【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輌に搭載される、車載カメラの検査方法ならびに装置に関する。 【0002】 【従来の技術】最近、単眼カメラやステレオカメラをプレビューセンサとして用いた車輌運転監視システムが注目を集めている。 この監視システムは、車体に取付けられた車載カメラによって前方の景色を撮像し、撮像画面に基づいて画像認識することにより、ドライバに注意を喚起したり、シフトダウンを行うことにより減速するような車輌挙動制御を行う。 【0003】ステレオカメラをプレビューセンサとして用いた場合、カメラ自体の品質は勿論のこと、その取り付け位置に関して高レベルの精度が要求される。 カメラの取付け位置にずれが生じると、それに起因してカメラの撮像方向がずれ、監視制御の信頼性低下を招くからである。 特に、ステレオ方式においては、一対の撮像画像における視差から距離を算出するため、撮像方向のズレは算出距離に直接影響する。 しかしながら実際には、車体自体の歪みやカメラの取り付け精度上の限界から、個体毎に車載カメラの撮像方向にばらつきが生じるのが現状である。 そこで、撮像方向がずれている場合、撮像画像にアフィン変換等画像変換処理を施すことにより、等価的に微調整する方法が採られている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、画像変換により微調整可能なレンジはあまり広くないのが現状である。 従って、車載カメラの撮像方向が適正範囲から大きくずれてしまっている場合、画像変換による調整は困難となる。 【0005】そこで、カメラの取付け完了後に行われる検査工程において、取付けられたカメラの撮像方向が適正範囲内に収まっているか否かを検査する必要がある。 この検査において、撮像方向が適正な範囲から外れてしまっていると判定されたサンプルについては、撮像方向が適正範囲に収まるように、カメラを取付け直す等の機械的な再調整を行う必要がある。 このために大掛かりな検査装置を必要とし、かつ、調整のための手間を要していた。 従って、このような検査の効率化、自動化を図ることのできる検査方法の確立が望まれていた。 【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、車載ナビゲーションユニットを活用し、画像認識装置と連携して車載カメラの取付け精度を保証するため に行われる光軸測定、距離画像の測定を行って、測定値 が適正な範囲に収まっているか否かを判定し、その結果を車載ナビゲーションユニット用の表示モニタ上に表示して調整を促すことにより、従来使用していた検査装置を不要とし、検査の効率化をはかった車載カメラの検査方法ならびに装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために本発明の車載カメラの検査方法は、 車体に取付け られて車輌前方の景色を撮像し、撮像画像に基づき走行 状態を認識する画像認識装置を備える車輌監視システム に用いられるカメラにおいて、前記カメラは交換自在な 取付け部材を介して前記車体に取付けられ、前記取付け 部材の形状により前記カメラの撮像方向が規定される車 載カメラの検査方法であって、車輌前方のあらかじめ規 定された位置に基準パターンが描かれた検査チャートを 設置してこれを前記カメラで撮像し、当該撮像画像にお ける基準パターンを特定し、特定された基準パターンの 位置が前記カメラの撮像方向により規定される適正範囲 に位置するか否かに基づき前記カメラの光軸の調整の必 要性を判定して、前記カメラの取付け精度を保証する検 査とし、光軸の調整の必要があると判定されると、予め 用意され、かつそれぞれが異なる形状を持つ複数の前記 取付け部材の中から、前記基準パターンの適正範囲を逸 脱する範囲が最も小さくなる形状を持つ取付け部材を選 択し、この選択した取付け部材により前記カメラの撮像 方向を規定するように車載ナビゲーション装置用の表示 モニタにて指示することとした。 【0008】カメラの取付け精度を保証するための検査として、車輌前方のあらかじめ規定された位置に設置された基準パターンが描かれた検査チャートを前記車体に取り付けられたカメラで撮像し、当該撮像画像における基準パターンを特定し、当該特定された基準パターンの位置がカメラの撮像方向により規定される適正範囲に位置するか否かに基づいて、カメラの光軸の調整の必要性を判定することで、 カメラの取付け精度を保証する検査 とする。 