【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばタイヤの空気圧低下の検出のために適用され、タイヤの初期差異による有効ころがり半径の相対的な差が回転周波数に及ぼす影響を排除するための初期補正係数を求めるための初期補正係数演算装置に関する。 また、たとえばタイヤの空気圧低下の検出のために適用され、駆動タイヤのスリップ率を計算するためのスリップ率計算装置に関する。 さらに、初期補正係数演算装置で求められた初期補正係数を用いて補正された回転周波数などを利用してタイヤの空気圧低下を検出するためのタイヤ空気圧低下検出装置に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近年、乗用車やトラックなどの4輪車両の安全装置の1つとして、タイヤの空気圧低下を検出する装置の開発が行われ、一部では実用化されている。 タイヤの空気圧低下の検出方法の1つに、たとえば車両に備えられている4 つのタイヤW 1 ,W 2 ,W 3 ,W 4の各回転周波数F 1 ,F 2 ,F 3 ,F 4の違いを利用する方法がある。 タイヤW 1 ,W 2はそれぞれ前左右タイヤである。 また、タイヤW 3 ,W 4はそれぞれ後左右タイヤである。 【0003】この検出方法では、各タイヤW i (i= 1,2,3,4)に取り付けられた車輪速センサから出力される信号に基づいて、タイヤW iの回転周波数F i が所定のサンプリング周期ごとに検出される。 検出される回転周波数F iは、各タイヤW iの有効ころがり半径がすべて同一であって、かつ車両が直線走行していれば、相等しい。 有効ころがり半径とは、荷重がかかった状態で自由転動(スリップ角およびスリップ率がいずれも0の状態での転動をいう。)しているタイヤW iが1 回転により進んだ距離を2πで割った値である。 【0004】一方、タイヤW iの有効ころがり半径は、 たとえばタイヤW iの空気圧の変化に対応して変化する。 すなわち、タイヤW iの空気圧が低下すると有効ころがり半径は正常内圧時に比べて小さくなる。 したがって、空気圧が低下しているタイヤW iの回転周波数F i は、正常内圧時に比べて大きくなる。 そのため、回転周波数F iの違いに基づき、タイヤW iの減圧を判定できる。 【0005】回転周波数F iの違いに基づいてタイヤW iの空気圧低下を検出する際に用いられる判定式は、たとえば下記(1) 式に示すようなものである(特開昭63-3 05011 号公報、特開平4-212609号公報など参照。 )。 【0006】 【数1】 【0007】タイヤW iの有効ころがり半径が仮にすべて同一であるとすれば、各回転周波数F iはすべて同一となる(F 1 =F 2 =F 3 =F 4 )。 したがって、判定値Dは0である。 そこで、しきい値D TH1 ,D TH2 (ただし、D TH1 ,D TH2 >0)が設定される。 そして、下記(2) 式に示す条件が満足された場合は、空気圧が低下しているタイヤW iがあると判定される。 この条件が満足されなかった場合には、タイヤW iはすべて正常内圧であると判定される。 【0008】 D<−D TH1または D>D TH2 ‥‥(2) ところで、実際のタイヤW iの有効ころがり半径は、タイヤW iの製造時に生じる規格内でのばらつき(以下「初期差異」という。)を含む。 すなわち、4つのタイヤW iがすべて正常内圧であっても、初期差異のために、4つのタイヤW iの有効ころがり半径は相異なる。 これに伴い、タイヤW iの回転周波数F iはばらつく。 その結果、判定値Dは0以外の値になるおそれがある。 そのため、空気圧が低下していないのに空気圧が低下していると誤検出されるおそれがある。 よって、空気圧低下検出を高精度に行うためには、検出される回転周波数F iから初期差異の影響を排除する必要がある。 【0009】回転周波数F iから初期差異の影響を排除するための技術として、たとえば特開平4−27190 7号公報に開示されている技術を適用することが考えられる。 この公開公報に開示されている技術では、車両を一定速度で試験的に直線走行させ、そのときに検出される各タイヤW iの回転周波数F iのうちいずれかを基準として補正係数K iが求められる。 タイヤW 1の回転周波数F 1を基準にした場合には、下記(3) 式〜(6) 式に示すようにして、補正係数K iが求められる。 【0010】 K 1 =F 1 /F 1 ‥‥(3) K 2 =F 1 /F 2 ‥‥(4) K 3 =F 1 /F 3 ‥‥(5) K 4 =F 1 /F 4 ‥‥(6) この補正係数K iが通常走行時に検出される回転周波数F iにそれぞれ乗じられる。 これにより、回転周波数F iに対する初期差異の影響の排除が図られる。 【0011】ところで、車両が前輪駆動車(FF 車) または後輪駆動車(FR 車) である場合、上記(5) 式および (6) 式で示した補正係数K 3 ,K 4は、駆動タイヤと従動タイヤとの回転周波数比となる。 一方、駆動タイヤには、走行時に、駆動トルクまたは制動トルク(以下「駆動/制動トルク」と略記する。)が加えられる。 これらのトルクのために、駆動タイヤはスリップするおそれがある。 そのため、駆動タイヤの回転周波数F iは、一般に、下記(7) 式で表される。 下記(7) 式において、Rs はスリップ率、Vは車両の速度、r iはタイヤW iの有効ころがり半径である。 【0012】 【数2】 【0013】FF車の場合には、タイヤW 1 ,W 2は駆動タイヤであり、タイヤW 3 ,W 4は従動タイヤであるから、補正係数K 3は、上記(5) 式および(7) 式より、 下記(8) 式のように表すことができる。 【0014】 【数3】 【0015】このように、駆動タイヤと従動タイヤとの回転周波数比で表現される補正係数K 3には、スリップ率Rsの影響が及ぶことになる。 補正係数K 4についても同様である。 さらに詳述すると、スリップ率Rsは、 タイヤW iがグリップ限界に達するまでは、下記(9) 式のように表される。 【0016】 【数4】 【0017】この(9) 式において、μは路面の摩擦係数、C xはタイヤW iの剪断弾性係数、W Dは接地面の幅、Lは接地面の長さ、Tは駆動/制動力である。 駆動/制動力Tは、定速走行時には、車両の速度Vの2乗にほぼ比例する。 したがって、補正係数K 3 ,K 4には、 試験走行時の路面の摩擦係数μおよび車両の速度Vの影響が含まれている。 ところが、実走行時には、種々の摩擦係数μの路面を種々の速度Vで走行する。 したがって、試験走行時に求められた補正係数K 3 ,K 4を用いて回転周波数F iを補正しても、正確に補正することはできない。 よって、回転周波数F iから初期差異の影響を高精度に排除することは困難である。 【0018】ところで、コーナーやカーブ(以下「コーナー」で代表する。)を走行するとき、車両には横方向加速度が作用する。 その結果、車両の荷重はコーナー外側に移動する。 したがって、コーナー内側のタイヤW i は、有効ころがり半径が大きくなり、その接地面積は相対的に小さくなる。 また、コーナー外側のタイヤW iは、有効ころがり半径が小さくなり、その接地面積は相対的に大きくなる。 【0019】一方、エンジンで発生した駆動力は、デファレンシャルギアによって、コーナー内側のタイヤW i およびコーナー外側のタイヤW iにほぼ均等に与えられる。 