【技術分野】 【0001】 従来技術本発明は、独立請求項の上位概念に記載された、方向性(vektoriellen)車両速度を定める方法に関する。 【0002】 未公開のドイツ特許出願DE10049905号明細書から、制御装置内で運動学的(kinematische)センサプラットフォームを使用することが公知である。 ここでこの運動学的センサプラットフォームは、加速度センサおよび回転レートセンサのような慣性センサを含む。 これによって、方向性車両速度に対する値が突き止められる。 この値は走行ダイナミック調整部(ESP=エレクトロニックスタビリティプログラム)に供給され、ESPはこのセンサ値に相応して走行ダイナミックを調整する。 このような従来技術から、方向性車両速度の決定を改善することが課題として生じる。 【0003】 発明の利点独立請求項に記載された特徴部分の構成を有する、方向性車両速度を定める本発明による方法は、これに対して以下のような利点を有する。 すなわち慣性センサに測位装置が付加され、これによって方向性車両速度に対する第2の値が定められ、慣性センサによって定められた値と、測位装置によって定められた値を比較することによって、方向性車両速度に対する改善された見積もりをあらわす平均値が形成されるという利点を有する。 これによって、車両速度を定めるための所期のアンダーブレーキング(不足制動)も回避されて、このような調整部介入が必要でなくなる。 これによって全体的に制動経路が短縮される。 別の利点は、改善された方向性車両速度によって、ESPによる走行ダイナミック調整が改善されることである。 【0004】 従属請求項に記載された手法および発展形態によって、方向性車両速度を定める、独立請求項に記載された方法を有利に改善することができる。 【0005】 特に有利には測位装置は、非常に正確な位置決定、ひいては非常に正確な速度決定が可能なGPS(グローバルポジショニングシステム)である。 速度は、搬送信号のドップラー効果によって、または搬送位相から定められる。 これによって速度ベクトルが生じる。 なぜならこれによって値も方向も速度ベクトルのコンポーネントとして定められるからである。 これは2つまたは3つのアンテナが使用されることによって改善され、この結果、面または空間における方位が定められる。 【0006】 さらにESP等の走行ダイナミック調整が改善される。 なぜなら、走行ダイナミック調整部の最大数のセンサ情報が使用されるからである。 測位装置および慣性センサによって定められた速度値の重み付けは、幾つの衛星が測位装置をサテライトベースシステムとして測定時点で受信できるか、幾つのアンテナが使用されるか、および慣性センサによって定められた速度でタイヤがどのようなスリップを有しているかに依存する。 平均値を形成することによって、方向性車両速度をできるだけ正確に推定することができる。 【0007】 さらに、本発明による方法を実行する装置が存在するのは有利である。 この装置は測位装置を備えたセンサプラットフォームを有する。 ここではGPSシステムの使用時に2つまたは3つのアンテナが用いられる。 【0008】 図面本発明の実施例を図示し、以下の明細書でより詳細に説明する。 図1には本発明による方法のブロック回路図が示されており、図2には車両バスシステムのブロック回路図が示されており、図3には測位装置を備えた運動学的センサプラットフォームのブロック回路図が示されている。 【0009】 説明既に長いあいだ、車両製造業者の附属会社は、走行ダイナミック限界状況において車両状態を安定させる車両システムに集中的に従事している。 ここではABS(アンチロックブレーキシステム、TCS(トラクションコントロールシステムまたはASR=アンチスリップ調整)およびESPが使用される。この種のシステムに介入するセンサ装置は、実質的にヨーレートセンサ、横方向加速度センサ、車輪回転数センサ、ブレーキ圧センサおよび操舵角センサである。これらのセンサによって、一方では方向および加速/制動に関する運転者の要望が求められ、他方ではこれらに基づいて車両の運動状態が定められる。車両状態を正確に調整するために非常に重要な量は、車両速度およびヨーレートおよび車両のフロート角(Schwimmwinkel)である。 【0010】 制御装置はここでインテリジェントセンサプラットフォームを有する。 ここでこの種のセンサプラットフォームは、線形加速度センサおよび回転レートセンサである慣性センサが集積されたものである。 ここで目的は車両状態をモデル支援されて推定することである。 【0011】 本発明ではここでこのようなインテリジェントセンサプラットフォームに測位装置が付け加えられる。 この測位装置は方向性車両速度をより良く推定することができるように構成されている。 これはESPのような走行ダイナミック調整部の作用を改善する。 【0012】 図2にはブロック回路図として、車両内の種々異なるシステムがバスを介してどのように相互接続されているかが示されている。 車両バス19(例えばCANバス)はここでは制御装置を照明幅(Leuchtweiten)調整部28およびESPシステム30と接続する。 ここでこの制御装置は殊にバスコントローラ18、プロセッサ17およびセンサプラットフォーム16から成る。 照明幅調整部28もESPシステム30もそれぞれバスコントローラ27および29を有しており、バス19を介してコミュニケーションすることができる。 センサプラットフォーム16は、データ入力側を介してプロセッサ17と接続されている。 このプロセッサはセンサデータを処理し、車両速度見積もり等の相応のデータをバスコントローラ18を用いて照明幅調整部28ないし走行ダイナミック調整部30に伝送する。 【0013】 図3にはセンサプラットフォーム16の構成が示されている。 ここでこのセンサプラットフォームは、プロセッサ17と接続されている。 