このとき、交換自在な取付け部材を介して車体に取り付けられ、前記取付け部材の形状により、撮像方向が規定される車載カメラであって、前記光軸の調整の必要があると判定されたとき、予め用意され、かつそれぞれが異なる形状を持つ複数の取付け部材の中から、前記基準パターンの適正範囲を逸脱する範囲が最も小さくなる形状を持つ取付け部品材を表示モニタで選択指示し、その取り付け部材の交換を促すこととした。 【0009】また、 カメラの取付け精度を保証する検査 として、車輌前方のあらかじめ規定された位置に設置され、特定パターンが描かれたプレートを前記車体に取付けられたカメラで撮像し、 撮像画像に基づき前方プレートまでの距離を算出し、あらかじめ規定された適正な距離範囲との比較に基づきカメラの距離画像測定の良否判定を行うこととした。 【0010】このように、本発明に係わる車載カメラの検査方法は、カメラの取付け精度を保証するため、 車載 カメラで撮像された撮像画像に基づいて、少なくとも、 光軸測定、距離計測の検査を行い、適正か否かを判断し、車載ナビゲーション装置用の表示モニタを介してその結果を表示し、調整が必要な場合にはその調整作業を 表示するものであり、このことにより、車載カメラの目視確認、光軸測定、距離測定等のカメラ取付け精度の保証のための調整作業の内容を、オンボード上のナビゲーション装置が持つ表示モニタで表示させることができ、 従って、 調整作業の作業効率を向上させることができ る。 また検査工程に特別な装置を必要とせず、かつ、省スペースで容易に行うことができ、検査工程の大幅な効率化がはかれる。 また、検査サンプルの撮像方向がずれていると判定された場合、交換アジャスタの選択情報を含むずれ量に関する情報を調整作業者に提供することで再調整工程の効率化もはかれる。 【0011】上記した課題を解決するために本発明の車載カメラの検査装置は、 車体に取付けられて車輌前方の 景色を撮像し、撮像画像に基づき走行状態を認識する画 像認識装置を備える車輌監視システムに用いられる車載 カメラの検査装置であって、カメラは、交換自在な取付 け部材を介して車体に取り付けられ、画像認識装置は、 車載カメラの取付け位置が適正か否かを判断する検査手 段と、該検査手段による判断結果及び該判断結果に応じ たカメラの取付け調整作業の指示を行なう車載ナビゲー ション装置の表示モニタを有し、検査手段は、車輌前方 のあらかじめ規定された位置に設置された基準パターン が描かれた検査チャートをカメラで撮像されて確認され た撮像画像から基準パターンを特定し、当該特定された 基準パターンの位置がカメラの撮像方向により規定され る適正範囲に位置するか否かに基づいてカメラの光軸の 調整の必要性を判定し、光軸の調整の必要があると判定 すると、予め用意され、かつそれぞれが異なる形状を持 つ複数の取付け部材の中から、基準パターンの適正範囲 を逸脱する範囲が最も小さくなる形状を持つ取付け部材 を選択し、表示モニタは、検査手段により選択された取 付け部材により車載カメラの撮像方向を規定するように 指示する。 画像認識装置は、カメラからの撮像信号を取り込んで画像認識する認識部本体と該認識部本体と協働して上記検査を行なう品質検査部から成り、品質検査部は、光軸の調整の必要性と距離画像測定の少なくとも1 つを検査項目として選択すると共に検査判定を行い、選択した検査項目及び判定に対応する画面を表示するように車載ナビゲーション装置にデータパケットを通信する。 また、検査手段に対して検査を行なう他に、検査項目に対応する表示を表示モニタへ表示切替え指示を行うスイッチ手段を更に有することとした。 【0012】このことにより、車載カメラの目視確認、 光軸測定、距離測定等のカメラ取付け精度を保証するための作業内容を、オンボード上のナビゲーション装置用表示モニタに表示することで、検査工程に特別な装置を必要とせず、かつ、省スペースで容易に行うことができ、検査工程の大幅な効率化がはかれ、調整作業の作業 効率を向上させることができる。 【0013】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態を示すブロック図である。 図では車載カメラの一例としてステレオカメラが使用されており、車輌前方の走行状態を撮像するステレオカメラ1は、所定の基線長で配置された一対のカメラ2a、2bを含む。 以下、カメラ2aをメイン、カメラ2bをサブと称する。 