その結果、コーナー内側のタイヤW iとコーナー外側のタイヤW iとの間でスリップ率Rsにばらつきが生じる。 そのため、コーナー内側のタイヤW iとコーナー外側のタイヤW iとの間で回転周波数F iにばらつきが生じる。 【0020】このように、タイヤW iがすべて正常内圧であっても、コーナー走行時には、スリップ率Rsのばらつきによって回転周波数F iにばらつきが生じる。 その結果、判定値Dはスリップ率Rsのばらつきに応じた誤差を含むことになるから、減圧判定を正確に行えないおそれがある。 したがって、減圧判定を高精度に行うためには、スリップ率Rsの影響を排除する必要がある。 【0021】スリップ率Rsの影響を排除するために、 本出願人が先に出願した特願平6−312123号に提案されている技術を適用することが考えられる。 この提案技術では、次のようにして判定値Dが補正される。 判定値Dのスリップ率Rsのばらつきに起因する変動成分ΔDは、スリップ率Rsの変動成分ΔRsに比例する。 一方、スリップ率Rsの変動成分ΔRsは、車両にかかる横方向加速度LAに比例するとともに、旋回半径Rに反比例する。 【0022】また、スリップ率Rsは、タイヤW iがグリップ限界に達するまでの間は、下記(10)式で定義されるものとする。 【0023】 【数5】 【0024】さらに、駆動/制動力Tは、車両の速度V の2乗、および車両にかかる前後方向加速度FRAに比例するものとする。 したがって、これらの関係に基づけば、判定値Dの変動成分ΔDは、α1,α2およびα3 を比例定数とすると、下記(11)式のように表すことができる。 【0025】 【数6】 【0026】この(11)式で表された変動成分ΔDが補正係数とされ、この補正係数が上記(1) 式によって求められた判定値Dから差し引かれる。 これにより、判定値D に対するスリップ率Rsの影響の排除が図られる。 ところで、この提案技術では、スリップ率Rsを上記(10)式のように定義して利用されている。 しかしながら、スリップ率Rsは、実際には上記(9) 式のように、路面の摩擦係数μに反比例する。 したがって、上記提案技術では、路面状態によっては、補正後の判定値Dが大きな誤差を有するおそれがあり、判定値Dからスリップ率Rs の影響を正確に排除することができないおそれがある。 【0027】また、上記提案技術では、コーナー走行時における荷重移動に起因するタイヤW iの有効ころがり半径の変動のうち、前タイヤW 1 ,W 2の有効ころがり半径の変動量と後タイヤW 3 ,W 4の有効ころがり半径の変動量との関係については何ら考慮されていない。 これは、前タイヤW 1 ,W 2の有効ころがり半径の変動量と後タイヤW 3 ,W 4の有効ころがり半径の変動量とが同一であるとの推測に基づいている。 【0028】しかしながら、実際には、前軸重と後軸重とは異なる。 前軸重とは、前タイヤが取り付けられている前軸に作用する荷重のことである。 後軸重とは、後タイヤが取り付けられている後軸に作用する荷重のことである。 たとえば、エンジンが車両の前側に設置されている場合には、前軸重の方が後軸重よりも重い。 したがって、コーナー走行時の前タイヤにおける荷重移動量と後タイヤにおける荷重移動量とは異なる。 これは、FF車の場合に特に顕著である。 その結果、前タイヤの有効ころがり半径の変動量と後タイヤの有効ころがり半径の変動量とは異なる。 【0029】そのため、判定値Dの補正を高精度に行うためには、コーナー走行時における前タイヤと後タイヤとの荷重移動量の違いを考慮する必要がある。 そこで、 本発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、路面状態に依存することなく、各タイヤの有効ころがり半径の相対的な差だけを忠実に表した初期補正係数を求めることができる初期補正係数演算装置を提供することである。 【0030】また、本発明の他の目的は、判定値からスリップ率の影響を高精度に排除する補正を実現し、これによりタイヤ空気圧低下を高精度に検出できるタイヤ空気圧低下検出装置を提供することである。 さらに、本発明の他の目的は、コーナー走行時における前タイヤと後タイヤとの荷重移動量の違いを考慮した補正を実現し、 これによりタイヤ空気圧低下を高精度に検出できるタイヤ空気圧低下検出装置を提供することである。 【0031】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための請求項1記載の初期補正係数演算装置は、車両に装着されたタイヤの回転周波数を検出する回転周波数検出手段の出力を補正するための補正係数を演算する装置であって、車両が直線を惰性走行しているときの上記回転周波数検出手段の出力を取り込む手段と、上記取り込まれた回転周波数検出手段の出力に基づき、タイヤの初期差異による有効ころがり半径の相対的な差が回転周波数に及ぼす影響を排除するための初期補正係数を求める手段とを含むことを特徴とする。 【0032】この構成では、車両が直線を惰性走行しているときに検出されるタイヤの回転周波数に基づいて初期補正係数が求められる。 直線惰性走行時には、駆動タイヤに駆動/制動トルクは加わらない。 すなわち、駆動タイヤのスリップ率は0とみなすことができる。 したがって、求められる初期補正係数にスリップ率の影響が及ぶことはなく、各タイヤの有効ころがり半径の相対的な差を忠実に表した値として求めることができる。 そのため、この構成で求められる初期補正係数を回転周波数を補正する際に用いれば、どのような摩擦係数の路面を走行しても、回転周波数から初期差異の影響を高精度に排除できる。 【0033】請求項2記載のスリップ率計算装置は、駆動タイヤと従動タイヤとが装着された車両の上記駆動タイヤのスリップ率を計算するための装置であって、上記請求項1記載の初期補正係数演算装置と、この初期補正係数演算装置によって求められた初期補正係数を用いて上記回転周波数検出手段の出力を補正する回転周波数補正手段と、この回転周波数補正手段によって補正された駆動タイヤおよび従動タイヤの回転周波数に基づいて、 駆動タイヤのスリップ率を計算する手段とを含むことを特徴とする。 【0034】スリップ率は、本来、車両の速度と駆動タイヤの周速度との差の程度で表される。 一方、従動タイヤはスリップしないから、従動タイヤの周速度は車両の速度に等しい。 したがって、駆動タイヤの回転周波数と従動タイヤの回転周波数とに基づけば、スリップ率を計算できる。 しかも、駆動タイヤの回転周波数と従動タイヤの回転周波数との差は、路面の摩擦係数に依存して変化する。 したがって、補正後の駆動タイヤの回転周波数と従動タイヤの回転周波数に基づけば、どのような摩擦係数の路面を走行しても、スリップ率を正確に計算できる。 【0035】請求項3記載のタイヤ空気圧低下検出装置は、車両に装着されたタイヤの空気圧低下を検出するための装置であって、上記請求項2記載のスリップ率計算装置と、上記回転周波数補正手段によって補正されたタイヤの回転周波数に基づいて、車両に作用する横方向加速度を求めるための横方向加速度演算手段と、上記回転周波数補正手段によって補正されたタイヤの回転周波数を所定の演算式に代入して判定値を求めるための判定値演算手段と、上記スリップ率計算装置によって計算されたスリップ率および上記横方向加速度演算手段によって求められた横方向加速度に基づいて、上記判定値演算手段によって求められた判定値を補正するための判定値補正手段と、この判定値補正手段によって補正された判定値に基づいて、タイヤの空気圧低下検出処理を実行するための手段とを含むことを特徴とする。 