センサプラットフォーム16上には3つのGPS受信部が設けられている。 第1のGPS受信部はアンテナ20および受信装置21を有している。 ここでこの受信装置は、プロセッサ17の第1のデータ入力側と接続されている。 アンテナ22および後置接続されているGPS受信装置23から成る第2のGPS受信部は、プロセッサ17の第2のデータ入力側に接続されている。 アンテナ25およびGPS受信装置24から成る第3のGPS受信部は、プロセッサ17の第3のデータ入力側と接続されている。 プロセッサ17の第4のデータ入力側には、後置接続された測定増幅部とデジタル化部を有する慣性センサグループ26が接続されている。 GPS受信装置21、23および24は線路を介して相互に接続されており、相互に同期される。 【0014】 択一的にここでは3つのGPS受信部の代わりに、2つのGPS受信部のみを使用することも可能である。 これは面における方位を定めることを可能にする。 これに対して3つのアンテナは空間における方位を定めることを可能にする。 さらにアンテナ20、22および25を、異なる信号を一緒に評価することができる1つの受信装置に接続することも可能である。 アンテナ20、22および25からの信号はこの場合には順次、唯一の受信装置によって問い合わせされる。 その後プロセッサ17は、GPSデータおよび慣性センサ26のセンサデータからそれぞれ、方向性速度に対する異なる値を定める。 その後これらの2つの値を比較することによって平均値または中間値が形成されて、方向性車両速度に対するできるだけ良好な見積もりが求められる。 このような値はその後、走行ダイナミック調整部30に伝送される。 方向性車両速度から、照明幅調整部28に対して用いられるフロート角も定められる。 【0015】 図1に示されたブロック回路図は、本発明の方法をあらわしている。 ブロック1では慣性センサ26であるESPセンサが、車両内に生じた線形加速度値および回転レート値をセンシングする。 ESP推定部2は、ここから速度に対する第1の値3およびこの速度値に対する重み付け4を求める。 速度値3は、生じている加速度から定められる。 すなわち特に、求められた加速度値を積分することによって定められる。 重み付け4は、車両の特性(例えばタイヤのスリップ値)から定められる。 速度値3はその後ブロック5において重み付け4と乗算される。 GPSセンサ6は、図3に示されているように、各時点で車両の正確な位置を定める。 このようにして時間経過において、方向性速度を定めることが可能である。 図3においてプロセッサ17内に集積されている後置接続されたGPS電子部分7は、ここから第2の速度値9およびこの第2の速度値に対する重み付け8を求める。 従って乗算部10では速度値9と重み付け8が乗算される。 ブロック11では、重み付け値4と8が相互に加算される。 ブロック12では重み付けされた速度値の加算が行われる。 ここで加算されたこの値はその後ブロック13において、ブロック11からの重み付けの合計によって除算される。 これによってブロック14において平均値が求められる。 このような平均値はその後、バス19を介して走行ダイナミック調整部15(ここではESP)に伝送される。 別の値として重み付け8が走行ダイナミック調整部15に伝送される。 この重み付けは測定量の質に関する情報を与える。 例えばGPSが走行速度に関する非常に信頼できる情報を供給すると、相応する重み付けは非常に高くなる。 【0016】 これによって値および方向(すなわちベクトル)に関する速度見積もりに対する重み付けされた平均値が生じる。 【0017】 ここで相応の良い質を有する(すなわち走行ダイナミック調整部15が定めた高い重み付けを有する)速度値9が存在する場合、走行速度を定めるためにアクティブに車輪をESP調整部15によってアンダーブレーキングする必要はない。 【0018】 本質的な難点は、GPSによって、車両速度が環境固定された座標系において計算されることである。 これに対してESPシステム内では速度量は車両固定された座標系内に存在する。 以下ではラテラル方向および横方向および垂直方向における車両速度を、VX、VYおよびVZによってあらわす。 【0019】 【数1】
【0020】 【数2】
はいずれにせよ車両長手軸に対して垂直に生じる。 2つのGPSアンテナによって作動される場合、例えば車両長手軸を中心とする車両の位置の情報、すなわちロール角(Wankwinkel)が欠落する。 この欠落した情報は、GPSアンテナが3つ存在する場合には準備される。 この場合にここでVyおよびVzにおける速度も計算される。 車両長手軸に沿ってアンテナが2つしかない場合には、Vyを計算するために次のような推定がされなければならない。 すなわち走行路が縁部へ向かって下降していない、すなわち傾斜していないということである。 従ってVyは垂直線に対して垂直である。 このようにして、Vquerによってzコンポーネントを0と同等に扱うことによって、Vyが得られる。
【0021】
走行ダイナミックに対してフロート角αは非常に重要である。 しかし残念ながら量を測定するのは非常に困難である。 フロート角は式tan(α)=Vy/Vxを介して定められる。 この式ではここで2つの速度が既知であるので、フロート角が定められる。 車両速度計算時の方法をあらわす添付図面に相応して、速度値の他に、インテリジェントセンサプラットフォームによって計算されたフロート角もESPセンサ装置やGPSセンサ装置を用いて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による方法のブロック回路図である。
【図2】車両バスシステムのブロック回路図である。
【図3】測位装置を備えた運動学的センサプラットフォームのブロック回路図である。
|