ステレオカメラ1の車体への取り付けは、後述する検査方法と関連するため、その取り付け構造に関し、図11〜図14を使用して簡単に説明する。 【0014】図11はステレオカメラ1の正面図、図1 2はステレオカメラ1の取り付け構造の全体的な展開斜視図、図13はステレオカメラ1の取り付け部分の要部を示した展開斜視図、図14はステレオカメラ組立体とは別体に用意される取付け部材(アジャスタ)の種類を示す図である。 【0015】ステレオカメラ1のシャーシ31は、カメラ2a、2bの重量や走行時の加減速により変形しないように、高剛性のアルミ合金で形成されている。 進行方向に向かって右側に位置したシャーシ31の端部には、 メインカメラ2aが装着されている。 このカメラ2a中に内蔵されたCCD等のイメージセンサからの出力信号によって基準画像が得られる。 一方、シヤーシ31の左側端部にはサブカメラ2bが装着されており、このカメラ2bからの出力信号によって比較画像が得られる。 シヤーシ31の中央部には、シャーシ31の上面と下面とを貫通する3つの取り付け孔(ボルト33の取り付け孔)が形成されている。 また、ステレオカメラ1を車体(フロントレール41)に取り付ける際の位置決めを行うために、シャーシ31の中央部には2つのロケータピン32が形成されている。 【0016】ステレオカメラ1(ここでは、カメラ2 a、2bを組み付けたステレオカメラ組立体1)は、ルームミラー40の近傍において、取り付け部材としての取り付けアジャスタ30を用いて、車体(本実施形態ではフロントレール41)に装着されている。 この装着状態において、ステレオカメラ組立体1とフロントレール41との間には、所定の板厚を有する取り付けアジャスタ30が介在している。 ステレオカメラ1の取り付け作業においては、まず、シャーシ31に形成されたロケータピン32をアジャスタ30の位置決め用貫通孔30a に挿入する。 この状態において、シャーシ31に形成された3つの取り付け孔31aの位置は取り付けアジャスタ30に形成された3つの取り付け孔30bの位置と一致している。 【0017】次に、ロケータピン32をフロントレール41に形成された孔に挿入し、この状態を維持しながら3本のボルト33a,33b,33cを貫通孔30b, 31aに挿入して、ステレオカメラ1をフロントレール41に固定する。 そして、スイッチコネクタ34をステレオカメラ組立体1に接続した後、ボルトで外装カバー35をフロントレール41に固定する。 最後に、外装カバー35のボルト挿入部に目隠し板36を嵌め込んで外装を整え、一連の取り付け作業が完了する。 【0018】ここで、取り付けアジャスタ30は、ステレオカメラ組立体1、或いはシャーシ31とは別個に形成された部材であり、ステレオカメラ組立体1を取り外した状態では、この組立体1とは独立して取り扱うことができる。 上述したように、ステレオカメラ組立体1 は、取り付けアジャスタ30を挟み込んだ状態でフロントレール41に取り付けられる。 このように、取り付けの際にカメラ本体とは別個の取り付け部材を用いる理由は、これを交換することでステレオカメラ1の撮像方向の粗調整を行うためである。 この点が、カメラ組立体と一体化されたステーを車体に直接取り付ける従来の手法とは大きく異なるものである。 ステレオカメラ1の撮像方向、即ち、 図12に示したカメラ視線L、Rの垂直成分は、アジャスタ30の車長方向断面形状によって規定される。 すなわち、アジャスタ30の板厚が徐々に変化している場合、即ち、テーパー形状である場合、図14 にアジャスタDとして示したように、後部(図13の左側)よりも前部(右側)の板厚が大きいほどステレオカメラ1は下方向(地面)を向く。 逆に、前部よりも後部の板厚が大きなテーパー形状の取り付けアジャスタ30 を用いた場合、同図のアジャスタAとして示したように、後部の板厚が大きいほどステレオカメラ1は上向きとなる。 【0019】上述したように、ステレオカメラ組立体1 を取り外すことで、アジャスタ30をこの組立体1とは別個に独立して取り扱うことができる。 したがって、必要に応じて、形状が異なる他のアジャスタに交換すれば、ステレオカメラ1の撮像方向を調整することができる。 例えば、ステレオカメラ1の取り付け工程では、ある形状を有する標準アジャスタ30を共通に使用して、 ステレオカメラ組立体1を車体に取り付ける。 そして、 それに続く検査工程において、取り付けられたステレオカメラ1の撮像方向が大きくずれていると判定された場合、標準アジャスタを交換用アジャスタに取り替える。 