【0036】この構成では、上記請求項2記載のスリップ率計算装置によって計算されたスリップ率および横方向加速度演算手段によって求められた横方向加速度に基づいて判定値の補正が行われる。 したがって、判定値からスリップ率の影響およびコーナー走行時における荷重移動の影響を高精度に排除することができる。 その結果、タイヤの空気圧が低下しているか否かを高精度に検出できる。 【0037】判定値の補正を行う判定値補正手段は、たとえば請求項4記載の構成のようにしてもよい。 すなわち、請求項4記載のタイヤ空気圧低下検出装置は、上記請求項3記載のタイヤ空気圧低下検出装置であって、上記判定値補正手段は、前軸重および後軸重の相違を考慮して定めた所定の演算式に基づいて求められた判定値変動量を、上記判定値演算手段によって求められた判定値から差し引くことにより、判定値を補正するものであることを特徴とする。 【0038】この構成において、判定値変動量は、前軸重および後軸重の相違を考慮して定めた所定の演算式に基づいて求められる。 したがって、この判定値変動量を用いて判定値の補正を行えば、コーナー走行時における前タイヤにおける荷重移動量と後タイヤにおける荷重移動量との違いを考慮した補正を実現できる。 判定値変動量を求めるための所定の演算式は、たとえば請求項5記載のように、第1係数および上記横方向加速度演算手段によって求められた横方向加速度の積と、第2係数、上記横方向加速度演算手段によって求められた横方向加速度および上記スリップ率計算装置によって計算されたスリップ率の積との和によって判定値変動量を表したものであってもよい。 【0039】上記第1係数は、たとえば請求項6記載の構成のようにして設定された係数であってもよい。 すなわち、請求項6記載のタイヤ空気圧低下検出装置は、上記請求項5記載のタイヤ空気圧低下検出装置であって、 上記第1係数は、(a) タイヤが正常内圧であると判明している状態で車両を惰性でコーナー走行させたときの上記判定値演算手段および上記横方向加速度演算手段の出力をサンプリングし、(b) サンプリングされた判定値と横方向加速度との関係を近似した一次式の傾きを上記第1係数として求めることによって設定された係数であることを特徴とする。 【0040】車両を惰性で走行させる場合、スリップ率は0であるとみなすことができる。 この場合、判定値は横方向加速度と第1係数との積で表される。 したがって、車両を惰性でコーナー走行させたときに求められる判定値と横方向加速度との関係における傾きは、第1係数となる。 また、この第1係数は車両を実際に走行させることにより求められるので、タイヤの現実の状態を第1係数に反映させることができる。 【0041】また、第2係数は、たとえば請求項7記載の構成のようにして設定された係数であってもよい。 すなわち、請求項7記載のタイヤ空気圧低下検出装置は、 上記請求項5または6記載のタイヤ空気圧低下検出装置であって、上記第2係数は、(a) タイヤが正常内圧であると判明している状態でタイヤに駆動トルクをかけながら車両をコーナー走行させたときの上記判定値演算手段、上記横方向加速度演算手段および上記スリップ率計算装置の出力をサンプリングし、(b) サンプリングされた判定値から上記第1係数およびサンプリングされた横方向加速度の積を差し引いた値と、サンプリングされた横方向加速度およびスリップ率の積との関係を一次式で近似し、(c) 上記一次式の傾きを上記第2係数として求めることによって設定された係数であることを特徴とする。 【0042】この構成においても、車両を実際に走行させることにより第2係数が求められる。 したがって、タイヤの現実の状態を第2係数に反映させることができる。 請求項8記載のタイヤ空気圧低下検出装置は、上記請求項7記載のタイヤ空気圧低下検出装置であって、上記第1の係数は、複数種類のタイヤに対応する上記第1 の係数を求め、その平均値を求めることによって設定された係数であり、上記第2の係数は、複数種類のタイヤに対応する上記第2の係数を求め、その平均値を求めることによって設定された係数であることを特徴とする。 【0043】判定値変動量は、タイヤの種類によって異なる。 たとえばスタッドレスタイヤと夏タイヤ(通常のタイヤ)とでは異なる。 したがって、第1係数などが求められたときに車両に備えられていたタイヤと種類の異なるタイヤを新たに備える場合、判定値の高精度な補正が困難になることが予想される。 そこで、この構成では、タイヤの種類ごとに第1係数および第2係数を求め、この求められた各種類に応じた複数の第1係数および第2係数の平均値をそれぞれ最終的な第1係数および第2係数とすることとしている。 したがって、どのような種類のタイヤが車両に装着されても、精度良く補正を行うことができる。 【0044】請求項9記載のタイヤ空気圧低下検出装置は、上記請求項7記載のタイヤ空気圧低下検出装置であって、上記第1係数は、複数種類の積載条件に対応する上記第1係数を求め、その平均値を求めることによって設定された係数であり、上記第2係数は、複数種類の積載条件に対応する上記第2係数を求め、その平均値を求めることによって設定された係数であることを特徴とする。 【0045】判定値は車両の荷重移動量に応じて変動するが、その荷重移動量は車両の総重量によって異なる。 すなわち、乗車人数や積載荷重などの積載条件によって異なる。 したがって、第1係数などが求められたときの積載条件と異なる積載条件で走行する場合、判定値の高精度な補正が困難になることがある。 そこで、この構成では、積載条件ごとに第1係数および第2係数を求め、 この求められた各条件に応じた複数の第1係数および第2係数の平均値をそれぞれ最終的な第1係数および第2 係数とすることとしている。 したがって、どのような積載条件の場合でも、精度良く補正を行うことができる。 【0046】 【発明の実施の形態】以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。 図1は、本発明の一実施形態が適用されたタイヤ空気圧低下検出装置の構成を示す概略ブロック図である。 このタイヤ空気圧低下検出装置は、4輪車両に備えられた4つのタイヤW 1 ,W 2 ,W 3 ,W 4の空気圧が低下しているか否かを検出する。 タイヤW 1 ,W 2はそれぞれ前左右タイヤに対応する。 また、タイヤW 3 ,W 4はそれぞれ後左右タイヤに対応する。 【0047】各タイヤW 1 ,W 2 ,W 3 ,W 4にそれぞれ関連して、車輪速センサ1が備えられている。 車輪速センサ1の出力は制御ユニット2に与えられる。 制御ユニット2には、表示器3が接続されている。 表示器3 は、空気圧が低下したタイヤW i (i=1,2,3, 4)を知らせるためのもので、たとえば液晶表示素子、 プラズマ表示素子またはCRTなどで構成される。 【0048】制御ユニット2にはまた、初期化スイッチ4が接続されている。 初期化スイッチ4は、タイヤW i の初期差異の影響を排除するための初期補正係数K j (j=1,2,3)を算出する際にユーザが操作するためのものである。 