生成する発振器(たとえば、クライストロンまたはマグネトロン)、および、励起信号の持続時間を制御する変調器を含み得る。伝達器によって励起される場合、誘導表面波は、プローブによって発せられ得る。誘導表面波503が遠隔配置された表面下の対象506(たとえば、埋設されているアイテムおよび/または他の表面下の特徴)を通過する際に、場の一部が後方散乱509として対象によって反射される。

伝達された信号が後方散乱509として反射される場合、後方散乱509は地面界面に沿って戻るように伝播し、1つまたは複数の受信機(複数の場合もある)512を使用して探知され得る。受信機512は、対象506から反射された後方散乱509と結合するように構成された1つまたは複数の受信要素を含み得る。受信要素は、限定ではないが、前述の線形プローブ303(図18A)、同調共振器306(図18Bおよび18C)、ならびに/もしくは磁気コイル309(図19)、または、地面挿入型レーダ用途に使用される要素などの他の受信要素を含み得る。誘導表面波の場の一部分は、表面上で反射される場合がある。この後方散乱は、慣習的な受信機を使用して探知される場合がある一方、減衰により、表面上での探知が妨げられるか、防止される場合がある。

図22Aが離間した受信機512を示しているが、いくつかの実施態様では、誘導表面波を発するのに使用される誘導表面導波路プローブ200は、後方散乱509を探知するための受信機としても使用される場合がある。いくつかのケースでは、受信機512は、対象506の近位に配置されるか、対象506に近付くことができる、移動乗り物(たとえば、トラックまたは他の乗り物)上に配置される場合がある。このことは、反射が移動する回帰距離を低減することにより、後方散乱509の探知の助けになり得る。様々な実施態様では、図22Bに示すように、受信機512のアレイが使用され得る。受信機512のアレイは、後方散乱509の指向性検出を可能にし得る。

個別の誘導表面導波路プローブ200が、すべての方向において損失性導電性媒体203の表面に沿って伝播する無指向性誘導表面波を発する。対象からの後方散乱509は、次いで、対象506の位置を特定するために処理され得る。受信機512によって受信された後方散乱を評価することにより、対象506までの距離(および他の特徴または特性)が特定され得る。処理は、受信機512において局所的に行われ得るか、後方散乱の情報が、情報の特定のために離れた位置に通信され得る。図22Bに示すように、複数の受信機512を使用することにより、対象506の位置が、三角測量を使用して特定され得る。複数の対象506が存在する場合、各対象506からの後方散乱509が、1つまたは複数の受信機512によって探知され、対象506の距離、位置、および/または他の特性を特定するのに使用され得る。

さらに、誘導表面導波路プローブ200のアレイが、誘導表面波を集中させること、および/もしくは向けることのため、ならびに/または、所望の方向の場の強度を増大させるために使用され得る。誘導表面波は、建設的および/または破壊的に干渉して、所望の伝達パターンを生成する。たとえば、複数の誘導表面導波路プローブ200は、互いから予め規定された距離(たとえば、λ0/4、λ0/2など)、および/または、所定のパターン(たとえば、線、三角形、正方形など)に配置され、1つまたは複数の方向に伝達波筋を生成するように制御される場合がある。いくつかのケースでは、誘導表面導波路プローブ200は、誘導表面波が、同じプローブを使用して様々な方向に発せられる場合があるように、制御され得る。いくつかの実施形態では、伝達遅れは、誘導表面波を所望の方向に向けるか、表面波が発せられる方向を調整するように制御される場合がある。

図22Aおよび22Bの例に関して、所定の繰返し数における所定のパルス幅を有する一連のパルス状の誘導表面波を発するように構成された単一の誘導表面導波路プローブ200を考慮する。誘導表面波パルス503がグラウンドの表面に沿って移動するにつれて、場の一部分が、表面下の任意の対象506によって反射される。対象506からの後方散乱509は、次いで、受信機512によって受信され、対象506の様々な特性を特定するために処理され得る。たとえば、対象506の位置および距離が特定され得る。より長いパルス幅により、より多くのエネルギを搬送し、対象506からの後方散乱509のレベルを増大させることができる。さらに、パルス状の誘導表面波は、発せられた誘導表面波がガイドされた場の強度の曲線103の屈曲部109(図1)に達すること、および、後方散乱が受信機512に戻ることを可能にするように、十分に空間が空けられ得る。これにより、誘導表面波による後方散乱の干渉を回避する。

本開示の上述の実施形態は、単に、本開示の原理の明確な理解のための、説明された実施態様の可能性のある例であることが強調されるものとする。多くの変形および変更が、実質的に本開示の精神および原理から逸脱することなく、上述の実施形態(複数の場合もある)に行われる場合がある。そのような変更および変形はすべて、本明細書において、本開示の範囲内に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。さらに、すべての任意選択的および好ましい、記載の実施形態および従属請求項の特徴および変更は、本明細書に教示された開示のすべての態様において使用可能である。さらに、従属請求項の個別の特徴、ならびに、すべての任意選択的および好ましい、記載の実施形態の特徴および変更は、相互に組み合わせることが可能であるか、取り換えることが可能である。

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