交換用アジャスタは図14に示されるように複数用意されており、それぞれの形状は微妙に相違(例えば、テーパーがなす角度が微妙に相違)している。 車体の歪み等や機械加工における精度に起因した撮像方向のばらつきは、適切な形状を有するアジャスタを使用することで、 適正な範囲(画像変換による微調整が可能なずれの範囲)内に収めることができる。 【0020】このようにして車体に取付けられたステレオカメラ1から出力される撮像信号は、後段に位置するブロックにより次のように処理される。 すなわち、カメラ2a、2bの同期がとれている状態で、各カメラ2 a、2bから出力される撮像信号は、画像認識装置(I PU)20に供給される。 IPU20は、 カメラからの 撮像信号を取り込んで画像認識する認識部本体21と品質検査部22から構成される。 認識部本体21はステレオカメラ1から供給される撮像信号をディジタル信号に変換して取込んで画像認識して処理する部分であり、品質検査部22は、後述するように検査スイッチ6から起動要求を受信し、図2、図3にフローチャートで示す手順に従い、認識部本体21と協動して検査を実行する。 【0021】監視制御装置(PCU)4は、車外監視装置の制御中枢をなす部分であり、IPU20とは、通信ケーブル(IPU−PCU通信路)101を介して接続される。 通信ケーブル101を介しPCU4とIPU2 0がシリアルでデータ交換することにより車輌監視のための多様なコントロールがなされる。 ナビゲーション装置(NCU)5は、ナビ本体部51と液晶等の表示モニタ52から構成され、IPU20とはビデオライン10 2を介し、また、PCU4とは通信ケーブル(NCU− PCU通信路)103を介して接続される。 【0022】検査スイッチ6は、 カメラの取付け精度を 検査するときにのみオペレータによって使用される簡単なスイッチであり、オペレータがIPU20にコネクタ接続することによって自動的に検査モードが設定され(GND状態)、IPU20の品質検査部22によるソフトウェア検査ルーチンが起動される。 また、 検査スイ ッチ6に内蔵される実行ボタン61をON/OFF設定することにより、それぞれ、GND、OPEN状態を維持し、NCU5が持つ表示モニタ52の画面切替え指示等を行う。 【0023】図2〜図10は、本発明実施形態の動作を説明するために引用した図である。 具体的に、図2、図3は、IPU20とNCU5によるカメラの検査手順を示すフローチャート、図4、図5は、それぞれ図2、図3におけるNCU5の動作手順を示すフローチャート、 図6、図7、図8は、NCU5が持つ表示モニタ52に表示される表示画面構成を示す図である。 また、図9 は、通信ケーブル101を伝播するデータのフォーマットを示す図、図10は、光軸調整のために用意される基準画像の探索範囲と記と特性パターンを示す図である。 【0024】以下、図2〜図10を参照しながら、図1 に示す本発明実施形態の動作について詳細に説明する。 【0025】オペレータは、まず、検査スイッチ6をI PU20のコネクタに接続することにより、検査モードの実行を起動する。 IPU20の品質検査部22は、内蔵するメモリに割り付けられるトラブルコードメモリ、 及び検査終了フラグを“0”設定してシステムの初期化を行う(図2、ステップS201)。 ここでトラブルコードとは、以降、品質検査項目として説明する、目視確認、光軸測定、距離画像測定毎、それぞれに定義されるコードであり、 光軸調整不良、距離調整不良等のカメラ 取付け精度不良と判定されたときにその項目が状態情報としてコード設定されるものであり、オペレータは、後にこの内容をNCU5の表示モニタ52を介して参照することによって確認し、再調整を行う。 【0026】上記したシステムの初期化処理終了後、まず、目視確認が検査項目として選択され(図2、ステップS202)、NCU5の表示モニタ52には、図6 (a)に示す右カメラの目視確認画面(画面−0)が表示される(図4(a)ステップS511)。 右カメラの目視確認画面は、オペレータが実行ボタン61を押すことによって右カメラ画像に切替わり、右カメラ画像を確認後、問題なければ再び実行ボタンを押すことによって左カメラに切り替わることへの案内画面である。 【0027】NCU5のナビ本体部51は、通信ケーブル103、 PCU4を介して通信ケーブル101を伝播するデータパケットの特定バイトデータ(例えば、ID “51C”の2バイト目の最上位ビット)をモニタし、 そのビットを参照することによって実行ボタン61のO N/OFFを判定する。 