初期差異とは、各タイヤW i間に生じる規格内での有効ころがり半径のばらつきのことである。 【0049】図2は、タイヤ空気圧低下検出装置の電気的構成を示すブロック図である。 制御ユニット2は、I /Oインタフェース2a、CPU2b、ROM2c、R AM2d、EEPROM(E 2 PROM)2eを含むマイクロコンピュータで構成されたものである。 I/Oインタフェース2aは、車輪速センサ1や初期化スイッチ4などの外部装置との信号の受渡しに必要なものである。 CPU2bは、ROM2cに格納された制御動作プログラムに従い、種々の演算処理を実行するものである。 RAM2dは、CPU2bが制御動作を行う際にデータなどが一時的に書込まれたり、その書込まれたデータなどが読出されたりするものである。 EEPROM2 eは、初期補正係数K jを格納するためのものである。 【0050】車輪速センサ1は、タイヤW iの回転数に対応したパルス信号(以下「車輪速パルス」という。) を出力する。 CPU2bでは、車輪速センサ1から出力される車輪速パルスに基づいて、所定のサンプリング周期ΔT(sec) (たとえばΔT=1 )ごとに、各タイヤW iの回転周波数F iが算出される。 図3は、タイヤ空気圧低下検出装置におけるタイヤ空気圧低下検出処理を説明するためのフローチャートである。 この処理は、CP U2bがROM2cに格納された所定のプログラムに従って動作することによって、制御ユニット2によって実行される。 なお、以下の説明では、対象車両がFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車であることを前提とする。 【0051】この処理では、先ず、各車輪速センサ1から出力される車輪速パルスに基づいて、各タイヤW iの回転周波数F iが算出される(ステップS1)。 タイヤW iは、上述のように、初期差異が含まれて製造される。 したがって、各タイヤW iの有効ころがり半径は、 すべてのタイヤW iがたとえ正常内圧であっても、同一とは限らない。 そのため、算出される各タイヤW iの回転周波数F iはばらつくことになる。 一方、タイヤW i の空気圧が低下しているか否かの判定は、すべてのタイヤW iが正常内圧である場合に各タイヤW iの回転周波数F iがほぼ等しいことを前提として実行される。 したがって、算出される回転周波数F iから初期差異の影響を排除する必要がある。 【0052】そこで、算出された回転周波数F iから初期差異の影響を排除すべく、回転周波数F iに対して初期補正が施される(ステップS2)。 具体的には、下記 (12)ないし(15)式に従う補正が行われる。 F1 1 =F 1 ‥‥(12) F1 2 =K 1 ×F 2 ‥‥(13) F1 3 =K 3 ×F 3 ‥‥(14) F1 4 =K 2 ×K 3 ×F 4 ‥‥(15) 初期補正係数K 1は、前左右タイヤW 1 ,W 2間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。 初期補正係数K 2は、後左右タイヤW 3 ,W 4 間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。 初期補正係数K 3は、前タイヤW 1と後タイヤW 3 ,W 4との間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。 【0053】初期補正係数K jは、たとえば車両を初めて走行させるとき、タイヤW iの空気圧を補充したとき、またはタイヤW iを交換したときに算出され、制御ユニット2のEEPROM2eに格納される。 本実施形態では、初期補正係数K jの求め方に特徴の1つがある。 具体的には、本実施形態では、初期差異によるタイヤW iの有効ころがり半径の差だけを忠実に表した初期補正係数K jの演算が行われる。 詳細については後述する。 【0054】ところで、タイヤW iの回転周波数F iのばらつきの原因は、初期差異のみではない。 たとえば、 車両がコーナーを走行するときにおける左右の駆動タイヤW 1 ,W 2の各スリップ率Rsの差もまた、1つの原因である。 たとえば、車両がコーナーを走行する場合、 車両にはコーナー外側方向に横方向加速度LAが作用し、コーナー外側に車両の荷重が移動する。 その結果、 コーナー内側のタイヤにかかる荷重は相対的に小さくなり、コーナー外側のタイヤにかかる荷重は相対的に大きくなる。 したがって、コーナー内側のタイヤの接地面積は相対的に小さくなり、コーナー外側のタイヤの接地面積は相対的に大きくなる。 【0055】また、エンジンで発生した駆動力は、デファレンシャルギアによってコーナー内側のタイヤおよびコーナー外側のタイヤにほぼ均等に与えられる。 したがって、駆動タイヤW 1 ,W 2の各スリップ率Rsに差が生じる。 その結果、タイヤW iがすべて正常内圧であっても、コーナー内側のタイヤの回転周波数とコーナー外側のタイヤの回転周波数との間にばらつきが生じる。 【0056】そこで、空気圧低下検出からスリップ率R sの影響を排除すべく、下記(16)式に示すようにして、 スリップ率Rsが算出される(ステップS3)。 【0057】 【数7】 【0058】スリップ率Rsは、本来、車両の速度Vと駆動タイヤW 1 ,W 2の周速度との差の程度で表される。 一方、従動タイヤW 3 ,W 4はスリップしないので、従動タイヤW 3 ,W 4の各周速度は車両の速度Vに等しいとみなして差し支えない。 そのため、駆動タイヤW 1 ,W 2の各回転周波数F1 1 ,F1 2と従動タイヤW 3 ,W 4の各回転周波数F1 3 ,F1 4との差が、基準となる従動タイヤW 3 ,W 4の各回転周波数F1 3 , F1 4に対してどの程度の割合であるかを求めれば、駆動タイヤW 1 ,W 2がどの程度スリップしているかを知ることができる。 よって、スリップ率Rsは、下記(17) 式で表すことができる。 この(17)式を変形すれば、上記 (16)式が導かれることは明らかである。 【0059】 【数8】 【0060】スリップ率Rsは、上記(9) 式で表されているとおり、路面の摩擦係数μに反比例する。 すなわち、摩擦係数μが高いほどスリップ率Rsは小さくなり、摩擦係数μが低いほどスリップ率Rsは大きくなる。 ところが、上述のとおり、上記(16)式で表されるスリップ率Rsは、スリップ率の本来の定義に忠実に従った方法で求められている。 したがって、路面の摩擦係数μの大小の影響をすでに内包している。 すなわち、路面の摩擦係数μが大きくなれば上記(17)式の分子が小さくなる。 したがって、スリップ率Rsは小さくなる。 また、路面の摩擦係数μが小さくなれば上記(17)式の分子は大きくなる。 したがって、スリップ率Rsは大きくなる。 【0061】このように、上記(16)式によりスリップ率Rsを求めれば、路面の摩擦係数μに関係なく、正確なスリップ率Rsを求めることができる。 算出されたスリップ率Rsは、RAM2dにいったん記憶される。 このスリップ率Rsは、空気圧低下検出に必要な判定値Dを補正する際に用いられる。 なお、上記(16)式のスリップ率Rsの算出は、上述のように、対象車両がFF車である場合を想定したものである。 もしも対象車両がFR (フロントエンジン・リアドライブ)車であれば、下記 (18)式のように算出される。 【0062】 【数9】 【0063】車両がコーナーを走行するときにコーナー内側のタイヤとコーナー外側のタイヤとの旋回中心からの距離の差もまた、タイヤW iの回転周波数F iのばらつきの1つの原因である。 さらには、車両の荷重移動も回転周波数F iがばらつく原因となる。 たとえば車両が反時計方向に旋回走行する場合、コーナー内側のタイヤW 1 ,W 3の旋回半径は相対的に小さく、コーナー外側のタイヤW 2 ,W 4の旋回半径は相対的に大きい。 したがって、コーナー内側のタイヤW 1 ,W 3の回転周波数F 1 ,F 3は小さく、コーナー外側のタイヤW 2 ,W 4 の回転周波数F 2 ,F 4は大きくなる。 その結果、左右タイヤの回転周波数には必然的に差が生じる。 【0064】また、車両がたとえば反時計方向に旋回走行する場合、図4に示すように、車両の重心Oには横方向加速度LAが作用する。 横方向加速度LAは、旋回半径Rに反比例し車両の速度Vの二乗に比例し、コーナー外側(車両右側方向)に向かって作用する。 その結果、 横方向加速度LAに比例した車両の部分荷重が、コーナー内側からコーナー外側に移動する。 これに伴い、従動タイヤW 3 ,W 4の各有効ころがり半径は、下記(19), (20)式に示す分だけ変動することになる。 【0065】 (1+p×LA) ‥‥(19) (1−p×LA) ‥‥(20) ただし、上記pは車両の荷重に比例する係数である。 車両の荷重が一定とみなせる場合には、この係数pは定数とみなすことができる。 このように、車両の荷重移動によってタイヤW iの有効ころがり半径が変動するので、 左右のタイヤの回転周波数にはばらつきが生じることになる。 【0066】そこで、次に、図3に示すように、車両の荷重移動に起因するばらつきを排除した旋回半径Rが計算される(ステップS4)。 より詳述すると、先ず、初期補正後の回転角速度F1 3 ,F1 4に基づき、下記(2 1),(22)式に示すように、従動タイヤW 3 ,W 4の速度V1 3 ,V1 4が算出される。 下記(21),(22)式において、rは、直線走行時における有効ころがり半径に相当する定数であり、ROM2cに記憶されている。 【0067】 V1 3 =2πr×F1 3 ‥‥(21) V1 4 =2πr×F1 4 ‥‥(22) 次いで、この算出された従動タイヤW 3 ,W 4の速度V 1 3 ,V1 4に基づいて、下記(23)式に示すように、車両の旋回半径R′が算出される。 ただし、下記(23)式において、Twはトレッド幅を表す。 【0068】 【数10】 【0069】この算出された車両の旋回半径R′に対して、下記(24)式に示すように、車両の荷重移動が回転周波数に及ぼす影響を排除するような補正が施され、補正後の旋回半径Rが求められる。 ただし、下記(24)式において、u 1 ,u 2はROM2cに予め記憶されている定数である。 R=R′×{u 1 +u 2 (V1 3 +V1 4 ) 2 } ‥‥(24) 次に、求められた車両の旋回半径Rに基づいて、各タイヤW iと旋回中心との間の距離の差に起因するばらつきを排除するように、上記ステップS2で求められた回転周波数F1 iが補正される(ステップS5)。 具体的には、下記(25)式乃至(29)式に示すようにして、補正後の回転周波数F2 1 〜F2 4が求められる。 【0070】 【数11】 【0071】これにより、コーナー内側のタイヤW iとコーナー外側のタイヤW iとの旋回中心からの距離の差(内外輪差)に起因するばらつきを排除した回転角速度F2 iが取得される。 なお、上記(25)〜(28)式において、WBは車両のホイールベースを表す。 また、上記(2 5)〜(28)式の補正は、上述のように、対象車両がFF車である場合を想定した処理である。 もしも対象車両がF R(フロントエンジン・リアドライブ)車であれば、従動タイヤである前タイヤW 1 ,W 2の速度V1 1 ,V1 2に基づいて旋回半径Rの算出に必要な補正前の旋回半径R′を求め、そのうえで下記(29)〜(33)式が適用される。 【0072】 【数12】 【0073】ところで、上記回転周波数F iは、車両の旋回半径R、車両の速度V、車両の横方向加速度LAおよび各タイヤW iの前後方向加速度FRA iの大きさによっては、誤差を含むことがある。 すなわち、旋回半径Rが相対的に小さい場合には、タイヤW iが横すべりするおそれがあるので、算出される回転周波数F iに誤差が含まれる可能性が高い。 また、車両の速度Vが極低速である場合には、車輪速センサ1の検出精度が著しく悪くなるので、算出される回転周波数F iに誤差が含まれる可能性が高い。 【0074】さらに、車両の横方向加速度LAが相対的に大きい場合には、タイヤW iが横すべりするおそれがあるので、算出される回転周波数F iに誤差が含まれる可能性が高い。 さらにまた、各タイヤW iの前後方向加速度FRA iが相対的に大きい場合には、たとえば車両が急加速/急減速することによるタイヤW iのスリップまたはフットブレーキの影響が考えられるので、算出される回転周波数F iに誤差が含まれる可能性が高い。 【0075】このように、回転周波数F iに誤差が含まれている可能性が高い場合には、その回転周波数F iを空気圧低下の検出に採用せずにリジェクト(排除)する方が好ましい。 そこで、次に、車両の速度V、横方向加速度LAおよび各タイヤW iの前後方向加速度FRA i が算出される(ステップS6)。 より詳述すると、車両の速度Vは、各タイヤW iの速度V2 iに基づいて算出される。 各タイヤW iの速度V2 iは下記(33)式によって算出される。 【0076】 V2 i =2πr×F2 i ‥‥(33) この算出された各タイヤW iの速度V2 iに基づき、車両の速度Vが下記(34)式によって算出される。 V=(V2 1 +V2 2 +V2 3 +V2 4 )/4 ‥‥(34) 一方、車両の横方向加速度LAは、この算出された車両の速度Vを利用して、下記(35)式によって算出される。 【0077】 LA=V 2 /(R×9.8 ) ‥‥(35) また、各タイヤW iの前後方向加速度FRA iは、1周期ΔT前のサンプリング時点において算出された各タイヤW iの速度をBV2 iとすると、下記(36)式によって算出される。 FRA i =(V2 i −BV2 i )/(ΔT×9.8) ‥‥(36) なお、上記(35)式および(36)式において、分母に9.8 が挿入されているのは、横方向加速度LAおよび前後方向加速度FRA iをG(重力加速度)換算するためである。 【0078】また、上記車両の速度V、横方向加速度L Aおよび各タイヤW iの前後方向加速度FRA iは、センサを用いてこれらを直接的に検出することによって求められてもよい。 旋回半径R、車両の速度V、各タイヤW iの前後方向加速度FRA iおよび車両の横方向加速度LAに基づき、今回のサンプリング時点で算出された回転周波数F iをリジェクトするか否かが判別される(ステップS7)。 具体的には、次に示す〜の4つの条件のうち、いずれか1つでも該当した場合には、回転周波数F iがリジェクトされる。 