そして、オペレータによる実行ボタン61の押下(ON)を待ってIPU22の品質検査部22へ案内画面終了通知を発し、品質検査部22 は、NCU5に対してナビ画面へ切替えを指示する(図2、ステップS203)。 このことにより、NCU5 は、ナビ本体部51を介し表示モニタ52に、図8 (c)に示す処理中画面(画面−0)を表示する。 【0028】尚、実行ボタン61のON/OFFは、上述した特定バイトの最上位ビットに割り付けられ、そのビットにON/OFF状態が情報として反映されるものとし、また、図9にそのデータフォーマットが示されるように、ナビ画面表示は、通信ケーブル101を伝播するデータパケットの特定バイト(例えばID“516” の5バイト目)を使用して定義され、その前半Aと後半Bの4ビットの組み合わせで決まるものとする。 具体的に、図9において、ナビ表示画面が図6(b)に示す−0の場合、A=2、B=0とし、ナビ表示画面が図7 (c)に示す−3のときA=5、B=3とする。 【0029】次に、IPU20の品質検査部22は、N CU5に対して、上記したテロップ画面(処理中)から右カメラモニタ画像出力を行うナビ画面切替え指示を行う(図2、ステップS204)。 このことを受けたNC U5は、ナビ本体部51を介して表示モニタ52に表示されていたナビ画面テロップを、ビデオライン102を介して取込まれる右カメラモニタ画像に切替える(図4 (b)、ステップS521)。 オペレータは、表示モニタ52に表示されたカメラ画像を目視し、正常であれば実行ボタン61をONし、右カメラモニタ目視確認終了を指示する。 NCU5のナビ本体部51は、上記同様、 実行ボタン61のONをモニタし、ON状態確認後(図4(b)、ステップS522)、IPU20の品質検査部22に対しPCS4、通信ケーブル101経由で右カメラモニタ目視を終えた旨、終了通知を発行する。 【0030】この終了通知を受けたIPU20の品質検査部22は、NCU5に対してナビ画面切替え指示(図2、ステップS205)を行なう。 このことにより、N CU5は、ナビ本体部51を介して表示モニタ52に対して、図6(b)に示す左カメラの目視確認指示画面(画面−0)を表示する(図4(c)、ステップS5 31)。 オペレータが実行ボタン61を押すことにより、左カメラ画像に切替わり、左カメラ画像を確認後、 問題なければ再び実行ボタン61を押すことによって次の光軸測定の検査項目に切り替わることの案内である。 【0031】そこで、NCU5のナビ本体部51は、通信ケーブル103、PCS4を介して通信ケーブル10 1を伝播するデータの特定バイトデータ(例えば、ID “51C”の2バイト目の最上位ビット)をモニタし、 そのデータの最上位ビットを参照することによって実行ボタン61のON/OFFを判定する。 実行ボタン61 のON設定確認後(図4(c)、ステップS532)、 IPU20の品質検査部22に対し、PCS4、通信ケーブル101経由で案内画面終了通知を発行する。 【0032】この終了通知を受けたIPU20の品質検査部22は、NCU5に対し、ビデオ出力切替え指示を行なう(図2、ステップS206)。 このことにより、 NCU5は、ビデオライン102を介して取込む画像を右カメラモニタ画像から左カメラモニタ画像に切替えて表示モニタ52に表示する(図4(d)、ステップS5 41)。 オペレータは、表示モニタ52に表示された左カメラ画像を目視し、問題がなければ実行ボタン61をONして左カメラモニタ目視確認終了を指示する。 【0033】NCU5のナビ本体部51は、上記同様、 実行ボタン61のONをモニタし、ON状態確認後(図4(d)、ステップS542)、IPU20の品質検査部22に対し、PCS4、通信ケーブル101経由で左カメラモニタ目視を終えた旨、終了通知を発行する。 終了通知を受信した品質検査部22は再びNCU5に対してナビ画面の切替えを指示する(図2、ステップS20 7)。 このことにより、NCU5は、ナビ本体部51を介し表示モニタ52に図8(c)に示す、処理中画面(画面−0)を表示する。 【0034】次に、IPU20は、光軸の自動測定を開始する(図3、ステップS208)。 光軸測定に先立ち、オペレータは、所定のパターンを有するテストチャートを車輌前方の所定の位置に設置しておくものとする。 テストチャートとして、例えば、白地のテストチャートの表面に所定幅を有する黒線によって十字状のパターンが描かれており、十字の交点は、テストチャートの中央に位置している。 