【0079】|R|<R TH (たとえばR TH =30(m) ) V<V TH (たとえばV TH =10(km/h)) MAX{|FRA i |}>A TH (たとえばA TH =0.1(g):g=9.8m/sec 2 ) |LA|>G TH (たとえばG TH =0.4(g)) ステップS7での判別の結果、回転周波数F iをリジェクトしない場合には、ステップS5にて取得された回転周波数F2 iに基づいて、判定値Dが下記(37)式によって算出される(ステップS8)。 【0080】 【数13】 【0081】ところで、ステップS6における車両の速度V、横方向加速度LAおよび各タイヤW iの前後方向加速度FRA iの算出では、初期差異およびタイヤW i の内外輪差に応じた補正が施された回転周波数F2 iが用いられている。 一方、タイヤW iの回転周波数F iは、初期差異およびタイヤW iの内外輪差だけでなく、車両にかかる横方向加速度LAおよびスリップ率R sによっても変動する。 したがって、ステップS8で求められる判定値Dには、車両にかかる横方向加速度LA およびスリップ率Rsを含む変動要因の影響が作用している。 【0082】そこで、判定値Dに対して、上記変動要因の影響を排除するための補正が施される(ステップS 9)。 具体的には、下記(38)式により補正値Cが求められる。 そして、下記(39)式に示すように、判定値Dから補正値Cが差し引かれる。 これにより、上記変動要因の影響が排除された新たな判定値D′が取得される。 C=A1×LA+A2×LA×Rs ‥‥(38) D′=D−C ‥‥(39) 上記(38)式において、A1およびA2はROM2cに予め記憶されている係数である。 係数A1およびA2は、 各タイヤW iが正常内圧であるとわかっているときに試験走行を行って求められるものである。 【0083】次に、判定値D′が上記変動要因の影響が排除されたものである理由について説明する。 コーナー走行時、車両には、コーナー外側に向けて横方向加速度LAが作用する。 これに伴い、車両には、横方向加速度LAに比例した荷重移動が生じる。 その結果、タイヤW iにかかる荷重は変動する。 一方、車両の前軸重と後軸重とは一般に異なる。 したがって、コーナー走行時の前タイヤW 1 、W 2における荷重移動量と後タイヤW 3 、 W 4における荷重移動量とは異なる。 その結果、コーナー走行中の前タイヤW 1 、W 2の有効ころがり半径の変動量と後タイヤW 3 、W 4の有効ころがり半径の変動量とは異なる。 そのため、判定値Dは変動する。 【0084】ここで、有効ころがり半径の変動量は、横方向加速度LAに比例する。 したがって、判定値Dの変動も横方向加速度LAに比例する。 そのため、横方向加速度LAの比例式で判定値Dの変動量を補正できる。 また、駆動タイヤW iはその荷重が変動すれば、その接地面積が変動する。 したがって、コーナー内側の駆動タイヤW iのスリップ率とコーナー外側の駆動タイヤW iのスリップ率とは異なる。 その結果、コーナー内側の駆動タイヤW iの回転周波数F iとコーナー外側の駆動タイヤW iの回転周波数F iとの間に差が生じ、その結果として判定値Dが変動する。 【0085】スリップ率Rsは、駆動左右タイヤW iのスリップ率の平均である。 コーナー内側の駆動タイヤW iのスリップ率とコーナー外側の駆動タイヤW iのスリップ率との差は、コーナー走行中の荷重移動量に比例する。 荷重移動量は、横方向加速度LAに比例する。 よって、判定値Dの変動量は、駆動左右タイヤW iの平均のスリップ率Rsと当該スリップ率Rsの駆動左右タイヤW iでの差の程度を表す横方向加速度LAとの積に比例する。 よって、横方向加速度LAとスリップ率Rsとの積の比例式で判定値Dの変動量を補正できる。 【0086】以上の2つの変動要因の和が走行中の判定値Dの変動量になるため、判定値Dの変動量は、横方向加速度LAと横方向加速度LAとスリップ率Rsの積の比例式の和で除去できる。 また、補正値Cは、車両の前軸重および後軸重の違いに起因する判定値Dの変動を考慮して求められている。 したがって、判定値Dの補正に、前軸重と後軸重との相対的な差を反映させることができる。 言い換えれば、前軸重と後軸重との相対的な差に起因する前タイヤW iの有効ころがり半径と後タイヤW iの有効ころがり半径との変動量の違いを考慮した補正を行うことができる。 そのため、タイヤ空気圧低下を一層高精度に検出できる。 【0087】次に、係数A1およびA2の求め方について詳述する。 (1) 係数A1の求め方 試験走行時において、車両を惰性でコーナリング走行させる。 具体的には、変速機をニュートラルの位置にセットした状態でコーナリング走行させる。 このとき、駆動タイヤW 1 ,W 2は惰性で回転する。 すなわち、スリップ率Rs≒0となる。 その結果、上記(38)式の右辺第2 項は0となる。 したがって、惰性による試験走行中に求められる判定値Dは、上記(38)式および(39)式から、 D=D′+C=D′+A1×LA ‥‥(40) と表される。 すなわち、車両にかかる横方向加速度LA の一次式で表される。 【0088】そこで、試験走行中に求められる横方向加速度LAと試験走行中に求められる判定値Dとの関係が一次式で近似される。 具体的には、図5に示すように、 横方向加速度LAおよび判定値Dをそれぞれ横軸および縦軸にとったグラフが作成される。 次いで、この描かれたグラフに最小2乗法を適用する。 その結果、下記(41) 式が得られる。 【0089】 D=α×LA+β ‥‥(41) この(41)式において、αがA1に相当する。 (2) 係数A2の求め方 試験走行時において、車両を駆動トルクをかけながら走行させる。 このときに求められる横方向加速度LA、判定値Dおよびスリップ率Rsを利用して図6に示すグラフを作成する。 次いで、この描かれたグラフに最小2乗法を適用する。 その結果、下記(42)式が得られる。 【0090】 D−A1×LA=γ×LA×Rs+δ ‥‥(42) この(42)式において、γがA2に相当する。 このように、係数A1,A2は車両を実際に走行させることによって取得される。 したがって、タイヤW iの現実の状態を係数A1,A2に忠実に反映させることができる。 【0091】図3に戻って、ステップS9で取得された補正後の判定値D′に基づいて、空気圧が低下しているタイヤW iがあるか否かが判定される(ステップS1 0)。 具体的には、判定値D′が下記(43)式を満足するか否かが判別される。 ただし、下記(43)式において、D TH1 =D TH2 =0.1 である。 D′<−D TH1または D′>D TH2 ‥‥(43) この結果、判定値D′が上記(43)式を満足したと判別されると、いずれかのタイヤW iの空気圧が低下していると判定される。 一方、判定値D′が上記(43)式を満足していないと判別されると、空気圧が低下しているタイヤW iはないと判定される。 【0092】このようにして車両の走行中にタイヤW i の空気圧が低下しているか否かが検出される。 一方、単に空気圧が低下しているタイヤW iがあることをドライバに報知するのに対して、いずれのタイヤW iの空気圧が低下しているのかも報知する方がドライバにとってはよりわかりやすくなる。 そこで、次に、空気圧が低下しているタイヤW iが特定される。 【0093】上記(40)式により求められた判定値D′を用いることにより、 D′>0であれば、減圧しているタイヤはW 1またはW 4 D′<0であれば、減圧しているタイヤはW 2またはW 3と特定できる。 さらに、この場合において、車両が直進状態であれば、 F2 1 >F2 2ならば、減圧しているタイヤはW 1 F2 1 <F2 2ならば、減圧しているタイヤはW 2 F2 3 >F2 4ならば、減圧しているタイヤはW 3 F2 3 <F2 4ならば、減圧しているタイヤはW 4と特定できる。 【0094】空気圧が低下しているタイヤW iが特定されると、その結果は表示器3へ出力されて表示される。 表示器3は、たとえば図2に示すように、4つのタイヤW 1 ,W 2 ,W 3 ,W 4に対応する表示ランプを備えている。 いずれかのタイヤの空気圧が低下したことが検出されると、その減圧タイヤに対応する表示ランプが点灯される。 【0095】図7は、初期補正係数K jを求めるための処理を説明するためのフローチャートである。 初期補正係数K jの演算処理は、制御ユニット2で実行される。 ドライバは、初期補正係数K jを求める際、車両が直線を惰性走行していることを確認したうえで、初期化スイッチ4を操作する。 惰性走行は、車両に備えられている変速機がニュートラルモードにセットされている状態での走行である。 この場合、エンジンで発生した駆動力が伝達される駆動タイヤには、駆動トルクおよび制動トルクは加わらない。 初期化スイッチ4は、このような状態で操作される。 【0096】なお、タイヤW iの進行方向、変速機のセット状態およびフットブレーキが踏まれているか否かをそれぞれ検知できる手段を設け、これら各手段が予め定める条件を満足した場合にのみ初期化スイッチ4の操作を許容するような構成にしてもよい。 予め定める条件とは、タイヤW iが車両の進行方向とほぼ平行で、変速機がニュートラルモードにセットされ、かつフットブレーキが踏まれていないことである。 すなわち、直線を惰性走行していることである。 この構成によれば、直線を惰性走行していないのに初期補正係数K jの演算が実行される不具合を予防することができる。 【0097】制御ユニット2は、初期化スイッチ4が操作されたか否かを判別する(ステップT1)。 その結果、初期化スイッチ4が操作されたと判別されると、先ず、初期補正係数K jをクリアする(ステップT2)。 その後、次のステップT4〜ステップT7までの処理をI=nになるまで繰り返し実行する(ステップT3〜T 8)。 【0098】すなわち、先ず、車輪速センサ1から出力される車輪速パルスを取り込み、この取り込まれた車輪速パルスに基づいて、各タイヤW iの回転周波数F iを算出する(ステップT4)。 その後、算出された回転周波数F iをF(I,i) としてRAM2dに記憶する(ステップT5)。 そして、Iを「1」だけインクリメントする(ステップT6)。 その後、前左右タイヤW 1 ,W 2 の回転周波数比F Fおおよび後左右タイヤW 3 ,W 4の回転周波数比F Rを算出し、この算出された回転周波数比F F ,F Rをそれぞれ累積的に加算する(ステップT 7)。 具体的には、従前の加算結果F FA ,F RAに回転周波数比F F ,F Rを加算し、新たな加算結果F FA ,F RA を求める。 【0099】回転周波数比F F ,F Rは、下記(44),(4 5)式に従って算出される。 F F =F 1 /F 2 ‥‥(44) F R =F 3 /F 4 ‥‥(45) 以上の結果、n個のF F ,F Rを加算した加算結果F FA ,F RAが取得される。 そして、この加算結果F FA , F RAの平均値が下記(46)式および(47)式のようにして算出される(ステップT9)。 この算出された平均値がそれぞれ初期補正係数K 1 ,K 2とされる。 【0100】 K 1 =F FA /n ‥‥(46) K 2 =F RA /n ‥‥(47) 初期補正係数K 1 ,K 2が算出されると、次に初期補正係数K 3が求められる。 具体的には、ステップT11〜 T13までの処理がI=nになるまで繰り返し実行される(ステップT10〜T14)。 【0101】すなわち、先ず、ステップT5でRAM2 dに記憶された各タイヤW iの回転周波数F(I,i) および上記取得された初期補正係数K 1 ,K 2に基づいて、 下記(48)式に示すように、車両の速度V(I) を算出する(ステップT11)。 これにより、各サンプリング時における車両の速度V(I) が算出される。 【0102】 【数14】 【0103】また、ステップT5でRAM2dに記憶された各タイヤW iの回転周波数F(I,i) 、および上記取得された初期補正係数K 1 ,K 2に基づき、下記(49)式のように、各サンプリング時における前タイヤと後タイヤとの回転周波数比F FR (I)を求める(ステップT1 2)。 【0104】 【数15】 【0105】その後、Iを「1」だけインクリメントする(ステップT13)。 以上の結果、車両の速度V(I) と回転周波数比F FR (I) との対応関係がn個分取得される。 この対応関係をグラフ化すると、たとえば図8に示すようになる。 図8から明らかなように、回転周波数比F FR (I) は一定ではなく車両の速度V(I) によって異なる値となる。 これは、駆動タイヤが若干スリップしていることを意味している。 すなわち、車両が直線を惰性走行している場合でも、スリップ率Rsの影響が回転周波数F(I,i) に含まれていることなる。 【0106】一方、車両の速度V(I) が0の場合には、 駆動タイヤは当然スリップしていない。 すなわち、スリップ率Rs=0である。 したがって、V(I) =0に相当する回転周波数比F FR (I) は、スリップ率Rsの影響をほとんど受けていないものである。 そこで、V(I) =0 の場合における回転周波数比F FR (I) を所定のマルチ回帰技術を用いて推定される(ステップT15)。 そして、この推定された回転周波数比F FR (I) が初期補正係数K 3とされ、EEPROM2eに記憶される(ステップT16)。 【0107】以上のように、初期補正係数K jは、スリップ率の影響が回転周波数F iに及ばない直線惰性走行時に求めることとしている。 したがって、初期補正係数K jは、路面状態に依存することなく、タイヤW iの有効ころがり半径の相対的な差だけを忠実に表したものとして求めることができる。 そのため、この初期補正係数K jを用いて補正した回転周波数F1 iは、初期差異を高精度に排除したものとすることができる。 【0108】本発明の実施の形態の説明は以上のとおりであるが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。 たとえば上記実施形態では、初期補正係数K 3 をマルチ回帰技術を用いて求めているが、たとえば前タイヤと後タイヤとの回転周波数比の平均を求めることによって初期補正係数K 3を求めるようにしてもよい。 具体的には、図7のステップT10〜T15の処理を、図9に示すステップU1〜U5の処理と置き換えてもよい。 【0109】図9において、ステップU2,U3の処理をI=nになるまで繰り返し実行する。 先ず、上記(49) 式に従って前タイヤと後タイヤとの回転周波数比F FR (I) が求められる。 その後、回転周波数比F FR (I) が累積的に加算される(ステップU2)。 具体的には、従前の加算結果F FRAに回転周波数比F FR (I) が加算され、新たな加算結果F FRAが求められる。 