このテストチャートに描かれた十字交点を基準パターンとし、検査サンプルの撮像方向ならびに距離に位置的な基準を与えるものとする。 従って、このテストチャートは予め設定された位置に正確に配置しておくことが重要である。 【0035】IPU20は、光軸の自動測定として、まず、車両前方に設置されたテストチャートを含む1フレーム分の基準画像をサンプリングし、その基準画像内に所定の探索範囲Rを設定する。 この探索範囲Rは、基準画像上におけるテストチャートの十字交点理想位置を中心に所定の範囲をもって定義されている。 そして、この探索範囲R内において、基準画像と所定の輝度特性パターンBPとの二次元マッチングを行うことにより、輝度特性パターンBPの相関先、すなわちテストチャートの十字交点が映し出された位置を探索する。 【0036】図10は、探索範囲Rと輝度特性パターンBPを示した図である。 輝度特性パターンBPは、テストチャートの十字交点部分(基準パターン)と同じ輝度特性を有している。 輝度特性パターンBPにおける低輝度部分(十字の黒線に相当)の幅は、基準画面に映し出されたテストチャートの十字交点部分(基準パターン) と同じ輝度特性を有している。 輝度特性パターンBPにおける低輝度部分(十字の黒線に相当)の幅は、基準画面に映し出されたテストチャートの線幅と同一になるように設定されている。 【0037】探索範囲R内の基準画像と輝度特性パターンBPの二次元マッチングは、シティブロック距離CB を算出することにより評価される。 すなわち、探索範囲Rの全域にわたって比較対象である輝度特性パターンB Pを水平/垂直に1画素ずつオフセットさせながら、シティブロック距離が最少となる点をテストチャートの十字交点の位置として特定する。 次に、IPU20は、特定されたテストチャートの十字交点の垂直方向の座標が所定範囲内に収まっているか否かを判定することにより、光軸調整の重要性をチェックする(図3、ステップS209)。 テストチャートの十字交点が所定範囲内に収まっておらず、光軸調整が必要と判断された場合には、更に、光軸測定が2度目か否かがチェックされる(図3、ステップS210)。 初めての測定の場合は、 取り付け部材であるアジャスタ30の選択処理が行われる。 即ち、上記検査の結果、カメラが上向きになっていた場合、IPU20は、そのレベルに応じてアジャスタA、またはDを、下向きとなっていた場合、そのレベルに応じてアジャスタC、Eを使用するように、アジャスタの交換を促す画面を生成し(図3、ステップS21 1) 、NCU5の表示モニタ52を介して出力する(図5(a)ステップS551)。 尚、ここではアジャスタBを標準用とする。 すなわち、製造ラインではアジャスタBを装着してアセンブルし、検査工程で光軸調整要と判断されたときにアジャスタ30を交換するものとする。 アジャスタ交換後、オペレータが実行ボタン61を押下し、NCU5が実行ボタン61のONを確認(図5 (a)ステップS552)すると、IPU20は、再び光軸測定を開始する(図3、ステップS208)。 【0038】この光軸の再測定後も、光軸調整要と判定されると、これが2度目の測定であるため、IPU20 における品質検査部22内蔵のメモリに、光軸調整不良を示すトラブルコードを書き込み(図3、ステップS2 16)、図8(b)に示すNG画面(−0)を表示する。 また、ステップS209で光軸調整不要と判定された場合、NCU5は、表示モニタ52に対し、図6 (c)に示す光軸検査OK画面(−0)を表示(図5 (b)、ステップS561)し、オペレータによる実行ボタン61の押下を待つ(図5(b)ステップS56 2)。 オペレータによる実行ボタン61の押下があると、IPU20は、NCU5の表示モニタ52に対して図8(c)に示す処理中画面(−0)を表示することを指示する(図3、ステップS212)。 【0039】次に、IPU20により距離画像測定が行われる(図3、ステップS213)。 距離画像測定は、 上記した光軸測定同様、車輌前方の予め規定された位置にランダムパターンが描かれたテストチャートが設置され、品質検査部22が画像認識部本体21経由でその画像を取込むことによって前方プレートまでの距離計算を行い、算出される複数の距離データの正解率をモニタし、所定の正解率であれば正常とみなす処理を行う。 従って、図3のステップS214で取込んだ距離画像が正常の範囲にあるか否かがチェックされ、正常な範囲にある場合は、検査終了フラグをONし(図3、ステップS 215)、NCU5の表示モニタ52に対して、図8 (a)に示す距離検査OK画面(−0)を表示させる。 