その後、Iが「1」だけインクリメントされる(ステップU3)。 【0110】以上の結果、n個の回転周波数比F FR (I) が加算された加算結果F FRAが取得される。 そして、この加算結果F FRAの平均値が下記(50)式のようにして算出される(ステップU5)。 この算出された平均値が初期補正係数K 3とされる。 K 3 =F FRA /n ‥‥(50) この構成によれば、マルチ回帰技術を用いる場合に比べて初期補正係数K 3を簡単に求めることができる。 そのため、初期補正係数K jの全体の演算時間の短縮化を図ることができる。 【0111】また、上記実施形態では、タイヤW iの種類については何ら言及していないが、タイヤW iの種類によって判定値Dの変動量ΔDは異なる。 すなわち、スリップ率Rsは、上記(9) 式に示すように、タイヤW i にかかる駆動/制動トルクTおよび路面の摩擦係数μが同一であっても、剪断弾性定数C xが変化すれば異なる。 また、荷重移動に対する各タイヤW iの有効ころがり半径の変動量もタイヤW iの種類によって異なる。 したがって、複数種類のタイヤが装着され得ることを考慮した補正値Cを用いて判定値Dを補正する方が好ましい。 【0112】そこで、係数A1,A2を複数種類のタイヤが装着され得ることを考慮して求めるようにしてもよい。 具体的には、同一種類の4本のタイヤW iを車両に取り付けた状態で上述した方法で係数A1,A2を求める。 同様に、別の種類の4本のタイヤW iを車両に取り付けた状態で係数A1,A2を求める。 この求められた各種類のタイヤW iの係数A1,A2の平均を求める。 この求められた係数A1,A2の平均を補正値Cに採用する。 【0113】タイヤW iは、一般に、スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)と夏タイヤ(通常のタイヤ)とに二分することができる。 そこで、スタッドレスタイヤおよび夏タイヤに対して係数A1,A2をそれぞれ求め、それらの平均を補正値Cに採用する。 これにより、いずれのタイヤW iにも平均的に有効な補正値Cを得ることができる。 そのため、車両にどのような種類のタイヤW iが装着されていても、空気圧低下検出を精度良く行うことができる。 【0114】さらに、判定値Dの変動量ΔDは、タイヤW iの種類だけでなく、車両の総重量に応じて変動する。 すなわち、乗車人数や積載荷重などの積載条件に応じて判定値Dの変動量ΔDは変動する。 したがって、車両の総重量が異なり得ることを考慮した補正値Cを用いて判定値Dを補正する方が好ましい。 そこで、係数A 1,A2を車両の総重量が異なり得ることを考慮して求めるようにしてもよい。 具体的には、乗車人数や積載荷重などの積載条件を互いに異なる複数のパターンに変更して係数A1,A2を求める。 そして、この求められた各係数A1,A2の平均を求め、当該係数A1,A2の平均を補正値Cに採用する。 これにより、どのような積載条件の場合にも平均的に有効な補正値Cを得ることができる。 そのため、どのような積載条件であっても、空気圧低下検出を精度良く行うことができる。 【0115】さらにまた、上記実施形態では、初期補正係数K jをタイヤ空気圧低下検出装置に用いる場合について説明しているが、たとえば初期補正係数K jは、アンチロックブレーキシステム(ABS)や車載用ナビゲーション装置などのように、タイヤW iの回転周波数F iを利用する他のシステムに用いることもできる。 また、上記実施形態では、スリップ率Rsをタイヤ空気圧低下検出装置に用いる場合について説明しているが、スリップ率Rsは、たとえばアンチロックブレーキ制御のために用いられてもよい。 【0116】その他、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内で種々の設計変更を施すことが可能である。 【0117】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、スリップ率の影響がほとんど及ばない直線惰性走行時に検出される回転周波数に基づいて初期補正係数が求められる。 したがって、タイヤの有効ころがり半径の相対的な差を忠実に表した初期補正係数を求めることができる。 そのため、この初期補正係数に基づけば、検出される回転周波数から初期差異の影響を高精度に排除できる。 よって、 たとえばこの発明をタイヤ空気圧低下検出装置に適用すれば、タイヤ空気圧低下検出に初期差異が影響することを防止できる。 その結果、タイヤの空気圧低下を高精度に検出することができる。 【0118】また、本発明によれば、スリップ率は、スリップ率の本来の定義に忠実に従った方法で求められている。 したがって、路面の摩擦係数の大小の影響をすでに内包している。 そのため、どのような摩擦係数の路面を走行する場合でも、スリップ率を正確に計算できる。 そのため、この発明をたとえば請求項3記載の構成のようなタイヤ空気圧低下検出装置に適用すれば、タイヤ空気圧低下検出へのスリップ率の影響を高精度に排除することができる。 そのため、タイヤの空気圧低下を高精度に検出できる。 【0119】また、本発明によれば、前軸重および後軸重の相違を考慮して定めた所定の演算式に基づいて求められた判定値変動量により判定値が補正される。 したがって、前軸重と後軸重との相対的な差に起因する前タイヤと後タイヤとの有効ころがり半径の変動量の違いを考慮した補正を行うことができる。 そのため、タイヤの空気圧低下を一層高精度に検出できる。 【0120】また、本発明によれば、車両を実際に走行させることにより判定値補正のために必要な第1係数および第2係数が求められる。 したがって、タイヤの現実の状態を判定値補正に忠実に反映させることができる。 そのため、タイヤの空気圧低下をより一層高精度に検出できる。 また、本発明によれば、複数種類のタイヤが装着され得ることを考慮して設定された係数が最終的な第1係数および第2係数とされる。 したがって、車両にどのような種類のタイヤが備えられても、タイヤの空気圧低下を精度良く検出できる。 【0121】また、本発明によれば、乗車人数などの積載条件が異なり得ることを考慮して設定された係数が最終的な第1係数および第2係数とされる。 したがって、 どのような積載条件であっても、タイヤの空気圧低下を精度良く検出できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施形態が適用されたタイヤ空気圧低下検出装置の構成を示す概略ブロック図である。 【図2】タイヤ空気圧低下検出装置の電気的構成を示すブロック図である。 【図3】タイヤ空気圧低下検出処理の全体を説明するためのフローチャートである。 【図4】車両に作用する横方向加速度を説明するための図である。 【図5】係数A1の求め方について説明するための図である。 【図6】係数A2の求め方について説明するための図である。 【図7】初期補正係数の演算処理について説明するための図である。 【図8】初期補正係数K 3を求めるための、直線惰性走行時における車両の速度と前タイヤおよび後タイヤの回転周波数比との対応関係を示す図である。 【図9】初期補正係数K 3の求め方の他の実施形態を説明するためのフローチャートである。 【符号の説明】 1 車輪速センサ 2 制御ユニット 2b CPU 4 初期化スイッチ |