そして、オペレータによる実行ボタン61の押下を待って、上記した全ての検査項目の処理終了となる。 【0040】一方、距離画像が正常な範囲にない場合は、光軸測定同様、トラブルコードメモリに該当するトラブルコードを書き込み、NCU5の表示モニタ52に対し、図8(b)に示す距離検査NG画面(−0)を表示し(図5(d)、 ステップ S581)、トラブルコードを確認して再調整を行うことを促し、オペレータによる検査ボタン61の押下(図5(d)、ステップS5 82)を待って全ての検査項目の処理終了となる。 【0041】以上説明のように、本発明実施形態では、 車輌に搭載されたNCU5の表示モニタ52を利用して撮像画像ならびに検査画像を表示している。 従って、検査用に特別な表示装置を用意することなく、また、作業スペースを確保できるため、検査効率の一層の向上がはかれる。 【0042】尚、本発明実施形態によれば、光軸調整の際、十字パターンが描かれたテストチャートを用いた例についてのみ説明したが、テストチャートはこのパターンに限定されるものでなく、他の様々な輝度パターンを有するテストチャートを用いてもよい。 また、プレビューセンサとして、ステレオカメラを用いた場合のみ例示したが、本発明の適用範囲はステレオカメラに限定されるものでなく、単眼カメラにも適用できることは当然である。 【0043】 【発明の効果】以上説明のように本発明は、車体に取り付けられたカメラによって車輌前方の景色を撮像し、 こ の撮像画像に基づいて 、少なくとも、光軸測定、距離計測の検査を行い、カメラの取付け位置が適正か否かを判断し、車載ナビゲーションユニット用の表示モニタを介してその結果又は調整作業の指示を表示して調整を促すものであり、このことにより、車載カメラの目視確認、 光軸測定、距離測定等のカメラの取付け精度を保証するための作業内容を 、オンボード上のナビゲーションユニット用の表示モニタを使用して行うことができ、従って、 調整作業の作業効率を向上させることができ、検査工程に特別な装置を必要とせず、かつ、省スペースで容易に行うことができ、検査工程の大幅な効率化がはかれる。 また、この検査は、場所を選ばず、テストチャートとの正確な位置関係さえ保証されれば、工場のみならずディーラでも検査が可能となる。 更に、検査サンプルの撮像方向がずれていると判定された場合、交換アジャスタの選択情報を含むずれ量に関する情報を調整作業者に提供することで再調整工程の効率化もはかれる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施形態を示すブロック図である。 【図2】 IPUとNCUよるカメラの検査手順を示すフローチャート(その1)である。 【図3】 IPUとNCUによるカメラの検査手順を示すフローチャート(その2)である。 【図4】 図2におけるNCUの動作手順(その1)を示すフローチャートである。 【図5】 図3におけるNCUの動作手順(その2)を示すフローチャートである。 【図6】 NCUの表示モニタに表示される表示画面構成(その1)を示す図である。 【図7】 NCUの表示モニタに表示される表示画面構成(その2)を示す図である。 【図8】 NCUの表示モニタに表示される表示画面構成(その3)を示す図である。 【図9】 通信ケーブルを伝播するデータのフォーマットを示す図である。 【図10】 光軸調整のために用意される基準画像の探索範囲と輝度特性パターンを示す図である。 【図11】 本発明において使用されるステレオカメラ1の正面図である。 【図12】 本発明において使用されるステレオカメラ1取り付け構造の展開斜視図である。 【図13】 本発明において使用されるステレオカメラの取り付け部分の要部を示した展開斜視図である。 【図14】 本発明において使用されるステレオカメラ組立体とは別体に用意される取付け部材(アジャスタ) の種類を示す図である。 【符号の説明】 1…ステレオカメラ、2a…メイン、2b…サブ、4… 監視制御装置(PCU)、5…ナビゲーション装置(N CU)、6…検査スイッチ、20…画像認識装置(IP U)、21…認識部本体、22…品質検査部、30…アジャスタ、51…ナビ本体、52…表示モニタ、61… 実行ボタン ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) H04N 7/18 H04N 17/00 |